Schreib mal wieder!

自分の感じるままに...それがクレームと言われても

Professional

2011-01-01 23:59:59 | Weblog
 
今年は何年かぶりに紅白を見た(2年生の息子にとっては初紅白だったみたいだから、どれくらい見ないか、おわかりいただけるでしょう)。

セットの作り方や歌手の選ばれ方がかなり変わったなという印象を受ける。ちょうどニュースが終わった後半の頭から見たんだけど、なんだか巧いカラオケを聞いているようで、本当に聴かせる歌手がなかなかいないなぁと思う中、植村花菜が出てきたのにはびっくりした。

「えっ、ほんとにこれ歌うの? フルコーラス9分45秒だよ」

思わず家族につぶやいた。

「でもこの曲はカットできないよ。飛ばしたらおかしくなるから」
「どうするんだろうね...?」

と話しているうちに曲が始まった。間奏を飛ばして間を持たずに大急ぎで歌っている。ぎりぎりの選択だったんだろうな。この曲を歌わせる決断をしたNHKにとっても英断だったろうけど、一方で曲を削っても、植村さんはおばあちゃんのためにこの舞台で歌いたかったんだろう...フルコーラス歌うために間奏を切るのはぎりぎりの妥協だったんではと、まったく何も知らないけれど、勝手に想像して、その気持ちに感じ入った。

有線で流れるのを聴いて、Youtubeで何度か聴いた曲。それを生で、間奏を詰めているとはいえ、聴いて涙が出た。テレビのこっち側でもこれだけ伝わってくるのだから、会場の空気は完全に変わってしまっていただろう。その証拠に審査員たちの目が明らかに赤かった。

曲が終わり、次の場面に進行しようとするそんな中...

曲を受けてつなぐ総合司会の阿部さんが、完全に曲一色になっている会場の空気を壊すことなくしっかりと受けとめながら、ほんの一瞬でペースを見事に切り替えた。

実際にはほんの数秒の出来事。本当に優しくそのまま受けとめた後、絶妙な間を持って、そのまま空気を切り替え、審査員のひとりに感想を求めた。

もしも阿部さんがあの空気のまま審査員に振ったら、審査員は泣きながら感想を言わざるを得なくなったろう。もちろん目には涙があったけど、うまく切り替えていたので、振られた審査員も明るく感想を言える空気を作り出して、次につなげていた。

これぞプロの技...。トイレの神様にも泣けたが、この阿部さんの深さに心動かされた。

「この人って、総合司会? NHKの人?」
「何年か連続で総合司会だって見たような気がするよ」

さっそくネットで調べると昨年に引き続きだそうだ。単にアナウンサーとは言いたくない。話すのを聴いていて、声の幅、深みがすごい。

きっとほとんどの人は気にもしないだろうけれど、僕はこの紅白の中での陰のMVPだと思った。とくに松下奈緒と嵐がぶつ切りのつなぎをする中、このプロの技には鳥肌が立つぐらい感動した。

自分もこれくらいの、ファシリテーションができたら...そう思った。


※1 オリジナルは9分50秒とのこと。この曲が選ばれた段階でかなり話題になってたんですね。今検索して知りました。
※2 NHKオンデマンドで210円出してもう一度このシーンを見ました。拍手が鳴り止まないうちにしっかりと受けとめ、間を作って声の調子をがらっと変えて審査員へのインタビューに移ってました。あの空気の中、拍手の途中で言葉を挟めるのがすごい。

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