ひょうきちの疑問

新聞・テレビ報道はおかしい。
2020年のアメリカ大統領選以後はムチャクチャ

「授業でいえない世界史」 54話 戦後 1980年代前半

2019-05-29 10:00:00 | 旧世界史14 1970~
※この記事の更新は、「カテゴリー(新世界史1~15)」の記事で行っています。


【1980年代】

【アメリカ】
 では1980年代、日本ではバブル経済、あの悪夢のバブル経済が起こります。ここは政治経済で言ったことと同じです。君たち高校生が苦手なところは、円高円安です。これわかるかな。円高円安、これ抜きではわからないです。それと隠し味が中国人民元です。
 この図は、一番左側がどういうことがあったかという事項名です。真ん中が、円、ドル、人民元の三本の為替相場です。この3つの通貨を一緒にすると難しすぎて分かりにくいから、ドルを飛ばして、一番右は円と人民元の為替相場です。
 三本絡むから、ちょっと複雑なんだけれど、1980年の時点で中国人民元はいくらか。大まかに言うと1人民元は150円だったんです。それが最安値は1993年、1人民元10円になる。ウソみたいに安くなる。今チョコっと高くなって1人民元は15円ぐらいです。もともと1人民元は150円です。人民元は10分の1に安くなる。中国製品が安くなるはずです。売れるはずです。これで輸出が増えなかったらウソです。


 メインは日本とアメリカのドル円相場です。その理解なしではちょっとわからない。これを省略すると、結局何を言っているか分からなくなるので、言います。
 円とドル。1ドル100円が110円になったら、円安、円高のどちらですか、1ドル100円が110円になったら、円安ですか、ドル高ですか。これはドル高です。
 わからない時には、ドルで考えたらいい。しかし日本のニュースでは、我々は日本人だから円高・円安でしか言わない。これはドル高なんです。ということは、円は、安くなったの、高くなったの。安くなったんです。だから円安です。つまりドル高・円安です。


 これが基本中の基本で、これはたぶん2回以上やっていると思うから、もう繰り返しません。分からないときはドルで考えてください。ドルが高くなれば、日本の円は安くなる。表裏の関係だから。それで1980年代に行きます。


 戦後1ドル360円と決まっていた相場が、変動していいことになったんです。いつからですか。1971年に何が起こったか。ドル・ショックです。アメリカが一方的に、金とのリンクがはずした。それで変動相場制になったんです。


 金とのリンクがはずれたということは、基軸通貨を持っているアメリカにとっては、ドルの量を増やしたり減らしたりしてアメリカが自由に調整できるようになったことを意味しますから、アメリカは円高にも円安にも為替操作をしやすくなった。
 基軸通貨の威力はすごいです。基軸通貨の操作とは、ドルをどれくらい刷るか、刷らないか。ドルの金利を上げるか、上げないか。
 そういうことはちょっとマジックみたいなところがある。これはあまり教科書には詳しく説明してないけど、これを言わないといくら考えても1980年代以降の世界史は分からない。
 1980年代以降の30年間の平成不況、君たちはそれしか知らないと思うけど、そうじゃなかったんですよ。戦後は景気がいいときもあった。それがなぜ今のような日本になったか。これなしではわからないと私は思う。

 ドルは今110円ぐらいです。これ1ドル360円から見ると、ドル安なんですか、ドル高なんですか。これはドル安です。1970年代からだから約50年かかって、ドルは一貫して安くなっている。


 ドルが安くなったら、アメリカ製品は海外で安くなるから売れるはずです。普通は売れるはずなんですよ。日本だったら自信持って売れる。でもアメリカ製品は売れない。結局ドルがどんどん安くなって、これでアメリカ景気回復するというその狙いはかなわない。結局アメリカ製品は売れない。アメリカ車が売れないのといっしょです。ドル・ショックから10年経っても、やっぱり売れないんです。


【レーガン政権】 そこで1980年代始めにハリウッドスターが大統領になる。レーガンという。二枚目です、ハリウッドスターだったから。大根役者だったんですけど。一気に大統領になる。

 結局、高いドルのほうが信用があった。このドルが3分の一以下になると、ドルに対する信用が失われていくんです。日本はそうでなかったけれども、ヨーロッパの国は違う。同じ白人の国同士ですけど。やっぱりもうドルはダメだな。私はこれは正しかったと思う。それが西ドイツですよ。


