赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

中国は、対米・対日工作に失敗した コラム(429)

2022-06-11 11:55:29 | 政治見解


コラム(429): 中国は、対米・対日工作に失敗した


久々にトランプ前大統領が話題になりました。


反トランプ・キャンペーンは中国の工作

2021年1月6日に起きた米連邦議会襲撃事件、米民主党主導の下院特別委員会は9日公聴会を開催し、トランプ前大統領の責任を追及しました。公聴会は今月計6回開催予定で、初回の9日は、全米で最も多くのテレビ視聴者が見込まれる米東部午後8時から開催しました。ほとんどの米主要ネットワークが生中継しましたが、これは、米民主党が11月の中間選挙に向けて世論を喚起する狙いがあったためだと言われています。

日本のメディアも、この公聴会について一様に大きく取り扱っていますが、トランプ嫌いのNHKを筆頭とするメディアは「それ見たことか」とばかり解説を加えて報道しています。

一般に日本の国内世論では、トランプ嫌いがやや優勢のように見受けられます。これは、多くの人がトランプ嫌いのメディアに誘導されているからですが、メディアが作り上げた「民主主義の破壊者」としての人物像が印象付けられたためで、覇権主義の中国に対して厳しい対応をしたことはほとんど忘れ去られているようです。

なぜ、そこまで悪いイメージがトランプ氏に付与されたのかと言えば、明らかに中国の工作ということはおおよそ察しがつくと思います。


中国の世界支配を阻止したトランプ氏と安倍氏

オバマ政権時代、中国は札束の力でメディアを支配し、その範囲をハリウッドまで広げました。メディアには中国製品の宣伝であふれ、映画のエンディングロールには中国企業の名が連なりました。中国お得意の経済的、あるいは思想的な侵略が米国でも行われていたのです。

時には、「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」としてハワイから西を中国が支配したい旨、国家主席になったばかりの習近平氏が当時のオバマ大統領に伝えた厚かましい言葉を思い出す方もおられるもしれません。それほど当時の米国は、世界の警察官、世界一強から衰退の兆しを見せていた時期だったのです。

そんなとき、オバマ後継で中国の代理人になろうとしていたヒラリー・クリントン氏を破って当選したのがトランプ氏でした。「アメリカン・ファースト」を掲げ、強い米国の復興に全米が沸き立ちましたが、それは同時に中国依存からの脱却を意味していました。

しかも、トランプ氏の考え方とうまく合致したのが、同じく中国の影響力を排除しなければならなかった日本の安倍首相(当時)で、両者は中国の覇権主義排除という共通の利益のために手を結びました。以降この二人の強固な結びつきが、中国の野望を打ち砕くことになります。

後世の歴史の教科書には、この二人の連携プレーが高く評価されることになると思います。あのままだと世界中が中国の覇権主義、圧制と抑圧のもとに置かれることになっていたからです。


アンチ・キャンペーンは成功しても「親中」は取り戻せなかった

したがって、中国にとって最大の憎むべき敵はトランプ・安倍の両氏になります。中国は、日米国内のそれぞれの手先のメディアや文化人を動員して、すさまじい反トランプ、反安倍キャンペーンを行いました。

そのほとんどは言いがかりでした。トランプ氏のアメリカン・ファーストは保護主義と批判され、対中関税強化は「世界経済に悪影響を及ぼす」、「米中の軍事衝突は避けられない」などと叩かれました。一方、安倍氏は安保法制が施行された半年後に森友問題で朝日新聞からバッシングされました。いずれも中国を封じ込めようとする両氏をつぶすために中国側が仕掛けた戦術だったのです。

これらのバッシングは確かに有効でした。米国では世論を二分するほどの激しい大統領選挙が行われ、トランプ氏は落選しました。日本では、連日、安倍たたきがアベガー論者の手で行われ、安倍政権下の国会はほとんどその一色となりました。その影響か、後に安倍氏は持病の悪化で首相の座を降りざるをえませんでした。その意味で中国は、最大の宿敵を政治の表舞台から去らせることに成功したと言えます。

しかし、その後の米国は中国に融和的と見られるバイデン政権に代わっても反中姿勢は変わりません。日本も中国寄りの宏池会出身の岸田首相になっても反中政策は変わりません。両者とも中国やメディアの予測に反して、中国封じ込めの姿勢に変更はありません。その上に、両国国民の殆どが反中意識が高いのです。

これは中国の戦術ミスです。反トランプ、反安倍でキャンペーンを貼ったのはいいが、キャンペーンそのものに力点を置きすぎ、悪口を言いすぎ、「親中」を取り戻すことを忘れていました。悪口の言い過ぎは自分の味方をも遠ざけますし、まして、一般の人なら、悪口ばかり言う人は敬遠されるという事実を知らないようです。

しかも、アンチ・キャンペーンは携わる人だけは盛り上がるのですが、一般人には盛り上がる材料とはなりません。中国人の感性と、米国人、日本人の感性の違いを理解していない中国の愚かさがここに出ました。

結局、両者へのアンチ・キャンペーンでは、これまで長年にわたって心血と莫大なお金を費やして築いてきた「親中」の機運を通り戻すことができないばかりか、最終的に「反中」の機運を一層高めたことになったと考えられます。

さらに、現在では、アンチ・キャンペーンの主役は両者とも表舞台にいません。おかげで、中国とその手先の工作員の振り上げたこぶしは、今は空を切るしかありません。日本でもアベガー論者に勢いがないのはそのためです。所詮、アンチ活動とはアンチの対象者が存在してこそ成り立つもので、生産性のないものだけにむなしいものなのです。


今回のトランプ報道を見て、私には、改めて、中国と、中国の工作員となったメディアの愚かさを実感するものになりました。日本のメディアもそろそろ、智慧のない中国とは一線を画した方がいいと思います。



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