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心にうつりゆくよしなしごと / 小嶋基弘建築アトリエ

山あれば山を観る 雨の日は雨を聴く 春夏秋冬 あしたもよろし ゆうべもよろし

感性が澄んでいく。心地いいなぁ、ずーっと居たいなぁ、と思う。②

2024年06月19日 | 日記・エッセイ・コラム

遠く離れた地で、この古い写真を目にした時、私は懐かしくも切ない思いに駆られました。

清楚で、たおやかな、亜麻色の髪の乙女。歴代のイタリア大使のご家族の方でしょうか。

が、いつか何処かでお逢いしたような気がしたのです。

 

 

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例えると、《銀河鉄道の夜 監督:杉井ギサブロー 1985年》【新世界交響楽】より。

~BGMで新世界交響曲第二楽章がオーケストラ編成で流れている~

ジョバンニ  「あっ!?」  

女の子    「あら!?」

カムパネルラ 「なんだい?」

女の子    「男の子がいたの、小さな家の前にひとり」

カムパネルラ 「そうかい」

女の子    「私ね、あの子を知ってるわ」

ジョバンニ  「僕も、知ってる!」

カムパネルラ 「きっと、どこかで逢っているんだね」

ジョバンニ  「うん」

女の子    無言でうなずく

・・・

 

記憶とは曖昧なものでもあるけれど、同じ思いは、この物語中にも。

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古い写真の場所は、奥日光中禅寺湖畔《イタリア大使館別荘記念公園(HPはこちら)》。

2024年6月15日(土)この建築と周辺だけで、日がな一日、佇んでいました。

 

草木、深い森や山並み、透明な湖、カジカ蛙や野鳥の合唱、梢の葉擦れや湖面の波の音、

風の香り、季節感、ゆっくりと、とうとうと流れる時の感覚・・・、感じる、観じる。

 

均質で画一的な大量工業生産品で固められている現在の都市・住・生活環境では、

ここで得られる様な、心地良いゆらぎは無い。ほっこりとした気持ちにはならないなぁ。

 

人間が都市で生活していく為のノイズは、ここには無い。

そこで何かに急かされるこころのあり様は、ここでは無い。

 

感性が澄んでいく。おおらかな自然に包まれて。

森羅万象、平衡を感じる。魂もここでは中心に還っていく。土に還っていくようだ。

 

この環境、心地いいなぁ、ずーっと居たいなぁ、と思う。しみじみ。

 

建物を残してくれて、一般公開もしてくれて、イタリア大使館と栃木県に、心の底から感謝します。

 

 

大自然の只中、まさに環境と共生する建築。自然と一体となっていて、紛れもない数寄屋です。

設計者はアントニン・レーモンド(1888~1976)。1928年(昭和3年)創建 木造。

さすがデザインの国イタリアが選んだ建築家。魂のこもった設計は、溜息が出るほどに素晴らしい! 

自然の森にしか感じないほど、建築が環境と調和しています。意匠を凝らした外観なのに。

 

6月15日は栃木県民の日で、埼玉県民の私も入館無料でした。島根県からの老夫婦の方とご一緒に入館。

つくづく、

建築家の設計理念と意匠を受け入れた、デザインの国・文化先進国イタリアのものづくり精神には感銘を受けます。

外壁は、杉皮と屋根のこけら葺き(トントン葺き)に使用する薄板(椹:さわら)の面材と竹の押縁。

創建時の屋根は、こけら葺きだったようだ。軒天は、杉皮の面材と竹の押縁。軒の出も深い。

 

建材は全て建築地近辺の自然素材。地産地消の時代の家の作り方は、環境へのやさしさ最上級でしょう。

 

室内に入っても森の中に居る印象。内外装も、建築家として地元職人と意見交換して、設計したそうです。

 

居間と広縁は天井照明なし。心の豊かさの為に、部屋の隅々まで煌々と平板状に明るくする事を避けています。

 

私は懐かしの木造校舎で学んだ経験がありますが、教室と廊下と間仕切りの木製窓の空間構成を思い出します。

栃木県の計らいでイタリア製ソファは自由に座って良く、私、朝9時から夕方5時迄佇んで、心遊ばせていました。

設計次第で『こうも心豊かになれるものなのか!』 成れるものならイタリア大使になりたかった(笑)

建築家は、窓からの風景を【絵画】にデザインします。ピクチャーウインドウ②(2024年6月17日記事)

溜息が出るほど美しい。しかも肌に心地良く、優しいほのかな風が、窓を通して建物内を通り抜けています。

豊穣で至福の時を過ごすことが出来ました。建築でこれほど感動し、琴線に触れた事は、そうはありません。

次は盛夏、避暑を体験しに訪れたいと思っています。5月~11月までは無休とのこと。栃木県に感謝ですね。

 

参考過去記事:2012年7月7日【環境共生住宅の設計にあたり

 

【データ】

自宅を朝5時に125ccスクーターで出発。下道を走り、現地到着8時45分位。

朝9時の開館と同時に入館。食事時は一旦外出して湖畔のベンチで佇んだり、湖畔を散歩したり、

近隣のイギリス大使館別荘記念公園を見学に行く。その後また戻り、夕方5時の閉館まで佇む。

 

華厳の滝も戦場ヶ原も中禅寺湖も観光せず、日がな一日、ほぼイタリア大使館別荘記念公園内に居た。

埼玉県狭山市の帰宅は夜10時頃。

走行距離305.7km 消費ガソリン4.84L(770円) 燃費63.1km/L

 

 

 

 

 


ピクチャーウインドウ②

2024年06月17日 | 日記・エッセイ・コラム

額縁の中に豊かに拡がる交響詩、ピクチャーウインドウ。

ここまで美しいと、止観の為の窓ですね。 感じ、観じます。

 

建築からの眺めを遠近法的に立体構成させる設計手法を、借景といいます。

部屋内外の明度対比、屋外樹々の葉による陰翳、パースペクティヴ効果、素晴らしい!

