[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑] (2021年07月04日[日])
マガジン9の記事【伊藤塾 明日の法律家講座レポート なぜ原発を止めたのか~原発の危険性について真剣に議論しよう! 講師:樋口英明氏】(https://maga9.jp/210630-6/)。
《2014年5月21日、福井地裁の裁判長として大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を出した樋口英明元裁判官。「原発事故によって放射性物質が拡散され生命を守り生活を維持することが困難となる危険があれば、人格権に基づいて原発の運転の差し止めを求めることができる」と話します。原発の危険性とは何か、大飯原発の運転差し止め判決に至った理由について詳しく説明してくださいました。[2021年5月29日@渋谷本校]》。
《3・11を経験した私たちの責任 最後に責任について話したいと思います。…最後に、キング牧師の教訓に満ちた言葉を紹介します。〈究極の悲劇は、悪人の圧政や残酷さではなく、善人の沈黙である。結局、我々は敵の言葉ではなく、友人の沈黙を覚えているものなのだ。問題に対して沈黙を決め込むようになったとき我々の命は終わりに向かい始める〉》。
反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから…。《これは高度な専門技術訴訟ではなく、理性と良識を働かせれば判断できること》。《全ての原発が全く見当外れの低い耐震性で建てられたことが、我々の世代になって初めてわかったのです。こうした原発を後世の人々に押しつけるわけにはいきません。今の時代で解決しなければならない問題です》。
(樋口英明さん)《私が大飯原発を止めた理由は4つです。…ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》。
樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法”にかかってしまう》必要などない。
《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。
『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》』
『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》』
『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》』
《二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力
大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した。
今も自分が正しいと確信を持っている。大飯原発の基準地震動
(耐震設計上の想定の揺れ)は七〇〇ガル(揺れの勢いを示す加速度の
単位)で、重大事故につながる限界点は一・八倍の一二六〇ガルだと
関電は主張していた。私は裁判前は、三〇〇〇ガルのような強い揺れに
原発が耐えられるかどうかが争点になると予想していた。ところがふたを
開けてみれば、一二六〇ガルが来たらおしまいだというのは争いが
なかった。主な争点は「敷地内に一二六〇ガルを超える地震は来ない」
という関電の主張の信用性だった。それが争点なら難しい工学的判断は
不要で、理性と良識があれば簡単に解ける問題となる。地震大国の
日本では、原発で基準地震動を超える地震が頻発しており、大飯も
「ロシアンルーレット」状態だった。日本の国策は「安全な原発を
動かす」であって、「何が何でも動かす」ではない。私の「極めて
危険だから動かしてはいけない」という判断は、国策にも忠実だった
と思っている。仮に私が日本原子力発電(原電)東海第二原発の
差し止め訴訟を指揮するなら、ポイントは三つあると思う。一つは、
基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか。
これは他の原発と共通の問題だ》
『●反核発電に、高度な工学的知識は不要である…(樋口英明さん)
《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから』
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【https://maga9.jp/210630-6/】
伊藤塾 明日の法律家講座レポート
なぜ原発を止めたのか~原発の危険性について真剣に議論しよう! 講師:樋口英明氏
By マガジン9編集部 2021年6月30日
2014年5月21日、福井地裁の裁判長として大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を出した樋口英明元裁判官。「原発事故によって放射性物質が拡散され生命を守り生活を維持することが困難となる危険があれば、人格権に基づいて原発の運転の差し止めを求めることができる」と話します。原発の危険性とは何か、大飯原発の運転差し止め判決に至った理由について詳しく説明してくださいました。[2021年5月29日@渋谷本校]
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大飯原発差し止め判決の理由
2014年5月21日、私は福井県にある大飯原発3、4号機の運転差し止め判決を下しました。当日、判決内容を事前に知っていたのは、裁判官3人と書記官1人だけです。福井地方裁判所の所長も、最高裁判所の長官も、原告側も、どんな判決が出るか知りませんでした。しかし、被告側は弁護士も含めて誰一人として法廷に来ませんでした。自分たちが負けると分かっていたから来なかったのです。
私は訴えが提起された当初から「大飯原発が危険だと思ったら止める。思わなかったら止めない」と言っていました。その言葉に従って裁判を進めてきました。関西電力の弁護士たちは、大飯原発が危険かどうかで判断されたら負けるとわかっていたんです。
みなさんは「原発が危険かどうかで再稼働の可否を判断するのは当たり前」と思うでしょう。しかし、多くの裁判では「原子力規制委員会が定める規制基準に施設や地盤が適合しているかどうか」で判断していて、原発が危険かどうかで判断しているわけではありません。私は「大飯原発が危険かどうか」を考えて運転差し止めを決めました。極めて当たり前の裁判をしただけだと思っています。
「危険」には2つの意味があります。たとえばお母さんが子どもに「そこの交差点は見通しが悪くて危険だから気をつけてね」と言う場合の危険は、「事故発生確率が高い」ということです。他方、「自転車で行くんだったら、危険だからヘルメットをかぶってね」と言うときの危険は、先ほどとは違います。ヘルメットをかぶってもかぶらなくても事故発生確率は変わらない。お母さんが心配しているのは、事故で子どもが頭を打って大怪我をすることです。要するに「被害が大きい」ことを危険と言ってるんです。「危険」というときには、この2つのどちらの意味かを考えなくてはいけません。
福島第一原発事故で明らかになったことは、被害の大きさでした。しかし、本当の意味での被害の大きさを知っている人は多くありません。いったい何が起きていたのか、これは原発の仕組みに関係しています。
原発は停電しても断水してもダメ
原発には牛乳瓶みたいな形をした格納容器があり、そのなかに原子炉圧力容器があります。この圧力容器のなかにウラン燃料が入っていて、水に漬けてあります。ウラン燃料の熱で水が沸騰して蒸気が発生し、それでタービンを回して発電しています。
火力発電所も仕組みは一緒です。石油を燃やして水を沸騰させて蒸気でタービンを回しています。しかし、原発と火力発電所では大きな違いが2つあります。ひとつは、原発の格納容器の中には広島型原爆1千発分の「死の灰」が含まれていることです。これが大きな違いです。もう一つはエネルギー量の違いですね。
火力発電所であれば、地震に襲われたら火を止めます。火を止めたら、その瞬間に沸騰しなくなります。原発は、制御棒をウラン燃料の間に差し込んで核分裂反応を止めても、沸騰が続いてしまいます。沸騰が続くとどうなるか。ウラン燃料が頭を出して、溶け落ちてしまいます。溶け落ちないようにするには、ウラン燃料を水と電気で冷やし続けなければいけない。
要するに、火力発電所は地震が来ても火を止めた瞬間に安全になります。しかし、原発は停電してもダメ、断水してもダメ。水と電気でウラン燃料を冷やし続けない限りメルトダウンするのです。ですから、福島第一原発は津波で停電しただけで、あんな大事故になったのです。これが原発の一番厄介なところです。
運よく助かったのは、欠陥があったから
福島第一原発では最悪の事故が起きた、とほとんどの人が思っていますが、実はそうではありませんでした。数々の信じられないような奇跡に救われていました。
まずは「2号機の奇跡」です。2号機はメルトダウンして格納容器が水蒸気と水素でいっぱいになりました。そうなると、「ベント」といって圧力を抜くしかありません。圧力を抜けば放射性物質が出てしまいますが、圧力を抜かなければ格納容器ごと破裂してしまうからです。しかし、当時は停電していたので自動ではベントができません。放射能を浴びてしまうので人間が行ってバルブを回すこともできない。要するに何もできませんでした。
3月15日になると、2号機の格納容器には設計基準の倍ほどの圧力がかかっていました。当時の福島第一原発の吉田所長は、「2号機の格納容器が爆発すれば、放射性物質をまき散らしてしまう。そうなれば東日本壊滅だろう」と思ったそうです。しかし、格納容器は爆発しませんでした。その理由は「よく分からない」のです。
どこか格納容器に弱い部分があって、そこから圧力が抜けたのでしょう。そんなことは絶対にあってはいけないことです。格納容器というのは放射性物質を閉じ込めるために本当に丈夫なものでなければいけません。だけど丈夫ではなかった。いわば2号機は欠陥機であったが故に助かった。これが「2号機の奇跡」です。
奇跡が重なって免れた「東日本壊滅」
さらに4号機でも奇跡がありました。4号機は当時発電しておらず、核燃料が装着されていませんでした。長年の運転で核燃料のエネルギー量が落ちていて、シュラウドという核燃料を入れておく場所も傷んできたので、取り替え工事を行っていました。その工事のために、原子炉ウェルというところに、水がいっぱい張ってありました。
3月11日に停電して、4号機の使用済み核燃料を冷やすための循環水がうまく回らなくなりましたが、エネルギー量が落ちていたために、その日のうちにはメルトダウンしませんでした。しかし、4日もすれば貯蔵プールの水が減って使用済み核燃料が頭を出します。そうなればメルトダウンする。そうなると、福島第一原発から250kmが避難区域になる可能性がありました。東京も含まれています。
しかし今、我々は東京に住めます。なぜかというと、原子炉ウェルと貯蔵プールの仕切りがずれたからです。ずれたことで原子炉ウェルの水が貯蔵プールに入り、メルトダウンを防ぎました。仕切りがずれた原因は今も不明です。本来は震災4日前に原子炉ウェルの水を抜き取る予定だったのですが、工事が遅れていたので水があったのです。ほとんど神がかり的です。さらに、貯蔵プールの上で水素爆発が起きて屋根が吹き飛んだために、放水車を使って破れた天井から水を注入することができました。
実際には、ほかにもさまざまな奇跡が重なりました。いくつも起きた奇跡のうち、ひとつでも欠けていれば東日本は壊滅していたのです。これが、本当の福島原発事故の被害の大きさです。
原発は地震に耐えられるのか
こういう話をすると、多くの人は「それだけ被害が大きなものなら、それなりに事故発生確率も抑えてあるはずだ」と思ってしまいます。たとえば時速300キロで走る新幹線がトラックなどと衝突したら大惨事になりますよね。ですから、そうならないように踏切をなくしています。世の中のものは大抵そうなっているので、「原発での大きな事故は滅多に起きないだろう」と考えてしまうのです。でも、本当にそうでしょうか。
先ほど話したように、原発は停電しても断水しても過酷事故につながります。停電や断水をもたらす一番大きな要因は地震です。配電や配管に関する耐震性が高ければ、原発の事故発生確率も低くなります。では、2000年以降の主な地震の強さと原発施設の耐震性で確認してみましょう。地震の大きさは「マグニチュード」、強さは「震度」で表すことが多いですが、震度は7までしかないので耐震設計では「ガル」という単位を使います。ガルは震度と同じく地震の揺れの強さを測る単位です。
2000年以降の地震でいうと、2016年の熊本地震はマグニチュード7.3、1740ガルでした。一番高いものは2008年の岩手宮城内陸地震で、マグニチュード7.2、4022ガルです。わが国は地震大国ですが、2000年まで地震観測網がありませんでした。全国に地震計を置くようになったのは阪神・淡路大震災以降なので、それ以前はまともな資料がないのです。
次に、原発施設の耐震性ですが、私が判決した大飯原発3・4号機の耐震性(基準地震動)は405ガルで設計されていました。3・11当時には、なぜか700ガルに上がっています。大飯原発だけではありません。福島第一原発は建設当時270ガル、3・11当時は600ガルです。東海第二原発は、建設当時270ガル、3・11のときは600ガルで、今は1009ガルです。いずれも老朽化するに従って耐震性が上がっていくという不思議な現象が起きてます。それでもこの程度の耐震性しかありません。巨大地震が原発を襲ったらもう絶望的です。
巨大地震というのは大体マグニチュード8以上をいいますが、この耐震性ではマグニチュード7あるいは6や5でも直撃すれば危ない。つまり、原発は「被害が大きくて」かつ「事故発生確率も高い」という2つが揃ったパーフェクトな危険だということです。ですから運転を止めるのは当たり前なのです。しかし、3・11以降でも原発を止めなかった裁判は数えきれないくらいあります。
原発容認派の弁解
原発容認派は、原発は硬い岩盤の上に建っているので、地震計が置いてある地表面より揺れが小さいと弁解します。たしかに岩盤の上に直接建っている原発もありますが、そうではないものもあります。たとえば東海第二原発の場合は、岩盤は地下深く300メートルのところにあり、その上に関東ローム層があり、その上に原発が建っています。
また、岩盤の揺れが普通の地面の揺れより小さいとも言いきれません。石川県にある志賀原発は硬い岩盤の上に直接建っていますが、能登半島地震に襲われたときの揺れは490ガルでした。一方、志賀町の地震計は540ガルを記録しています。ほとんど変わりませんでした。柏崎刈羽原発はもっと極端で、地下の岩盤で1699ガルでしたが地上では1000ガルくらいでした。硬い岩盤では揺れが小さいとは言いきれず、例外はいくらでもあります。
もうひとつの弁解に、強震動予測という方法に則って計算すると、原発敷地に限っては将来にわたって震度6や7の地震は来ないというものがあります。しかし、それは本当に信用できるのでしょうか。東大地震研究所の纐纈一起先生が、地震はものすごく複雑な現象で、「地震は観察できない、実験できない、資料がない」と「地震学の三重苦」について話しています。観察と実験と資料というのは科学の基礎ですが、その基礎がないのに地震予知ができると考えるのには無理があります。
日本は列島全体が4つのプレートの境目に位置している世界で唯一の国。非常に複雑な地盤構造があり、世界の地震の10分の1以上が日本で起きています。日本には地震の空白地帯はありません。2000年以降だけでも、日本で1000ガル、2000ガルの地震はいくらでも起きています。こうした科学的事実に基づいて裁判をしなくてはいけません。
なぜ裁判官は原発を止めないのか
では、なぜ多くの裁判官は原発を止めないのでしょうか。理由は簡単です。多くの裁判官は、大飯原発を例にとると700ガル以上の地震が過去に何回起きたのか、700ガルは震度いくつなのか、700ガルでは住宅が倒れるかどうか、といったことを知らないのです。それは原告側の弁護士が教えないからです。
弁護士も裁判官も前例に従って「原子力規制委員会の独立性が高いのか」「原発の施設や敷地が規制基準に合致しているのか」ばかりに関心を払っていて、実際に起きている地震に対して原発の耐震性が高いか低いのかということには関心がなく、そのことについてまったく審理されていません。
ここに、愛媛県の伊方原発について住民らの原子炉設置取消請求を棄却した1992年の最高裁判所判決の骨子があります。法律家というのは最高裁判決を尊重するものですが、この判決では
①原発訴訟は高度の専門技術訴訟であり、
②裁判所は原発の安全性を直接判断するのではなく、規制基準の合理性を判断すればよく、
③その判断は最新の科学技術知見による
と言っています。
たとえば①では、プルトニウムと普通のウラン燃料を混ぜたMOX燃料を原発で使うと危険かどうかの判断は素人にはわからないことです。あるいは、その原発が本当に3000ガルに耐えられるかどうかが訴訟の争点だとしたら、それはとてつもなく難しい専門技術訴訟といえます。しかし「この原発敷地に限っては700ガル以上の地震は来ない」という主張が信用できるかどうか――これは高度な専門技術訴訟ではなく、理性と良識を働かせれば判断できることです。
②も間違いではありません。私はこれを「裁判所は原発の安全性を直接判断する必要まではない。規制基準が国民の安全を図る内容になっているかどうかを審査するのだ」と理解します。規制基準というものは、福島第一原発事故を踏まえて原発の安全性を高めるために設けられました。ですから、「規制基準の合理性」というのは、国民の安全を守れる内容になっているかどうかを考えればいいのです。
今の規制基準は、原発ごとの最大地震動が予測できるという前提で成り立っています。しかし、先ほども話したように地震予測は不可能ですから、地震予測が可能だという前提で作られている規制基準は不合理であり、それでは国民の安全は守れません。
次に③ですが、「最新の科学技術知見」とは何でしょうか。2000年以降、1000ガル2000ガルの地震はいくらでも日本に起きています。これこそが「最新の科学技術知見」です。
多くの法律家がこのように考えることができないのは、極端な権威主義だといえます。権威主義とは、「何を言ってるか」の内容ではなく「誰が言っているか」を尊重することです。最高裁判所が言うのなら原発訴訟は難しい専門技術訴訟に違いない、と争点の設定まで最高裁に委ねてしまうんです。ほかにも科学より科学者を信じる「科学者妄信主義」や「頑迷な先例主義」によって、正当な判断ができなくなっています。
もっと普通に、審判の対象となる「訴訟物」から考えればいいのです。つまり、人格権が侵害されそうになったら、人格権に基づいてその予防措置を求めることができるということです。この場合、人格権が侵害されるというのは原発事故が起きることです。そして、原発事故は停電や断水でも起こり得る。つまり配電・配管の耐震性が低ければ人格権が侵害される危険が高いということなので、それについて調べましょうという発想です。
しかし、多くの裁判ではそのように訴訟物から考えるのではなく、過去の裁判例をみて、学者が支持しているからとか、規制基準の辻褄が合っているから、などの先例主義で判断してしまうのが現状です。
私が大飯原発を止めた4つの理由
私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています。
従前の裁判では、裁判官も弁護士も、電力会社が設定した「専門技術訴訟」という土俵に自ら乗り込んでいました。一部の弁護士が多くの専門書を読み、専門家に意見を聴いて、電力会社との間で専門技術論争をする。たとえば「地震動の計算方法は、武村式がいいか、入倉式がいいか」といったことです。しかし、それは学会で議論することです。原告はもちろん、裁判官やほとんどの弁護士にも分かるはずがありません。その結果、「原子力規制委員会がそう言うなら、尊重しましょう」という結果になるんです。
武村式か入倉式か、ということは本当の争点ではありません。そういう論争はもう止めて、これからの原発差止め裁判は「理性と良識」という土俵で戦いましょう。そうすれば誰でも理解できるし、誰でも議論に加われるし、誰でも確信を持つことができます。
昨年3月11日、樋口理論に基づき、広島地裁で伊方原発3号機の運転差し止め仮処分の申し立てがありました。この申し立て書は、住民が書いています。昔は地震観測記録がなかったのですが、今はインターネットで気象庁の地震観測記録、K-NET(防災科学技術研究所の強震観測網)などを見ることができますし、原発の設計基準がいかに低いのかも調べられます。原発の耐震性が低いということを簡単に立証できるので、住民本人でも訴状を書くことができるのです。
その訴訟の中で、大変なことがわかりました。日本で一番恐れられている「南海トラフ地震が原発直下で起きたとしても、伊方原発の敷地には181ガルしか来ない」と四国電力が言っているのです。181ガルというのは震度5弱です。震度5弱は「棚から物が落ちることがあり、希に窓ガラスが割れて落ちることがある」という揺れです。マグニチュード9の地震というのは、3・11東北地方太平洋沖の地震と同じ。あのとき震源から380km離れた新宿でも、200ガルを超えました。普通に考えればとてつもなくおかしなことですが、専門技術訴訟にのめり込むとこういうことを見逃してしまいます。普通に考えて普通に裁判すれば、勝てると思います。
3・11を経験した私たちの責任
最後に責任について話したいと思います。
私が大学に入学した1972年(昭和47年)当時は、田中角栄内閣の時代でした。そのとき日本は、電源三法を作って原発を各地に誘致しました。その人たちの責任より3・11を経験した私たちの責任は、はるかに重いのです。
