不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●記憶の継承…《植民地支配下…企画展「『強制連行』『強制労働』の否定に抗う…」…「歴史がなかったことにならないように、学び伝えていきたい」》

2024年09月24日 00時00分05秒 | Weblog

――――――《内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の産業革命遺産を推薦する」と言ってきた。最後は官邸主導の政治決断となり、「長崎教会群」ではなく「明治産業革命遺産」が選ばれたんです。初めから結論は決まってたんですよね》(前川喜平さん)

―――――― 上野英信さん『追われゆく坑夫たち』には、《Yさん…「…」と鉄棒をさすりながら勤労係が言いました。こうして私は海のなかの恐ろしい監獄島――三菱端島炭鉱で働くことになりました》



(2024年07月21日[日])
もう〝宿題〟をやってしまったのでしょうか? 国際的な信用を落とす一方です。(リテラ)《日本が歴史修正主義による“ならず者国家”だと印象づける》愚行は止めてもらいたい。(東京新聞社説)《自国の歴史観だけに拘泥すれば国際的な理解は得られまい》。

   『●《内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の
     産業革命遺産を推薦する」と…。最後は官邸主導の政治決断となり…》
   『●軍艦島を始めとする「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に
     …ユネスコでの日本側のアノ「約束」から履行してみては如何だろうか?
   『●〝宿題〟も提出せずに、佐渡島金山を持ち出す…《「約束破りな上、
     二枚舌を使う」という国際社会からの信頼を失墜させる自殺行為》…
    「佐渡金山、その前に。軍艦島について、ユネスコでの日本側のアノ
     「約束」はどうなったの…? まずは、アノ「約束」から履行して
     みては如何だろうか? ニッポンに対して、2021年7月、
     《ユネスコが、守られていないと批判する決議を採択》したわけ
     ですが、その後、どうなったのですか? (リテラ)《こんな
     不誠実な態度、下劣な二枚舌を使えば、国際社会は呆れ返り、
     すでにガタ落ちしている信頼はさらに失墜し、相手にされないのは
     目に見えている》《「約束破りな上、二枚舌を使うという
     国際社会からの信頼を失墜させる自殺行為にほかならず、日本が
     歴史修正主義による“ならず者国家”だと印象づけるだけの、
     愚行以外の何ものでもない。世界遺産登録をめぐって「歴史戦」
     などというネトウヨ用語が飛び交う状況こそが異常なのだ》
     …あぁ、情けなく、恥ずかしいニッポン。」

   『●まだ〝宿題〟をやってなかったのか…。国際的な信用を落とす一方だ…
     《自国の歴史観だけに拘泥すれば国際的な理解は得られまい》(東京新聞)


 そして、小池百合子東京「ト」知事の三選。小池「ト」知事を支持する皆さんは、ヘイト団体「そよ風」のことなんてどうでも良いのですね? 
 《毎年9月1日には関東大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者の追悼式典が墨田区の都立横網町公園でおこなわれているが、小池知事は2017年から「慰霊協会が営む大法要で全ての震災犠牲者を追悼している」として式典への追悼文送付を拒否。…》 《全ての震災犠牲者》と同列で、《虐殺された朝鮮人犠牲者》を語っていいのか? もしかして、《虐殺》など無かったとでも言いたいのか?

   『●《明らかに、小池都知事の「追悼文拒否」は歴史修正主義の虐殺否定論と
       ヘイトに勢いを与えた》…《空疎な小皇帝》石原慎太郎元「ト」知事越え
    「《これに従わなければ中止や不許可にされても「異存ありません」
     とする内容の「誓約書」を交わすよう要請してきた》そうです。
     知りませんでした。都庁の役人は、一体どうなっているのでしょうか?
     「ト」知事という〝御頭〟が腐ると、都庁の内部までグジュグジュに
     腐敗していくの? 《つまり都の「誓約書」は逆に、ヘイト団体の
     集会へ利益をもたらそうとしているのだ》…もはやデタラメ…。
     《小池都政とヘイト団体「そよ風」が一体となった
     「朝鮮人犠牲者追悼式典」潰しの策謀》…アノ最悪な《空疎な小皇帝
     石原慎太郎「ト」知事越え。《歴史の事実は消すことができない。当たり前
     のことに、小池百合子東京都知事は疑問符をつけるのだろうか》?」

   『●COVID19《震源地》となり、小池「ト」政や東京都知事選挙から見えて
             きたこと…《東京とは差別の都》へと堕ちていっていること
   『●小池百合子「ト」知事、追悼文は? 《…ようやくこう答えたのだった。
      「それは毎年送っておりません」…この回答はあまりに卑怯だろう》
   『●この《レイシスト・歴史修正主義体質》な小池百合子東京「ト」知事に
       に「2,912,628票」「3,661,371票」も投じてしまった都民の皆さん
   『●「2,912,628票」「3,661,371票」に続き、「2,918,015票」を獲得し
     小池百合子東京「ト」知事が3選…心ある都庁の職員の皆さんも4年間、地獄
    《毎年9月1日には関東大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者の追悼式典
     が墨田区の都立横網町公園でおこなわれているが、小池知事は
     2017年から「都慰霊協会が営む大法要で全ての震災犠牲者を追悼
     している」として式典への追悼文送付を拒否。この式典への追悼文
     は1974年以降、歴代の都知事たちが寄せてきたもので、数々の
     差別発言で知られるあのレイシスト石原慎太郎ですら送っていた。
     それを小池知事は拒否しつづけ、今回の都知事選でもその方針を
     変えていない。
      しかも、小池氏は自民党衆院議員時代の2010年、ヘイト団体
     「そよ風」で講演をおこなっている。「そよ風」は小池知事が
     追悼文送付を取りやめた2017年から横網町公園内で
     ヘイト集会を開催。》(リテラ)

   『●《虐殺や差別を防ぐためには、首長や政治家の公式な声明が最も有効》な
     はずなのに、《追悼文の送付を見送り続けている》小池百合子東京「ト」知事
   『●水島朝穂さん《学歴詐称問題…3選を果たした小池知事には、今後とも、
     公選法の「虚偽事実公表」の疑いが問われ続けるだろう》…か? 懐疑的だ…
   『●東京「ト」知事殿へ…《本庄市長…「過ちを繰り返さないために、何が起きた

      かきちんと調べ、殺された人の無念に思いを寄せて追悼することは大事」》

 さて、山本一太群馬県知事も同様なようだ。《平和なアジアという井戸先人の掘った井戸の水を濁らせている》人々は、相変わらず、平気でウソをつく人たち…。(アサヒコム)【朝鮮人追悼碑撤去問題で韓国大使館が事前に面談要請、群馬県断り撤去】《今年1月に群馬県が撤去した朝鮮人追悼碑をめぐり、撤去工事前に在日韓国大使館が山本一太知事と大使館幹部との面談を申し入れていたことが分かった。関係者が明らかにした。だが、県側が応じず、面談は実現しないまま碑は撤去された》。
 せめて、記憶の継承を。歴史の記憶の継承語り継ぐこと。記憶の澱をかき乱し、呼び覚ます。

   『●発生100年の関東大震災「朝鮮人・中国人虐殺」問題…ニッポン政府は
      記録がないと嘯き、東京「ト」知事は事実を認めず、ヘイト団体は…
   『●森達也監督「福田村事件」…《関東大震災の混乱で差別意識を背景に惨殺
      されたのは「朝鮮人」だけではありません》(デモクラシータイムス)
   『●福田村事件…《人が成長するため「歴史とは失敗を記憶するためにある」
      と森さんは語る。人のうちにある凡庸な悪が震災下で暴虐を犯した》
   『●<金口木舌>《森達也さんが監督…映画「福田村事件」…人のうちにある
     ある凡庸な悪が震災下で暴虐を犯した。目を背けてはいけない歴史である》
   『●森達也監督《特に不安や恐怖を感じた時、異質なものを見つけて排除
     しようとする…この場合、髪や肌の色、国籍、民族、信仰、そして言葉。》

 安藤恭子記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/「群馬の森」朝鮮人追悼碑が撤去されても…強制連行の歴史「なかったことにならない」 4日から高麗博物館でパネル展】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/337847?rct=tokuhou)。《かつて日本の植民地支配下にあった朝鮮の人たちが働いた炭鉱や土木工事の現場をフィールドワークで追った企画展「『強制連行』『強制労働』の否定に抗(あらが)~各地の追悼・継承の場をたずねて~」が4日、東京都新宿区の高麗博物館で始まる。「歴史がなかったことにならないように、学び伝えていきたい」と企画したメンバーは話している。(安藤恭子)》

   『●『「反日」とは何か ~中国人活動家は語る~』読了(3/3)
    「彼らや元戦犯が、格言 (p.137) に云う「井戸を掘った」。しかし、
     「小泉純一郎や安倍晋三など、…アジア諸国民からの批判に開き直る
     一群の政治家…、日本人として空しい。
     彼らに、そもそも平和なアジアという井戸を掘る意思があるのかどうか、
     疑わしい。むしろ、…彼らは先人の掘った井戸の水を濁らせているのだ、と」」

   『●「平和なアジアという井戸を掘る意思があるのかどうか、疑わしい」
    《河村たかし市長は、友好都市である南京市の共産党幹部が
     訪問した際に「南京大虐殺は無かったのではないかと発言した

   『●《平和なアジアという井戸…先人の掘った井戸の水を
      濁らせている》人々…企画展「表現の不自由展・その後」を破壊
   『●《平和なアジアという井戸…先人の掘った井戸の水を濁らせている》人々…
      山本一太知事による群馬県立公園「群馬の森」朝鮮人追悼碑の破壊・撤去
   『●群馬県立公園「群馬の森」朝鮮人追悼碑撤去問題…《平和なアジアという
     井戸…先人の掘った井戸の水を濁らせている》人々は平気でウソをつく人達

=====================================================
https://www.tokyo-np.co.jp/article/337847?rct=tokuhou

こちら特報部
「群馬の森」朝鮮人追悼碑が撤去されても…強制連行の歴史「なかったことにならない」 4日から高麗博物館でパネル展
2024年7月4日 12時00分

 かつて日本の植民地支配下にあった朝鮮の人たちが働いた炭鉱や土木工事の現場をフィールドワークで追った企画展「『強制連行』『強制労働』の否定に抗(あらが)~各地の追悼・継承の場をたずねて~」が4日、東京都新宿区の高麗博物館で始まる。「歴史がなかったことにならないように、学び伝えていきたい」と企画したメンバーは話している。(安藤恭子

     (朝鮮人労働者が働いた全国の現場を伝えるパネル展。
      手前は撤去された群馬の森の追悼碑に組まれていた
      ハトの絵の陶板=東京都新宿区の高麗博物館で)


◆炭鉱や製鉄所など15カ所を巡るフィールドワーク

 開幕に先立つ3日、内覧会があった。展示を担うのは、同館に集う市民でつくる研究会。徴用工問題などで日韓関係が悪化する中、発端となる歴史を地域から見つめたいと、2021年秋に発足した。1940年代の建設工事に従事した日本、中国、朝鮮の労働者83人が命を落とした相模ダム(相模原市)を訪問したのを皮切りに、炭鉱や製鉄所など、北海道から九州までの15カ所を巡るフィールドワークを行った。

 企画展では、日本政府の労務動員計画に基づき、戦時中の39~45年に朝鮮の人々が日本に連れてこられた状況を「強制連行」と定義し、各地で追悼や歴史を継承する団体の紹介とともにパネルで伝える。日本企業に賠償を命じる判決が続いた韓国の元徴用工訴訟の経緯や、原告らの証言も取り上げる。


◆「壊されても、人々の思いが残っている」

     (撤去された群馬の森の朝鮮人追悼碑に組まれていた
      ハトの絵のプレート(右)と縮小レプリカ
      =東京都新宿区の高麗博物館で)

 群馬県の代執行によって今年1月に撤去された県立公園「群馬の森」(高崎市)の朝鮮人犠牲者追悼碑に組み込まれていたハトの絵の陶板なども、7月末までの期間限定で展示。「地元では再建を目指す動きもある。消されてはならない強制労働の歴史碑は壊されても、人々の思いが残っている」と研究会の岡田千枝子さん(73)は話す。

 展示は来年1月26日まで。入館料は一般500円など。期間中、朝鮮人強制労働をテーマとした講演会や、各地で歴史を継承する人たちのトークイベントが開かれる。


【関連記事】朝鮮人追悼碑が撤去されて1カ月…歴史修正の波に抗う市民の信念 「忘れてはいけない事実がある」
【関連記事】「群馬の森」朝鮮人追悼碑撤去 行政代執行が終了
【関連記事】群馬の森「朝鮮人追悼碑」代執行で撤去方針…それで「政治的な紛争」はなくなる? 抗議が止まらない理由とは
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●まだ〝宿題〟をやってなかったのか…。国際的な信用を落とす一方だ…《自国の歴史観だけに拘泥すれば国際的な理解は得られまい》(東京新聞)

2023年10月28日 00時00分26秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]


――――――《内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の産業革命遺産を推薦する」と言ってきた。最後は官邸主導の政治決断となり、「長崎教会群」ではなく「明治産業革命遺産」が選ばれたんです。初めから結論は決まってたんですよね》(前川喜平さん)

―――――― 上野英信さん『追われゆく坑夫たち』には、《Yさん…「…」と鉄棒をさすりながら勤労係が言いました。こうして私は海のなかの恐ろしい監獄島――三菱端島炭鉱で働くことになりました》



(2023年10月4日[水])
まだ〝宿題〟をやってなかったのか…。国際的な信用を落とす一方。(リテラ)《日本が歴史修正主義による“ならず者国家”だと印象づける》愚行は止めてもらいたい。(東京新聞社説)《自国の歴史観だけに拘泥すれば国際的な理解は得られまい》。

   『●《内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の
     産業革命遺産を推薦する」と…。最後は官邸主導の政治決断となり…》
   『●軍艦島を始めとする「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に
     …ユネスコでの日本側のアノ「約束」から履行してみては如何だろうか?
   『●〝宿題〟も提出せずに、佐渡島金山を持ち出す…《「約束破りな上、
     二枚舌を使う」という国際社会からの信頼を失墜させる自殺行為》…
    「佐渡金山、その前に。軍艦島について、ユネスコでの日本側のアノ
     「約束」はどうなったの…? まずは、アノ「約束」から履行して
     みては如何だろうか? ニッポンに対して、2021年7月、
     《ユネスコが、守られていないと批判する決議を採択》したわけ
     ですが、その後、どうなったのですか? (リテラ)《こんな
     不誠実な態度、下劣な二枚舌を使えば、国際社会は呆れ返り、
     すでにガタ落ちしている信頼はさらに失墜し、相手にされないのは
     目に見えている》《「約束破りな上、二枚舌を使うという
     国際社会からの信頼を失墜させる自殺行為にほかならず、日本が
     歴史修正主義による“ならず者国家”だと印象づけるだけの、
     愚行以外の何ものでもない。世界遺産登録をめぐって「歴史戦」
     などというネトウヨ用語が飛び交う状況こそが異常なのだ》
     …あぁ、情けなく、恥ずかしいニッポン。」

 東京新聞の【<社説>「軍艦島」遺産 歴史全体語る努力こそ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/281076?rct=editorial)によると、《今回の決議は、同センターに犠牲者を追悼するコーナーを設置するなど戦時徴用を巡る展示を充実させた日本側の対応を評価する一方、調査や検証をさらに行い、2412月までに追加報告するよう求めてもいる。これは、ユネスコが日本の対応にお墨付きを与えたわけでなく、今後も対応を注視する姿勢を示したことを意味する》。

=====================================================
https://www.tokyo-np.co.jp/article/281076?rct=editorial

<社説>「軍艦島」遺産 歴史全体語る努力こそ
2023年10月2日 07時32分

 国連教育科学文化機関ユネスコ世界遺産委員会が、長崎市の端島(はしま)(通称・軍艦島)を含む文化遺産「明治日本の産業革命遺産」に関する日本の取り組みを認める決議を採択した。

 朝鮮半島出身労働者に関する説明が不十分と指摘した2021年の決議から一転した形だが、韓国など関係国との対話の継続も促しており、日本政府は引き続き誠実な対応に努める必要がある。

 産業革命遺産が15年に登録される際、韓国が軍艦島の炭鉱などでの朝鮮半島出身者の強制労働を理由に反対したため、日本側は「犠牲者を記憶にとどめるために適切な対応を取ると約束した。