 

風景を窓で切り取る事で、余韻が豊かな残響音を取り込み、豊穣の交響詩を響き出しています。

ウイーン・フィルハーモニーの奏でる音色を、絵画にしたような。

しかも肌に心地良く、優しいほのかな風が、建物内を通り抜けています。

人の五感とはこの様な環境からより多くを学習して、感じ取っていくものだと思うのです。

 

この窓、現在主流の工業製品の鋼製建具(アルミや樹脂サッシ)ではありません。

建具職人による木製建具。大工職人による敷居・鴨居・窓枠製作。私は懐かしい。

 

建物は《イタリア大使館別荘記念公園(HPはこちら)》

設計者はアントニン・レーモンド(1888~1976)。1928年(昭和3年)創建 木造。

感性が澄んでいく。心地いいなぁ、ずーっと居たいなぁ、と思う。②】(2024年6月19日記事)

 

1階居間からの眺め。湖面は中禅寺湖。  

電球色壁掛照明、室内外の明度対比、陰翳、連続感、高さ感覚、そしてヒューマンスケール。

何て素敵な設計なのだろう!

 

湖岸の木製デッキはヨットの桟橋。湖面にすぐに下りて行ける高低差と距離。

昭和初期、自動車の普及以前は、ここでは舟が生活の移動手段だったようです。

 

建物出隅部。

現在の住宅と異なり、【シェルター】感が突出していません。私はとても好き。

 

ここでは、美しいピアニッシモやニュアンスを聴き分けられると思います。例えば、

Schubert : Piano Sonata No.21 D.960   Wilhelm Kempff(Pf)

 

第二楽章『…それは神秘的な湖上にこだましている弔いの鐘の音のようであり、

聞いているうちに時間と空間が溶け合ってしまうような音である。…』解説者石井宏氏。

 

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さて、別の建築のピクチャーウインドウ。

 

「夏には外務省は日光に移る」の先鞭をつけた、奥日光中禅寺湖畔初の外国大使館別荘建築。

《イギリス大使館別荘記念公園(HPはこちら)》

 

建築主はアーネスト・サトウ(1843~1929)。1896年(明治29年)創建 木造

外交官だった彼の個人別荘だったのを、後年英国大使館別荘として使ってきた経緯との事。

 

湖面とテラスに8.5mの高低差があり、眺望もそれを考えて設計されているそうです。

【旧英国大使館別荘整備基本計画ー栃木県】pdfはこちら

 

1階。透明ガラスに ”ゆらぎ” があるのが分かりますか?

現在の大量生産工業化ガラス製法ではもう作れない、味のあるレトロガラス。

修復には、手仕事である吹きガラス製法で、このゆらぎガラスを作ったそうです。bravo!

 

2階。美術館で鑑賞する【絵画】のような印象のピクチャーウインドウ。

切り取られた風景の絵画的美しさ。18世紀英国のピクチャレスクの感性なのでしょうか。

 

2階。大使の部屋(居室)。現在のしつらえに通じるモダニズム意匠。

眺望が開ける広縁とは、敢えて明瞭に連続させない為に間仕切りの壁面を作るデザイン。

プライバシー重視設計のピクチャーウインドウだったのですね。

 

 

Beethoven : Sonate für Klavier Nr.14 "Sonata quasi una fantasia"

                   (Mondscheinsonate) cis-moll Op.27-2 Wilhelm Backhaus (Klavier)

「スイスのルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」を、ここでの月夜の湖面に感じるのでは。

 

或いは、Debussy : clair de lune(suite Bergamasque Ⅲ)。

 

 

 

 


感性が澄んでいく。心地いいなぁ、ずーっと居たいなぁ、と思う。①

2024年04月29日 | 日記・エッセイ・コラム

野の趣き、里地里山の景観、自然。

草木、森、田んぼと蛙の合唱、野鳥のさえずり、梢の重なり合う音やせせらぎの音、風の香り、季節感、

ゆっくりと、とうとうと流れる時の感覚・・・、感じる、観じる。

 

均質で画一的な大量工業生産品で固められている現代の都市・住・生活環境では、

ここで得られる様な、心地良いゆらぎは無い。ほっこりとした気持ちにはならないなぁ。

 

人間が都市で生活していく為のノイズは、ここには無い。

そこで何かに急かされるこころのあり様は、ここでは無い。

 

感性が澄んでいく。おおらかな自然に包まれて。

森羅万象、平衡を感じる。魂もここでは中心に還っていく。土に還っていくようだ。

 

この環境、心地いいなぁ、ずーっと居たいなぁ、と思う。しみじみ。

 

狭山市の自宅からスクーターで30分ほど、埼玉県と東京都にまたがる狭山丘陵。

そこはオオタカも棲息する森、多摩湖・狭山湖の水源を保護する森林が残り、

環境省の《生物多様性保全上重要な里地里山》に指定されている地域。

 

2024年4月27日(土)、その東京都側にある【狭山丘陵の6つの都立公園】のうち、

野山北・六道山公園》の里山民家・岸田んぼ・入谷戸で、たたずんできました。

 

パンフレットPDFはこちら

 

既にカエルの合唱に包まれた里山民家の景観。いいンですよね~ε-(´∀`*)ホッ

母屋(おもや)、蔵、周囲の緑、

そしてスタッフやボランティアの皆さんのウェルカムボード、素敵ですよね~ε-(´∀`*)ホッ

木組みの門。ヒューマンスケールで、いいよね~ε-(´∀`*)ホッ

母屋。江戸中後期の名主格の農村住居で、狭山丘陵南麓の民家を新築復元との事。

茅葺屋根、いいよね~ε-(´∀`*)ホッ  防火やメンテは大変だけど、いいものはいい!

