心にうつりゆくよしなしごと / 小嶋基弘建築アトリエ

山あれば山を観る 雨の日は雨を聴く 春夏秋冬 あしたもよろし ゆうべもよろし

メンテナンスを前提とした設計・施工

2013年08月31日 | 日記・エッセイ・コラム
N邸の設計・施工の特色の1つは、メンテナンスを前提としている事。
傷みやすい箇所の取り替えを簡単に行う事の出来る納まりを追求しています。
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まだ画像を紹介していないのだけれど、この後、板相互の突き付け部を覆い隠す『目板』なる部材を使用します。目板によって、これらのビスも隠れる事になります。

外壁1階の焼き杉は、釘ではなく、ステンレスビス施工。男性であれば『Do it yourself』で簡単に取付け・取外しが出来ます。工具はホームセンターで購入出来るインパクトドライバ1つでOK。

更に、傷みやすい1階部分だけなので、足場を架ける必要も無し。脚立でOK。

焼き杉は市販の杉板とトーチバーナーをホームセンターやインターネットショップで購入して、安価で簡単に作る事も出来ます。炭をトーチバーナーで着火した事のある方なら誰でも作れます。

『超・高耐久』の為に、傷んだ箇所を日曜大工でメンテナンス出来る様、設計理念を立て、基本設計、実施設計を行なっています。

通気横胴縁も同様にステンレスビス施工。つまり、建物にとって最も耐久性に直結する土台廻りの傷み具合の目視がやり易い様に設計と施工を考慮。

それに、【外壁準真壁】は、軸組に受け材方式で構造用面材施工の『1つのユニット』として構成。外壁を剥がして傷みが発見された場合は、そのユニットの交換だけでOK。

全体を修理するのでは多大な予算が必要なのに対し、傷んだユニットだけなので、低予算で修理が出来るメリットがあるのです。

N邸では、日曜大工でも出来るメンテナンスを前提とした設計・施工を採用しています。


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外装材1階部は焼き杉

2013年08月28日 | 日記・エッセイ・コラム
記事200回目記念いよいよ外装材。N邸外壁1階部分は自然素材、焼き杉。
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正真正銘の自然素材、国産材、杉。
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木目調窯業系サイディングや焼き杉調金属サイディングの類のフェイク品ではありません。

本物の自然素材なので、年月の経過と共にいぶし銀の輝きを放ち始める外壁になっていきます。
むしろ、年月が経過した方が、深い味わいを醸し出すのです。

(設計者の自宅に使いたいくらい。)



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化粧火打と化粧方杖その2

2013年08月26日 | 日記・エッセイ・コラム

バックナンバー【2013/06/08化粧火打と化粧方杖の続編。

立体トラスの幾何学的構成があたかもオブジェ。(それもイメージして設計しました。)
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水平材が火打(ひうち)、斜材が方杖(ほうづえ)。差鴨居同様、軸組を固める技法。


方杖は(頬杖ほほづゑ)とも。古い木造駅舎でよく見る事が出来ますね。
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デジカメのフラッシュが超仕上げ鉋の光沢を写しています。ちなみに梁成の大きな材はサンディング仕上げ。仕上げの違いをこうして較べてしまうと、いかに超仕上げ鉋(や手鉋仕上げ)の美しさが際立っているかが理解されると思います。

化粧雲方杖。直上は棟木。接合部はホールダウン金物等ボルト類で確実に緊結。
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現わしの化粧雲筋違いと設計趣旨は同じで、小屋組の垂直方向を固める事を目的としています。

バックナンバー【2013/07/13現わしの化粧雲筋違いより。
説明はバックナンバーをご高覧ください。
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いずれも国産材。
柱は、杉・桧共、埼玉県産飯能の天然乾燥西川材。
横架材は杉で、茨城県産八溝材の天然乾燥材。

 

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化粧火打ち、化粧方杖については、金物を隠す、シンプルなデザインもあります。

 