その理由は3つあって、一つ目は「死の灰」の問題です。30、40年前の人たちは死の灰の問題を、後世の人たちが科学的に処理してくれるのではないかと考えていました。しかし、それが不可能だということが40年の間にはっきりわかりました。二つ目は、昔の人は、原発事故は滅多に起きないし、起きたところで被害は30キロ圏内で済むだろうと思っていました。しかし、3・11を経験して、そうではないことがわかりました。
そして、三つ目ですが、昔は地震観測網がなかったので、関東大震災の規模でも400ガルを超える程度だろうと考えられていました。大飯原発も405ガルの耐震性で建てられています。しかし、実際には日本には1000ガルどころか4000ガルの地震も起きています。全ての原発が全く見当外れの低い耐震性で建てられたことが、我々の世代になって初めてわかったのです。
こうした原発を後世の人々に押しつけるわけにはいきません。今の時代で解決しなければならない問題です。
最後に、キング牧師の教訓に満ちた言葉を紹介します。
〈究極の悲劇は、悪人の圧政や残酷さではなく、善人の沈黙である。結局、我々は敵の言葉ではなく、友人の沈黙を覚えているものなのだ。問題に対して沈黙を決め込むようになったとき我々の命は終わりに向かい始める〉
*
ひぐち・ひであき 1952年生まれ。三重県出身。京都大学法学部卒業後、83年4月に福岡地方裁判所判事補任官。85年4月より静岡、宮崎、大阪など各地の地方裁判所・家庭裁判所の判事補・判事を経て、2006年4月より大阪高裁判事、09年4月より名古屋地家裁半田支部長、12年4月より福井地裁判事部総括判事を歴任。14年5月21日、福井地裁の裁判長として大飯原発3、4号機の運転差し止め判決、15年4月14日には高浜原発3、4号機の差し止め仮処分決定を出した。17年8月、定年退官。主な著書に『私が原発を止めた理由』(旬報社)。
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[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)] (2021年06月20日[日])
日刊ゲンダイのインタビュー記事【注目の人 直撃インタビュー/樋口英明氏「耐震性に着目すれば全ての原発を止められる」】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/290370)。
《コロナ禍のドサクサ紛れに掟破りだ。福島第1原発事故の惨事を機に定めた「運転は40年まで」の原則が骨抜き。運転開始から40年を超える関西電力の老朽原発が23日にも再稼働する。この暴挙に、かつて原発運転を差し止めた元裁判長が「不都合な真実」を喝破する。「老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない」と――。》
『●60年間稼働させたい高浜原発:
「電気代が高い低いの問題とを並べて論じること自体、許されない」』
『●「老いた馬」ではなく「狂ったゴジラ」:
「麻薬」患者の関電がプルサーマルに続いて「寿命核発電所」…』
『●「仏様のおかげ」はもう期待しない方がいい:
高浜原発、「このゴジラが最後の一匹だとは思えない」』
『●なぜ命を軽々しく賭して、「たかが電気」のために
核発電する必要があるのか? 次も神様・仏様は居るか?』
『●「あとの祭り」: 核発電「麻薬」中毒患者、増殖中
…どんどん壊れ行くニッポン』
『●高浜「寿命核発電所」延命、「安全より
経済優先の時代へと逆戻り」…「規制緩和」委員会(©東新)』
『●寿命核発電所再稼働:「世界は既に廃炉時代
時代の先端を行く方が、地域の実りははるかに多い」』
『●東京電力核発電人災から10年経って、この有様…アンダーコントロール
どころか人災は継続中、しかも、まだ核発電を続けたいという…』
『●「狂ったゴジラ」「老朽原発」「寿命核発電所」…40年超核発電所の
稼働という「麻薬」に手を出す核発電「麻薬」中毒者らの暴走』
「狂ったゴジラ」「老朽原発」「寿命核発電所」さえ、再稼働したいそうだ。処理水という名の汚染水を海洋放出したいそうだ。新規原発さえ、作りたいそうだ。
狂っています、核発電「麻薬」中毒者ら。
『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》』
『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》』
『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》』
《二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力
大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した。
今も自分が正しいと確信を持っている。大飯原発の基準地震動
(耐震設計上の想定の揺れ)は七〇〇ガル(揺れの勢いを示す加速度の
単位)で、重大事故につながる限界点は一・八倍の一二六〇ガルだと
関電は主張していた。私は裁判前は、三〇〇〇ガルのような強い揺れに
原発が耐えられるかどうかが争点になると予想していた。ところがふたを
開けてみれば、一二六〇ガルが来たらおしまいだというのは争いが
なかった。主な争点は「敷地内に一二六〇ガルを超える地震は来ない」
という関電の主張の信用性だった。それが争点なら難しい工学的判断は
不要で、理性と良識があれば簡単に解ける問題となる。地震大国の
日本では、原発で基準地震動を超える地震が頻発しており、大飯も
「ロシアンルーレット」状態だった。日本の国策は「安全な原発を
動かす」であって、「何が何でも動かす」ではない。私の「極めて
危険だから動かしてはいけない」という判断は、国策にも忠実だった
と思っている。仮に私が日本原子力発電(原電)東海第二原発の
差し止め訴訟を指揮するなら、ポイントは三つあると思う。一つは、
基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか。
これは他の原発と共通の問題だ》
[※『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]
樋口英明さんは、以前から、《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と。まともな裁判官が、もっと増えないものか…。《老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない》。高度な工学的知識や科学的な知識は不要だ、だって、《原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱》《原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣る》のだから。《住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法”にかかってしまう》必要などない。
《毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です》…何の教訓も得ていません。そのためには、最後に、樋口英明さんは《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》と仰っています。
『●東電旧経営陣に無罪判決…《誰も事故の責任を
取らなければ企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》』
『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御
できないなんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》』
『●永渕健一裁判長、東電旧経営陣の刑事裁判で「無罪」《判決の
中身もさることながら、その理由があまりにもひどすぎる》』
『●東京新聞の小野沢健太記者によるシリーズ記事【<原発事故
「無罪」>】…《判決に表情変えず 遺族ら「うそー」悲鳴》』
『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》』
『●《今なお続く福島の「不条理」》:東電の初期の主張は「無主物」
…裁判所は《放射性物質…農家が所有》と言い放った』
『●伊方原発3号機、広島高裁(森一岳裁判長)が運転差し止めの
仮処分決定…種々の問題に加えて《約10秒》《2~3秒》全電源喪失』
『●森一岳裁判長《原発の危険性検証には『福島原発事故のような
事故を絶対に起こさないという理念にのっとった解釈が必要…』》』
『●《良心に従い職権を行使する独立した存在》ではない
大久保正道裁判長である限り、アベ様忖度な「行政判断」が続く』
『●東京電力核発電人災の刑事裁判: 東京地裁永渕健一裁判長の
判決は、あまりに酷い理由も含めて《司法犯罪とも言える不当判決》』
『●「イチケイのカラス」第2話 ――― 裁判官らの謝罪と憲法第76条
「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この…」』
『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》』
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【https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/290370】
注目の人 直撃インタビュー
樋口英明氏「耐震性に着目すれば全ての原発を止められる」
公開日:2021/06/14 06:00 更新日:2021/06/14 06:00
(樋口英明氏(撮影)タカオカ邦彦)
■樋口英明(元福井地裁裁判長)
コロナ禍のドサクサ紛れに掟破りだ。福島第1原発事故の惨事を機に定めた「運転は40年まで」の原則が骨抜き。運転開始から40年を超える関西電力の老朽原発が23日にも再稼働する。この暴挙に、かつて原発運転を差し止めた元裁判長が「不都合な真実」を喝破する。「老朽原発はもちろん、日本には強い地震に耐えられる原発はひとつたりともない」と――。
◇ ◇ ◇
――再稼働する美浜3号機の運転開始は1976年。45年も昔です。
45年前の家電を今も使いますか? 大量生産の家電は壊れても最新技術の製品に買い替えればいいけど、原発は大量生産できない。技術は旧態依然で、1つの計器が故障しただけで原発の「止める・冷やす・閉じ込める」の安全3原則は綻び、重大事故が起きかねません。
――再稼働にあたり国は、1発電所につき25億円の新たな交付金を立地地域にぶら下げました。
何を考えているのか、理解不能です。
――福井県知事の合意表明が4月28日。たった2カ月足らずのスピード再稼働にも驚きます。
住民が差し止め訴訟を起こすにも、手続きには月単位の時間がかかる。それを見越した上での素早い動きでしょう。
――老朽原発が「高い安全性」を確保できるか否かが最大の危惧です。
地震大国の日本で原発の高い安全性を担保するのは、信頼できる強度な耐震性に尽きます。原発の耐震設計基準を「基準地震動」と呼び、施設に大きな影響を及ぼす恐れがある揺れを意味します。美浜3号機の基準地震動は993ガル(揺れの強さを示す加速度の単位)。しかし、この国では1000ガル以上の地震が過去20年間で17回も起きているのです。
――具体的には?
2008年の岩手・宮城内陸地震(M7.2)は最大4022ガル、11年の東日本大震災(M9)は最大2933ガルなどです。誤解して欲しくないのは「17カ所」で観測されたわけではないこと。東日本大震災では、震源地から離れた数多くの観測点で1000ガルを超えました。
■「原発の耐震性は一般住宅よりもはるかに脆弱」
――基準地震動を超える地震がいつ襲ってきてもおかしくはない、と。
しかも、美浜3号機の基準地震動は建設当時の405ガルからカサ上げされています。建物の耐震性は老朽化すれば衰えるのに、原発だけは時を経るにつれて耐震性が上がるとは不可思議です。電力会社は「コンピューターシミュレーションで確認できた」と言い張りますが、計算式や入力する数値でどうにでも変わる。住宅メーカーの耐震実験は建物を実際に大きな鉄板の上で揺さぶります。その結果、三井ホームの住宅の耐震設計は5115ガル、住友林業は3406ガル。2社が飛び切り高いのではなく、改正後の建築基準法は一般住宅も震度6強から震度7にかけての地震に耐えられるよう義務づけています。ガルで言うと1500ガル程度の地震には耐えられます。一方、日本の原発の基準地震動は、ほぼ600ガルから1000ガル程度です。つまり、原発の耐震性は信頼度も基準値も一般住宅より、はるかに劣るのです。
――衝撃です。
政府は福島の原発事故後の新規制基準を「世界一厳しい」と自負していますが、耐震性に関しては当てはまりません。
――いつ、その事実に気づかれたのですか。
2012年11月に福井県の住民が中心となって関西電力を相手に提訴した「大飯原発3、4号機の運転差し止め請求訴訟」を担当した際です。原発の耐震性に着目し、調べてみると、すぐ分かりました。当時は大飯原発を含め、大半の原発の基準地震動は700ガル程度。700ガル以上の地震は過去20年間で17回どころではなく30回に跳ね上がります。毎年のように頻発する、やや強めの地震に襲われても危険ということです。原子炉は強い地震に耐えられても、原子炉に繋がっている配管や配電の耐震性は低い上に耐震補強も難しい。断水しても停電しても原発は大事故につながる。それが福島の教訓です。
(2014年に福井地裁で大飯原発の運転差し止め判決
(C)共同通信社)
■電力会社の「地震は来ない」は虚妄
――それにしても、基準地震動の設定が低すぎませんか。
地震学者の間では長年、関東大震災(震度7)でも400ガル程度との認識が主流で、地球の重力加速度(980ガル)以上の地震は来ないとも推測されていました。この考えに従い、昭和時代の原発は建設されたと思います。しかし、1995年の阪神・淡路大震災を契機に、2000年頃には全国の約5000カ所に地震計が設置され、観測網が整備されました。すると、震度7が1500ガル以上に相当することが科学的に判明したのです。
――震度の過小評価に気づけば、原発の運転は諦めるべきでは?
そこで電力会社が「不都合な真実」を隠すのに持ち出すのが「地震予知」です。差し止め訴訟で「原発の敷地に700ガル以上の地震は来るんですか」と聞くと、関西電力は「まず来ません」と答えた。科学で一番難しいのは将来予測。中でも地震の予知は困難を極めます。考察に資するリソースも20年分しかない。「来ない」と断言できっこないのです。地震予知は「予言」に等しく、信じるか否かは「理性と良識」の問題です。だから速やかに差し止め判決を出せたのです。
――その2014年の福井地裁判決を、2018年には名古屋高裁金沢支部の控訴審判決が取り消しました。
退官翌年です。あの確定した判決は、原審で指摘した危険性を認めながら突然、論旨を変えて「原発の是非は司法の役割を超えているので政治的判断に委ねる」と結論づけた。運転停止を求める住民に対して、さも「政治活動」をしているかのレッテルを貼り、論点をスリ替え、司法の役割を放棄したのです。こんな粗雑な判決を放置するわけにはいかないと思い、原発の危険性を広く訴えようと決意しました。
――元同僚の方々の反応は?
特に悪い評判は聞きません。「裁判官は弁明せず」との格言を持ち出すような頭の固い人とは、あまり付き合ってこなかったからかなあ? 裁判官への政治圧力もないですよ。昔は政府方針に従わなかった裁判官が、ひどいドサ回りをさせられたのは事実。けれど、最近は露骨な左遷などありません。
■学術論争の“魔法”から目を覚ませ
――福島の事故後も、原発の運転差し止めを認めた司法判断は必ず上級審で覆ります。その理由をどう考えますか。
先例主義の悪弊です。裁判官が原発訴訟を扱うのは、まれです。滅多に当たらない訴訟を担当すると、裁判官はつい過去の判決を調べてしまう。いくら司法修習生の頃に「自分の頭で考えろ」と叩き込まれても、自分の頭で考えなくなる。判例に頼れば通常は大きな間違いをせずに済むし、何より楽ですから。その傾向は上級審の裁判官ほど強い。そして、ある“魔法”も効いています。
――魔法とは?
1992年に確定した伊方原発訴訟の最高裁判例です。原発訴訟を「高度の専門技術訴訟」とし、今でも最高裁は原発差し止め訴訟を「複雑困難訴訟」と呼ぶ。あくまで一般論に過ぎないのに、最高裁に言われると、住民や電力会社、弁護士や裁判官までもが「難しいに違いない」と“魔法”にかかってしまう。法廷は理解不能な専門用語が飛び交う学術論争の場となり、もともと文系の裁判官はロッカーいっぱいの専門資料にチンプンカンプン。だから、過去の判例を踏襲する判決を出しがちになるのです。
――困ったものです。
裁判官を“魔法”から解き放つには、まず住民側の弁護士が目を覚まさなくてはいけない。熱意ある弁護士でも先例に縛られ、複雑な学術論争を繰り出すのが実情です。住民側弁護士が原発の危険性をシンプルかつ論理的に伝えれば、裁判官も認めざるを得ません。伊方最高裁判例には「原発の安全性の適否判断は規制基準に不合理な点があるかという観点から行うべき」と記してある。はたして地震予知を許す規制基準は合理的なのか。20年間の詳細な地震観測による新たな知見、すなわち「1000ガルを超える地震はいくらでも来ます」という動かしがたい事実に基づく判断こそが合理的であり、「真の科学」と言えます。
――なるほど。
現在、広島地裁で係争中の伊方原発3号機の運転差し止め仮処分申し立て事件では、住民側の弁護団が耐震性に着目。四国電力の「南海トラフ地震が原発直下で起きても、伊方原発敷地には181ガル(震度5弱相当)しか来ない」との試算を追及し、原発訴訟にパラダイムシフトを起こすと宣言しました。あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます。
(聞き手=今泉恵孝/日刊ゲンダイ)
▽樋口英明(ひぐち・ひであき) 1952年生まれ、三重県出身。京大法学部卒。司法修習第35期。各地裁・家裁の判事補・判事を歴任。2006年に大阪高裁判事、09年に名古屋地家裁半田支部長を経て、12年から福井地裁判事部総括判事。14年5月に大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じる判決を下した。17年8月、名古屋家裁部総括判事で定年退官。現在は原発の危険性を訴える講演活動にいそしむ。今年3月出版の「私が原発を止めた理由」(旬報社)がベストセラーに。
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(2021年03月21日[日])
東京新聞の二つの記事【【速報】東海第二原発の運転禁じる 水戸地裁が住民側の訴え認める】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/92269)と、
【【速報】伊方原発3号機の運転容認 広島高裁が四国電力の異議認める】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/92268)。
《茨城県東海村にある日本原子力発電(原電)の東海第二原発=東日本大震災で被災し停止中=を巡り、周辺住民らが運転の差し止めを求めた訴訟の判決で、水戸地裁(前田英子裁判長)は18日、住民側の訴えを認めて、運転を禁じた。東京電力福島第一原発事故から10年、首都圏に唯一立地し、運転期間が40年を超えている原発の運転を、司法は認めなかった》。
《四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の運転禁止を命じた広島高裁の仮処分決定(2020年1月)を不服とした四国電力の申し立てによる異議審で、広島高裁(横溝邦彦裁判長)は18日、四国電力の異議を認め、運転を容認する決定を出した》。
『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》』
《二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力
大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した。
今も自分が正しいと確信を持っている。大飯原発の基準地震動
(耐震設計上の想定の揺れ)は七〇〇ガル(揺れの勢いを示す加速度の
単位)で、重大事故につながる限界点は一・八倍の一二六〇ガルだと
関電は主張していた。私は裁判前は、三〇〇〇ガルのような強い揺れに
原発が耐えられるかどうかが争点になると予想していた。ところがふたを
開けてみれば、一二六〇ガルが来たらおしまいだというのは争いが
なかった。主な争点は「敷地内に一二六〇ガルを超える地震は来ない」
という関電の主張の信用性だった。それが争点なら難しい工学的判断は
不要で、理性と良識があれば簡単に解ける問題となる。地震大国の
日本では、原発で基準地震動を超える地震が頻発しており、大飯も
「ロシアンルーレット」状態だった。日本の国策は「安全な原発を
動かす」であって、「何が何でも動かす」ではない。私の「極めて
危険だから動かしてはいけない」という判断は、国策にも忠実だった
と思っている。仮に私が日本原子力発電(原電)東海第二原発の
差し止め訴訟を指揮するなら、ポイントは三つあると思う。一つは、
基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか。
これは他の原発と共通の問題だ》
《東海第二原発の運転禁じる》、水戸地裁・前田英子裁判長がまともな裁判長で本当によかった!
