心にうつりゆくよしなしごと / 小嶋基弘建築アトリエ

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構造材現わしでの金物使用方法③比較

2015年04月25日 | 日記・エッセイ・コラム

隠し金物工法(小嶋式)、設計(意匠・構造)承ります。

2016年7月14日【隠し金物工法、設計(意匠・構造)承ります。】を参考まで。

 

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伝統大工による”隠し金物仕様”と、大量生産型全自動PC加工による金物仕様を比較してみましょう。

 

まずは大量生産型全自動PC加工による金物仕様。

柱に『座彫り(ざぼり)』といって、ボルトと座金の為の丸い穴をこの様にあけます。ここからボルトを挿入して、梁上端に彫った箱彫り内にセットする座金とナットに緊結して、柱と梁を接合するわけです。柱側の座彫りについては、現在の木造住宅の99%がこの方法なのではないだろうか?

 

次いで前回記事での伝統大工による ”ステルス金物仕様” つまり ”隠し金物仕様” 。

絶滅危惧種である伝統大工による、柱の断面積の小さい場合の柱と梁の接合部の仕様。

 

こうして比較してみると、建築のプロではない建て主さんにもその違いが歴然でしょ?

 

化粧面の木肌の美しさと強度・耐久性能を真摯に追求する伝統大工の知恵、丁寧で正直な仕事。片やコストダウンの為にはお構いなしに『必要悪』として見て見ぬふりをする、或いは理解すら出来ない木造関係者の氾濫する現在主流の大量生産型住宅の構造。

 

外壁に貫通穴があいていないということは、構造金物が結露を呼び込まないということ。つまり構造材の腐食が発生しにくいので超・高耐久性能を得やすいし、高気密化にとってもメリット大。何しろ木造高気密住宅では『目張りテープ・気密テープ』等を使ってわざわざ穴や隙間を塞ぐ仕事をするのだから(それもただ塞ぐだけで、座彫り穴に現場発泡ウレタン等の断熱剤も充填していないでしょ?)。

 

鉄骨的木造金物工法(Google画像検索より)】を採用したとしても、外壁の貫通穴はやはり発生してしまうし、耐久性能最上級である真壁構造の構造材現わしでは使い物にならないでしょうし。

 

2000年の建築基準法の大改正からおよそ15年。木造住宅の質の確保・向上は次のステップに進めるのでしょうか? 伝統大工はもはや絶滅危惧種ですよ。【2014年2月2日 国土交通省からのアンケート】(過去記事)より。

 

 

追伸

参考までに、2015年現在の全自動PC加工による柱と梁の仕口接合部の穴加工の実際もご覧あれ。

『あんどん』といいます。断面欠損だらけでしょ。/(-_-)\ (-_-;)

 

阪神淡路大震災(1995年)で断面積の小さい通し柱の断面欠損の危険性があれだけクローズアップされたにもかかわらず、20年後の現在でもこれだもの(+o+)。これ、全自動PC加工機メーカーが怠慢なのか、あるいは大量生産の為の設備投資額が巨大すぎて変更出来ない現実があるのか、はたまた無知なのか能力が無いのか。

 

阪神淡路大震災を経験している以上、これはもはや ”安かろう悪かろう” 木造住宅の構造の現実。

決して高品質とは言いません。

 

《建築基準法 第1条 【目的】  この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。》 つまりネ、最低(最低限)の基準で国民の生命を保護することが第1番の目的。基準とは最低(最低限)にしか過ぎないわけです。

 

私は伝統大工です。1級建築士であり、1級建築施工管理技士です。設計士であり大工であるアーキテクト・カーペンターです。私が建て主さんから直に依頼を受けた設計では、最低(最低限)の基準でなどの次元の低い仕事は絶対にしません。”安かろう悪かろう”は絶対に作りません。

 

私が設計したN邸では『あんどん』は不採用。この危険極まりない断面欠損がPC加工されないよう、接合部の木組みと隠し金物使用方法の設計図・施工図を作成して、私自身が手加工併用PC工場担当者と打ち合わせを行い、高品質な構造材を加工して貰っています。そして、建て方にも参加。自身でも施工し監理して、高品質を実現し、建て主さんへの職能上の最大限の貢献を実践しています。

 

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隠し金物工法、設計(意匠・構造)承ります。

2016年7月14日【隠し金物工法、設計(意匠・構造)承ります。】を参考まで。

 


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構造材現わしでの金物使用方法②

2015年04月11日 | 日記・エッセイ・コラム

隠し金物工法(小嶋式)、設計(意匠・構造)承ります。

2016年7月14日【隠し金物工法、設計(意匠・構造)承ります。】を参考まで。

 

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2012年7月27日【構造材現わしでの金物使用方法】記事の続編。

仕事の一環で、構造材現わしの化粧梁と化粧火打ちと化粧柱の取り合い部位の木組み模型を製作しました。

 

そこで、読者に質問(^-^)凸

どのように金物を使用しているのでしょうか? (^O^)

 

まず、下面の画像。実際の木造建築で下から見上げると、この様に見えます。

斜め材(ピーラー無垢材)が化粧火打ち、斜め材が接合するL字状の水平材(桧貼り集成材)が化粧梁、その水平材が接合する垂直材(桧貼り集成材)が柱に相当する木組み模型です。