隠し金物工法、設計(意匠・構造)承ります。

2016年7月14日【隠し金物工法、設計(意匠・構造)承ります。】を参考まで。



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柱の面、やわらかな建築をめざして。

2013年08月24日 | 日記・エッセイ・コラム
アトリエ一級建築士として、柱の面の大きさも設計・デザインします。

世間一般での稜を取っただけの『糸面(いとめん)』ではなく、『大面取り』で設計。
一般の方は気付かないかも知れませんが、部屋の印象を柔らかくする為の細部、ディテール。

私が目指す『やわらかな建築』の為の、1つのエッセンス。
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柱は埼玉県産飯能の天然乾燥西川材の杉。
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設計と大工の方で興味のある方は、『匠明』慶長13年(1608)/平内政信著をお薦めします。江戸時代、柱の面の大きさが建物全体設計の基本単位であった事もある程、『面』とは重要だった事が理解されます。

『あの人は几帳面な人ネ』と例える几帳面とは、正に建築の几帳面から来た例え。

面を恣意性に任せるのも良いが、私が目指すのはやわらかな建築なので、計算して、面の大きさも設計しました。

言われてみれば、糸面より大面取りの方がやわらかで優しい印象である事に気付きますでしょ?


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ここまでやります!

2013年08月23日 | 日記・エッセイ・コラム
N邸の壁断熱仕様は、【充填断熱】(流行の外断熱ではない)。
よって、壁断熱材が行き渡らない細部には、この様に現場発泡ウレタン断熱材を充填しています。

徹底的にやるんです
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『外断熱にすればいいじゃないの』 と、突っ込みが来そうですが (^^;)
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外断熱ではダメなんです ∵外壁真壁(準真壁)にならないから\_(・ω・`) (※ここ大事)
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現場監督さん、設計者の面倒な要求に応えてくれて、ありがとうございます(_ _)
巷では美辞麗句・巧言令色ばかりで、ここまでやる施工は、そうありません。 


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吹込み充填セルローズファイバー断熱材(床下)

2013年08月22日 | 日記・エッセイ・コラム
N邸1階床下の断熱材は、吹込み充填セルローズファイバー。
『夢の断熱材』と称賛する人もいる、調湿する断熱材。

Wikipediaによる説明はこちら
日本セルローズファイバー工業会による説明はこちら

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現在の住宅用断熱材の中では、最も理想的と言えるかも知れない。
何といっても調湿性があること

もちろん【次世代省エネ基準適合】、『住宅の品質確保の促進等に関する法律』の【日本住宅性能表示制度による温熱環境省エネルギー対策等級4(最上級)適合】又は【フラット35Sにおける省エネルギー対策等級4適合】の断熱材厚みを確保しています。  


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バルコニー梁受け金物

2013年08月21日 | 日記・エッセイ・コラム
建物の耐久性向上の為に、建物本体とバルコニーの構造の縁を切る為の構造金物。

N邸のバルコニーは、跳ね出し式ではなく、柱支持タイプ。
跳ね出し式では建物本体と一体構造なので、建物自体の長寿命化は望めません。

私は大工として、跳ね出しバルコニーの構造腐食を幾度か体験していますので。
維持修繕しやすい構造や納まりを、新築時に設計しておくのです。

こういう事は、設計理念・基本設計がとても大切。

軒出1.2メートルの下の、雨に濡れない部位に使用。
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寸法特注・特殊表面処理加工品。私の設計で金物メーカーに作って貰いました。
六価クロムをはじめとする有害物質を含まない表面処理との事。

軒出1.0メートルの下の、雨に濡れない部位に使用。
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既成品。めっきはクロメートメッキ・電気亜鉛メッキ2種2級の、建築構造金物汎用メッキですね。
クロメート六価クロムが環境破壊物質のため規制され、現在は三価クロムに置き換えられているそうです。