『●四十年廃炉ルール無視、特例中の特例のはずが…
日本原電は東海第二原発の再稼働をしたいらしい…』
一方、《伊方原発3号機の運転容認》、広島高裁・横溝邦彦裁判長…まともでない裁判長で哀しい。《日本一細長い佐田岬半島の付け根に位置する伊方原発は、周辺住民にとって、“日本一避難しにくい原発”》。折角、森一岳裁判長が下した伊方原発3号機の運転差し止め仮処分決定は正鵠を得ていたというのに…。全電源喪失後《43分間》核燃料プール冷却停止まで発生。
『●「日本一細長い佐田岬半島の付け根に位置する伊方原発は、
周辺住民にとって、“日本一避難しにくい原発”」』
「アベ様政権に忖度し、司法判断を放棄した政治判断…捏造された
「社会通念」で核発電所再稼働を容認。2017年12月、
折角の広島高裁・野々上友之裁判長の「司法判断」だったのですが、
2018年10月、1年を待たずして同じ広島高裁・
三木昌之裁判長の「政治判断」で、あの伊方原発の再稼働に向けての
デタラメ判決が下されていました」
『●森一岳裁判長《原発の危険性検証には『福島原発事故のような
事故を絶対に起こさないという理念にのっとった解釈が必要…』》』
『●伊方原発3号機、広島高裁(森一岳裁判長)が運転差し止めの
仮処分決定…種々の問題に加えて《約10秒》《2~3秒》全電源喪失』
「《日本一細長い佐田岬半島の付け根に位置する伊方原発は、周辺住民に
とって、“日本一避難しにくい原発”》。広島高裁(森一岳裁判長)が
運転差し止めの仮処分決定の判断を下した。《地震や噴火による
リスクが疑われる限り、司法も「安全」を最優先に判断を下すべきでは
ないか。「疑わしきは住民の利益」であるべきだ》」
「オマケに全電源喪失、《約10秒》《2~3秒》とはいえブラックアウト。
絶対に起きないと言い続けていた想定不適当事故がこうもやすやすと
起こっているんですが?」
『●森一岳裁判長が下した伊方原発3号機の運転差し止め仮処分決定は
正鵠を得ていた…全電源喪失後《43分間》核燃料プール冷却停止』
また、《関西電力3原発の運転差し止め認めず》、大阪地裁・内藤裕之裁判長は何を考えているのか…。
東京新聞の記事【【速報】関西電力3原発の運転差し止め認めず 大阪地裁が仮処分決定】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/92042)によると、《原発事故が起きると新型コロナの影響で人が密集する避難所への避難ができず、深刻な被害を受ける恐れがあるとして、福井など4府県の住民6人が、関西電力の美浜、高浜、大飯の3原発(いずれも福井県)の運転差し止めを求めた仮処分で、大阪地裁(内藤裕之裁判長)は17日、申し立てを退ける決定を出した》。
『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》』
「東京新聞の【社説/大飯許可違法 誰がための規制委か】…
《関西電力 大飯原発3、4号機(福井県)の安全性に問題がある
として、大阪地裁は国の原子力規制委員会が関電に与えた原発の
設置許可を取り消した。国の原子力政策を根元から揺るがす判決だ。
「原子力規制委員会の判断に看過しがたい過誤、欠落がある」−。
大阪地裁は、強い言葉で規制委を指弾した。原発の稼働に際し、
想定すべき最大の揺れの強さを示す「基準地震動」の算定方法が、
最大の争点だった》」
「なんとしても、核発電「麻薬」中毒者の暴走を止めねければ…。
東京新聞の記事【原発40年超再稼働不同意を要望 大飯判決原告、
美浜議会に】…によると、《関西電力大飯原発3、4号機
(福井県おおい町)の設置許可の取り消し判決を出した大阪地裁訴訟の
原告の一部が8日、福井県美浜町議会に、運転開始から40年を超えた
関電美浜原発3号機の再稼働に同意しないよう求める要望書を提出した。
関電は美浜3号機を早ければ来年1月にも再稼働させる工程を示して
おり、町議会は近く同意の是非を示す見込み。町議会では、再稼働を
求める請願を審査する特別委員会が今月9日に予定されている。4日の
大阪地裁判決は、大飯3、4号機の耐震性が新規制基準に適合する
とした原子力規制委員会の判断は誤りだとして、設置許可を取り消した》」
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/92269】
【速報】東海第二原発の運転禁じる 水戸地裁が住民側の訴え認める
2021年3月18日 14時31分
(再稼働に向けた工事が進む東海第二原発=茨城県東海村、
本社ヘリ「おおづる」から撮影)
茨城県東海村にある日本原子力発電(原電)の東海第二原発=東日本大震災で被災し停止中=を巡り、周辺住民らが運転の差し止めを求めた訴訟の判決で、水戸地裁(前田英子裁判長)は18日、住民側の訴えを認めて、運転を禁じた。東京電力福島第一原発事故から10年、首都圏に唯一立地し、運転期間が40年を超えている原発の運転を、司法は認めなかった。
2012年7月から8年以上続いた裁判は、原電のみが被告。原告側は11の論点を提示し、東海第二原発の危険性を指摘してきた。主に問われたのは、地震・火山リスクや人口密集地での稼働の是非。
東海第二原発の30キロ圏内には、日本の原発立地地域としては全国最多の約94万人が暮らす。原告側は、人口密集地にある原発はそもそも立地地域として不適当で、国の指針に違反していると訴えていた。
東海第二原発 日本原子力発電が1978年11月に営業運転開始。出力は110万キロワットで、電気を東京電力や東北電力に供給していた。東日本大震災時は外部電源を失い、冷温停止まで3日半かかった。都心に最も近い原発で、都庁までの距離は福島第一からの半分程度の約120キロ。重大事故が起きた場合、首都圏全域に甚大な被害を及ぼす可能性がある。2018年11月に原子力規制委員会が最長20年の運転延長を認めた。再稼働の対策工事は22年12月に終わる見込み。再稼働には、東海村や水戸市など6市村の同意が必要となる。
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/92268】
【速報】伊方原発3号機の運転容認 広島高裁が四国電力の異議認める
2021年3月18日 14時03分
(四国電力 伊方原発。(右から)3号機、2号機、1号機
=10日、愛媛県伊方町(共同通信社ヘリから))
四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の運転禁止を命じた広島高裁の仮処分決定(2020年1月)を不服とした四国電力の申し立てによる異議審で、広島高裁(横溝邦彦裁判長)は18日、四国電力の異議を認め、運転を容認する決定を出した。
伊方原発3号機は19年12月から定期検査で停止し、東京電力福島第一原発事故後にできた新規制基準で義務付けられたテロ対策施設(特定重大事故等対処施設)の工事を進めている。広島高裁の決定を受け、四国電力は定期検査と工事を終えた後、今年10月以降の再稼働を目指している。
昨年1月の広島高裁決定(森一岳裁判長)は「四国電の地震や火山リスクに対する評価や調査は不十分だ」と指摘した上で、安全性に問題がないとした原子力規制委員会の判断には誤りがあると判断。山口地裁岩国支部で係争中の訴訟の判決言い渡しまで、原発の運転を禁じていた。
仮処分は伊方原発の50キロ圏内にある山口県東部の三つの島に暮らす住民3人が申し立てた。原発が立地する佐田岬半島北岸部の活断層の有無、耐震設計の目安となる地震の揺れの想定や、約130キロ離れた熊本県・阿蘇カルデラの火山リスクの評価が主な争点。住民側は「四国電力の活断層の調査は不十分で、火山噴火の影響評価も過小だ」と訴えていた。
今回の異議審で、四国電力側は、詳細な海上音波探査で活断層がないことを確認し、巨大噴火も「差し迫っていない」と反論していた。
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[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)] (2021年03月17日[水])
小野沢健太・福岡範行・妹尾聡太の3記者による、東京新聞の記事【「知識がないのか、なめているのか」と規制委員長 東電柏崎刈羽原発でずさんテロ対策次々と発覚 早期再稼働は不可能に】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/91898)。
《原子力規制委員会と東京電力は16日、東電柏崎刈羽原発(新潟県)で2020年3月~21年2月、テロ対策用の侵入検知装置の故障が計16カ所であったと発表した。うち10カ所では東電が代わりに講じた措置も不十分だったため、侵入を検知できない状態が30日間を超えていた恐れがあった。装置の復旧に長期間かかっていたことも判明。東電のずさんな態勢が明らかになった。(小野沢健太、福岡範行)》。
金(カネ)色の五つの輪等に絡めて、アベ様らはさんざん《テロ対策》云々と言っておきながら、ナニコレ?
《東電のずさんな態勢》《問題が次々と発覚》―――万事この有様。3.11人災に対する責任の自覚も無く、10年前の人災から何の教訓も得ていない。東電に核発電所の運転や再稼働の資格なし。さらには、《なめている…》そういったデタラメな東電を〝育てた〟のは更田豊志委員長ら原子力「寄生」委員会や国、(デタラメな関西電力や九州電力も含めて)自公お維なのではないか。その〝育成〟は、東京電力核発電人災前だけではなく、人災後も同様に継続されてきた。皆、核発電「麻薬」中毒者。
《更田豊志委員長は、追加検査に1年以上かかる見通しを示し、検査が終わるまでは「運転に向けた次のステップはない」と明言。柏崎刈羽の早期再稼働は不可能となった》…《早期》じゃないでしょ? 永遠に再稼働など許されない。東電にはその資格が無い。そもそも、ニッポンには核発電所を運転できる場所も無いし、人災で世界に迷惑をおかけした訳であり、その資格も無い。《更田委員長は「…委員会がつかみたいのはまさにそこです。今後の検査で時間がかかると思うが確かめる」》など時間の無駄だ。そのように〝育てた〟更田委員長自身の責任が問われるべき。自称・詐称《「世界一厳しい」とされる規制基準》に《これほどの不正や不備を抱えた原発が、3・11の教訓を踏まえたはずの新規制基準に「適合」すると判断したのは、当の規制委だ》。
東京新聞の【<社説>柏崎刈羽原発 再稼働の「資格」なし】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/92204?rct=editorial)によると、《新潟県の東京電力柏崎刈羽原発で安全対策上の重大な不正や不備が相次ぎ、原子力規制委員会は、事実上、再稼働を凍結することにした。そもそも東電に、原発を運転する資格があるのだろうか。「組織的な管理機能が低下し、防護措置の有効性を長期にわたり適切に把握しておらず…」。東電に対する規制委の評価は、ここに極まった感がある。“赤点”だ》。《一方、これほどの不正や不備を抱えた原発が、3・11の教訓を踏まえたはずの新規制基準に「適合」すると判断したのは、当の規制委だ。安全性を保証するものではないとは言うものの、「世界一厳しい」とされる規制基準への「適合」判断は、事実上、原発再稼働の“お墨付き”とされている。昨年暮れ「規制委の判断に看過しがたい過誤、欠落がある」として、大阪地裁は規制委による関西電力大飯原発3、4号機の設置許可を取り消した。地震の揺れの強さ、活断層の有無、火山の影響…。電力側の提出データに多くを依存する原発規制のあり方自体も見直すべきではないか。いずれにしても、規制委の判断に基づいて既に稼働中の原発も含め、安全性の総点検が必要だ》。
『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、
だれか1人でも責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」』
『●柏崎刈羽原発再稼働を画策するような東電は
十分に責任を果たしたのか?』
『●「新潟の野党勢力は今こそ、踏ん張り時」! 東京電力に
柏崎刈羽核発電所を再稼働させるなんて狂気な凶器』
『●核発電人災のアノ東電の柏崎刈羽核発電所に、
「寄生」委がお墨付き!? 凄いよなぁ、ニッポン…愚かだ』
『●「原子力ムラの言いなり」原子力「寄生」委員会の
救い様の無さと、アベ様の「危険な丸投げ・無責任体制」』
《原子力規制委員会は二十七日午前の定例会合で、東京電力
柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が原発の新規制基準に
「適合」しているとした審査書案を正式決定した》
《柏崎刈羽原発は、福島第一と同じで東電が所有する沸騰水型だ。
福島原発事故は、津波が原因とされるが、地震や津波の襲来から
メルトダウン(炉心溶融)、水素爆発へと至る経緯は、
現場で十分な調査ができず、不明な点が多い。
原因究明が終わっていないのに住民の安全が保証できるのか。
東電に任せられるのか。規制委は、もっと慎重でもよかった》
『●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか?
無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき』
『●阿部岳さん【「東電無罪」の論理】《「…運転はおよそ
不可能になる」…判決は意図せず原子力制御の限界を認めている》』
『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま』
『●東電や自公政権の無責任ぶりが改めて露見 ――― 《福島沖地震で
東電と菅首相が福島原発の異変を隠蔽!…「すべて正常」》(リテラ)』
『●東電核発電人災、仙台高裁上田哲裁判長に続き、国の責任も認めた
東京高裁白井幸夫裁判長による逆転勝訴判決―――この判決の意義とは?』
『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》』
「伊勢崎馨氏による、リテラの記事【東電に原発事故の反省なし!
柏崎原発でID不正使用による中央制御室進入事件が発生も4カ月間隠蔽
原子力規制庁も共犯か】」
《11日に10年という節目を迎えるが、このタイミングで、あらためて
原発の危険性を痛感させられる事故や事件が立てつづけに発生している。
…だが、東電の無反省ぶりがはっきり浮き彫りになった件がもうひとつ
ある。それは、新潟県の柏崎刈羽原発で起こった
「ID不正使用」問題だろう》
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/91898】
「知識がないのか、なめているのか」と規制委員長 東電柏崎刈羽原発でずさんテロ対策次々と発覚 早期再稼働は不可能に
2021年3月16日 20時41分
原子力規制委員会と東京電力は16日、東電柏崎刈羽原発(新潟県)で2020年3月~21年2月、テロ対策用の侵入検知装置の故障が計16カ所であったと発表した。うち10カ所では東電が代わりに講じた措置も不十分だったため、侵入を検知できない状態が30日間を超えていた恐れがあった。装置の復旧に長期間かかっていたことも判明。東電のずさんな態勢が明らかになった。(小野沢健太、福岡範行)
規制委は同日非公開の臨時会議を開き、12年の設立以降初めて、この問題をセキュリティー上「最も深刻なレベル」と判断。東電に組織としての見直しを求めることを決めた。
東電は、事故が起きた福島第一原発の廃炉費用を捻出するため、柏崎刈羽の再稼働による経営改善を計画。だが今年に入り、セキュリティー上の問題が次々と発覚している。
◆規制委員長「追加検査に1年以上」
(「極めて深刻な状態」と柏崎刈羽原発のテロ対策不備を
批判する更田豊志・原子力規制委員長)
臨時会議後に記者会見した更田豊志委員長は、追加検査に1年以上かかる見通しを示し、検査が終わるまでは「運転に向けた次のステップはない」と明言。柏崎刈羽の早期再稼働は不可能となった。
東電は、1月27日に侵入検知装置を1カ所誤って損傷させたと、規制委に報告。これを受けて、規制委は検査を進めていた。
規制委によると、柏崎刈羽では18年1月以降、侵入検知装置の故障が複数見つかっていたが、すぐに復旧もしなかった。また20年3月以降、故障した装置を補う代替措置も警備担当社員が実効性がないことを知りながら改善しなかった。装置は全て復旧済みで、侵入は確認されていない。
実効性がない代替措置について、更田委員長は「不正なのか、分かっていて意図的にやらなかったのか。あるいは知識が足りなかったのか。技術的な能力の問題か。それとも、なめているのか。この程度でいいんだと。委員会がつかみたいのはまさにそこです。今後の検査で時間がかかると思うが確かめる」と述べた。
柏崎刈羽原発では昨年9月、男性社員がIDカードを紛失し、同僚のカードを無断で持ち出して、原発の心臓部である中央制御室に不正入室した問題が起きた。東電は2月、小早川智明社長を厳重注意とするなど計13人を処分したばかり。今回の問題でも、社長や柏崎刈羽の所長らの厳しい処分は避けられない。
◆経産相「再稼働できる段階にない」
梶山弘志経済産業相は16日夜の記者会見で、「核物質防護の確保は原子力事業者の基本だ。重大な事案が発生したことは大変遺憾」と述べた。東電に原発を動かす資格があるかを問われ、「安全確保に関する組織的な管理機能の劣化を厳しく問われている状況。当然ながらこのままでは再稼働できる段階にないものと考えている」とした。(妹尾聡太)
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[※ ↑号外【国の責任認める/東京高裁 千葉地裁判決覆す/原発避難集団訴訟 東電にも賠償命令】 (福島民報 2021年02月19日)] (2021年02月23日[火])
東京新聞の【<社説>福島原発判決 「万が一」をかみしめて】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/87399?rct=editorial)。
《「国に法的責任はある」−原発事故で千葉県に避難した人々が起こした訴訟での東京高裁の判断だ。規制権限の不行使を厳しく指弾した。原発政策では「万が一」にも備えるのが大震災の教訓だ。国の賠償責任を認めるかどうか−、原発事故をめぐる各地の訴訟では、この点で地裁判断は真っ二つに割れた。高裁レベルでも、昨年九月の仙台高裁は「国に責任あり」だったのに、群馬県に逃れた人の群馬訴訟で先月の東京高裁は「国に責任なし」だった》
白井幸夫裁判長は、《防潮堤の設置などの措置を講じていれば「津波の影響は相当程度軽減され、全電源喪失の事態には至らなかった」と認定。国が規制しなかったことと事故との間に「責任を認めるに足りる因果関係がある」として「規制権限を行使しなかったことは国家賠償法上、違法だ」とした》そうだ。真っ当な司法判断。
責任をもって東電や国が「原状回復」して見せてくれよ! 10年が経ってしまいましたよ。いつになったら元の姿に戻してくれるの? 元の姿に戻してくれれば、皆さん喜んで福島に帰り、生業を取り戻すはずですよ。
東京電力核発電人災から10年。あの人災から何の教訓を得ることもなく、何も変わらないニッポン。民主党政権末期・野田政権、アベ様・カースーオジサンによる《悪夢のような》、〝地獄〟の自民党政権は、核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないままです…。
『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも
責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」』
《馬奈木厳太郎弁護士…樽川さんのお怒りは、まっとうなものなんです。
今回の福島の被害の象徴と言ってもいいかもしれない。
彼が求めていることは「責任をとってくれ」です。
「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも責任とって
やめたか。申し訳ないと謝罪したか」と。そう思っているのは、
樽川さんだけではない。国と東京電力を相手に、事故から2年後の
2013年3月11日に福島地裁に起こした
「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟)
には約4千人の原告がいて、樽川さんもそのお一人です》
『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士
「国の対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」』
『●「原子力災害伝承館」《批判…口封じ》…《安倍政権では「被災地
切り捨て」政策がつづけられてきたが、それを菅政権も「継承」》』
『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき』
『●《避難者の生業はいまだ戻らないままである》…責任をもって東電や
国が「原状回復」してくれれば《生業》を、《地域》を取り返せる』
「民事裁判では、地裁に続き高裁レベルで、《国と東電に損害賠償などを
求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は一審福島地裁判決に続き
両者に賠償を命じ》ました。仙台高裁上田哲裁判長によるものです。
「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」という訴えが、
一部認められました。
国や東京電力が責任を果たす方法は明確で、簡単です。《原状回復》
して見せてくれればよいのです。もう10年が経とうとしています。
さっさとお願いします。
…出来ない、不可能というのであれば、やるべきことは一つしかない
でしょ? 《国や東電は被災地を事故前の状態に戻すことができない
現実を直視し》、何を為すべきですか?」
『●東京電力核発電人災後に《福島県から千葉県などに避難した住民ら
43人が国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審》で逆転判決』
《あの未曾有の福島第一原発事故を招いた“最大の戦犯”》元行政府の長・アベ様は、今ものうのうと過ごしておられます。数々のアベ様案件でも裁かれることもなく、責任をとることもありませんでした。
『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》』
《二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力
大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した。
今も自分が正しいと確信を持っている。大飯原発の基準地震動
(耐震設計上の想定の揺れ)は七〇〇ガル(揺れの勢いを示す加速度の
単位)で、重大事故につながる限界点は一・八倍の一二六〇ガルだと
関電は主張していた。私は裁判前は、三〇〇〇ガルのような強い揺れに
原発が耐えられるかどうかが争点になると予想していた。ところがふたを
開けてみれば、一二六〇ガルが来たらおしまいだというのは争いが
なかった。主な争点は「敷地内に一二六〇ガルを超える地震は来ない」
という関電の主張の信用性だった。それが争点なら難しい工学的判断は
不要で、理性と良識があれば簡単に解ける問題となる。地震大国の
日本では、原発で基準地震動を超える地震が頻発しており、大飯も
「ロシアンルーレット」状態だった。日本の国策は「安全な原発を
動かす」であって、「何が何でも動かす」ではない。私の「極めて
危険だから動かしてはいけない」という判断は、国策にも忠実だった
と思っている。仮に私が日本原子力発電(原電)東海第二原発の
差し止め訴訟を指揮するなら、ポイントは三つあると思う。一つは、
基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか。
これは他の原発と共通の問題だ》
『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》』
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/87399?rct=editorial】
<社説>福島原発判決 「万が一」をかみしめて
2021年2月22日 06時56分
「国に法的責任はある」−原発事故で千葉県に避難した人々が起こした訴訟での東京高裁の判断だ。規制権限の不行使を厳しく指弾した。原発政策では「万が一」にも備えるのが大震災の教訓だ。
国の賠償責任を認めるかどうか−、原発事故をめぐる各地の訴訟では、この点で地裁判断は真っ二つに割れた。高裁レベルでも、昨年九月の仙台高裁は「国に責任あり」だったのに、群馬県に逃れた人の群馬訴訟で先月の東京高裁は「国に責任なし」だった。
司法の姿勢が、今後の国の原子力行政に厳しい対応を迫るかどうか影響を与えうるだけに、今回の東京高裁の判決は意義がある。国の法的責任を認めるうえでハードルとなっていたのが、津波襲来の予見可能性である。
政府の地震調査研究推進本部は二〇〇二年に三陸沖から房総沖にかけての「長期評価」を公表。福島県沖でもマグニチュード8・2前後の地震が起きる可能性があるとした。今回の千葉訴訟では、地裁段階で当時の経済産業省原子力安全・保安院と東京電力との間で交わされた電子メールが明らかにされた。
「福島沖で津波地震が起きたときのシミュレーションをすべきだ」と保安院側が求めたが、東電は反発。「四十分間くらい抵抗した」との生々しい記述があった。残念ながら、このときはシミュレーションは見送られてしまった。
〇八年には東電側が「長期評価」を基に最大一五・七メートルの津波の可能性を試算したものの、対策は土木学会に検討を依頼し、先送りしただけだった。
この経緯を考えれば、「長期評価」が公表されてから、国も東電も津波襲来の危険性を認識していたと考えるのが自然であろう。
今回の判決も、それを前提に規制権限を持つ国が東電に津波対策などを命じなかったことを「著しく合理性を欠いていた」と断じた。全電源喪失を防ぐ措置を想定しなかったことも非難した。
思い起こされるのが、一九九二年の伊方原発(愛媛)をめぐる最高裁判例だ。原発事故は住民の生命・身体、周辺環境に深刻な災害をもたらすから「万が一にも起こらないように」と十分な安全審査を求めたことだ。
大震災と原発事故から十年。この判例の趣旨に照らせば、「長期評価」を危険信号と受け止め、「万が一の災害」に備えるのが原子力政策を進める国の当然の責務だったはずである。
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(2021年02月21日[日])
西日本新聞の記事【福井・美浜町長、再稼働に同意】(https://www.nishinippon.co.jp/item/o/693065/)。
《運転開始から40年を超えた関西電力 美浜原発3号機(福井県美浜町)を巡り、同町の戸嶋秀樹町長は15日、竹仲良広町議会議長と面談し、再稼働に同意すると表明した》。
四十年廃炉ルール無視、特例中の特例のはずが…またしても、あの関西電力は美浜原発3号機の再稼働をしたいらしい…。正気じゃないね。《日本の国策は「安全な原発を動かす」》…《安全》な《原発》というのは、形容矛盾だと思います。
『●小出裕章さんの謝罪』
「自民党の政治屋の皆さんをはじめとして原発を推進して甘い汁を
吸ってこられた方に、この講演会の最後…に流された姫野洋三氏
「若狭の海」…を聞いてみて欲しい」
『●第八回竜一忌、涙が出ました:
松下竜一さん「暗闇の思想」を語る小出裕章さん』
《姫野洋三さんの「若狭の海」
原発のうたは良かったです。
「夜をあんなにあかるくしといて
夏をあんなにさむくしといて
まだまだ 足りないなんて~♪」》
『●四十年廃炉ルール無視、特例中の特例のはずが…
日本原電は東海第二原発の再稼働をしたいらしい…』
《日本原電は、来年四十年の運転期限を迎える東海第二原発の
二十年延命を、原子力規制委員会に申請した。3・11後の
安全強化で、原発はもはや割に合わなくなった。老朽化が進めば、
なおさらだ…3・11後、安全対策のハードルは高くなり、
四十年廃炉のルールもできた。延長は、本来例外的に認められるが、
さらに特別な対策が必要とされている》。
『●核発電は「金のなる巨大木」…《自民党の最近のルールは
「返せば問題ない」と、なかったことにできるというもの》』
『●《稲田朋美…世耕弘成…安倍側近が…関電受注企業から献金
証人喚問を含め、国会の場で徹底的に調査するほかない》』
『●「桜を見る会」税金接待というアベ様模倣犯・世耕弘成経産相
…関西電力〝濁流〟問題でも《関電受注企業から献金》』
政府や与党自公・癒党お維はどうしても発電機能付き「海暖め装置」を動かしたくて仕方ないらしい。「たかが電気のために」。地球温暖化対策の切り札とでも嘯きながら。よほど美味しいおカネの「濁流」があるようだ。
『●姫野洋三さんの「若狭の海」: 核発電銀座…
《地元の人間にしてみれば原発があっても怖いし、なくても怖い》…』
『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》』
《二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力
大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した。
今も自分が正しいと確信を持っている。大飯原発の基準地震動
(耐震設計上の想定の揺れ)は七〇〇ガル(揺れの勢いを示す加速度の
単位)で、重大事故につながる限界点は一・八倍の一二六〇ガルだと
関電は主張していた。私は裁判前は、三〇〇〇ガルのような強い揺れに
原発が耐えられるかどうかが争点になると予想していた。ところがふたを
開けてみれば、一二六〇ガルが来たらおしまいだというのは争いが
なかった。主な争点は「敷地内に一二六〇ガルを超える地震は来ない」
という関電の主張の信用性だった。それが争点なら難しい工学的判断は
不要で、理性と良識があれば簡単に解ける問題となる。地震大国の
日本では、原発で基準地震動を超える地震が頻発しており、大飯も
「ロシアンルーレット」状態だった。日本の国策は「安全な原発を
動かす」であって、「何が何でも動かす」ではない。私の「極めて
危険だから動かしてはいけない」という判断は、国策にも忠実だった
と思っている。仮に私が日本原子力発電(原電)東海第二原発の
差し止め訴訟を指揮するなら、ポイントは三つあると思う。一つは、
基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか。
これは他の原発と共通の問題だ》
『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》』
関西電力 美浜原発3号機(福井県美浜町)再稼働に同意した戸嶋秀樹町長や、竹仲良広町議会議長らは、《大阪地裁訴訟の原告》達の声を聞いたのか? 「美浜のギロチン事故、ギロチン破断」が再び起こった時、「若狭の海」どころか、日本中が御終いでしょうに。どう責任をとってくれるのですか?
