時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

もう石原慎太郎への幻想は捨てよう

2007年02月07日 | 政治問題
朝日新聞社が、今春の東京都知事選への3選出馬を表明した石原慎太郎(74)について、都民を対象とした世論調査をした結果、支持率は53%で、これまでの調査で最も低くなったという。
3選出馬の理由の一つに挙げる五輪の東京開催については、賛成が54%で、反対の39%を上回った。だが、海外出張費など公金の使い方や、知事の四男が都の文化事業に関与することに6割以上が「適切でない」と答え、こうした点が支持率に影響したとみられると分析されている。
石原知事の支持率は、就任して3年たった2002年4月の調査(78%)が最も高く、それ以後は減少傾向にあるらしい。今回の結果は、05年6月の前回調査(61%)よりさらに下がっている。一方、「支持しない」は35%と、これまでで最も高かったそうだ。
豪華海外視察や知事交際費を巡る住民訴訟で、知事側一部敗訴の判決が相次いだ。公金の使い方は「適切だ」の19%に対して「適切でない」は64%。また、四男の都政への関与は「適切だ」が18%、「適切でない」が63%であり、都民の健全な一面もうかがえる調査結果だ。
さて、3選出馬の最大の目玉商品である東京五輪の開催を支持する声が多いことにやや驚いている。景気回復の起爆剤になれば、という都民の期待の表われであろうか。
編集長も、五輪招致そのものを否定するつもりはまったくないが、招致にかこつけて、道路整備や五輪のメディアセンター建設予定地である築地市場の豊洲への移転などの大規模開発が進むことを懸念している。
特に、築地市場の移転先の豊洲は、東京ガスが石炭からガスを製造していた工場跡地であり、調査の結果、土壌汚染が深刻でとても生鮮品の市場などが作れる場所ではないのだ。
発がん性物質のベンゼンは、環境基準の1500倍、砒素は49倍、検出されないことが基準のシアンが49mg/Lと極めて深刻なものである。このほかにも、環境基準を大幅に上回るクロムなどの重金属が検出されている。にもかかわらず、東京都は、これらの汚染土壌を除去せずに、上から土を盛るだけの処理で済ませて、この上に新しい市場を建設しようとしているのだ。
雨水などの浸透によって、汚染土壌、地下水汚染が近隣に拡大することはもちろん、汚染物質が表層に現れることもけっして否定できない。
環境学会などのアカデミアはもちろんのこと、TBSの「噂の東京マガジン」など、マスコミでも大きな問題として取り上げられてきた大問題なのだ。専門家も、現代の科学では、これらの汚染物質を完全に封じこめることはできないと述べている。
石原慎太郎がめざしていることは、五輪の開催ではない。
五輪の開催にかこつけて、自民党流の大型開発を進めて、大企業を喜ばせたいだけなのだ。
五輪と同様に、威勢良くぶち上げた「新銀行東京」も、年を経るごとに赤字が拡大し、結局は近い将来に都民の税金で穴埋めをすることになるだろう。
多くの都民は、石原慎太郎に漠然としたリーダーシップを期待しているのだろうが、それは幻想である。彼は、ただの年老いた独裁者、妄想家にすぎない。
石原慎太郎への根拠のない幻想をキッパリと捨てる時であることを読者諸兄に申し上げておきたい。