馬糞風リターンズ

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おしどり夫婦・・・・落語「百年目」

2015年09月17日 | 大衆演芸
街で偶然知人に出くわしました。「マァマァ、・・・お茶でも」と喫茶店へ。先方さんは奥さんとご一緒でした。知人とは長いお付き合いですが奥さんに会うのは初めてのことです。知人は俗に言う「ガレージカンパニー」のオーナー社長で、可なり個性の強い強引な人で、当ブログなどと違ってマァ人の言うことなど聞く耳を持たない人です。当ブログは常々「コイツの嫁さん、どんな人だろう?」と思っていましたが、どうにも想像が付きかねていました。初めてお会いしましたが、飾り気・衒(テラ)いのない極々普通のおばさんでした。その奥さんが知人を「家の旦那 家の旦那」と云います。一方、旦那は奥さんを「おかあさん、おかあさん」と呼んでいます。この夫婦には成人した息子が二人おり、既に独立して今は夫婦二人きりの生活だそうです。子供が出来てから「おかあさん」と呼び、そのまま続いているようです。奥さんによると「家にはヤンチャナ坊主が三人いる」とのことです。そう言えば普段あの傍若無人、我侭放題の知人の立居振舞いも今日奥さんの前では幼稚園児が保母さんに上手に扱われているような滑稽さです。何はともあれお二人を見ていると何んともにこやかな仲の良い「おしどり夫婦」です。
 世間で自分の連れ合いを他人に紹介する時どう言うのだろうか。当ブログは「僕の嫁はん」です。「女房」「妻」「家内」「かみさん」「おばはん」「オカア」「やまのかみ」「連れ合い」「カカア」「ワイフ」「相方」・・・・。女性側からは「夫」「主人」「亭主」「旦那」「宿六」「ハズバンド」「パートナー」・・・・。所で、当ブログの嫁はんは、他人に当ブログを何んと言っているのか?そう言えば当ブログはそのことを残念ながら知らないのです。
 件の奥さんが「旦那、旦那」と云うのには何某かの理由があるのだそうです。結婚当座は「夫」と言っていたそうです。それが「旦那」に変わったのは、ある仏事でお坊さんが「旦那」と云うのは夫婦間で上下、従属の関係ではなく「平等・対等」で男女「共生」の関係を表す言葉だと言う内容の説教を聴いたからだそうです。奥さんにしてみれば、このヤンチャ坊主が自分にとって「主人」でも「亭主」でもまして「大黒柱」でもない、お互いになければ生きていけない「共生」の「パートナー」としての存在なのだそうです。だけど「旦那」とは「パトロン」のことで「主人」などよりよっぽど女性を蔑視した言い方のように思うのですが・・・。
語源由来事典などを調べてみるとやっぱり「パトロン」のようなものです。
●旦那の由来・語源:本来は仏教語で、「檀那」と書き、寺院や僧侶に布施をする信者のことをいった。サンスクリット語Dana patiの音訳「檀那波底」の略で、Danaは布施、施しを意味する。「面倒を見てくれる人」「お金を出してくれる人」
 仏教語であることには間違いないようですが奥さんの言うような意味合いはないようです。奥さんの聞き違いかお坊さんのいい間違いなのか・・・?

 落語に「百年目」と云う演目があります。その中で○「一家の主を旦那と言ぅのは、どぉいぅとっから来たか知ってなはるか? 知らん。そぉじゃろなぁ。この歳になるわしが今まで知らなんだんじゃ。こら、寺方の方から来た言葉じゃそぉななぁ。こないだわしゃ聞ぃてきたんじゃが。」「天竺。天竺も五天竺あるそぉなが、そん中の南天竺といぅところに赤栴檀(しゃくせんだん)といぅ見事な木があるんじゃてなぁ、見る人誉めざるなしといぅ木。ところがその根元に難莚草(なんえんそぉ)といぅ見苦しぃ雑草がはびこるのじゃて。赤栴檀は結構じゃが、この難莚草がどぉも具合が悪いっちゅうて、そいつをむしり取ってしまうと、この赤栴檀が枯れるのじゃて。

■つまり、この下で難莚草といぅ雑草がほこえては枯れ、はびこっては枯れするのが、赤栴檀にとってまたとないえぇ肥やしになる。また、赤栴檀の下ろす露が、難莚草にとってはこの上ないといぅえぇ肥やしになるんじゃそぉな。

■そこで赤栴檀がさかえりゃ、下の難莚草もほこえる。難莚草がほこえて枯れることによって赤栴檀はますます育つ。寺方と檀家といぅものはこれでなかったらいかんといぅので、赤栴檀の「だん」と難莚草の「なん」と取って、在家の人のことを「だんな」といぅものはこっから出たんじゃといぅて聞ぃてな。

■まぁ年寄りの耳学問じゃ、違ごてても笑ろぉてくださるなじゃが。わしゃなぁ、えぇ話やと思たで。世の中はこれやなかったらいかん「有無相持(うぶあいもち)」っちゅうやっちゃなぁ。まぁこの家でいぅたら、さしずめわしが赤栴檀じゃろ。この頼んない赤栴檀、こんたといぅえぇ難莚草が居てくれるお陰で、えらほこえにほこえさしてもろてる

 どうもお坊さんは落語の「百年目」を参考にして説教したものと思われます。
因みに「難莚草(なんえんそう)」=実体は不明だが「莚」の字は「草がのびてはびこる」の意味。




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2 コメント

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ブログ おしどり夫婦 (田原伸之)
2015-09-20 00:40:00
9月19日名古屋在住のおしどり夫婦友人の訃報を聞く2日前にこのブログ、甘利さんの触角には何かが有るのではと感心しました。
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本当に残念です。 (アマチャン)
2015-09-28 11:05:03
こんにちは田原さん。
同窓会で「大丈夫かな?」との心配が現実のものとなり本当に残念です。同窓会で彼の趣味の鉄道ジオラマを僕の孫が遊ぶように誘われました。楽しみにしていたのに。最後まで前向きで、病気の怨み言、老いの愚痴を一切言わず、明日することだけを考えたい多様です。暗さ陰惨さなど翳のない自信に満ちた人生だったようです。10月に改めてお悔やみに行こうと思っています。
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