田舎の倉庫

Plala Broach から移植しました。

筑紫哲也著『この「くに」の面影』

2010年01月24日 | 読書三昧

2008年11月、「NEWS23」のメインキャスターとして親しまれていた筑紫哲也さんが亡くなりました。肺がんだったという。前年、番組で「肺がんの初期」と打ち明け、「克服して復帰する」と強い意欲をみせていましたが、薬石効なく帰らぬ人となりました。

小生らの目には、同氏は、ニュース番組のキャスターとして映っていましたが、実は、朝日新聞の政治部記者・海外特派員として活躍した後、編集委員にまで上り詰め、朝日ジャーナルの編集長などもつとめた生粋のジャナーリストでした。

従って、同時期、絶大な人気を誇った「ニュースステーション」の久米宏キャスターとは異なり、日々発生する幅広い出来事をジャーナリストの視点でわかり易く解説するのが得意でした。これは、ニュース番組では異色の時事解説コーナー「多事争論」として定着し、好評を得ました。

この本には、06年1月~08年3月までの「多事争論」145編の他、日刊ブログ新聞「ぶらっと」に連載された「始終至智への旅」30編、アスパラクラブに連載された「筑紫哲也の緩急自在」40編など同氏の幅広い見識に裏打ちされた珠玉のエッセイが掲載されています。

放送の中で口語体で語られただけでは十分咀嚼できなかった内容も、こうして文章に起こされたものを読むと、その深い意味合いに納得させられます。ご一読をお勧めします。

尚、編者は政治学者の藤原帰一氏と「NEWS23」編集長の吉岡弘行氏です。