3月12日
今日のニセコは快晴で、強い日差しがふりそそいでいます。
朝方はグッと冷え込みましたが、日中にかけて気温も6℃くらいまで
上がってきました。
ノーベル賞作家の大江健三郎氏のご長男、大江光さんは、著名なクラッ
シクの作曲家で、CDを何枚かリリースしていることをご存知の方もおら
れることでしょう。
昨日、CDラックに彼の3枚目のアルバム「新しい大江光」をみつけ、
聴いてみて、その音楽のすばらしさに感動しました。
このアルバムは、98年にリリースされたのですが、その頃購入して何度
か聴いた後、ラックに収めたままになっていました。その緻密で、聴く
者の心に深く訴えかける音楽に酔いしれました。CDの帯には「更に研
ぎ澄まされた、静かな魂の声」とのキャッチが記されていますが、まさ
にその通りだと思いました。
アルバムには、弦楽四重奏や無伴奏ヴァイオリンソナタなど専門的な曲
から、三拍子や5度の音階に特化した曲、叔父の伊丹十三氏の不幸な
死を悼んで作曲されたものなど22曲が、多様な曲想で描かれています。
また、著名なチェリストのロストローヴィチ氏の委嘱で書いた「お話し」と
いうチェロソナタもあります。初演は、サントリーホールでロストローヴィッ
チ氏とピアニストのアルゲリッチさんとで演奏されました。
CDアルバム「新しい大江光」
1.秋の三部作(アメリカ、嵐、おさんぽ)
2.ファンタジーハ短調
3.シチリアーノ変ホ長調
4.3つの小品(夢、森、山)
5.三部形式
6.ポルカの作り方
7.じようひん
8.四月
9.アイ・ティー・工一・エム・アイ~おもいで
10.海
11.ダンス
12.ジャニー・ボーイ
13.アンダンテニ長調
14.象の活躍
15.弦楽四重奏曲第1番
16.五度
17.フルート・ラプソディー
18.三拍子が好き
19.無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番
20.お話し
21.二月のレクイエム~武満さんの思い出
(夜、けんか、さよなら)
22.長い夏
彼は、生まれながら脳に重度の障害を持ち、言語によるコミュニケーシ
ョンすらままならない中で、何故かクラッシク音楽や童謡、鳥の声にの
み感心を示し、11歳の頃からクラシックの小品を書き始め、歳を重ねる
につれ技術的にも、質的にも高度な作品を生み出してきました。
このアルバムを聴くと、静かな湖底に噴出する湧き水かのような鮮烈
な印象を受けます。また、心からの慰めと励ましを感じます。
もしあなたが、今、失恋の痛手や仕事に行き詰まりを感じたり、育児に
疲れたりしているなら、ぜひ、この音楽をお聴きになってみてください。
人生は、山あり谷ありで、いつもいいことばかりではありませんが、それ
でも、さほど棄てたものでもないかなと元気をもらえるのではないかと
思います。
演奏は、ピアノに田部京子さん、ヴァイオリンに加藤知子さん、チェロに
山崎伸子さんなど、一流のアーティストが参加しています。録音も良い
ので、良質の装置でお聴きになれば、いっそうお楽しみになれます。
写真は、このアルバムから借用しました。