超人日記・作文

日々の随筆の合間に、短歌や俳句も登場します。

<span itemprop="headline">ネヴァー・ノウズな日々</span>

2009-06-10 00:13:35 | 無題

「トゥモロウ・ネヴァー・ノウズ」はビートルズの中でとりわけ好きな曲だ。ジョン・レノンがティモシー・リアリーの「サイケデリック版チベット死者の書」の文章を引用して詞を書いている、最も飛んだ曲である。イギリスのことわざ「トゥモロウ・ネヴァー・カムズ」をリンゴが言い間違えてしゃべったのを、これはいけてる、とジョンが題名に頂いた。曲は単純なようだが、ブライアン・ジョーンズやポール・ボウルズの影響か、モロッコのジュジュカ音楽を意識していると予想される。ヒュンヒュンヒュンと鳴る効果音はチベット僧が大勢で歌っているように、というジョンの注文で、ジョージ・マーティンに作ってもらったテープのルーピングの音である。
この歌は、一言で言えば狂っている。狂うという字は王型の呪具を足で踏んでいる象形文字で、そのことで呪具の力を貰い神がかりになるということだと白川静氏の「回思九十年」の対談の部分で述べられていた。私はこのビートルズでいちばん狂った曲が好きで、いつかこの題で何か書きたいと思っている。
今日友人に会って思い出したが、私は若い頃この曲を録音している。
と言ってもスタジオ録音とか、そういう高級な録音ではなく、貰ったラジカセに、激安の殿堂で買ったキーボードを伴奏で弾いて、リズムボックスに合わせて歌っている。伴奏と言っても私はキーボードが弾けないので、不協和音の即興演奏である。このめちゃくちゃな感じがこの曲には合っている、という直感の産物なのだが、この録音が非常に私の過去で印象的だったとその友人は言う。あれこそ無心ではないか、と言ってくれた。この友人は私が迷っていると、そういう小さなエピソードを例に出して私を原点に戻す。
この迷録音の件もあって、この曲は私の心に深く根を降ろしている。私がいちばん迷走していた時期に、私の頭で常に鳴っていた音楽である。その頃のスピリットは私のなかで今も生きていて、ふとした時に顔をのぞかせる。ティモシー・リアリー、ジョン・C・リリー、ポール・ボウルズなどの話題を目にすると、私の迷走期の記憶が鮮烈によみがえってくる。そう言えば、ティモシー・リアリーは「フラッシュ・バックス」という回想録を書いている。この曲は私の脳にある記憶を再燃させる、フラッシュバックの導線の働きをしているようだ。



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