 1979年、ドルショックから9年経っている。ヨーロッパは自分たちが発行する通貨をつくろうとする。そういうことを考え出したのが1979年です。ドルだけ儲けさせてたら、ドルだけ信用していたら、ダメじゃないか。これが今のユーロに繋がります。EUは独自通貨を持っているでしょ。国をまたいで発行する共通通貨のユーロというのを。この機構をEMSと言います。欧州通貨制度といいます。こうやってヨーロッパでドル離れが起こるのです。


 その時には、すでに1ドル360円という時代はとうに過ぎ去って、ドルは半値近くなっている。1ドル200円です。今から見るとドルは高いけれども、360円から見ると驚異的に安い。あのドルがたったの200円かという感覚だった。私はこの時、もう成人してだいたいわかる年齢になっていました。どんどんドル安になっていくということです。


 日本と同じじゃないですよ。日本は逆です。ずっとアメリカ頼みで、それは戦後一貫していますから、どこまでもアメリカに着いていく国です。
 それに対して西ドイツは、アメリカと距離を取っていきます。アメリカはアメリカでやったらいい。ヨーロッパはヨーロッパでやる。お互いそれでいいんじゃないの、という。すごいですね。日本の首相で、こんなことを言える首相がいますか。聞いたことありますか。私は50年以上生きてきて聞いたことがない。こんな首相が出たらカッコイイだろうなと思うけれども、日本でどんなに威張った大臣でも、アメリカに行ったらしゅーんとして借りてきた猫のようになってしまう。
 踊れと言われたら、ギターもって踊った首相もいます。エルビス・プレスリーをやれと言われたら、テレビの前で一生懸命エルビス・プレスリーの真似して踊った首相もいました。それで顰蹙をかった首相もいます。誰とは言わないけど。世界の物笑いの種ですよ、あんなことしたら。猿回しじゃあるまいし。


 レーガンは大統領になったその年に、ピストルで撃たれるんです。それで、それまでの勢いの良さがコロッと変わった感じがある。心臓に命中しなかったから、緊急手術して生き返って、そのあと大統領を続けますけれども。その時のアメリカというのは、さっき言ったようにドルが安くなって輸出が増えるはずなのに、輸出が増えないんですよ。相変わらず貿易赤字です。


 そして儲からないから相変わらず財政難です。財政赤字です。こういう状態、これが世界の超大国の姿なんです。お金がなかったらどうするか。借金するしかない。借金し始めて、この時すでに世界最大の借金大国です。借金国のことを債務国といいます。


【ドル高】 それなのにレーガノミクスといって・・・これはレーガンの名前のもじりですが・・・本来は財政が赤字であれば、お金が足らないから国民から税金を集めないといけない。しかし集めたら必ず大統領の人気落ちるんですよ。どっちを優先したかというと、人気が落ちるのを防いだんです。つまり増税しなかったのです。しかも逆に大幅減税をやる。考えられないことです。政府はお金がないのに減税した。どうするの。私はその理屈がわからなかった。今でも分からないけど。

 お金がないから財政は赤字、しかも税収は減らす。これでどうやって財政を立て直すのか。それなのに公共投資とか橋を作るとか、そういう国家予算は拡大させる。ますますわからない世界です。真面目に考えたら分からない。これは分からないのが当たり前です。お金がないのに、給料が減ったのに、買うものが増えるという人はいないでしょ。父ちゃんの給料は減っていくのに、母ちゃんの買い物はどんどん膨らんでいけば、その家は成り立たない。バカじゃないかと思うほどです。そういう家は借金するしかない。そこはいっしょですよ。


 じゃあどこがお金を貸してくれるのか。誰も貸したくないです。でも一つだけノーと言えない国があるんですね。このとき日本世界最大の債権国です。債権国というのはお金を貸している国です。アメリカ世界最大の債務国です。借金している国です。中身は今でもブラックボックスです。よく分からない。しかし大方の予測はつかないといけない。

 これ非常におかしいです。何でこんなことができるのか。本当に真面目に考えれば、貿易赤字を無くそうとするんだったら、輸出で稼がないといけないでしょ。輸出で稼ぐんだったら、ドルをもっと安くしなければならないはずなんです。そしたら、アメリカ製品は安くなるから、買う人も出てくる。


