『月の法善寺横町』の歌碑があります。その昔、歌謡曲という名のジャンルの大ヒット曲の一つにこの歌がありました。今思い起こしても随一の名曲であったかもしれません。(写真⑤)
『月の法善寺横町』
藤島 桓夫 歌
十二村 哲 作詞
飯田 景応 作曲
包丁一本 晒にまいて
旅へ出るのも 板場の修業
待ってて こいさん 哀しいだろが
あゝ若い二人の 想い出にじむ法善寺
月も未練な 十三夜
こいさんがわてを初めて法善寺へ連れて来てくれはったのは
『藤よ志』に奉公に上がった晩やった 「早う立派な板場はんになりいや」
云うて長い事水掛不動さんにお願いしてくれはりましたなァ
あの晩からわては わては こいさんが好きになりました
腕をみがいて 浪花に戻りゃ
晴れて添われる 仲ではないか
お願い こいさん 泣かずにおくれ
あゝいまのわてには 親方はんに済まないが
味ののれんにゃ 刃が立たぬ
死ぬ程苦しかったわてらの恋も親方はんは許してくれはった
あとはみっちり包丁の修業をつんで一人前の料理人に
なることや なァこいさん待っててや ええな こいさん
意地と恋とを 包丁にかけて
両手合わせる 水掛不動
さいなら こいさん しばしの別れ
あゝ 夫婦善哉 想い出横丁法善寺
名ごりつきない 灯がうるむ
★後編につづく