 日本政府は「産業遺産情報センター」を東京都内に設置したが、朝鮮半島出身労働者への差別的対応はなかったとする元島民の証言を紹介したため、韓国側が反発。ユネスコも21年の決議で日本側の説明に不備があるとして「強い遺憾を表明していた。

 今回の決議は、同センターに犠牲者を追悼するコーナーを設置するなど戦時徴用を巡る展示を充実させた日本側の対応を評価する一方、調査や検証をさらに行い、24年12月までに追加報告するよう求めてもいる

 これは、ユネスコが日本の対応にお墨付きを与えたわけでなく、今後も対応を注視する姿勢を示したことを意味する。

 韓国政府は「遺産の全体的な歴史を理解できるよう解説を強化する、という自らの約束を履行するよう期待する」と表明した。

 尹錫悦(ユンソンニョル)政権は日韓関係の強化を重視しており表現は控えめだが、負の側面を含む歴史の全体像を提示する取り組みを続けるよう、日本政府に求めている。

 日本が来年の遺産登録を目指す「佐渡島(さど)金山」(新潟)でも韓国側は徴用問題を指摘する。日本側には「日韓の関係改善が進み、影響は限定的」との楽観論もあるが、日本側の対応次第で韓国が態度を硬化させる可能性はある。

 自国の歴史観だけに拘泥すれば国際的な理解は得られまい。日本政府には引き続き丁寧な説明と対話継続の努力を求めたい。
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●《…歴史が凝縮されたような公園内には「眉屋私記」の文学碑が建つ。地域住民は…か弱き人々に光を当て続けた功績を大切に語り継いでいる》

2023年08月29日 00時00分59秒 | Weblog

[↑ ※上野英信さん【眉屋私記文学碑を除幕する屋部中学校生徒会の生徒=19日、名護市の屋部親水公園】(琉球新報、2021年5月21日)]


(20230808[])
苦難の近代沖縄民衆の歩みを描いている》、上野英信さんの『眉屋私記』。《日本が近代化を進める中、社会福祉は後回しにされた。苦難の道を歩まざるを得なかった沖縄の民衆の姿が丹念に描かれている》、《眉屋私記の時代から1世紀過ぎた沖縄では今も貧困が残る》。
 キシダメ政権は軍事費倍増し、軍事国家に。新軍事基地のために、辺野古や大浦湾に大量の土砂をぶちまけ、出来もしないのに血税という大金をドブガネ。普天間は返還されることも無く、辺野古は破壊「損」。一体何のための「血税」なのか。《標的の島》々となり、踏んだり蹴ったりではないか…。

   『●県内初の記録文学碑『眉屋私記』、上野朱さん「屋部の人の誇りや民衆史を
         後世に残すためのもの。英信も心から感謝し、喜んでいるだろう」
    《屋部支所に隣接する屋部親水公園で19日、「眉屋私記」の
     文学碑除幕式が開かれた。記録作家・上野英信さんが名護市屋部の
     山入端一族(屋号・眉屋)の歴史を記した代表作。
     県内初の記録文学の碑だ…▼「屋部の人の誇りや民衆史を後世に
     残すためのもの。英信も心から感謝し、喜んでいるだろう」。
     碑の前で上野さんの長男の(あかし)さんが語った》

   『●<金口木舌>《眉屋私記の時代から1世紀過ぎた沖縄では今も貧困が
     残る。聖人を待たずとも安心して暮らせるよう福祉の充実が必要だ》
    「琉球新報のコラム【<金口木舌>「眉屋私記」とサンタクロース】」

    《名護市屋部が舞台の上野英信の「眉屋私記」。1908年に
     炭鉱移民でメキシコに渡り、その後キューバに移った山入端萬栄
     妹のツルは、貧しさから辻に身売りされた ▼日本が近代化を
     進める中、社会福祉は後回しにされた。苦難の道を歩まざるを
     得なかった沖縄の民衆の姿が丹念に描かれている…
     眉屋私記の時代から1世紀過ぎた沖縄では今も貧困が残る

 琉球新報のコラム【<金口木舌>上野英信さんの功績語り継ぐ】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1761918.html)によると、《▼屋部地域の歴史が凝縮されたような公園内には「眉屋私記」の文学碑が建つ。地域住民は87年に亡くなるまで、か弱き人々に光を当て続けた功績を大切に語り継いでいる》。

   『●「「慰安婦」問題と言論弾圧」
     『週刊金曜日』(2014年11月14日、1016号)について
    「三木健氏【本 推理小説さながら心の闇に挑んだ労作/
     『上野英信・萬人一人坑 筑豊のかたほとりから』河内美穂=著
     現代書館】…《「筑豊の炭住長屋を改造して施設の「筑豊文庫」を設立
     …「英信は過去を忘れた訳ではない。…葬り去ったわけでもない。
     …過去を背負ったまま、天皇制のゴウカキ(業担き)として生きる。
     …その罪業を担い続けていく覚悟だったのだ」と》。上野英信さんは
     「「侵略する側」にいた過去に戦後、どう向き合った」のか?」

   『●『キジバトの記』読了(1/3)
   『●『追われゆく坑夫たち』読了(1/3)
   『●『追われゆく坑夫たち』読了(2/3)
   『●『追われゆく坑夫たち』読了(3/3)
   『●上野英信さんは「「侵略する側」に
       いた過去に戦後、どう向き合った」のか?

   『●《エネルギーのルツボ》《火床》の《暗い地の底》にて…
     【セレクション (3)「地の底の声筑豊・炭鉱に生きた女たち」】
    「上野英信さんと筑豊文庫。《筑豊よ 日本を根底から変革する
     エネルギーの ルツボであれ 火床であれ 上野英信》…
     「暗い地の底」で。…そして、やはり、山本作兵衛さん。」

   『●《内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の
     産業革命遺産を推薦する」と…。最後は官邸主導の政治決断となり…》
   『●軍艦島を始めとする「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に
     …ユネスコでの日本側のアノ「約束」から履行してみては如何だろうか?
   『●〝宿題〟も提出せずに、佐渡島金山を持ち出す…《「約束破りな上、
     二枚舌を使う」という国際社会からの信頼を失墜させる自殺行為》…
    「上野英信さん『追われゆく坑夫たち』には、《Yさん…「…」と
     鉄棒をさすりながら勤労係が言いました。こうして私は海のなかの
     恐ろしい監獄島――三菱端島炭鉱で働くことになりました》」

=====================================================
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1761918.html

<金口木舌>上野英信さんの功績語り継ぐ
2023年8月8日 05:00
金口木舌 上野英信 渡波屋 眉屋私記 出ニッポン記

 名護市屋部の海岸沿いの公園に小さな岩座がたたずむ。「渡波屋(とわや)」と呼ばれ、地域の拝所であり、移民や出稼ぎで、屋部の地を離れる人々を見送る別れの場所でもあった


▼遠く海外を夢見て、旅立つ若者らを乗せた汽船が名護湾の沖を通ると、岩座の頂点で親族らが松の枯れ葉をたいた。別れの白い煙が立ち上り、航海の無事を祈ったという

屋部地域山入端一族の歴史をたどった「眉屋私記」の書き出しもここから。丹念な取材で近代沖縄の歩みを記した著者は記録文学作家の故・上野英信さん。7日で生誕100年を迎えた

炭坑労働の闇を数々の作品で描いた。「出ニッポン記」は沖縄民謡になぞらえ、南米に移住した炭坑離職者を「石炭ぬ喰ぇーぬくさー」と表現。沖縄移民と炭坑労働を日本移民史を血に染める、もっとも象徴的な二つの大集団と、その苦難を記した

屋部地域の歴史が凝縮されたような公園内には「眉屋私記」の文学碑が建つ。地域住民は87年に亡くなるまで、か弱き人々に光を当て続けた功績を大切に語り継いでいる。
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●〝宿題〟も提出せずに、佐渡島金山を持ち出す…《「約束破りな上、二枚舌を使う」という国際社会からの信頼を失墜させる自殺行為》…

2022年03月01日 00時00分59秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]


――――――《内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の産業革命遺産を推薦する」と言ってきた。最後は官邸主導の政治決断となり、「長崎教会群」ではなく「明治産業革命遺産」が選ばれたんです。初めから結論は決まってたんですよね》(前川喜平さん)

―――――― 上野英信さん『追われゆく坑夫たち』には、《Yさん…「…」と鉄棒をさすりながら勤労係が言いました。こうして私は海のなかの恐ろしい監獄島――三菱端島炭鉱で働くことになりました》



(20220215[])
デモクラシータイムスの映像記事【佐渡は、軍艦島の二の舞になる ~政治が歪めた世界遺産推薦~【The Burning Issues vol.20】】(https://www.youtube.com/watch?v=rYxgSOzyeAM)。

 《佐渡島金山(鉱山)を、日本政府が世界文化遺産に推薦しました。しかし、現状において、登録の見通しは立っていません。それはなぜなのか。何が問題なのか。詳細に分析しました。このままでは、ユネスコから問題を指摘されている軍艦島問題の二の舞になりかねません。 2022年2月6日 収録》

 〝宿題〟も提出せずに、佐渡島金山を持ち出す…(リテラ)《「約束破りな上、二枚舌を使う」という国際社会からの信頼を失墜させる自殺行為》、恥ずかし過ぎる。

   『●《内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の
     産業革命遺産を推薦する」と…。最後は官邸主導の政治決断となり…》
   『●軍艦島を始めとする「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に
     …ユネスコでの日本側のアノ「約束」から履行してみては如何だろうか?

 佐渡金山、その前に。軍艦島について、ユネスコでの日本側のアノ「約束」はどうなったの…? まずは、アノ「約束」から履行してみては如何だろうか? ニッポンに対して、2021年7月、《ユネスコが、守られていないと批判する決議を採択》したわけですが、その後、どうなったのですか? (リテラ)《こんな不誠実な態度、下劣な二枚舌を使えば、国際社会は呆れ返り、すでにガタ落ちしている信頼はさらに失墜し、相手にされないのは目に見えている》《「約束破りな上、二枚舌を使うという国際社会からの信頼を失墜させる自殺行為にほかならず、日本が歴史修正主義による“ならず者国家”だと印象づけるだけの、愚行以外の何ものでもない。世界遺産登録をめぐって「歴史戦」などというネトウヨ用語が飛び交う状況こそが異常なのだ》…あぁ、情けなく、恥ずかしいニッポン。


【佐渡は、軍艦島の二の舞になる ~政治が歪めた世界遺産推薦~【The Burning Issues vol.20】】
https://www.youtube.com/watch?v=rYxgSOzyeAM


 再度、貼ります。


【軍艦島展示を改めよ!~約束守らぬ日本にユネスコ決議~ 植松 青児さん
 【The Burning Issues vol.17】】
 (https://www.youtube.com/watch?v=KyZPIQpKPqM

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●映画『主戦場』で、〝否定派〟の論客の皆さん《杉田水脈衆院議員やケント・ギルバート氏…藤岡信勝氏、テキサス親父…櫻井よしこ氏》は…

2022年02月21日 00時00分48秒 | Weblog

(2022年02月13日[日])
リテラの記事【右派論客のトンデモ発言を収録した映画『主戦場』の裁判で、ケント・ギルバート、テキサス親父らの上映禁止請求が棄却!】(https://lite-ra.com/2022/02/post-6158.html)。

 《そんななか、最近、歴史否認歴史修正主義者たちの言論封殺の動きがNOを突きつけられる判決があった。旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐる論争を扱った映画『主戦場』(ミキ・デザキ監督)に関し、同作に出演するケント・ギルバート氏や藤岡信勝氏など右派論客が上映禁止を求めていた裁判で、1月27日請求が棄却されたのだ》。

   『●《内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の
     産業革命遺産を推薦する」と…。最後は官邸主導の政治決断となり…》
   『●軍艦島を始めとする「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に…
     ユネスコでの日本側のアノ「約束」から履行してみては如何だろうか?

 《保守》? 《プロパガンダ》?? 〝否定派〟の論客の皆さん《自民党・杉田水脈衆院議員やケント・ギルバート氏、「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝氏、テキサス親父ことトニー・マラーノ氏、櫻井よしこ氏など》は…カメラの前で、言いたいことを言ったんでしょうに、何が御不満のなのか? 
 (リテラ)《彼らは、2019年6月、同作の上映禁止と損害賠償1300万円を求めてデザキ監督と配給会社・東風を提訴したのだが、2年半もの長い裁判を経て、今回、東京地裁で請求が棄却されたのだ。当然の判決だろう》。

   『●《○○しかいない》お維の《言論の自由…憲法に反する発言を
           言論府が放置することこそ自らの首を絞める行為》
           ↓   ↓   ↓
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
 デマ屋・ヘイト者についての話題。…言いたいことを言ったんでしょうに、何が御不満なのか
 東京新聞の小倉貞俊記者による記事【慰安婦問題に迫るドキュメンタリー 映画「主戦場」めぐりバトル】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201905/CK2019053102000136.html)によると、《旧日本軍の慰安婦問題に迫るドキュメンタリー映画「主戦場」をめぐり、場外バトルが過熱している。四月に封切られるや、ネットを中心に賛否が噴出。出演した保守系論客らは三十日、都内で会見を開き「だまされた」と抗議した。日系米国人で来日中の監督側は六月三日に反論の会見を開くという。 (小倉貞俊)…元慰安婦の支援団体や研究者だけではなく、慰安婦問題に否定的な立場からも「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝副会長や米国の弁護士ケント・ギルバート氏、ジャーナリスト櫻井よしこ氏、杉田水脈衆院議員らが出演し、持論を展開している…作品中では複数の保守系出演者から差別的な発言が続出する。会見ではこの点もただされたが、発言内容の訂正などはなかった…デザキ監督は公式サイトで「彼らの発言は、彼らの自由意思。一般公開も考えている、との合意書を交わしている」とコメント…慰安婦問題の激戦地となりつつある作品について映画監督の森達也氏は「慰安婦問題を取り上げる映画は多いが、主張が対立する人たちが同じ作品中で語る例はほとんどなく意義がある。ドキュメンタリーは作家性もあり、完全な中立にはなり得ない。対象者が主張したいことと、監督が聞きたいことが食い違うのは当然だ」と話した》。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -


   『●国連《表現の自由侵害許されぬ》…アベ様や最低の官房長官ら
                 馬さんや鹿さんの耳には、哀しき馬耳東風…
           ↓   ↓   ↓
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
 ところで、映画『主戦場』について。《保守》? 《プロパガンダ》?? カメラの前で、言いたいことを言ったんでしょうに、何が御不満のなか? 与党自公や癒党お維を支えているニセ保守・ニセ右翼な人たちは、恣意的な言論の自由、表現の自由の使い分けがお好きだね。アベ様の《メディアコントロール》を放置した〝毒〟は、ニッポンの社会のいろいろな部分に相当な悪影響を及ぼしている。
 マガジン9のコラム【こちら編集部/映画『主戦場』その後〜デザキ監督の記者会見から】(https://maga9.jp/190605-5/)によると、《藤岡氏らの記者会見では、内容が「フェア」なものになっておらず、「一方的なプロパガンダ映画だ」との主張も展開されました。デザキ氏は、「物事がフェアであるかどうかという判断は常に主観的なものです。もし、映画が彼らの主張に沿った(『慰安婦』問題の存在を否定するような)内容になっていたら、彼らはこれ以上フェアな映画はないと言っていただろうと確信しています」と指摘…「さまざまな意見に耳を傾けた上で、自分なりの結論を映画の中に入れることが、責任を果たすことだと考えました。すべての主張に同等の説得力があるわけではないことを示すのが重要だと思ったのです。私は、どちらの意見に説得力があるかを自分で判断して結論を導いたし、そのプロセスは映画の中で明らかになっています。それを見た上で、観客は私の結論に同意することも、同意しないこともできるのだから、プロパガンダとはいえません。私の出した結論そのものは重要ではなくて、観客自身が映画を見てそれぞれの論点について検証することを推奨しているのです」…そうした状況を生み出してきた責任の一端が、「慰安婦」問題を「タブー」としてなかなか扱わず、歴史修正主義の言説のおかしさをきちんと指摘してこなかったメディアにあることは言うまでもありません》。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

=====================================================
https://lite-ra.com/2022/02/post-6158.html

右派論客のトンデモ発言を収録した映画『主戦場』の裁判で、ケント・ギルバート、テキサス親父らの上映禁止請求が棄却!
2022.02.06 05:00

     (『主戦場』公式HPより)

