赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

経済学の基礎知識——資本主義における富の拡大方法

2023-11-26 00:00:00 | 政治見解



経済学の基礎知識——資本主義における富の拡大方法  :231127情報


——資本主義では、富は拡散して社会的に働かせる、すなわち投資されないと、絶対に増えない仕組みになっているのです――

資本主義における経済の原理を、国際経済学者に語っていただきました。ご覧ください。



経済をよくするにはどうすればいいのか?

皆さん、経済学というと「お金の話ね」と思いますね。しかし実は経済学において、お金というのは重要ではないのです。経済の中心はお金ではない。本質的には「どうでもいい」問題なのです。そのことが分からないと経済を理解することはできません。

では、それを理解するために、お金の持つ役割について考えてみましょう。お金の持つ機能のなかで最も重要なのが、「交換の媒体 (道具)」です。他にも「価値を測る尺度」とか「富を保存する手段」という役割もありますが、この2つはインフレやデフレになると機能しません。

今、手元に100万円あるとします。でも、インフレ が起きて80万円の価値しかなくなってしまったら、価値を測る尺 度としても富を保存する手段としても使えませんよね。

しかし、「交換」ということであれば、いつでもお金は役割を果 たせます。つまり「交換の媒体」というのがお金の最も本質的な役 割なのです。

となると、もっと大事なものが出てきます。お金と交換する「モノ」のことです。このモノのなかには「サービス」も含みますが、とにかく何か欲しいモノがあって、お金と交換するわけですから、一番 重要なのは「モノ」でしょう。

同じく経済を考えるときに一番重要 なのも「モノ」なのです。そして、有用で必要な「モノ」(経済学 では「財」と言います)を豊富に供給するのが、豊かな経済を作る ということの根本なのです。

お金が大事だと考えると「政府が財政赤字で大変だ」など、本質から外れた議論になりがちです(財政赤字は問題ではありません)。でも、お金は手段だということが分かると、物事を解決する道筋がもっとハッキリと見えてきます。


不況と貧困を解決する一番シンプルな方法

資本主義の問題というと、よく「格差」が挙げられます。しかしこれは少々語弊があって、格差自体は問題ではないのです。お金持ちが超大金持ちになったとき、貧しい人の生活も一緒に上昇していれば、問題にはなりません。問題になるのは、お金持ちの所得は上がっているのに、貧しい人々の所得は下がって、もっと貧しくなってしまうとき。つまり、本当の問題は「貧困」です。

貧困が生まれる原因は不況です。では、なぜ不況が生じるのか。最も大きな原因は、「過剰生産」(言い換えれば「過少消費」)なのです。 資本主義には消費に対して生産が過剰になる傾向がある。

1929年の世界恐慌を考えてみましょう。

ヨーロッパは第1次大戦で壊滅的ダメージを受け、工業生産力はぺしゃんこでした。一方 でアメリカはローリング・トウェンティーズの時代。好景気で皆がダンスに興じる余裕があった。ヨーロッパの代わりにアメリカがどんどんモノを作って売っていたからです。

しかし、20年代、ヨーロッパの生産力も次第に回復してきます。 すると、今度はモノの生産が過剰になります。工場は閉鎖され、失業者が生まれます。これが大不況の始まりです。世界恐慌の原因は極めてシンプルなのです。

そもそも人間は創意工夫をする生き物です。去年10人でやって いた仕事が今年は9人で済む。技術革新です。それをずっと10人 で生産していたら、どんどん過剰生産になります。

ではどうすればいいのか。答えは明快で、需要を拡大させればいい。政府が市場経済に介入して需要を増やし、生産と消費のバラン スを取ることを提唱したのがケインズです。構造的な不況や貧困を 解決するカギは、需要拡大なのです。


「富の拡散」から見える資本主義の原理

ここ30年ほど、日本も含め世界の先進国で中産階級が貧しくなるという現象が起きています。なぜこうした現象が起きているのかというと、先進国から発展途上国へと富が拡散しているからです。単純に言えば、労働賃金の安い発展途上国に仕事が流出している。

Appleはアメリカの企業ですが、製品はほとんどチャイナで作られています。つまり、先進国ではなく、チャイナにお金が落ちている。貧しかったチャイナがこの20年でどれだけ豊かになったかを見ると、その威力がよく分かると思います。

実は資本主義には、よく言われる「富の集中」だけでなく、このような「富の拡散」の原理もあるのですね。先進国の労働者は、賃金が10分の1の発展途上国の労働者と競争をしないといけないの で、明らかに没落していきます。しかしその一方で、貧しい国ではよい仕事が回ってきて、賃金が落とされ、豊かになるチャンスが与えられます。

ここから見えてくるのが、資本主義では必ず投資をしないと富は増えないという原則です。例えば、私が非常に貧乏な発明家で、何かすごい仕組みを発明したとします。そこでお金を借りて工場を作リ、雇用を生み出し、儲けたお金を社会に供給する。

つまり、今お金を持っている人のお金を利用して私を含む関係者全員の懐が潤うので、これは間違いなく富が拡散しているわけですね。

工場を作るためにお金を借りるのも投資の一種です。これは間接金融と言います。もう一つは株式を発行することで、こちらは直接金融と言います。資本主義では、富は拡散して社会的に働かせる、すなわち投資されないと、絶対に増えない仕組みになっているので す。



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