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●前川喜平さん《本来は自由で自律的でなければならない分野にまで政治支配が及ぼうとしている…新聞やテレビ…教育、文化や学問…》

2021年01月24日 00時00分01秒 | Weblog

[※ ↑【夕食会5年間900万円分の領収書破棄か 安倍前首相の政治団体宛てに発行<桜を見る会問題>】(東京新聞 2020年11月26日)]


 (2021年01月03日[日])
マガジン9のインタビュー記事【伊藤塾 明日の法律家講座レポート/憲法と教育〜1947年教育基本法から安倍・菅政権まで〜講師:前川喜平氏】(https://maga9.jp/201223-5/)。

 《7年8ヶ月続いた安倍政権から菅政権へと続く官邸一強体制は、本来自由であるべきメディア、文化、学問、そして教育の分野にも影響を及ぼしています。憲法と教育をめぐる問題について、また、これからの日本の政治教育がどうあるべきかについて、元文部科学事務次官の前川喜平氏にお話しいただきました》

   『●小田嶋隆さん《行政の担当者としてのあたりまえの習慣を、
     安倍晋三氏とその追随者たちは…この8年の間に完膚なきまでに破壊》
   『●息吐く様にウソをつく《稀代の“嘘つき総理”》による7年8カ月に
      及ぶ《憲政史上最悪と名高い安倍政権》…漸く「前夜祭」の真相が
   『●息吐く様にウソをつくアベ様の政の下、この7年8カ月で社会は
     どんどんと壊れていった。さらにスカスカオジサンにも《ビジョンはない》…
   『●《No1 募っているが募集しているという認識ではなかった …
     No39 私が言っている方がおかしいと思う方、手を挙げてください》
   『●【中村敦夫/…嘘もひどいが答弁拒否は度が過ぎている】《Go Toの
      正体は、オトモダチで税金をむさぼり、衆院選挙の準備へGo!》?

 息吐く様にウソをつくアベ様の政の下、この7年8カ月で社会はどんどんと壊れていった。スカスカオジサンにも《この国の未来を見据えたビジョンはない》。
 教育においても、「教育再生」「教育改革」という名の教育破壊。「子育て支援など社会保障の充実を据える1億総活躍社会」の推進」・「子育ての党」を詐称する与党・自公。癒着党・お維もハタやウタの推進が大好きだ。「教育再生」という名の下で、教育破壊してきた皆さんに投票し、支持している「1/4」の皆さんや、投票に行かないことで間接的に自公お維を支持しておられる「2/4」の皆さんの気が知れません。
 この教育破壊までも、無《責任政党》総裁・スカスカオジサンも《継承》するつもりでしょうかね?

   『●「日本教育再生機構大阪」という「教育破壊」つながり… 
         「安倍首相を中心とする異様な翼賛と癒着の構造」
   『●ハタやウタを強制し内心をかき乱す…「良心か職か」、
       そんな冷たき「強制の発想」を支持する最「低」裁
   『●「教育再生」という名の教育破壊…「子どもから変えていこう
                  という動きは実に悪賢い」(小澤俊夫さん)
    「教科書検定や「ト」な歴史教科書の採択強要 ハタやウタの強制
     道徳の教科化(文科省道徳教育教材『わたしたちの道徳』)、
     教育勅語の復活、古くは忠魂碑訴訟現代の教育破壊は着実に
     進む…。大変に憂慮すべき現状なニッポンの教育環境」
    「《戦争屋》のアベ様らには、侵略戦争への反省も無く、壊憲して再び
     「戦争のできる国」へ…、《自分たちの加害をはっきり残し
     『もう絶対にやらないと世界に約束している》ドイツと彼我の差。
     そして今、「教育再生」という名の教育破壊が進む。札束で頬を
     打つように、最高学府の研究・教育にまで侵食」

   『●「教育再生」という名の教育破壊…《二つの流れには共通する
         底流があるように思う。要は「安上がり」なのではないか。》
   『●【NNNドキュメント カネのない宇宙人 信州 閉鎖危機に揺れる
     天文台】…《「経済的利益」を重視する国の政策によって…資金》大幅減
    「2005年から運営費交付金を年1%削減し続ける文科省。人件費が
     どんどんと削られ、研究者が減らされていく。文系どころか、理系に
     対しても未来に投資しない国。一方、巨額の軍事研究費で研究者の
     良心を釣る。おカネ儲けのことしか考えていない独裁者・アベ様ら。
     この国ニッポンの科学の未来はトンデモなく暗い…。」

 アベ様やカースーオジサンによって、如何にニッポンは壊されていったかのか? 《本来は自由で自律的でなければならない分野にまで政治支配が及ぼうとしている》(前川喜平さん)。

   『●偶然は通用しない、アベ様のオトモダチ獣医学部開設…
      前川喜平さん「規制緩和ではない。特権の付与です」
   『●大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない
       《病的な嘘つき》アベ様…前川喜平氏の人間性と彼我の差
   『●前川喜平前文科次官、「本来、できてはいけないものが
             完成した。見たくないものを見たという感じだ」
   『●前川喜平さん授業…検閲と恫喝、《意に沿わない人物は潰す――。
                 …安倍政権のやり口は、まさに恐怖政治》
   『●隗より始めよ: 「この国をガタガタにし、
      支持率3割は取れる」高プロとして、「自分らができてから…」
   『●霞が関: 「佐川になるな前川になれ」…
      《佐川のような官僚ばかりだったら絶望するしかないだろう》
    「日刊ゲンダイの佐高信さんによる書評【週末オススメ本ミシュラン/
     「面従腹背前川喜平著/毎日新聞出版】…。《落語家の立川談四楼が
     ツイッターで、いま霞が関では<佐川(宣寿前国税庁長官)になるな
     前川になれ>が合言葉になっているとつぶやいたらしい。
     もちろん皮肉である。/…佐川のような官僚ばかりだったら
     絶望するしかないだろう》」

   『●〝前川喜平になるな佐川宣寿になれ〟!?
       「官邸べったり」藤原誠官房長の文科事務次官への昇格人事
   『●「しなやかな反骨」をテーマに東京新聞のシリーズ対談:
      城南信金顧問・吉原毅さん×元文科次官・前川喜平さん
   『●前川喜平さん《社会全体が子どもたちを支えられるように、子どもたちに
        税金を使う仕組みを作らなければいけない》…逆行するアベ様政権

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https://maga9.jp/201223-5/

伊藤塾 明日の法律家講座レポート
憲法と教育〜1947年教育基本法から安倍・菅政権まで〜講師前川喜平
By マガジン9編集部 2020年12月23日

7年8ヶ月続いた安倍政権から菅政権へと続く官邸一強体制は、本来自由であるべきメディア、文化、学問、そして教育の分野にも影響を及ぼしています。憲法と教育をめぐる問題について、また、これからの日本の政治教育がどうあるべきかについて、元文部科学事務次官の前川喜平氏にお話しいただきました。[2020年11月28日@渋谷本校]
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官邸一強体制による政治支配の広がり

 安倍政権が7年8ヶ月続いて退陣し、いま菅政権になって3ヶ月です。この安倍・菅政権の大きな特徴は、官邸が非常に強い政治権力を握っていることです。「官邸一強」体制という状況です。強い権力は続けば必ず腐敗すると言われますが、そういう状況が現に起こっていると私は思っております。

 たとえば安倍政権時代には、憲法9条のもとでは集団的自衛権は認められないという見解を持っていた内閣法制局長官をクビにして、その代わりに集団的自衛権は認められると解釈する人を据え、解釈改憲を断行しました。また、菅政権になってからは、極めて高い独立性と自律性を持った国家機関である日本学術会議にまで政治支配を及ぼそうとしています。

 この官邸一強体制が国家機構の中での三権分立の仕組みまで壊してきています。それだけではなく、国家権力の外にあって、本来は自由で自律的でなければならない分野にまで政治支配が及ぼうとしているのです。その一つはメディア、新聞やテレビですね。それから教育、文化や学問といったところにまで政治の支配が及ぼうとしていて、非常に危ない状況があると思います。

 本日の講演は「憲法と教育」というタイトルですけれども、教育との関係でも危ないことが起きているというお話をさせていただこうと思っております。


教育基本法と日本国憲法

 今から73年前の1947年、教育基本法戦前の日本の教育に対する深い反省のもとに作られました。戦前の日本教育は、国の言うことをなんでも信じ込んでしまう子どもたちを育ててしまった。そうではなく、一人ひとりがちゃんと自分で考えて行動できる、そんな健全な市民を育てよう――こういう考え方で教育基本法ができたわけです。現在ではこの教育基本法は「改正」されていますが、ここでは改正前の法のことを単に「教育基本法」と呼んでお話ししていきます。

 この教育基本法はGHQが日本に押し付けたものだと言う人がいるのですが、当時、戦後の教育の在り方を考える学者たちを集めた教育刷新委員会と文部省との間で、非常に緻密な協議を行った上で作られた法律なんです。当時の文部省では、文部大臣、次官や局長もみんな学者でした。そして教育刷新委員会も学者や教育者で作られていた委員会でした。少なくとも、この教育基本法を作ったメンバーの中に、いわゆる「政治家」はいないんです。

 そして、内容を議論する上で、日本国憲法との関係が非常に強く意識されていました。このことは、教育基本法の前文に非常にはっきりと記されております。

 〈われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである

 憲法の理想にある民主主義や平和、こういうものを実現するためには教育の力が必要だということを言っていたわけです。逆に言うと、戦前のような全体主義軍国主義のような教育に戻ってはいかんという、戦前の教育に対する痛切な反省がここにはあります。日本国憲法の一番大切な価値は「個を尊重する」ということです。一人ひとりの人間をかけがえのない存在として尊重する。教育基本法は、この根本に立ってつくられたのです。


