アートの周辺 around the art

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引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

芸術新潮でブリューゲルを堪能した!

2013-05-04 | 

 

芸術新潮 2013年 03月号 [雑誌]

GWも後半に突入!特にどこに行く予定もないものですから、せめて誌上で世界のブリューゲルの作品をめぐろう!ってことで、購入していた「芸術新潮」3月号のブリューゲル特集をじっくり読んでみることにしました。思わず衝動買いしてしまったブリューゲルの全作品が掲載されている本誌。誌上で特別講義をしてくださいますのは、長年ブリューゲルの研究をなさっている明治大学名誉教授の森洋子先生。さまざまな見識に裏打ちされた解説は、読んでいてとっても興味深い!

ところで、今回紹介されているのはピーテル・ブリューゲル(父)。息子にヤン・ブリューゲルとピーテル・ブリューゲル2世がいて、その息子もピーテル・ブリューゲルだったりして、ややこしいことこの上ないのですが、私たちがよく知っている「バベルの塔」とか「農民の祝宴」とか「雪中の狩人」とか、ウィーンの美術史美術館でたくさん見れるのは(父)の作品であります。

なぜブリューゲルの作品に魅かれるか。まず農民とか市井の人が思い思いにたくさん描かれていて、その様子が生き生きして楽しげだから…。でも今回、一枚一枚の絵の細かいところまでじっくり見てみると、描かれている人たちの顔は、あまり幸福そうな良い表情ではない。むしろ、人間の内面が表出したような、けっこうグロテスクな表情をしている…大人も子供も。

農民画家とも言われるブリューゲルですが、実は都会で修練し画家として生きた人で、絵には宗教的なテーマが数多く取り上げられ、また市井の人々を描いた作品も、どちらかといえば寓意を含む教訓画が多いようです。「ネーデルラントの諺」といいう作品には、何と!85もの諺を体現した人やもろもろが作品の中に散りばめられています。「神に亜麻のひげをつける」(計略で人を騙す)、そのままなんだけど、神様が男につけ髭をつけられている様子って、何だか可笑しいです。

ブリューゲルの作品は、そういう細かい表現をひとつひとつ読み解くのが、けっこう楽しいのではないかと思います。有名な「バベルの塔」でも、その周りに描かれている家のひとつひとつの細かいこと!誌上では、ブリューゲルの絵の中に描かれている料理を再現するという試みもあって、結局予想でしかないのですけど、けっこう美味しそうでした。

ブリューゲル(父)は、40歳代で亡くなったそうで、残された作品も40数点しかないそうです。ウィーン美術史美術館の静寂の中で見た体験が、どんなに贅沢であったかを今さらながら思い知らされますね~。まだ真贋のはっきりしない作品もあり、私が以前、神戸で見た「イカロスの墜落のある風景」は、追随者のコピーであることが判明しているそうです。あらま~。

誌面上でじっくり細かいところまで見れるのもいいのですけれど、やはり本物を見たくなりました。もし世界中のブリューゲルが一堂に集まったりしたら、スゴイだろうな~!!あり得ないかな~!!

 

コメント
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