無線室

無線通信、特に受信に関する考察、実験、感想などを‥‥。

DJ-X8

2006-12-14 08:38:21 | 受信機・アンテナ
 アルインコの最新鋭受信機DJ-X8を、買ってしまいました。
 そもそものきっかけは、DJ-X8が私鉄のNEC式列車無線の空き線信号が除去できるということ。当然、JRの空き線信号にも対応しているのです。

 というのも、一応AR8200mkⅡはオプションのカードでJRの空き線信号を除去できるのですが、残念ながらNEC式には非対応。自宅から見える西武鉄道を受信しても、「ピーギャラ」の「ピー」は除去できても、「ギャラ」が聞こえてしまうのです。
 さすがに、これでは自宅で快適な受信ができません。ベランダから西武の列車に不穏な動きが見て取れても、受信機の電源をつけて「ピーギャラ」が聞こえてしまうのでは大変な耳障りです。
 さらに、この前機種となるDJ-X7は長波帯を使う誘導無線でも感度がよく、その性能を継承しているというのです。そして、前回でも書いたJR東日本のデジタル化‥‥。
 以上のような理由で、ボーナスはたいて買ってしまったのです。とはいっても、秋葉原の店で21,000円でした。

 DJ-X8には、すでに全1000chのメモリーのうち966chが埋まっています。受信趣味を始めたばかりの人にとってはこれでもいいかもしれませんが、私のようなヘビーユーザーだとちょっと使い勝手が悪いのです。
 そこで、AR8200mkⅡとほぼ同内容のメモリー構成にするために、一度全メモリーを消去。一からメモリーを入れ直しました。

 周波数の登録や6文字のテキスト入力で、カスタマイズするのにかかったのは4時間! オプションのPC接続ケーブルとユーティリティソフトを使えばもっと簡単にできるようですが、DJ-X8のみでは正直なところ手が痛くなりました。

 さてさて使用感ですが、空き線信号キャンセラーの効きは最高。実は、秋葉原のショップでIC-R2500を触ってみたのですが、この機種はキャンセラーの効きがよすぎるようで、JRの通話が終わったあとに空き線信号を受信すると、「ピ」の音もせずにキャンセラーが働くのです。
 それに引き替え、DJ-X8は1秒くらい「ピー」と聞こえ、通話が終わったことを知らせてくれるのです。IC-R2500のようにいきなり無音になると、通話が終わったのかどうかが判断つきません。
 ちなみに、運転台についている本物の無線機でも、通話が終わると1秒ほど「ピー」と空き線信号が聞こえてきます。これで通話が終わったことを知らせる役目もあるかもしれませんが‥‥。

 一方で、NEC式も快適。通話が始まると確実にスケルチが開き、通話が終わると確実にスケルチが閉じます。
 今のところ、誘導無線はまだ試してはいません。しかしながら、AMラジオも専用機並みの感度を誇っているようなので、期待が持てそうです。

 『ラジオライフ』2007年1月号で、鉄道無線の受信に最適な受信機を選んでいましたが、締め切りの都合でDJ-X8はノミネートされませんでした。もしDJ-X8の登場が締め切りに間に合ったらなら、間違いなくベストワンに選ばれるでしょう。
 鉄道無線をメインに受信する人なら、正直おすすめです!

JR東日本の列車無線デジタル化

2006-12-04 15:41:41 | 鉄道無線
 いよいよ、「その日」が近づいているようです。JR東日本の在来線の列車無線がデジタル化するというのです。

 JR東日本が7月4日に発表した「首都圏輸送障害低減に向けた対策について」によると、「運行管理システムの強化」として「在来線列車無線のデジタル化により、列車運行管理の強化を図って」いくというのです。2007年度から音声系を投入し、2009年度には移行完了。さらにデータ系は音声系に1年遅れて2008~2010年度に投入するそうです。

 「音声系」とは、その名の通り音声でやりとりする従来の無線で、「データ系」とは、文字によるやりとりとなります。では、どんなデータがやりとりされるのでしょうか?
 あくまで推測ですが、これまで音声で行われていた通告が、すべてデータ系で流されるものと思われます。従来だと、通告の対象となる列車の運転士は、停車を待って通告内容をメモしなければならなりませんでした。
 これをデータで流すことによって、運転士への負担の軽減になるほか、通告の誤記がなくなり確実に伝達されることになるのです。

 ところで、実はすでにデジタル無線機は運転台に取り付けられ始めています。これまで黒い受話器だったものが、グレーの受話器になっていれば、これがデジタル機なのです。
 型番を「FM-811D01-3」といい、三菱電機製。総務省のホームページにある技術基準適合証明(技適)のPDFによると、以下のようなスペックです。
電波型式送信周波数出力
F2D
F3E
336.0375~336.1250MHz
(12.5kHzステップ8波)
1W
F3E414.4250MHz
414.5500MHz
415.2000MHz
1W
G1D
G1E
336.0375~336.16875MHz
(6.25kHzステップ22波)
0.3W

 表の上段は従来のA/Bタイプ、中段はCタイプ、下段はデジタルです。この周波数は列車側の送信周波数なので、基地局はシンプレックスであるCタイプを除き16.5MHz上の周波数となります。
 上の表から、周波数ステップや範囲は一部違うものの、A/Bタイプとデジタル無線は同じ周波数を使うことがわかります。つまり、352.5375~352.66875MHzで空き線信号と違うデジタル特有の「ザー」という信号が聞こえたら、デジタルの周波数となるのです。

 なお、デジタル化は今のところJR東日本の首都圏管内のみ。それ以外の地域では当面デジタル化はないと思われます。ただし、総務省が用途別にアナログ使用期限を出してきているため、鉄道無線もその例外ではないかもしれません。