 戦時中に朝鮮人の強制労働が行われていた歴史をめぐり韓国が異を唱えていた、「佐渡島の金山」の世界遺産登録への推薦に踏み切った岸田政権。「登録が見込めない」としていったんは推薦見送り方針だったにもかかわらず、「歴史戦」とやらを連呼する安倍晋三元首相ら極右勢力に媚びる形で一転、推薦強行に転じたのだ。

 戦時中、佐渡鉱山でも長崎の端島をはじめとする地域と同様、朝鮮人が強制的に連行された上で危険な労働を強いられていたことは新潟県が編纂した通史でも記述されている史実にもかかわらず、「韓国人強制労働の痛ましい歴史に目を背けている」という韓国政府からの当然の抗議に、林芳正外相は「韓国側の独自の主張は受け入れられず遺憾」などとフェイクまがいの反論

 「ハト派」「リベラル」を自称する岸田首相だが、岸田政権になっても歴史修正主義・韓国ヘイト路線を改めるつもりはまったくないらしい

 そんななか、最近、歴史否認歴史修正主義者たちの言論封殺の動きがNOを突きつけられる判決があった。

 旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐる論争を扱った映画『主戦場』(ミキ・デザキ監督)に関し、同作に出演するケント・ギルバート氏や藤岡信勝氏など右派論客が上映禁止を求めていた裁判で、1月27日請求が棄却されたのだ。

 2019年に公開された映画『主戦場』は、日系アメリカ人のデザキ監督が、慰安婦問題をめぐる“否定派”と“リベラル派”双方の主張を対比させ、一次資料を分析しつつ検証するという内容。なかでも見所は、自民党・杉田水脈衆院議員やケント・ギルバート氏、「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝氏、テキサス親父ことトニー・マラーノ氏、櫻井よしこ氏など右派論客が垂れ流す歴史修正や差別主義丸出しの言辞の数々だ

 たとえば、テキサス親父のマネージャーである藤木俊一氏は「フェミニズムを始めたのはブサイクな人たちなんですよ。ようするに誰にも相手されないような女性。心も汚い、見た目も汚い。こういう人たちなんですよ」と性差別を剥き出しに。杉田水脈議員は「どんなに頑張っても中国や韓国は日本より優れた技術が持てないからプロパガンダで日本を貶めている」などと陰謀論をぶちまけている

 同作はこうした“否定派”のトンデモ発言や、監督によって緻密に論点整理された構成が話題を呼び、国内外の多くのメディアに取り上げられた。2019年4月の東京を皮切りに全国順次公開し、大きな話題になったのだが、これに対してインタビューでトンデモ発言を口にしていた一部の右派論客が上映を中止させようと裁判を起こしたのである。

 訴えたのは、“否定派”の出演者であるケント・ギルバート氏、テキサス親父ことトニー・マラーノ氏、「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝氏、テキサス親父のマネージャーである藤木俊一氏、元「在日特権を許さない市民の会」の山本優美子氏(「なでしこアクション」代表)ら5名。彼らは、2019年6月、同作の上映禁止と損害賠償1300万円を求めてデザキ監督と配給会社・東風を提訴したのだが、2年半もの長い裁判を経て、今回、東京地裁で請求が棄却されたのだ。

 当然の判決だろう。実際、藤岡氏らの主張は説得力に欠けるものばかり。たとえば映画で「歴史修正主義者」「否定論者」「ナショナリスト」「極右」「性差別主義者」などと紹介されたことで著作者人格権を侵害されたと主張したが、その発言や主張から考えれば、正当な論評であると言っていい。

 また、「商業映画と知らされていなかった」などと難癖をつけていたが、事前にデザキ監督側の用意した「承諾書」「合意書」にサインしていた。この経緯については、2019年藤岡氏らが上映中止要求の会見を開いた際、本サイトでも報じていたが(https://lite-ra.com/2019/06/post-4752.html)、今回の判決でも退けられた。

 デザキ監督は判決後の会見で「この裁判の勝利は、日本における表現の自由の勝利」と判決を評価したうえで、右派連中の狙いについてもこう喝破した。

裁判の目的は、この映画の評価を毀損し、上映を止めるためのものだと明らかになったと思います」
「裁判に負けてしまうと、原告は慰安婦自体をフェイク、嘘の話と言ったはずですそういうことがあってはいけないということで、裁判に対して非常に重みを感じながら今日にいたりました」

 デザキ監督の言うとおり、歴史戦叫ぶ極右連中のやり口は、慰安婦問題の本質とは関係のない裁判を持ち出して「慰安婦はフェイク」「慰安婦は嘘」など史実を捻じ曲げるものだ。実際、映画『主戦場』でも彼らの歴史否認の本音がどこにあるかが否応なく伝わってくる。

 本サイトでは、2019年4月映画公開当時、デザキ監督のインタビューとともに映画『主戦場』を紹介する記事を配信した。以下に再録するので、歴史修正主義がいかに差別と表裏一体であるか、極右連中の「歴史戦」なるものの正体をあらためて認識してほしい。

(編集部)


■テキサス親父は慰安婦像を「ブサイクのガラクタ」杉田水脈は韓国を「嘘は当たり前の社会」と、加瀬英明は吉見義明も秦郁彦も「読んだことない」

 戦中の日本軍による慰安婦問題を題材にした映画『主戦場』が、反響を呼んでいる。

 出演者には杉田水脈衆院議員やケント・ギルバート氏、藤岡信勝氏、テキサス親父ことトニー・マラーノ氏、櫻井よしこ氏などといった従軍慰安婦を否定・矮小化する極右ネトウヨ論客が勢揃い。「慰安婦はフェイク」と喧伝する歴史修正主義者たちと、慰安婦問題に取り組むリベラル派の学者や運動家らがスクリーンのなかで“激突”するドキュメンタリー作品だ。

 同作の見所は何と言っても、慰安婦問題をめぐる国内外の“論客”を中心とする30名余りへのインタビューだろう。

 櫻井よしこ氏ら“極右オールスターズ”の面々は「慰安婦は売春婦だった」「合法であり犯罪ではない」「慰安婦像設置の背景には中国の思惑がある」などの主張を展開。これに対して、吉見義明・中央大学名誉教授や「女たちの戦争と平和資料館」の渡辺美奈事務局長、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)の尹美香常任代表らが反論を展開する。

 出演者らは顔を付き合わせて討論するわけではないが、論点を明確にして構成されていることで主張の対立点や強度を意識しやすく、ハイテンポなカット割りも相まって飽きさせない。映画は双方の主張を取材や資料を用いて細かく比較・検証し、その矛盾や恣意性を明らかにしていく

 とくに、本サイトがオススメする同作の鑑賞法は、歴史修正主義者の口から発せられる主張のトンデモさをじっくりと吟味することだ。

 たとえば保守派の重鎮で、慰安婦否定論者の加瀬英明氏(日本会議代表委員)の場合、「慰安婦問題に関して正しい歴史認識をしている歴史家は?」と聞かれて「私がそのひとり」と自認する。しかし驚くことに、加瀬は慰安婦問題研究の第一人者のひとりである吉見名誉教授のことは「知りません」と嘯く。それどころか、保守派の歴史家である秦郁彦・千葉大学名誉教授の著書すら「読んだことない」「人の書いたものあまり読まないんです。怠け者なもんで」などと宣うのだ。

 ちなみに、加瀬氏は「『慰安婦の真実』国民運動」という団体の代表も務めている。この極右団体は昨年、監事(当時)の藤井実彦氏が台湾で慰安婦像を蹴り、大きな国際問題になったことも記憶に新しい。他にも、同会は加瀬氏自身の名義で地方地自体が慰安婦問題を扱う映画を後援することにクレームをつけている。そんな人物が、基本的な慰安婦研究すら「知らない」「読んだことない」などと恥ずかしげもなく開陳するのだから、呆れてものも言えない。

 もちろん、右派のトンデモはこれだけではない。右派陣営のインタビューからは明確な人種差別・性差別の意識が浮かび上がる。

 たとえば杉田水脈は“米国での慰安婦像設置のバックにいるのは中国”などと言い出し、「どんなに頑張っても中国や韓国は日本より優れた技術が持てないからプロパガンダで日本を貶めている」と陰謀論を全開。さらには「日本が特殊なんだと思います。日本人は子どものころから嘘をついちゃいけませんよと(教えられてきた)」「嘘は当たり前っていう社会と、嘘はダメなのでほとんど嘘がない社会とのギャップだというふうに私は思っています」とヘイトスピーチを連発する。

 また、テキサス親父は「慰安婦像を見に言ったとき、私は(像の顔にかぶせるための)紙袋を持って行った。それがふさわしいと思ってね。ブサイクのガラクタには紙袋がお似合いだ」などと笑いながら語り、テキサス親父のマネージャーである藤木俊一氏は、「フェニミズムを始めたのはブサイクな人たちなんですよ。ようするに誰にも相手されないような女性。心も汚い、見た目も汚い。こういう人たちなんですよ」と言い放つ

 映画のなかでもナレーションで「差別意識が元慰安婦は偽証しているとの考えに繋がっているようだとはっきり指摘されていたが、まさにその通りとしか言いようがないだろう。


■暴かれるIWG報告書の虚構と櫻井よしこの調査費支払いの事実

 慰安婦問題をめぐる右派の性差別的・人種差別的な態度については、映画の後半でも「元修正主義者」と紹介される女性が証言する。保守界隈に身を置いた立場から否定主義者たちの振る舞いについて語るのだが、実はこの女性は、数年前まで「ネクスト櫻井よしこ」として保守論壇で注目を浴び、実際、右派の月刊誌にも何度か寄稿したことのある人物。だが、あるときから「ナショナリスト」たちの主張を疑うようになり、今は距離を置いているという。

 さらに、この女性が“否定主義者の嘘”を告白する場面は、映画『主戦場』のハイライトのひとつとなっている。詳しくは劇場で直接見ていただきたいのだが、ここでは予備知識として、あるいは鑑賞後のための補足情報として記しておこう。

 はじまりは、産経新聞が2014年11月1日の紙面で〈著名な米国のジャーナリストが日本の慰安婦問題の調査に本格的に取り組み始めた〉として、マイケル・ヨン氏というフリージャーナリストを紹介したことだった。これに続けて産経は、同月27日付で「慰安婦『奴隷化』文書なし 米政府2007年報告に明記」と題した記事を掲載。ともに古森義久・ワシントン駐在客員特派員による署名記事である。書き出しはこうだ。

〈米政府がクリントン、ブッシュ両政権下で8年かけて実施したドイツと日本の戦争犯罪の大規模な再調査で、日本の慰安婦にかかわる戦争犯罪や「女性の組織的な奴隷化」の主張を裏づける米側の政府・軍の文書は一点も発見されなかったことが明らかとなった。〉

 記事の言う「大規模な再調査」というのは、2007年に米政府がまとめた「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班米国議会あて最終報告」(通称・IWG報告書)のことを指している。産経は、〈慰安婦問題の分析を進める米国人ジャーナリスト、マイケル・ヨン氏とその調査班と産経新聞の取材により、慰安婦問題に関する調査結果部分の全容が確認された〉として、IWG報告書のなかに「慰安婦関連は皆無」だったことを根拠に〈日本側の慰安婦問題での主張の強力な補強になることも期待される〉と書いた。

 マイケル・ヨン氏は「IWG報告書をスクープ」ともてはやされ、「正論」(産経新聞社)や「週刊文春」(文藝春秋)でも「報告書は『二十万人の女性を強制連行して性奴隷にした』という事実が一切ないことを証明している」などと触れ回った。これ以降、保守界隈では「結果的にIWGは『慰安婦を軍が強制連行などして性奴隷とした証拠はなかった』とするもの」(ケント・ギルバート)などとして広く流通。ようするに、IWG報告書は右派陣営から“慰安婦問題の犯罪性を否定する切り札”として扱われてきた。

 ところが、である。映画『主戦場』では、このIWG報告書をめぐる右派の言説が見事にひっくり返される。実は、前述の「元修正主義者」の女性こそ、ヨン氏とは別の米国人とともにくだんの報告書を「発見」した人物で、いわば真のオリジネーター。その彼女が、映画のなかで後悔の言葉とともに語るのが、“IWG報告書をめぐる右派の宣伝がいかに虚構であるか”という具体的な説明なのだ。

 しかも、映画のなかでは名指しこそされていないが、マイケル・ヨン氏は慰安婦問題をめぐって、普通では到底考えられない額の「調査費」まで受け取っていたとされる。実際、ヨン氏は自身のブログに〈櫻井女史らは、私に調査をするようにお金を支払った〉と記しているのだ。あまりに生臭い話だが、映画ではこの「高額調査費」問題についても監督が櫻井氏に直撃しているので、ぜひ櫻井氏の“反応”をスクリーンで確認してほしい。


■『主戦場』ミキ・デザキ監督が本サイトに語った「どっちもどっち」批判

 ちなみに、映画の公開前には、出演者に極右歴史修正主義者やネトウヨ文化人が多数ラインナップされていることから「否定派の宣伝になるのではないか」との懸念の声もネット上で散見された。だが、この映画は単なる「両論併記」で終わらない。

 本作が映画デビュー作となるミキ・デザキ監督は、1983年生まれの日系アメリカ人2世。日本での英語教師やYouTuber、タイでの僧侶経験もあるという異色の映像作家だ。2013年にYouTubeで日本社会のなかのレイシズムの存在を指摘したところ、ネトウヨに炎上させられた。そうしたなかで、朝日新聞の植村隆・元記者に対するバッシングを目の当たりし、慰安婦問題への関心を高めたという。両陣営から介入されないため、クラウドファウンディングで資金を集めて『主戦場』を製作した。

 デザキ氏は本サイトの取材に対し、「両方の主張のどちらがより筋が通っているかを比較するべき」と語る。

「論点を並べて“どっちもどっちだ”というやり方は、実のところ政治的なスタンスの表明に他なりません。慰安婦問題に関しては、いま日本では右派の主張がメインストリームになっている。そこに挑戦を示さないことは、彼らの言いなりになるということであり、その現状を容認することに他なりませんから。日本のメディアの多くは両論併記を落としどころにしていますが、それは、客観主義を装うこと語るべきことにライトを当てていないということ。単に並べるだけでなく、比較することで生まれる結論があります」

 従軍慰安婦をめぐる否定派/肯定派の「論争」にスポットライトを当てながらも、決して“どっちもどっちにならない映画『主戦場』。終盤では、日本の歴史修正主義の背景にある極右団体「日本会議」や安倍晋三首相に連なる戦後日本政治の流れもフォーカスされる。

 一般公開に先駆けて行われた日本外国特派員協会での上映会後の質疑応答では、デザキ監督に対し否定派の言論人から批判的な質問も飛んだ。4月19日には、日本会議が〈この映画には、日本会議に関して著しい事実誤認が含まれている〉などとする声明をHPで公表。4月25日発売の「正論」ではケント・ギルバート氏が「とても見るに値しない映画」などとこき下ろしている。まさに大慌てといった感じだが、ようするに、それだけ否定論者たちの核心に迫った映画だということだろう。いずれにせよ、判断するのは観客だ。

(編集部)
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●軍艦島を始めとする「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に…ユネスコでの日本側のアノ「約束」から履行してみては如何だろうか?

