心にうつりゆくよしなしごと / 小嶋基弘建築アトリエ

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かんな掛け ♪~( ̄ε ̄)

2006年02月25日 | 日記・エッセイ・コラム

このところ設計関係の話題が続いていたので、【Let's enjoy 構造計算③ (^-^)v】に行く前に、大工の手仕事の話を少し。大工といえば、やっぱりこれでしょう、『かんな掛け』。

マスターすれば自然体で行える技能なのですが(もちろん技能に終着点は無いので、そういう意味では簡単である筈がないのですけれども)、こんなにシンプルな道具なのに、或る程度さえも出来る様になる迄ですら泣きたくなる程(;_;)難しいのですよ、これ。砥ぎ、鉋刃の調整、二枚鉋使用であれば裏金の調整、鉋台の調整、仕込みの調整、そして削りの実技等々、出来ない見習いにとっては、『俺は永遠に出来ないんじゃないだろうか…』と”へこまされて”、”ぼこぼこに”されちゃうんですよね~(x_x;)。私もそうでしたよ。ヽ(^^ )

ですけどね、毎日毎日砥ぎの練習を欠かさなかった者は、必ず出来るようになります。とにかく、大工実技にとっての”良い仕事”は、『砥ぎに始まって砥ぎに終わる』と言っても過言ではありません。大工自身の手の延長である鑿や鉋といった刃物が良く切れるということは、丁寧で美しい仕事が出来るということ。だから上手に砥げない大工は、絶対に良い仕事が出来ないのですね。ぶっつけ大工ではなく伝統大工を目指している人は避けて通れないハードルなので、今は出来ないけれども出来るようになった自分を信じて、ガンバレ!p(^-^)q  …そういう私もまだまだなので、偉そうなことは言えないのですけれども…

ということで、先週、ヒノキの柱を私が鉋掛けした時の画像です。二枚鉋で削りました。地金は生地、鋼(はがね)は青紙1号の2万円位の鉋です。【削ろう会】という、楽しみ(愉しみ?)ながら鉋削りを通して、大工お互いが切磋琢磨して技能向上と親睦を深めて盛り上げていきましょうや!という大会がありますが、そこに集うツワモノ達が出す鉋屑(彼らは”削り華”と呼んでいるようです)には到底及びませんけれども、まあ、20ミクロン位は行ってそうでしょ?でも、砥ぎがまだ全然ダメですね…

Kanna1 Kanna2

そしてこの ”手鉋仕上げ ” と ”サンディング仕上げ(ン百万円?ン千万円?もするマシンによる、紙やすり♯240+ウールバフ仕上げ)” とを比較してみると、

Kanna3 Kanna4 Kanna5 Kanna6

となります。番付け【つ五】が手鉋仕上げ、【A十二】がサンディング仕上げです。一目瞭然ですね。手鉋仕上げがいかに光沢に富み、シルクのような風合いを醸し出しているかが、所詮携帯カメラのエコノミー画像からでも感じとって貰えると思います。実際はもっと違うのですよ。ね、ホンモノって良いと思いませんか?。手間や時間やコストはかかってしまいますけれども、手仕事は、こんなにも美しいテクスチュアーを無垢の木から引き出すことが出来るのです。

注) サンディングマシンの名誉?の為に申し上げておきますが、ぶっつけ大工が削る”鉋まくら”はあるわ、”耳の筋”はあるわ、”逆目”はあるわ、”粉吹き”はあるわの鉋掛けと比べれば、それらが全く無い上に遥かに均質で美しい化粧面が得られます。ただ、伝統大工の技能と比べてしまうと、完全に見劣りするということです。しかしながら、木部の塗装仕上げを前提にするのならば、最も適した仕上げ方法と言えるでしょう。

追伸:シルクといえば、ボズ・スキャッグス/シルク・ディグリーズですね、私は。ミッドナイト・クルージングにはこのアルバムです!

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Let's enjoy 構造計算②  (^-^)v

2006年02月19日 | うんちく・小ネタ

ちょっと休んでる間に、私を除いて家族全員インフルエンザに罹ってしまって大変でした。『とにかく罹ったと思ったら、急いで病院!』との判断から、 深夜未明の3時に夜間救急の診察に行ったりと、妻も子供もつらくて苦しかったのですが、おかげ様で、今は平静を取り戻しつつあります。小さい子は本当に苦 しそうで、親として代われるものなら代わってあげたいですね。

何はともあれ、健康第一  p(^-^)q 感謝感謝。

 

さて、Let's enjoy 構造計算②ですね。構造計算書って、一体どういうものなのか?から紹介していきましょうか。くどいようですが、くれぐれもこの計算書は改定前のものなので、参考までに。

これは目次です。

今回はラスト【3. 8二次設計】の項が138ページとなっていて、結局148ページに及んで安全性を証明しています。

ここで行っている許容応力度計算法とは、部材の単位面積 当たりの応力(応力度という)が、限界に達していないかどうかをチェックする方法です。つまり、ある部材が1平方センチ当たり何kg(現在は単位が変わったので、何キロニュートン)まで耐えられるかを示し、部材に存在する応力度がその限界値以下であることを計算で確かめる方法です。

