田舎の倉庫

Plala Broach から移植しました。

しみじみ~宮本輝著「三十光年の星たち(上下)」

2011年04月23日 | 読書三昧

良い本を読み終わった後の心地よい余韻に浸りました。
生きている幸せを、しみじみ感じる時です。

物語~主人公の仁志は30歳。借りた金の代償として、金貸し老人の運転手となって取立ての旅に出る。そして、その老人はなぜ金貸しになったのか、その目的はなにかを知るに及んで、人生とは、人間の絆とは何かを学び、逞しく成長して行く・・・

昨年の元旦から1年間、毎日新聞に連載された新聞小説ですが、著者のあとがきに曰く、

"人間には何らかの支えが必要だ。とりわけ若い人は、有形無形の支えを得て、難破船とならずに嵐をくぐりぬける時期が必ずある。

だが、いまのこのけちくさい世の中は、若者という苗木に対してあまりにも冷淡で、わずかな添え木すら惜しんでいるかに見える。

私はこの本で、その苗木と添え木を書いたつもりである"と。

つまり、この本は、若者の持つ可能性を信じ、彼らに対する上質の応援歌となっています。大震災を目の当たりにした今日、単に若者だけでなく、日本人すべてに対する応援歌にもなっているような気がします。
ご一読をお勧めします。