2022年02月10日 00時00分50秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]


――――――《内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の産業革命遺産を推薦する」と言ってきた。最後は官邸主導の政治決断となり、「長崎教会群」ではなく「明治産業革命遺産」が選ばれたんです。初めから結論は決まってたんですよね》(前川喜平さん)

―――――― 上野英信さん『追われゆく坑夫たち』には、《Yさん…「…」と鉄棒をさすりながら勤労係が言いました。こうして私は海のなかの恐ろしい監獄島――三菱端島炭鉱で働くことになりました》



(2022年01月30日[日])
日刊ゲンダイのコラム【立岩陽一郎 ファクトチェック・ニッポン!/「佐渡島の金山」世界文化遺産登録をめぐる「めざまし8」での私の発言が批判を浴びているが】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/300424)。 

 《まず、世界遺産には自然遺産と文化遺産があり、文化遺産については歴史もその評価の対象となる。その上で、負の歴史があるならそれも含めて遺産と考えるべきで、反論するよりも、そうした事実を含めて遺産として考えるべき。予想通り、「反日」の言葉とともに罵詈雑言が浴びせられている。発言はあくまで一般論として私見を語ったものだが、別にそう釈明する気もない。安倍元首相は「歴史的な事実に基づき」と言うが、「過酷な労働」の「過酷な」は認識だ。認識は事実ではないのでファクトチェックできない。双方の主張は平行線をたどるしかない》。

 まず、同コラムで、立岩陽一郎さん《そこまで考えて気づく。番組担当者は仮のような番組は間違っても作らない。その「ミス」が深刻な事態を招くことを誰もが知っているからだ。私たちはそういう社会に生きており、メディアはそれにあらがう力を既に失っている》。
 《失われ尽くしつつあるマスコミの矜持と信用》(斎藤貴男さん)。

   『●《黒田さんは「差別」と「戦争」を最も憎んだ。人々の幸福実現が
     新聞の最大の使命なら、それを最も阻害するのが差別と戦争だからだ》
   『●お維の大阪府と包括連携協定の下足番広報紙…《メディアの役割は
     府政の監視をし、その政策を客観的・批判的な視点から報じること》
   『●エール ―――《そんな世の中において、一つの言論機関としての矜持を
       持ってやっていく、しかも…貫くことの大変さは身に染みてわかる》

 さて、佐渡金山。軍艦島について、ユネスコでの日本側のアノ「約束」はどうなったの…? まずは、アノ「約束」から履行してみては如何だろうか? ニッポンに対して、2021年7月、《ユネスコが、守られていないと批判する決議を採択》したわけですが、その後、どうなったのですか? 《こんな不誠実な態度、下劣な二枚舌を使えば、国際社会は呆れ返り、すでにガタ落ちしている信頼はさらに失墜し、相手にされないのは目に見えている》《「約束破りな上、二枚舌を使うという国際社会からの信頼を失墜させる自殺行為にほかならず、日本が歴史修正主義による“ならず者国家”だと印象づけるだけの、愚行以外の何ものでもない。世界遺産登録をめぐって「歴史戦」などというネトウヨ用語が飛び交う状況こそが異常なのだ》…あぁ、情けなく、恥ずかしいニッポン。

   『●《内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の
     産業革命遺産を推薦する」と…。最後は官邸主導の政治決断となり…》

 リテラの記事【安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に! 歴史修正主義宣伝と影響力誇示のためだけに“安倍フォン”かけまくり関係者に圧力】(https://lite-ra.com/2022/01/post-6155.html)…《安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に!》の可能性が高く、でも、アベ様にとってそんなことはどうでもよく、「力を誇示」できればそれが本望だったというオチのようだ。日夜キシダメ首相、そして、マスコミも情けないなぁ…。

=====================================================
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/300424

立岩陽一郎 ジャーナリスト
ジャーナリスト。91年、一橋大学卒業後、NHK入局。テヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て退職。現在は調査報道とファクトチェックを専門とするNPOメディアInFact編集長。同コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」発売中。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」出演中。

ファクトチェック・ニッポン!
「佐渡島の金山」世界文化遺産登録をめぐる「めざまし8」での私の発言が批判を浴びているが
公開日:2022/01/26 06:00 更新日:2022/01/26 06:00

     (安倍元首相(C)日刊ゲンダイ)

 1月21日のフジテレビの情報番組「めざまし8」での私の発言が批判を浴びているようだ。「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録について、韓国政府が「朝鮮半島出身者が過酷な労働をさせられた場所だ」などと反発したため、政府が推薦を見送る方針との内容について話したものだ。

 番組では安倍晋三元首相の「歴史的な事実に基づき、しっかり反論すべきだ」との発言や、新潟県知事の「(韓国政府の反発は)世界遺産の価値とは関係がない」などの発言が紹介され、それを受けて私が意見を求められた。

 私の発言は以下だった。まず、世界遺産には自然遺産と文化遺産があり、文化遺産については歴史もその評価の対象となる。その上で、負の歴史があるならそれも含めて遺産と考えるべきで、反論するよりも、そうした事実を含めて遺産として考えるべき

 予想通り、「反日」の言葉とともに罵詈雑言が浴びせられている。発言はあくまで一般論として私見を語ったものだが、別にそう釈明する気もない。安倍元首相は「歴史的な事実に基づき」と言うが、「過酷な労働」の「過酷な」は認識だ。認識は事実ではないのでファクトチェックできない。双方の主張は平行線をたどるしかない。

 これも当然だが、もし仮に私が「政府の弱腰は情けない。韓国にしっかり反論して世界遺産に推薦すべきだ」と言っていればこうした批判を受けることはない。その発言に失望を覚える人は、表現の自由を理解している可能性が高く、ましてネットで罵詈雑言を書き連ねるような真似はしない。それがわかっているから、罵詈雑言をする側に配慮した発言に終始する人はいるだろう

 この仮に、という仮定を現在起きているメディアのさまざまな問題に当てはめて考えてみたい。仮に、民放テレビ局が正月の特別番組で共産党から出た自治体の長2人と共産党で長く活躍した著名な識者を出し、タレントの司会で政治や社会について語らせたらどうだろうか? 放送後しばらく経った後に社長が記者会見で調査をすると語るだけで済むだろうか

 これも仮に、だが、NHKが東京五輪の公式記録映画を製作する映画監督に密着取材した番組で、「五輪『賛成』デモに参加している」「お金をもらって動員されていると打ち明けたとテロップで紹介したらどうだろうか? 実際にはそうした証言はなかったにもかかわらず番組を制作した大阪拠点放送局の局長が謝るだけですむだろうか

 説明するまでもなく、前者は政党名を変えて、後者は「賛成」を「反対」に変えて実際に起きたことだ。それだけの違いだが、仮に、この仮の話が起きていたら与党は大騒ぎし、「国会に関係者を呼んで事実関係をただせ」と大物議員が発言するニュースが飛び交っていただろう

 そこまで考えて気づく。番組担当者は仮のような番組は間違っても作らない。その「ミス」が深刻な事態を招くことを誰もが知っているからだ。私たちはそういう社会に生きており、メディアはそれにあらがう力を既に失っている

※コラムへの感想や意見は以下のアドレスへ。
 tateiwa@infact.press
=====================================================

=====================================================
https://lite-ra.com/2022/01/post-6155.html

安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に! 歴史修正主義宣伝と影響力誇示のためだけに“安倍フォン”かけまくり関係者に圧力
2022.01.30 08:00

     (安倍晋三Facebookより)

 2023年の世界文化遺産登録を目指す国内候補に選ばれた「佐渡島の金山」(新潟県佐渡市)について、政府がユネスコへの推薦を「見送る」とした報道から一転、28日、岸田文雄首相は「本年申請をおこない、早期に議論を開始することが登録実現への近道であるという結論に至った」と公表、ユネスコへ推薦すると表明した。

 岸田首相は「変わったとか(方針を)転換したとの指摘は当たらない」と述べたが、安倍晋三・元首相からのゴリ押しに屈したことは一目瞭然だ

 佐渡金山は昨年末の2021年12月28日に文化庁が文化審議会においてが国内候補に選定されたと発表したのだが、この決定に対し、佐渡金山は戦時中に朝鮮人の強制労働がおこなわれた歴史があることから韓国政府が反発。外務省も「登録が見込めない」という理由からユネスコへの推薦に消極的な姿勢を示していた。

 ところが、急に安倍元首相がしゃしゃり出るようになり、「(韓国に)ファクトベースでしっかり反論すべきだ」「論戦を避けた形で申請しないのは間違っている」などと主張。自民党政調会長である高市早苗氏やネトウヨ論客たちも一斉に岸田バッシングを開始し、ついに岸田首相は見送りの方針を一転させたのだ。

 だが、暗澹とさせられるのは、今回のユネスコ推薦決定に対し、ネトウヨたちだけではなく、マスコミや世論からも「安倍元首相や高市氏の主張は当然」「韓国が政治問題化させているだけ」という声があがり、「岸田首相が弱腰すぎた」など安倍元首相のゴリ押しを評価する向きがあることだ

 まったく何を言っているんだか、という話だろう。まず、そもそも岸田首相や外務省がユネスコへの推薦に消極的だったのは、戦時中の朝鮮人強制労働の歴史を重く見たとか、そういう理由ではまったくなく、自分たちの「二枚舌」が国際的に問題となることを見越した上での判断だった

 というのも、日本政府は2015年に中国が世界記憶遺産(現・世界の記憶)に申請した「南京大虐殺の文書」が登録されたことや2016年に日中韓などの民間団体が旧日本軍「従軍慰安婦」にかんする資料を申請したことに対して政治利用されているなどと猛反発し、ユネスコに審査方法の見直しを要求。2017年には日本政府の強い反対によって慰安婦関係資料の登録判断が延期され、登録申請の受付も中断させていた。そうしたことを受けて、ユネスコの執行委員会は2021年4月、加盟国による異議申し立てを認め、関係国が無期限で対話するなど「加盟国の反対がある限り遺産登録を見合わせるという制度改革案を承認したのだ。

 つまり、日本政府が南京大虐殺や従軍慰安婦にかんする文書・資料の登録・申請に猛反発し、加盟国の反対があれば遺産登録を見合わせられるという制度をユネスコに導入させたというのに、今回は韓国から反対の声があがっていることも無視して推薦しようというのだ。

 今回は世界文化遺産への登録をめざすもので「世界の記憶」とは制度が異なるが、無論、「言っていることとやっていることが違う」とユネスコや国際社会から反感を買うのは火を見るより明らか。だからこそ、外務省は佐渡金山のユネスコ推薦に消極的だったのだ。現に、〈外務省内では、「今回は日本が逆の立場になり、韓国の反発がある中で推薦すれば国際社会の信用を失いかねない」との判断も働いた〉(読売新聞20日付)といい、今回の推薦決定を受けて、〈韓国が反発する中で推薦することで「日本のこれまでの主張と整合性がとれなくなる」(外務省幹部)との懸念が出ている〉(毎日新聞29日付)という。


■「明治日本の産業革命遺産」では、「徴用の実施」をきちんと説明すると言いながら約束を反故に

 しかも、問題はこれだけではない。世界遺産登録をめぐっては、日本側はユネスコの世界遺産委員会との約束を堂々と破り、昨年には世界遺産委員会が「強い遺憾を示す」とする決議を採択しているからだ。

 問題となっているのは、2015年に当時の安倍首相の肝いりによって世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」。この世界遺産登録には韓国が反発していたが、日本側は朝鮮人徴用工について意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたことを認め、〈第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる〉(内閣官房「産業遺産情報センターの在り方等について(第一報告書))」)約束していた

 ところが、世界遺産登録後の2017年に日本側がユネスコへ提出した「保全状況報告書」では、朝鮮人徴用工について「戦前、戦中、戦後にかけて日本の産業を支えた多くの朝鮮半島出身者がいた」という記述で強制連行や過酷労働の実態を矮小化。2019年に出された「保全状況報告書」では朝鮮人徴用工について一切触れないという下劣な手に出た

 さらに、「徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じるという約束から設置された「産業遺産情報センター」の一般公開では、徴用工の置かれた過酷な状況を説明するどころか、父親が軍艦島炭鉱で働いていたという人の「いじめられたとか、指さされて『あれは朝鮮人ぞ』とは全く聞いたことがない」という証言を紹介、給与やボーナスが支払われていた物証などを展示したのだ。

 あらためて言っておくが、戦時中の朝鮮人強制連行は、当事者の証言だけでなく、公文書を含んだ史料がいくつも残っている歴史的事実だ。また周知のように、徴用工は企業によって、一部、日本人と変わらない待遇を受けているケースもあったが、大半が日本人とまったく違う劣悪な環境で働かされ、虐待や暴力を受けていた。そのことは、戦時中の日本政府の文書など公文書にも記録されている客観的事実だ。

 ところが、同センターはそうした事実をほとんど無視して、逆にごく一部のケースを強調して強制労働の否定を宣伝したのだ。

 当然、こうした展示実態をユネスコの世界遺産委員会も問題視。2021年7月の報告書では、「産業遺産情報センター」への専門家の現地視察を踏まえて、「朝鮮半島出身者らが意思に反して連れてこられ労働を強いられたと認識するのは難しそうだという強い印象が残った」と指摘。そして、2021年7月22日に世界遺産委員会は朝鮮半島出身者らが強いられた労働についての説明が不十分なままだと判断し、「強い遺憾を示すとする決議を全会一致で採択。「意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者らがいたことや、日本政府の徴用政策について理解できるような措置を考慮することを迫ったのだ

 だが、このユネスコの決議に対しても、当時の加藤勝信官房長官は「約束した措置を含め誠実に実行し、履行してきた」と反論。まるで反省がないという絶句するような態度をとったのである。


■安倍は自らネトウヨ用語の「歴史戦」を宣言! おかげで佐渡金山の世界遺産登録は絶望的に

 ユネスコとの約束を反故にして、突きつけられた決議に真摯に向き合うこともないのに、平然と次の世界文化遺産候補を推薦することは、怒りを買う行為にほかならない。しかも、前述したように「加盟国の反対がある限り遺産登録を見合わせる」という制度変更を要求してきたくせに、今度は加盟国から反発が起こっている案件を推薦しようというのだこんな不誠実な態度、下劣な二枚舌を使えば、国際社会は呆れ返り、すでにガタ落ちしている信頼はさらに失墜し、相手にされないのは目に見えている。外務省が消極的だったのは当たり前の話だろう。

 ところが、安倍元首相はこうした国際的な常識もおかまいなし。ここぞとばかりに佐渡金山のユネスコ推薦をゴリ押ししたのである。

 言っておくが、安倍首相の目的は、「世界遺産登録によって佐渡金山の価値を広めたい」というようなものではまったくない。なぜなら、安倍首相がやろうとしているのはまったく逆の結果を生むものだからだ。

 もし、日本が本気で佐渡金山の登録をめざすのであれば、まずは「明治日本の産業革命遺産」に対して出された決議に基づいて「産業遺産情報センター」の展示を見直し、国際社会にその姿勢を示すのが先決だし、さらに今回の佐渡金山の推薦も「江戸時代の手掘りの伝統手工業遺産に対するものだ」(高市早苗政調会長の発言)などとただ反発するのではなく、佐渡金山における戦時中の強制労働の実態についてもしっかりと認めた上で韓国と対話することが必要だ

 そうした努力もしないまま、強引に佐渡金山の世界遺産登録を主張しても、ユネスコがそれに応じることは、まずありえないだろう。それだけではない。一度世界遺産への登録が不可能と判断された推薦候補がその後、登録された例はない

 つまり、安倍元首相のこのゴリ押しによって、佐渡金山は今回だけでなく、将来にわたっても世界遺産登録が難しくなる可能性が高いのだ。

 しかし、安倍元首相は、そんなことはどうでもいいのだろう。なぜなら、安倍元首相やネトウヨの目的は、佐渡金山の世界遺産登録ではなく、今回の問題を朝鮮人強制労働の事実を否定する「歴史修正」に利用しようというものにすぎないからだ。

 事実、安倍元首相が勢いづいたのは、佐渡金山が国内候補に決定して韓国から反発を受けて以降のこと。しかも、27日には自身のFacebookでこう主張していた。

「(韓国側に)歴史戦を挑まれている以上、避けることはできない」

 周知のように、「歴史戦」という言葉は先の戦争を肯定する歴史修正主義者の言論拠点である産経新聞が生み出したネトウヨ用語。そんな言葉を堂々と使ったことからも、「徴用工問題は絶対に認めない」という、歴史的事実を捻じ曲げるためだけにユネスコへの推薦をゴリ押ししたのは明らかだ。


■安倍の頭の中は「ネトウヨ趣味」と「政治力維持」だけ、関係者に「安倍フォン」かけまくり

 そもそも、佐渡金山の世界遺産登録の大きな阻害要因となっている「明治日本の産業革命遺産」をめぐる国際公約破りや、「産業遺産情報センター」での歴史修正主義宣伝も、安倍元首相の意向に基づくものといわれている。

 実際、安倍元首相は2020年、「産業遺産情報センター」を視察した際、Twitterで展示パネルの「戦時中の長崎造船所 徴用工に支払われていた給与+ボーナス」写真を貼り付けた上で〈当時の彼らの労働に対する待遇が本当はどうであったかを物語る貴重な資料〉〈いわれなき中傷への反撃はファクトを示す事が一番〉などと主張していた。

 当時、本サイトでは、安倍元首相が挙げた資料が徴用工の差別的待遇や強制労働を否定する「ファクト」ではけっしてなく、元徴用工の人びとが証言している強制動員・強制労働や差別的な扱いを「いわれなき中傷」などと決めつけている主張こそがフェイクであることを歴史的資料・証言に基づいて検証したが(既報参照→ https://lite-ra.com/2020/10/post-5682.html)、安倍元首相は今回の佐渡金山をめぐっても、同じようなフェイク宣伝をやろうとしているのだろう。