建築という行為が知らず知らずのうちに地球環境を破壊してしまっている事への配慮を忘れずに。
出来る限り、環境に優しい設計施工に努めています。


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玄関ドアはアルミ製断熱引き戸

2013年08月20日 | 日記・エッセイ・コラム
”玄”妙に入る”関”所である玄関ドアは、悩んだ末に、アルミ製断熱引き戸を採用。

バリアフリー設計により、開き戸ではなく引き戸、スライディングドアに。
断熱性能設計により、次世代省エネルギー基準Ⅲ地域以南適合性能の【K3仕様】。

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袖FIXガラスには、デザインガラス(防犯仕様)を設計。
メタリック感のあるパンチングメタル調ガラスにより、エントランスにやわらかい光を採り込みます。


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雨樋(軒樋)が取付く※縦樋は仮設

2013年08月19日 | 日記・エッセイ・コラム
工事中の屋根から流れ落ちる雨水対策として、軒樋が施工されました。縦樋はまだ仮設。
雨跳ね、雨濡れから外壁を保護する事が出来るので、外壁施工がやり易くなります。

【一文字軒瓦部】 シンプルな半丸タイプ 材質はガルバリウム鋼板 吊り金物方式
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【饅頭軒瓦部】 シンプルな半丸タイプ 材質はガルバリウム鋼板 吊り金物方式
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銀いぶしの屋根瓦を引き立たせる為に、主張しないさりげなさの半丸タイプを採用。

耐久性重視の設計により、最もポピュラーな『硬質塩ビ雨樋』ではなく、ガルバ製。
デザイン性も重視。取付けにはこれまた最もポピュラーな『打ち込み金物』ではなく、吊り金物式。

色は4色の中から建て主さんに決めて貰いました。


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階段材の製作、大工の手仕事。

2013年08月10日 | 日記・エッセイ・コラム
アトリエ一級建築士として、階段材もデザインします。

杉柾目接ぎ(はぎ)板集成。茨城県産八溝材の天然乾燥材の杉。
杉の柾目、しかも源平(赤と白の混合)の、とても美しい質感・テクスチャーです。美しい
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画像で見ても綺麗な色合いでしょう?(画像クリックで拡大)

『こんな杉、見た事無い』という人も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
しかも大工の手仕事による、世界に1つだけの階段。気持ちもこもっています。

銘木程ではありませんが、年輪の幅が緻密ですね。
板相互のズレ防止に、メチ(長方形の材)を挟んで接着材で接着します。
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その『接ぎ』の為の接着材は、私が大工として構造材でも使用していたもので、信頼性もOK。ウレタンボンドに匹敵します。

ちなみに多くの(ほとんどの)大工が何げに使用する『白ボンド』(酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤)は、設計図書でNGにしました。接着力が△、耐水・耐アルカリ性が×、耐熱・耐候性が△だからです(建築士試験で出るでしょ? ちなみに作業性は◎、経済性は○、おそらく耐久性は×)。

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杉の木目には『夏目(なつめ)』と『冬目(ふゆめ)』があり、夏目が柔らかく、冬目は硬い性質があります。この階段材も歩行するに連れ夏目が凹んできて、冬目の凸と丁度良い具合にノンスリップの性質を帯びてきます。

自然素材は工業製品と違い、年月が経つに連れ、深い味わいが醸し出されてくる特徴があります。年月が経ってもいぶし銀の輝きを放ち続けるのは、自然素材の持つ大きな魅力の1つです。

製作は塚田大工さん、材を調達してくれたのは茨城県石岡市の渡辺木材㈱さんです。


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透湿防水シートとウェザータイトの上下関係

2013年08月09日 | 日記・エッセイ・コラム
軒の出、けらばの出が1mだったとしても、外壁準真壁だったとしても、N邸請負工務店さんは、雨仕舞いを甘くみていません。雨が外装材の内側に侵入する事を想定して、対策を講じています。
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現場監督の力量の高さの証明ですネ。

通気横胴縁のビス施工にも注目
長期メンテナンスの容易性を勘案して、新築時から着脱が容易なビス施工。

こういうのって、『住宅の品質確保の促進等に関する法律』にも記述が無いのではないか?
【維持管理】等級4でしょうか(笑)


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