自分で考えて行動できる独立した精神を育てる

 教育基本法は、その第一条で「教育の目的」を打ち出しています。教育の目的には2つあり、第一は「人格の完成」です。人間にとって一番大事なものは何かといえば、私は自由だと思います。つまり自由で独立した人格を持った人間、その人格の完成というのが第一の目的です。そして第二の目的は「平和的な国家及び社会の形成者として」の国民の育成です。これら2つの目的が相まって、民主主義の担い手を育てるということになるわけです。

 つまり自分で考えて行動できる独立した人格と精神を持った自由な人間が、まず存在しなければいけない。この教育基本法の中に出てくる「形成者」という言葉が非常に大切で、最初から国家や社会が存在しているのではなく、国家や社会は我々が作り上げていくものなのです。こういう思想がこの「形成者」という言葉の中に含まれているのです。

 一方、あらかじめ国が存在しているというのが戦前の考え方でした。神武天皇から始まる国体というのがあって、日本人は世界に冠たる国体を持つ日本という国に生まれた宿命を持つという考え方です。教育勅語もそういう考え方に基づいていたのですが、教育基本法では、まず人間がいて、その人間が社会や国家を作る。「市民社会の担い手である自由な市民を育てる」ことが目的だといえます。


天皇制と家制度による戦前の教育方針

 ところが、この教育基本法を制定当初から快く思わない人たちがいました。それは主に教育勅語との関係からです。1890年に作られた教育勅語は、その後五十数年の間、日本の教育を支配したわけです。特に最後の1930年代以降は、教育勅語がファナティック(狂信的)なカルト教団の教義みたいになってしまいました

 実は、教育勅語そのものは、戦後に教育基本法ができた後もしばらく残っていました。教育基本法が制定されたのは1947年3月ですが、翌年1948年6月になってから、教育勅語をこのままにしてはいけないと衆院参院それぞれで決議を行っています。衆議院の決議では、これは憲法に違反する文書であるから排除すると宣言しました。参議院では、教育基本法ができたので教育勅語は失効したという確認をしました。これで教育勅語の命は絶たれたと思われていたのですが、復活させたいと思う人、教育勅語に代わる国民道徳が必要だと考える人が結構いたわけです。

 たとえば、1950年代に文部大臣だった天野貞祐さんという人は、「国民実践要領」という教育勅語に代わる国定道徳というものを作ろうとしました。あるいは1966年に中央教育審議会から「期待される人間像」という答申が出されました。これもある意味、「国が国民の道徳を作る」という試みでした。国民実践要領にしても、「期待される人間像」にしても、最終的には「天皇に対する敬愛の念を持て」というものだったんです。最後に天皇が出てくるあたりが戦前とつながっているわけですね。

 天皇については、日本国憲法第1条に〈日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く〉とあります。国民の道徳として「天皇を敬いなさい」と設定することは、私はこの憲法の規定を逸脱すると思います。しかし、それが戦後も言われてきたわけです。

 もともと教育勅語では、「忠」と「孝」が道徳の柱です。「忠」というのは天皇に対して忠誠心を持てというもの。「孝」というのは家の中でお父様に対して忠誠心を持てというものです。つまり大日本帝国における天皇への忠誠心と、家制度のもとでの家長である父親への忠誠心というのは、一本でつながっている。国は大きな家であり、大きな家のお父様に当たるのが天皇である。そして、国は個人ではなく家を単位とし、家の集合体として作られている。その家長が父親であり、家というものは男系で継がれていくという考え方です。これは天皇が縦の男系家系で相続していくのと相似を成すものです。

 忠と孝というのは一本でつながっていて、「天皇に対する敬愛の念を持て」ということを国民の道徳として定義しようとする動きがずっとあったのです。


「主体的に学ぶ」という視点と学問の自由

 この教育勅語を復活させようとする時に、壁となるのが教育基本法でした。それで、教育基本法の改正をすべきだという議論がありました。教育基本法改正を最初に本気で目論んだ内閣総理大臣が中曽根康弘さんです。教育基本法の改正というのは、最終的には憲法改正につながり、その前段階といった位置付けで考えられていました。

 中曽根さんが書いた回顧録を読むと、日本国憲法について非常に悪し様に言っています。特に個人を大事にするというところに反対だったわけです。国家あってこその個人だと。彼は、こういう非常に強い国家主義の方向で教育基本法の改正を目指しました。

 ところが、中曽根さん主導のもとで1984年に設置された臨時教育審議会自体は、その方向に行きませんでした。臨時教育審議会には幅広い方たちが参加していました。必ずしも中曽根さんと同じような考え方の人ばかりではなかった。そこが今と違うんですね。安倍さんが閣議決定で設置した教育再生実行会議の委員は、全部「お友達」なんですよ自分と同じようなことを考えてる人しか集めていない。中曽根さんの偉いところは、ちゃんと法律で審議機関を作って、自分と意見の違う人も入れたところです。そこで侃侃諤諤と議論をして、結局は中曽根さんの意に反して個人を重視する方向の改革を打ち出したわけです。

 臨時教育審議会が打ち出した3つの視点のうち、第一が個性重視の原則でした。これは個人の尊厳を基礎にする考え方で、日本国憲法の立場と一緒です。さらに第二の視点が、生涯学習です。それまでの学校中心教育ではなく、生涯を前提とした教育システムに変えていこうというものでした。「生涯教育」と言わずに「生涯学習」としたところに非常に大事な意味があります。教育という言葉は学ぶ人が客体になるわけですが、学習というのは学習者が主体、学ぶ人が主語になります。しかも、その学習というのは、時も場所も選びません。いつでもどこでも、学校の中でも外でも、幸福追求のためには生涯を通じて学び続けることが大事だという考え方です。学習者が主体的に学ぶことが大事なのです。

 この視点は、「学問の自由」と一体を成すものだと私は思っています。憲法第23条に〈学問の自由は、これを保障する〉とありますが、学問の自由というのは基本的人権であるから、学者だけではなくすべての人が学問の自由を持っている。臨時教育審議会が打ち出した個性重視や生涯学習という理念は、学問の自由に含まれるものだとも言えるでしょう。

 この臨時教育審議会に基づくと、学校教育も知識を詰め込むのが目的ではなく、自分で学ぶ力をつけることが大切だということになります。自ら学び、自ら考える力こそが本当の学力だという風に、学力の定義が変わっていくわけです。日本の学校教育の問題点は、学校にいる間に知識をたくさん詰め込むのだけれども、学校を出たらそれが不要になってしまうところにある。「自ら学ぶ力」を見つけることができれば、学校の外でも自ら学んでいけます主体的な学びこそが本当の学びだということなんです


2006年の教育基本法改正で何が変わったか

 教育基本法改正を、正式に政治課題にあげようとしたのは森喜朗内閣です。2000年12月に教育改革国民会議の報告の中で、教育基本法の改正や道徳の教科化を打ち出しました。これまで正式の教科ではなかった道徳を、教科にして成績をつけるという提言を出したわけです。

 その森さんの後を継いだ小泉純一郎内閣で、教育基本法改正のための中央教育審議会の答申がまとめられました。その結果として、2006年の第一次安倍内閣のときに教育基本法の改正が行われたわけです。この改正教育基本法には、「道徳心を培う」とか「公共の精神」、「学校生活を営む上で必要な規律を重んじる」など、教育勅語を復活させたい、戦前に戻りたいという傾向を持った人たちが好むような言葉が、かなりちりばめられたことは確かです。なんと言っても「我が国と郷土を愛する」態度を養う、といった愛国心教育が教育の目標に掲げられました。

 一方で、1947年の教育基本法が持っていた大事な部分は「かろうじて残った」と言っていいと思います。たとえば「日本国憲法の精神に則り」というのはそのまま残っています。また「個人の尊厳」や「学問の自由を尊重」するという言葉も残っています。それからもう一つ非常に大事な言葉として「教育は、不当な支配に服することなく」というのも残っています。「不当な支配というのは、政治によって教育の自律性・主体性を歪められるということです。

 1947年に最初の教育基本法が制定された時は、まだ国会がありませんでした。帝国議会でできたのです。帝国議会の審議の中で「不当な支配」の主体は何かと問われ、当時の文部省は政治家や官僚だと答えています。要するに権力を握っているものが一番危ないと言っているわけです。

 ただ、もともとの教育基本法では、〈(教育行政) 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである〉という文言でした。この「直接」というのが非常に大事だったわけです。間接民主制ではなく、教える者、学ぶ者の直接性を大事にするということです。

 しかし、改正法では「国民全体に対し直接に責任を負つて」という部分は削除されて、代わりに〈この法律及び他の法律の定めるところにより〉という言葉が加えられました。つまり、法律の根拠さえあれば、いくらでも政治が教育に介入できるかのような条文になってしまっています


学習指導要領も教科書検定も「学問の自由」に則るべき

 文部科学省の教育現場に対する関与というのは、教育内容に関しては大きく2つあります。その1つは「学習指導要領」という法的拘束力がある規範を作り、これに従って指導・授業をしなさいというものです。もう1つは教科書使用義務です。文科省の検定を受けた教科書の使用義務を学校に課しています。この2つには、それぞれ法律の根拠もありますが、だからといって文部科学大臣が自分に都合のいいように関与していいわけではありません。