 佐渡鉱山では長崎の端島をはじめとする地域と同様、朝鮮人が強制的に連行された上で危険な労働を強いられていたことが指摘されており、それは新潟県が編纂した通史でも記述されている事実だが、安倍元首相は佐渡金山の世界遺産登録働きかけ運動によって、同じように徴用工の強制労働、虐待否定を展開するはずだ。

 しかも、安倍元首相には、今回のユネスコへの推薦問題を歴史修正に利用しているだけではなく、自身の政治的影響力を誇示する目的もある。

 実際、外務省が今回のユネスコへの推薦に消極的な姿勢を見せると、安倍元首相は安倍派の会合で「論戦を避ける形で登録を申請しないというのは間違っている」「しっかりとファクトベースで反論していくことが最も大切だ」と発言。これは〈推薦を見送れば、党内の安倍氏に近い議員らが首相を見放しかねないとのメッセージ〉(朝日新聞29日付)だったが、じつは安倍元首相は裏でも策動息のかかった関係官僚やメディア関係者に次々と「安倍フォン」をかけまくり、「世論を盛り上げろ」と指示していたという

 安倍元首相は最近、自分と距離を置こうとする岸田首相に対して焦っていたというが、そんななかで持ち上がった今回の問題は、自分の政治力を岸田首相に見せつける絶好のチャンスだった。安倍元首相は昨年の総裁選でも自分の影響力を誇示して岸田氏を服従させるべく、高市支持を呼びかける「安倍フォン」を発動させたが、今回も同じように岸田首相を揺さぶろうと必死になっていたのだ。

 そして、安倍元首相の目論見どおり事は運び、岸田首相は完全に屈服。NHKや読売新聞までもついに産経用語の「歴史戦」という文言まで用いて推薦することを後押しし、世間も「弱腰の岸田」「安倍元首相の主張はもっとも」などと評価しているのだ。つまり、すべては安倍元首相の思うツボとなったわけだ。

 だが、繰り返すが、今回の決定は「約束破りな上、二枚舌を使うという国際社会からの信頼を失墜させる自殺行為にほかならず、日本が歴史修正主義による“ならず者国家”だと印象づけるだけの、愚行以外の何ものでもない。世界遺産登録をめぐって「歴史戦」などというネトウヨ用語が飛び交う状況こそが異常なのだと強く言っておきたい。

(編集部)
=====================================================

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●《内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の産業革命遺産を推薦する」と…。最後は官邸主導の政治決断となり…》

2021年10月11日 00時00分15秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち 報道特集(2017年7月8日)↑]

――――――《内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の産業革命遺産を推薦する」と言ってきた。最後は官邸主導の政治決断となり、「長崎教会群」ではなく「明治産業革命遺産」が選ばれたんです。初めから結論は決まってたんですよね》(前川喜平さん)

―――――― 上野英信さん『追われゆく坑夫たち』には、《Yさん…「…」と鉄棒をさすりながら勤労係が言いました。こうして私は海のなかの恐ろしい監獄島――三菱端島炭鉱で働くことになりました》



(2021年09月15日[水])
デモクラシータイムスの記事【軍艦島展示を改めよ!~約束守らぬ日本にユネスコ決議~ 植松青児さん【The Burning Issues vol.17】】(https://www.youtube.com/watch?v=KyZPIQpKPqM)。

 《デモクラシータイムス 長崎の軍艦島を始めとする「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に指定されたのが、2015年。しかしこの時の日本側のユネスコでの「約束」を巡って、今年7月、ユネスコが、守られていないと批判する決議を採択しました。いったい何があり、どこが問題なのか、その裏側について解説します。
 ゲスト:植松青児さん (「週刊金曜日」編集者)
 司会:高瀬毅》



【軍艦島展示を改めよ!~約束守らぬ日本にユネスコ決議~ 植松 青児さん
 【The Burning Issues vol.17】】
 (https://www.youtube.com/watch?v=KyZPIQpKPqM


 加藤康子氏らの〝活躍〟により、《長崎の軍艦島を始めとする「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に指定》された背景。

―――――――――――――――――――――――
●大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない
   《病的な嘘つき》アベ様…全てのアベ様の「政」のデタラメさ

http://lite-ra.com/2017/09/post-3473.html

室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第7回ゲスト 前川喜平(後編)
前川喜平・前文科次官が安倍政権の愛国教育、親学を痛烈批判! 室井佑月に立候補を薦められた前川氏の答えは…
2017.09.24

………。

室井 政府の審議委員とか第三者委員とかは、思想チェックがあるとは思ってましたが、やっぱりね。政府や政策に批判的だと入れないんだ。怖い。思想や政策とは関係ない、文化系の専門家なんですよね。政治に関してモノが言えなくなるってことですから、本当に怖い。
前川 もうひとつは、2015年に世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」です。世界遺産への推薦案件は通常、文科省の外局である文化庁の文化審議会で審議するのですが、2013年は審議会で「長崎の教会群とキリスト教関連遺産を推薦」という結論となったこれを押しのけて軍艦島などの「明治産業革命遺産」が出てきたんです。しかし、安倍首相の地元・山口県の松下村塾は八幡製鉄所(福岡県)や軍艦島との関連性はないし、軍艦島は保全措置さえ取られていない。ところが、これを加藤康子さんという女性が中心になって、官邸と一体になって強力に進めたんです。

室井 加藤さんって、亡くなった加藤六月議員の娘で安倍さんの幼馴なじみなんでしょ。それで安倍ちゃんが「俺が(世界遺産登録を)やらせてあげる」と約束しちゃったという。


安倍政権の道徳教育は、戦前の国体思想、教育勅語につながるもの

前川
 そのようですね。内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の産業革命遺産を推薦する」と言ってきた。最後は官邸主導の政治決断となり、「長崎教会群」ではなく「明治産業革命遺産」が選ばれたんです。初めから結論は決まってたんですよね。そのときに官邸で中心になって進めた人物が、和泉さん(洋人・首相補佐官)。そして一緒になって進めた内閣官房参与が木曽(功)さん、文科省で私の先輩なんですけどね。これは官邸が強力に推し進め、あらゆる政治力・外交力を駆使して勝ち取った行政が歪められた、かなり怪しい案件です。

室井 それに抵抗した西村さん(幸夫・日本イコモス委員長)が辞めさせられたんでしょ。それも和泉首相補佐官が「外せ」と圧力をかけて。
前川 詳しいですね(笑)。和泉さんの横やりで、西村さんは文化審議会の委員から外されたんです。「産業革命遺産」を推進したのは、当時の内閣官房の地域活性化統合事務局で、その局長が和泉さんです。世界遺産は、ユネスコの諮問機関であるイコモスが審査するんですが、その審査はかなり厳しいことで知られているんです。富士山を指定するときも、難儀したくらい。明治産業革命遺産は普通に考えるとまだ登録できる状態じゃなかった。それでもかなり強引に推し進めた。和泉さんにとっては、日本イコモスはただの邪魔者だったんでしょう。

室井 理由はお友だち優遇ともうひとつ。“明治”をクローズアップさせ、美化、正当化したい安倍さんの趣味もあったのかな。大日本帝国はよかった、みたいな
前川 そう思います。戦前日本の植民地主義的な膨張主義の根っこは松下村塾にあると言ってもいいし、日本の膨張主義政策を支えたのが産業遺産。それで韓国が大反対した。軍艦島は徴用工が強制労働させられた場所で、それを無視して世界遺産登録するなんて、批判があるのは当然でしょう。

室井 「産業遺産」にしても根っこでは全部つながっていると思います。安倍さんの思想と一致するもの。日本会議が「明治の日」をつくろうとしたり、明治をテーマにした映画なんかを支援すると言ったり、福井国体に「明治150年」と付けようとしたり。それと前川さんの専門だと思うんですけど、安倍政権は道徳教育愛国教育教育勅語の問題など、すごい力を入れてきてるじゃないですか。
前川 教育基本法改正道徳の教科化ですね。もうひとつ大きな問題があります。それが家庭教育の重視です。国民はまだはっきりと問題として認知していないと思いますが、家庭での教育こそが大事なんだという考え。

………。
―――――――――――――――――――――――

   『●取巻きに堕さず《官邸と距離を置》くような官僚を左遷するアベ様や
       スガ様…《人事でも異常なことが続いています》(前川喜平さん)
    《前川:和泉さんは、2015年7月に世界遺産に登録された
     「明治日本の産業革命遺産」でも、この案件だけ文化庁の審議会から
     外し、内閣官房で特別に“審査”しました。この世界遺産は、
     産業革命遺産なのになぜか松下村塾まで入っている。これを熱心に
     推進していたのが、安倍さんの幼なじみの加藤康子さん(加藤六月
     元農林水産相の長女)。加藤康子さんの妹婿は加藤勝信官房長官です》


 上野英信さん『追われゆく坑夫たち』にも触れられている。

   『●「「慰安婦」問題と言論弾圧」
     『週刊金曜日』(2014年11月14日、1016号)について
    「三木健氏【本 推理小説さながら心の闇に挑んだ労作/
     『上野英信・萬人一人坑 筑豊のかたほとりから』河内美穂=著
     現代書館】…《「筑豊の炭住長屋を改造して施設の「筑豊文庫」を設立
     …「英信は過去を忘れた訳ではない。…葬り去ったわけでもない。
     …過去を背負ったまま、天皇制のゴウカキ(業担き)として生きる。
     …その罪業を担い続けていく覚悟だったのだ」と》。上野英信さんは
     「「侵略する側」にいた過去に戦後、どう向き合った」のか?」

   『●『キジバトの記』読了(1/3)
   『●『追われゆく坑夫たち』読了(1/3)
   『●『追われゆく坑夫たち』読了(2/3)
   『●『追われゆく坑夫たち』読了(3/3)
   『●上野英信さんは「「侵略する側」に
       いた過去に戦後、どう向き合った」のか?

   『●《エネルギーのルツボ》《火床》の《暗い地の底》にて…
     【セレクション (3)「地の底の声筑豊・炭鉱に生きた女たち」】
    「上野英信さんと筑豊文庫。《筑豊よ 日本を根底から変革する
     エネルギーの ルツボであれ 火床であれ 上野英信》…
     「暗い地の底」で。…そして、やはり、山本作兵衛さん。」

   『●県内初の記録文学碑『眉屋私記』、上野朱さん「屋部の人の誇りや
     民衆史を後世に残すためのもの。英信も心から感謝し、喜んでいるだろう」


 また、山本作兵衛さんについても触れられています。

   『●山本作兵衛翁の作品がユネスコ世界記憶遺産に!!
   『●記憶遺産その後 ~山本作兵衛翁のスケッチブック見つかる~
   『●「筑豊よ 日本を根底から
      変革するエネルギーの ルツボであれ 火床であれ 上野英信」

   『●筑豊の炭鉱記録画家山本作兵衛翁の記憶遺産、ユネスコが展示打診
   『●上野英信さんは「「侵略する側」に
       いた過去に戦後、どう向き合った」のか?

   『●山本作兵衛翁のヤマの「記憶の記録」と
        アベ様の「アメリカのために戦争できる国」へ

   『●『坑道の記憶~炭坑絵師・山本作兵衛~』:
        「歴史はあらゆる側面から語られる必要がある」

    「「一国の首相が歴史修正主義者なんて恥ずかしいし、…
     …羞恥心の無さと自覚の無さという救いの無さ」なニッポン国。
     教科書に載っている歴史さえも矮小化させようといつも画策。ましてや、
     歴史をあらゆる側面から考える頭も無しなアベ様達。
     歴史から教訓を得ることもない」

   『●熊谷博子監督《当時の炭鉱の姿ではあるが、私には、そのまま
         現代に思えた…労働、貧困、差別…戦争…今と同じだ》
   『●《エネルギーのルツボ》《火床》の《暗い地の底》にて…
     【セレクション (3)「地の底の声筑豊・炭鉱に生きた女たち」】


 冒頭のデモクラシータイムスの映像記事から。
 《〈労働史〉抜きでは、石炭産業は語れない》《日本の石炭採掘は容易ではない》《労働者への負荷が大きい》➙《労働力の調達が困難》《囚人労働》《暴力的に労働者〈坑夫〉をつなぎとめる》…逃亡すれば、納屋頭が《労働者をリンチする場合も》あった。
 《センター展示には、このような説明はない》。

 《三池での暴力的労務支配も知らんぷり》《港湾に荷役に従事した、与論島からの移住者への差別》、さらに《朝鮮人労働者の強制連行》《中国人の強制連行》。
 《高島での暴力的労務支配も知らんぷり》《田川市の「山本作兵衛コレクション」》…図録番号576 タイトル: リンチ4 (ミセシメ)》。

―――――――――――――――――――――――
https://www.joho.tagawa.fukuoka.jp/y_sakubei/default.html

福岡県 田川市
ユネスコ世界の記憶 (世界記憶遺産)
山本作兵衛コレクション

……

図録番号571~580

2017年4月13日更新 図録番号576 タイトル:リンチ4(ミセシメ)
https://www.joho.tagawa.fukuoka.jp/y_sakubei/kiji0034594/index.html

(解説文要約)
この作品は、肥前の高島の炭坑で行われたという「リンチ」を描いたものです。
高島から、泳いで逃げ出そうとして捕まった炭鉱労働者に納屋頭領が制裁を加えています。
その前で食事をする同僚たちも描かれています。
この様に、リンチはミセシメの要素も強かったようです。

This shown method of torture was said to be used at the pit in Takashima Island in Hizen, or Nagasaki Prefecture.
The Nayadoryo, orminer group boss is applying sanctions against a miner who were captured on the run after trying to escape from the island by swimming across the sea.
The victim’s coworkers are eating breakfast beside him.
In this way, torture was mainly used as exemplary punishment to miners.
―――――――――――――――――――――――

 前述の上野英信さん『追われゆく坑夫たち』には、《Yさん…「…」と鉄棒をさすりながら勤労係が言いました。こうして私は海のなかの恐ろしい監獄島――三菱端島炭鉱で働くことになりました》と、あるそうだ。
 このようなことは一切紹介されていない…。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●《キンモクセイで世間の鼻をごまかし、学問の自由、言論の自由を脅かしかねない「腐臭」に気付かせぬようにしている》(筆洗)

2020年10月24日 00時00分17秒 | Weblog

[※《自助》大好きオジサン・元最低の官房長官と学商 (日刊ゲンダイ 2020年9月7日 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/278353)↑]



週刊朝日の記事【「杉田官房副長官、和泉補佐官に政権批判した学者を外せと言われた」学術会議問題を前川喜平氏語る】(https://dot.asahi.com/wa/2020100400007.html)。
西日本新聞のコラム【春秋/「学匪(がくひ)」とは、学問や知識で民心を惑わし…】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/650789/)。日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/東大総長選考にも疑惑…菅は裸の王様か】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202010070000088.html)。

 《安倍政権は人事権によって官僚や審議会を支配してきました。その中心にいたのが菅さんです。気に入らない人間は飛ばす、気に入れば重用する。これは彼らの常とう手段なんです》。
 《▼今は日本国憲法23条に「学問の自由」が明記されている。戦前、戦中のような圧力や弾圧はあり得ない…はずだが。かつてこの国を覆っていた空気と通底するような嫌な感じに胸がざわつく》。
 《ただ、この学術会議への介入の前に東大総長選挙にも政治関与の疑いがある。★2日、東大総長・五神(ごのかみ)真の任期満了に伴う総長選考では、来年4月からの次期総長に理事で副学長だった藤井輝夫が決まった。従来は「第2次総長候補者」が決まると候補者の氏名が公表され、全学の教授会構成員(教授、准教授、教授会を構成する講師)による本選投票が行われ、通常はこの本選で過半数を得た候補を、総長選考会議が「総長予定者」として文科相に上申、任命となる。しかし2次選考では代議委員会の投票で選ばれる1次選考でトップだった理事で副学長・宮園浩平の名前が消え、学内には2次選考の過程で「公平性・透明性に大きな問題がある」との指摘がある》。

 今度は《人事介入》大好きオジサンに。その源流はアベ様にあったようで、これも《継承》。法的には学術の実績での判断しかないのに、《総合的・俯瞰》に何を検討したのか? しかも、6人が既に除外(←これまた大変に失礼)された99人のリストしか見ていないと言い始めるとはね…。

