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米印接近の意味するもの :230711情報
最近、国際情勢のパラダイムシフトを加速させる出来事が起こりました。
アメリカとインドの接近です。インドはご存知のように国連のロシア非難決議に加わりませんでしたが、これはインドの武器の調達元が主にロシアであることが大きな理由だったわけです。しかし、アメリカから防衛協力を得られるのであれば、ロシアから滞り始めている武器の調達を補うことができるのです。この意味するところ、国際情勢に大きな変化をもたらすことは明らかです。
この米印の接近を受けて世界はどう動くのでしょう? これで、本当に、中国とロシアを抑え込むことができるのでしょうか? 台湾独立運動家にはこのパラダイムシフトがどう映っているのかを解説していただきます。
■台湾人観点でみる米印接近
6/22、インドのモディ首相が訪米し、バイデン大統領と共同声明を発表しました。台湾人としての観点から見れば、この共同声明には非常に重要な4つの進展があったと思います。
①戦略的パートナー
インドとアメリカは「戦略的パートナー」となって宇宙関係から半導体、AI、量子技術、クリーンエネルギーに至るまで、技術開発を共に進めていこうとしています。アメリカが他国とこのように広範囲の分野で共同開発をした前例はほとんどありません。
②国防協力
アメリカは優れたジェットエンジンの技術を持っていますが、未だかつて同盟国にさえもその技術を移転したことはありません。しかし今回、この技術を移転して、インドでも作れるようにしたのです。さらに、アメリカの軍艦の修理と整備点検をインドで行うという取り決めも交わされました。これはアメリカとインドが情報共有をするということであり、よほどの信頼関係がないとできません。
③地域安全保障の協力
モディ首相が立ち上げた地域安全保障の組織:インド太平洋海洋イニシアティヴ(IPOI)にアメリカが加入しました。国際的な組織にアメリカが入るか否かというのは、天と地ほどの差があります。NATOを見てもわかる通りアメリカがいるだけで一気に強い組織へと変貌するのです。
④サプライチェーンの確保
サプライチェーンは中国に握られてきましたが、今回の会談を経て、それを徐々に断ち切る流れへと向かっています。
■なぜ、今、インドなのか?
アメリカが見込んだインドの強み、それは6つあります。
① 中国を抜いて、最大の人口をもつ。それも高齢層が多い中国と違い若い世代が多いのが強みです。
② 民主主義の国である。アメリカから見ると同じ民主主義の国なので価値観も倫理観も一緒です。であれば、インドの方がより信頼できるとなるわけです。
③ 反中国国家である。いち早く中国との貿易依存を一掃したのがインドでした。
④ 優れた理工系の人材が多い。シリコンバレーにもインド人のエンジニアや医者が多くいます。
⑤ 英語圏の国であること。英語が通じるというのは非常に大きな強みです。
⑥ 世界で5番目の経済大国。アメリカ、中国、日本、ドイツに次いですでに5位。これからもまだまだ成長の余地があります。
これらはインドの大きな強みと言えるでしょう。
■米印接近が世界にもたらす影響
では、米印接近は具体的にどのような影響をもたらすのか? まず大きいのは今までインドが消極的で未完成だった「インド太平洋戦略」が完成することです。これにより、インド洋を中心に東南アジアからアフリカまでの一帯にアメリカの勢力が入ってきます。
すると、中国が進める「一帯一路」政策の「一路」を切断することができます。さらに、インド洋にアメリカが入れば、そこを通る中国のエネルギー調達のための海路、いわば中国の生命線が常にアメリカに握られることになるのです。
また、インドは人口も多く、マーケットの大きい国です。インドと中国は競争関係にあるので、インドが強くなれば、当然中国が弱くなります。
米印の協力によりこれからインドの産業がさらに発展していけば世界で脱中国化がさらに加速し、中国は弱体化していくでしょう。
国際情勢のパラダイムシフトとも言える今回の米印接近。我々がこの歴史の大変動に参加できるということはある意味でラッキーなことなのです。
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