 今の政権にいる人たちの中には、明らかな歴史修正主義者がたくさんいます。たとえば南京虐殺事件はなかったと言ったり、従軍慰安婦の問題をあれはただの商売だったと言ったり、沖縄戦におけるいわゆる集団自決は軍の強制ではなかったと言ったり……。こういう考えを持った人がたくさんいるわけです。これは歴史学という学問からすると否定される考え方です。学問という世界に立脚するかぎり、このような歴史教育をするわけにはいきません

 学校で教える教科の背景には、何千年にもわたって蓄積してきた学問や文化の体系があります。学問や文化というものは、人間の自由な精神が生み出してきた遺産です。学問の自由、思想の自由、表現の自由といったものの積み重ねの上に、学問や文化があって、その上に学校の教科があるのです。そのことを無視して捻じ曲げて教えることは許されないわけです。それは「不当な支配」であって、いかに法律上、学習指導要項を定める権限が文部科学大臣にあるからと言って、学問の世界で検証された事実と異なることを教えることはできないはずです。つまり学習指導要領に関しても、教科書検定に関しても、全て学問の自由に則っていなくてはいけないのです。


自由権、社会権、参政権の側面をもつ「学習権」

 憲法には、第26条に「教育を受ける権利」は出てきますが、「学習権」という言葉は出てきません。教育を受ける権利というのは社会権です。自由権として「学びたいことを学ぶ権利」というのは、むしろ第23条の「学問の自由」に根拠を求めた方がいいと私は思います。第13条の幸福追求権(包括的基本権)に根拠を求めることも可能だと思います。もともと学習権という人権は、複合的な権利だと私は考えていて、自由権としての側面と社会権としての側面、そして参政権という側面も持っていると思っています。

 社会権としての学習権は、第26条にはっきりと明示されています。〈ひとしく教育を受ける権利〉と「ひとしく」という言葉が入ってきます。これを「教育の機会均等」と言いますが、この「ひとしく」という言葉の意味するところは、憲法14条の「法の下の平等」というだけではないんですね。憲法14条は、〈人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、〉差別されないと言っているんですが、「教育を受ける権利」における平等性というものは、それに留まらず経済的地位による差別も禁じています。

 現在の教育基本法の第4条〈すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない〉を憲法第14条と照らし合わせると分かるのですが、教育基本法の第4条にだけ「経済的地位」という言葉が入っています。経済的な地位により教育を受ける機会を差別されることは許さないという思想が「ひとしく」という中に入っているんです。しかし、これは実現されておりません。経済的な理由で進学を諦めるという人たちは今でもたくさんいます。それをなくしていくのが国の責任であり義務ですが、まだ果たしていないというわけですね。奨学金制度などが少しずつ進んできてはいますが、全く不十分です。

 そして、憲法第26条の第2項には〈すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする〉とありますが、私は立憲主義の考え方からすれば、憲法に国民の義務の規定はいらないと思っています。この「普通教育を受けさせる義務」というのは、国民ではなく、むしろ国が義務を負うという形で書き直した方がいい。私なりにこの憲法第26条2項の改正草案を考えるなら、〈国はすべての人に無償の普通教育の機会を与える義務を負う〉としたらいいと思います。

 「義務教育」という言葉をやめて「無償普通教育」とし、その権利を保障するのが国の義務だという風に書き換えると、その無償普通教育の権利を保障されていない人たちが実は世の中にたくさんいるということが分かります。それは、国が十分な責任を果たしていないということです。

 そして学習権は参政権でもあります。学ぶことは政治に参加することに不可欠の営みです。知る権利というものが、主権者が主権者たるために必要なのは間違いありませんが、知るだけでは賢明な主権者にはなれません学ぶことが参政権を実質化するのです


日本の政治教育の問題点

 最後に、主権者として政治に参加するために必要な政治教育について話します。2015年10月に、選挙権年齢や国民投票権年齢が18歳以上に引き下げられることに対応して、文部科学省が「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」という通知を出しています。この通知で、「現実の具体的な政治的事象」を授業として取り上げなさいとあります。これは文部科学省としては良いことを言っているなと思いました。

 しかし、一方で「教員は個人的な主義主張を述べることは避け、公正かつ中立な立場で生徒を指導すること」「学校の内外を問わず……不用意に地位を利用した結果とならないようにすること」とも言っているんですね。これは教師を過度に萎縮させるものです。

 たとえばドイツの政治教育における考え方は、教師は自分の考えを述べてもいいけれど、その反対の考え方もちゃんと生徒に伝えて、生徒自身に考えさせなさいというものです。日本の考え方は、教師が右と言ったら生徒が右を向いてしまう、左と言ったら左を向いてしまうような影響力を教師は持っているから、そういうことを言うなと言うものです。

 この文科省の通知の決定的な問題点は、生徒が批判的精神を持っていないとしている点です。生徒というのは、教師の言うことを鵜呑みにしてしまうような存在だという前提に立っているんです。そこが根本的に間違っています。

 生徒自身が自分自身で考えることが大事なのですから、そういう生徒を育てるために「先生はこう思っているが、君たちは君たちで考えなさい。先生を批判するのは自由だ」と教えるべきなんですね。日本の学校での政治教育が不十分なのは、過度な政治的中立性を求めているからではないかと思います。

 学校という「部分社会」において、教師は権力側にいるんだという考え方をする人がいますが、生徒には教育を受ける権利や学習権があります。小学生であっても学問の自由は保障されている。そういう認識をもつことが、主体的な教育の場をつくるために、とても大事なことだと思います。


                *

奈良県出身。1973年、東京大学文科一類入学。法学部へ進学し、故芦部信喜氏に憲法を学ぶ 。1979年、文部省(現・文部科学省)に入省。初等中等教育局教職員課長、大臣官房総括審議官、官房長などを経て、2016年に文部科学事務次官。2017年に退官。現在は、日本大学文理学部教育学科講師 (非常勤)。現代教育行政研究会代表。自主夜間中学のスタッフとしても活動する。著書に『面従腹背』、『官僚の本分』(柳澤協二氏との共著)など多数。
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●「しなやかな反骨」をテーマに東京新聞のシリーズ対談: 城南信金顧問・吉原毅さん×元文科次官・前川喜平さん

2019年08月07日 00時00分51秒 | Weblog


城南信金顧問・吉原毅さん×元文科次官・前川喜平さんによる、東京新聞のシリーズ対談4回。
【<親友対談 しなやかな反骨>(1) 城南信金顧問・吉原毅さん×元文科次官・前川喜平さん】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/CK2019073002000118.html)、
【<親友対談 しなやかな反骨>(2) 元文科次官・前川喜平さん×城南信金顧問・吉原毅さん】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/CK2019073102000144.html)、
【<親友対談 しなやかな反骨>(3) 元文科次官・前川喜平さん×城南信金顧問・吉原毅さん】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201908/CK2019080102000124.html)、
【<親友対談 しなやかな反骨>(4) 元文科次官・前川喜平さん×城南信金顧問・吉原毅さん】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201908/CK2019080202000128.html)。

 《二人は麻布中・高校(東京)の同級生で、ともにラグビー部で汗を流した親友だ。強い者に負けない志の根っこはどこにあるのか。「しなやかな反骨」をテーマに存分に語り合ってもらった》。
 《どんな組織が好ましいのか。元文部科学次官の前川喜平さんと城南信金顧問の吉原毅(よしわらつよし)さんの対談は「理想の組織」論に入った》。
 《個人と対立しがちな組織の論理。その中で人はどう生きたらいいのか。対談は佳境に入っていく》。
 《二人は、麻布中学・高校の同級生で、ともにラグビー部で過ごした仲間。「しなやかな反骨」の根っこは「麻布のDNA」だ》。

 小泉純一郎氏を持ち上げすぎな点が気に入りませんが、城南信金顧問・吉原毅さんと元文科次官・前川喜平さんの楽しい対談。

 反核発電、反アベ様等々、ぶれないお二人の《面従腹背》な《反骨》。

   『●マガイ物ではないモノもある ~城南信金~
   『●財界の総理大臣はもはや大企業の単なる代弁者
   『●経団連は原発推進・復活の第4案を希望?
   『●脱原発は可能: ビジョンある金融機関(城南信金)のトップもいる
   『●城南信金の吉原毅理事長が退任・・・
      脱原発という、「理事長交代後も考え方は引き継がれ」て欲しい
   『●警察や消費者庁の沈黙…「商取引の原則」を無視して、 
            なぜ核発電料金を支払わなければならないのか?
   『●「原子力ムラの言いなり」原子力「寄生」委員会の救い様の無さと、
                        アベ様の「危険な丸投げ・無責任体制」
   『●東電核発電人災から7年: 「村の生活は百年余りにわたり、
                 人生そのもの」…「やっぱりここにいたいべ」
   『●中西宏明経団連会長《再稼働が進まない要因を、 
      原発と原爆を同一視する地域住民の理解不足と決めつけ》?
   『●核発電「麻薬」中毒患者・中西宏明経団連会長自ら、
        ニッポンは《民主国家ではない》ことを立証して見せた

   『●偶然は通用しない、アベ様のオトモダチ獣医学部開設…
      前川喜平さん「規制緩和ではない。特権の付与です」
   『●大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない
       《病的な嘘つき》アベ様…前川喜平氏の人間性と彼我の差
   『●前川喜平前文科次官、「本来、できてはいけないものが
             完成した。見たくないものを見たという感じだ」
   『●前川喜平さん授業…検閲と恫喝、《意に沿わない人物は潰す――。
                       …安倍政権のやり口は、まさに恐怖政治》
   『●隗より始めよ: 「この国をガタガタにし、
      支持率3割は取れる」高プロとして、「自分らができてから…」
   『●霞が関: 「佐川になるな前川になれ」…
      《佐川のような官僚ばかりだったら絶望するしかないだろう》
    「日刊ゲンダイの佐高信さんによる書評【週末オススメ本ミシュラン/
     「面従腹背前川喜平著/毎日新聞出版】…。《落語家の立川談四楼が
     ツイッターで、いま霞が関では<佐川(宣寿前国税庁長官)になるな
     前川になれ>が合言葉になっているとつぶやいたらしい。
     もちろん皮肉である。/…佐川のような官僚ばかりだったら
     絶望するしかないだろう》」

