赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

Ⅱ.やはりあった半導体バブル 

2023-06-05 00:00:00 | 政治見解



Ⅱ.やはりあった半導体バブル :230605情報

昨日に引き続き、『猫組長TIMES』からの転載です。


世界のトッププレイヤーと国内主要企業

ロジック分野においてはインテルが設計・製造を手がけ最大のプレイヤーです。工場をもたない中では冒頭紹介したエヌビディアはAI関連の半導体製造のトップといえます。そして、工場をもつ企業としてはTSMC(台湾積体電路製造)が最大規模です。日本・米国にも新設工場があり世界に半導体を供給しています。

メモリ分野は電源供給がなくても記憶を保持できるNANDと記憶には電源の供給が必要なDRAMに分類されます。いずれも扱うサムスンは最大のプレイヤーとなり、マイクロンやシンデン・ハイテックスが続きます。NAND分野ではキオクシアも目立ちます。

その他、規模が大きいところではセンサにはソニーが、アナログ半導体にはテキサス・インスツルメンツがあります。

では、日本企業はどのような位置にいるのでしょうか。現在、日本に強みがあるとされているのは「半導体装置」と「素材」の分野といわれています。半導体の製造そのもので日本は後塵を拝していますが、日本企業は素材では56%、製造装置では32%の世界シェアをおさえており、日本メーカーしか作っていないという製品も少なくありません。(参考:半導体市場における日本のシェア)

製造装置分野には世界売り上げ3位の東京エレクトロンを中心に、各工程で日本企業も活躍しています。前工程においては、不二越機械工業や荏原製作所は研磨関連の装置、芝浦メカトロニクスは洗浄装置を提供します。後工程においては、加工装置を提供するディスコ・東京精密、テスト装置を提供するアドバンテストが国内企業として有力です。

また、素材分野では半導体の大元になるウェハーを提供する信越化学工業・SUMCO、回路の製造工程で利用される重要素材フォトマスクを製造する大日本印刷・凸版印刷・HOYA、その他、レゾナック(昭和電工マテリアルズ)などが活躍しています。


米中の覇権争いも過熱

最後に、今後の半導体市場を展望するにあたっては米中の覇権争いについても考えておくおくべきでしょう。


米国はバイデン大統領のもと国策として半導体産業の振興をはかります。昨年成立したCHIPS法を受けて、国内への投資に加えて、対中国の動きも強化されています。アメリカは現在中国を戦略的競争相手と位置付けて先端技術を渡たさないよう輸出管理を強化しています。(参考:米国で盛り上がる半導体産業の振興と輸出管理)

一方で、中国もまた対抗し、今月21日には米国マイクロン社製品を情報インフラに利用するること禁止しています。同社売り上げ高のおよそ1割が中国市場によるものといいます。(ロイター)

このような中、日本はアメリカや台湾との連携を強化していく流れができています。G7サミットにあわせて行われた会談でマイクロン社は日本政府からの財政支援を前提に最大5000億円の投資計画を発表しました。(ロイター)その他、インテル・TSMC・サムスンなど主要な半導体プレイヤーも来日し連携強化や追加投資に関する議論が行われています。

同会合に出席していたベルギーの研究開発機関「imec(アイメック)」との連携を行うラピダスは昨年8月にトヨタ・ソニー・ソフトバンクなどが出資し設立されています、政府は先月追加の助成を決定し、3000億円以上の支援を行い力をいれています。(ブルームバーグ)

米中の対立の中で、台湾や韓国の既存プレイヤーが利するのではなく、日本企業がどう立ち回るのかも引き続き注視していきましょう。


(了)




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