 そしてもう一つは、政府にお金がなかったら減税ではなくて、逆に増税しなければならないはずです。これが当たり前のセオリーです。これがまともな考え方なんです。ところがこの後レーガン政権がとったのは、アメリカはこれじゃいかん。そこまでいいんですよ。これじゃいかんというのはね。しかしドルをもっと強くしないといけないと言った。ではその強くするとはどういうことか。ドルの値段を上げないといけない、ということなんです。つまりドル高政策をとったんです。全く逆です。ますます分からないですね。
 ドル安にしなければならないところを、ドル高にしていく。狙いはドルを強めるためという。それによって、アメリカの威信、信頼、これを高めるんだ、と言う。これが強いアメリカなんだ、という。そしてドルの金利は10%を越えるんです。今の日本の金利は1%もないです。それどころか0.1%の世界です。このとき10%ですよ。途方もない高金利です。


 10%で預けていたら、100万円預けて10年後に、単純に10%だったら200万円になる。複利で、利息を込みで計算していくから、230万ぐらいになる。こんなに利息がつく。10年間黙って預けておくだけで130万円も増える。こういう高金利政策をやっていく。

 高金利にするとどうなるか。次はちょっと説明が必要かもしれない。ドルが高くなるんです。円が5%の金利が付く、ドルが10%の金利がつくんだったら、例えば中国人は外貨預金でどっちに預けるか。これだけが条件だとしたら、普通は金利が高いところに預けるよね。ということは、ドルを買うということなんです。ドルを買う人が増えたら、リンゴを買う人が増えたらリンゴの値段が高くなるのと一緒でドルは高くなる。だからドル高になる。


 しかしドル高になるとアメリカの製品は外国で高くなって、誰も買いはしない。そうすると輸出は増えず、貿易赤字はなくならない。何を狙っているのかということが分からないのです。


 日本が今向かってるのは日本のバブル経済です。あと5年で日本のバブル経済が始まります。さらに10年経つとバブル崩壊で、暗黒の平成30年不況が始まります。

 こうやってアメリカの輸出は増えずに、逆に輸入が増えていく。アメリカは貿易赤字がますます膨らむんです。ドルは1981年に200円だったのが、1985年には250円になる。着実に高くなっていく。輸出が増えるわけがないです。輸出が拡大するわけがないです。それどころか逆に輸入が増大して、貿易赤字はさらに拡大する。貿易赤字がますます拡大していく。


 しかもドルが高くなったんだから・・・このあとアメリカ人は日本人と違ってクレジット社会です・・・お金を持たないのにカードを切るんですよ。借金で。日本の感覚でいえば、ツケで買うという感覚です。飲み屋に行って、飲み代5000円です。ツケにしとって。そうやってカードをどんどん使う。借金できるものだから、自分では何もつくらずに、借金して輸入で食っていく。その借金、誰がお金を貸しているのかという問題です。


 この間、日本の銀行からアメリカへ資金が流れています。ちょろちょろどころじゃない。
 具体的には、アメリカ政府の借金証書・・・これを米国債というんですが・・・これを日本が買うんです。国債というのは国の借金です。米はアメリカですよ。日本はこれを購入しているんですね。日本の銀行が。日本の銀行のお金は、私が預けた10万円です。それがこうやってアメリカに流れている。アメリカ人がそれでカードを切って使っている。


 だからこれも、ある意味で、日本人がドル預金しているのといっしょです。こうやってドル高に協力している。ドイツとはまったく違う。ドイツはドルに頼らないし、アメリカにお金も貸しません。


 もう一つ、このアメリカの実体は世界最大の軍事大国ということです。これは今も変わりません。圧倒的な軍事力を持っている。核も世界最大の核を持ってる。それにもお金がかかる。その軍事大国の資金源が借金であるということです。こういう不健全な構造が発生します。


【ドル安】 2~3年後、ふとレーガンが気づく。3年ぐらいで、おかしいと。あんなにドル高にするぞ、自信持って言っていたのに急に、やーめた、気が変わった、と言う。突然今からドル安にする、という。日本の大蔵大臣、ちょっとこい・・・大蔵大臣は竹下登というのち首相になる人です・・・とアメリカに呼ばれる。それからドイツの大蔵大臣もちょっと来てくださいという。そして、ドル安にするから許力してくれ、と言う。

 この時の日本の首相は中曽根康弘です。この人物がまたアメリカべったりなんです。レーガンにいいように使われています。使われてるのにそれを、オレはレーガンをロンと呼び捨てにできるんだ、と自慢げに話していた人です。まだ生きてますけど。