   『●〝前川喜平になるな佐川宣寿になれ〟!?
       「官邸べったり」藤原誠官房長の文科事務次官への昇格人事

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/CK2019073002000118.html

<親友対談 しなやかな反骨>(1) 城南信金顧問・吉原毅さん×元文科次官・前川喜平さん
2019年7月30日 朝刊

 加計学園の大学獣医学部設立認可をめぐり「行政がゆがめられた」と証言した元文部科学次官の前川喜平さん(64)と、経営トップでありながら脱原発の旗を掲げた城南信用金庫顧問の吉原毅(よしわらつよし)さん(64)。二人は麻布中・高校(東京)の同級生で、ともにラグビー部で汗を流した親友だ。強い者に負けない志の根っこはどこにあるのか。「しなやかな反骨」をテーマに存分に語り合ってもらった。 (四回シリーズでお伝えします)

吉原 文科省の課長当時、「奇兵隊、前へ!」というブログがあったよね。官僚なのにこんなこと書いていいのって思いました。

前川 確かに突出した行動ではあった。二〇〇五~〇六年ごろかな、小泉純一郎内閣の看板政策の三位一体の改革で、国から地方に税源移譲し、地方の財政の自主性を高めるという話になった。そのために国から地方への補助・負担金を減らす。そこで三兆円ある義務教育費国庫負担金がなくなりそうになった。それでは子供たちが困ると思って、反対だと言って回ったんです。地方の財政力にかかわらず、教育の機会均等を保障するためのお金です。

吉原 ブログは一般の方も見られるものですし、勇気がいりますよね。

前川 月刊誌に名前を出して書いたりしましたしね。はっきり言ってクビが飛んでもいいと思いました。

吉原 組織の上の方が白旗揚げて、ほかの人は静観する中で孤軍奮闘して…。

前川 いや、孤軍でもないのよ。課長仲間や下の連中は、すごく応援していた。素晴らしい改革のように見せようとしていたけど、小泉純一郎内閣の目玉として総務省が作り上げた話。地方公共団体はだまされたと言ってもいい。だから文科省と総務省とでドンパチやってたんです。

吉原 文科省の当時の上司の了解は? 

前川 上司の初等中等教育局長は、青年将校みたいなのが暴れるのを黙認していたって感じ。次官や官房長は、ほとんど白旗を揚げてました。次官のところに行ったら「この制度は廃止でしょうがないだろう」って。負け戦と思っている人もいるし、ぎりぎりまで頑張ろうという人もいた。最後の最後、助けてくれたのは与謝野馨さん(当時、自民党政調会長)。文科省の土俵で議論させてやるって、仕切ってくれた。
 その代わり中央教育審議会に、総務官僚が握っている知事・市長・町村会推薦の首長が三人入った。われわれも三人の首長に一本釣りで来てもらった。その一人が当時の鳥取県知事の片山善博さん。三位一体改革の本質を見抜いてるから、良い意見を言ってくださった。
 そのときにカウンターパートで、当時の総務省の自治財政局調整課長だったのが務台(むたい)俊介さん(現衆院議員)。中教審の会議の後、道端である女性の委員をつかまえて、いかに文科省が間違っているかと言ってるわけですよ。僕も入っていって、そうじゃないんですよと言ったら「前川さん、そんなこと言ってたらクビが飛ぶよ」と。それでブログに「クビが飛んでも構わない」と書いた。そのくらいの気持ちでした。結局、制度は守るが、負担率を二分の一から三分の一に下げることで決着をみた。

吉原 なんで文科省(旧文部省)に入ったの? 使命感を持って入ったと思うけど、誰の影響なんですか。

前川 人間の精神的な活動を広げていくっていうか、人の心の豊かさを大きくしていくっていうか。

吉原 人間教育とか、人間の魂とか、子供たちを育てたいっていう気持ちの人は文科省に入る。

前川 そういう人が多い。僕の場合はやりたい仕事のところに配置してもらえたけど、そんなに幸せでもないのよ。初等中等教育の仕事は確かにさせてもらえてよかったんだけど、それ以外の仕事も多くて。

吉原 もちろんそうでしょうね。

前川 多かったのは、政治家相手の仕事。秘書官で与謝野(馨)さんみたいな大臣と一緒に仕事をするのは楽しかったけど、理不尽なことで怒り狂っている政治家のところに行ってなだめるとか、何で怒っているか分からないけどとにかく謝るとか、そんなことばっかりやってました。国会の委員会で野党から追及されるよりも自民党の部会で攻撃されるほうがしんどいですよ。本当に言いたい放題言われますからね。

吉原 組織の中で仕事をする中で、自分が情熱をかけている初等教育、中等教育の話とは別のものがいっぱいある。それでもう嫌だという人もいるけど、本当にやりたいことがあるから頑張って、初志を貫くと。

前川 それはあるよね。義務教育費の時は、案外楽しかった。だけど防衛戦ですからね、仕掛けられた闘いをやってる感じ。その中で思ったのは、この機会に制度を見直して良い制度にすること。三位一体の改革は、義務教育費国庫負担制度(*)を良い方向に、地方の自由度を高める方向に変えるきっかけになった。外圧が改革のきっかけになることはありますよね。

吉原 厳しい状況の中で、上は支持しない、あるいは上はもう闘いを放棄してるところで、上がどうであろうとみんなの思いを結集して情熱と信念を持って、組織をまとめて。言われて動く組織じゃなくて自分が組織を組織化し、みんなのチームをつくり理想を実現していく。それをやった人だったってことです。なかなか組織人として難しいことだと思うんです。言われたことやってないと干されるし、クビにされるぞと脅かされるわけだし、その中で頑張る人って、なかなかいないと思います。

前川 安倍政権では(官僚は)なかなか言えない。小泉政権は思いっきり議論ができる政権だった。最後は小泉さんの鶴の一声で決まるけれども、そこに至るまでの間に思いっきり言いたい放題言える。僕も一見、三位一体改革という看板政策にたてついてるとんでもないヤツなんだけど。

吉原 当時は、組織が生きていた。今は全然違って、政府の上から言われたことを全部やらないとダメっていう絶対服従みたいなことをやる。小泉さんは、僕も付き合いあるから言うけども、決めたらドーンとやるけども、その前に必ず意見を言わせるんですよ。
 僕がびっくりしたのは、今原発反対をやってるんだけども、小泉先生は違う意見を聞くんですよ。僕らなんかが「あんなの頭きちゃいますよね」って言うと、そんなことない、民主主義なんだからいろんな意見があっていい、違う意見があってはじめて民主主義ってのは成り立つんだと。懐がでかいなと思ったんです。たぶん小泉政権は「万機公論に決す」で、最後は政治決着だというところがあった。今はいきなり結論ありきで、とにかく黙って従えと。この度量の狭さは、政府だけじゃなくて、現代社会に、いろんな企業も含めて組織体の共通の社会病理みたいになっている。これについてはどうですか。

前川 安倍政権的な組織体質が、日本中に広がっちゃってるんじゃないかっていう気はしてるよね。

吉原 力で勝負とか、問答無用とかね。言論しない、言論に重きを置かないでいきなり結論がある。別に安倍さんの悪口を言ってるわけじゃなくて、世の中全体がそうなってるのはどうしてだろう。不思議です。

前川 僕は安倍さんの悪口言ってるんだけど。

吉原 この場ではあんまり言わないほうがいいんじゃないか(笑)。

前川 やっぱり、そういう忖度(そんたく)が蔓延(まんえん)してますよ。


 * 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、小・中学校など義務教育の学校の教職員給与の3分の1を国が負担する制度。以前は2分の1負担だった。

<まえかわ・きへい> 1955年、奈良県生まれ。東京大卒。79年、旧文部省(現文部科学省)に入り大臣秘書官、官房長、初等中等教育局長などを経て、2016年、文部科学次官。天下りあっせん問題の責任を取って退官後、夜間中学スタッフ、大学講師などとして活動。著書に「面従腹背」、共著に「これからの日本、これからの教育」など。

<よしわら・つよし> 1955年、東京都生まれ。慶応大卒。77年、城南信金に入り、企画部、副理事長などを経て2010年、理事長。15年、顧問。17年から麻布学園理事長。東日本大震災後、同信金の脱原発宣言を主導。小泉純一郎元首相らと活動を続ける。著書に「幸せになる金融」「原発ゼロで日本経済は再生する」など。

(対談は六月二十六日、東京都千代田区の東京新聞で行われた)
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/CK2019073102000144.html

<親友対談 しなやかな反骨>(2) 元文科次官・前川喜平さん×城南信金顧問・吉原毅さん
2019年7月31日 朝刊

     (理想的な組織のあり方などについて意見を交わす吉原毅さん(左)と
       前川喜平さん=東京都千代田区の東京新聞で)

 どんな組織が好ましいのか。元文部科学次官の前川喜平さんと城南信金顧問の吉原毅(よしわらつよし)さんの対談は「理想の組織」論に入った。

吉原 今の政府の人たちが心配です。安倍(晋三)さんが絶対的な権限を持っていて、総理が言えば何でも通っちゃう。でも安倍さんが逆の立場になると、自分が徹底的にやられるわけです。そういう組織は、非常に不安定です。「正しい」「間違っている」よりも力を取ったら勝ち。それで本当にいいのかと。