なんとしても、核発電「麻薬」中毒者の暴走を止めねければ…。
以前も引用させていただいたが、東京新聞の記事【原発40年超再稼働不同意を要望 大飯判決原告、美浜議会に】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/73074?rct=national)によると、《関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の設置許可の取り消し判決を出した大阪地裁訴訟の原告の一部が8日、福井県美浜町議会に、運転開始から40年を超えた関電美浜原発3号機の再稼働に同意しないよう求める要望書を提出した。関電は美浜3号機を早ければ来年1月にも再稼働させる工程を示しており、町議会は近く同意の是非を示す見込み。町議会では、再稼働を求める請願を審査する特別委員会が今月9日に予定されている。4日の大阪地裁判決は、大飯3、4号機の耐震性が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は誤りだとして、設置許可を取り消した》。
『●大飯原発再稼働の恐〝負〟の連鎖:
40年間も動かした美浜原発2号炉をさらに10年稼働延長』
『●東京電力人災が続く中、なに寝ぼけてんだか!?』
《11人が死傷した関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の
蒸気噴出事故から丸8年となった9日、同原発で追悼式典が開かれ、
八木誠社長が慰霊碑の前で「事故の反省と教訓を風化させることなく、
安全の実績を積み重ねるべく全力を尽くす」と再発防止を誓った》
『●関西電力大飯原発再稼働差し止め、画期的勝訴:
もし敗訴していたら大変なことに……』
《「判決を聞いて5人の仲間のことを思った」
原告の一人で元原発作業員の山本雅彦さん(57)=福井県敦賀市=は
判決後の記者会見でそう話し、04年にあった美浜原発3号機の
蒸気噴出事故で亡くなった5人の作業員を悼んだ》
『●「原子力は血液」……ではなく、「原子力=核」は「麻薬」』
『●「けん制」? いや、「恫喝」でしょ?
関西電力八木誠社長が大津地裁と「地元」市民を脅す!』
《美浜原発3号機(福井県)の廃炉を検討していると一部で報じられた
ことに対しては「検討している事実はない。活用していきたい」と述べた》
『●「あとの祭り」: 核発電「麻薬」中毒患者、増殖中
…どんどん壊れ行くニッポン』
まもなく、東京電力核発電人災から10年。あの人災から何の教訓を得ることもなく、何も変わらないニッポン。民主党政権末期・野田政権、アベ様・カースーオジサンによる《悪夢のような》、〝地獄〟の自民党政権は、核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないままです…。
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【https://www.nishinippon.co.jp/item/o/693065/】
福井・美浜町長、再稼働に同意
2021/2/15 9:56 (2021/2/15 9:57 更新)
(関西電力美浜原発3号機=福井県美浜町)
(再稼働の同意を伝えた町議会議長との面談後、取材に応じる
戸嶋秀樹福井県美浜町長=15日午前、美浜町役場)
運転開始から40年を超えた関西電力 美浜原発3号機(福井県美浜町)を巡り、同町の戸嶋秀樹町長は15日、竹仲良広町議会議長と面談し、再稼働に同意すると表明した。地元町長が40年超再稼働に同意するのは、関電高浜原発1、2号機(同県高浜町)に続き2例目となる。
町長の同意後は県議会や知事の判断となる。杉本達治知事は、今月16日に開会する県議会で議論を促す方針を示しているが、自身の判断時期のめどは「全くない」としている。関電は当初、美浜3号機を1月に再稼働させる計画だった。
美浜町では昨年12月、町議会が同意し、戸嶋氏は「重く受け止める」としていた。
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[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版↑](2020年12月13日[日])
東京新聞の【社説/大飯許可違法 誰がための規制委か】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/72853?rct=editorial)。
《関西電力 大飯原発3、4号機(福井県)の安全性に問題があるとして、大阪地裁は国の原子力規制委員会が関電に与えた原発の設置許可を取り消した。国の原子力政策を根元から揺るがす判決だ。「原子力規制委員会の判断に看過しがたい過誤、欠落がある」−。大阪地裁は、強い言葉で規制委を指弾した。原発の稼働に際し、想定すべき最大の揺れの強さを示す「基準地震動」の算定方法が、最大の争点だった》。
琉球新報の【<社説>大飯原発違法判決 全ての原発審査を見直せ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1237175.html)によると、《日本の原子力行政が根底から否定された。関西電力 大飯原発(福井県)3、4号機の耐震性を巡る訴訟で、4日の大阪地裁判決は原発設置許可を違法として取り消した。判決は原子力規制委員会の判断に対し「地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」と厳しく指摘した。規制委の審査が不十分であることが司法によって示されたのだ。大飯だけでなく、再稼働を目指す東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)や東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)など、審査に合格した施設でも規制委の審査が十分だったのか疑問符が付く》
《どこまで巨費をつぎ込めば安定稼働できるのか》…核発電「麻薬」中毒者たち…核発電と《安全》は対極にあるものだということを決して理解しようとしない。
同核発電所については、《二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した》樋口英明元裁判長は、のちに、《基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか。これは他の原発と共通の問題だ》と仰っています。本来であれば、過去最大の地震動に、さらに、《想定外》を考慮して〝上乗せ〟すべきであるのに、なんと、関電方式では過去の地震動の平均値を基準地震動としているというでたらめ。さらには、それを許容する核発電「推進」委員会・核発電「寄生」委員会。
樋口さんの経歴は、《<ひぐち・ひであき> 1952年、三重県鈴鹿市生まれ、京都大法学部卒。83年、判事任官。静岡、名古屋などの地裁・家裁、大阪高裁などを経て、2014年5月に福井地裁で大飯原発差し止め判決、15年4月に高浜原発再稼働差し止めの仮処分決定を出した。17年8月、名古屋家裁を最後に定年退官》。
『●元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、
北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》』
《二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力
大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した。
今も自分が正しいと確信を持っている。大飯原発の基準地震動
(耐震設計上の想定の揺れ)は七〇〇ガル(揺れの勢いを示す加速度の
単位)で、重大事故につながる限界点は一・八倍の一二六〇ガルだと
関電は主張していた。私は裁判前は、三〇〇〇ガルのような強い揺れに
原発が耐えられるかどうかが争点になると予想していた。ところがふたを
開けてみれば、一二六〇ガルが来たらおしまいだというのは争いが
なかった。主な争点は「敷地内に一二六〇ガルを超える地震は来ない」
という関電の主張の信用性だった。それが争点なら難しい工学的判断は
不要で、理性と良識があれば簡単に解ける問題となる。地震大国の
日本では、原発で基準地震動を超える地震が頻発しており、大飯も
「ロシアンルーレット」状態だった。日本の国策は「安全な原発を
動かす」であって、「何が何でも動かす」ではない。私の「極めて
危険だから動かしてはいけない」という判断は、国策にも忠実だった
と思っている。仮に私が日本原子力発電(原電)東海第二原発の
差し止め訴訟を指揮するなら、ポイントは三つあると思う。一つは、
基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか。
これは他の原発と共通の問題だ》
《あの未曾有の福島第一原発事故を招いた“最大の戦犯”》元行政府の長・アベ様は司法も掌握していたようで…《大飯原発…福井地方裁判所の樋口英明裁判長…運転差止めという判決を出した原発だ。…この判決後、露骨な圧力を思わせる事態が起きる。…名古屋家裁に“懲罰左遷”》《大飯原発…福井地方裁判所の樋口英明裁判長…運転差止めという判決を出した原発だ。…この判決後、露骨な圧力を思わせる事態が起きる。…名古屋家裁に“懲罰左遷”》(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/e35cfa8de5d1762f13e0c7534b05a7bd)。
一方、福井地裁の名判決そのものは、その後どういう経緯をたどったのか? ――― 《極めて多数の人々の生存そのものにかかわる権利と、電気代が高い低いの問題とを並べて論じること自体、許されない》…経済活動よりも生存に関わる人格権を優先。核発電「麻薬」中毒患者・関西電力の大飯原発についての福井地裁の名判決…。《住民の人格権を認めた画期的判決》でした。なのに、司法判断放棄な内藤正之裁判長、大飯核発電所《危険性は社会通念上、無視しうる程度にまで管理・統制》? 《住民の「人格権」を尊重し…大飯…の運転差し止めを認めた一審の判断は、いともあっさり覆された。「原発の是非は政治に委ねる」という裁判所。一体誰のため》(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/9e50e3695c9a006efb2a073a3fad1548)?
引用した東京新聞の【社説/大飯許可違法 誰がための規制委か】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/72853?rct=editorial)には、《関電幹部も悲鳴を上げているというが、再生可能エネルギーが世界の主力電源になりつつある今、安全対策に無限とも思える投資をし続けてまで原発の維持を図ることにこそ、どだい無理があるのだろう。今回の司法判断は、国の原発政策そのものにも、疑問を投げかけているようだ》。
何度も何度もすいませんが…何度でも、貼ります。《世界は電力タダの時代に》…核発電を続けたい、という「麻薬」中毒者達の気が知れない。「復興五輪」どころか、「復興原発」などというふざけた言葉も耳に入ってくる。最近は、「経済性を度外視して、核発電をやらなけらばならない」といった支離滅裂な言説も出てきているようだ。ニッポンは世界中に迷惑を振りまき続けている…。
【【金子勝の言いたい放題】NO5 世界は電力タダの時代に エネ転が拓く経済転換(飯田哲也さんと) 20191230】
(https://www.youtube.com/watch?v=eMDjFFFo3qY&t=186s)
【国内の発電電力量と二酸化炭素(CO2)の推移】
[https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202003/images/PK2020031002100041_size0.jpg]
さらに、デモクラシータイムスでの対談の第二弾。
【【金子×飯田の言いたい放題】目指せ!分散革命ニューディール~電力の転換が生む新しい未来 20201024】
(https://www.youtube.com/watch?v=wME6ynlCXWQ)
刑事裁判として、画期的な今回の判決。気になることは、今回の素晴らしい判決を出してくれた大阪地裁森鍵一裁判長。生まれ変わったのでしょうか? 沖縄でだけ、冷酷なのだろうか?
《那覇地裁(森鍵一裁判長)…「県の訴えは裁判の対象にならない」として却下した。実質的な中身に立ち入らず、門前払いした。工事差し止めの仮処分申し立ても退けた》(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/922d08b904750712aeb2f6b8cac4f449)。
琉球新報の記事【与那国陸自配備、住民の工事差し止め訴えを却下 那覇地裁「武力衝突ない」】(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-201438.html)においても、《[2016年1月10日]与那国島への陸上自衛隊沿岸監視部隊配備に反対する住民30人が国を相手に駐屯地の工事差し止めを求めた仮処分命令申し立てについて、那覇地裁(森鍵一裁判長)は9日までに却下》しています。
なんとしても、核発電「麻薬」中毒者の暴走を止めねければ…。
東京新聞の記事【原発40年超再稼働不同意を要望 大飯判決原告、美浜議会に】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/73074?rct=national)によると、《関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の設置許可の取り消し判決を出した大阪地裁訴訟の原告の一部が8日、福井県美浜町議会に、運転開始から40年を超えた関電美浜原発3号機の再稼働に同意しないよう求める要望書を提出した。関電は美浜3号機を早ければ来年1月にも再稼働させる工程を示しており、町議会は近く同意の是非を示す見込み。町議会では、再稼働を求める請願を審査する特別委員会が今月9日に予定されている。4日の大阪地裁判決は、大飯3、4号機の耐震性が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は誤りだとして、設置許可を取り消した》。
『●大飯原発再稼働の恐〝負〟の連鎖:
40年間も動かした美浜原発2号炉をさらに10年稼働延長』
『●東京電力人災が続く中、なに寝ぼけてんだか!?』
《11人が死傷した関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の
蒸気噴出事故から丸8年となった9日、同原発で追悼式典が開かれ、
八木誠社長が慰霊碑の前で「事故の反省と教訓を風化させることなく、
安全の実績を積み重ねるべく全力を尽くす」と再発防止を誓った》
『●関西電力大飯原発再稼働差し止め、画期的勝訴:
もし敗訴していたら大変なことに……』
《「判決を聞いて5人の仲間のことを思った」
原告の一人で元原発作業員の山本雅彦さん(57)=福井県敦賀市=は
判決後の記者会見でそう話し、04年にあった美浜原発3号機の
蒸気噴出事故で亡くなった5人の作業員を悼んだ》
『●「原子力は血液」……ではなく、「原子力=核」は「麻薬」』
『●「けん制」? いや、「恫喝」でしょ?
