赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

ロシアの戦争継続能力を支えるLNGの輸出

2024-04-12 00:00:00 | 政治見解



ロシアの戦争継続能力を支えるLNGの輸出 :240412情報


昨日はアメリカの石油とLNGの輸出が極めて好調というお話でしたが、ロシアのLNGの輸出も極めて好調であり、戦争継続能力も残念ながらしっかりしているという情報です。

特にヨーロッパの国が大量に買っています。ヨーロッパの国々は石油をタンカーで輸入するのは駄目だけど、LNGの輸入はやっているのです。国際政治学者の解説です。



EU向けの1月のロシアのLNG輸出量は160万tとなっていて、2022年1月に比べて31%増えたそうです。

2022年1月というのはロシアのウクライナ侵略の前の月ですが、そのときより30%も増えています。また、2023年12月には、単一の月としては最高の180万tをロシアはLNGをEUに輸出しているということです。過去の単一の月としては最高で国別で見ると、フランス・ベルギー・スペインが多くなっています。フランスは原発を相当やっていますが、それでも足りなくてLNGをロシアからも買っているということです。

さらにヨーロッパのことを簡単に言いますと、ベルギーとスペインは脱原発を決めています。そして脱原発を達成した国がドイツとイタリアです。

ところがイタリアの方は、メローニ政権が原発を復活すると言っています。メローニは立派なイタリアの愛国者で、私が民主的なナショナリストと呼ぶ人間の1人ですが、エネルギー政策については混乱していると言って良いでしょう。

彼女は今の目先が苦しいから1回止めた原発を再度復活させようとしているのでしょうけど、ものすごく高い値段で新しい原発を作って、非常にコストの高い電力をイタリアが使わないといけないということになります。その安全性も非常に疑わしいということです。その点で言うと得な政策ではありません。

エネルギー政策が狂ってしまうと、他の政策まで狂ってきます。そして、原発を復活させたら基本的に二酸化炭素排出量削減という地球温暖化CO2神話を信じているイデオロギーに洗脳されていることになるのです。メローニ自身の政策を見ても良い人だと思いますけど、エネルギー政策には難があります。

ハンガリーのヴィクトール・オルバン首相の政策も良いけど、中国に甘すぎる点があるのです。彼は中国に対して幻想を持っています。中国がハンガリーにEV工場を作ると言っているのです。この電気自動車工場は大失敗に終わると思っています。

1番目として現時点で中国自身、ハンガリーへ大規模に投資する外貨がないのではないでしょうか。2番目として中国のEV自身が世界的に売れなくなっています。中国のEVは粗悪品であるため欠陥車が多いですから、性能において劣るという言い方をした方が良いでしょう。

それをいくら作ってもヨーロッパで飛ぶように売れることにはなりません。それから大量のチャイニーズがハンガリーに入ってくると、多くの治安上の問題を起こすわけです。中国の警察官をハンガリーに呼んで、ハンガリー国内を共同パトロールするという、のんびりしたことをオルバンが言っていますが、彼は中国の実態が見えていません。現実的に遠いヨーロッパの人は中国の怖さをわからないのです。

かつてのイタリアもチャイニーズ・ウェルカムと言ってマルコポーロ計画において、大量のチャイニーズを国内に入れて大失敗しています。そこから今のイタリアは方向転換をしているのです。ところがハンガリーの方は酷い目にも遭ったことがないし、中国は遠い国ですから、その怖さを理解していません。

日本にいる我々もイスラム過激派のテロリズムに対する警戒感がそこまでないですが、中国の脅威は日々感じています。その逆のことがヨーロッパで起きていて、景気が良かった頃の中国幻想があるようです。ヴィクトール・オルバンも馬鹿な政治家ではないので、そのうちEV計画を悔いて必ず対中国政策を改めるだろうと思っています。

こういった形でロシアのLNG輸出も全く滞っておりませんので、ロシアが戦争を継続するスタミナは十分にあるということです。ロシアのウクライナ戦争継続能力ありということになると思います。

ロシア産の既存のLNG事業からの輸入は経済制裁の対象にはなっていません。新しい事業をやろうとなると、それは問題になります。それからパイプラインでの輸入はノルド・ストリーム1も2も破壊されてしまったので、それはできないという状態です。しかし、LNGというより高い形にして輸入しているので、ヨーロッパとしては非常に依存しています。その輸入を止めることもできないという現実があると言って良いでしょう。



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