Schreib mal wieder!

自分の感じるままに...それがクレームと言われても

『機長の「失敗学」』

2009-11-25 23:48:09 | 読書
 
『機長が語るヒューマンエラーの真実』を読んで、前著を読んでみようと思って、図書館で借りてきた。

ケースを中心にどうやってそのケースから教訓を得て、再発防止につなげるかという視点で切々と書かれている。JAL123便の御巣鷹山事故にも現役の同機種の貴重として正面から向き合い、どうすれば犠牲者の尊い命を次に同じことがあるいは同じようなことが起こったときに生かせるかを述べている。

「殉職したクルーに失礼」という同僚からの批判にも負けずに、真摯に事故を教訓として生かそうとするその姿勢は、これぞあるべき姿だと感じる。そういうプロフェッショナルとして物事に向き合う姿勢、そしてどんなことがあっても絶対に諦めないという姿勢は、大きな共感を覚える。

飛行機好きの人(どちらかというとマニアか)は、その姿勢と共に内容もかなり専門的に書いてあるので、楽しめると思う。


機長の「失敗学」
杉江 弘
講談社

このアイテムの詳細を見る

『機長が語るヒューマン・エラーの真実』

2009-11-18 23:46:27 | 読書
 
CRMは万能ではない...クラスの中で堂々とこれを紹介している僕にとっては衝撃的な意見がいきなり冒頭で述べられている。でも実際に読み進んだら、確かにそのとおり。そもそも知識を持っていない副操縦士にCRMを実践させても、何も出てこないという話だ。

自分がやっているコミュニケーション、ヒューマンスキルの研修にしても、そのスキルは触媒にはなっても、そこに戦略やそれを実現する実力がなければ、残念ながら何の意味もない。そこを勘違いして、これさえやれば何でもうまくいくと思うのはまさに錯覚である。

著者はCRMに反対こそしないが、その前に改善すべきハード面、ソフト面の課題がまだまだ存在している点を指摘し、CRMを錦の御旗ように扱うことに異論を唱えている。いろいろな事故の事例が専門的に、でもわかりやすく書かれていて、3次元の中であらゆることに気を配りながら、いかに平衡感覚を維持することが難しいか...だからこそ、パイロットの負担をいかに軽減するかをハード、ソフト両面で考えていくことが安全につながる主張は、まさにそのとおりだと思った。

こういう安全理論、理念は、私たちの業務にも応用できる面があると思った。もうすこし真剣に業務プロセスを考えたら...相当変わるだろうなぁ...。

機長が語るヒューマン・エラーの真実 [ソフトバンク新書]
杉江 弘
ソフトバンククリエイティブ

このアイテムの詳細を見る