関西電力八木誠社長が大津地裁と「地元」市民を脅す!』
《美浜原発3号機(福井県)の廃炉を検討していると一部で報じられた
ことに対しては「検討している事実はない。活用していきたい」と述べた》
『●「あとの祭り」: 核発電「麻薬」中毒患者、増殖中
…どんどん壊れ行くニッポン』
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/72853?rct=editorial】
社説
大飯許可違法 誰がための規制委か
2020年12月7日 07時42分
関西電力 大飯原発3、4号機(福井県)の安全性に問題があるとして、大阪地裁は国の原子力規制委員会が関電に与えた原発の設置許可を取り消した。国の原子力政策を根元から揺るがす判決だ。
「原子力規制委員会の判断に看過しがたい過誤、欠落がある」−。大阪地裁は、強い言葉で規制委を指弾した。
原発の稼働に際し、想定すべき最大の揺れの強さを示す「基準地震動」の算定方法が、最大の争点だった。
規制委は、関電が算出したデータに基づいて、福島第一原発の事故後に厳格化された新規制基準に「適合」すると判定し、二〇一七年五月に設置許可を出していた。
しかし、大阪地裁は「関電が算定に用いた数式は、過去に発生した地震の平均値にすぎない。国の審査ガイドにも、ばらつき(平均値からかけ離れた強さ)が出る恐れを考慮するとある」と指摘。「ばらつきによる上乗せの必要性を検討せずに、許可を与えたのは違法である」と断じた。
大飯原発3、4号機に関しては、元規制委員長代理の島崎邦彦・東京大名誉教授(地震学)も「関電の計算式では、基準地震動が過小評価される恐れがある」と、別の訴訟の法廷などでも証言に立ち、訴えてきた。
原子力規制委員会は福島第一原発の惨事を踏まえ、「想定外」による事故を二度と繰り返してはならないと、設立された機関のはずだ。過小評価の指摘を見過ごすということは、「想定外」を許容するということにはならないか。
もしそうなら、規制委の存在自体の基盤が揺らぐ。
関電が用いた計算式は、国内のほぼすべての原発で、基本データとして重要視されているという。
福島の事故後に各地で相次いだ運転差し止めの司法判断でも、想定される地震の揺れや火山リスク、避難方法などに関する想定の甘さが指摘されてきた。電力側のデータによって立つ現状も含め、すべての原発で、審査過程の再検証が必要だろう。
「どこまで巨費をつぎ込めば安定稼働できるのか」
関電幹部も悲鳴を上げているというが、再生可能エネルギーが世界の主力電源になりつつある今、安全対策に無限とも思える投資をし続けてまで原発の維持を図ることにこそ、どだい無理があるのだろう。今回の司法判断は、国の原発政策そのものにも、疑問を投げかけているようだ。
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[※ 『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]
東京新聞の二つの記事。宮尾幹成記者によるインタビュー記事【<東海第二原発 再考再稼動>(1)耐震性と老朽化に問題 元福井地裁裁判長・樋口英明さん】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201911/CK2019112802000166.html)と、
松村真一郎記者によるインタビュー記事【台風被害は復興できる でも、原発事故は… <東海第二原発 再考再稼働>】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019112802100030.html)。
《営業運転開始から28日で41年となる首都圏唯一の原発をこのまま再稼働させていいの か》。
《二十八日は東海第二原発が営業運転を始めてから四十一年。老朽化が進む一方で、再稼働に向けた手続きは止まらない。首都圏唯一の原発の再稼働に疑問を持つロックバンド「BRAHMAN(ブラフマン)」のボーカルTOSHI-LOWさんに聞いた》。
東京新聞の記事【署名6万人分 原電、初の受け取り 東海第二再稼働反対】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019112802000140.html)によると、《茨城県東海村にある東海第二原発の再稼働に反対し、廃炉を求めている市民団体が二十七日、原発を保有する日本原子力発電(原電)の本店(東京都台東区)を訪れ、六万三千三百二十八人分の署名を提出した。原電は昨年六月から署名の受け取りを拒否してきたが、初めて受け取った》。
四十年廃炉ルール無視、特例中の特例のはずが…日本原電は東海第二原発の再稼働をしたいらしい…。正気じゃないね。《日本の国策は「安全な原発を動かす」》…《安全》な《原発》というのは、形容矛盾だと思います。
『●四十年廃炉ルール無視、特例中の特例のはずが…
日本原電は東海第二原発の再稼働をしたいらしい…』
《日本原電は、来年四十年の運転期限を迎える東海第二原発の
二十年延命を、原子力規制委員会に申請した。3・11後の
安全強化で、原発はもはや割に合わなくなった。老朽化が進めば、
なおさらだ…3・11後、安全対策のハードルは高くなり、
四十年廃炉のルールもできた。延長は、本来例外的に認められるが、
さらに特別な対策が必要とされている》。
政府や自公お維はどうしても発電機能付き「海暖め装置」を動かしたくて仕方ないらしい。「たかが電気のために」。地球温暖化対策の切り札とでも嘯きながら。よほど美味しいおカネの「濁流」があるようだ。
『●核発電は「金のなる巨大木」…《自民党の最近のルールは
「返せば問題ない」と、なかったことにできるというもの》』
『●《稲田朋美…世耕弘成…安倍側近が…関電受注企業から献金
証人喚問を含め、国会の場で徹底的に調査するほかない》』
『●「桜を見る会」税金接待というアベ様模倣犯・世耕弘成経産相
…関西電力〝濁流〟問題でも《関電受注企業から献金》』
相も変わらず原子力規制委員会はデタラメ。最後の砦の司法に訴えても、裁判所も役に立たない…。再エネへの切り替えに乗り遅れ、救いようのない国に堕ちていくニッポン。この自公政権のままではダメです。元福井地裁裁判長・樋口英明さん《地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない》と仰っています。そんな簡単なことが分からないとはねぇ。
『●「上告断念は、最高裁への抗議と不信任「最高裁には
もはや何も期待できない」」…アベ様支配の最「低」裁』
『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、
その下で電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》』
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201911/CK2019112802000166.html】
<東海第二原発 再考再稼動>(1)耐震性と老朽化に問題 元福井地裁裁判長・樋口英明さん
2019年11月28日
東海村の日本原子力発電東海第二原発の再稼働の是非を巡り、「中立」を掲げていた山田修村長が雑誌で容認と受け取れる発言をして、波紋を広げた。再稼働に向けた資金のめどがつき、事故対策工事も着々と進む。営業運転開始から28日で41年となる首都圏唯一の原発をこのまま再稼働させていいのか。有識者や文化人に考えを聞き、随時掲載していく。
二〇一四年五月に福井地裁の裁判長として、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止め判決を出した。今も自分が正しいと確信を持っている。
大飯原発の基準地震動(耐震設計上の想定の揺れ)は七〇〇ガル(揺れの勢いを示す加速度の単位)で、重大事故につながる限界点は一・八倍の一二六〇ガルだと関電は主張していた。
私は裁判前は、三〇〇〇ガルのような強い揺れに原発が耐えられるかどうかが争点になると予想していた。ところがふたを開けてみれば、一二六〇ガルが来たらおしまいだというのは争いがなかった。主な争点は「敷地内に一二六〇ガルを超える地震は来ない」という関電の主張の信用性だった。
それが争点なら難しい工学的判断は不要で、理性と良識があれば簡単に解ける問題となる。地震大国の日本では、原発で基準地震動を超える地震が頻発しており、大飯も「ロシアンルーレット」状態だった。
日本の国策は「安全な原発を動かす」であって、「何が何でも動かす」ではない。私の「極めて危険だから動かしてはいけない」という判断は、国策にも忠実だったと思っている。
仮に私が日本原子力発電(原電)東海第二原発の差し止め訴訟を指揮するなら、ポイントは三つあると思う。一つは、基準地震動を超える地震が来ないと言えるかどうか。これは他の原発と共通の問題だ。
東海第二の建設当初の基準地震動は二七〇ガルだが、東京電力福島第一原発事故後に原電が約一〇〇〇ガルに引き上げ、新規制基準の審査も通った。だが、耐震補強工事をしたところで、四倍も耐震性を上げることは可能だろうか。例えば八〇〇ガルの地震に本当に耐えられるのか。これがもう一つの問題になる。
三つめは、既に原則四十年の運転期限を超えていること。自動車や家電なら老朽化で突然止まっても、その後は安全だ。だが、原発は止まった後がとてつもなく危ない。きちんと冷やすことができなくなれば、四~五時間でメルトダウンする。
これ以上に争点を広げると、裁判官の能力を超えてしまう。この三つに絞れば誰にでも理解できるし、反論が極めて難しい。
東海第二の周辺人口が他の原発より多いのは事実だが、人口が多くても少なくても原発事故の深刻な被害に変わりはない。地震大国の日本には、北海道から沖縄まで原発を動かせる場所はどこにもない。
東海第二のように、再稼働の事前同意対象を立地自治体の周辺にも広げる運動は、原発を止める手段としては、裁判による差し止め以外では最も有効だ。
(聞き手・宮尾幹成)
<ひぐち・ひであき> 1952年、三重県鈴鹿市生まれ、京都大法学部卒。83年、判事任官。静岡、名古屋などの地裁・家裁、大阪高裁などを経て、2014年5月に福井地裁で大飯原発差し止め判決、15年4月に高浜原発再稼働差し止めの仮処分決定を出した。17年8月、名古屋家裁を最後に定年退官した。
<東海第二原発> 日本原子力発電が1978年11月に営業運転開始。出力は110万キロワットで、電気を東京電力や東北電力に供給していた。東日本大震災時は外部電源を失い、冷温停止まで3日半かかった。都心に最も近い原発で、都庁までの距離は福島第一からの半分程度の約120キロ。重大事故が起きた場合、首都圏全域に甚大な被害を及ぼす可能性がある。
2018年11月に原子力規制委員会が最長20年の運転延長を認めた。再稼働の対策工事は21年3月までかかる見込みで、資金支援のため、東京電力などが約3500億円を拠出する構図も固まった。再稼働には、東海村や水戸市など6市村の同意が必要で、首長がどう判断するかが焦点になる。
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019112802100030.html】
台風被害は復興できる でも、原発事故は… <東海第二原発 再考再稼働>
2019年11月28日
茨城県東海村の日本原子力発電東海第二原発の再稼働を巡り、「中立」を掲げていた山田修村長が雑誌の取材で再稼働容認とも受け取れる発言をし、波紋を広げた。二十八日は東海第二原発が営業運転を始めてから四十一年。老朽化が進む一方で、再稼働に向けた手続きは止まらない。首都圏唯一の原発の再稼働に疑問を持つロックバンド「BRAHMAN(ブラフマン)」のボーカルTOSHI-LOWさんに聞いた。
(ふるさとへの思いを語るBRAHMANの
ボーカルTOSHI-LOWさん=東京都渋谷区で)
東京電力福島第一原発事故で、茨城県産のホウレンソウが出荷できなくなった。水戸市の実家が営む冷凍食品会社はホウレンソウが主力商品だったので、大ダメージを受けた。関西圏への出荷分は全部だめになり、何年も続いた。原発問題はエネルギーではなく生活の問題だと認識した。
自分は若い頃に東京に出て、ふるさとを捨てた人間だと思っていた。でも福島の事故が起きたことで、ふるさとって大事なんだという郷土愛に気付いた。
茨城県だって住めなくなるんだ、地元を喪失するかもしれないんだ、と現実味を帯びて感じた。ふるさとがなくなっていいとは思えなかった。
それ以来、原発反対の声を上げている。アーティストだからではない。アーティストである前に国民であり、親であり、人間。おかしいことはおかしいと言う。
ファンは非日常を求めてライブに来るから、嫌がる人もいる。だけど、何を歌うかなんて自分たちの自由だと思っている。
曲作りでは、聴く人の心に描かれる風景が、自分の訴えたいことと合っていればいい。「鼎(かなえ)の問」という曲では、原発事故をイメージしながら、自分が大事にしているものが失われていく情景を書いた。大事なものが何か、考えるきっかけになってほしい。
ライブで原発の話をすることもある。「気付くのも気付かないのも自分次第。でも、気付いたら何かしなければならない」と伝えている。
十月の台風19号では実家も被災した。ボランティアで、県内の被災地で災害ごみの片付けなどを手伝った。台風のような災害は片付けたら復興できる。でも、原発事故はそれができない。
原発事故は起こらないと言われていたのに起きてしまった。東海第二でも起こり得る。福島の事故はなぜ起きたか。答えが出ないまま、東海第二を再稼働させる理由は一つもない。
再稼働を判断した時の首長は、何かあった時に責任を取ってくれるのか。これからは事故が起きたら、再稼働を容認した人に責任を取ってもらうようにしたらいい。「それでも再稼働しますか」と問いたい。
二十~三十年後、自分の曲を聴いた人に「原発なんてものがあったんだ」と思ってもらえる世の中になってほしい。(聞き手・松村真一郎)
<トシロウ> 本名・宮田俊郎。水戸市出身。15歳でバンドを始める。1995年に結成したロックバンド「BRAHMAN(ブラフマン)」でボーカルを担当し、国内外で活動。甲子園の応援で使われる曲もある。東日本大震災後にNPO法人「幡ケ谷再生大学復興再生部」をつくり、被災地の復興支援に取り組む。
<東海第二原発> 日本原子力発電が1978年11月に営業運転開始。出力110万キロワットで、電気を東京電力や東北電力に供給。東日本大震災時は外部電源を失い、冷温停止まで3日半かかった。都心に最も近い原発で、都庁までの距離は福島第一からの半分程度の約120キロ。重大事故が起きた場合、首都圏全域に甚大な被害を及ぼす可能性がある。2018年11月に原子力規制委員会が最長20年の運転延長を認めた。対策工事は21年3月までかかる見込み。再稼働には東海村や水戸市など六市村の同意が必要で、首長がどう判断するかが焦点になる。
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リテラの記事【大飯原発再稼働判決の裏側!運転差し止めの一審を覆した裁判所の策謀とは?一審判事の左遷、高裁判事と政権の関係…】(http://lite-ra.com/2018/07/post-4134.html)。
《関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟が新たな局面を迎えている。7月4日、住民らが運転差し止めを求めた訴訟の控訴審で、名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)が1審の運転差し止め判決を破棄し、差し止めを認めない逆転判決を言い渡したのだ》。
『●司法判断放棄な内藤正之裁判長、
大飯核発電所《危険性は社会通念上、無視しうる程度にまで管理・統制》?』
《内藤正之裁判長は「新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の
判断に、不合理な点は認められない。大飯原発の危険性は社会通念上、
無視しうる程度にまで管理・統制されている」と述べ、運転差し止めを
命じた一審福井地裁判決を取り消し、住民側の請求を棄却…
「…その当否の判断はもはや司法の役割を超え、国民世論として幅広く
議論され、立法府や行政府による政治的な判断に委ねられるべきだ」」》
《住民の「人格権」を尊重し、関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを
認めた一審の判断は、いともあっさり覆された。「原発の是非は政治に委ねる」
という裁判所。一体誰のためにある?》
「司法判断を放棄するとはねぇ。沖縄同様、ここでも政治判断を乱発する
つもりかね。なんのための裁判所なのか? しかも、内藤正之裁判長殿は、
大飯核発電所の《危険性は社会通念上、無視しうる程度にまで管理・統制
されている》…だってさ? 一体どんな社会通念なの? 《普通の社会通念》
すら持ち合わせていないらしい。
福井地裁(樋口英明裁判長)の判決があ~ぁ…。内藤正之裁判長は
司法判断を放棄し、政治判断しちゃったョ。」
本来独立すべき政権にばかり忖度し、政治判断しかできず、司法判断放棄な内藤正之裁判長。
《上告断念は、最高裁への抗議と不信任「最高裁にはもはや何も期待できない」》…アベ様に支配された最「低」裁に何の期待を持てようか。《大飯原発訴訟をめぐってこれまで最高裁による露骨な“再稼動推進人事”がなされるなど、異様な経過をたどってきた》《政府や電力会社に都合が悪い決定を下した樋口裁判官を左遷し、代わりに最高裁がお墨付き与えたエリート裁判官たちを原発再稼働容認のために送り込んだのだ》《つまり電力会社や政府が“国策”として目指す再稼働に都合の悪い裁判所や裁判官に対し人事権を発動し、その後釜として自分たちのコントロールのきく人物を、原発訴訟の担当として送り込んだ》。一連の高江・辺野古破壊を巡る沖縄イジメでも同様だ。それだけではない。例えば、「アベ様のオトモダチのオトモダチを最高裁判事に任命? 「政治判断」乱発の最「低」裁からも忖度?」や「あのアベ様のオトモダチのオトモダチ・木澤克之氏…」、また、「「③山口厚」氏についても、問題が大あり」。
行政だけでなく、立法も掌握し、司法までもその手に。最高裁が最「低」裁に成り下がり、まともな司法判断さえできない法治国家は、最早、独裁国家。与党自公や癒党お維キト残党を支持している皆さんのオメデタサよ。
『●①福井地裁「高浜仮処分」取消の背景《政府の意向》に従う
《各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が反映》』
『●②福井地裁「高浜仮処分」取消の背景《政府の意向》に従う
《各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が反映》』
『●「最低裁」のコールが聞こえる…沖縄負担軽減担当相らの
「辺野古が唯一の解決策」をオウム返しでしょう…』
《▼20年前の代理署名訴訟の最高裁判決の法廷で県側敗訴を
言い渡したとき、傍聴席からは「最低裁」のコールがわき起こった。
最高裁は再び同じ罵声を浴びることないよう沖縄の訴えに
真摯(しんし)に向き合うべきだ》
『●最「低」裁(鬼丸かおる裁判長)、
沖縄に弁論もさせずに「政治判断」…「司法判断」出来ない死んだ司法』
『●アベ様のオトモダチのオトモダチを最高裁判事に任命?
「政治判断」乱発の最「低」裁からも忖度?』
『●あのアベ様のオトモダチのオトモダチ・木澤克之氏…
《2017年最高裁判所裁判官国民審査》を迎える!!』
『●「完全に司法に影響を与えようとする露骨な圧力に
ほかならない…暴挙」…着々と司法を掌握した効果』
『●ドロナワとオトモダチ大優遇問題:
「検察庁や裁判所も公務員であり、人事権が官邸にあるという弱点」』
『●壊れ行く最「低」裁…「これは「最高裁判決」に対する
市民の反乱であり、その反乱が美しい形で決着した」』
『●御得意の証拠隠滅中? 内閣官房機密費についての
最「低」裁「一部開示」判決を無視してアベ様らは何を?』
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【http://lite-ra.com/2018/07/post-4134.html】
大飯原発再稼働判決の裏側!運転差し止めの一審を覆した裁判所の策謀とは?一審判事の左遷、高裁判事と政権の関係…
2018.07.18
(関西電力HPより)
関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟が新たな局面を迎えている。7月4日、住民らが運転差し止めを求めた訴訟の控訴審で、名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)が1審の運転差し止め判決を破棄し、差し止めを認めない逆転判決を言い渡したのだ。
控訴審で最大の争点となったのが基準地震動(耐震設計の目安とする揺れ)が適切かどうかだ。昨年4月、原告側が証人として申請した地震学者の島崎邦彦・元原子力規制委員会委員長代理は、関電が使用している計算式は、揺れの想定を「過小評価している可能性がある」とし、「大変な欠陥がある」と指摘した。しかし裁判所はその後住民側が行った証人7人の尋問をすべて却下。そして大飯原発は原子力規制委員会の新規制基準に適合しているとして「原発の危険性は社会通念上無視できる程度にまで管理・統制されている」と、運転差し止めを認めなかったのだ。
まさに裁判所による暴挙としか言いようがない。しかし今回の高裁判決は、ある意味既定路線と言っていい。というのも、大飯原発訴訟をめぐってこれまで最高裁による露骨な“再稼動推進人事”がなされるなど、異様な経過をたどってきたからだ。
大飯原発訴訟が大きな注目を浴びたのは2014年5月、福井地方裁判所の樋口英明裁判長(当時)が3、4号機の運転差止めという画期的判決を出したことだった。しかし、この判決後、露骨な圧力を思わせる事態が起こる。差止め判決を出した樋口裁判長は大飯原発訴訟の後、高浜原発の差止め訴訟を担当。2015年4月に高浜原発再稼働差し止めの仮処分を出すのだが、その直後、名古屋家裁に“懲罰左遷”されてしまったのだ。そして後任の林潤裁判長(当時)は、樋口判決を覆し高浜原発の再稼働を決定する。
樋口裁判長の左遷だけでなく、林裁判長の着任も露骨なまでに政治的なものだった。林裁判長はそれまでに東京・大阪・福岡と都市圏の高裁と地裁の裁判官を歴任、また裁判所の人事権を握る最高裁事務総局にも席を置いたことがあるエリート。さらに、林裁判長と一緒に高浜原発再稼働を認めた左右陪席の2人の裁判官もまた最高裁判所事務局での勤務経験があるエリート裁判官だった。そんなエリート裁判官たちが福井地裁に赴任するというのは、通常ならあり得ないこと。つまり、政府や電力会社に都合が悪い決定を下した樋口裁判官を左遷し、代わりに最高裁がお墨付き与えたエリート裁判官たちを原発再稼働容認のために送り込んだのだ。
そして注目すべきは、今回の大飯原発訴訟を巡っても、同様の“再稼働推進人事”がなされていたたことだ。2014年5月の樋口判決後、控訴審の審理が始まる前の進行協議で、当時の高裁裁判長は関電側に厳しい態度を取ったが、ほどなくその裁判長は転勤となり、次に着任してきたのが今回の判決を下した内藤裁判長だった。内藤裁判長は、当時の最高裁事務総局のトップである事務総長で現在は最高裁判事の戸倉三郎氏の司法修習同期の裁判官で、かつ大学の同窓でもある間柄なのだ。
つまり電力会社や政府が“国策”として目指す再稼働に都合の悪い裁判所や裁判官に対し人事権を発動し、その後釜として自分たちのコントロールのきく人物を、原発訴訟の担当として送り込んだということだ。
実際、内藤裁判長は訴訟指揮を放棄するかのように、裁判所が双方の言い分が噛み合っているか、疑問があるかなど精査、指揮する争点整理もせず、そのため関電側は弁護団が提起した問題点にまともに答えないことも多かったという。そして前述のように原告側証人として出廷した島崎氏が数々な疑問点を指摘したにもかかわらず、その解明を行うどころか、裁判官は島崎氏に一言も質問することなく証人尋問を終え、住民側が求めた証人尋問を全て却下、その挙句、樋口判決を簡単に覆してしまった。
■住民側弁護団長・島田広弁護士が語る、大飯原発逆転再稼働判決の問題点
(島田広弁護団長)
本サイトでは、大飯原発再稼働を目前に控えた今年3月に住民側弁護団長の島田広弁護士に訴訟の状況についてインタビューし、再稼動にひた走る政府と電力会社を忖度しているとしか思えない裁判所の醜悪な姿をお伝えした。
今回の暴挙としか言いようがない判決についても、あらためて住民側弁護団長の島田弁護士に訊いた。
──今回の高裁判決で、画期的だった樋口判決が覆ってしまった。判決の問題点とは?