 このときには、アメリカの輸出が増えないのは、これは経済ルールで、製品が悪いからです。


 日本が、日本車が売れている。日本のテレビもこの時代は売れてました。製品がいいからです。アメリカはそれがイヤなんです。日本は対米輸出をどうにか押さえなさい、と言い始める。つまりアメリカに輸出するな、と言い始めるんです。売るも売らないも、それなら、おまえたちが買わなければいい、と言えたらカッコよかったんでしょうけど、言えなかった。あーそーですかと言って、日本は輸出しないように自主規制しだす。アメリカへの輸出はこれ以上増やしません。これも経済ルールから考えるとおかしなことです。

 ここで、さっき言ったことを、書いておきます。

世界最大の債務国、借金国、これがアメリカです。
世界最大の債権国、お金を貸している国、これが日本です。日米同盟の裏には、こういう金銭関係が成り立っています。

 一生懸命やりたいアメリカ人は、一生懸命に物を作って、物づくりの世界で世界に負けないものを売りたいんですよ。アメリカの産業界はドル安を望むんです。


 では、今までのドル高は、アメリカ人の誰が望んでいたか。これはニューヨークのウォール街です。金融界です。お金というのは変なもので、100万円を1%で貸し出したら年率利息は1万円です。これを10倍儲けるためには10%にしたら10万円儲けるんだけれど、金利を1%に据え置いたままで10倍儲けるためには、10倍の1000万円を1%で貸せば10万円になる。お金はあればあるほど儲かるんです。金融界が狙うのはこれです。だからお金を集めたいんです。
 最初はこの金融界が強かった。だからドル高です。その間に、アメリカの製品は売れなくて、工場が潰れていったんです。これ以上潰れたらどうしようもないところまでいってしまう。アメリカで残っているのは、宇宙と飛行機とネット関係だけです。


【プラザ合意】
 この産業界、もうこれが限界だということで、ドル安政策に転じる。それが1985年9月、アメリカから呼ばれた日本とドイツが、プラザホテルというアメリカのホテルに呼ばれ、ここで話し合います。この合意を・・・プラザホテルで話し合われたから・・・プラザ合意といいます。1985年9月です。ここから日本でバブルが発生します。

 話し合いますといっても、こんな大きな問題は1~2時間では済まない。最低でも1日か2日は話し合わないと結論は出ないです。それがたった20分で終わる。そういうことで、どうもおつかれさん、で終わる。これは話し合いじゃないです。そこで決定したのは、ドル安にするため、日本とドイツは協力しろ、と強制されたということです。これが世界のためなんだと押し込まれたんです。実はアメリカのためです。
 だからドイツは、ハイハイと口返事だけして、協力しません。ドル高を維持していく。しかし日本は本当に協力して、ドル安政策を行う。手持ちのドルを売る。


 とにかくこれが発表されてたった2年で、ドルは半値になる。1981年に250円だったドルが、1987年に130円になる。発表された1日目なんか、1日で20円もドルが安くなった。今1日で1円安くなれば、みんな大騒動する。この20倍が一気に安くなる。たった2年で半値になる。
 いま110円前後です。たった2年でこれが半値の55円になったら、間違いなく本当に首をつる輸出企業の社長が出てくる。こんなことが1980年代に実際に起きるんです。


 そのくらい急激にドルが安くなる。ドルを安くして、狙いはアメリカが輸出したいということです。しかしアメリカの産業は、前のドル高時代の3年間で潰れてる。やっぱり伸びない。伸びずに、誰が悪いことにされるかというと、今まで円安を武器に輸出してきた日本が悪いとなる。こういうの逆恨みでしょう。
 さかんに、ジャパンバッシングといって、日本のテレビなんかも、アメリカ人が日本車をバット持ってバチバチ叩き壊す。それからウォークマンを足で踏みつける。昔、カセットラジオといっていたもの、ああいうのを持ってきて、みんなに子供に踏みつけさせてグチャグチャにする。そういうのをイベント的におもしろおかしく日本製品が壊されるニュースを報道したりしていた。何が面白いんだろうかと思うぐらい。ジャパンバッシングの嵐です。こんなに日本は叩かれてますよ、悪いことしてますよ、と言わんばかりです。そうじゃなかろう、と気づくまでまでに、私も数年かかりました。これって何なのかなあ、と思って見てた。