前川 多様性が失われている。いろんな意見があっていいんだ、存念を述べよ、みたいなところがなくなってきて。

吉原 それに対して前川さんは警鐘を鳴らしている。正しいことは正しい、あるものをなかったとは言えないと言う。素朴な言い方だけど、勇気がある人だと思って喝采しました。

前川 意を決して告発したなんていうことじゃなかったんだけどね。この文書を見たことありますかって言うから、ありますよって。加計学園問題(*1)に関しては、内部文書を表に出した職員が、今も文科省に複数人いるわけです。彼らの方がずっと僕より勇気がありますよ。

吉原 世界中が上意下達の方向に行っている気がします。時代なんですかね。

前川 国際政治も一国主義がはびこっている、リーダーが強い力を持って。プーチン(*2)だ習近平(しゅうきんぺい)(*3)だ、トランプ(*4)だ、エルドアン(*5)だと。城南信金の「クーデター」の話をしてよ。

吉原 会社も政府も一つの政治システムだと思うんです。目的は定款に書かれている。憲法みたいなものです。人々を幸せにしたいなどと書いてあり、金もうけが目的ではない。それが外国資本が増えて、成果主義とトップダウンの傾向が強まった。新自由主義です。でも、成果主義で人を人と思わずに多様性を否定すると、組織は生きない。(よい企業は)相互コミュニケーションが利いている。自由な言論があって、英知を集めて最善の道を探る。
 フラットな分権型にするのは、経営学の世界では主流になった。ところが、いまだに威張り散らして、間違った考え方を押しつける人たちが上にいる。
 これでは力を結集できないし、お客さまにちゃんとサービスを提供できない。だったらトップに代わってもらうしかないよねと。給料は保証するから権力からは外れて、という極めて穏当な「クーデター」でした。

前川 城南信金の新理事長となった吉原さんは、自らの給料を支店長平均より低い千二百万円に下げた。

吉原 千二百万円でも随分いただいていますけど。世の中がおかしくなったのは、大会社の社長がめちゃくちゃな報酬を取るようになってから。国会議員もお金をいっぱいもらうようになってから劣化した。
 小原鐡五郎(てつごろう)(*6)という、信用金庫法を作って業界を率いてきたリーダーに数年間お仕えした。その方が「吉原くん、お金は麻薬だ。持っていると人間は身を持ち崩す。適正なお金を使うことが大事。それをお勧めして、指導するのが信用金庫の仕事だ。貸すも親切、貸さぬも親切」と言った。身を持ち崩さないようにお金を使うのが大事。

前川 すごいよね。お金を扱う仕事の中にいて、お金に溺れないという哲学を持つのが。そういう話、小泉さん(純一郎元首相)とはするの?

吉原 小泉さんもお金にこだわらない清廉潔白で純粋な人ですよ。自民党って自由に民主的に話ができた政党で、けんかしたり仲良くしたりして、個性あふれる先生方が自由闊達(かったつ)に議論していた。今や一枚岩でどうしちゃったのと。

前川 首相問責決議案への三原じゅん子さん(参院議員)の反対討論を聞くと、ひと言彼女が話すたび、与党席から「そうだ!」と。

吉原 もはや自民党は、全体主義政党になってしまった。悲しい。自民党ファンとしては(かつての自民党が)復活してほしい。

前川 国民政党と言えたのは多様性があったから。宇都宮徳馬(*7)、野中広務(*8)のような人もいた。派閥は政策集団でもあったからカラーが違った。その多様性が消え、本当の保守主義でなくなった。

吉原 小泉先生は一生懸命に原発反対運動をしているけど、私は自民党です、と必ず言うんです。党の多様性を復活させようと努力している。いろんな意見を取り入れる幅広さがないと、政治も経営も社会も閉塞(へいそく)する。最大の懸念です。

前川 霞が関も全体主義になった。もともと「司(つかさ)」という言葉があって、それぞれの分野については自信と誇りと責任感を持ってやっていた。その司の責任感や独立性がほとんど失われ、官邸が肥大化して、官邸官僚といわれる人たちが総理や官房長官をガチッと固めてしまった。どの分野の政策も官邸が決めている。

吉原 現場には五感を通じて情報が集まってくるが、中央には数字のみ。数字じゃ骨しか入らない。血や肉や魂になる情報は入ってこない。でも上はアメとムチで脅かす。「良い暮らしをしたいだろう。良い地位につきたいだろう。従わないヤツは全部クビだ」と。これでは、うまくいくわけがない。危機感を覚えます。


<親友対談 しなやかな反骨>(1)

*1 安倍晋三首相の長年の友人が経営する学校法人「加計学園」が、獣医学部を新設する国家戦略特区の事業者に唯一選ばれた際、「首相案件」として官邸側が特別の便宜を図ったのではないかとされた疑惑。

*2 ロシア大統領。

*3 中国国家主席。

*4 米大統領。

*5 トルコ大統領。

*6 城南信金元理事長。元全国信用金庫協会長。1899~1989年。

*7 元衆院・参院議員。月刊誌「軍縮問題資料」創刊者。1906~2000年。

*8 元衆院議員。官房長官、自民党幹事長などを歴任。戦争反対を訴えた。1925~2018年。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201908/CK2019080102000124.html

<親友対談 しなやかな反骨>(3) 元文科次官・前川喜平さん×城南信金顧問・吉原毅さん
2019年8月1日 朝刊

     (「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」創設の記者会見をする
      吉原毅さん(左)と元首相の小泉純一郎さん=東京都品川区で)

 個人と対立しがちな組織の論理。その中で人はどう生きたらいいのか。対談は佳境に入っていく。

吉原 しょうがないから歯車になるという選択肢もあるかもしれないが、それでは面白くない。前川さんも歯車のふりをしながら、変えなきゃという思いも持っていたわけでしょ。

前川 ヨットは逆風でも前に進む。役人の立場から言うと、風に相当するのが政治の力。政治の力が正面から吹いている時、かいくぐりながら前に進む。
 沖縄・八重山の教科書採択問題がそうでした。中学の公民の教科書の採択で石垣市、与那国町、竹富町の三自治体の教育委員会が、同じ教科書を共同採択しないといけない縛りがあったが、意見が割れた。石垣市と与那国町が育鵬社、竹富町は東京書籍。東京書籍は基地問題の記述が充実し、育鵬社は領土問題をちゃんと書いていた。その時、担当の初等中等局長だった僕は無理やりは良くないと思うが、やれと言われて、竹富町に育鵬社の教科書を採択するよう地方自治法に基づく是正要求をした。面従腹背の腹背の部分では無理筋と思っていました。
 ちょうどそのころ教科書無償措置法改正案を作り、そこに共同採択地区を分けることができる仕組みを忍ばせたんです。沖縄県と竹富町の教育長とは裏で話して、法案が通ったら独立の採択地区にできるから踏ん張ってくださいと。県の教育長は半年粘った。二〇一四年に法律が通って、円満に採択地区から分離して採択できるようになった。

吉原 素晴らしいですね。そういう話聞くと、ちゃんとした考えの人が組織のあちこちにいることで、組織が正しい方向でできると思う。トップダウン組織は、トップが狂うと暴走する。自立分散型ネットワーク型組織がいい。それぞれが考えて連携しながらやっていけば、穏当で最適で正しい解決方法につながる。考えてくれる人を大事にするのが良い組織です。

前川 それぞれの組織の中のポジションに、一定の自由度や裁量はある。それぞれの頭で考えれば、組織もうまく回っていく。

     (加計学園問題をめぐり記者会見する前川喜平さん。
      「あったものをなかったことにできない」と証言した=東京・霞が関で)

吉原 みんなが考えていく組織、そういう組織人にならないと。面白くないから辞表を突きつけて辞めちゃうというのは、一見かっこいいようだけど負け。なんとか踏みとどまって、正しい組織運営のために努力しなきゃ。前川さんの言っている面従腹背が正しい組織人としてのあり方だ。

前川 そうだけど、かなり面従ばっかりしていた気もしますよ。今はメディアがねえ。東京新聞は何でも言える社風があるようだけれど、メディアが歯切れ悪くなり、権力に忖度(そんたく)する状況が出てくれば、国全体がおかしくなってしまう。

吉原 うちの会社は五権分立でやっている。台湾は五権分立。司法・立法・行政の三権分立だけでは、バランスを保てない。行政に当たる執行、国会に当たる取締役会あるいは株主総会、それらを統合する内部管理がある。さらに人事権を独立させ、外部監査を付けて監査役が監視する。この五権をしっかりやれば、均衡ある組織運営ができる。

前川 日本国憲法の中にも会計検査院という独立の組織がある。憲法上の組織ではないが、人事院もある。この会計検査院と人事院の地位が低下している。

吉原 国会が組織を作ればいい。例えば原発事故の時の事故調査委員会。政府から独立した指揮命令系統で動かすことで、議論の余地を作ることが大切です。

前川 六年半かけて、中央省庁の幹部を官邸の言うことを聞く人間ばっかりにしたから、下のレベルまで忖度感情の分厚い層ができちゃっている。それをちゃんと自分で考える人間に入れ替えていくのは、かなり時間がかかると思います。