真壁で土壁、いいよね~ε-(´∀`*)ホッ もちろん木舞下地。

古民家100年超の高耐久の秘訣のひとつ。

土間の三和土、いいよね~ε-(´∀`*)ホッ コンクリートやモルタルと質感がまるで違うし。

構造材現わしの渡腮梁組、いいよね~ε-(´∀`*)ホッ 古民家100年超の高耐久の秘訣のひとつ。

過去記事【2006年8月27日 わたりあご③】参考まで。

釘を使わない・釘に頼らない木組み、いいよね~ε-(´∀`*)ホッ 

古民家100年超の高耐久の秘訣のひとつ。

(かまど)、掛け花、一輪挿し、いいよね~ε-(´∀`*)ホッ

ちなみに、私が子供の頃、奈良県磯城郡の母の実家(おばあちゃんの家)は、まだ竈だった。

囲炉裏、いいよね~ε-(´∀`*)ホッ

陰影礼賛。いいよね~ε-(´∀`*)ホッ

映画の中の風景みたいで、いいよね~ε-(´∀`*)ホッ

『カチッ、カチッ、・・・』のんびりした時を刻む様な音のする柱時計。いいよね~ε-(´∀`*)ホッ

畳、漆喰土壁、床の間と生け花、竿縁天井、端午の節句の飾り、和服、いいよね~ε-(´∀`*)ホッ

縁側、和紙の明かり障子、板の雨戸、いいよね~ε-(´∀`*)ホッ

木造伝統構法の納め方のひとつ。自然石と栗の土台と柱と貫の小根ほぞ。木組み。

戸袋も木組み。木の臼は関東風。関西は石の臼が主流かな。土壁の風化具合がいい!

縁側下。床下の通風が縦横無尽に行われる作りが古民家100年超の高耐久の秘訣のひとつ。

現代の木造住宅はコンクリートの立ち上がりに土台を敷くので、床下にこもる湿気で短寿命。

深い軒の出、樋ではなく雨落ち。いいよね~ε-(´∀`*)ホッ  

古民家100年超の高耐久の秘訣のひとつ。

古民家といえども人工物。だけど、自然素材、生物材料を手塩にかけてハンドメイドで作ると、

どうしてこうも有機的なほっこり感が醸し出されるのか! 本当にいいよね~ε-(´∀`*)ホッ。

 

里山古民家の裏に広がる田んぼへ。入り谷戸へ散歩。

途中の木橋の上や、せせらぎに居た野鳥たち。

つがいで、そばで見ていて、ほっこり (*´ω`*)。

素晴らしい里地里山の環境で、とても癒されました。 ε-(´∀`*)ホッ

次回はウチの柴犬のふくを連れてこよう!

 

市町村レベルでも、野の趣きのある茅葺屋根の《あずまや》でいいので、

例えば市民農園や朝のラジオ体操兼ゲートボール場の様な身近な所にも整備してくれないかなぁ。

 

 

 


木組みによる隅木⑥振れ隅木(薬研・都市型)その3

2024年04月21日 | 日記・エッセイ・コラム

『化粧振れ隅木の製作承ります』(反り軒を除く木造一般住宅の振れ隅木関連材の手墨・手加工)。

 

☆振れ隅木編☆

2016/08/04【木組みによる隅木④振れ隅木(都市型)その1

2016/08/08【木組みによる隅木⑤振れ隅木(都市型)その2

2024/04/21【木組みによる隅木⑥振れ隅木(薬研・都市型)その3

 

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今回は薬研の振れ隅木(平角105×270×5200)。

つまり振れ谷木。

 

やはり機械プレカットでは出来ないので、口脇以外は全て手墨・手加工。

しかも、PC加工機のデフォルト設定に合わせるタスク。

 

さて、正多角形の谷木ではなく、純粋な振れ谷木。

薬研の振れ隅つまり振れ谷木は、どの伝統大工の墨付け(規矩術)参考書にも無いと思うし、

ましてやプレカット工場のデフォルト設定での解説なんて、ある訳ない。

 

そこへ渡り腮(木組み模型では大入れ)あり、棒隅(鎬)との仕口あり、(( ̄▽ ̄;;)ア、ハハハハ…

物凄く鬱陶しい((+_+))

 

さて、実際の小屋組の伏図

10.0寸と3.36寸の振れ谷木。棒隅は10.0寸。

 

毎度お馴染み『こまったちゃん( ◠‿◠ )』

【2016/08/04 木組みによる隅木④振れ隅木(都市型)その1】による物件。

谷ですよ、しかも平10.0寸急勾配(角度でいうと45度)の。

 

酸性雨に生命の危険を感じる豪雨に、雹(ひょう)や霰(あられ)や霙(みぞれ)や積雪等々、

降水の全てがこの谷に集中して、屋根を容赦なく浸食するというのに。

 

現在の日本の住宅の平均寿命26年のはるかはるか手前で雨漏りするのではないか?

建築主による実験住宅なのかな?

 

さて、βPC工場のデフォルト設定がこれ↓

口脇は峠の設定から決めていないのだ。

材幅、屋根勾配に関係なく、材芯からの距離22.5mmが共通。

 

但し、最大手のPC加工機メーカーA社のCAD・CAM連動だと、

峠の設定が手入力出来るんですけどね。

 

PC工場は、導入している工作機械とCADソフト及びその連動の有無の違いにより、

機械加工プレカットとはいえ、会社の技術レベルの違いが相当にあります。

 

生産の現場では、

加工機をドライブする専用CADと汎用CADの性能差・アウトプットが、そもそも歴然の違い。

ハッキリ言って、汎用CADは汎用建売住宅の為のソフト。応用が全く利かない。

 

ハードとソフトの両面で柔軟に対応出来る組織というのは、やはり高品質なモノ作り。

 

営業とCADオペ双方とコラボ出来、難解物件時は依頼者と打ち合わせも行えた柔軟なαPC工場と、

硬直した縦割り組織で、管理職が聞く耳を一切持たない(毎回短納期の強制)βPC工場とでは、

品質はαが優れていました。何しろβはミスが日常で、年間500万円以上のペナルティだもの

 

そのβによる、母屋が振れ隅木からこぼれるCAD入力(ミスだと思う)と、私の対応例。

『こぼれるけど、どうする?』と、手加工大工はCADオペに質問して対応をとる手順。

出来る側の大工が出来ない側のCADオペに対応策を指示して貰わなければならないという、

なんという技術レベルが低く、しかも硬直した縦割り組織。CADオペ、3Dレンダリングすら出来ないのか?