一般に木造二階建て住宅では、"本当は行ったほうが良い" のですが、簡便な耐力壁量とそのバランスの計算を行えば済むことになっています。例えばここでは【2.耐力壁の設計】の項で ”建築基準法施行令46条に定める” とありますけど、実はより正確には同87条および88条により計算しなければならないんですね。

何度も記事を書いてきましたけど、建築基準法は最低の基準を定めているに過ぎない訳でして、良いモノを造ろうと思うのでしたら、構造ではしっかり構造計算を行って、設計上の安全性を確認するべきだと私は思います。

また、品確法ではより詳細な令87条および88条により計算が誘導されていますので、設計をなりわいにされている方は必須ですね。

私は構造計算の専門家ではありませんから生意気かも知れませんが、令46条しかご存知無い設計者と令87条および88条や品確法による計算を習得された設計者とでは、同じ ”一級建築士” でもその力量に雲泥の差があります。過去記事 【間取りの現実2006年1月15日】 を見れば明らかでしょう!?

ちなみにここで私が令46条で行ったのは、たまたまです。分かり易く言うと、法令で定められた値ギリギリで設計しようとした場合、耐力壁量が令87 条および88条で計算した方が増える傾向があるのですが、私は令46条で計算しても安全率を高くして法令よりもかなり多くの耐力壁とそのバランスの良さを 構造設計するようにしていますので、令46条と令87条および88条の選択は特段意識していません。

私は法令ギリギリの設計はしません。もし依頼があったとしても、一級建築士として、そして棟梁をはじめ私を育ててくれた多くの先生から教わった良い モノを造ろうとする哲学と、気の強さというか芯の強さというか向こう見ずというか、意匠設計者に構造上の観点からNGを指摘して変更をして貰う様にしてい ます。ただ、下請けとして弱い立場にいる方にすれば、言いづらいのは確かですね。

でも、私も下請けです。ですけど、良いモノを造ろうとする熱意って、絶対に伝わるものですよ。そして、良い仕事って、絶対に誰かが理解してくれています。もしそれが伝わらないような取引先なのでしたら、それはご縁が無かったと考えた方が結局は因果応報です。『蓬(よもぎ)麻中に生ずれば 扶けずして 自ら直し 白砂泥中ありて 是と皆黒し』 といったところでしょうか (;¬_¬)

 

私は ”私の自宅を建てる” つもりで毎日の仕事をしています。

 

この時の依頼者もとても理解ある方で、私の主張を間取りに反映して下さって、建築主に再提案してくれました。

しかしながら私も体験しましたが、ここでも耐震偽装問題でクローズアップされている意匠・構造・設備それぞれの設計の弊害そのままの図式が成立しているのですね。

 

間取りを作成するだけでしたら、構造計画無視で誰でも出来ますよね。

 

つづく


Let's enjoy 構造計算①  (^-^)v

2006年02月06日 | うんちく・小ネタ

Keisan1 さて、間取りの現実を見た後は、危なくて仕方がないので、Let's calculate the structure.Φ(. _ . )  少し古い資料ですが、私が行った3階建て木造在来軸組み構法住宅の計算書を引っ張り出してきました。許容応力度計算法によるものです。この後2001年12月に計算法が改定されたので、参考までにということで。伝統構法には未対応ですけど。

ちなみに設計をなりわいとしている方は常識ですよね。まさか建築士の免許を持っているのに出来ない人はいないでしょうね?計算で安全性を確認したから、柱の上下率が10%でも間取りを設計出来た訳ですよね?

それに、設計士だけではなく、これからは大工も出来なきゃ!プレカットの仕事しか出来ないと、単純な蟻と鎌しか木組みを知らない大工になってしまうばかりか、必要な材成も???になってしまいますよ。

150ページ近くも難しそうな数字がびっしり記入されているので、取っ付きにくいのは確かですが、やってみれば、『なぁ~んだ、こんなもんか』となります!私がそうでした。大学を出ていない私が一級建築士の資格を初挑戦で取得したり、53種類以上の木組みが出来たり、化粧の棒隅や振れ隅の墨付けが出来たり、こうして構造計算書を作成出来るのだから、やる気があれば誰だって出来ますよ!ガンバレ(^-^)v

それでは、細かい話は次回以降に。


節分、そして立春

2006年02月04日 | 日記・エッセイ・コラム

Oniomen 二月三日の節分。我が家ではパパが早く帰宅して、家族みんなで豆撒きをしました。息子が幼稚園で作ってきた鬼のお面をかぶって、『鬼はぁ~そとぉ!福はぁ~うちい!』とニッコニコ威勢良く豆を撒く息子の楽しそうなこと ヾ(^▽^)ノ  娘はきょとんと、でもみんなの笑顔に囲まれるように、楽しそうにキャッキャッしてました (*⌒▽⌒*)

そして、夜が明けて、立春。冷たくて強い風が吹き続けたとても寒い立春の日だったけれど、早く暖かい春一番が吹かないかなぁ♪もう、蕗の薹はこんにちはしてるんでしょうね。