心にうつりゆくよしなしごと / 小嶋基弘建築アトリエ

山あれば山を観る 雨の日は雨を聴く 春夏秋冬 あしたもよろし ゆうべもよろし

中間検査と瑕疵保証検査(2回目)合格

2013年07月31日 | 日記・エッセイ・コラム
先日、建築基準法による中間検査を受検して、合格しました。
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指摘事項は1つもありませんでした。

検査員からは、通常の検査範囲内(N邸は通常範囲外だそう)ではまず目にする事の無い本格的な木の家であるとの話や、使用木材の産地や乾燥の質問などもあり、『こういう家良いですよねぇ』と、なごやかな雰囲気の検査でした。

また、瑕疵保証の2回目の現場検査も同様に指摘事項なしで合格しました。

ややこしい設計にもかかわらず、現場監督の力量ですネ。


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完全注文住宅なので

2013年07月30日 | 日記・エッセイ・コラム
現場に、早くも建て主さんから届いた洗面ボウル。作り付け洗面化粧台に使用します。
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まだかなり先の工事になるのですが、建て主さんの思い入れが伝わってきます。

アトリエ設計事務所による100%注文住宅なので、全てを設計・デザインします。
そして建て主さんの優先順位を予算配分で調整するのです。

ボウルひとつでさえ、建て主さんの『これ使って欲しい』の要望にお応えします。
もちろん、予算に応じて、カタログ記載の既成製品も使用します。

実は、システムキッチンなど、逆にメーカー既製品の方が高価な場合も多々ある位です。

名ばかりの注文住宅ではありません。
N邸は全てをデザインした、100パーセント完全注文住宅です。


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外壁準真壁(隅柱)

2013年07月29日 | 日記・エッセイ・コラム
【2013/07/10外壁準真壁(室外側)】続編。隅柱もこの様に外壁真壁(透湿防水シート施工前)。
サッシも胴縁にではなく柱(天然乾燥材)に留めつけて、経年変化で開閉に影響が出にくい様に設計。
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外壁準真壁の説明はバックナンバーをご高覧ください。

住宅金融支援機構仕様(旧公庫仕様)にて、N邸はご覧の通り柱が直接外気に接する構造(真壁構造)で軒出が1m、又は外壁内に通気層を設け、壁体内通気を可能とする構造(特記は8.4.1の1平成24年版)。

それに通し柱である隅柱が桧又は杉で12cm×12cm角。

これらの仕様は、防腐防蟻の為の薬剤処理を施す必要が無く、耐久性も『住宅の品質確保の促進等に関する法律』の【日本住宅性能表示基準】で劣化対策等級3(最上級)をクリアする性能。

つまり、軸組については健康住宅仕様であり、超・高耐久仕様。

(但しダイライトのホルムアルデヒド放散量0.05mg/Lが少々ネック。F☆☆☆☆の構造用合板が0.3mg/Lなので、随分少ない放散量ではあるものの、無垢材と比べると、ゼロではない(>_ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村




綺麗な現場です

2013年07月27日 | 日記・エッセイ・コラム
N邸建築現場は、いつでも綺麗です。
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塚田大工さんの息子さんです。
常に掃除しながら整理整頓を心がけ、親方と工程を進めているみたいです。

何より、現場監督の現場管理方法も、整理整頓をモットーにしているようです。

綺麗な現場なので、私が監理でおじゃましている時は、いつも靴下で室内をうろちょろします。


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目立たない部位の節穴補修

2013年07月26日 | 日記・エッセイ・コラム
N邸軒裏の天井。目立たない部位ですが、抜けた節穴の補修を行っています。
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請負工務店であるフォレストブレス渡辺木材㈱さんの配慮です。

建て主さんの耐久性重視の要望により、軒裏もベニヤ合板やケイカル板ではなく、無垢の杉材で設計。防虫と見映えの為に、抜けている節穴を埋め木した材を調達、施工してくれています。

