アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

「路上観察」事始め

2010-09-12 | 作品
このブログ、『アートの周辺』といいながら、けっこうアートど真ん中の記事ばかり書いていることに、若干心に引っかかるものがありました。しかしながら、ここでついに、いわゆるアートの常識とか既成概念の枠から飛び出していける…!!そんな予感を感じる本に出会いました。

『路上観察学入門』 赤瀬川原平・藤森照信・南伸坊編(ちくま文庫)

といいますか、これもずいぶんと前に買っていたのですが、中の写真などをペラペラ見てると、急に読む気になって一気に読んだわけです。

「路上観察」。この言葉には聞き覚えがありました。トマソンなるものの意味も存じあげていました。しかし、路上観察「学」がこれほど奥深い学問であることは知りませんでした!

路上観察学は、今和次郎、吉田謙吉という方が創始した「考現学」に端を発します。時代は関東大震災の直後、破壊のあとにやってくる創造を、彼らは民俗学、考古学さながらに「観察」し「記録」する。しかも大それた街の記録などではなく、町の「看板」とか「茶碗のカケ方」とか「丸ビル・モダンガールの散歩コース」とか「犬の破いた障子」とか。そういうのを、赤瀬川さんらが思いっ切り面白がり、そして「路上観察学」が始まったのです。

この中のメンバーでは、最高に崇められているのは林丈二さん。本職はデザイナーらしいけど子供のときから調査マニアで、マンホールの蓋にはじまり、都内各駅切符のパンチ屑(時代を感じる…)、旅行先で靴底に挟まった小石の採集など、あらゆる瑣末な事に探求の視線を向け丹念にデータを取るのです。彼が書いている「路上の正しい歩き方」はすごーくオモシロイです。自ら視野窄狭を称する彼の視点、目の付けどころとその記録や考察は、まさしく路上に目を向けんとするフォロワーのお手本となるものです。またマメなイラストがいいんですよ!

マンホールについても、そんなにいろいろな種類があったなんて!…と最近マンホールって見かけないよな~なんて思っていたのですが、自宅から一歩外へ出て視線を下に向けて見ると、マンホールあるある!!全く気に止めないと見えなくなるんですね~。
そういうわけで、珍しい(のか?)絵入りマンホールがありましたので掲載します。なんと大津らしく琵琶湖大橋や今は動かない大観覧車や花火などが描かれております。これは下水用でしょうか?
マンホール再発見以来、道路のマンホールをついじっと見つめたりしてしまうのですが、きょうはこのブログのために写真撮影をいたしました。じっと見るのも写真撮るのも、それを他人に見られるとちょっと気恥ずかしいですね。そこを素知らぬ感じでやるってのも路上観察者の第一歩なのでは、とそれが嬉しかったりもする残暑厳しい午後でありました。

路上観察学の大発見である「トマソン」については、また後日。
コメント (2)
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