隠し金物工法(小嶋式)、設計(意匠・構造)承ります。
2016年7月14日【隠し金物工法、設計(意匠・構造)承ります。】を参考まで。
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伝統大工による”隠し金物仕様”と、大量生産型全自動PC加工による金物仕様を比較してみましょう。
まずは大量生産型全自動PC加工による金物仕様。
柱に『座彫り(ざぼり)』といって、ボルトと座金の為の丸い穴をこの様にあけます。ここからボルトを挿入して、梁上端に彫った箱彫り内にセットする座金とナットに緊結して、柱と梁を接合するわけです。柱側の座彫りについては、現在の木造住宅の99%がこの方法なのではないだろうか?
次いで前回記事での伝統大工による ”ステルス金物仕様” つまり ”隠し金物仕様” 。
絶滅危惧種である伝統大工による、柱の断面積の小さい場合の柱と梁の接合部の仕様。
こうして比較してみると、建築のプロではない建て主さんにもその違いが歴然でしょ?
化粧面の木肌の美しさと強度・耐久性能を真摯に追求する伝統大工の知恵、丁寧で正直な仕事。片やコストダウンの為にはお構いなしに『必要悪』として見て見ぬふりをする、或いは理解すら出来ない木造関係者の氾濫する現在主流の大量生産型住宅の構造。
外壁に貫通穴があいていないということは、構造金物が結露を呼び込まないということ。つまり構造材の腐食が発生しにくいので超・高耐久性能を得やすいし、高気密化にとってもメリット大。何しろ木造高気密住宅では『目張りテープ・気密テープ』等を使ってわざわざ穴や隙間を塞ぐ仕事をするのだから(それもただ塞ぐだけで、座彫り穴に現場発泡ウレタン等の断熱剤も充填していないでしょ?)。
【鉄骨的木造金物工法(Google画像検索より)】を採用したとしても、外壁の貫通穴はやはり発生してしまうし、耐久性能最上級である真壁構造の構造材現わしでは使い物にならないでしょうし。
2000年の建築基準法の大改正からおよそ15年。木造住宅の質の確保・向上は次のステップに進めるのでしょうか? 伝統大工はもはや絶滅危惧種ですよ。【2014年2月2日 国土交通省からのアンケート】(過去記事)より。
追伸
参考までに、2015年現在の全自動PC加工による柱と梁の仕口接合部の穴加工の実際もご覧あれ。
『あんどん』といいます。断面欠損だらけでしょ。/(-_-)\ (-_-;)
阪神淡路大震災(1995年)で断面積の小さい通し柱の断面欠損の危険性があれだけクローズアップされたにもかかわらず、20年後の現在でもこれだもの(+o+)。これ、全自動PC加工機メーカーが怠慢なのか、あるいは大量生産の為の設備投資額が巨大すぎて変更出来ない現実があるのか、はたまた無知なのか能力が無いのか。
阪神淡路大震災を経験している以上、これはもはや ”安かろう悪かろう” 木造住宅の構造の現実。
決して高品質とは言いません。
《建築基準法 第1条 【目的】 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。》 つまりネ、最低(最低限)の基準で国民の生命を保護することが第1番の目的。基準とは最低(最低限)にしか過ぎないわけです。
私は伝統大工です。1級建築士であり、1級建築施工管理技士です。設計士であり大工であるアーキテクト・カーペンターです。私が建て主さんから直に依頼を受けた設計では、最低(最低限)の基準でなどの次元の低い仕事は絶対にしません。”安かろう悪かろう”は絶対に作りません。
私が設計したN邸では『あんどん』は不採用。この危険極まりない断面欠損がPC加工されないよう、接合部の木組みと隠し金物使用方法の設計図・施工図を作成して、私自身が手加工併用PC工場担当者と打ち合わせを行い、高品質な構造材を加工して貰っています。そして、建て方にも参加。自身でも施工し監理して、高品質を実現し、建て主さんへの職能上の最大限の貢献を実践しています。
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隠し金物工法、設計(意匠・構造)承ります。
2016年7月14日【隠し金物工法、設計(意匠・構造)承ります。】を参考まで。