田舎の倉庫

Plala Broach から移植しました。

世紀の遺言状~新藤兼人著「100歳の流儀」

2012年08月06日 | 読書三昧

先に100歳で亡くなった映画監督、新藤兼人氏の遺作です。
自分が撮りたいものを撮ると独立プロという困難な環境で、終生映画をつくり続けた偉人の人生訓です。

"愛妻物語"、"原爆の子"、"裸の島"、"鬼婆"、"午後の遺言状"、"一枚のハガキ"など、常に社会と人間の奥底に潜むものに光をあてて世に問うて来た気骨の映画人が残した後世への遺言状です。

例えば、「仕事」について、同氏は次のように言います。

「仕事に没頭するとは疲労することである。ちょっとくらいの疲労ではなく、気がついたら口もきけないほどに疲労していた、ということだ。するとはじめてある一段を自分自身で上がったことになる。映画にかぎらず、ほんとうの仕事師になるには、仕事に心底わが身を投入しなければならない、と思う。理論だけであれもわかったこれもわかったというのでは、何もわからないのと同じだ」

「自分自身を知って自分を何かに投げ込むこと。これが仕事の永遠の哲学だ。そういうことのできない人は、その分野の仕事師になれるわけがない。つまり、人間は知恵や知識だけではどこにも到達しない。実際に生きているからだで何かを通過しなければいけない。それを具体的にいえば、口も利けないほど疲労するまで自分を仕事のなかに埋没させろ、ということなのだ」

さてさて、あなたにもこんな覚えありますか。