馬糞風リターンズ

世ノ中ハ何ノヘチマトオモヘドモタダブラリト下ツテモオラレズ

「帰ってきたヒトラー」を観ました。

2016年07月05日 | 映画
今月の「映画の会」はドイツ映画「ヒトラーが帰ってきた」です。先月はオランダ映画「素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店」でしたが、2ヶ月連続のヨーロッパ映画でしかも両作品ともコメディーです。
 前回も痛烈に感じたのですが「言葉が分からない」のは決定的に作品を理解できないということです。恐らく「幕字」とはかけ離れた、軽妙な言葉のやり取り、その国の生活習慣、文化・宗教的背景が画面ではチグハグな状況を表現しているのだと思いますが、当ブログにはそこのところが全くわからないので「何がそんなにおかしいの?」となってしまいます。現に、今日の映画でも全くおかしくもなんともない場面ですが、外国人のカップルは「クスクス」と声を上げて笑っていたそうです。
 戦後70年、日本でも戦争時代を体験した世代が少なくなり、時間の経過と世代交代で当時のことが歴史の1ページの出来事となりつつあります。ヒトラーを風刺した映画はチャップリンの「独裁者」などがありますが、今までは全てドイツ以外の外国で製作されています。
ドイツではヒトラーを礼讃したり、ナチスの意匠や出版物を流布すると民衆扇動罪(ドイツ刑法第130条)で違法とされています。これは「戦う民主主義」(民主主義を否定することを認めない民主主義)と呼ばれているそうです。そんなお国柄のドイツで今回制作された「帰ってきたヒトラー」はかなりのリスクがあったものと想像します。何故コメディーなのかの理由もここのところを押さえれば首肯できました。ただ、そうとは言えヒトラーのコスチュームで全くヒトラーになりきった役者が街頭で一般のドイツ人にインタビューをする事を受け入れているドイツの今の歴史観には少し驚きました。やはり時間がある程度客感的に過去を見つめる冷静さを与えたのかも知れません。
話が飛びますが、昨夜ネットで小説「ヒトラーが帰ってきた」(上・下)を注文しました。今日映画を見終わって帰宅すると本は既に届いていました。これにはチョッと驚きました。

ヒトラーは表面上、合法的に権力を手中に入れます。それも熱狂的にドイツ国民に歓迎されてのことです。

 映画の最後のシーン。人気絶頂のモノマネ芸人と思っていたヒトラーは、実は本物のヒトラーがタイムスリップしてきたと気付いたテレビマンが「これはやばい」とヒトラーを射殺します。が、次の瞬間、背後に再びヒトラーが現れます。「やばい」と気付いた時にはヒトラーは人々の心の中に入り込んで生き続けることになったようです。