 

材の化粧面である側面と下端(したば-材の下側のこと)には、金物を見せない様にしています。

木肌の美しさを台無しにさせない為と、熱伝導率の大きい金物が室内と屋外の熱橋(ヒートブリッジ)になるのを防ぎ、結露による構造材の耐久性低下を引き起こさない為にですね。 \_(・ω・`)

 

次に、上から見た画像。

5プライ集成の木口断面の見えている材が桧貼り集成材の化粧柱。L字状の材が化粧梁、斜め材が化粧火打ち。

化粧梁上端(うわば-材の上側のこと)の凹状の穴は大工が言うところの『箱彫り(はこぼり)』といって、ボルトを仕込む為のもの。内部にX方向Y方向共ボルト施工が見える。化粧梁は、この様に金物を隠して施工します。

材の断面寸法が小さい場合やローコスト工法の場合等の、木組みだけによらない場合、化粧柱に接合する化粧梁は、この様に確実にボルトで接合します。

箱彫りは、一般では幅2寸(6cm)×長さ2寸(6cm)×深さ2寸5分(7.5cm)~3寸(9cm)程の大きさ。但し私は可能な限り断面欠損を小さくする為に、幅5cm×長さ6cm×深さ7~8.5cmと小さくして穴加工します。

通常、材の上端は床張りで見えなくなるので、金物を仕込む為の工作面とする訳です。

ボルトに座金にナット(3山以上ボルトがナットから出てる!- 私は一級建築士であり、一級建築施工管理技士でもあります)にと、きっちり施工されていますでしょ(^-^)凸

と、まあ、全自動プレカットでもここまでは対応します。(箱彫りの幅5センチは対応しないけれど)

 

さて、ここからが本題。伝統大工の技法。

プロの大工の方でも (-_-;) ではないでしょうか?

 

化粧柱の何処にもボルトやら座金やらナット類の金物が無いでしょ \(◎o◎)/!

確実に箱彫り内部のボルトで梁と柱は緊結してありますよ~ (^-^)凸

 

ね、箱彫り内部のボルトの相方の金物が何処にも出て来て無いでしょ。 \_(・ω・`)

1枚目の画像を見返しても(・_ ・)ジーッ、下側にも金物は見えてないでしょ (-_-;)

 

実はステルス金物を使っているのです(笑・冗談)

 

興味のある方は、どのように金物を使用しているのか考えてみてください。 (^-^)

私からの回答は行いませんので、あしからずm(_ _)m

 

伝統大工は、強度と見え掛りの美しさを共に追求して、知恵を使います。(^-^)凸

 

隠し金物工法(小嶋式)、設計(意匠・構造)承ります。

2016年7月14日【隠し金物工法、設計(意匠・構造)承ります。】を参考まで。

 

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追伸

2005年9月5日【曲がった梁①】記事で取り上げていますが、私自身、人としての情操面から疑問を抱くフェイク桧。

1.2ミリ~3ミリ程度の桧単板貼り集成材といえども、桧の木目や木肌の美しさは無垢材と同じです。

私の設計では、使うことの無い製品です。今回の木組み模型は端材(処分する残材)で製作しました。

 

 

 

続・追伸(2015年5月30日)

先日、仕上げの美しさを見比べてみました。

 

★材料別仕上げの美しさ順  天然乾燥無垢材>人工乾燥無垢材>単板貼り集成材 

人工乾燥にかけると樹脂も一緒に飛んでしまうので、特に単板貼り集成材ではガラス面の様な艶・光沢はほとんど出ず、鉋屑に芳香は全く無し。

 

★道具別仕上げの美しさ順  手カンナ>機械式超仕上げカンナ

材への道具の調整力・追随力に差があるからか、伝統大工の技能の方が優れているようで、艶・光沢は手カンナの圧勝でした。

 

そこで訂正します。

『1.2ミリ~3ミリ程度の桧単板貼り集成材といえども、桧の木目や木肌の美しさは無垢材と同じです。』

⇒『1.2ミリ~3ミリ程度の桧単板貼り集成材といえども、桧の木目や木肌の美しさは無垢材と似ています。』

参考まで。

 


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2015年 桜の季節

2015年04月05日 | 日記

 2015年の桜の季節。

 

つぼみが咲いて、今年も我が家のバルコニーからは、この様な風景、光景が見られました。

 

 

春夏秋冬という季節の移ろい、朝・昼・夜といった一日の移ろい、そのとうとうとした時の流れの中、

桜を愛でることで、また一年が巡ってきたことを、しみじみと実感できる喜び。

 

 

桜のこの季節だけれど、私には何故かGeorgeWinstonの ”AUTUMN” という『Colors/Dance』という曲が、

シンクロします。

ピアノ・ソロの曲の響きの中に身をゆだねるのです。その響きは筝曲のよう。

夜桜や、花吹雪を見ながら、この曲を聴くのが私は大好き。

 

 

3月28日(土)には、親戚の結婚式に家族皆で招待されて、お祝いの席に臨席させて貰いました。

新郎に寄り添う新婦の手にも桜がありました。

とても素敵な結婚式でした。

家族皆で、おめでとう! お幸せにね!(^-^)

 

 

2015年の桜の季節も、多くの感動がありました♪

我が家では3人の子供の始業式が間近です