無線室

無線通信、特に受信に関する考察、実験、感想などを‥‥。

自動車内で聞く短波

2008-10-14 01:55:01 | 短波・中波・長波
 私の自動車には、AR8600を積んでいます。余談ですが、メモリーカードEM8200で、自宅用のAR8600とメモリー内容が完全に同一になっているのです。
 自動車に取り付けられたアンテナは、144/430MHz帯用のモービルホイップ。しかも、長さはたかだか60cmという短いものです。

 そんなモービル環境では、短波の受信は絶望的といえるでしょう。ノイズ対策もしっかりしていないので、エンジン回りのノイズもひどいのです。しかしながら、これが意外と短波を受信できてしまいました。

 私の車では、AR8600の電源はバッテリー直づけ。つまり、エンジンをかけなくても電源が入るのです。
 そこで、エンジン回りのノイズを防ぐためにエンジンを切った状態でAR8600をオン。すると、海外の短波放送がそれなりに聞こえてくるのです。

 実は先日の夕方、何気なく上記の状態でメモリースキャンをかけていたときのこと。13282kHzでボルメット放送が受信できたのです。
 てっきり東京ボルメットかと思っていたら、手元の時計は17:18。東京ボルメットは毎時10分と40分から5分間の放送なので、東京ではないのです。
 放送の最後に「香港」と聞き取れたので、自宅に戻ってスケジュールを調べたら、やはり香港ボルメットを受信できたことが判明。1mにも満たないモービルホイップでも強力に受信できて、思わず驚いてしまいました。
 「これなら海外の短波放送でもクリアに受信できるだろう」と思い、41mb(7100~7500kHz)や25mb(11500~12200kHz)などの短波放送の周波数にあわせると、中国や韓国、北朝鮮やロシアなどの近隣諸国の放送が聞こえて来るではありませんか。短波に同調しているはずのないアンテナでも、しっかり数千kmの彼方からやってくる短波放送が受信できてしまうのが、電波の不思議といえるのではないでしょうか?

 では、より短波に適したアンテナに接続するとどうなるのか‥‥以前実験してみました。
 モービルホイップを外して、長さ5mほどのコードをワイヤーアンテナとして接続。AR8600の電源を入れると、何とこれが激しい混信で使い物にならなくなってしまうのです。アマチュア無線の7MHz帯なんかはただでさえ混んでいるバンドなのに、上下から激しいカブりを受けてしまいました。
 AR8600は本格的な短波受信機とは違い、混信除去機能が実に貧弱なのです。オプションでコリンズのフィルターが用意されていますが、標準ではせいぜいアッテネーターがある程度。設計段階でも、余り短波の受信を念頭に置いていないように思えます。

 このようなことから、むしろ短波に同調していないアンテナの方が快適に受信できるかもしれません。皮肉な結果ですが、車に積むにはこの程度がちょうどよいのではないでしょうか。

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