吉原 ところで道徳の復権が叫ばれていますけど、道徳教育を押しつけちゃダメだと前川さんは言う。じゃあどうしたらいいのか。

前川 基本は自分の命を大切にすること、自分らしい生き方を大切にする自主性を持つこと。自分が大切だと思わなければ、人を大切に思わない。今の道徳教育が目指すのは滅私奉公で、自分を犠牲にしなさい、自分を抑えて全体の役に立つ人間になれという方向性を持っているが、危ない。全体のために抑圧された人間は、今度はより弱い人間を抑圧する連鎖が起こる。昔の軍隊みたいに。
 今の道徳教育をやっていくと、若い人はむしろ逃避する方向に行くと思う。ここ数年、実は不登校が増えている。どうやら学校が息苦しい場所に戻ってしまっている。いったん校則が緩まったけど、また厳しくなった。改正教育基本法第六条に「規律を重んじる」って条項が入って、後押しになった。規律を守れ、自分を抑えて全体に奉仕せよという、上からの道徳です。

吉原 権力を握っている人の了見が狭いって言うか。なんとかしなくちゃって思い、品川区(東京)と一緒にこども食堂を開いた。

前川 こども食堂とか夜間中学に出入りしていると、地域の力って捨てたもんじゃないと思います。お金にならないけど、それを喜んでやっている。労力で協力する人もいれば、お金で協力する人もいる。品川区のこども食堂は、ふるさと納税を使って支援している。返礼品じゃなくて、子供たちの喜びがお返しです。

連載<親友対談 しなやかな反骨>(1)前川さん「三位一体改革に反対 クビ飛んでもいい」 吉原さん「官僚なのにこんなブログ書いていいの」 
連載<親友対談 しなやかな反骨>(2)吉原さん「多様性が組織生かす」 前川さん「いろんな意見大切」
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201908/CK2019080202000128.html

<親友対談 しなやかな反骨>(4) 元文科次官・前川喜平さん×城南信金顧問・吉原毅さん
2019年8月2日 朝刊

     (若き前川喜平さん(右)と吉原毅さん(左)。英国駐在中の前川さんを
      吉原さんがビジネススクールの卒業旅行で訪ねた=吉原さん提供)

 二人は、麻布中学・高校の同級生で、ともにラグビー部で過ごした仲間。「しなやかな反骨」の根っこは「麻布のDNA」だ。

前川 僕は奈良の田舎の出身。小三で東京に引っ越したけど、東京の子供のリズムについていけず、不登校になった。六年になったころ急に親が麻布中学を受験してみたらと言うので、バタバタと勉強した。

吉原 僕は、もともと大田区の蒲田の梅農家です。蒲田は梅の名所で、梅を集めて作ったのが梅屋敷。麻布学園は、城南地区出身が多い。近所の兄ちゃんとかがいて親しみがある。

前川 弁当は休み時間に食べちゃう。売店で毎日、あんパンを買って食べた。中一か中二のころついたあだ名が、あんパンだぬき。

吉原 育ち盛りだからね。購買所のパンで足りなくて外で焼きそばを食べたり、一日五食ぐらい。中三でラグビー部に入った。青春と言えばラグビーという時代。あこがれますよね。

前川 僕は中二から。しばらく部活をせずにボーッとしてましたけど、授業で麻布ボールっていう麻布独自の球技をやって、その発展上にラグビーがあった。

吉原 前川さんとは体格が同じぐらいだったから「君たちはフォワードのロックね」と言われて…。

前川 スクラムの二列目です。プロップというでっかいのが二人、真ん中に足でボールをとるフッカー。その三人のお尻の間から頭を入れて押すのがロック。

吉原 展開するバックスがヒーローで、フォワードは裏方。裏方でも前の三人がかっこいいけど、後ろになると全然目立たない。

前川 勝った記憶がほとんどない。ラグビー部をつくって最初の練習試合に選んでくれた学校には勝った。

吉原 前川さんは寡黙なイメージ。テレビで見て、こんなにしゃべるのかと思った。当時は深い言葉をぼそっと言うような感じで。

前川 少しずつ外交的になってきた。中学、高校はおとなしい少年だった。

吉原 前川さんはいつも体操服。男子校って、バンカラでオッケー。共学校だと女性を意識するけど、みんなバンカラで気楽だった。

前川 吉原さんは紅顔の美少年。もう一人吉原がいてきれいな吉原と、そうでない吉原と言われていた。

吉原 「ラグビーは男のスポーツ」、この一言でなかなかやめられなくて。試合では、体格のいい選手が突っ込んでくる。左右を見ると、おまえが守るしかないと目でサインしてくる。しょうがないから、真っ正面で膝から太ももあたりを目がけてタックルする。目をつぶって。止めることはできた。勇気というほどではないけど、自己犠牲。

前川 ラグビーで身に付けたものは、何だろう。負け続けても続ける粘り強さが面従腹背につながっているのかも。麻布中高で過ごした六年は、貴重な時間だったのは間違いない。僕らの時代は紛争の真っ最中。その中で人間形成をしたのは得難い経験だった。

吉原 校長室を友達が占拠したことも。早熟な先輩たちが建国記念日制定の年、反対のデモをしたいという話から紛争になった。建国記念日は戦前回帰の動きだろうとあおって。われわれは遠巻きに見ていた。

前川 僕はノンポリ。今だったらデモに参加しているかもしれないけど。
 高校生のとき、音楽の先生が、きょうは君たちと話し合いたいと言って朗読したのが、宮沢賢治(*1)の「生徒諸君に寄せる」という詩。「本気になって取り組めば、未来が開けてくる」というメッセージをくださった。読むと、未来に向かって生きていこうという気になる。あれは、僕のその後の人生をけっこう決めている。人間には何げない一瞬がものすごく大事なことがある。僕の場合は、音楽の先生の賢治の詩。

吉原 高二の文化祭の時、機動隊が学内に入り、仲間が蹴飛ばされた。次に放水が来る。ここで逃げるわけにはいかない。ラグビー精神ですよ。ワン・フォー・オール。迷ったときは傍観者はだめ。そういうことはラグビーから学んだ。

前川 「いちご白書」(*2)の世界みたい。僕は校庭の端っこでフォークダンスをしていた。女の子と手をつなぐチャンスで。傍観者にもなっていない。
 ぼんやりした夢は、小説家か物理学者。宮沢賢治を読んでいると、宇宙がたくさん作品に出てくる。宇宙を知りたい気持ちと、人間の世界に入っていきたいという気持ち。仏教の本を読んでいたから、仏教を通じて真理に迫りたいとも。国家公務員になりたいなんて全然考えてなかった。

吉原 ラグビー部でもプラトンとか仏教の本を読む友達がいて、いろいろ個性を持っていた。旧制高校ほどデカンショ(*3)してたか分からないけれども。いろんな人たちがいるのが麻布の面白さ。目先の損得を考えるんじゃなくて、理想とか理念とか、そういったものに関心を持ってる人が多かった。最近ラグビー部の友達に会ったら、言うんだ。「麻布は結局、倫理の学校だよな」って。 =おわり

<親友対談 しなやかな反骨>(1)前川さん「三位一体改革に反対 クビ飛んでもいい」 吉原さん「官僚なのにこんなブログ書いていいの」 
<親友対談 しなやかな反骨>(2)吉原さん「多様性が組織生かす」 前川さん「いろんな意見大切」
<親友対談 しなやかな反骨>(3)吉原さん「辞めてしまうのは負け」 前川さん「ヨットは逆風でも進む」

*1 詩人、童話作家。1896~1933年。

*2 米コロンビア大の学生運動を描いた米作家ジェームズ・クネンのノンフィクション。1970年に映画化された。

*3 デカルト、カント、ショーペンハウアーの三人の哲学者の名前を合わせた呼び名。



https://youtu.be/JAzRZSvdWoo
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コメント
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●〝前川喜平になるな佐川宣寿になれ〟!? 「官邸べったり」藤原誠官房長の文科事務次官への昇格人事

2018年10月23日 00時00分49秒 | Weblog

[『学校が教えないほんとうの政治の話』(斎藤美奈子著、ちくまプリマ―新書257)↑]



リテラの記事【「面従腹背やめよう」宣言の藤原文科事務次官は官邸べったり! 安倍首相と一緒に加計学園式典出席、前川喜平に“口封じ”画策】(https://lite-ra.com/2018/10/post-4320.html)。

 《戸谷一夫・前事務次官の後任にとして、藤原誠官房長を抜擢する人事…「面従腹背はやめましょう」…ようするに、藤原事務次官は就任早々、あてこすりのように“反・前川”を打ち出したのである》。

   『●霞が関: 「佐川になるな前川になれ」…
      《佐川のような官僚ばかりだったら絶望するしかないだろう》
    「日刊ゲンダイの佐高信さんによる書評【週末オススメ本ミシュラン/
     「面従腹背前川喜平著/毎日新聞出版】…。《落語家の立川談四楼が
     ツイッターで、いま霞が関では<佐川(宣寿前国税庁長官)になるな
     前川になれ>が合言葉になっているとつぶやいたらしい。
     もちろん皮肉である。/…佐川のような官僚ばかりだったら
     絶望するしかないだろう》」

 日刊ゲンダイの記事【また“官邸のご意向”…加計問題のキーマンが文科次官に就任】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/239678)にも、《新たな事務次官に、「加計問題」でも名前が挙がった藤原誠官房長の昇格人事を発表した。ロコツな官邸人事ともっぱらだ。実際、職員向けの就任挨拶で早速、藤原新次官は、政権批判を繰り返す前川喜平元次官の著書「面従腹背」を念頭に、「『面従腹背はやめようと皮肉たっぷりに言い放っている》。《しかも、藤原氏は、なんと加計学園とも“接点”をもっている》…そんなゲスな人が文科省の事務次官。