   『●〝前川喜平になるな佐川宣寿になれ〟!?
      「官邸べったり」藤原誠官房長の文科事務次官への昇格人事
    「「前川喜平になるな佐川宣寿になれ」ってこと!?  つまり、
     《政権・官邸の意向に服従しろ》。文部科学省内で《安倍首相が力を入れる
     教育の国家主義化、愛国主義化の強化》してくれそうな、《官邸べったり》
     《官邸のイエスマン》藤原誠官房長の文科事務次官への昇格人事。
     こんな好き勝手な人事、《ロコツな“官邸人事”》で各省がズタズタに…。
      それでも少しはましな「人物」ならまだしもね…。下足番紙にデマを
     リークした官邸の意を受け、《和泉洋人首相補佐官の代理人として前川氏を
     黙らせるために暗躍》。それに、続・大惨事アベ様内閣の文科相が
     アレですものねぇ」

   『●前川喜平さん《社会全体が子どもたちを支えられるように、子ども
     たちに税金を使う仕組みを作らなければいけない》…逆行するアベ様政権

 人事介入も《継承》。
 リテラの記事【日本学術会議への不当人事介入は安倍政権時代から始まっていた! 安倍の意向を汲んだ杉田官房副長官と菅首相が…】(https://lite-ra.com/2020/10/post-5665.html)によると、《やはり問題の発端は安倍政権だった──。菅首相による日本学術会議の任命拒否問題をめぐり、安倍政権時代から露骨な官邸による人事介入がおこなわれていた、その詳細がわかってきたからだ。その詳細を証言しているのは、2011年から2017年まで日本学術会議の会長を務めた大西隆・東京大学名誉教授。大西元会長に取材をおこなった毎日新聞の本日朝刊記事によると、〈14年10月以降のある時点で、官邸側から「最終決定する前に候補者を説明してほしい」と要求された〉という。本格的な介入がおこなわれたのは、2016年の夏。会員が定年を迎えたことで〈人文・社会科学系の1人と理工学系の2人〉の3つのポストが空いたことに伴う補充人事でのことだ。このとき、日本学術会議側は安倍官邸からの要求に沿うかたちで〈1ポストにつき各2人計6人〉を報告。しかし、安倍官邸は理由を説明することもなく2ポストで優先順位1位と2位の差し替えを要求したというのだ。この要求を日本学術会議側は応じなかったため、3人の補充はおこなわれず欠員となったが、これにより、さらに安倍官邸はより強権的な態度に出た。2016年12月、大西会長は官邸で官房副長官と面会したが、ここで官房副長官は2017年10月の会員半数改選にかんして〈総会承認前の選考状況の説明と、改選数より多めに候補者を報告すること〉を要求してきたというのである。大西元会長は毎日新聞の取材でどの官房副長官かその名前を出してはいないが、この人物は杉田和博官房副長官だと朝日新聞が報じている。言わずもがな、杉田官房副長官といえば、安倍政権下で菅義偉氏が“官僚の監視”を担わせ、自身が総理就任にあわせた人事でもそのまま再任させた人物である。結果として、この杉田官房副長官による“横やり”に対し、大西会長は2017年6月、改選人数の105人に数人を加えた110人超の会員候補者リストを杉田官房副長官に提示。このときは安倍官邸から異論は出なかったといい、日本学術会議が推薦した105人をそのまま安倍首相は任命した》。

 《▼だが、軍国主義が台頭する中で、天皇を絶対的な主権者とする軍部と衝突。その圧力で学説は公然と否定された。美濃部は不敬罪で告発され、著書も発売禁止処分となった ▼今は日本国憲法23条に「学問の自由」が明記されている。戦前、戦中のような圧力や弾圧はあり得ない…はずだが。かつてこの国を覆っていた空気と通底するような嫌な感じに胸がざわつく》。

   『●壊憲…「緊急事態という口実で、憲法が破壊される恐れが
          …ヒトラーは非常事態を乱用して独裁を築いた」
    《歴史の読み方として、一九三五年を分岐点と考えてみる。
     天皇機関説事件があった年である。天皇を統治機関の一つで、
     最高機関とする憲法学者美濃部達吉の学説が突如として猛攻撃された。
     なぜか。合理的すぎる、無機質すぎる-。現人神である天皇こそが
     統治の主としないと、お国のために命を捧(ささ)げられない。
     「天皇陛下万歳」と死んでいけない。機関説の排除とは、
     戦争を乗り切るためだったのだろう。それまで「公」の場では
     神道と天皇の崇拝を求められたものの、「私」の世界では何を
     考えても自由なはずだった。だが、事件を契機に「公」が「私」の
     領域にまでなだれ込んでいった。それから終戦までわずか十年である》

 別件なのですが、通底。《ただ、この学術会議への介入の前に東大総長選挙にも政治関与の疑いがある》。
 あぁぁ…これって色々な大学で起きていることなのでは…。《1次選考でトップだった理事で副学長…の名前が消え》ていた。一体どんな論理? 《総長選考会議》的なものが…文科省への何かの忖度?

   『●ジャパンライフ元会長が詐欺容疑で逮捕…一体何年放置? そして、
      大惨事アベ様政権は「桜を見る会」の中止を表明して疑惑・腐臭に蓋

 腐臭に蓋する大惨事アベ様政権。
 東京新聞のコラム【筆洗/十月になってキンモクセイの甘い匂いが濃くなってきた。別名に…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/60202?rct=hissen)によると、《…「九里香」。春先の沈丁花(じんちょうげ)が「七里香」なので、キンモクセイの方が二里分、香りが強く遠くまで届くということか。…▼その陰でいやな臭いも漂う。日本学術会議の問題である。政権の気にいらぬ学者をメンバーに加えることを拒否し、その理由さえ説明できない。キンモクセイで世間の鼻をごまかし、学問の自由言論の自由を脅かしかねない「腐臭」に気付かせぬようにしているとは言い過ぎか▼匂いの実験によるとネズミはどんなに食欲をそそる匂いの中にいても、ひとたびネコの匂いを嗅ぐとその場を離れるそうだ。ネズミの鼻だけは働かせておいた方がよさそうである》。

=====================================================
https://dot.asahi.com/wa/2020100400007.html

「杉田官房副長官、和泉補佐官に政権批判した学者を外せと言われた」学術会議問題を前川喜平氏語る
吉崎洋夫 2020.10.4 12:42 週刊朝日

     (菅義偉首相(C)朝日新聞社)
     (前川喜平元文科事務次官(C)朝日新聞社)

 菅義偉首相が日本学術会議の推薦した委員の任命を拒否したことを受けて、学術界に激震が走った。政府からの独立を維持してきた学術界をも、菅政権は官僚と同様に支配しようと踏み込んできたからだ。いったい何が起こっているのか。元文部科学省事務次官の前川喜平氏が本誌インタビューで問題点を語った。

*  *  *

 今回の問題は菅政権で起こるべくして起こったという感じですが、手を出してはいけないところに手を出してしまいました。

 安倍政権は人事権によって官僚や審議会を支配してきましたその中心にいたのが菅さんです気に入らない人間は飛ばす、気に入れば重用するこれは彼らの常とう手段なんです。

 私が事務次官だったとき、文化審議会文化功労者選考分科会の委員の候補者リストを官邸の杉田和博官房副長官のところにもっていきました。

 候補者は文化人や芸術家、学者などで、政治的な意見は関係なしに彼らの実績や専門性に着目して選びます。それにもかかわらず杉田さんは安倍政権を批判したから」として、二人の候補者を変えろと言ってきました。これは異例の事態でした。

 他にも菅さんの分身とも言われる和泉洋人首相補佐官が文化審議会の委員から西村幸夫さんを外せ、と言ってきたこともありました。西村さんは日本イコモス委員長です。安倍首相の肝入りで「明治日本の産業革命遺産」が推薦され、15年に世界遺産に登録されましたが、この産業革命遺産の推薦を巡り難色を示していたのが、西村さんでした。任期が来たときに、文科省の原案では西村さんを留任させるつもりでしたが、和泉さんが「外せ」といい、外されました

 官僚についても同じようなことを繰り返してきましたよね。本来、内閣から独立している人事院を掌握し、憲法の番人」と言われた内閣法制局も人事で思い通りにした成功体験を積み重ねてきた。それで検察の人事にも手を出したが、これは失敗。でも、まだ諦めていないでしょうね。そしてその支配の手を学問の自由にも及ぼそうとしている

 今回も官僚や審議会の人事に手をつっこむような感じでやってやろうと思ったんでしょうね。しかし、致命的なのは、日本学術会議が科学者の独立した機関だという理解がなかった点です。

 憲法では学問の自由」「思想の自由が保障されている。国家権力が学問や思想を侵害してはならないとなっている。だから、日本学術会議の独立性は強いんです。

 しかし、今回の任命の問題は、日本学術会議の独立性を脅かすことになる日本にいる約87万人の科学者を敵に回したといっても過言ではありません。安倍さんも菅さんも法学部出身なのに、憲法を理解していないんでしょうかね。授業中、寝ていたのでしょうか。任命しないというのであればその理由をはっきりと説明するべきです。

 日本学術会議法には「会員は(日本学術会議の)推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」とあります。「推薦に基づいて、任命する」というのは、原則的に、推薦通りに任命するということを意味します

 総理大臣の任命についても、憲法に「天皇は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する」とありますが、天皇陛下は拒否することはできません。「推薦に基づいて~」というのは、推薦通りに任命するのが原則なんです。

 1983年の国会答弁を見ても、「推薦をされたように任命する」ということを政府が認めています。ただ、100歩譲って、任命しないというのであれば日本学術会議が推薦した以上の理由をもって、説明しないといけない。彼らは学術的な実績を理由に推薦を受けています。その実績に「論文を盗用していた」などの明らかな問題があれば、拒否する理由になるでしょう。

 日本学術会議は内閣総理大臣の所轄です。菅さんには推薦を拒否する理由を説明する責任がありますが、「自分たちの意に沿わないからという以上の理由を説明できないでしょうね。

 政権にとって都合の悪い人間を排除していけば、学術会議が御用機関となります。それでは彼らの狙いは何かそれは軍事研究でしょう。

 政府は日本の軍事力強化に力を入れてきています。防衛省では15年に「安全保障技術研究推進制度」を導入しました。防衛省が提示するテーマに従って研究開発するものに、お金を提供する制度です。導入当初は3億円だった予算規模は、今では100億円にもなっています。

 他方で、日本学術会議では、1950年と67年に「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明」と、「軍事目的のための科学研究を行なわない声明」の二つの声明を出している。戦争に協力した反省からです。2017年にはこの二つの声明を継承することを表明しています。

 このときの日本学術会議会長の大西隆さんは「自衛目的に限定するなら、軍事研究を容認していい」という考えでしたが、他の委員から反対があり、「認めるべきではない」となった。

 菅政権にとっては学術会議のこういった人たちが目の上のたんこぶなんですね。最終的には日本の大学で軍事研究を進め、独自の軍事技術を持って、兵器をつくっていきたい、ひいては戦争に強い日本をつくりたいのでしょう。

 学者の方々は官僚のように“大人しい羊の群れ”ではないので、一筋縄ではいかないと思います。今回任命されなかった方々は憲法学者や刑法学者、行政法学者など日本のトップクラスの人たちです。

 しかし、今回の任命拒否は非常に怖いものでもある。1930年代に起こった滝川事件天皇機関説事件といった学問の弾圧を思い起こさせる。大学や学術の世界を国の意向に沿ったものにしようとしている

 安倍政権では集団的自衛権や検事長の定年延長について、憲法や法の解釈を都合よく変更してきました。定年延長では法を変えようとまでした今度は日本学術会議法まで変えようとするかもしれません

 今回の問題は、これまでの人事とは異次元の問題と見るべきだと思います。

(構成・本誌 吉崎洋夫)

※週刊朝日オンライン限定記事
=====================================================

=====================================================
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/650789/

春秋
「学匪(がくひ)」とは、学問や知識で民心を惑わし…
2020/10/3 10:40

 「学匪(がくひ)」とは、学問や知識で民心を惑わし、社会に悪影響を及ぼす学者や学生を指す。そう非難されて弾圧された人がいる。憲法学者の美濃部達吉

▼統治権は国家にあり、天皇はそれを行使する国家の最高機関とする「天皇機関説」。この美濃部の学説は大正デモクラシーや政党政治の思想的基盤となった

▼だが、軍国主義が台頭する中で、天皇を絶対的な主権者とする軍部と衝突。その圧力で学説は公然と否定された。美濃部は不敬罪で告発され、著書も発売禁止処分となった

▼今は日本国憲法23条に学問の自由が明記されている。戦前、戦中のような圧力や弾圧はあり得ない…はずだが。かつてこの国を覆っていた空気と通底するような嫌な感じに胸がざわつく

▼政府機関「日本学術会議」が推薦した新会員候補105人のうち、6人の任命を菅義偉首相が見送った。安全保障法制や特定秘密保護法、「共謀罪」法、辺野古埋め立てなど、安倍晋三政権の看板政策に異を唱えた人たちだ。政府は見送りの理由を明かさないが、官房長官として前政権を支え、政策も継承するという首相だけに、なるほどね、とふに落ちる

▼「学匪」と呼ばんばかりに政権に批判的な学者を排除するのならば、学問の自由を踏みにじるものだと言われても仕方ない。首相は、指示に従わない官僚は「異動させる」と脅した人事で圧力をかける菅流は、学問の世界にまでも
=====================================================

=====================================================
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202010070000088.html

コラム
政界地獄耳
2020年10月7日7時55分
東大総長選考にも疑惑…菅は裸の王様か

★首相・菅義偉の日本学術会議への人事介入で首相は「日本学術会議というのは、省庁再編のなかで大議論を行ったところです。その結果として、総合的・俯瞰(ふかん)的活動を求めることになってますから、まさに総合的・俯瞰的活動を確保する観点から判断をした。これに尽きます」と任命拒否を説明したが、ご本人はこの説明を理解しているだろうか。6人の任命拒否された学者は省庁再編の犠牲者というのか。ただ、この学術会議への介入の前に東大総長選挙にも政治関与の疑いがある。

★2日、東大総長・五神(ごのかみ)真の任期満了に伴う総長選考では、来年4月からの次期総長に理事で副学長だった藤井輝夫が決まった。従来は「第2次総長候補者」が決まると候補者の氏名が公表され、全学の教授会構成員(教授、准教授、教授会を構成する講師)による本選投票が行われ、通常はこの本選で過半数を得た候補を、総長選考会議が「総長予定者」として文科相に上申、任命となる。しかし2次選考では代議委員会の投票で選ばれる1次選考でトップだった理事で副学長・宮園浩平の名前が消え、学内には2次選考の過程で「公平性・透明性に大きな問題がある」との指摘がある。

★「政策に反対する(幹部)官僚は異動してもらう」と公言する首相は法解釈の変更をしてでも権限を行使したいようだが、就任早々、裸の王様化している。「それだけは、やめた方が」などと意見を言おうものなら、即クビになるから官邸官僚や関係官僚全員が「おっしゃるとおり」と日々拍手している状態なのだろうこれぞ強烈な裸の王様だろう。今回は与党幹部からも苦言がでたが、その後ははっきりしない。つまり杉田水脈騒動と同じ構図、同じレベルかもしれない。このままうやむやか。(K)※敬称略
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●高江破壊…《反対する市民らに対抗するのに協力することの見返りに、海外事業で便宜を図ると和泉首相補佐官は約束》

2019年12月28日 00時00分10秒 | Weblog


リテラの記事【不倫報道の安倍首相側近・和泉洋人首相補佐官に便宜供与疑惑! 沖縄・高江ヘリパッド強行めぐり見返りに「なんでも協力するから」】(https://lite-ra.com/2019/12/post-5164.html)。

 《安倍政権が強行した政策をめぐって、もうひとつ便宜供与疑惑が持ち上がっている。公私混同の“不倫出張”疑惑が報じられたばかりの安倍首相の側近・和泉洋人首相補佐官が2016年、沖縄県東村高江の米軍北部訓練場で米軍ヘリパッド建設工事を強行するべく、発電事業を手がける電源開発(J-POWER/以下Jパワー)に対し協力を要請、その見返りとして便宜供与も示唆していたことを24日付の沖縄タイムスがスクープ…Jパワーが石炭火力発電進めるインドネシアへの安倍首相訪問に、和泉補佐官と北村Jパワー会長が同行》。

   『●《生物多様性の生きた教科書》な森や美ら海を殺すな!
      《和泉洋人首相補佐官…民間企業に便宜供与を打診し、
                         行政をゆがめ…》
    《和泉補佐官は菅義偉官房長官の側近とされ、辺野古新基地建設など
     沖縄の重要案件を取り仕切る
    《和泉補佐官は「ありがたい。海外案件は何でも協力しますから」
     と感謝を伝えた》

   『●《高江のヘリパッド建設工事は異常だった》…その背景に
      和泉洋人首相補佐官の暗躍、高江での《わずか9時間の歓喜》
    《疑惑の裏にこの男あり――。菅官房長官の“懐刀”として悪名高い
     和泉洋人首相補佐官の暗躍ぶりが、また明らかになった。
     沖縄タイムスが24日、沖縄県東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設
     関して、和泉氏が民間企業に便宜を働きかけていた証拠となるメモを
     スッパ抜いた》

 《菅義偉官房長官の側近》《“懐刀”》和泉洋人首相補佐官の《便宜供与》《行政の私物化》問題を沖縄タイムスの阿部岳さんらがスクープ。日刊ゲンダイとリテラが報じている程度なのが不思議。トドメのサクラやカジノ汚職など次から次に腐敗が明らかになり、かすんでいるのかな。
 高江破壊…《海外案件は何でも協力する──。つまり、反対する市民らに対抗するのに協力することの見返りに、海外事業で便宜を図ると和泉首相補佐官は約束》…その結果、《Jパワーが石炭火力発電進めるインドネシアへの安倍首相訪問に、和泉補佐官と北村Jパワー会長が同行》。完全な《便宜供与》ではないのですか?

