時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

自民税調が「証券優遇税制」再延長方針、公明と調整へ

2007年11月10日 | 政治問題
自民党税制調査会(津島雄二会長)は、上場企業の株式売却益や配当にかかる税率を本来の20%から10%に軽減している「証券優遇税制」を、1年間の制度延長が終わる2008年度以降も再延長する方針を固めた。
12月中旬にまとめる与党税制改正大綱に向け、公明党との調整に入ると報じられている。
わずかな預金利息にすら、20%の税金を掛けている一方で、株取引には破格の優遇を行うというのはいかがなものだろう。
政府は、この優遇税制の再延長の理由として、米国の低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」問題で世界的な金融市場の動揺が続いており、株価の下落が続いていることを上げている。
しかし、株価だけを安定させておけば、実体経済が改善するとでも思っているのだろうか。
今回の優遇税制の継続は、単なる「株価吊り上げ策」に他ならない、まったくの愚策である。
同時に、自公政権が続けている法人税の定率減税とともに、この優遇税制は、大企業や資産家を応援するためだけの政策であり、この政権の目がどこを向いているのかを如実に物語っている。
一般庶民の中にも、多少の株を買っている人もいるだろう。そういう人は、この優遇税制を歓迎するかもしれないが、庶民のたかが数10万、数100万円の株でのもうけを考えて、政府はこの税制の延長を提案しているのではない。
昨年、株式等譲渡益の申告をした31万4163人のうち、1億円以上の申告所得があった人はこのうちわずか1.6%、5024人である。そしてこの5024人の株式等譲渡益は、総額2兆6519億円のうち、1兆5005億円と実に56.6%を占めている。31万4163人のうちのたった1.6%の資産家が56.6%の譲渡益を手にしており、この5024人の実質的な減税額は、1500億円にのぼるのである。
優遇税制延長のターゲットは、数億円、数10億円ものもうけを上げている超富裕層に他ならない。
この優遇税制の一方で、所得税や住民税の定率減税は廃止され、年金などの保険料の自動的な値上げで、庶民はじわじわと搾り取られているだけである。
株で少しばかりもうけている一般庶民も、この点だけは正しく認識して欲しいと思っている。