 「前川喜平になるな佐川宣寿になれ」ってこと!?  つまり、《政権・官邸の意向に服従しろ》。文部科学省内で《安倍首相が力を入れる教育の国家主義化、愛国主義化の強化》してくれそうな、《官邸べったり》《官邸のイエスマン》藤原誠官房長の文科事務次官への昇格人事。こんな好き勝手な人事、《ロコツな官邸人事》で各省がズタズタに…。
 それでも少しはましな「人物」ならまだしもね…。下足番紙にデマをリークした官邸の意を受け、《和泉洋人首相補佐官の代理人として前川氏を黙らせるために暗躍》。それに、続・大惨事アベ様内閣の文科相がアレですものねぇ。

 「面従腹背」な前川喜平さん、自身ではヒーローでもなんでもないと言います。その謙虚な姿や言説を見ても、アベ様や新事務次官氏は足元にも及ばない。彼我の差。

   『●偶然は通用しない、アベ様のオトモダチ獣医学部開設…
      前川喜平さん「規制緩和ではない。特権の付与です」
   『●大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない
       《病的な嘘つき》アベ様…前川喜平氏の人間性と彼我の差
   『●前川喜平前文科次官、「本来、できてはいけないものが
             完成した。見たくないものを見たという感じだ」
   『●前川喜平さん授業…検閲と恫喝、《意に沿わない人物は潰す――。
                       …安倍政権のやり口は、まさに恐怖政治》
   『●隗より始めよ: 「この国をガタガタにし、
      支持率3割は取れる」高プロとして、「自分らができてから…」

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https://lite-ra.com/2018/10/post-4320.html

「面従腹背やめよう」宣言の藤原文科事務次官は官邸べったり! 安倍首相と一緒に加計学園式典出席、前川喜平に“口封じ”画策
2018.10.19

     (藤原氏の事務次官抜擢で物議を醸す文科省(公式HP))

 文科省の汚職接待事件で今年9月に辞職した戸谷一夫・前事務次官の後任にとして、藤原誠官房長を抜擢する人事が16日に決定したが、この人事がいま物議を醸している

 まず、藤原事務次官は人事が閣議で決まった同日におこなわれた職員向けの就任挨拶で、「議論すべき時はきちんと意見を言っていただき、組織が決めたことには従う決めた後、議論のプロセスをむやみに外に流さない」(朝日新聞デジタル16日付)ことを求めた上で、こう述べたのだ。

   「面従腹背はやめましょう

 「面従腹背」といえば、前川喜平・元事務次官が「座右の銘」として挙げ、今年6月に同名タイトルの著書を発売したばかり。ようするに、藤原事務次官は就任早々、あてこすりのように“反・前川”を打ち出したのである。

 そもそも、藤原事務次官は「議論のプロセスをむやみに外に流すな」と言うが、これもあきらかに加計学園問題で文科省から「政府のご意向」文書をはじめとする内部文書が流出したことを指しているのはあきらか。決定にいたるプロセスを国民に積極的に情報公開せずして政府の説明責任は果たされないが、それを事務方トップの次官自らが公然と締め付けるとは……。

 しかも、この藤原氏の事務次官抜擢が注目を集めている理由は、もうひとつある。じつは、藤原事務次官は前川氏の出会い系バー通い報道に直接かかわっていた人物だからだ。

 ご存じの通り、総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っていること文書が飛び出た昨年5月、前川氏の実名告発の動きがあるなかで、読売新聞は同月22日付で「前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中、平日夜」と報道。本サイトでも繰り返し伝えてきたが、これは官邸が、前川氏の告発を潰す目的で読売にリークして書かせたものだ。

 そして、読売に記事が出る前日、前川氏に揺さぶりをかけたのが、当時、初等中等教育局長の藤原氏だった。前川氏はインタビューでこのように話している。

   「21日に和泉補佐官からのアプローチもあった。文科省の藤原誠
    初等中等教育局長からのショートメールだった。(自分の携帯から
    着信記録を示して)これです。『和泉さんから話を聞きたいと言われたら、
    対応される意向はありますか?』。それに対しては、
    『ちょっと考えさせて』と返信した」
   「和泉さんが私の口を封じたかったのではないか、と思っている。
    ちょうど私が加計関係の文科省内部文書について、メディアの取材を
    受け始めた時だ。前川がしゃべっているとの情報が伝わったのではないか」
    (「サンデー毎日」2017年12月10日号/毎日新聞出版)

 和泉洋人首相補佐官の代理人として前川氏を黙らせるために暗躍した、そんな人物が今回、事務次官に抜擢されたというわけなのだ。

 しかも、藤原氏は、なんと加計学園とも“接点”をもっている

 安倍首相が「どんなときも心の奥でつながっている友人、私と加計さんもまさに腹心の友だ」と挨拶したことで有名な2014年に千葉科学大学でおこなわれた開学10周年の記念式典。当時、大臣官房審議官だった藤原氏は、この記念式典に来賓として出席し、加計孝太郎理事長や安倍首相らとともに鏡開きまで一緒におこなっていたのだ。

 官邸との接点が次々ともち上がる、藤原事務次官。実際、今回の人事について、文科省関係者は「完全に官邸の意向に沿ったもの」だと話す。


■安倍政権の極右教育政策を推進、前川氏授業圧力事件にも関与

   「藤原氏は官邸ベッタリで、なかでも和泉首相秘書官の手下のように
    動いてきた人物。藤原氏は2016年に天下り問題で減給処分を受けて
    いるが、翌年の人事では過去に就いたことのある官房長に出戻るという
    異例の処遇がおこなわれた。このときも、官邸が加計問題の対応のために
    パイプ役として官房長に戻したのではないかといわれていた。だいたい、
    本来ならば、藤原氏より入省が1年早い小松親次郎・審議官
    (初等中等教育局長事務取扱に異動)が事務次官になるのが順当だったが、
    小松氏は藤原氏とは対照的に官邸と距離を取ってきた。小松氏でなく
    藤原氏のほうを事務次官に引き上げたのは、
    官邸の強い意向がはたらいた結果でしょう」

 官邸のイエスマンを事務次官に昇格させることで文科省を掌握する──。その目的には、もちろん加計問題での引き締めもあるが、それ以上に大きいのは、安倍首相が力を入れる教育の国家主義化愛国主義化の強化だ。

 そして、藤原事務次官は、安倍政権による教育の右傾化を官邸の意に沿って粛々と押し進めてきた人物でもある。

 たとえば、昨年3月、小学校1年生の道徳教科書の検定において、文科省が「扱いが不適切」「指導要領にある『我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着をもつ』という点が足りない」などと修正指示を出した結果、「パン屋」を「和菓子屋」などに差し替えていたこと発覚したが、この所管は初等中等教育局であり、藤原氏が同局長を務めていた間の出来事だ。

 また、今年3月、前川・元次官の授業に自民党の赤池誠章議員らが圧力をかけた一件でも、赤池議員らから指示され、名古屋市教育委員会に恫喝質問状を送るなど対応したのも、当時官房長だった藤原氏だ。

 第4次安倍改造内閣で文科大臣に起用された柴山昌彦氏は、就任会見で、教育勅語について普遍性をもっている部分が見て取れる」「(教育勅語の『同胞を大切に』の部分など)基本的な記載内容について現代的にアレンジして教えていこうと検討する動きがあると聞いており、検討に値するなどと発言、具体的に“教育勅語の復活”を唱えてみせた。──このような大臣の登用もさることながら、事務次官に藤原氏を抜擢したことは、軍国主義的イデオロギーや愛国心、歴史修正などを教育に反映させていこうという安倍首相の方針の表れでもあるはずだ。

 藤原事務次官が「面従腹背をやめろ」と文科省職員に命じた言葉は、実際のところ、「政権・官邸の意向に服従しろ」と言っているにすぎない。この調子では、第2の加計問題がいつ起こっても不思議ではないが、安倍首相による“偏向教育”の動きにもさらなる注視が必要だろう。

(編集部)
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●忖度・改竄・隠蔽から得られた教訓…経産省の《政治家発言の記録は残すな》という、その発想の大胆な転換

2018年09月05日 00時00分36秒 | Weblog

[※ 《#ケチって火炎瓶 》「#選挙妨害を暴力団に発注した方は、素直に挙手願います!東京新聞2018年8月27日)↑]



東京新聞の社説【経産省の公文書 国民に目隠しの発想だ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018090302000177.html)。

 《「政治家発言の記録は残すな」-経済産業省が公文書管理でこう指示していた。驚くべき事態だ政策の意思決定過程を不透明にするやり方は、法の理念を骨抜きにし国民に目隠しするのと同義だ。「三月に上司から『今後は発言を一切記録に残すな』と指示された」「今後は他省庁との会合や政治家など偉い人の前では一切メモを取らないように」とも》。

 あの行政府の長の下、超テキトー主義ですな。誰も、「歴史」を検証しようがないのね。
 東京新聞の望月衣塑子藤川大樹中沢誠記者による記事【「政治家発言 記録残すな」 経産省、公文書管理で指示】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201808/CK2018083102000148.html)によると、《政治家や首相官邸、各省庁とのやりとりについて、経済産業省の複数の職員が「三月に上司から『今後は発言を一切記録に残すな』と指示された」と本紙に証言した。本紙が入手した経産省の内部文書にも、省内外の打ち合わせの記録について「議事録のように、個別の発言まで記録する必要はないと明記されていた。職員によると、四月以降、省内では公文書となる打ち合わせ記録には詳しい発言内容を残さなくなったという。 (望月衣塑子藤川大樹中沢誠)》。

   『●「個人攻撃」の何が問題? 「#選挙妨害を暴力団に発注するアベ様」が
                       国会議員、自民党総裁でいいのか?
    「リテラの記事【石破茂「正直、公正」が安倍首相の個人攻撃という噴飯!
     安倍独裁化で首相批判が完全タブーのディストピア】…《わざわざ
     解説するのも野暮だろうが、つまり「石破氏の新キャッチフレーズ」の体裁を
     とりながら、安倍首相に総理大臣としての、いや、そもそも政治家としての
     資質が皆無であるということを、人々が思い思いに皮肉ったわけである。
     振り返るまでもなく、安倍首相はこの間…という、おおよそ先進国政府の
     トップとは思えない無茶苦茶なことをやってきた》」

 歴史修正主義政治屋やその取り巻き忖度官僚が、モリカケ問題等々…《安倍首相はこの間、森友加計問題だけでなく、財務省の公文書改ざん問題や防衛省の自衛隊日報問題などの不祥事や、安保法制をはじめとする政府法案などでの国会答弁で、さんざんウソやごまかしを重ね、果ては国民の疑問に答えずに逆ギレを繰り返しながら遁走を続けるという、おおよそ先進国政府のトップとは思えない無茶苦茶なこと》…を続けてきた、その教訓が《政治家発言の記録は残すな》!
 行政府の長殿、これで大丈夫なの?

