時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

再び、バイオエネルギーを考える

2007年04月05日 | 環境・食料問題
ガソリンの年間消費量を10年間で20%削減するという目標を掲げたブッシュ米大統領が、米3大自動車メーカーの首脳と会談し、代替燃料バイオ・エタノールの普及拡大に努める考えで一致したという。
しかし、原料となるトウモロコシの価格が高騰し、エタノールが普及しても温室効果ガスの削減効果は限定的という見方も出るなど、石油依存体質からの脱却と地球温暖化対策の“切り札”に早くも疑問が噴出している。
しかも、米再生可能燃料協会によると、トウモロコシ原料のエタノール生産は現在建設中のプラントが完成しても年114億ガロン程度が限界。トウモロコシの全生産量を投入しても、ガソリン消費を12%減らすだけだという。トウモロコシ価格の高騰によって、「農家が小麦など他の作物からトウモロコシ生産に次々と切り替えている」と米農務省エネルギー政策局は指摘しており、「エタノール・インフレ」とも呼ぶべき物価上昇を招いている。
以前にも本紙で述べておいたことだが、本来人間や家畜の食料とすべき穀物をエタノール生産に回してでも、現在の車社会を維持しなければならないのだろうか?
国連の資料によると、世界で12億近くの人々が、1日1ドル以下で暮らしており、8億4千万人が飢餓に苦しみ、毎日2万4,000人が命を落としていると言われている。
1日1ドル以下で暮らす人の数と飢餓に苦しむ人の数を2015年までに半減する、という国連の取り組みを考慮すると、トウモロコシをエタノールに変えてまで、車社会を維持しようとする社会のあり方というのは、いかがなものであろう。
しかも、そういう政策を打ち出した途端に、穀物価格が10~20%も上昇しているというのだから、異常というほかはない。また、穀物価格の上昇は、そのまま家畜の飼料代の高騰につながり、肉だけでなく、鶏卵、牛乳などの価格高騰を招くに違いない。
代替エネルギーを模索するならば、廃材や間伐材からのエタノール生産などを模索すべきであろう。願わくは、自然や生物、人間社会への負荷の少ない太陽エネルギーや風力、水力などの自然エネルギーのように再生可能なエネルギーの利用促進がカギではなかろうか。
現代の技術力を駆使すれば、地球環境にやさしく、飢餓や貧困からの脱却も可能な社会の実現は可能であると確信している。

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