よろずよもやまよろずたび

地元の写真と日々の雑感、写真日記です.
最近は陶芸三昧の日々ですが・・・

「素粒子」

2011-11-25 | 


性に奔放な母が育児放棄し祖母に育てられた天才科学者と、同じく異父兄弟の兄を描いた物語。
弟は美人の幼なじみと思春期の頃までを相思相愛のように過ごしたものの、はっきりしない弟の態度から、以降疎遠になる。
兄は、さえない容貌と寄宿学校での虐めによるトラウマから性的に倒錯した大人になる。教師になり結婚し子供も生れるが、倒錯した性癖はエスカレートし精神を病んでいく。不幸な人生が延々と続くのだが、やがて一人の女性と出会い幸せを掴んだかと思った途端、女性が亡くなり、精神は破綻する。
弟の幼なじみは、数人の男と付き合い都度妊娠するが、結婚には至らず、いずれも堕胎して終わっていた。40歳になって、独身でいた弟と再会し子供を作ろうと決めるが、子宮癌であることがわかり断念。癌が転移していることが分かり、失意のもと自殺する。 弟もまた不幸のどん底であるものの研究を続け、人類にとって重大な成果を成し遂げたあとで失踪する。
登場人物の誰かに感情移入するわけでもなく淡々として話は終わるのだが、エピローグにて物語の全体が分かり淡々とした物語が俄然強烈な印象をもつようになり・・・思わず 「ぅ~む」 である。

コレお薦め。