島田 大飯原発は、耐震設計の基準とする地震動“基準地震動”は過去に起きた地震の平均値に設定されています。今回の判決で裁判所は「大飯原発に基準地震動の1.8倍を超えるような大地震がくる」ということの可能性は否定していないのです。そして地震の予知は困難でありデータも少ないことは認めている。にもかかわらず、そういった地震の危険について判断するのは政策的判断だと逃げてしまったことです。これまでの裁判所の態度から、裁判を進めず、原子力規制委員会の安全審査の結果だけを待っているという印象を持っていましたが、その通りになりました。判決では「原子力規制委員会の新規制基準に違法・不合理な点はなく、大飯原発が同基準に適合するとした判断にも不合理な点はない」として「原発の危険性は社会通念上無視できる程度にまで管理・統制されている」とありますが、社会通念とはつまり法制度であり、原子力規制委員会の判断だと言わんばかりの内容です。原子力規制委員会がお墨付きをつけているのだから、運転差し止めなど認めない。そんな“判断の枠組み”を作って、そこでしか判断しないということです。そのことがもっとも大きな問題です」
──最高裁事務総長だった戸倉氏と関係の深い内藤裁判長だったことはやはり影響したのでしょうか。
「それが直接どう影響しているかというのは外部からは伺い知れないことですし、わかりません。しかし客観的に見て、そういう人事があり、結果として非常に不当な判決となった。因果関係があると疑われても仕方がない、そんな状況にあるのは間違いないでしょう」
■上告断念は、最高裁への抗議と不信任「最高裁にはもはや何も期待できない」
こうした裁判所の暴挙だが、16日には原告住民側は高裁判決を「不当判決」と糾弾しつつ、しかし最高裁への上告を断念した。その理由も裁判所への強い不信感からだった。
住民側の声明文では、裁判所が「司法の責任を投げ捨て、福島第一原発事故の引き起こした現実から目を背け、正当な科学的議論にも背を向けて下された」と不当判決に対する「心の底からの怒り」を表明した。その上で最高裁が原発訴訟を担当する裁判官の研究会を開催し、「規制委員会の審査結果を尊重すべき」というメッセージを発してきたこと、樋口裁判官の後任として最高裁事務総局経験者のエリートを送り込むなど人事権を濫用して露骨な裁判への介入をしてきたことなどを指摘。「このような状況のもとで、もしも上告すれば、福島第一原発事故以後、初の最高裁の判断が示され、全国の裁判闘争に大きな影響を与える」と「不当な最高裁判決を出させないこと」が、「現状での最良の戦術的選択」だという苦渋の判断をしたことを明らかにしている。
さらにこの判断は、「原発訴訟について今の最高裁にはもはや何も期待できない」という「最高裁に対する抗議と不信任の突きつけ」であるとし、今後も原発運転を差し止めた一審の樋口判決の精神を継ぎつつ、運動を続けていくとも表明した。
司法の責任放棄に対する最大限の抗議ともいえる今回の上告断念だが、本サイトでも再三指摘してきたようにこうした裁判所の再稼働容認の姿勢の背後には政府の意向があることは明らかだ。
科学的知見に基づいたリスクも一切無視し、再稼働に邁進する政権を含めた原子力ムラ。忖度しお墨付きを与える司法。第二の福島原発事故が起きれば、その犠牲になるのは政権幹部でも原子力ムラの面々でもなく、多くの住民だということを忘れないでもらいたい。
(編集部)
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東京新聞の記事【大飯差し止め 取り消し 高裁金沢支部「危険性無視しうる」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201807/CK2018070502000155.html)と、
社説【大飯原発控訴審 司法は判断を放棄した】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018070502000183.html)。
《関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを住民らが求めた訴訟の控訴審判決が四日、名古屋高裁金沢支部であった。内藤正之裁判長は「新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に、不合理な点は認められない。大飯原発の危険性は社会通念上、無視しうる程度にまで管理・統制されている」と述べ、運転差し止めを命じた一審福井地裁判決を取り消し、住民側の請求を棄却…「…その当否の判断はもはや司法の役割を超え、国民世論として幅広く議論され、立法府や行政府による政治的な判断に委ねられるべきだ」」》。
《住民の「人格権」を尊重し、関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを認めた一審の判断は、いともあっさり覆された。「原発の是非は政治に委ねる」という裁判所。一体誰のためにある?》
『●「「慰安婦」問題と言論弾圧」 『週刊金曜日』
(2014年11月14日、1016号)について』
「伊田浩之氏【「短期決戦」確実となった大飯原発差し止め控訴審】、
《福井地裁(樋口英明裁判長)…大飯原発…の運転差し止めを命じた…。
…控訴審が…名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)で始まった…
司法は、「安全神話」の復活に二度と手を貸してはならない》」
『●関電による執行停止の申し立てを却下:
相変わらず「「安全より効率、命より経済」を優先」を関電は主張』
『●普通の社会通念: 「安全性の立証責任は電力会社側にあり…
原発の安全性の欠如が直ちに人格権侵害」』
「「「地元」市民の「命」より「経済性、経済神話」」を優先、
「安全より効率、命より経済」を優先、そう云った「社会通念」で
良いのでしょうか? 今回も、大津地裁の山本善彦裁判長は、
「「安全より効率、命より経済」を優先」という関電の主張を退けました。
《安全性の立証責任は電力会社側にあり…現実に起きた東京電力
福島第一原発事故と被害を目の当たりにした国民の社会通念は、
原発の安全性の欠如が直ちに人格権侵害を推認させるものになっている》。
関電の「社会通念」を明確に否定。山本善彦裁判長の
至極真っ当な判断で、ここまでは期待通りです。問題はここからでしょう。
大阪高裁で、骨のある裁判官に恵まれるか? 期待薄…」
『●予想されたこととはいえ、大津地裁山本善彦裁判長の
「国民の命を守る司法からの重いメッセージ」を破棄…』
司法判断を放棄するとはねぇ。沖縄同様、ここでも政治判断を乱発するつもりかね。なんのための裁判所なのか? しかも、内藤正之裁判長どのは、大飯核発電所の《危険性は社会通念上、無視しうる程度にまで管理・統制されている》…だってさ? 一体どんな社会通念なの? 《普通の社会通念》すら持ち合わせていないらしい。
福井地裁(樋口英明裁判長)の判決があ~ぁ…。内藤正之裁判長は司法判断を放棄し、政治判断しちゃったョ。
『●今頃ようやく福島第二原発の廃炉を決断、
一方、「あとは野となれ山となれ」な玄海原発4号機の再稼働…』
以下のつぶやきに同意します。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
【https://twitter.com/shiikazuo/status/1014740028289716224】
志位和夫@shiikazuo
大飯原発の運転差し止めを認めなかった名古屋高裁の判決は読めば読むほど酷い。
「当否の判断は司法の役割を超え」と言って判断放棄。「原発の危険性は社会通念上無視しうる」というが、そんな「社会通念」はどこにある?
福島の大事故を忘れ、関電言いなりに、新たな安全神話を作る。その罪は重い。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201807/CK2018070502000155.html】
大飯差し止め 取り消し 高裁金沢支部「危険性無視しうる」
2018年7月5日 朝刊
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを住民らが求めた訴訟の控訴審判決が四日、名古屋高裁金沢支部であった。内藤正之裁判長は「新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に、不合理な点は認められない。大飯原発の危険性は社会通念上、無視しうる程度にまで管理・統制されている」と述べ、運転差し止めを命じた一審福井地裁判決を取り消し、住民側の請求を棄却した。
二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故後の原発訴訟で、高裁判決が出たのは初めて。
控訴審の争点は、安全対策の前提として関電が想定している地震の揺れの大きさ(基準地震動)だった。元規制委員長代理の島崎邦彦東大名誉教授(地震学)が住民側の証人として出廷し「過小評価の可能性がある」と主張したが、内藤裁判長は「活断層の断層面積は詳細な調査を踏まえ大きく設定しており、過小であるとは言えない」と退けた。
一四年五月の福井地裁判決は「生命を守り生活を維持するという根幹部分に対する具体的な侵害の恐れがあるときは、差し止めを請求できる。多数の人格権を同時に侵害する性質があるとき、差し止めの要請が強く働くのは当然だ」と指摘。関電の地震対策には構造的な欠陥があるとして住民側の主張を認めていた。
内藤裁判長は、現状の法制度が原発の利用を認めていることに触れ「福島原発事故の深刻な被害に照らし、原発を廃止・禁止することは大いに可能であろうが、その当否の判断はもはや司法の役割を超え、国民世論として幅広く議論され、立法府や行政府による政治的な判断に委ねられるべきだ」と述べた。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018070502000183.html】
【社説】
大飯原発控訴審 司法は判断を放棄した
2018年7月5日
住民の「人格権」を尊重し、関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを認めた一審の判断は、いともあっさり覆された。「原発の是非は政治に委ねる」という裁判所。一体誰のためにある?
「福島原発事故の深刻な被害の現状に照らし、原発そのものを廃止・禁止することは大いに可能であろうが、その当否を巡る判断はもはや司法の役割を超え、政治的な判断に委ねられるべきだ」と名古屋高裁金沢支部。結局は判断の放棄であろう。
福島の悲惨な現状を認めた上で、判断を放棄するのであれば、「司法の役割」とは何なのか。
二〇一四年の福井地裁判決は、憲法一三条の幸福追求権などに基づく人格権を重んじて「具体的危険性が万が一でもあれば、差し止めが認められるのは当然だ」と言いきった。
福島原発事故のあと、初めて原発の運転差し止めを認めた画期的な判断だった。
高裁はこれを「内在的な危険があるからといって、それ自体で人格権を侵害するということはできない」と一蹴した。
内在する危険に対して予防を求める権利は認められないということか。あまりにも不可解だ。
控訴審では、耐震設計の目安となる揺れの強さ(基準地震動)の妥当性、すなわち、原発がどれほどの揺れに耐えられるかが、最大の争点とされていた。
元原子力規制委員長代理で地震学者の島崎邦彦東大名誉教授は法廷で「基準地震動は過小評価の可能性があり、大変な欠陥がある」と証言した。
それでも高裁は「高度な専門知識と高い独立性を持った原子力規制委員会」が、関電側がまとめたデータに基づいて下した判定をそのまま受け入れた。そして「危険性は社会通念上無視しうる程度にまで管理・統制されているといえるから、運転を差し止める理由はない」と断じている。
ここでも規制委と関電の主張を丸のみにした判断の放棄である。
それにしても、今や原発の危険性を測る“ものさし”になってしまった「社会通念」。その正体は何なのか。
避難計画の不備や核のごみ問題などどこ吹く風と、政府は再稼働に前のめり。司法が自らの責任を棚に上げ、政治に委ねるというのなら、もはや「追従」と言うしかない。
「内在する危険」に対する国民の不安は一層、強まった。
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※『●①福井地裁「高浜仮処分」取消の背景…《政府の意向》に従う《各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が反映》』からの続き。
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【http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/177093】
【http://blogs.yahoo.co.jp/kotyannomama/18326291.html】
高浜原発差し止めはヌカ喜び 日本の司法と政治はグルである
2016年3月11日
(画期的なのは間違いないが…(C)日刊ゲンダイ)
これを機に脱原発の動きが広がるのか。大津地裁が9日、関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じる仮処分決定を出した一件のことだ。
「福島原発事故の原因も解明されていない中で、高浜原発の
再稼働は地震や津波への対策や避難計画にも疑問がある。
もともと4号機は先月末のトラブルですでに停止しているし、
関電は高浜原発が動かなくても『電力不足にはならない』
と言っている。原発がなくてもやっていけることは、ここ数年の
電力需給を見れば明らかです。今回の仮処分は、福島原発事故の
教訓を忘れたかのように、原発再稼働に突っ走る政府と
原子力ムラへの強烈な警告であり、再稼働ありきの方針自体を
転換しろと政府に迫る決定なのです。電力会社や政府は
重く受け止める必要があります」(政治学者・五十嵐仁氏)
決定を受け、関電は10日夜、年明けから営業運転を続けていた3号機を停止させた。運転中の原発が司法判断によって停止したのは初めてで、そういう意味では、たしかに画期的な決定といえる。だが、ヌカ喜びは禁物だ。
このニュースを伝えた10日の朝日新聞の記事によれば、エネルギー政策を担う経産省のある幹部は「福井地裁のケースと同じ。この先ひっくり返る可能性が高い」と話したという。まるで、地裁の決定など屁のカッパといった態度なのである。聞き捨てならない発言だが、残念ながら、その通りになるのだろう。
■人事介入してでも原発を守る
原子力ムラには、強気を裏付ける“実績”がある。高浜原発に関しては、昨年4月にも、福井地裁の樋口英明裁判長が再稼働差し止めを命じる仮処分を出している。これを不服として関電が異議を申し立てたところ、昨年12月24日に後任の福井地裁・林潤裁判長によって仮処分決定はあっさり取り消された。住民側が差し止め請求をしていた大飯原発3、4号機についても請求を却下。それで関電は大手を振って、高浜原発を再稼働させたという経緯がある。
元裁判官で明大法科大学院教授の瀬木比呂志氏が言う。
「今回、大津地裁が稼働差し止めを命じた決定は、昨年4月に
福井地裁の樋口裁判長が出した仮処分決定の内容をさらに
深化させ、原子力規制委員会の基準自体にも疑問を投げかけた。
実にまっとうで、勇気ある決定だと思います。司法の役割を
きちんと果たしたと言える。これまで原発稼働差し止めを
求める住民側の仮処分申請がことごとく裁判所に
退けられてきた中で、こうした仮処分決定が積み重なることには
大きな意味があります。とはいえ、今回も保全異議審で
別の裁判官が決定を覆すようなことになる可能性は
否定できません。原発訴訟の今後には注意すべきです」
原発は、政府が音頭を取って進める国策事業だ。一般国民が国家権力に抗するのは容易なことではない。だから、過去の原発訴訟でも、住民側の権利が認められたことはほとんどなかった。
実は、14年に大飯原発の運転差し止め決定を下したのも福井地裁の樋口裁判長だったが、高浜の差し止め申請の審理が昨年3月11日に終了した直後、裁判所は4月1日付で名古屋家裁に異動させる人事を発動した。高裁ならまだしも、家裁への異動。左遷とみられても仕方がない。それでも樋口裁判長は「職務代行辞令」を利用して、異動後も審議を担当し、再稼働を差し止める仮処分を決定した。ただ、異議申し立ての審議に関わることはできなかった。
高浜差し止めも辺野古和解も単なるガス抜き
「原子力ムラに歯向かうとこうなるという見せしめでしょう。
そういう懲罰人事を見ていれば、ますます裁判官は政府に
とって不利になる判断を下しづらくなる。それに、実は判事や検事が、
原発メーカーや電力会社に天下りした例も数多いのです。
信念を持った裁判官は一握りで、正義や国民の安全より、
権力の顔色をうかがう方が大事。出世や保身を第一に考える
裁判官だらけなのが問題です。しかも、上級審になるほど
ヒラメ裁判官ばかりで、権力に都合のいい判断を下そうとする。
自民党政権との長年の癒着があるから、最高裁は違憲判決なんて
絶対に出さない。政権交代しないかぎり、司法と政治の闇にメスを
入れることはできません」(政治評論家・本澤二郎氏)
そもそも政府は地裁の運転差し止め決定を尊重する気などサラサラない。菅官房長官は9日の会見で「原子力規制委の判断を尊重して再稼働を進める方針に変わりはない」と宣言。
安倍首相も昨夕の会見で「地元の理解を得ながら再稼働を進めるという政府の一貫した方針に変わりはありません」と言っていた。
「要するに、地裁の差し止め決定はガス抜きでしかない。
国民の間で脱原発を望む声が多いから、選挙への影響を考えて、
今は差し止め決定を出させておく。どうせ異議審や上級審で覆せる
という権力側の思惑が見え隠れします。残念ながら、この国には
三権分立なんて存在しないのです。司法と行政がグルになって、
政権に都合のいい判断を積み上げ、国民の利益は最終的に
無視される。特権層の側に有利な判断を下すのが上級裁判所の
仕事になっている。法の下の平等という憲法の理念は踏みにじられ、
民主主義がないがしろにされているのです。法治国家として、
こんな恥ずかしいことはありません」(本澤二郎氏=前出)
■司法判断を都合よく使う姑息
それは、辺野古の問題も同じだ。政府は4日、米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡る代執行訴訟で、福岡高裁那覇支部の和解案を受け入れると表明。メディアは「電撃的和解」などと報じたが、こんなもの、ただの先送りでしかない。沖縄の意見を聞く姿勢があるかのように見せる選挙向けの目くらましだ。選挙後に再び強権的に移設を推し進めるのは目に見えている。
その証拠に、安倍は和解勧告の受け入れを表明したその場で、「辺野古への移設が唯一の選択肢であるとの国の考え方に何ら変わりありません」と断言。結論は決まっているのだ。しかも、すぐさま埋め立て承認取り消しを撤回するよう、沖縄県の翁長知事に迫った。話し合いをする気などサラサラない。これのどこが和解なのか。
さらに怪しいのは、安倍が「司法判断が下された場合には、国も沖縄県もその判断に従う。そして互いに協力して誠実に対応することで合意した」と言ったことだ。
裁判所は必ず国に有利な判断を下す。それに沖縄は従わなければならない。司法判断をタテに、辺野古移設を強行する魂胆が見てとれる。
「一般論として、統治と支配の根幹に触れるような裁判では、
権力寄りの判断をする裁判官が多い。本来は個々の裁判官が
法と良心に従って判断すべきなのですが、残念ながら、
そういう勇気ある裁判官は少数派なのが現状で、それは、
この国の司法の構造的な問題でもあります」(瀬木比呂志氏=前出)
憲法を無視し、他方では司法判断を都合よく使う。そういう政権に任せておいていいのか。そこが国民の側にも問われている。
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【http://lite-ra.com/2016/03/post-2066.html】
裁判所は原発ムラの代理人だ! 高浜原発再稼働のために最高裁が“選り抜き裁判官”を福井地裁に送り込んでいた
【この記事のキーワード】 伊勢崎馨, 原発, 癒着 2016.03.15
福島第一原発事故から5年。事故当時の東京電力の幹部、勝俣恒久会長、武藤栄副社長、武黒一郎副社長の3人の刑事責任がようやく問われることになった。