 

依頼主による構造計算等で材の寸法が決められてしまっているからか、あるいは、

CADオペの所要時間ノルマが原因理由なのかは、コラボ出来ない手加工大工にはわからない。

いずれにしても、βの品質管理システムと品質の証明。

 

ほとほとβでは、機械と組織に合わせる事の難しさ・面倒くささ・鬱陶しさを痛感しました。

よって今回はミスをしない為に、休日出勤をして、急所を網羅した木組み模型を製作したのです。

 

 

 

 

 

(@@;) でしょ!?  ( ☝`ิิω`ิิิ )☝どんだけぇ~

 

ンもう、言うこと無いよ、ホント。ホセメンドクセー(クレヨンしんちゃん観てください)。

この木組み模型により、私は今回も実物大の仮組みは行わずに、ノーミスでした。

 

薬研の形状、こんなんになっちゃいました。 βPC工場のデフォルト設定に合わせると。

 

垂木の拝みも、峠を手入力出来ないと、異勾配ではこの様な納まりになってしまうのだ。

数センチ単位で厳密に言えば、設計図書の最高高さと違う寸法になってしまっているのです。

 

更にこの物件を受注したβPC工場では、斜め材・登り梁・隅木関係等の構造金物は全て現場対応。

現場でのローコスト・ロープライスビルダーの対応の実態は、読者のご想像にお任せします。(゚∀゚ ;)

 

そもそも業界最大手γPC工場が、振れ隅木は100%現場対応(関係部材全て)。

そのおこぼれを狙っての営業戦略ですな、βPC工場。

 

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因みに、業界最大手γプレカット工場が100%現場に丸投げした、

パワービルダー(TVCMする会社)の振れ隅木(鎬)物件がこれ↓ 

105×360×4000材の振れ隅木と関連部材全てを現場対応って、

γPC工場もパワービルダーも、その無茶振りぶりは流石に業界最大手のパワー(ハラスメント)。

会社は、安さと棟数確保の為に『そんなの関係ねぇー、おっぱっぴー』ですな (^^♪

 

この建設現場では、無茶振りされたぶっつけ大工が逃げてしまったそうです。

ヤベ!!Σ(゚Д゚;≡≡≡≡≡ヾ(;゚д゚)/ニゲロ~!!  (そりゃそうだ。ぶつけるにも程がある。)

 

工期遅延(品質が悪い事よりも、これを最もパワービルダー管理職は戒める)で、

困り果てた現場監督が「当社(βPC工場)に泣きついて来た」と、営業が私に持って来て判明。

 

この時の業界最大手γPC工場のデフォルト設定がこれ。↓

峠ではないし、βPC工場とも異なる設定なんだよね~。

口脇の肩12が固定値。

 

これ、《全て材芯からの距離22.5mmが共通》よりも、旧式機械の設定なのだ。

業界最大手なので、てっきり最新設備による加工かと思いきや、違ったのネ。

 

で、この設定で検証してみたら、そもそも実現出来ない納まりである事が判明 ┐(-。ー;)┌ 

ヤレヤレ…  ヽ(゚~゚o)ノ  アキマヘンワ 

 

結局、私が彼らのレスキュー出動をして、1か月以上停滞していた現場が納まった次第。

まるで私、業界の山岳救助隊ですな。

 

振れ隅木の物件は、彼らにとっては毒饅頭とか毒キノコなんですよね。

棟数社是で、美味しさも束の間、無知な為に、自家中毒を引き起こしてるのだから。

 

そもそもパワービルダーとパワービルダー型プレカット工場というのは、

大量生産の為に汎用技術のみで低賃金従業者酷使の回転率で運用する技術ランクの低い集団なのだから、

高技術・高技能所持者にしか出来ない振れ隅木は受注しちゃダメでしょ。

 

国(国土交通省)は、技術ランクをA・B・C・Dの4つに区分(公共工事)して、

技術ランクの低い建設会社に高い技術が必要な高額物件を受注させないルールですよ!

 

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・・・ということで、

プレカット工作機械のデフォルト設定で平角振れ谷木を墨付けする事がどんなに面倒か、

読者の皆さん、木組み模型作ってみて! 今回記事は、作れた人だけが理解出来ます。\_(・ω・`)

 

 

 


大工と設計の2刀流 建築基準法・建築物省エネ法 設計等実務講習会

2024年01月08日 | 日記・エッセイ・コラム

2023年12月21日 於:さいたま市JA共済埼玉ビル

多忙極める((+_+))年末に、国土交通省主催の実務講習会を受講してきました。

 

この様なダイレクトメールが来ました。

講習会の案内。

私が受講したのは設計等実務講習会。

 

 

大工としてだけならば、断熱施工実技研修会のみで済むのだけれど、

墨付けと刻みが出来る大工かつ設計が出来る一級建築士の2刀流なので。

 

 

ちなみに大工として【断熱施工実技】も当然手抜かりはありません。

 

 

座学については、オンライン講座も用意されているのだけれど、

《重要なお知らせ》との事なので、今回は実際に講習会場へ行きました。

 

 

 

講習会当日、説明のあったテキスト。

構造編。

 

構造については、比較的規模の小さい木造住宅についても品質を担保する為に、

ペーパー建築士(や無資格なりすまし建築士)を排除する目的と思われる、 

”実務上作成しているはず” の重要書類の ”提出” が義務化されます。

 

 

その書類① 壁量計算書(壁量判定+四分割法判定)

私は、【2012年設計・N邸】の時点で、既に完全マスター済み。OK!

《手描きCAD(JWW)》にて設計・作図済。

 

 

この壁量計算、実は出来ない1級建築士と2級建築士、本当に多数います。

過去、主にパワービルダーが、この書類の提出義務が無いのを良い事に、

壁量を満たしていない大量の住宅を作っていて、社会問題になりました。

 

 

だからね、

安いのは、そうやって手間(人件費)を省くから安く出来る訳です。

 

 

その書類② 柱頭柱脚金物算定書(N値計算書)

①とセットになる書類で、軸組(柱と梁の骨組み)の接合強度を算定するもの。

 

私はこちらも【2012年設計・N邸】の時点で、既に完全マスター済み。OK!

