東京・ウサギSATELLITES

兎についてきた人だけが迷い込む不思議な衛星

語らずにはいられない5

2017-05-03 | 漫画・ドラマ・アニメ・ゲーム
※映画『虐殺器官』について綴っております。ネタバレも含みますのでご注意をば。

※いつにもまして、まとまりなく熱く語っております。









さて、アーミー的なことや男同士の頭脳戦といったものの中に、一輪の花のごとく美しい女性が登場してくるのですが、そこから恋心という面倒くさい感情…ゴホッ、一筋縄ではいかない感情が絡んできます(主に主人公)。

主人公はこの女性に対して、そしてこの女性は主人公が追う人物に対して、追われる人物は奥さん子供に対してそれぞれ抱く想いというのがあるのですが、それらが作中で起きる様々な出来事の一つの鍵を握っているように思いました。

ただですね…

主人公が任務中にまで彼女に対する私情を持ち込むようになるのがちょっと納得いかんといいますか、一体いつそこまで好きになったんだ?と。

ラストで彼がとった行動も彼女を失ったことによるショックが(衝撃的なシーンなので今後見る方は心した方がいいかと思われ)そうさせた部分もあるようにも感じ、カフカについての会話などで色々気が合ったのかもしれませんけれども(というかここにカフカを持ってきた意味ってなんだろう?&余談ですがカフカの「変身」は私の初めてのモヤリショック作品だった記憶)、部下や子供たちに対してもフラットだった心が動揺するほどの何かがあったかなぁ?と。それとも追っていた人物との対峙の時そういった部分の開放的心の操作が及んでいたのだろうか…謎です。


で、お相手の彼女は彼女で主人公が追う人物とかつて不倫関係にありまして、逢瀬の最中に彼の妻と子供が悲惨な目にあっていたことで苦しんでいる状態にあります。

正直、それが分かった段階で今後彼女に何があっても同情しないわ~とシラッとなったのですが、そういった怒りフィルターを通してみていたとしても気になる部分がありました。

それは、この映画における性別的な意味での女性の立ち位置について(彼女個人にではなく、あくまでも女性という立ち位置)。

その柔らかい雰囲気に癒されるところも確かにあったのですけれど…時に格好良く、時に残酷な漢の世界の中にあって言葉だけで語る姿が本当に軽く見えたといいますか(上手く説明できないのだけれども)女々しさがなんだかとっても鼻につきました。

特に三人が対峙するシーンでは彼女が急にもっともらしく語り始めて、どこかでよく見るような女のしゃしゃり出てきた感にイライラ。この辺り含め、惹かれる過程とかもう少しじっくりと描かれていれば、もっと色々納得出来たように思いました(それともあえての抑えた表現だったのか…)。

とはいえ、映画ではまとめられてしまっているかもですし(映画全体は上手くまとまっていた印象)、原作でどう描かれているのか楽しみなところでもあります。