といっても、検察が起訴したわけではない。検察はこの3人について2度に渡り不起訴処分という信じがたい決定を下したが、それに対し検察審査会が2度とも「起訴すべき」との議決をした結果、強制起訴になったのだ。
今後は裁判で審理されるが、彼らが刑事罰を受けることになるかというと、残念ながらその確率は低いだろう。本サイトでも何度も指摘したように、政府と原子力ムラと裁判所の間には明らかな“癒着”があるからだ。
それは、この間の高浜原発に関する裁判所の対応を見れば明らかだ。高浜原発については、3月1日、大津地裁(山本善彦裁判長)が3、4号機の運転差し止めの仮処分を命じる決定を下した。3号機は今年1月29日から、そして4号機は2月26日から再稼働していたが、運転中の原発が裁判所命令で停止したのは史上初めてのことだ。
だが、高浜原発に関しては、これまで裁判所によって再稼働差し止めと容認が繰り返されてきた。まず、昨年4月14日に福井地裁が高浜原発再稼働差し止めの仮処分を決定した。この際、樋口英明裁判長(当時)は想定を超える地震が各地で起こっていることを挙げて、原子力規制委員会の新基準が「合理性を欠く」と政府の原発政策の根本に異を唱えている。
ところが、その画期的な判決を下した樋口裁判長は、その後名古屋家裁に“左遷”されてしまう。これは懲罰人事であり、今後原発訴訟に関わらせないための追放人事でもあることは明白だった。
そして、樋口裁判長の後任として福井地裁に赴任してきたのが林潤裁判長だった。林裁判長は昨年12月24日に高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを覆し、事実上、再稼働を決定。さらに、林裁判長は大飯原発についても周辺住民らが求めていた再稼働差し止めの仮処分の申し立てを却下する決定をした。
この林裁判長の人事について、今週発売の「週刊現代」(講談社)3月26日・4月2日合併号が露骨すぎる政治的背景を暴露している。
問題は林裁判長の経歴だ。1997年に任官した林裁判長は最初の赴任地が東京地裁で、2年後に最高裁判所事務総局民事局に異動。その後も宮崎地裁勤務以外、東京・大阪・福岡と都市圏の高裁と地裁の裁判官を歴任している。
「現代」では明治大学政治経済学部の西川伸一教授がその経歴についてこんなコメントをしている。
「任官して初の赴任地が東京地裁という点で、人事権を
握っている事務総局から、目をかけてもらっていることが
窺えます。その上、初任明けと呼ばれる2ヶ所目の赴任地が
事務総局。これは、林裁判官の同期108人の中でも
6名しかいません。実際、任官から18年で部総括判事の役職に
就くのもかなり早い出世です」
この最高裁事務総局というのは、裁判所の管理、運営、人事を仕切る部署で、将来は最高裁判官を狙えるようなエリートが集まるところだという。林裁判長は人事権を握る事務総局から目をかけられ、将来を約束された最高裁長官さえ狙えるようなエリートだったのだ。
いや、林裁判長だけではない。昨年12月、林裁判長と一緒に高浜原発再稼働を認めた左右陪席の2人の裁判官、中村修輔裁判官と山口敦士裁判官もまた最高裁判所事務局での勤務経験があるエリート裁判官だった。
中村裁判官は一度も遠隔地赴任がなく、東京、横浜、大阪で過ごし、事務総務局総務局付で国会対策などを担当したエリート。
また山口裁判官も大阪高裁や出向で外務省の花形ポジションである国連日本代表部2等書記官の肩書きを持っていたという。
そんなエリート裁判官たちが高浜原発のある福井に赴任し、原発政策に関わる決定に関与した。これは異例のことだ。「現代」では元裁判官の弁護士がこうコメントしている。
「本来、福井地裁は名古屋高裁内でも比較的ヒマな裁判所で、
アブラの乗った裁判官が来るところではない。しかも、
この3人は東京や大阪など、他の高裁管内からの異動で、
この人事には、各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が
反映されていると見るべきです」
ようするに、政府や電力会社に都合が悪い決定を下した裁判官を左遷し、代わりに最高裁がお墨付き与えたエリート裁判官たちを原発再稼働容認のために送り込んだのだ。
こうした最高裁による露骨な原発推進人事という“意思”の背景にはもちろん、政府の意向がある。前出の元裁判官の現役弁護士はこう語っている。
「いくら独立が保障されているとはいえ、裁判所も上層部へ
行けばいくほど政権との接触は増えるため、考え方が政権の
意向に沿ったものになる。彼ら3名を含め、事務総局に
勤務経験のある裁判官は、そうした阿吽の呼吸を
最もよく心得た人々なのです」
いや、政府だけではない。本サイトでも以前、指摘したように、裁判所は電力会社や原子力産業とも直接癒着している。これまで数多くの電力会社と住民との訴訟において、電力会社に有利な決定を下した裁判官や司法関係者が原発企業に天下りするなど、原発利権にどっぷりと浸かっているのだ。
こうして見れば、原発事故当時の東電幹部たちが公正な裁きを受けることなど、到底期待できないことが分かるだろう。同時に現在“かろうじて”停止している高浜原発に対しても、3月14日、関西電力は仮処分に対し異議と執行停止を求めて大津地裁に申立てた。これで三たび、高浜原発再稼働に関する審議が行われることになるが、予断は許さない状況だ。またぞろ政権の“意向”を受けた裁判所人事が行われ、もしかしたら今回の停止決定を下した山本裁判長が“左遷”されたり審議から外され、別のエリート裁判官が送り込まれる可能性もある。
国民の生命の安全を無視して原発再稼働政策を押し進める安倍政権と、それを後押しする法務省、裁判所に対して、より一層の監視とチェックが必要だ。
(伊勢崎馨)
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東京新聞の二つの記事【高浜再稼働認める 福井地裁、仮処分取り消し】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015122502000133.html)、
【福島を忘れたのか 「闘い続ける」誓い新た 高浜仮処分取り消し】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015122502000130.html)、
社説【大飯・高浜原発 安全は“神話”のままだ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015122502000138.html)。
《福井地裁(林潤(じゅん)裁判長)は二十四日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止めた四月の仮処分決定を取り消した》。
《「裁判長は福島原発の事故を忘れてしまったのか」…林潤裁判長》。
《福井県にある高浜原発、大飯原発の再稼働差し止めを求める司法判断が、覆された。だが待てよ。誰もまだ安全を保証するとは言っていない。大事故が起きた時、責任を取る覚悟も力もないままだ》。
『●核発電信者・値上げ脅迫の関電「再稼働差し止めの仮処分決定」執行停止申し立て・・・福井地裁が却下』したはずの林潤裁判長殿、一体全体なぜ?? 辺野古破壊でも生じているような『●アベ様らは何が何でも辺野古破壊、「ヒラメ裁判官が、よりによってこのタイミングで那覇支部長」に就任』のように、林潤裁判長も「ヒラメ」化?
配置換えの樋口英明裁判官は何を思う? 「経済神話の否定」「環境神話の否定」を否定する愚かさ。「経済神話の否定」「環境神話の否定」を覆す林裁判長。司法の矜持無し。三権分立はどこ行った?
『●関西電力大飯原発再稼働差し止め、画期的勝訴:
もし敗訴していたら大変なことに・・・・・・』
《原発の稼働が発電コストの低減になるという関電側の主張も退ける。
極めて多数の人々の生存そのものにかかわる権利と、
電気代が高い低いの問題とを並べて論じること自体、
許されないと、怒りさえにじませているようだ。
経済神話の否定である》
《そして、原発の稼働が地球温暖化の原因になる温室効果ガスの
削減に寄与するという被告側の主張に対しては、
福島原発事故はわが国始まって以来の環境汚染、
甚だしい筋違いとまで言い切って、環境神話も否定した》
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015122502000133.html】
高浜再稼働認める 福井地裁、仮処分取り消し 仮処分取り消し
2015年12月25日 朝刊
福井地裁(林潤(じゅん)裁判長)は二十四日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止めた四月の仮処分決定を取り消した。関電の異議を認めた。二基の地元同意の手続きは既に完了しており、来年一月下旬にも再稼働する。住民側はこの決定を不服として二十五日、名古屋高裁金沢支部に抗告する。
林裁判長は、原子力規制委員会の新規制基準について四月決定から一転「合理性がある」と判断した。四月決定で問題とされた基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)の策定方法などにも不備はないとした。
その上で、高浜原発の基準地震動に関し「極めて厳しく想定されており、信頼に足る」などと支持した。各施設の耐震安全性についても「基準地震動に対して余裕を持っている」とする関電の主張を採用した。
さらに、住民側が主張した津波や土砂災害の危険性に関しても関電の対策を「合理的」と評価。炉心溶融が起きた後の対応などについては「安全性に欠ける点があるとはいえない」として、「判断するまでもない」と退けた。こうしたことから「住民らの人格権が侵される具体的危険があるとはいえない」と結論づけた。
仮処分は昨年十二月、福井や京都など四府県の住民九人が求めた。福井地裁の当時の樋口英明裁判長(名古屋家裁に異動)は四月、関電の想定を超える揺れの地震で炉心が損傷する危険があるとして、再稼働を認めない決定を出し、関電が異議を申し立てていた。
二基は二月に新規制基準に適合。今月三日に高浜町の野瀬豊町長が、二十二日には西川一誠知事が再稼働に同意した。関電は3号機は来年一月下旬、4号機は二月下旬の再稼働を目指している。
福井地裁は二十四日、住民側が関電大飯(おおい)原発3、4号機(同県おおい町)の運転差し止めを求めた仮処分の申し立てについても「規制委の審査が続いており、再稼働が差し迫っているとはいえない」として却下した。大飯原発は規制委の適合審査中で、住民側は名古屋高裁金沢支部に即時抗告するか、審査に適合した段階で再び仮処分を申し立てるかを検討する。
◆「規制委の判断」を追認
<解説> 福井地裁の異議審決定は原子力規制委員会の新規制基準の合理性を認め、原発の再稼働を進める政府方針を後押しした。四月の仮処分決定が果たした行政に対するチェック機能は後退し、憲法が定める「司法権の独立」も揺らぎかねない。
決定は「過酷事故が起こる可能性が否定されるものではない」と言いながら、住民側の不安とは向き合っていない。関電と規制委に最新の科学技術を反映し「高いレベルの安全性を目指す努力」を求めはしたが、これは両者に責任を転嫁したにすぎない。
最新の科学技術に照らすだけなら、裁判官は専門家である規制委の判断を追認するしかない。東京電力福島第一原発事故を経験した裁判官に求められるのは、科学技術では明らかになっていない部分を見通し、現在の基準の合理性を判断する姿勢だ。
憲法七六条は「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法および法律にのみ拘束される」と定める。地元同意の手続きが一気に進む中で出した判断は、住民側弁護団が言うように「再稼働の日程に配慮した」と疑われかねない。
国民の過半数が原発の再稼働に反対する一方で、政府と電力会社、地元自治体が一体となった原発回帰の動きが加速する。司法は福島原発事故から何を学んだのか。国民の不安の声に耳を傾けない限り、その存在意義は失われていくだろう。 (高橋雅人)
◆福井地裁の決定骨子
▽高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分決定を取り消す
▽原子力規制委員会の新規制基準には合理性がある
▽高浜3、4号機の基準地震動は余裕を持って評価してあり、各施設の安全性は確保されている
▽再稼働しても住民の人格権が侵害される具体的危険性は認められない
▽過酷事故の可能性が全く否定されるものではない
▽大飯原発3、4号機の再稼働は差し迫っておらず、仮処分判断の必要性がない
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015122502000130.html】
福島を忘れたのか 「闘い続ける」誓い新た 高浜仮処分取り消し
2015年12月25日 朝刊
(高浜原発3、4号機の再稼働差し止め仮処分の取り消しが決まり、
垂れ幕を掲げる関係者の横で演説する河合弘之弁護士
=24日、福井市の福井地裁前で)
「裁判長は福島原発の事故を忘れてしまったのか」。福井地裁が二十四日、関西電力高浜原発3、4号機や大飯原発3、4号機の再稼働を認める判断を示したことに、地裁周辺で待っていた市民らは重い沈黙に包まれた。福島県の避難住民からは「原発事故の被害者でないと、その恐ろしさは分からないのか」と疑問の声が上がった。
午後二時すぎ。地裁前で待つ人々の前に「司法の責任どこへ!」などと書かれた垂れ幕を掲げた人たちが飛び出してきた。
信じられない。まさか…。申立人の今大地(こんだいじ)晴美さん(65)は幕を手にそんなことを思っていたという。
裁判所前には三百人ほどが朗報を待っていた。神戸市の無職、中井忠さん(72)は言葉を失ったといい、「司法は自ら裁くことを放棄した」と話した。
その後、福井市の県国際交流会館で開かれた住民側の記者会見では、三人の裁判官への不満が相次いだ。
異議審が始まった五月、林潤(じゅん)裁判長は「耳目を集める事件なので慎重にやらせてもらう」と宣言。早く審理を終わらせたがる関電を制し、双方によるプレゼンテーションを実施した。両者ともに自由に意見を述べさせるため、記録に残さずに発言させた。
「何のためのプレゼンだったのか、と思わざるを得ない」「関電に厳しい質問をしていたが、今となっては助け舟を出していたようにさえ思える」。弁護士から厳しい言葉が飛ぶ。
申立人の一人、松本なみほさん(41)は「裁判官は国策に押し切られた。でも電力が自由化されたら、電力会社を選べる。選挙という手段もある」と今後も闘い続けることを誓っていた。
一方、福井県高浜町の野瀬豊町長は「新規制基準が妥当かが論点だったのだと思うが、観念的な部分を外した冷静な判断だと評価したい」と話した。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015122502000138.html】
【社説】
大飯・高浜原発 安全は“神話”のままだ
2015年12月25日
福井県にある高浜原発、大飯原発の再稼働差し止めを求める司法判断が、覆された。だが待てよ。誰もまだ安全を保証するとは言っていない。大事故が起きた時、責任を取る覚悟も力もないままだ。
逆回転が加速し始めたということか。「原発ゼロ」の歯止めが、また一つ外された。
最大の争点は、3・11後に定められた原子力規制委員会の新たな規制基準を、原発再稼働の“お墨付き”とするか、しないかだ。
規制委は二月、高浜原発3、4号機を新規制基準に適合しているとした。
それを受け、関電は再稼働の準備に着手。しかし、福井地裁は四月、「新規制基準は合理性を欠く」として、周辺住民が求めた再稼働差し止めを認める決定を下していた。新規制基準の効力に根本的な疑問を投げかけたのだ。
関電の不服申し立てを受けた福井地裁は、その決定を百八十度覆したことになる。
安全対策上想定すべき最大の揺れの強さ(基準地震動)、その揺れや津波に対する関電側の対策、使用済み核燃料保管の危険性…。どれをとっても規制委の審査に「不合理な点はない」として、原発が周辺住民の人格権や、個人が暮らしや生命を守る権利を侵害する恐れはないと判断した。
昨年五月、同様に運転差し止めを認めた大飯原発3、4号機に関しても「規制委の審査中であるから」と、差し止めを却下した。
高浜に関しては、西川一誠知事が二十二日再稼働に同意して、地元同意の手続きを終えている。関電は、まず3号機から運転開始を急ぐという。
だが、よく考えてもらいたい。
裁判所は事業者の取った対策が「新規制基準に適合する」という規制委の判断を「合理的」としただけだ。規制委自身が何度も表明しているように、その判断は「安全」を保証するものではない。
今回の福井地裁も「過酷事故の可能性がまったく否定されたものではない」と、はっきり述べているではないか。
知事の判断も同じである。
安全確保は事業者の責務。事業者の規制は国の責務。県は監視するだけという、及び腰の最終同意である。事業者にも国にも“責任能力”などないことは、福島の現状を見れば、明らかではないか。
安全性も責任の所在もあいまいなまま、再稼働へひた走る。その状況が何も変わっていないということを、忘れてはならない。
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東京新聞の記事【規制委員長「事実誤認ある」 「基準見直す必要ない」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015041602000137.html)と、
nikkan-gendaiの二つの記事【高浜原発差し止め 司法も警告「世界一厳しい」安全基準のウソ】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159020)、
【高浜原発差し止め 裁判長を激怒させた関西電力の“禁じ手”】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159107)。
『●関西電力大飯原発再稼働差し止め、画期的勝訴:
もし敗訴していたら大変なことに・・・・・・』
『●画期的! 福井地裁樋口英明裁判長、
高浜3、4号機再稼働差止仮処分決定・・・「直ちに効果が発生」!!』
『●高浜原発「差し止め」、国民を守る司法判断:
寄生委の新規制基準は「緩やかにすぎ、合理性がない」』
「多様なバックアップの配備を義務づけており、冷却は問題なく続けられると説明・・・・・・「新規制基準を見直す必要性は今のところ感じていない。決定はわれわれの審査や決定には影響がない」」。
原子力「ムラ寄生」委員長殿、「問題なく」は確率100%ですね? 「想定不適当」「割り切って事態の想定をしない」なんてことはないでしょうね?? 「今のところ」??・・・将来事故の際の伏線か? 言い訳か??
『●東京電力原発人災での「想定不適当事故」を
想定しなかった教訓が全く活かされていない』
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『●FUKUSIMAでも変わらないNIPPON』
「最後に呆れた国会答弁の
ご紹介(http://mizuhofukushima.blog83.fc2.com/blog-entry-1773.html#more)
です。その極一部のみ紹介します。質問者は
福島瑞穂(福島みずほ)さん。
「割り切って事態の想定をしない」そうです。そのくせ、
「想定外の事態」という訳です。ふざけ過ぎている、と思いませんか?
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「国の原発の「新規制基準」を「緩すぎる」「適合しても安全性は確保されていない」「合理性を欠く」と、根底からバッサリ否定するものだったからだ。安倍首相はさぞ狼狽していることだろう」。
原子力「寄生」委員会の「世界一厳しい」らしい基準に合格したからと言って、「安全」・・・・・・なわけがない。
「関電は、地裁への異議申し立て準備を進めるなど大慌てだが、仮処分を覆すのは容易ではない・・・・・・焦った関電は激しく抵抗。“禁じ手”を放ったが、その行為が樋口裁判長の怒りを買ったという・・・・・・しかし、これはめったに使われない禁じ手です。なぜなら、裁判長に『失格』の烙印を押す行為だからです。それを関電側は平気で仕掛けてきた。怒った樋口裁判長は『異動するが、この訴訟だけは俺がやる』と職務代行の手続きを取り、仮処分の決定を出したのです・・・・・・樋口裁判長のような「良心と気概」を持った裁判官が増えてほしいものである」。
“禁じ手”に抗して「国民を守る司法判断」・・・・・・これに続く裁判官は居るか?
