無線室

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埼京線にATACS導入

2013-11-05 20:17:06 | 鉄道無線
 少し前の話題になりますが、JR東日本は10月8日、埼京線に無線式列車制御システム「ATACS(アタックス)」を導入すると発表しました。
 ATACSは「Advanced Train Administration and Communications System」の略で、これまで軌道回路に頼っていた在線の把握を、列車が定期的に発信する位置情報の電波を元にするもの。2011年10月に、仙石線あおば通―東塩釜間で導入されました。

 発表によると、今年度から工事などを開始し、2017年秋の運用開始を目指しています。現在、埼京線では205系からE233系7000番代への置き換えが進行中。E233系の10号車(新木場方先頭車クハE233)の9号車寄りの屋根に、ATACSアンテナの準備工事が施されています。
 なお、一部にはATACSアンテナを装備した状態で新製された車両もあるようです。列車無線やWiMAXのアンテナよりも太いアンテナが2本取り付けられています。ちょうど、昔の常磐無線のアンテナに似ているかもしれません。

 さて、先行導入された仙石線のATACSは、おおむね2~3kmの区間で1つのゾーンを構成し、1ゾーンで1波を使用します。周波数は、基地局が352.64375MHz、352.65000MHz、352.65625MHz、352.66250MHzの4波、移動局はそれぞれ16.5MHz下です。
 ところが、これらの周波数は首都圏ではデジタル列車無線のデータ波と同じ。仙石線と同一周波数では、埼京線でATACSが運用できないのです。
 おそらく、デジタル列車無線の前後の周波数で、新たにATACS用の周波数が割り当てられるものと思われます。今後基地局や車両の整備が進むと、352.53750MHzより下もしくは352.66875MHzより上でデジタル波が開局するでしょう。

 首都圏で初導入となる埼京線のATACS。将来的には、各線区に導入していくようです。「聞こえない」無線ですが、これからも鉄道では無線の需要が高まっていくのかもしれません。