   『●「森友、加計、準強姦事件の3つ…諸悪の根源である
         “主犯”は目の前にいるのだ」=アベ様御夫妻
    《コトの経緯のすべてを知る前川喜平前文科次官は、文科省に
     獣医学部の設置認可を求めて“圧力”をかけていた人物を
     次々と暴露。次官当時、和泉洋人首相補佐官
     〈総理は自分の口から言えないから、私が代わって言う〉と発言…》

   『●主犯A…『A Few Good Men』のように
     ネイサン・R・ジェセップ大佐を証人台に座らせろ!
   『●《これはもう、まさに、私は総理大臣首相も国会議員も辞める
             ということははっきりと申し上げておきたい》
   『●元祖?・有言実行されない大見得・啖呵《報道がそれで
          抑圧される、そんな例があったら私は辞める》
   『●〝前川喜平になるな佐川宣寿になれ〟!?
      「官邸べったり」藤原誠官房長の文科事務次官への昇格人事
   『●《民主主義ならぬ「ご都合主義」国家》…《私人》、《調査・
      研究》自衛隊中東〝派兵〟などデタラメ閣議ケッテェ~を乱発
    《「不倫」は和泉洋人首相補佐官(66)、「反社」は菅官房長官。
     根底にあるのは長期政権のおごりと公私混同で、政権中枢は
     腐り切っている

=====================================================
https://lite-ra.com/2019/12/post-5164.html

不倫報道の安倍首相側近・和泉洋人首相補佐官に便宜供与疑惑! 沖縄・高江ヘリパッド強行めぐり見返りに「なんでも協力するから」
2019.12.25 08:31

     (和泉洋人首相補佐官(首相官邸より))

 本サイトの予告したとおり(1日ずれたが)、本日、自民党の秋元司衆院議員がカジノをめぐる収賄疑惑で東京地検特捜部に逮捕された。また、安倍首相の出身派閥である細田派の白須賀貴樹衆院議員や、勝沼栄明前衆院議員の事務所にも家宅捜索に入っており、疑惑拡大の様相を呈している。事件の本丸は安倍政権が強行したIR、カジノをめぐる汚職であり、秋元議員の参入働きかけの裏には自民党の二階俊博幹事長や菅義偉官房長官らの関係も取り沙汰されている。徹底追及が待たれるが、安倍政権が強行した政策をめぐって、もうひとつ便宜供与疑惑が持ち上がっている。

 公私混同の“不倫出張”疑惑が報じられたばかりの安倍首相の側近・和泉洋人首相補佐官が2016年、沖縄県東村高江の米軍北部訓練場で米軍ヘリパッド建設工事を強行するべく、発電事業を手がける電源開発(J-POWER/以下Jパワー)に対し協力を要請、その見返りとして便宜供与も示唆していたことを24日付の沖縄タイムスがスクープしたのだ。

 まず、ヘリパッド建設工事について振り返ろう。安倍政権は、現役閣僚だった沖縄担当相の島尻安伊子氏がヘリパッド建設に反対を表明していた新人・伊波洋一氏に惨敗した同年7月10日投開票の参院選の翌日、中断していたヘリパッド建設工事を約2年ぶりに再開。住民の数がたったの約150人という小さな集落に対して500人規模の機動隊を投入することを決定し、抗議する市民らを強制排除するという露骨な沖縄いじめを展開した。

 こうしたヘリパッド建設強行のために動いていたのが、和泉首相補佐官だ。和泉首相補佐官は辺野古新基地建設工事などで関係省庁を統括しているが、ヘリパッド建設をめぐっても、2015年に菅義偉官房長官から防衛省の対応について相談された際、「『うち』にはプロがそろっていますから、こっちでやりましょう」と答えたと報じられている(朝日新聞デジタル2019年8月9日付)。うちというのは和泉氏の出身省庁である国交省のことで、〈政府は16年1月、国交省港湾局出身の技官6人を防衛省に異動させた〉という。

 しかし、市民らの決死の抗議行動によって工事は難航。実際、2016年9月26日の所信表明演説で安倍首相がヘリパッド建設工事について「もはや先送りは許されない」と異例の言及をおこなうなど、安倍首相が工事の進捗に焦りをもっていたのはあきらかだった。

 そして、この安倍首相が異例の“宣言”をおこなう少し前の9月14日、和泉首相補佐官はJパワーの北村雅良会長を官邸に呼び出していた。沖縄タイムスによると、Jパワーはヘリパッド建設現場に隣接する国頭村安波で「沖縄やんばる海水揚水発電所」を運営していたが、同年7月に廃止となっており、ここに和泉首相補佐官は目をつけたらしい。沖縄タイムスが入手したという面談の内容が書かれた内部メモでは、和泉首相補佐官は北村会長にこう迫っている。

「本件は、何とか年内、オバマ政権のうちにケリをつけたい」
「米国政府は、日本政府は沖縄関連で何もしていないと見ている」
「本件は、日本政府も汗を流している証拠として、20年間、放置されていた件を動かした」
「しかし、反対派の活動もかなりのもので、あと3か月で完成させるには、JP(編集部注:Jパワー)から建屋、水、燃料タンク等の協力を得たい」

 安倍首相は前述した所信表明演説で「北部訓練場、4000ヘクタールの返還を20年越しで実現させる」「本土復帰後、最大の返還」「ヘリパッドを既存の訓練場内に移設することで実現が可能となる」「結果を出すことで沖縄の未来を切り拓く」などとアピールしていたが、このメモにあるとおり、頭にあったのは沖縄県民のことではなくアメリカにいかに尻尾を振るかということだけだったのだ。しかも、市民らによる反対行動に対抗すべく、民間企業にまで協力を求めていたのである。

 だが、メモの記載を見ると、この面談前にも事務局レベルでこうした要請をおこなったものの、Jパワー側は「中立を守りたい」と断っていたらしい。そのことを踏まえ、和泉首相補佐官はさらにこう畳み掛けるのだ。

「本件は官邸で官房長官直結で私が仕切っており、一省庁の問題ではなく、国の問題。沖縄県も「歓迎」とは言わないが、水面下では本件はやってくれ、となっている。反対は活動家だけ」

 直近の選挙でヘリパッド建設に反対を掲げていた伊波氏が圧勝するなど反対の民意は示されていたというのに、その結果は無視して、首相補佐官が「反対は活動家だけ」と言い張るとは……。いかに安倍官邸がネトウヨ的思考で塗り固められているかがよくわかるが、こうした安倍首相の側近からの説得に対し、北村会長も「国の強い要請と受け止める」「私から社長に協力する方向で話す」と応答。すると、和泉首相補佐官は、こう発言したというのだ。

「ありがたい。下司審議官のラインで相談させる。海外案件は何でも協力しますから

 海外案件は何でも協力する──。つまり、反対する市民らに対抗するのに協力することの見返りに、海外事業で便宜を図ると和泉首相補佐官は約束したのである。ちなみに、「下司審議官」というのは、前述したように和泉首相補佐官が国交省から防衛省に移動させたひとりである下司弘之氏のことだろう。下司氏は2016年1月に国交省大臣官房技術参事官から防衛省大臣官房審議官に移動、2018年に国交省に戻り港湾局長となっている。


■Jパワーが石炭火力発電進めるインドネシアへの安倍首相訪問に、和泉補佐官と北村Jパワー会長が同行

 古巣の手下を使い、その上、民間企業に便宜供与を約束してまで、沖縄県民の反対の民意を踏みにじる……。和泉首相補佐官といえば、加計学園問題でも前川喜平・元文科事務次官を恫喝するなど「全体のシナリオを描いていた人物と指摘され、安倍首相の幼馴染が中心になって進めていた「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録をめぐっても文化審議会の委員から反対派の委員を排除するよう圧力をかけていたことがあきらかになっている(詳しくは既報参照→ https://lite-ra.com/2019/12/post-5138.html)。つまり、安倍首相がこれまでのルールや行政手続きをひっくり返してお友だちに利権を優遇したいとき、安倍首相の代わりに現場に圧力をかけ、ゴリ押しをするのが和泉首相補佐官の役目だったわけだが、対米従属と沖縄への圧政という安倍首相の手段を選ばない政策でもこうして和泉首相補佐官は暗躍していたのだ。

 そして、この和泉首相補佐官の動きによってJ パワーからの協力が得られた。沖縄タイムスの取材に対し、Jパワーは「防衛局から依頼があり、検討した結果、設備の一部の使用を認めた」と回答しているのだ。

 しかも、このとき和泉首相補佐官が「海外案件は何でも協力しますから」と話した約束も、実際に果たされた可能性がある。

 というのも、当時からJパワーはインドネシアのバタンで東南アジア最大規模と言われる石炭火力発電事業プロジェクトを伊藤忠商事などと共同で進め、この事業には2016年6月に日本政府が100%出資する国際協力銀行(JBIC)が20億5200万ドル(約2234億円)の融資を決定。しかし、その一方で、〈建設反対派住民に対して逮捕や脅迫行為、灌漑用水の遮断など、さまざまな妨害が行われているとして住民から指摘〉され(東洋経済オンライン2016年4月4日付)、インドネシアの国家人権委員会が2015年12月に安倍首相と大島理森衆議院議長に対して人権尊重を求める書簡を送るなど、国際的な問題に発展していた。

 つまり、辺野古と同様に市民による抗議運動が起き、人権侵害行為が問題化、石炭火力発電所の建設は難航していたのだが、そんななかでも安倍首相はやはり地元住民の訴えを一顧だにせず、この計画を後押しした。実際、2017年1月に安倍首相は複数の日本企業を引き連れインドネシアを訪問したが、このとき、Jパワーの北村会長も派遣団の一員として同行しているのだ。無論、和泉首相補佐官も一緒だ

 周知のとおり、気候変動対策が喫緊の課題となるなか、二酸化炭素排出量が多い石炭火力発電を自国のみならず他国に輸出し、その事業に多額の資金を投入しているとして日本政府は世界から厳しい批判にさらされている。だが、それだけではなく、インドネシアで人権侵害が指摘される事業を沖縄県民の民意に反したヘリパッド建設工事への協力の見返りとして後押しするということは、二重にも三重にも悪質であると言わざるを得ない。

 この重大な便宜供与疑惑について問われた菅官房長官は、昨日の会見で「関係機関から必要な協力を得た上で、適切に工事を実施した」「結果として、16年12月にその(ヘリパッドの)移設が完了したことから、北部訓練場の約4000ヘクタール、全体の過半の返還が実現をした」などと開き直り、内部メモについては「承知していない」と無視。一方、和泉首相補佐官は沖縄タイムスの取材に対し、「ヘリパッド建設事業は防衛局所管。同局にお問い合わせください」と逃げた

 だが、安倍官邸が主導して沖縄を踏みつけにしたというこの事実は、「知らない」「防衛局に聞け」という無責任な回答で終わるような問題ではない。「桜を見る会」問題同様、年またぎで有耶無耶にさせず、当然、来年1月からの通常国会でも徹底した追及が必要だ。

(編集部)
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない《病的な嘘つき》アベ様…全てのアベ様の「政」のデタラメさ

2017年09月28日 00時00分35秒 | Weblog

[※ 報道特集(2017年7月8日)



前編はコチラ:

   『●大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない
       《病的な嘘つき》アベ様…前川喜平氏の人間性と彼我の差


 リテラの対談記事の後編。【室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第7回ゲスト 前川喜平(後編)/前川喜平・前文科次官が安倍政権の愛国教育、親学を痛烈批判! 室井佑月に立候補を薦められた前川氏の答えは…】(http://lite-ra.com/2017/09/post-3473.html)。

 《その官邸から受けた圧力が具体的に語られ、安倍政権の推し進める戦前回帰政策親学についても前川氏の鋭い批判的分析が飛び出した。さらに、前川氏が貧困問題に向き合うきっかけになった幼少期の体験や、今後、前川氏がどんな活動をしていくつもりなのか、という話題も》。


 前編を読んで、まず感じたことは、大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない病的な嘘つき》アベ様…事務次官としての自分の責任を明言する前川喜平氏の人間性と彼我の差、ということ。《室井  やっぱり人間の品格が違うんだな》、全く同感。
 その後編では、壊憲し、(非)特定秘密保護法戦争法平成の治安維持法、そして、「森友捜査ツブシ」のための我欲選挙…文部行政・教育破壊に係わる、ここで議論されている《戦前回帰政策親学》などなど、全てのアベ様の「政」のデタラメさであり、危険さ。反アベ様政治派・反自公政権派としては、なぜ自公お維トファが支持されるのか、理解に苦しむ。アベ様の関わる全ての事柄がオゾマシイのだけれど…。

   『●「裸の王様」アベ様大好きなニッポン臣民…
      「戦争やりましょうよ! 死の商人へ!」で内閣支持率アップ…
   『●やるべきは「解散・衆院選挙」ではなく、まずは、
         アベ様の大見得・啖呵「議員辞職」の有言実行だ

   『●「森友捜査ツブシ」: 大阪地検特捜部、いま直ぐに動け!  
                 マスコミも、いま「黙秘」してはいけない!!
   『●《推定ウン千万〜1億円弱も払って出した》「ト」な広告…
                出稿側も「ト」なら、掲載側も「報道」の放棄
   『●メディアの仕事を見失い、「自制心と自浄作用を
       失ったマスコミ権力」=「下足番」・読売、広報紙・産経
   『●本来国会を去るべき、「戦争ゲームに興じる子ども」
        「病的な嘘つき」がアジアやニッポン「国民の脅威」
   『●室井佑月さん、「民進党のせいで負けたってこと、
      民進党の人たちだけがわかってないのか?」

==================================================================================
http://lite-ra.com/2017/09/post-3473.html

室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第7回ゲスト 前川喜平(後編)
前川喜平・前文科次官が安倍政権の愛国教育、親学を痛烈批判! 室井佑月に立候補を薦められた前川氏の答えは…
2017.09.24

     (前川喜平氏と室井佑月)

 前川喜平・前文科事務次官をゲストに迎えた室井佑月の連載対談「アベを倒したい」。前編では、加計問題の経緯、安倍政権のお友だち優遇政治と官僚支配のやり口を改めて振り返った後、「加計問題以外に官邸から圧力を受けて教育行政が歪められたと感じたことがありますか」という室井の質問に、前川氏が「あります」と答えたところで終わった。
 後編では、その官邸から受けた圧力が具体的に語られ、安倍政権の推し進める戦前回帰政策親学についても前川氏の鋭い批判的分析が飛び出した。さらに、前川氏が貧困問題に向き合うきっかけになった幼少期の体験や、今後、前川氏がどんな活動をしていくつもりなのか、という話題も。「政治家かコメンテーターになって!」と迫る室井に、前川氏はどう答えたのか。
 安倍政権の問題点と、前川氏の誠実な人柄が伝わってくるこの対談、ぜひ最後まで読んでほしい。
(編集部)

********************

室井 加計学園問題以外にも、圧力を受けて行政が歪められたというのは、具体的にどういう件でのことだったんですか。
前川 いくつかあるんですが、ひとつは文化功労者や文化勲章受章者を選ぶ審議会の委員の人選です。委員を選任するには閣議の了解が必要なので、官邸に相談した。すると審議会の委員候補者を2人差し替えられて。その1人はあきらかな理由がありました。それが「安保法制に反対する学者の会議に入っているから外せ」というものでした。しかし、その人の専門知識が必要だから、委員にしようとしただけです。安保など何も関係ない話なのに、反対の人間は入れるな」なんて言われました