もちろん1つ1つが手仕事です。

『良いものを作ろう!』と、設計施工にご縁のある方達の力が合わさった、N邸の建築工事です。


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空気の通り道⑪排熱窓の外観位置

2013年07月25日 | 日記・エッセイ・コラム
N邸。排熱窓の外観展開。切妻屋根なので、妻壁2面の最上部に設計しています。
屋根直下なので雨が吹き込む事はなく、サイズ的に防犯上も安心です。

バルコニーに面している側。
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妻壁と屋根の取り合い部に外殻通気システムの為のスリットが見られ、軸組みを固める化粧火打と化粧方杖も見られます。棟木の方杖は【化粧雲方杖】。棟木の色違いは【追掛込み栓継ぎ】。


室内ロフト側。
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バルコニー面同様、妻壁と屋根の取り合い部にスリットが見られます。

室内の空気の通り道と、外殻通気システムの為の空気の通り道のそれぞれを設計しています。
いずれも電力を使わない、自然の恵みを活かした自然換気。

N邸では、出来るだけ電力(特に原子力発電)に依存しないような住まいの有り様を考えています。


もちろん、排熱窓は冬季の閉める機能の高性能の為に、複層ガラス(ペアガラス)。


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空気の通り道⑩排熱窓の内観位置

2013年07月24日 | 日記・エッセイ・コラム
N邸。排熱窓の内観展開。切妻屋根なので、妻壁2面の最上部に設計しています。
屋根直下なので雨が吹き込む事はなく、サイズ的に防犯上も安心です。
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棟木直下に2連。差鴨居を照らすほのかな光が、やわらかな雰囲気を醸し出しています。


2013/07/09空気の通り道⑧排熱窓その2】の下地状態から、サッシ施工。
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ロフト内の棟木直下に2連。すぐ隣が化粧雲筋違い。

これらの窓は、夏等の気温が高い日、掃き出し窓より上方が熱溜まりにならない様に上昇空気を建物から放出する為のもので、電力を使わない自然換気窓。特に夏の炎天下には、凄い勢いでこの窓から空気が抜けて行きます。

逆に、冬等の気温の低い日には、締めておけば良いだけ。
(冬でも太陽が照る日中には開ける事になる位、自然の恵みを採り入れる設計をしてあります♪)

もちろん電動開閉式ではなく、手動開閉式。電力のみならず、メンテナンスフリーも考慮。

『エアコンありき』としての設計は、N邸では行っていません。
可能な限り、自然の恵みを活かした省エネルギー住宅・エコ住宅として、設計しています。

『四季と寄り添う住まい』の為の、1つのエッセンス。


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天井見上げ

2013年07月23日 | 日記・エッセイ・コラム
N邸。ユニットバス施工前の吹き抜け空間から、1階・ロフト・2階天井見上げ。
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天井材は杉3層ラミナパネル。
梁は茨城県産八溝材の天然乾燥の杉(荷重対策で一部のみベイマツ使用)。
柱は埼玉県産西川材の天然乾燥の桧と杉。
下地は岩手県陸前高田の気仙木材加工協同組合連合会による杉。

構造材は全て化粧、つまり現わし仕上げ。
やわらかい部屋の雰囲気が醸し出され、心地良い気分になります。

国産材による真の日本の木のすまいです。


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空気の通り道⑨排熱窓のサッシ

2013年07月22日 | 日記・エッセイ・コラム
2013/07/08空気の通り道⑦排熱窓の下地状態から、サッシ施工。
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説明はバックナンバーにて。

開口面積(換気量)と開口方向を考慮した意匠上欲しいデザインのサッシがなかなか無くて、悩みました。排熱窓の発想はメーカーにあっても大多数のプランナー設計士には無いから、製品化されないのでしょうか。