軸組図も《手描きCAD(JWW)》にて設計・作図済。

 

このN値計算、これまた、出来ない1級建築士と2級建築士が多数です。

 

今回の改正は、《伏図=木造建築の構造図》が描けない(⇒構造を理解していない)

ペーパー建築士を建築行政が氾濫させてしまった反省から、採られた措置だと思われます。

 

残念なのは、伏図の提出が見送られた件。

一気にそこまで義務化してしまうと、建築棟数の急激落ち込みによる景気低迷を懸念したからでしょうか。

 

 

省エネ編

こちらは、地球温暖化・CO2削減から避けて通れない対応です。

毎年の様に異常気象が叫ばれていますから。

 

今回、創エネ住宅(ZEH:ゼロ・エネルギー・ハウス 等)迄はまだ踏み込んでいませんでしたが、

「いずれ段階的に規制の数値が厳しくなっていく」との当日講師の弁。

 

 

省エネ分野は【2012年設計・N邸】の時点で、

建設地の地域区分で最高等級の断熱性能を建築主に提案して採用され、設計施工しました。

但し、省エネ判定の為の書類作成&提出義務はありませんでした。

 

よって今回改正で国交省が準備している判定システムをマスターする事になります。

 

 

 

大工と設計の2刀流、日々勉強です 〆(._.)

 

 

 


すごい継ぎ手&仕口図鑑 Gakkenドゥーパ!誌で紹介されました。

2020年10月10日 | 日記・エッセイ・コラム

Gakkenドゥーパ!誌 2019年10月号【別冊付録】に、

私が作った木組み42種類が紹介されました。

自宅にて、取材が行われました。

 

 

Gakkenドゥーパ!誌 2019年10月号の表紙。

【すごい継ぎ手&仕口図鑑】は、この号の別冊付録です。

 

 

 

Q.そこで質問。

【すごい継ぎ手&仕口図鑑】で掲載されている木組みのうち、

この継ぎ手は、いったいどこで用いられている木組みでしょうか?

すごい建築のすごい部位で用いられている木組みなんですよ。

A.答え。

現存する世界最古の木造建築群である法隆寺西院伽藍の五重塔にある、

【心柱(しんばしら)】の継手でした。

 

 

この機会に、専門領域のお話を少し。

まずは、法隆寺五重塔(※Wikipediaによる)について。

 

現存する世界最古の木造建築は法隆寺金堂のようなので、

世界2位が法隆寺五重塔といえるようです。

 

いずれにしても、今からおよそ1300年前の飛鳥時代の建築。

 

不動産物件的に言えば、築1300年以上ですね。

(ちなみに現在の日本の木造住宅の平均寿命は26年です。)

 

最下部から最頂部まで、中心を貫く白抜きに見える1本の柱の様な構造が見られます。

これが心柱。

 

なんとこの心柱、他の構造部材と一切接合されていないのです。

独立したものとして建っています。

 

心柱とは、

ストゥーパ(サンスクリット語 ※Wikipediaによる)としての精神世界の中心。

ストゥーパは『卒塔婆』として、日本中で馴染んでいますね。

 

法隆寺五重塔の場合、この心柱の礎石内に、

仏舎利(※Wikipediaによる)を祀ってあった、精神世界の中心を象徴するものです。

 

そして断面図からも分かるように、建築としても、構造の中心。

だけど、独立した構造。

 

つまり、心柱こそが仏塔=ストゥーパ。

 

私、『芯』ではなくて『心』の字であることに、

惹きつけられるんですよね。

 

 

さて、ここからが、正に専門資料。

(購入する事が出来ないのです、この出版物。)

昭和16年から昭和27年にかけておこなわれた、

昭和の大修理(解体しての大掛かりな修理)の工事報告書です。

 

その中から、

法隆寺五重塔の心柱の継ぎ手の資料です。

これらの詳細は、

研究者かよほど興味のある人の目にしか触れない情報なのではないでしょうか。

 

木工・木造建築のプロである大工といっても、

宮大工の棟梁級の方しか得ていない情報かもしれません。

 

今からおよそ1350年前に法隆寺西院伽藍を作った人達による木組みを、

Gakkenドゥーパ!誌 2019年10月号別冊付録で、紹介しています。

 

 

追伸

同じく、ドゥーパ!から出版されている、

【木組みの種類 木工上達!継手テクニック(※過去記事2017年3月より)】では、

51種類の木組みが見ることができます。

 

私は日々ライフワークとして、

構造材現わしや木組みや漆喰などの左官壁、そしていぶし銀の屋根瓦といった、

フェイク建材では醸し出せない、

年月の経過と共に更に愛着の増す、木の住まいを追及しています。

 

 

追伸:2022年8月13日

國寶法隆寺五重塔修理工事報告ですが、

現在、復刻版として購入出来るみたいです。

 

 

 

 

 


令和元年度 改正建築物省エネ法説明会及び住宅省エネ技術講習会

2019年12月15日 | 日記・エッセイ・コラム

2019/12/13(金) 於:埼玉県熊谷市立文化センター文化会館

『改正建築物省エネ法に基く説明会・講習会』 を受講してきました。

 

 

 

 

私は 《伝統構法大工 兼 建築設計士》である一級建築士&一級建築施工管理技士なので、

こうして日々、研鑽を積んでいます。

 

 

 

1つの参考になればと、私は切に願っています。

 過去記事2012/06/11 【開放的な間取りのヒント】 が、こちら

 

手法は違えこそ、

『環境との共生』へ、いよいよ法律を改正してまで、社会が舵を切ったようです。

 

 


網戸の修理の連続 (+o+)

2018年07月07日 | 日記・エッセイ・コラム

今日は七夕、折角の休日。

我が家の飼い猫の ”みつ” に壊されてしまった網戸の修理。((+_+))

せっかく ”みつ” 用に猫用出入口を設けたのにぃ ヽ(`Д´)ノ

みつのヤツ、網戸によじ登って体重を掛けて壊して、それで室内に入るんだよね~。

 

これで4回目の修理(>_<)。 ⇒ つまり、休日毎(土日)に直し(T_T)

ま、私、何でもやる一級建築士ですからね。

ただ、網戸張替えのプロではないから、下手っピーですけど(^^ゞ

 

っつー事で、全張替えは回避出来て、補修で済みました。

一夏で、一体何回修理する事になるのだろう?

