ウィーン・フィルについて触れたなら、この管弦楽団についても触れなければならないでしょう。
B.P.O. Berlin Philharmonic Orchestra ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。
ちなみにウィーン・フィルは
V.P.O. Vienna Philharmonic Orchestra と紹介されていることが多く、この二つの管弦楽団をそれぞれ『ビーピーオー』、『ブイピーオー』と呼ぶことが多いです。
両者はクラシック音楽の世界をリードする二つの頂点ともいえる、途方も無い音の表現力を持つ管弦楽団です。
1996年10月17日 木曜日 19時。
コンサートホールでのベルリン・フィル実演を、私は初めて体験しました。
指揮はクラウディオ・アバドでした。カラヤン後の常任指揮者に就いたイタリア人指揮者です。
プログラムはマーラーの交響曲第2番《復活》でした。
大感動のウィーン・フィル初体験から4年。一流中の一流の音・音楽がどのようなものであるかを知った私には、個性の異なるもう一つの頂点のそれがどのようなものであるかが、大変興味あることでした。
或る意味、私は1940~50年代の頃まで遡って、ベルリン・フィルの音の血統を確かめたい気持ちでいたのです。
それは、この管弦楽団こそが、大指揮者フルトヴェングラーが常任指揮者として、途方も無い偉大な仕事を後世に残してくれた、唯一のものだったからです。
その点、ウィーン・フィルは1933年から常任指揮者制を採用していないので、一歩譲るでしょう。(1933年以前の短期間ですが、フルトヴェングラーは常任だった期間がありましたが…)
さて、プログラムのマーラーの交響曲第2番《復活》ですが、私はバーンスタイン/ニューヨーク・フィル盤(1987年盤)と、マーラー本人も指揮者としてウィーン・フィルを指揮(マーラーはV.P.O.常任指揮者でもあったのです)し、そのマーラーに師事したというワルター指揮による、ワルター/ウイーン・フィル盤(1948年盤)を聴きますが、前者の方が好きです。というか、ことマーラーの交響曲に限っては、バーンスタインの新チクルス盤以外は必要を感じ無いほど、バーンスタイン指揮の演奏が好きです。
ここでのバーンスタイン/ニューヨーク・フィルはその圧倒的表現が凄い!の一言なのですが、これら一連の表現を知ってのアバド/ベルリン・フィルの演奏はさていかに…と.。
今回もS席、料金は今回は三万円でした(^_^;
~♪
演奏はというと、タイトルにあるように、その壮麗さ、重厚さ等々に私は完全にKOされました。
ウィーン・フィルも凄かったけれど、やっぱりベルリン・フィルも凄かった。次元が違った。
だけど、指揮者は流麗さが身上と思えるアバドだったんですよね。決して”ゲルマン的”とかいうような音作りが真骨頂ではないと思われる彼の指揮にしてベルリン・フィルサウンドにKOだったわけで、とすると、音楽解釈や表現としてはバーンスタイン/ニューヨーク・フィル盤(1987年盤)はライブ録音なのだから、その演奏会場は想像に絶する音楽が展開されていたのでしょうねぇ。何しろCDで聴いていてもとてつもない音楽が再現されているのですから。
また、何はさて置き、カラヤン時代のベルリン・フィルサウンドを私はCDでしか知りませんし、ましてや私が生まれる遥か以前、フルトヴェングラー/ベルリン・ライヴと呼ばれる1942~1944年録音(昭和17~19年ですよ!)時のベルリン・フィルサウンドは一体全体、想像を絶する巨大な音楽だったのだなぁと思うと、感慨無量ですね。
ベルリン・フィルって恐ろしい程分厚くて、壮麗で、聴き手の魂をぐわっと鷲掴みにしてしまうような音と音楽を奏でてくれる管弦楽団です。アバド指揮にして、それはそれは音の圧力を会場で肌で感じることが出来るような音の威力でしたね。脱帽!
ちなみに私が聴いた時のベルリン・フィルには、第一ヴァイオリンで第一コンサートマスターに安永徹氏、ヴィオラに土屋邦雄氏という日本人メンバーが在籍しているのですよね。また、その後、第二ヴァイオリンとヴィオラに日本人女性演奏者が加入したそうです。
日本人だけの日本の管弦楽団で何故B.P.O.やV.P.O.に伍するような質の高いオーケストラって出来ないのでしょうか?サイトウキネンオーケストラが比較的高い評価を受けているようですけど、不思議です。
さて、ベルリン・フィルもこの秋、2002年アバドから常任指揮者をバトンタッチしたサイモン・ラトル指揮で、11月に来日して公演する予定です。秋はクラシック音楽が、空気が澄んで、良いんですよ(^o^) 私は子育てに時間と予算を重点配分しないといけないので、しばらくはコンサートホールへは行けそうにありません。それにしても会場のあの雰囲気、良いんですよねぇ。