何とかこのサッシに決定。【2013/07/08空気の通り道⑦排熱窓】の立面図参照。

サッシすぐ横の棟木の色違いは、継ぎ手『追い掛け込み栓継ぎ』。
バックナンバー【2013/06/07おっかけ④(プレカットVer.)をご高覧ください。

ウェザータイトと共に、継ぎ手まで見ている方は、目が肥えていらっしゃる方でしょうか。

『鎌継ぎ』では梁継手金物が必要なのに対し、『追い掛け込み栓継ぎ』は不要。
さりげなく、構造の高強度を主張しています。


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いいね!伝統構法による粋な現場看板♪

2013年07月20日 | 日記・エッセイ・コラム
N邸建築現場。請負工務店さんによる、粋な計らいの現場看板が目印です。
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請負工務店さんと付き合いのある建具屋さんによる作品だそうです。


伝統の木組み【鼻栓】による接合で作られています。枠材は桧、板材が杉。
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釘は使っていませんヨ(^-^)

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現しの化粧雲筋違いその2

2013年07月18日 | 日記・エッセイ・コラム
【2013/07/13現わしの化粧雲筋違い】の続編。
化粧雲筋違い、2倍筋違い金物、ホールダウン金物部分の接写。直上に棟木と大垂木。
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化粧雲筋違いの取り付く柱は、棟木迄伸びる通し柱。埼玉県産飯能の天然乾燥西川材の桧。
筋違いは桧(CANADA TUGAではない)、棟木、大垂木は茨城県産八溝材の天然乾燥材の杉。
下地は岩手県陸前高田の気仙木材加工協同組合連合会による杉。オールジャパンです。

HD金物は高ナットによる連結式。
筋違いの施工もピシッと隙間なし、金物施工のナットとビスもOK 

外壁及び換気用排熱窓の下地も丁寧な施工で、筋違い同様隙間がありません。

現わしの化粧雲筋違いとする事で、建物強度と共に、建物最上部の2連換気用排熱窓への空気の流れを阻害しない様に、設計しました。


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込み栓(こみせん)その2

2013年07月17日 | 日記・エッセイ・コラム
910ピッチの大垂木と柱・束との斜め接合部も、伝統の木組み【長ほぞ込み栓打ち】です。
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大垂木と勾配なりに直交する材が『転び母屋(ころびもや)』。母屋は垂直とは限りませんヨ

無垢材なので割れが生じていますが、強度に影響の出る割れではありません。
材の肌見【2013/05/23全て天然乾燥材。杉と桧の家】により、出来るだけ見えない側にあまり美しくない材面を向けています。


同じく910ピッチの大垂木と柱・束との斜め接合部の別箇所。
込み栓もさることながら、下地の丁寧な施工を見て欲しい。
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2013/07/10外壁準真壁(室外側)】【2013/07/11真壁(室内側)】の為の下地。
2013/07/15パネル工法ではありません】の記事通り、隙間がありませんでしょう。

軸組みとの間に隙間が無いので、断熱欠損箇所になりません。
クリアランスが最小3mmはあるパネル工法に比べ、この部位での壁内結露が生じにくい訳です。

2013/06/17N邸の大工さん】腕が良いんです。


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巧言令色か否かは基礎と下地を見よ(◎o◎)

2013年07月16日 | 日記・エッセイ・コラム

バックナンバー【2013/06/15工務店の誠実度は現場を見よ】の続編。
設計や施工の誠実度や技量を知るには、基礎と下地の施工を見ましょう。
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基礎と下地の施工が丁寧か否かで、営業トークが巧言令色かどうかを伺い知る事が出来ます。

基礎は、【さや管工法】に注目。構造躯体に影響を及ぼさずに配管の維持管理が行えるよう、貫通部を除いた配管をコンクリート内及び下に埋め込まない工法です。

【さや管工法】は、コンクリート貫通部に、鉄筋を避け、鉄筋のかぶり厚を損なわない様にさや管を埋設しておく事で、建築に比べて耐用年数の低い設備関係の維持・修繕が容易(ローコストで)に行えるメリットがあります。