 

(=‘x‘=)みつぅ、ちゃんとここから出入りしてくれよなぁ~。(~_~;)

 


勉強しています 〆(._.)

2017年11月03日 | 日記・エッセイ・コラム

只今、勉強しております

 

木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年版)

私は伝統構法大工 兼 建築設計士である一級建築士です。

 

ちなみこの本、送料・代引込みで10,908円でした。 (´;ω;`)

講習会にも行って勉強したいんだけど・・・(´;ω;`) 、ま、独学しかないかo(^-^)o

 

追伸

今日、11月3日 文化の日は、航空自衛隊入間基地航空祭の日。

自宅のバルコニーから、ブルーインパルスの演目を観ました。

今日の私、発熱と咳の体調不良で、ダウン。

(ブログやってる場合じゃないンだけど)

 

そんな私にもハートの贈り物ですね。ありがとう。


DIY手作り木組み健康ベッドの引っ越し

2017年07月16日 | 日記・エッセイ・コラム

娘の要望で子供部屋を移動する事になり、休みの日曜朝から大汗

 

とはいっても、釘、ビス、接着剤を全く使っていない木組みだけなので、

”込み栓(こみせん)” さえ抜いてしまえば、楽ちん。

 

ご覧の通り。あっという間に単体パーツに戻せて、らくらく移動。

ふくも「何やってんだぁ~」って、興味津々。

 

で、あっという間に再組み立て。

ふくふく~ 暑いなぁ~

 

で、完成。

全て無垢材(全て建築端材利用)、接着剤完全不使用、無塗装。

 

つまり、シックハウスの元凶である揮発性有機化合物(VOC)の放散がゼロ。

正真正銘100%健康ベッド。

 

ホルムアルデヒド(発癌性あり)については、放散量F☆☆☆☆建材である構造用合板が0.3mg/L、構造用面材ダイライトが0.05mg/Lに対し、0mg/L、つまりゼロ。発癌性物質を含むシックハウス症候群の元凶物質を放散しないのです。

 

《シックハウス対策に係る技術的基準(政令・告示)について-国土交通省》が、こちら(PDF)

 

それに、この畳の畳表は熊本産の最上級いぐさを使って、地元の畳屋さんで設えて貰ったもの。

安かろう悪かろうの外国製畳、マラカイトグリーン(発癌性示唆物質)着色剤製品は、完全不使用。

 

私は一級建築士として、私が設計するものについて、

家族の健康と生命と財産を損ねるような住環境を、絶対に作りません。

 

・・・・・・その頃、みつは?

暑いにゃ~


杉の磨き丸太大黒柱+51cm成隅木+多角形振れ谷木

2017年06月05日 | 日記・エッセイ・コラム

中規模木造建築の構造。 しかもややこしい。(>_<)

 

大工として少々手の込んだ構造材の墨付けと加工を手掛けました

プレカット加工不可物件の手墨・手加工です。 o(^▽^)o

 

・杉の磨き丸太・末口30cm(図面値)×長さ6mの大黒柱

・幅12cm×成51cm×長さ9mベイマツ集成材の隅木3丁の大黒柱との接合部

・幅12cm×成42cm×長さ5mベイマツ集成材の隅木1丁の大黒柱との接合部

・幅12cm×成15cm×長さ6mのベイマツKD材の多角形振れ谷木2丁

 

このボリュームと難易度、『どんだけ~』って感じなのだ。 (^^ゞ 

専門家にしか理解不可なのだけどネ。\_(・ω・`) 

 

まずは杉の磨き丸太。納品時の材長は7m。吉野産との事。よく乾いておりました。

天井を張る意匠設計により、私、非化粧部分をまずは製材(木ごしらえ)してしまうのだ。

出来れば社寺の柱の様に正八角形が望ましいのだけれど、

更に簡単に労務コストダウンで、正角(しょうかく⇒正方形のこと)にしちゃいました。

 

それでも7寸角(21cm×21cm)断面あるんですよ、この木ごしらえ。

 

この部位に51cm成隅木3丁、42cm成隅木1丁が指物で掛かってくる納め方にしました。

背割れもあり、接合部の構造設計(木組みと金物)には神経を使います。(+o+)

構造金物はM16ボルトの上下2本引きに。M12の1本引きじゃないからね。

私は一級建築士です。構造安全性にぬかりはありませぬ。(o ̄∇ ̄o)♪

 

これが幅12cm×成51cm×長さ9mのベイマツ集成材の隅木。

私一人の人力では、起こそうにも、びくともしなかった(+o+)

今回、納期により、磨き丸太接合部以外は外注。

外注先にフンテガーがあるらしいんだけど、なぁ~んだ、肝心な部位は手加工じゃないの(・・;)  

 

さて、建て方。今回は私、立ち会って来ました。

トラスと一緒で、クレーンが使えるので、作業は巨大材慣れと共に、テキパキ。

構造金物も私は詳細施工図作成時に数量拾いをしてしまうので、現場で問題も無し。

 

奥が大梁隅木(平面で45度の角度⇒棒隅「ぼうずみ」という)、

手前の斜め登り梁が多角形振れ谷木(振れ⇒平面で45度以外の角度)。

フンテガーは棒隅の大梁隅木への母屋・登り梁・小屋梁は加工OKですね。

但し後述しますが、接合部形状による安全性については、改良の必要性、大です。

 

多角形振れ谷木といえども、私、ちゃんと寸法を出して、手墨・手加工します。

今回、振れ谷木の平面の振れ角は135÷2度、屋根勾配は4.0/10と2.5/10でした。

こんな谷木の断面形状、現場対応されても、現場の大工、困るよねぇ。(>_<)

 

振れ谷木頂部の拝み部。42cmの大梁隅木尻との取り合い。

縫いボルトも含め、現場対応一切無し。

 

私は一級建築士の伝統大工です。ですから、構造金物で確実に緊結します。

プレカット加工では隅木は載せるだけ、伝統大工以外の大工は施工は釘だけですよね?