 これでドルが安くなったんだから、逆に円は高くなる。日本は確かにこれで輸出しにくくなった。日本は円高です。しかし、ここからますます難しくなる。


 たぶんアメリカは日本からお金を借りてるんです。借りる時には、10%で借りる方がいいか、5%で借りる方がいいか。お金を100万借りるとしたら、10%で貸す人から借りるか、5%で貸す人から借りるか。
 金利が低い方がいいに決まっています。だからアメリカにとって日本の金利は低いほうがいいです。日本はこのときに、円高でも日本製品は良かったから、そんなに不況にならなかった。思ったほどには不況にならなかったけれど、ここで一気に低金利にする。景気が悪くないのに金利を下げるんです。


 それはアメリカが、日本にこう言ったからです。日本は、アメリカに輸出しないで、自分たちが作ったものくらい、自分たちで買えと。これを内需拡大という。経済的には、作ったものをどこに売ろうと勝手です。外国からこういうことを言われるのを内政干渉というんです。本当はしたらいけないことなんです。しかしアメリカがこれを日本に要求したんです。


 ここでのアメリカの要求の矛盾は、日本はドルを安くするために、円を高くしなければならない。これは10円玉の裏と表で、同じことです。


 もう一つは、日本は低金利にしなければならない。日本が低金利だったら、お金を預ける側は日本にはお金を預けないです。そうなると円が安くなるんです。


 円高にすることと、金利を低金利にすることは、両立できません。全く矛盾することなんです。しかし日本はこの二つを同時にしなければならないことになった。こういうことを時の中曽根内閣はやるんです。非常に経済にいびつな矛盾が走るんです。低金利にするのは、アメリカが日本からお金を借りているからです。

 では銀行預金の金利が10%であったのが5%になったら、財布を預かっている日本のお母さんは、銀行預金に魅力がなくなります。

 銀行に預けたってどうせ半分しか利息つかない。そしたら他の金融商品がいい。それで株に行くんです。銀行金利は本当は5%もないです。2%ぐらいです。5%が2%になったんです。

 今だったら高いけど、ふつう金利は100万円預けたら、1年後に105万ぐらいになるのが通常ですね。5%ぐらいはあった。それが2%になったら、たった2万かという感覚です。それくらいだったら、株のほうがよっぽどいま上がっている。それで火がつく。これは100万の金持ちの場合です。では1億円の金持ちはというと、株よりもドカンと土地買っておけば上がるぞ。株と土地です。


 こうやって銀行預金からお金が流れていく。低金利で利息がつかないから、株と土地にお金が流れていく。これが1980年代半ば、庶民に至るまで起こったことです。


 そして密かにうわさされる。あの人株で儲けた、あの人土地で儲けた、5000万儲けた、そういう話ばっかりになる。これは不労所得です。そうなのか、自分もやろうとなる。日本ではこういう雰囲気が醸し出されてバブルになるんだけれども、ドイツは違う。


【ドイツ】
 ドイツはその前から、自分の通貨構想を考えている。ドイツは日本と全く違って、口ではハイといいながら協力しない。ドルとは別の通貨を自前で作ろう。自前で作ることができたら、アメリカも文句を言わないだろう。ドルがアメリカの自前の通貨なら、このあと出てくるユーロもヨーロッパの自前の通貨で対等じゃないか。ちょっと考えるスケールが日本と違う。

 日本は金利を下げてバブルになるんですけれども、ドイツはちゃんと金利を適正に引き上げていく。少なくとも落とさない。経済理論に合わないことはしない。経済理論に合わないことしたら、あとでツケが回ってくるんです。これが日本のバブル経済です。


【中国】
 ただもう一つ、その間に説明しにくいと言ったのが、中国の人民元です。

 中国は1970年代からアメリカと国交を回復する。レーガンの1980年代になると、中国の人民元はどんどん切り下げられて安くなっていく。


 今やってるのは1980年代です。相場は上下するんだけど、1980年からぐっと円が上がっているでしょう。これはドルが安くなったからです。ドル安です。ドルが安くなったなあ。でも甘いです。人民元はもっと安くなっている。


 今の中国が輸出企業で儲けてるというのは、こういう準備があるからです。中国はなぜあんなに驚異的に発展するのか。本当に信じられないぐらいに発展した。当時マスコミはあまり報道してなかったですけど。
 とにかく人民元は安くなって、次の1990年代になると、日本にどういう店が出てきたか。一気に百円ショップができた。日本製で千円するものが、10分の1ぐらいで買える。ほとんど中国製です。脅威的な安さです。日本製品と比べると質は落ちるけど十分利用できる。そのぶん日本の製品は売れなくなる。これは為替が原因です。

 ここまでで終わります。ではまた。














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