※BLについて綴っております。ネタバレも含みますので、ご注意をば。
※できれば踏み込んでます1を読んでいただけると...ありがたいです。
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気づいた頃(今年だ)には結構な発展を遂げていたBLというジャンル。
相当数発刊されており、どこからどう手を着けていこうか悩みつつも色んなご縁で作品と出会うわけですが...今回はインパクトを受けたタイトルで選んでみました。それらをギャザリング的に綴っていこうと思います。
まずは山中ヒコさんの『500年の営み』
500年という時のインパクトが大きいですね~。何世代にも渡る愛の話しかと想像したのですけど、まさかの1人の人間の500年でした。
SFのようでもあり(表紙もSFチックで素敵)、ファンタジーのようでもあるお話しなのですが、この子が時を物理的に(冷凍人間的に)駆けるきっかけとなった友人との恋がありまして、悲しい理由で途中からその友人に似たアンドロイドとのお話しが主となっていくのですけれども…ちょっと最初に書きますと、正直そのアンドロイドとのストーリーよりも(そちらがメインにも関わらず)友人との恋が読みたい現象にとらわれてしまいまして、殆ど楽しめませんでした(友人はこの世を去っていてもう会えないのです...)。せめてそのアンドロイド君の一部に少年の一部が移植されているとかだったら良かったのかもしれませんけど...生身の少年の魅力が大きかったせいか、そちらが読みたくて読みたくてという感じでした。
で、、、日を置いて改めて読んでみたんですね(1度で判断しないようにせねば)。そしてようやく素敵なお話しだな~と思うことができました。
なかなかに壮大です。考えさせられる言葉も所々で出てきます。なにより.....愛した存在に対する主人公の一途さに胸を打たれました。愛とはなんて尊くて残酷で不思議な感情なんでしょうね....これは一体何なのだろうな……と考えさせられました。
この作品は確かにBLではあるのでしょうけれども全体的には主人公とアンドロイドとの出会いと別れと再会を長い長い年月と共に見守るという感じで、BLの奥深さを改めて感じさせられる作品でした(絡み無しで魅せる系)。二度目に読んだ時は出来の悪い試作アンドロイド君にも魅力を感じられたので良かったですし、その健気なアンドロイド君と主人公が尾瀬という美しい場所で幸せに暮らして行くであろうラストにも救われました。
それにしても“500年の営み”というのは、やっぱり良い響きのタイトルですね。。
お次は秋平しろさんの『いちばん遠い星』
一途に好きでつくすことをワンコに例えるようですが、この作品に登場するカップルの片方はそんなワンコタイプ。
が、、、私はどうもこのタイプが苦手なようでして(ほんとに私の潜在意識に一体何が...)。なので、キュンとくるであろうツボが幾つかありそうなのは分かるのですけど、なかなか感情移入できないという状態で読むことになってしまいました。
で、なんとなく中村明日美子さんの本を読んだ時のことを思い出したんですよね(初読で殆ど萌えなかったというアレ※踏み込んでみた3参照のほど)、なのでこちらも何度か読み返してみてようやく萌え...となった次第。まあ、無理して読み込む必要もないのでしょうけど1度で判断することの危うさを学んだので...(自分面倒くさい)。
この物語に登場するペアは、お互い両想いです。だけど主人公である一方がトラウマをかかえていて素直になれないことで、なかなか恋人同士になれません。先に進む自信が(主に身体的に)ないようなのですね。好きな相手を想うあまり失敗するのが怖いようなのですけれども…で、じれまくった挙げ句出会い系で経験を積もうとする危うい事態となります。運よく出会ったのが知り合い(かつての塾の先生)だったので悲しい事態は回避されたのですが...
が、私がこの作品で一番気になったのは実はそこではありませんでした(というか上手くいえないのだけれども、気になる点がこの作品にはちょこちょこあった気がする)。
それは、なぜ相手を好きになったのか?というところ(でもストーリー的にはあまり重要な箇所ではないとも思われ)。お相手のワンコ君が好きになる過程はなんとなく分かったのですけれども、肝心の主人公のそれがよく分からなくて...告白された時点ではまだ好きではなかったみたいだけど、酔った勢いでキスしてしまっているとか...なんだか茫洋としている感じがしました。
というかワンコ君について“意外と凄い会社に就職して…”とか“意外と仕事熱心で…”とか語っているタイミングが相手のスペック重視に見えてモヤっとしかけたのですけど(違ったようですけど)、読解力が恐ろしく無いのでもう少しどこに惚れたのかちゃんと読みたかったです。あとワンコ君が主人公のことを綺麗だと指摘するのも気になりました(私自身が見目麗しくないので見た目指摘されると無性にざわつく悲しい習性)。
で、先に書いたように出会い系含めワンコ君が精神的にちょこちょこひどい目にあわされています。でも離れようとしません。この場合、お相手の危うさ&素直になれない具合をみると離れなくて良かったのだろうな~と思うのですけれども、一途というのはとても良いのですけれども、なにがあっても離れません的な感じが私はやっぱり苦手みたいです。好きだ好きだ…とくっつき続けるのではなく、ちょっと一旦離れてみないか?と思ってしまうのですよね。。で、も、出会い系でのことを告白されて一端部屋の外に出てすぐに戻ってきてた流れは意外性があって好きだったので、この辺の考えにもゲシュタルト崩壊が発生しつつあります。。。
そんなこんなで、胸に響く先生の深い助言もあったりでようやく恋人同士となれた2人。その後はほっこりしていて、素直というのはやっぱりいいものだな~と思わせてくれる甘く優しい流れとなっていました。噛んで味わいが増すような作品でしたね。
あと絵に関してですけど目の描き方がとってもシンプルでそれが逆に個性的。もうちょっとこう...と何かが気になりつつもスタイリッシュな感じもしましたし、全体に流れるライトで爽やかな雰囲気は誰もが表現できるものでもないと思うので、この絵で更にライトなお話しを読んでみたい気もしました。
そして次は高野ひと深さんの『「す」のつく言葉で言ってくれ』
こちらはですね...勘違いポジティバーが主人公の明るいお話しでした、一見。
読みながら、なんか、なんか明るくなりきれない何かを感じるな~と思ったんですよね、主人公のお相手の雰囲気が気になったというか。で、読み進めるうちそのお相手にとある過去があることが分かりまして...ペアのお話し云々以前に、そちらに物凄く苦手な表現があり駄目だった...という私的展開となりました。
主人公は繊細ながらも全ての物事を超プラス思考でとらえていく可愛い子。そのお相手が過去にかかえていたものというのが、所属していたサッカーチームのコーチと関係を持っていたというもの。姿ははっきり見えませんが、コーチはだいぶ大人で既婚者であるというのも嫌でしたし(傷ついたコーチの息子も登場する)なにより、いたしているシーンの描かれ方(暗い部屋に点くテレビの明かりと裸の少年と大人の男性の手が見開きページで描かれている)というのがトラウマになりそうなくらい駄目でした。
なんか、男々しい大人に若き少年が汚されるような感じ...が無理みたいです。これがなければ単純に笑って読めたかもしれませんけど、主人公が中心のストーリーの明るさで払拭...とはいきませんでした。でも主人公は素敵な子でしたね。相手に告白をそくす「いいか 最初は「す」だ」というやりとりは新鮮で、そして切なくて良いシーンでした。。
さてさて、タイトルシリーズはまだ続きますが、なんだか自分の萎えポイントの多さに萎え始めるという事態になりつつあります。