私は、【大入れ兜による木組み+構造金物】で安全性最優先。

 

伝統大工の仕事には、《安かろう悪かろう》は、一切ありません。

 

さて、フンテガーによる大梁隅木と小屋梁接合部、 問題の部位。

あちゃ~/(-_-)\    木組みの木口、欠損しちゃってるやん(>_<)。

フンテガーといえども、小屋梁の大入れの横まくり、加工不可なんですね。

 

大入れのみとはいえ、水平力に対する木組み部耐力が、これではゼロ。つまり ”げんぞう”。

上下2本のM12ボルトのせん断力だけで持っているだけという、極めて望ましくない接合部。

 

意匠設計の矩計図では垂木下端及び隅木下端に直接軒天を貼る指示。

なので、外注先の手加工大工が「こりゃヤバイ」と僅かに残した部分も、

現場の大工は図面通りに欠き取ってしまうからです。

(付け加えて、隅木下端が薬研加工になっていないのは、外注先のダブルミス。)

 

つまりこれ、プレカット加工による瑕疵、欠陥構造なのだと私は考えます。

 

フンテガー及びプレカットCADソフトのSE、プログラマーの皆さま、

在来木組み凸凹加工の場合、改良の必要性が早急にあるのではないでしょうか?

 

いくら機械加工で安く早く省力化出来たとしても、構造安全性をないがしろにしては本末転倒です。

 

伝統大工からの老婆心ながら、申し添えさせていただきました。

乱文にて、ご容赦願います。

 

大工にとっててんこ盛りでしたね、今回の物件。配付垂木の依頼が無くて、ホッ(^^ゞ

無事、事無きを得て、ふぅ~ \(^^)/


木組みの種類 木工上達!継手テクニック

2017年03月03日 | 日記・エッセイ・コラム

木組み、51種類の紹介。

前回記事【2017年2月25日DIY手作りの木組み健康ベッド】の核心ですね。

 

2016年末、学研DIYシリーズ 『木工上達!継手テクニック』 での特集。

Gakken Mook DIY SERIES は、こちら(Google画像検索より)。

背後の木は ”天然乾燥” の杉。柔らかい印象がほんわかする、純日本の木。

ただ、建築の構造材で用いられる ”高温乾燥” では、この美しい質感は出ないんです。

 

今回の特集は、オールカラーでした。

過去記事も参考まで。

【2014年 3月 9日 釘を使わない大工さんの木組み51点の誌上展

【2013年11月10日 大工さんの木組み模型、誌上展

【2013年 9月17日 木組み模型の取材と撮影がありました

取材時の私、少々ロン毛であります (。◕‿◕。)

 

51種類の木組み。

分解・組み立ての4分割画像で、紹介。

製作者は私、小嶋基弘です。 (^^ゞ

全ての木組みに伝統の名称が付けられており、解説とコメントも私によります。

 

ここでの木組みは、今や、宮大工や数寄屋大工を主とする伝統大工の技術・技能。

現在主流の一般住宅や木工で用いられる汎用な技術・技能ではありません。

『なんちゃって木組み』って結構あるんですけどね。(^^ゞ

 

習得には、伝統大工の下に弟子入りして、厳しい修行の中から”盗む”しかないかな。

でも、学習意欲のある方には、是非DIY製作に挑戦して貰いたいなぁ o(^▽^)o

例えば、名称。『いすか』って、調べてみてください。この由来は感心もの。

(Google画像検索はこちら

 

名称からも歴然。

いにしえの人達は、自然や摂理を本当によく観察していたのですね。

例えば、飛鳥時代建立の法隆寺金堂の窓框の木組みを実際に製作してみて、

約1350年前の大工と、私、語り合ったような気がしました。

 

実際に製作してみると、その形状の背後にある精神性も感じ取れるはずです。

例えば仏教建築で仏様をお祀りする、須弥山(スメールセン)の象徴である須弥壇に用いる

『須弥留(車知留とも)』。それは『留(とめ)』という木組みの最上級仕事。

 

DIY製作してみて!( かなり難しいけれど(^^ゞ )。

工匠達が、何故これほどまでに意匠形態に魂を込めたかが理解されると思います。

 

例えば、法隆寺五重塔・心柱の継手、唐招提寺宝蔵・校倉の仕口、

大坂城大手門・控柱の継手といった、国宝等を形作っている木組み。

構造材現わしの建築では、建築意匠≒木工・大工技術といえます。

 

今の家では木を現わさないデザインが主流なので、木組みは何気ない日常生活からは

窺い知る事の出来ないものになってしまっています。残念だなぁ。

 

例えば東大寺南大門・柱と貫の四方差し仕口、社寺建築組み(ますぐみ、斗 栱(ときょう)とも)。

これが製作出来れば、あなたもちょっとだけ宮大工! 頑張って! o(^▽^)o

 

ちなみに、東大寺南大門の細部意匠。

母の分骨時に立ち寄った際、娘(小6)が彼女のタブレットで撮影した画像。

 

でしょ、建築意匠≒木工・大工技術。

ところで、我が家のお姉ちゃん、こんな画像撮ってたんだ。構図上手だね (^^ゞ 

 

さて、海を渡って台湾でしょうか、学研ムック DIYシリーズ『木工上達!継手テクニック』は、

『DIY系列:木工製作接合技巧提升圖解』として、販売されているようです。

私のブログには外国からの訪問者が増えているのですが、

海外で日本の伝統の木組みが紹介されているのですね。

 

日本人はあまり評価しないものの、外国(特に欧米だけど)で評価されると掌を返した様に飛び付く

『舶来付和雷同性』のある民族ですもんね、日本人は(^.^)。木組みも外国で評価される事を願っています。

 

大量生産大量消費だけが明るい未来ではないはずです。

かつての様に、しっかりとしたモノ作りとその行為者が正当に評価される未来を願ってやみません。

 

木工ファンの方、是非DIY製作で木組みにチャレンジしてみてください o(^▽^)o

 

 

 

追記

後年、時を経て、2020年10月10日付の記事になります。

ブログタイトル

【すごい継ぎ手&仕口図鑑 Gakkenドゥーパ!誌で紹介されました。】

リンクはこちら

この記事には、まずお目にかかれない貴重な情報をUPしてみました。

興味があれば覗いてみてください。

 


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DIY手作りの木組み健康ベッド

2017年02月25日 | 日記・エッセイ・コラム

時は遡って2009年。

私が大工仕事の合間に、まかないで製作した子供用2段ベッド。100%木組みで製作。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

