何と身勝手な男か!
これが太宰治に対する率直な感想でした。
初めの妻と離婚し、他人の妻と服毒自殺を図って自分だけ生き残り、二番目の妻が3人目の子を身ごもっている時期に他の女性と関係を持つ。それも、その女性の日記を自分の小説の材料として使うために!
こうした経過で結ばれた男女の間に生を得た太田治子氏は、どんな思いで父母の過去を白日の元にさらすこの本を書いたのか。
太宰は、同氏が生まれた翌年、その後知り合った美容師の女性と入水自殺しています。
ただ、今朝NHK第一(ラジオ)で放送されたインタビューで、太田氏は、この本を書き始めた当初から、耳鳴りが始まりとても苦しかったが、書き終えた今では、父太宰治と未婚の母、太田静子の間に生まれて来たことに誇りを感じていると述べていたのが救いでした。