室井 政府の審議委員とか第三者委員とかは、思想チェックがあるとは思ってましたが、やっぱりね。政府や政策に批判的だと入れないんだ。怖い。思想や政策とは関係ない、文化系の専門家なんですよね。政治に関してモノが言えなくなるってことですから、本当に怖い。
前川 もうひとつは、2015年に世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」です。世界遺産への推薦案件は通常、文科省の外局である文化庁の文化審議会で審議するのですが、2013年は審議会で「長崎の教会群とキリスト教関連遺産を推薦」という結論となった。これを押しのけて軍艦島などの「明治産業革命遺産」が出てきたんです。しかし、安倍首相の地元・山口県の松下村塾は八幡製鉄所(福岡県)や軍艦島との関連性はないし、軍艦島は保全措置さえ取られていない。ところが、これを加藤康子さんという女性が中心になって、官邸と一体になって強力に進めたんです。

室井 加藤さんって、亡くなった加藤六月議員の娘で安倍さんの幼馴なじみなんでしょ。それで安倍ちゃんが「俺が(世界遺産登録を)やらせてあげる」と約束しちゃったという。


安倍政権の道徳教育は、戦前の国体思想、教育勅語につながるもの

前川
 そのようですね。内閣官房は文化審議会とは別の有識者会議を設けて「明治日本の産業革命遺産を推薦する」と言ってきた。最後は官邸主導の政治決断となり、「長崎教会群」ではなく「明治産業革命遺産」が選ばれたんです。初めから結論は決まってたんですよね。そのときに官邸で中心になって進めた人物が、和泉さん(洋人・首相補佐官)。そして一緒になって進めた内閣官房参与が木曽(功)さん、文科省で私の先輩なんですけどね。これは官邸が強力に推し進め、あらゆる政治力・外交力を駆使して勝ち取った行政が歪められた、かなり怪しい案件です。

室井 それに抵抗した西村さん(幸夫・日本イコモス委員長)が辞めさせられたんでしょ。それも和泉首相補佐官が「外せ」と圧力をかけて。
前川 詳しいですね(笑)。和泉さんの横やりで、西村さんは文化審議会の委員から外されたんです。「産業革命遺産」を推進したのは、当時の内閣官房の地域活性化統合事務局で、その局長が和泉さんです。世界遺産は、ユネスコの諮問機関であるイコモスが審査するんですが、その審査はかなり厳しいことで知られているんです。富士山を指定するときも、難儀したくらい。明治産業革命遺産は普通に考えるとまだ登録できる状態じゃなかった。それでもかなり強引に推し進めた。和泉さんにとっては、日本イコモスはただの邪魔者だったんでしょう。

室井 理由はお友だち優遇ともうひとつ。“明治”をクローズアップさせ、美化、正当化したい安倍さんの趣味もあったのかな。大日本帝国はよかった、みたいな
前川 そう思います。戦前日本の植民地主義的な膨張主義の根っこは松下村塾にあると言ってもいいし、日本の膨張主義政策を支えたのが産業遺産。それで韓国が大反対した。軍艦島は徴用工が強制労働させられた場所で、それを無視して世界遺産登録するなんて、批判があるのは当然でしょう。

室井 「産業遺産」にしても根っこでは全部つながっていると思います。安倍さんの思想と一致するもの。日本会議が「明治の日」をつくろうとしたり、明治をテーマにした映画なんかを支援すると言ったり、福井国体に「明治150年」と付けようとしたり。それと前川さんの専門だと思うんですけど、安倍政権は道徳教育愛国教育教育勅語の問題など、すごい力を入れてきてるじゃないですか。
前川 教育基本法改正道徳の教科化ですね。もうひとつ大きな問題があります。それが家庭教育の重視です。国民はまだはっきりと問題として認知していないと思いますが、家庭での教育こそが大事なんだという考え。

室井家庭教育支援法案」もありましたね。これまた安倍ちゃんが言い出したみたいですけど、親が国を敬うよう教育しろとか、子育ての喜びを実感しろとか家の教育に介入しようとしている
前川 その背景には日本の復古的な家庭教育、そして親学がある。親学というのは、子どもに問題があるのは「親がしっかりしてないからいけない」という考え方です。しかし、いくら「しっかりしたい」「がんばりたい」と思っていても、余裕のない親はたくさんいる。そういう問題を解決しないで「親がいけないんだ」と親の責任にして押し付ける。結局、それでは貧困や母子家庭であえぐ子どもたちを救うことにならない“親がしっかりすればいい”なんて論理は、つまり社会的なケアなど必要ないと言うのと同じです。しかも親学は、「家族が大事なんだ」という考え方でもある。私は個人主義だから個人が社会の単位だと思っていますが、しかし親学は“家族が社会の単位”という考え方です。個人であることよりも家族の一員、一族の一員であることが大事だという。この家族主義的考え方は、じつは、戦前の国体思想でもある。戦前の教育勅語で示されている考え方です。そして、そのベースには家父長制の家制度があった。そこでは親孝行こそ最大の美徳になる。家族なんだからという理屈ですべてを吸収してしまう。そして日本国は、大きな一つの家族だその本家の本家の総本家が天皇家で、辿れば天照大御神。すべての国民は天照大御神の子孫であり、天皇家の分家の分家の分家だ、みたいなね。こうして「孝」と「忠」が一本につながるこういう家族国家観に基づく教育が安倍さんが進めたい道徳教育なんだろうと思います。


現在の日本社会では、新自由主義と国家主義が補完しあっている

室井
 ってか、家庭のなかのことまで国に命令されたくないよね。親孝行しろとか、虐待したり育児放棄する親にどうして孝行しなくちゃいけないの? 想像力がないんじゃない? しかもいま「2分の1成人式」なんてのもあるし。10歳まで育ててくれてありがとう、なんて親に感謝させる作文を読ませるんですよね。そんなこと強制されるなんて、すごい気持ち悪い。しかも全部家庭でなんて、国民に対する政府の義務放棄でしょ。だから民間やボランティアで「子ども食堂」なんかをやる必要が出てくる。前川さんもボランティアで貧困の子どもたちの学習支援をしてるんですよね。でも、それって本来、政治や行政がやらないといけないはずだとも思います。
前川 そうです。子育ては家庭がするもので、社会的なケアは必要ないという考え方は、弱い家庭は崩壊していい、崩壊した家庭から子どもが放り出されるのは仕方がないと言っているのと同じです。弱肉強食の競争で負けたのは自己責任だという新自由主義的な考え方です。さらに新自由主義と国家主義的なものが補完しあってしまっているのが現在の日本社会です。しかし弱肉強食では格差は広がるばかりですし、人権もないがしろにされるそうした国民の権利を守るためにこそ、政府があるはずなのですが。

室井 新自由主義と愛国心。最悪のコンビですね。子どもや弱者のケアを放棄したら国の仕事って何もないじゃない。でも、文科省はやっぱり弱いですよ。文科省は子どもの教育を管轄する省庁でしょ。それなのに、安倍ちゃんの弱者切り捨てや愛国教育や思想を止められていない。それに教育費も世界レベルで考えて下の下でしょ。子どもやその教育にお金を使っていない。前川さん、これも専門でしょ。たとえばフランスでは子どもをいっぱい産むと税金安くなるじゃないですか。日本もそうそればいいじゃないですか? 育児手当とかもいいけど、3人以上子どもを産めば無税とか。そして大企業と金持ちがきちんと適正に税金を払う
前川 本当にそう思います。先進国のなかで比べても、公財政支出教育費という国と地方の教育に対する支出が最低レベルです。特に高等教育。大学や専門学校に行くのに、個人のお金がかかりすぎる。さらに貧困も進み、税金を納める水準に達してない人も多い。いま、子どもの6人に1人はシングル家庭です。とくに母子家庭の半分の家庭は貧困ラインの下だと言われています。

室井 私もシングルで子育てしましたけど、稼げたのはたまたま運に恵まれてラッキーだっただけ。だから、手っ取り早く大企業から税金を取って、困っている人に回してほしい子どもって国の財産じゃないですか。そこにスポットが当たっていないのはおかしい。政府の役割って、弱者のことを考えることだと思うんです。でも安倍政権がやってることは、それと真逆じゃないですか。
前川 私もそう思います。室井さんのように考える人が増えるといいんだけど、やはり強い人、大企業からはお金を取らなきゃいけない。日本は小さな政府になりすぎているんです。政府に役割を果たさせるためにも税金は取らないと。

室井 いまは大企業は税制で優遇されて、ほとんど税金を払っていない。安倍さんのお友達にはバンバン補助金を出す。企業や富裕層、お友だちだけ優遇っておかしいです一方で弱い人からはむしり取ろうとしているし
前川 政治権力も世の中もお金で動いていますから。お金を持ってる人が政治を動かして、自分たちに都合のいい政治する。メディアも同じ。ですからいま一番必要なのは、所得や富の再配分だと思います。この30年間ずっと、新自由主義的な経済政策、財政政策が続いていて。中曽根さん(康弘・元首相)のころからですね、金持ち優遇は。法人税を下げ、所得税も相続税も最高税率を下げてきた。金融資産を運用して得た所得には低い税率しか適用されない。お金持ちや大企業はどんどん儲かるようになっている。さらにいま、金持ち優遇にほかならないと思っているのが「教育資金一括贈与制度」です。祖父母が孫の教育費を贈与するという、一見もっともらしいものですが、孫1人に1500万円をぽんと無税で贈与できるんです。孫4人なら6000千万円。さらに結婚子育て資金の一括贈与制度もある。これも上限1000千万円。この2つの一括贈与制度を使うと、ひとりの子どもや孫に、2500万円まで贈与税も相続税もなしに財産を分けられる。こんなことができるのはお金持ちしかいないわけで、金持ちの相続税節税対策にフル活用されているんです。

室井 お金持ちの祖父母がいれば潤沢な教育費をもらえるけど、貧乏ならダメってことですよね。ますます格差が広がるし、貧困が世代間で連鎖するという典型じゃないですか! 
前川 その通りです。


恵まれた家庭に育ったことで、生まれながらの格差はおかしいと感じるようになった

室井
 前川さんって、出会い系バー通いは貧困の実地調査で、夜間中学支援も貧困の問題でしょ。日本の最大の問題は貧困の格差だっておっしゃってもいます。私も本当にそう思いますが、いつごろからそんな風に考えるようになったんですか?
前川 この30年間ほどです。それは政府が格差拡大の政策を取り続けてきたことにある。教育に関してもそうです。国立大学の授業料はすごい勢いで高額化してきました。私が東京大学に入った1973年の授業料は1年間で1万2千円で初任給1カ月よりも少ないくらい。その2年後には3倍の3万6000円になり、いまや53万5800円です。かつては、お金はないけれど優秀な人は国立大学に行けた。しかしいまでは、貧困家庭は塾にも行けないなどの環境面からも、なかなか学力向上ができない。私立より国立大学に行っている学生の親の方が金持ちだったりする。教育にお金をかけられる親の子どもたちしか国立に行けない。これは地方の高校にも言えることなんです。地方の公立高校はお金があって学力が高い子が行き、落ちた子が私立に行く。そして私立のほうが授業料は高い。私立に行っている子の親のほうが年収は低い。そういう逆転現象が起きているんです。

室井 わかる。私にも高校2年生の息子がいるけど、その友だちを見ていてもそういう傾向はあります。でも、前川さんは官僚トップの事務次官まで登りつめたエリートなのに、なぜそんなに弱者に寄り添う、まっとうな考え方になったんですか?
前川 それは幼少期の体験にあるかもしれない。私の生まれは奈良県のど田舎の秋津村(現・御所市)というところなんですが、そこの地主の家だったんです。よく覚えているエピソードがあって。小学1年生1学期の成績が、体育以外全部5だった。そうしたら、私のばあさんが校長のところにねじ込んでね。「なんで体育が4やねん!」と。すると2学期から、体育が5になっちゃった。秋津村での一強体制です。しかもばあさんは同級生が私を「きへいちゃん」って呼んでいるのを聞いて、その親に「おまえの息子はけしからん。きへいちゃんって馴れ馴れしい。ぼんぼんって言わせろ」と怒ってね。でも子ども心に「これはおかしい」と思いましたよ。ばあさんの行動に対して批判的な目を向けていたんですね。周囲には被差別もたくさんありますから、その人たちが不当に扱われているのも目の当たりにして。そういう社会構造の矛盾みたいなものを、小さいときから感じていました。それって、おかしいなと。子ども同士で喧嘩しているのに、親が謝りにきたりね。生まれたときから小さい世界だけど、カーストの上だった。生まれながらの格差はおかしい。そんな感覚が小さいときからありました。どうもその辺から目覚めていったんでしょうね。

室井 同じような恵まれた環境にいても、安倍さんとは全然発想が違う! 安倍さんはちっちゃいころから自分が特別な人間だと勘違いしてたのに、前川さんは逆に社会構造の矛盾に気がついたわけでしょう。やっぱり人間の品格が違うんだな。その違いって、話しぶりにも出てますよね。安倍さんなんて、自分に都合の悪い質問されたら、すぐ逆ギレするけど、前川さんはどんなに意地悪なことを言われても冷静に毅然と答える。国会で話しているのを見て、こんなにちゃんとした受け答えをする大人がいるんだ、と感心したもの。同じように思った人は多いはずです。露出すればするほど、どんどん好感度が高まってファンが増えてますよ。
前川 それは怖い。イメージと実態は違いますからね(笑)。私はこんなふうに“時の人”と言われるようになるとも思わなかったし、等身大で事実を発言しただけです。英雄のように見られたり、偶像化されるのは困ります。「あの人は立派な人だ」と偶像化されちゃうと、その後に「偽善者だ」とか、「エッチなことをしている」とか、また出てくるかもしれないし(笑)。

室井 前川さんは会った人から嫌われないでしょうね。あったかい感じがするもん。嫌いだって言ってる人って、高橋洋一さん、八幡和郎さん、岸博幸さんとか、安倍応援団か国家戦略特区の利権に関係している人たちばかりですもんね。


室井「前川さん、報ステのコメンテーターやって!」前川「官邸から番組に…」

室井
 それはそうと、前川さんってこれからどうするんですか?
前川 いまは週2回ほど夜間中学でボランティアをやっていて、高校生の学習支援もやってましたが今はお休みしてて、そのくらいです。今後のことはあまり考えてないんです。何しようかな。

室井 政治家になったらどうです? あたし、絶対に応援しますよ。
前川 それだけは無理です。自分の名前を連呼するなんて、そんなバカなこと……。室井さんこそ、やったらいいじゃない。

室井 私、不倫とかなんとも思わない女ですよ。リーダーにも向いてないし。いま日本に必要な政治家って、みんなの前できちんと頭下げて謝って納得させる正直で上品な人だと思う。それ、前川さんでしょ。人徳もあるし。前川さんのためにどれだけ熱い涙を流した男が多かったか。寺脇研(元文部省官僚で前川氏の先輩)さんなんて、テレビで前川問題の解説しながら涙目になってましたよ。
前川 あくびしたんじゃないですか? 前の夜に飲み過ぎたとかで(笑)。とにかくいまは世間が私の“顔”を忘れてほしいし、早く匿名のなかに紛れ込みたい。

室井 じゃあ、コメンテーターがいいんじゃないですか? いま、教育や文科省関連のコメンテーターといえば、寺脇さんしかいないし。前川さんもテレビコメンテーターやればいいのに。落ち着いているし信頼感もあるし、声も素敵です。個人的には『報道ステーション』に出てほしい。
前川 寺脇さんも、いろいろと心配してくれてるんだけど、コメンテーターなんてとてもとても(苦笑)。『報ステ』に出たら、きっと官邸あたりから番組に強い風当たりがあるでしょうし。

室井 2〜3回出て突然いなくなって「圧力か?」なんて大騒ぎになるもの面白いかも。
前川 でも、ラジオはいいですよね。顔が出ないから。じつは室井さんとご一緒させていただいた『大竹まこと ゴールデンラジオ』も、最初はどうしようかと躊躇していたんです。言わなくてもいいことまで言って、舌禍事件を起こすんじゃないかと心配で。でも、寺脇さんもその前に出ていたんでしょ? 「前川さんにも出てくれって言ってるよ」と言われて。この対談をお受けしたのも毒を食らわば皿まで、という感じですかね。あっ、いや、別に室井さんが毒だと言っているんじゃないですよ。

室井 毒でいいんです。毒でもこうやって出てくれたんだから。今度、寺脇さんも誘って作戦、練りましょう!

(編集部)
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする