中規模木造建築の構造。 しかもややこしい。(>_<)
大工として少々手の込んだ構造材の墨付けと加工を手掛けました。
プレカット加工不可物件の手墨・手加工です。 o(^▽^)o
・杉の磨き丸太・末口30cm(図面値)×長さ6mの大黒柱
・幅12cm×成51cm×長さ9mベイマツ集成材の隅木3丁の大黒柱との接合部
・幅12cm×成42cm×長さ5mベイマツ集成材の隅木1丁の大黒柱との接合部
・幅12cm×成15cm×長さ6mのベイマツKD材の多角形振れ谷木2丁
このボリュームと難易度、『どんだけ~』って感じなのだ。 (^^ゞ
専門家にしか理解不可なのだけどネ。\_(・ω・`)
まずは杉の磨き丸太。納品時の材長は7m。吉野産との事。よく乾いておりました。
天井を張る意匠設計により、私、非化粧部分をまずは製材(木ごしらえ)してしまうのだ。
出来れば社寺の柱の様に正八角形が望ましいのだけれど、
更に簡単に労務コストダウンで、正角(しょうかく⇒正方形のこと)にしちゃいました。
それでも7寸角(21cm×21cm)断面あるんですよ、この木ごしらえ。
この部位に51cm成隅木3丁、42cm成隅木1丁が指物で掛かってくる納め方にしました。
背割れもあり、接合部の構造設計(木組みと金物)には神経を使います。(+o+)
構造金物はM16ボルトの上下2本引きに。M12の1本引きじゃないからね。
私は一級建築士です。構造安全性にぬかりはありませぬ。(o ̄∇ ̄o)♪
これが幅12cm×成51cm×長さ9mのベイマツ集成材の隅木。
私一人の人力では、起こそうにも、びくともしなかった(+o+)
今回、納期により、磨き丸太接合部以外は外注。
外注先にフンテガーがあるらしいんだけど、なぁ~んだ、肝心な部位は手加工じゃないの(・・;)
さて、建て方。今回は私、立ち会って来ました。
トラスと一緒で、クレーンが使えるので、作業は巨大材慣れと共に、テキパキ。
構造金物も私は詳細施工図作成時に数量拾いをしてしまうので、現場で問題も無し。
奥が大梁隅木(平面で45度の角度⇒棒隅「ぼうずみ」という)、
手前の斜め登り梁が多角形振れ谷木(振れ⇒平面で45度以外の角度)。
フンテガーは棒隅の大梁隅木への母屋・登り梁・小屋梁は加工OKですね。
但し後述しますが、接合部形状による安全性については、改良の必要性、大です。
多角形振れ谷木といえども、私、ちゃんと寸法を出して、手墨・手加工します。
今回、振れ谷木の平面の振れ角は135÷2度、屋根勾配は4.0/10と2.5/10でした。
こんな谷木の断面形状、現場対応されても、現場の大工、困るよねぇ。(>_<)
振れ谷木頂部の拝み部。42cmの大梁隅木尻との取り合い。
縫いボルトも含め、現場対応一切無し。
私は一級建築士の伝統大工です。ですから、構造金物で確実に緊結します。
プレカット加工では隅木は載せるだけ、伝統大工以外の大工は施工は釘だけですよね?
私は、【大入れ兜による木組み+構造金物】で安全性最優先。
伝統大工の仕事には、《安かろう悪かろう》は、一切ありません。
さて、フンテガーによる大梁隅木と小屋梁接合部、 問題の部位。
あちゃ~/(-_-)\ 木組みの木口、欠損しちゃってるやん(>_<)。
フンテガーといえども、小屋梁の大入れの横まくり、加工不可なんですね。
大入れのみとはいえ、水平力に対する木組み部耐力が、これではゼロ。つまり ”げんぞう”。
上下2本のM12ボルトのせん断力だけで持っているだけという、極めて望ましくない接合部。
意匠設計の矩計図では垂木下端及び隅木下端に直接軒天を貼る指示。
なので、外注先の手加工大工が「こりゃヤバイ」と僅かに残した部分も、
現場の大工は図面通りに欠き取ってしまうからです。
(付け加えて、隅木下端が薬研加工になっていないのは、外注先のダブルミス。)
つまりこれ、プレカット加工による瑕疵、欠陥構造なのだと私は考えます。
フンテガー及びプレカットCADソフトのSE、プログラマーの皆さま、
在来木組み凸凹加工の場合、改良の必要性が早急にあるのではないでしょうか?
いくら機械加工で安く早く省力化出来たとしても、構造安全性をないがしろにしては本末転倒です。
伝統大工からの老婆心ながら、申し添えさせていただきました。
乱文にて、ご容赦願います。
大工にとっててんこ盛りでしたね、今回の物件。配付垂木の依頼が無くて、ホッ(^^ゞ
無事、事無きを得て、ふぅ~ \(^^)/