赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

ウクライナ③—ウクライナ休戦のシナリオ

2023-09-26 00:00:00 | 政治見解



ウクライナ③—ウクライナ休戦のシナリオ :230927情報

ウクライナ戦争、正直な話、ロシアが優勢なのか、ウクライナが優勢なのかまるでわかりません。メディアではロシア不利といっているのですが、意外にしぶとい。現に、ロシアがウクライナ戦争につぎ込んだ費用、1670億ドル(約24兆6500億円)を超えてしまうとの話もあり、経済も原油高で好調のようです。一方、ウクライナは反転攻勢をかけていると言ってはいても欧米の援助なしには戦争が継続できません。

要は、落としどころが見えない状況といっていいのかもしれません。

ある国際政治学者は「私は朝鮮戦争型の休戦方向へと今年の冬に向かって動くのではないかと思っています。」と語っていますので、その辺の真相を明らかにしてもらいたいと思います。



秋までは戦争ができますが、雨が降ってきて泥濘地が多くなるとウクライナで戦争ができにくくなり、冬になって寒くなっていってしまいますと道も凍ってロシア側もウクライナ側も両方とも軍隊が動きにくくなるでしょう。その頃に向けて休戦協定・停戦協定の話が出てくるのではないかと思います。

朝鮮戦争型の休戦というのは、明確な和平条約ではなく戦争をやめて、この条約に基づいて講和・和平・平和の時代に戻るというものではありません。一時的な「撃ち方止め」と言われる休戦です。これは双方が疲れ切って停戦するということなので、まさに朝鮮戦争型と言えるのではないでしょうか。

ロシアからすると、あと一段は攻めるために都市の名前で言うと「オデッサ」を陥落させて、ウクライナを内陸国にして黒海の出口を封鎖してしまうことをやりたかったのでしょう。しかし、そこまでの力がなかったのです。

それからウクライナ側にしても多くの新兵器として、特に戦車などを西側諸国から供与してもらって反転攻勢を6月から仕掛けているのですが、一向に功を奏していません。これではロシア軍の全てをウクライナの領土から追い出すことは無理です。

結局のところアゾフ海沿い周辺のクリミア半島に繋がるところは、ロシアが未だに自分たちの占領地を確保しています。現在もロシアから直接クリミア半島にまで行ける状態です。そうなると、その周辺を全面的にウクライナが奪還するのは難しいでしょう。特にドンバス地方というロシア系住民が多いところの解放までは無理だと思います。

このような戦況から現占領地を認めたままの休戦・停戦ということになるのではないでしょうか。ウクライナの情勢を詳しく見ておきますと、ウクライナがだんだん戦争をやりにくい状況になっています。

これは小さなニュースだったのですが、非常に大事だと思いました。8月11日にウクライナのゼレンスキー大統領が全国の徴兵責任者を全部解任したのです。

各州の軍事委員会が徴兵する人を決めるわけですが、なぜ解任させたのかというと汚職が蔓延しているからです。要するにお金をあげるから私を徴兵しないでほしいという「徴兵逃れ」の贈収賄が蔓延しているということで、全国の軍事委員会の責任者を全部クビにしました。

非常に戦争がやりにくい状況に国内的にもなっており、ウクライナの兵隊の多くは勇気を持って祖国のために命を懸けて戦った人たちもいます。しかし一方で金を払って逃げよう、あるいは軍事委員会の人間から言うと賄賂をもらって、徴兵逃れをやる人間がいるのです。このような背景からも総力戦でウクライナが戦えている状況ではないということになります。



ウクライナ関連として、アメリカの「ポリティコ」という政治紙が報道していて、その他複数のメディアがそれを確認しておりますが、ウクライナと取引のある国際貿易をやっているイギリスの複数の銀行と企業の話です。

英国企業のA社という会社がウクライナで商売していて、銀行の方がウクライナと商売しているとマネーロンダリングとかやっているのではないかという疑惑が持たれることから、銀行口座を閉鎖すると通告されている企業がいっぱい出てきました。

英国銀行がウクライナ関連取引のあるイギリス企業の口座を閉鎖しているということです。これはイギリスとウクライナの経済関係を強化している団体のトップが、イギリスの財務大臣にこういうことが起きてウクライナがピンチになって困っているという手紙を書いて明らかになったのです。

イギリスの普通の銀行からすれば、ウクライナというマネーロンダリングやタックスヘイブンなどのダーティーなことを沢山やっている国の企業と付き合いがあると、結局イギリスの銀行自身がマネーロンダリングに協力したことになって、今度は自分が罰や制裁を受けることになってしまうから、それを嫌ってウクライナ企業と取引のあるイギリス企業の銀行口座を閉鎖することが起きているのです。

これもウクライナからすれば非常に戦争がやりにくくなってきていると言って良いでしょう。

さらに、ウクライナ関連の話題として、8月16日にドイツ政府が国防支出を見直すという話がありましたた。これも地味なニュースとしてロイター電が8月16日に伝えているものですが、かつてドイツ政府はアメリカのトランプ大統領からGDPの2%を国防費に充てるということを言われて、これはNATO(北大西洋条約機構)のお約束であるということで了解して、現ショルツ内閣も承諾していました。

しかし、毎年必ず2%を充てる約束は守れないと言ってきて、連邦政府がその文書を予算案の草稿から削除したということです。必ず毎年最低2%出すと言っていたのを5年平均で2%程度にするという曖昧な文句にしたということです。

明らかにこれ以上ウクライナ戦争にお金を出したくないという間接的な意思表示でしょう。やはりウクライナとしては非常に戦争がやりにくくなってきているというところが伺えます。




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