『化粧振れ隅木の製作承ります』(反り軒を除く木造一般住宅の振れ隅木関連材の手墨・手加工)。
☆振れ隅木編☆
2016/08/04【木組みによる隅木④振れ隅木(都市型)その1】
2016/08/08【木組みによる隅木⑤振れ隅木(都市型)その2】
2024/04/21【木組みによる隅木⑥振れ隅木(薬研・都市型)その3】
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今回は薬研の振れ隅木(平角105×270×5200)。
つまり振れ谷木。
やはり機械プレカットでは出来ないので、口脇以外は全て手墨・手加工。
しかも、PC加工機のデフォルト設定に合わせるタスク。
さて、正多角形の谷木ではなく、純粋な振れ谷木。
薬研の振れ隅つまり振れ谷木は、どの伝統大工の墨付け(規矩術)参考書にも無いと思うし、
ましてやプレカット工場のデフォルト設定での解説なんて、ある訳ない。
そこへ渡り腮(木組み模型では大入れ)あり、棒隅(鎬)との仕口あり、(( ̄▽ ̄;;)ア、ハハハハ…
物凄く鬱陶しい((+_+))
さて、実際の小屋組の伏図
10.0寸と3.36寸の振れ谷木。棒隅は10.0寸。
毎度お馴染み『こまったちゃん( ◠‿◠ )』
【2016/08/04 木組みによる隅木④振れ隅木(都市型)その1】による物件。
谷ですよ、しかも平10.0寸急勾配(角度でいうと45度)の。
酸性雨に生命の危険を感じる豪雨に、雹(ひょう)や霰(あられ)や霙(みぞれ)や積雪等々、
降水の全てがこの谷に集中して、屋根を容赦なく浸食するというのに。
現在の日本の住宅の平均寿命26年のはるかはるか手前で雨漏りするのではないか?
建築主による実験住宅なのかな?
さて、βPC工場のデフォルト設定がこれ↓
口脇は峠の設定から決めていないのだ。
材幅、屋根勾配に関係なく、材芯からの距離22.5mmが共通。
但し、最大手のPC加工機メーカーA社のCAD・CAM連動だと、
峠の設定が手入力出来るんですけどね。
PC工場は、導入している工作機械とCADソフト及びその連動の有無の違いにより、
機械加工プレカットとはいえ、会社の技術レベルの違いが相当にあります。
生産の現場では、
加工機をドライブする専用CADと汎用CADの性能差・アウトプットが、そもそも歴然の違い。
ハッキリ言って、汎用CADは汎用建売住宅の為のソフト。応用が全く利かない。
ハードとソフトの両面で柔軟に対応出来る組織というのは、やはり高品質なモノ作り。
営業とCADオペ双方とコラボ出来、難解物件時は依頼者と打ち合わせも行えた柔軟なαPC工場と、
硬直した縦割り組織で、管理職が聞く耳を一切持たない(毎回短納期の強制)βPC工場とでは、
品質はαが優れていました。何しろβはミスが日常で、年間500万円以上のペナルティだもの。
そのβによる、母屋が振れ隅木からこぼれるCAD入力(ミスだと思う)と、私の対応例。
『こぼれるけど、どうする?』と、手加工大工はCADオペに質問して対応をとる手順。
出来る側の大工が出来ない側のCADオペに対応策を指示して貰わなければならないという、
なんという技術レベルが低く、しかも硬直した縦割り組織。CADオペ、3Dレンダリングすら出来ないのか?
依頼主による構造計算等で材の寸法が決められてしまっているからか、あるいは、
CADオペの所要時間ノルマが原因理由なのかは、コラボ出来ない手加工大工にはわからない。
いずれにしても、βの品質管理システムと品質の証明。
ほとほとβでは、機械と組織に合わせる事の難しさ・面倒くささ・鬱陶しさを痛感しました。
よって今回はミスをしない為に、休日出勤をして、急所を網羅した木組み模型を製作したのです。
(@@;) でしょ!? ( ☝`ิิω`ิิิ )☝どんだけぇ~
ンもう、言うこと無いよ、ホント。ホセメンドクセー(クレヨンしんちゃん観てください)。
この木組み模型により、私は今回も実物大の仮組みは行わずに、ノーミスでした。
薬研の形状、こんなんになっちゃいました。 βPC工場のデフォルト設定に合わせると。
垂木の拝みも、峠を手入力出来ないと、異勾配ではこの様な納まりになってしまうのだ。
数センチ単位で厳密に言えば、設計図書の最高高さと違う寸法になってしまっているのです。
更にこの物件を受注したβPC工場では、斜め材・登り梁・隅木関係等の構造金物は全て現場対応。
現場でのローコストビルダーの対応の実態は、読者のご想像にお任せします。(゚∀゚ ;)
そもそも業界最大手γPC工場が、振れ隅木は100%現場対応(関係部材全て)。
そのおこぼれを狙っての営業戦略ですな、βPC工場。
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因みに、業界最大手γプレカット工場が100%現場に丸投げした、
パワービルダー(TVCMする会社)の振れ隅木(鎬)物件がこれ↓
105×360×4000材の振れ隅木と関連部材全てを現場対応って、
γPC工場もパワービルダーも、その無茶振りぶりは流石に業界最大手のパワー(ハラスメント)。
会社は、安さと棟数確保の為に『そんなの関係ねぇー、おっぱっぴー』ですな (^^♪
この建設現場では、無茶振りされたぶっつけ大工が逃げてしまったそうです。
ヤベ!!Σ(゚Д゚;≡≡≡≡≡ヾ(;゚д゚)/ニゲロ~!! (そりゃそうだ。ぶつけるにも程がある。)
工期遅延(品質が悪い事よりも、これを最もパワービルダー管理職は戒める)で、
困り果てた現場監督が「当社(βPC工場)に泣きついて来た」と、営業が私に持って来て判明。
この時の業界最大手γPC工場のデフォルト設定がこれ。↓
峠ではないし、βPC工場とも異なる設定なんだよね~。
口脇の肩12が固定値。
これ、《全て材芯からの距離22.5mmが共通》よりも、旧式機械の設定なのだ。
業界最大手なので、てっきり最新設備による加工かと思いきや、違ったのネ。
で、この設定で検証してみたら、そもそも実現出来ない納まりである事が判明 ┐(-。ー;)┌
ヤレヤレ… ヽ(゚~゚o)ノ アキマヘンワ
結局、私が彼らのレスキュー出動をして、1か月以上停滞していた現場が納まった次第。
まるで私、業界の山岳救助隊ですな。
振れ隅木の物件は、彼らにとっては毒饅頭とか毒キノコなんですよね。
棟数社是で、美味しさも束の間、無知な為に、自家中毒を引き起こしてるのだから。
そもそもパワービルダーとパワービルダー型プレカット工場というのは、
大量生産の為に汎用技術のみで低賃金従業者酷使の回転率で運用する技術ランクの低い集団なのだから、
高技術・高技能所持者にしか出来ない振れ隅木は受注しちゃダメでしょ。
国(国土交通省)は、技術ランクをA・B・C・Dの4つに区分(公共工事)して、
技術ランクの低い建設会社に高い技術が必要な高額物件を受注させないルールですよ!
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・・・ということで、
プレカット工作機械のデフォルト設定で平角振れ谷木を墨付けする事がどんなに面倒か、
読者の皆さん、木組み模型作ってみて! 今回記事は、作れた人だけが理解出来ます。\_(・ω・`)
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