赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

続・プリゴジンの乱

2023-07-04 00:00:00 | 政治見解



続・プリゴジンの乱 :230704情報


ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者プリゴジンが起こした反乱は、1日で終結したものの、世界に大きな衝撃を与えました。

プリゴジンの乱の最大の特徴は、プーチン政権の「裏方」であるワグネルが表舞台に出てきてしまったというロシア国家の構造的な変化にあります。いわば、プーチン政権を陰で支える存在であった893の親分が不満を募らせて一気に表舞台に登場し、プーチン政権の屋台骨をゆるがせようとした点が、何かを物語っているわけです。

同時に、このことは、ロシア政府が傭兵業を違法であるとする刑法の規定を変えようとせず、ワグネルもその他の民間軍事会社も存在しないと言い張って、その存在さえ認めていなかった事実が白日の下にさらされてしまったことをも意味します。

プーチンとプリゴジン、今後どうなるかは時間の経過が必要ですが、国際政治学者の目にはプリゴジンの乱がどう映っているのかを解説していただきました。



プリゴジンがプーチン批判を始めた理由とは?

プリゴジンの反乱ですが、彼は2014年ぐらいからワグネルという民間軍事会社を作りました。これはプーチンの側近で、普通の軍隊にはできないような荒業をやるということで、海外でもロシアの国益を代表するような形で動くし、このウクライナ戦争でも活躍してきました。

プリゴジンは元々、犯罪歴のかなりある人です。ですから、表から見ればオリガルヒであり、裏から見ればロシア流のマフィアというような人物。そして、軍隊としては正規軍より強いので、ウクライナ戦争で活躍したのは事実です。

激戦地において、ウクライナ側にどんどん攻め入っていくときはまずワグネルが先陣を切っていきます。そして彼らが占領したところを正規軍が来て管理する、という感じでした。

また、このプリゴジンの権力源は何かというと、プーチンにまず近いこと。プーチンの料理人と言われ、レストラン経営でも成功。プーチンが外国の国賓を連れて行くような、レストランの経営者でした。その延長線上で、この民間軍事会社を組織したのです。

このように、彼の権力源の一つはプーチンとの距離の近さですから、プーチン批判は今までしてこなかったのです。ですが、国防大臣や参謀総長のことは散々悪口を言っており、ワグネルのところには弾薬が届かない、武器が届かない…ひどいではないか、と悪様に批判しました。

しかし、5月9日、明らかにそれとわかる形でプーチン批判をやってしまいました。直接プーチン大統領とは
言っていないのですが、「おじいさんは」という言い方で頭がぼけているようなことを言ってしまったのです。これは一線を越えたと言えるでしょう。

そして6月13日、ロシアの国防省がワグネル潰しの命令を出します。そして、それと同時にプーチン大統領が、「国防省の命令を大統領としても支持する」と声明を出したのです。要するに、ワグネルそのものをなくせ
と言っていることに等しいですが、それをプーチンもOKしたのです。

プリゴジンは、裏のルートで自分たちに今まで通りやらせてくれとプーチンに交渉してきたはずですが、プーチンは承知の上でワグネルを切る決断をしたわけです。

とはいえ、切ってしまうと、不都合なことも出てきます。

ワグネルは一番強い部隊ですから、そこがもう使えなくなってしまう。それを事実上潰してしまうことは、ロシアの軍事力が弱くなるということ。

では、なぜプーチンは軍事力が弱まることを承知の上でワグネル潰しに同意したのかというと、プリゴジンがあまりにも大きくなりすぎてしまったからです。次の大統領選挙の候補として、プーチンに次ぐような支持率を国民の間で集めているということ。これはプーチンにとっては望ましいことではありません。

加えて、大きな流れとしては戦争をそろそろ終息に向かわせていこうとプーチンが決断しているのだと思います。



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