Gakkenドゥーパ!誌 2019年10月号【別冊付録】に、
私が作った木組み42種類が紹介されました。
自宅にて、取材が行われました。
Gakkenドゥーパ!誌 2019年10月号の表紙。
【すごい継ぎ手&仕口図鑑】は、この号の別冊付録です。
Q.そこで質問。
【すごい継ぎ手&仕口図鑑】で掲載されている木組みのうち、
この継ぎ手は、いったいどこで用いられている木組みでしょうか?
すごい建築のすごい部位で用いられている木組みなんですよ。
A.答え。
現存する世界最古の木造建築群である法隆寺西院伽藍の五重塔にある、
【心柱(しんばしら)】の継手でした。
この機会に、専門領域のお話を少し。
まずは、法隆寺五重塔(※Wikipediaによる)について。
現存する世界最古の木造建築は法隆寺金堂のようなので、
世界2位が法隆寺五重塔といえるようです。
いずれにしても、今からおよそ1300年前の飛鳥時代の建築。
不動産物件的に言えば、築1300年以上ですね。
(ちなみに現在の日本の木造住宅の平均寿命は26年です。)
最下部から最頂部まで、中心を貫く白抜きに見える1本の柱の様な構造が見られます。
これが心柱。
なんとこの心柱、他の構造部材と一切接合されていないのです。
独立したものとして建っています。
心柱とは、
ストゥーパ(サンスクリット語 ※Wikipediaによる)としての精神世界の中心。
ストゥーパは『卒塔婆』として、日本中で馴染んでいますね。
法隆寺五重塔の場合、この心柱の礎石内に、
仏舎利(※Wikipediaによる)を祀ってあった、精神世界の中心を象徴するものです。
そして断面図からも分かるように、建築としても、構造の中心。
だけど、独立した構造。
つまり、心柱こそが仏塔=ストゥーパ。
私、『芯』ではなくて『心』の字であることに、
惹きつけられるんですよね。
さて、ここからが、正に専門資料。
(購入する事が出来ないのです、この出版物。)
昭和16年から昭和27年にかけておこなわれた、
昭和の大修理(解体しての大掛かりな修理)の工事報告書です。
その中から、
法隆寺五重塔の心柱の継ぎ手の資料です。
これらの詳細は、
研究者かよほど興味のある人の目にしか触れない情報なのではないでしょうか。
木工・木造建築のプロである大工といっても、
宮大工の棟梁級の方しか得ていない情報かもしれません。
今からおよそ1350年前に法隆寺西院伽藍を作った人達による木組みを、
Gakkenドゥーパ!誌 2019年10月号別冊付録で、紹介しています。
追伸
同じく、ドゥーパ!から出版されている、
【木組みの種類 木工上達!継手テクニック(※過去記事2017年3月より)】では、
51種類の木組みが見ることができます。
私は日々ライフワークとして、
構造材現わしや木組みや漆喰などの左官壁、そしていぶし銀の屋根瓦といった、
フェイク建材では醸し出せない、
年月の経過と共に更に愛着の増す、木の住まいを追及しています。
追伸:2022年8月13日
國寶法隆寺五重塔修理工事報告ですが、
現在、復刻版として購入出来るみたいです。
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