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015041602000137.html】
規制委員長「事実誤認ある」 「基準見直す必要ない」
2015年4月16日 朝刊
(福井地裁の決定について話す原子力規制委員会の
田中俊一委員長=15日午後、東京都港区で)
関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働を認めないとした福井地裁の仮処分決定に対し、原子力規制委員会の田中俊一委員長は十五日の記者会見で「事実誤認がいくつもある」などと反論した。
田中委員長は「事実誤認」の事例として、決定文は使用済み核燃料プールを冷やす給水設備の耐震性について、比較的低いBクラスと記述していたが、正しくは最高のSクラスだと説明。想定する最大級の地震動(基準地震動)が必ずしも最大値で設定されていないとの記述については、断層が連動して動くなど不確かな要素も考慮して厳格に設定した、と反論した。
また、外部電源が断たれると原発の冷却機能が不安定になるとの記述には、非常用発電機や電源車など多様なバックアップの配備を義務づけており、冷却は問題なく続けられると説明した。
決定は原発の新しい規制基準を「合理性を欠く」などと厳しく批判したが、田中委員長は「科学的に真っ向から否定されたとは思っていない」とし、「新規制基準を見直す必要性は今のところ感じていない。決定はわれわれの審査や決定には影響がない」と述べた。
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【http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159020】
高浜原発差し止め 司法も警告「世界一厳しい」安全基準のウソ
2015年4月15日
(原子力規制委員長自ら「安全だとは申し上げない」/(C)日刊ゲンダイ)
14日福井地裁が下した高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分決定は衝撃的だ。国の原発の「新規制基準」を「緩すぎる」「適合しても安全性は確保されていない」「合理性を欠く」と、根底からバッサリ否定するものだったからだ。安倍首相はさぞ狼狽していることだろう。
実際、福井地裁が明言したように、「新規制基準」は欠陥だらけだ。安倍首相は「世界一厳しい基準」と自画自賛し、国民も「適合すれば安全」だと思わされているが、「新規制基準」は、安全とは程遠いシロモノなのである。
■規制委は「安全」とは言っていない
福井地裁の決定を受け、自民党の細田幹事長代行は「安全性の判断は専門家に任せるべきだ」と裁判所を批判した。だが、細田氏の発言はチャンチャラおかしい。原子力規制委員会の田中委員長は過去にこう繰り返しているのだ。
「安全か、安全じゃないかという表現はしない」
「絶対に安全だとは私は申し上げません」
要するに、そもそも規制委の審査は「安全」を宣言するものではないのである。
■避難計画の実効性審査されず
性急な原発再稼働に疑義を唱えている新潟県の泉田知事は、かつて本紙のインタビューで「新規制基準」についてこう話していた。
「世界の標準は『住民の命と健康をどう守るか』なのに、
田中委員長は『そこは私たちの仕事ではない』と言う。
無責任以外の何ものでもありません」
規制委は住民の避難計画を審査せず、自治体に“丸投げ”。「我々が審査するのはハードだけ」という姿勢なのだ。米国の原子力規制委員会が、緊急時の避難計画が整っていなければ稼働許可を出さないのとは大違いだ。
■メルトダウンの対策がない
原発の安全確保には「止める」「冷やす」「閉じ込める」が必要で、世界ではメルトダウン事故を前提に対策が取られている。欧州では溶け落ちた燃料を受け止める「コアキャッチャー」の設置が義務化されている。ところが、日本の新基準にはそれがない。「世界一厳しい」なんて笑止千万だ。
■福島原発事故の検証が先
「(福島第1原発)事故の検証・総括がないまま策定された
規制基準では安全は確保できません」
これは、今回の仮処分決定を受け、新潟県の泉田知事が出したコメントの一部。泉田知事が繰り返し主張していることだが、福島原発の事故原因がいまだ分からないのに、どうすれば安全が確保されるのか。安全基準なんて作れるわけがない。「原発の倫理学」の著書もある元経産官僚の古賀茂明氏もこう語った。
「泉田知事も言っているように、『新規制基準』は避難計画が
切り離されていて話になりません。原発事故が起きた際、
住民が避難するのにどれだけの時間がかかるか分からないのに、
どうやってベントで放射能を放出する判断をするのでしょうか。
日本は地震大国なのに、活断層を調べる年代も狭い。
コアキャッチャーを設置する必要もない。今あるほとんどの
原発が動かせるようにするために作った緩い基準だからです。
今回の裁判所の決定は、原子力規制委員会に、
『基準をもう一度作り直せ』ということです」
■英BBCも「安倍首相にとって大打撃」
関電が想定していた今年11月の高浜原発の再稼働は、これで厳しくなった。それどころか、英BBCまで「原発の再稼働を推し進める安倍首相にとって大打撃」と報じている。安倍首相はいよいよ、お腹が痛くなってきたんじゃないか。
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【http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159107】
高浜原発差し止め 裁判長を激怒させた関西電力の“禁じ手”
2015年4月17日
(大慌て…(関西電力の八木社長)/(C)日刊ゲンダイ)
「関電は原発から撤退せよ」――。16日市民団体が関西電力本店前で怒りのシュプレヒコールを上げた。福井地裁が下した高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分決定で、“反原発”は俄然、勢いづいている。関電は、地裁への異議申し立て準備を進めるなど大慌てだが、仮処分を覆すのは容易ではない。
「福井地裁は(再稼働の可否を決める)原子力規制委の
新基準を『ズサンで無効』と判断した。覆すには、判決内容の
ひとつひとつに具体的に反論する必要があるが、恐らくできないと思う」
差し止め訴訟の弁護団共同代表の河合弘之弁護士は、自信タップリにこう言った。そもそも、この画期的な判決が出るのは時間の問題だった。勝因のひとつは、弁護団の用意周到な戦略だ。
河合弁護士や海渡雄一弁護士はまず、「日本と原発」というドキュメンタリー映画を作成。裁判官とはいえ、原発についてはシロウト。そこで、原発の問題点を裁判官に分かりやすく説明するために有識者にインタビューし、まとめたのだ。いま、全国で原発の差し止め訴訟が起きているが、この映画が裁判所に提出されていて、「伊方原発」運転差し止め訴訟の松山地裁では“異例”の法廷上映会も開かれた。
次に弁護団が着目したのは、昨年5月に大飯原発3、4号機の差し止め訴訟で、運転停止を命じた樋口英明裁判長(62)だ。樋口裁判長なら原発の問題点を熟知していると判断し、樋口裁判長のいる福井地裁に提訴したのである。焦った関電は激しく抵抗。“禁じ手”を放ったが、その行為が樋口裁判長の怒りを買ったという。
「樋口裁判長が4月に名古屋家裁に異動することを知った
関電は『裁判官忌避』という手段で判決の引き延ばしを図った。
裁判長が異動すれば判決も変わると読んだわけです。しかし、
これはめったに使われない禁じ手です。なぜなら、裁判長に
『失格』の烙印を押す行為だからです。それを関電側は平気で
仕掛けてきた。怒った樋口裁判長は『異動するが、この訴訟だけは
俺がやる』と職務代行の手続きを取り、仮処分の決定を出したのです」
(司法ジャーナリスト)
樋口裁判長のような「良心と気概」を持った裁判官が増えてほしいものである。
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東京新聞の記事【高浜原発の再稼働認めず 福井地裁が仮処分】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015041401001499.html)。
asahi.comの記事【高浜原発再稼働を差し止め 福井地裁が仮処分決定】(http://www.asahi.com/articles/ASH3X43MLH3XPTIL00M.html?iref=comtop_6_02)。
福井地裁の樋口英明裁判長が高浜3、4号機再稼働差止仮処分を決定しました。画期的な決定です。先月の井戸謙一さんの予測はコチラ。
『●井戸謙一さん「高浜3、4号機再稼働差止仮処分」
・・・「仮処分決定は、直ちに効果が発生」、再稼働不能』
井戸さんの予想通り、「関西電力 高浜原発3、4号機の安全対策は不十分として、周辺の住民らが再稼働差し止めを申し立てた仮処分で、福井地裁(樋口英明裁判長)は14日、再稼働を認めない決定・・・・・・。決定はすぐに効力を持つ。関電は・・・・・・主張が認められない限り再稼働できない」、「福井地裁の樋口英明裁判長は14日、再稼働を差し止める仮処分決定を出した。原発の運転をただちに禁じる司法判断は初めて。2基の原発は当面動かせず、関電がめざす11月の再稼働も難しくなる可能性」。
「仮処分決定は、直ちに効果が発生」し、当座、再稼働不能です。福井地裁のあの樋口英明裁判長の、この判断に喝采を送りたい。
『●関西電力大飯原発再稼働差し止め、画期的勝訴:
もし敗訴していたら大変なことに・・・・・・』
『●狂気の伝染、連鎖: 原子力「ムラ寄生」委員会が
お墨付きを与えるのはあの関電の高浜プルサーマル原発』
『●関西電力八木誠社長のあの高浜原発:
「プルサーマル原発」に続き「寿命原発」を動かしたいそうです』
『●60年間稼働させたい高浜原発:
「電気代が高い低いの問題とを並べて論じること自体、許されない」』
『●日本中が「地元」・・・・・・
大間原発と高浜原発の再稼働問題、「30キロ圏内の声を聴け」ではダメ』
『●「仏様のおかげ」はもう期待しない方がいい:
高浜原発、「このゴジラが最後の一匹だとは思えない」』
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015041401001499.html】
高浜原発の再稼働認めず 福井地裁が仮処分
2015年4月14日 16時55分
関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の安全対策は不十分として、周辺の住民らが再稼働差し止めを申し立てた仮処分で、福井地裁(樋口英明裁判長)は14日、再稼働を認めない決定をした。仮処分で原発の運転を禁止する決定は全国で初めて。決定はすぐに効力を持つ。関電は不服を申し立てるとみられ、主張が認められない限り再稼働できない。
2基は九州電力川内原発(鹿児島県)に続き、政府が「世界で最も厳しい」と強調する原子力規制委の審査に合格。しかし地裁はこれを事実上否定する判断をした。原発を「重要なベースロード電源」と位置付ける政府のエネルギー計画にも影響を与えそうだ。
(共同)
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【http://www.asahi.com/articles/ASH3X43MLH3XPTIL00M.html?iref=comtop_6_02】
高浜原発再稼働を差し止め 福井地裁が仮処分決定
室矢英樹、太田航 2015年4月14日14時03分
(高浜原発3、4号機の再稼働を差し止める仮処分が出て、
幕を出して喜ぶ申立人と弁護団ら。手前左端は河合弘之弁護団
共同代表=14日午後2時7分、福井市の福井地裁、筋野健太撮影)
関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町、定期検査中)について、福井地裁の樋口英明裁判長は14日、再稼働を差し止める仮処分決定を出した。原発の運転をただちに禁じる司法判断は初めて。2基の原発は当面動かせず、関電がめざす11月の再稼働も難しくなる可能性がある。
仮処分を申し立てたのは福井、京都、大阪、兵庫4府県の住民9人。
住民側は、高浜原発の使用済み核燃料プールは原子炉のように堅固な施設に囲われていないなどとして、その安全性は「確たる根拠がない脆弱(ぜいじゃく)なものだ」と主張。「重大事故が起きれば、生存権を基礎とする住民らの人格権が侵害される」と訴えていた。
一方、関電側は、津波の被害を受けても原子炉の冷却ができるよう発電装置を準備していることなどを挙げ、安全性を強調。「具体的な危険はない」と申し立ての却下を求めていた。
樋口裁判長は昨年5月、関電大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転をめぐる訴訟で差し止めを命じる判決を出した。だが、関電が控訴して判決は確定せず、原子力規制委員会が新規制基準にすべて適合すると判断すれば再稼働できる状態にある。
このため住民らは昨年12月、より法的な即効力がある仮処分の手続きをとり、大飯、高浜両原発の再稼働差し止めを求めて訴えた。樋口裁判長は、再稼働に向けた規制委の審査に今年2月に合格した高浜原発についての判断を先行させる考えを表明。慎重な検討を求める関電側の主張を退け、3月に審理を打ち切っていた。(室矢英樹、太田航)
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東京新聞の二つの記事【原発事故調書19人分公開 情報入らず誤認の連鎖】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014091290070157.html)、
【事故教訓 安倍政権顧みず 再稼働推進 調書把握後も】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014091202000157.html)と、
コラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014091202000143.html)。
吉田調書報道のうち、職員の「命令違反の撤退」について『朝日』が記事を撤回し、謝罪した。この件で『朝日』が悪いのは自明だが、『朝日』潰しに夢中のアベ様のほくそ笑みが腹立たしいし、それに便乗しての『産経』や『読売』などのハシャギぶりが大変に不快。今後も、『産経』や『読売』が報じない原発批判・アベ様批判のしっかりとした記事に期待するし、『朝日』が「アベ様の犬HK」化しないことを切に祈る。
『●『朝日新聞』が「アベ様の犬HK」化しないことを望む:
相対的に「大変にマシな報道機関」はどこか?』
アベ様はこの吉田調書全文を見ているはずで、それでも原発推進・原発輸出をしようというのだから呆れる。東京新聞の記事で、それら調書の断片を見ただけでも恐怖を感じるのに、アベ様は調書の内容を理解できているのだろうか?
「「我々のイメージは東日本壊滅ですよ」・・・・・・「がれきが吹っ飛んでくる中で、一人も死んでいない。私は仏様のおかげとしか思えないんです」。一流の技術者をしてそう言わしめる。それが、制御を失った原発の実相」・・・・・・『朝日』潰しや原発再稼働・輸出にばかり夢中なアベ様には「制御を失った原発の実相」「死と破滅が本当に紙一重で存在していた現実」が見えていない。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014091290070157.html】
原発事故調書19人分公開 情報入らず誤認の連鎖
2014年9月12日 07時01分
政府は十一日、東京電力福島第一原発事故をめぐり、政府事故調査・検証委員会が実施した故・吉田昌郎(まさお)元福島第一所長=二〇一三年七月死去=や菅直人元首相ら十九人への聴取記録(調書)を公開した。吉田氏は全電源喪失で原子炉の状況がほとんどつかめず、暴走する複数の炉への対応に翻弄(ほんろう)され、「絶望」と「焦り」に支配されていたと証言。官邸側でも、情報が入らず誤認の連鎖に陥っていた状況が浮かび上がった。
原発は、弁の操作やポンプの駆動、情報の収集まで電気で制御されている。事故対応マニュアルも全てはスイッチ操作を前提にしている。調書は、電源を失えば何もできない原発のもろさを証明している。
計器が次々と動かなくなり、吉田氏は原発の状況がつかめなくなった。一一年三月十一日のうちに重大事故に陥った1号機では、水位計を信じ、原子炉に水は十分あり、非常用冷却装置(IC)も動いていると誤認していた。
炉心が溶融し、放射線量が上がってきても水位はあると考え、「おかしい」「何か変なことが起こっている」との認識しか持てなかった。
複数の原子炉が並ぶ危うさも明確になった。
翌日、1号機で水素爆発が起きると3号機用の注水ホースが吹き飛び、切迫する現場から貴重な時間を奪った。十四日には3号機が爆発。注水の必要が出た2号機の注水ホースが損傷し「TAFに行く(核燃料が露出する)前に水を入れたくてしょうがなかった」という吉田氏をさらに焦らせた。まさに負の連鎖だった。
2号機への注水が遅れ、「本当に死んだと思った」というほどの危機に陥った。2号機はベント(排気)で格納容器内の圧力を下げようとしても、すぐに弁が閉まり、炉圧が高くて水も入らない。
「このまま水が入らないでメルト(炉心溶融)して、完全に格納容器の圧力をぶち破って燃料が全部出ていってしまう」
こうなると福島第一内は高い線量で作業はできなくなる。1、3号機の注水も止まり、各号機のプールにある使用済み核燃料も過熱していく。
「放射能が2F(福島第二)まで行って、四プラント(基)も作業できなくなってしまう」
菅首相(当時)の要請で原子力委員会の近藤駿介委員長(同)が試算した「最悪のシナリオ」そのものだった。十五日朝、2号機地下の圧力抑制室が損傷して圧力が抜け、注水を再開でき、最悪の状況は避けられた。
◆官邸「全員撤退」信じ込む
政府が公表した、政府事故調による菅直人首相(肩書はいずれも当時)らの聴取記録からは、東電からの情報不足も手伝った、官邸内の混乱ぶりが分かる。
菅氏は福島第一原発1号機でベント(排気)が実施されないのにいらだち、事故発生翌日の三月十二日朝、福島第一原発をヘリで視察しようとした。枝野幸男官房長官は「政治的パフォーマンスとしてやるなら、むしろマイナス効果の方が大きい」と進言。細野豪志首相補佐官は反対のニュアンスは伝えたが「あの総理にスイッチが入った」として明確には反対しなかった。
菅氏は「現地の責任者とちゃんと意思疎通したい。最終的な判断は私が背負う」と考え、飛び立った。
後に細野氏は「ベントを遅らせたかもしれない」と自責の念にかられたというが、福島第一の吉田昌郎所長は「全く(影響が)ないです」と聴取に答えた。
十四日夜に2号機が危機的な状況となり、東電が「全員撤退」との情報が官邸をかけめぐった。
実際には残っていた吉田所長は聴取に「全員撤退して身を引くということは言っていない」と説明。「必要な人員を除き」の部分を東電側が明言しなかったのが誤解の原因だった。
枝野氏は東電の清水正孝社長との電話内容について「間違いなく全面撤退の趣旨だった。自信がある」と強調。海江田万里経済産業相も清水氏の言葉を「全員だと思った」という。
細野氏は、吉田氏との電話で「これまで『大丈夫です。まだやれる』の返事だった人が、このときは弱気になっていたから、これは本当にだめかもしれない」と感じ、全員撤退だと信じ込んでいたという。
<政府事故調の調書> 政府事故調は吉田元所長を含め計772人から聞き取りし、2012年7月に最終報告書をまとめた。聴取した記録(調書)は非公開とされてきたが、政府は今回公開に踏み切った。特に吉田氏の調書は全7編で構成され、A4判で約400ページに上る。聴取は11年7月から11月まで約30時間にわたり、吉田氏が指揮を執った原発内の免震重要棟内と、事故対応拠点「Jヴィレッジ」で実施した。
<最悪のシナリオ> 福島第一で、使用済みも含め核燃料が次々と溶融した場合どうなるかを試算。横浜市の一部も含む250キロ圏まで避難地域が広がると予想している。このシナリオは今年5月に、福井地裁が関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを命じる判決を出したときの重要な根拠として挙げられている。
(東京新聞)
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014091202000157.html】
事故教訓 安倍政権顧みず 再稼働推進 調書把握後も
2014年9月12日 朝刊
政府が十一日に公表した当時の民主党政権幹部らの聴取記録(調書)には、混乱しながら福島第一原発事故の対応に追われる姿や、原発事故の恐ろしさがつづられていた。安倍政権は調書の内容を把握しながら、教訓を忘れたかのように再稼働を進めようとしている。 (城島建治)
「どんな安全対策をやっても原発はリスクが大きい。日本の場合、首都圏を含む三分の一は住めなくなる」。当時首相だった民主党の菅直人氏は聴取にこう答えていた。調書には菅氏に限らず、事故対応に当たった民主党政権幹部の率直な思いが記録されていた。
記者は当時、首相官邸で官房長官だった枝野幸男氏の取材を担当していた。事故直後、秘書官の一人が「原発内部で何が起きているのか、全く分からない。東京から撤退する外国要人が続出している」と漏らしたのを覚えている。民主党政権が二〇三〇年代に原発稼働ゼロを目指す方針を打ち出したのも、事故の恐ろしさを体験したからだ。
原発が抱えるリスクが大きく変わったとは思えないが、安倍政権は再稼働に前のめりだ。四月に閣議決定した中長期のエネルギー基本計画では、原発を「重要なベースロード電源」と、再び電力の安定供給の柱に位置付けた。脱原発依存を掲げた一二年の衆院選公約にも反していた。安倍晋三首相は規制基準を満たした原発は安全との前提に立ち、原発を次々と再稼働させる方針。海外にも積極的に輸出して、日本の経済成長につなげようとしている。
菅義偉(すがよしひで)官房長官は十一日の記者会見でも「事故を教訓に世界で最も厳しい安全基準ができた。基準に合致すれば原発を稼働していく」と明言した。しかし「世界最高水準」の根拠は明確でなく、菅氏が言及した安全基準は実際は「規制基準」でしかない。
エネルギー基本計画でも「事故が起きた場合には国は関係法令に基づき、責任をもって対処する」と事故の可能性も想定している。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014091202000143.html】
【コラム】
筆洗
2014年9月12日
「もうこの時は死ぬと思いましたから…」「ここで何回目かに死んだと、ここで本当に死んだと思ったんです」「一番死に近かったのはここだった…死んでいましたね」▼政府がきのう公開した福島第一原発事故をめぐる吉田昌郎元所長の調書。吉田さんの証言からにじみ出るのは「死」である。燃料棒は完全に露出しているのに、冷やす水は入らない、入れられない▼「死ぬかと思った」という表現ではなく、吉田さんは「死ぬと思った」「死んでいた」と言い、「我々のイメージは東日本壊滅ですよ」とまで語っていた。その言葉遣いからは、死と破滅が本当に紙一重で存在していた現実が、三年半の時を隔てて迫ってくる▼だが、それは過去の話ではない。原発事故による避難住民は、なお十二万人余。長引く避難生活などで命を落とした「原発関連死者」は、少なくとも千百人を超え、この半年で七十人も増えているという。原発事故による「死」は現在進行形の悲劇だ▼調書で吉田さんは3号機の水素爆発のことも振り返っている。直後に四十人余が行方不明と聞き、事実なら「腹を切ろう」と思ったそうだが、幸い落命した人はいなかった▼「がれきが吹っ飛んでくる中で、一人も死んでいない。私は仏様のおかげとしか思えないんです」。一流の技術者をしてそう言わしめる。それが、制御を失った原発の実相である。
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