時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

「国際競争力」、この紋所が目に入らぬか!

2008年10月08日 | 経済問題
総選挙が近いこともあって、日本が現在抱えている財政赤字、高齢者医療制度、非正規雇用の増加に伴う格差の拡大などがマスコミの話題に上っている。
しかし、その帰結はというと、発想は極めて貧困である。
財源問題に話が及ぶと、与党はもちろんのこと、野党第一党の民主党までが、無駄を省き、それでも足りないので、消費税増税は止むを得ない、という結論になる。
どうも財源が足りないのではなく、与野党ともに、法人税などの企業課税や資産家への課税という発想そのものが足りないとしか言いようがない。
その根底にあるのは、「国際競争に負けていいのか!」という財界、大企業による「脅し」である。
視聴者参加のテレビでの討論番組などを見ていても、普通のサラリーマンが、法人税の定率減税を廃止するなどの法人税増税を行うと、「大企業は海外に出て行ってしまう」、「国際競争力が低下する」、「国際競争に負けてしまう」といった発言が飛び出す。
別に、会社の経営者でも何でもない一介の若手サラリーマンが、本気で「国際競争力」の低下を心配するご時世なのかと驚くと同時に嘆かわしいばかりである。
もし、本当にそうならば、日本の大企業はとっくの昔に日本から出て行っているはずだ。法人税は、昔はもっと高かったのだから。それでも日本に本社や工場を置くのは、日本の治安が良く、優秀な人材が確保できるからである。
他国に工場を作っても、政情不安によって、工場そのものを閉鎖しなければならなくなるかもしれない。また、いつその国での法人税が引き上げられるかもわからない。品質にも不安がよぎる。人材の育成も大変である。
法人税額よりも、むしろ、現在のような非正規雇用の増加によって、今後の優秀な人材の不足こそ心配すべきであろう。大企業自身が進めてきた正規雇用者の非正規雇用への置き換えによって、ますます人材の不足が進むだろう。
しかし、財界、大企業がいつも引き合いに出す「国際競争力」という紋所の効果が、ここまで広く、深く根を張っているという現実に驚きを禁じえない。
この紋所の本質を冷静に分析する必要があるのではなかろうか。


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