ちなみに、N邸基礎は【住宅の品質確保の促進等に関する法律】の『住宅性能表示制度』による、維持管理対策等級2又は3(最上級)の仕様です。

下地では、材料、施工精度、釘の種類・ピッチ等々、設計した性能を実現する為の確かな施工を行っています。

下地が丁寧だと仕上げもやり易く美しくなり、下地が凸凹やおかしな施工だと、仕上げで嫌気がさしてしまって、いいかげんな仕事になってしまうものです。

N邸では私が設計監理、工務店の施工管理並びに現場監督、そして何よりも施工の要である腕と人間性の良い大工という【トロイカ体制】で、高品質な家づくりを行っています。


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パネル工法ではありません

2013年07月15日 | 日記・エッセイ・コラム

【2013/07/10外壁準真壁(室外側)】【2013/07/11真壁(室内側)】の、下地施工段階。
ご覧の通り、N邸ではパネル工法を採用していません。
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大工さんが下地であるにもかかわらず、とても丁寧に作り込んでくれています。

パネル工法不採用の理由は2つ。
・軸組みと真壁パネルとのクリアランス(隙間)が少なくとも3mmはあり、断熱欠損箇所である点。
・工務店のパネル工法不採用の決定。

多くの施工会社がパネル化による省力化・合理化を採用していますが、クリアランスの断熱欠損箇所については ”必要悪” として見て見ぬふりをしている様に思います。

その点、画像の様に下地から作り込む方式だと、受け材と柱や横架材との間に隙間は発生しないので、この部位での断熱欠損は生じません。

つまり、断熱欠損箇所での結露(しかも最も大敵な壁内結露)が発生しにくいメリットがあります。

コスト的には、軸組みがパネル工法対応設計な事もあり、パネル製作会社に発注した方が却って割高だったのかも知れません。

耐力壁でもある事から、施工管理もより一層、的確に行ってくれています。

 

 

追伸:2023年1月4日

断熱欠損箇所についての ”必要悪” の可視化。⇒ 黒の楕円内がそれ。

金属部位が室内と室外を直接結ぶ完全なる熱橋(ヒートブリッジ)となってしまっている。

つまり、アルミサッシ同様の結露を、構造の要で発生させる事になる。

更に、柱のスリット加工も室内と室外を完全に連続している。

白い部分が発泡プラスチック系断熱材。

隙間を現場発泡ウレタン等の吹き付け断熱材で塞がないと、上記とダブルで結露を発生させる事になる。

つまり木部の腐食を加速させ、構造強度・耐久性・断熱性が極めて劣る工法となる。

しかも金属部は断熱の施し用が無いので、結露については完全にお手上げ状態。

結露の程度によっては数年で木部が完全腐食して、構造として体を成さない事がハッキリ目に見える。

 

 

施行の為の”必要悪”により、柱と白い発泡プラスチック系断熱材の間に発生する隙間。

製品パネルを既存の軸組みに建て込むには、どうしてもこの隙間が発生してしまうのだ。

この事実を看過しない正しい断熱の技術のある会社、設計士、施工管理者、そして職人(技能者)は、

この隙間に現場発泡ウレタン等による吹き付け断熱材を施工して、断熱欠損を生じさせない。

 

 

発泡プラスチック系断熱の下部にも断熱欠損箇所が発生している。

パッと見でメリット大に見えるパネル工法なのだが、施行の為の ”逃げ” を設けなければならないがゆえ、

細部を覗くと、ここ減点⇒ここも減点⇒またまた減点・・・∞で、Made in japan品質のレベルにはない。

 

つまり、断熱や気密の正しい知識を持った者にしか見抜けないのである。これらが何を意味するかを。

一級建築士であっても。

 

 

結論

断熱欠損箇所の”必要悪”は、単刀直入に言って、現場の労務量削減によるコストダウンと大量生産化が主な目的である。

よって、断熱欠損部位を断熱補強しない会社のパネル工法は、決して高品質高性能ではない。

つまり『ローマは一日にして成らず』なのである。

 



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