時は流れて、2017年。

引っ越し後、娘の希望でベッドを移動する事になり、再解体して再組み立てを行いました。

釘やビスや接着剤を全く使っていない100%木組みなので、凸凹がたくさんあるのです。

 

私が設計施工した二段ベッド、上段と下段が分離出来る様にしてあり、これは上段部分。

材は桧、杉、ベイマツで、全て無垢。合板、接着剤は完全不使用の有害化学物質ゼロ。

ちょ~健康ベッドであります。一日24時間のうち、8時間近くをここで寝てるんだもの。

 

接合部木組み。上小根ほぞ、下小根ほぞ、込み栓。

私ら伝統大工からすると、当たり前の技術・技能であり、組み方です。

 

さて、骨組みが出来て、次は床板張り。床板も檜無垢板。つまり健康第一仕様。

手前の柵は今回中止。上段部を下段で使うので、腰掛けが出来る様にしました。

 

骨組み同様、床板も凸凹を加工してあります。『サネ』や『メチ』と呼ぶ木組み。

梁の側面には凹が彫ってあって、そこに床板(凸)を差し込むだけ。

 

柱の断面。檜無垢で、芯去り材。8寸角程度の大黒柱の落としを流用しました。

正にまかないの仕事でしょ。

柱に四方柾の木目が出るし、芯去り材は割れが出にくいのだ。(古代建築がそう)

 

で、完成 (^-^)v

床板は目透かしで、寝具の通気性にも配慮しています。

 

娘がこれを見て、『パパ、ありがとう!』と、ニッコニコでしたヽ(´▽`)/


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母さんの祭壇、俺作ったよ!

2017年02月23日 | 日記・エッセイ・コラム

母さん、ようやく母さんの祭壇を作ったよ。随分待たせちゃって、ごめんなぁ。

世界に1つだけだよ、これ。材料を除いて、全て俺の手製だからさ。

全て手鉋を掛けたから、光沢で輝いてるでしょ。金色(こんじき)世界、極楽浄土の象徴みたい?

なかなか作れなくて、ごめんなぁ、やっと出来たね。

全て無垢の檜だよ、俺が作った母さんの為の世界に1つだけの祭壇。

ヒノキの匂いが良い香りでしょ。そちらの世界へも芳香行ってる?

祭壇は家族の居るリビングに置いたからさ、輪の中にこれからもずっと居てくれよな。

こころを込めて、俺、作ったから。

市販品は絶対に考えられなかったな、どんなに高級品であっても。

だって、世界に1つだけじゃないし、俺のこころを100%込められないから。

 

妻も、毎日母さんの為に、お茶とお水を入れてくれてるよ。お花もね。

これからは、ここからずーっと、俺達家族の毎日を見守っていてください。

 

もうすぐ一周忌だね。

俺、奈良に行こうと思ってるよ。

 


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木組み:台持ち継ぎ6(小嶋式)

2016年09月02日 | 日記・エッセイ・コラム

木造建築・伝統構法の木組みのお話し。

いわゆる「釘(金物)を使わない伝統大工の木組み」。

 

《台持ち継ぎ》シリーズは、2012年8月25日【木組み:台持ち継ぎ5比較2】以来。

先日、私が手墨・手加工で製作したものの紹介。

 

読者で作ってみたい方、興味のある方、

2014年3月9日【釘を使わない大工さんの木組み51点の誌上展】共々、参考まで。

 

2012年8月 7日【木組み:台持ち継ぎ2実践型】の文章、

2012年8月21日【木組み:台持ち継ぎ4比較】の実践になります。

 

まず墨付け。材は地マツ。私は《台持ち継ぎ》は絶対に真継ぎでしか用いない。

元末、背と腹、曲がり、捻じれ、割れ、節、木目等、構造強度を最優先に、最適と思われるバランスで行う。

加工(刻み)修了後。地マツの新材はサクサク鑿や鋸や鉋が入るので、楽しい♪

ほぞは打ち抜き、メチ部を蟻にして銚子口を省略。略鎌部で《追っ掛け》の様に、接合強度を追求しない。

ブログ用画像を撮る為に、加工修了後に組んでみた。

見慣れない接合線が側面に出るので、構造材現わしの木組みの家では意匠上のポイントになる。

略鎌部(中央のS字状の部位)、《追っ掛け》の様に90度にして接合強度を出そうとしない。

なぜなら、接合面材幅が成(せい)使いの場合、斜め線が急勾配過ぎて、略鎌突起部が欠損してしまう為。

Jw_cad図の実践。柱と接合。ほぞが長く、斜めの切れ込み(楔道)がある。

「打ち抜きほぞ割楔(うちぬきほぞわりくさび)」という。

真継ぎでは、必然として、ほぞは打ち抜きになる。結果、ほぞによる耐震性が短ほぞに比べ格段に向上。

「打ち抜きほぞ」は5分(≒15ミリ)、梁の天端から出す。

 

天端から楔道に楔を打つ。楔は材料強度の大きい欅や樫等を使う。\_(・ω・`)これ大事

完全に楔を打ってしまうと抜けなくて困ってしまうので、今回はここまで。(楔って凄いっすよ、やってみて!)

画像の楔は欅。これを打つ事で上木と下木と柱の3材をいっぺんに緊結。

ほぞのメス側(穴の方)もテーパーを付けてあるのだよ~。楔を打ってオス側ほぞを開かせ、抜けなくさせる訳だ。

この技法で、柱頭金物は不要。但し筋違い等の計算により、金物の補強が必要になる場合もあるから注意。

以上、伝統の木組みはゆるゆるでは一切製作しません。ほぞ1つが大変重要な耐震要素になるからです。

 

「釘(金物)を使わない伝統大工の木組み」、組んでしまうと分からないその中身。

伝統大工の技術・技能は、全自動プレカット木組みに比べ、意匠性と耐震性が高いのが特徴。

 

ちなみに《台持ち継ぎ》は現在、シンプルな形状の単一でプレカットでも加工出来る様になってきています。

次回で、プレカット仕様と今回仕様を比較してみましょう。

 


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