田舎の倉庫

Plala Broach から移植しました。

葉室麟著「橘花抄」

2012年08月14日 | 読書三昧

黒田藩のお家騒動に翻弄さながらも守り抜いた武士の矜持とは?
週刊新潮に連載(H21/9/3~22/6/17)された365頁の大作です。

物語~父が自害し、身寄りのなくなった卯乃を引き取ったのは、黒田藩で権勢を振るう立花重根(しげもと)であった。彼と対立する勢力から、父の自害に重根が関与したと吹き込まれた卯乃は、懊悩のあまり失明してしまう・・・

どんな逆境にあっても、己の信ずる道を貫く男たちとそれを支える女性たちの闘いを、茶や香の文化とともに描く葉室文学の新境地。

ただ残念なのは、そこには血なまぐさい陰謀や暗殺があっても、庶民の暮らしが一切描かれていない点です。この時代、無意味なお家騒動の影で、世の付加価値を生み出していた農工商に携わる人々はどんな暮らしをしていたのでしょうか。