 記録を残さなければ、忖度しなくていいし、改竄・隠蔽しなくて済むし、《怪文書扱い》しなくて済む、という大胆な発想ね。
 東京FMのクロノスの電話インタビューなどでご活躍の、元経産省出身の慶大教授・岸博幸氏によると「どうやら経産省では文書書き換え・改ざんは日常茶飯事」らしいですものね。《政治家発言の記録は残すな》という、その発想の大胆な転換。
 「ミスター通産省」は草葉の陰で泣いていないか?

   『●「ミスター通産省」と「ミスター文科省」:
     「総理のご意向」に沿う形で、「行政が歪められた」

    《高度経済成長を支えた官僚らの姿を活写した城山三郎さんの小説
     『官僚たちの夏』の主人公・風越信吾は、巧みに天下り先まで
     見つけて人心を握り、「ミスター通産省」と呼ばれた男だ。
     …「ミスター文科省」…総理のご意向」に沿う形で、「行政が
     (ゆが)められた」と衝撃の告白…ぜひ、国会で真相を
     語っていただきたいが、自民党は国会への参考人招致を
     拒んでいるという。それが「まっとうな政治なのか》。

   『●『官僚たちの夏』読了
    「「ミスター通産省」こと、風越信吾佐橋滋さんがモデル)。
     …《…風越は自分からは決して主計局に出向かなかったし、
     もちろん頭を下げることもしない。「予算は国の金だ。
     主計局の連中の金じゃない。…」》」

   『●元経産省出身の慶大教授・岸博幸によると
      「どうやら経産省では文書書き換え・改ざんは日常茶飯事」らしい
    《すると産経新聞が出版する「正論」の元経産省出身の慶大教授・岸博幸
     社会保障経済研究代表・石川和男の対談企画「官僚OB対談
     書き換えは霞が関の常識?」にはすさまじいことが書かれていた。
     ★岸「情報がもれず、完全犯罪が可能という自信があれば組織防衛や
     自己保身のためならば公文書をいじるくらいのことはやるはず」
     「バレないと思えば、書き換えぐらいのことは平気でやるということですよ。
     はっきり言って、書き換えなら僕と石川さんがいた経済産業省でも
     よくあったでしょう」。石川「ありましたね。誰がやったとか詳しくは
     絶対言えないけど」。どうやら経産省では文書書き換え・改ざんは
     日常茶飯事だったようだ
     ★ある幹部官僚は「経産省ではそれが常識だったのだろうが
     他の役所はそんなことは絶対なかった。今の官邸が経産省を重用する
     ことで、霞が関の常識が経産省の常識に変わってしまったのだろう。
     従来、経産省は霞が関の異端児だった」と振り返る》

   『●霞が関: 「佐川になるな前川になれ」…
      《佐川のような官僚ばかりだったら絶望するしかないだろう》

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018090302000177.html

【社説】
経産省の公文書 国民に目隠しの発想だ
2018年9月3日

 「政治家発言の記録は残すな」-経済産業省が公文書管理でこう指示していた。驚くべき事態だ政策の意思決定過程を不透明にするやり方は、法の理念を骨抜きにし国民に目隠しするのと同義だ。

 「三月に上司から『今後は発言を一切記録に残すな』と指示された」「今後は他省庁との会合や政治家など偉い人の前では一切メモを取らないように」とも。経産省の複数の職員がこう証言した。

 実際に本紙は経産省の内部文書も入手した。そこには省内外の打ち合わせの記録について、「議事録のように、個別の発言まで記録する必要はないと明記されている。

 このため省内では公文書となる打ち合わせ記録には詳しい発言内容を残さなくなったという。

 現在や将来の国民に説明する責務を全うする-それが公文書管理法の意義であり、公文書は「国民共有の知的資源」でもある。政治家の発言は記録に残さないという同省の運用は、この法の理念に真っ向から背いている。「記録は残すな」という発想には主権者たる国民を置き去りにし、重要な情報を隠蔽(いんぺい)する意図さえうかがえる。論外である

 しかも、森友学園加計学園などの問題を受けて昨年十二月に改正された政府の公文書管理のガイドラインからも逸脱しているといえよう。ガイドラインでは各省内外の打ち合わせ記録は行政文書として作成するよう指示している。行政がどう意思決定したのか、その道筋をたどることができるようにするためである

 このガイドラインに基づき、各省庁が規則を見直し、四月から運用を始めていた。ただ、保存期間などは各省庁の運用に任される部分もあり、都合の悪い文書は、作成しない、隠す、廃棄する-という悪弊が残る懸念はあった。今回はそれが明るみに出た。

 森友学園の問題ではおびただしい改ざん文書加計学園の問題では、関係機関の協議が記録に残っておらず真相究明が阻まれた総理のご意向の文書などは怪文書扱いされた。

 こんなでたらめを直す改正が骨抜きになれば、また同じことが繰り返されよう

 経産省は四月以降の文書について、どの政策について、どの政治家が何と言ったのか、正確に文書を作り直すべきである。発言まで記録しなければ事実の検証が十分にできない行政のブラックボックス化はただちにやめよ
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●霞が関: 「佐川になるな前川になれ」…《佐川のような官僚ばかりだったら絶望するしかないだろう》

2018年07月28日 00時00分46秒 | Weblog

[※ 自公選挙公約「子育て…」小躍りするアベ様日刊ゲンダイ(2017年12月19日)↑]



日刊ゲンダイの佐高信さんによる書評【週末オススメ本ミシュラン/「面従腹背前川喜平著/毎日新聞出版】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/233413)。

 《落語家の立川談四楼がツイッターで、いま霞が関では<佐川(宣寿前国税庁長官)になるな前川になれ>が合言葉になっているとつぶやいたらしい。もちろん皮肉である。/…佐川のような官僚ばかりだったら絶望するしかないだろう》。

   『●元経産省出身の慶大教授・岸博幸によると
      「どうやら経産省では文書書き換え・改ざんは日常茶飯事」らしい

 霞が関では、「佐川になるな前川になれ」! 《佐川のような官僚ばかりだったら絶望するしかないだろう》。
 「面従腹背」な前川喜平さん、自身ではヒーローでもなんでもないと言います。その謙虚な姿や言説を見ても、アベ様は足元にも及ばない。彼我の差。

   『●偶然は通用しない、アベ様のオトモダチ獣医学部開設…
      前川喜平さん「規制緩和ではない。特権の付与です」
   『●大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない
       《病的な嘘つき》アベ様…前川喜平氏の人間性と彼我の差
   『●前川喜平前文科次官、「本来、できてはいけないものが
             完成した。見たくないものを見たという感じだ」
   『●前川喜平さん授業…検閲と恫喝、《意に沿わない人物は潰す――。
                       …安倍政権のやり口は、まさに恐怖政治》
   『●隗より始めよ: 「この国をガタガタにし、
      支持率3割は取れる」高プロとして、「自分らができてから…」
    「YouTubeの映像資料【第5回 言論ながさき講演会 いま教育を思う
     講師:前川喜平さん】(https://www.youtube.com/watch?v=Mjv3HrLtvJY)、
     《加計学園問題と授業への不当介入 2018年6月19日 長崎市》を
     是非ご覧ください…是非ご覧いただいて、前川喜平さんとアベ様との
     彼我の差を御感じ下さい。一国の首相・王様が足元にも及ばない哀しさ…」

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/233413

週末オススメ本ミシュラン
「面従腹背」前川喜平著/毎日新聞出版
2018年7月15日

 落語家の立川談四楼がツイッターで、いま霞が関では<佐川(宣寿前国税庁長官)になるな前川になれ>が合言葉になっているとつぶやいたらしい。もちろん皮肉である。

 しかし、前川が存在したことによって私たちは救われたのではないか。佐川のような官僚ばかりだったら絶望するしかないだろう

 「あったものを、なかったことにはできない」と安倍晋三の面前で言い放った前川は、文部科学次官を辞めて2カ月後のツイッターで、<安倍右翼政権を脱出し、僕は本当に1市民になった。空を飛ぶ鳥のように自由に生きる>と自由人宣言をしている。

 また、橋下徹に対しての次のようなツイートも極めて当然の嘆きだろう。

   <橋下徹がTVで在日コリアンを「大阪にいる北朝鮮の人」と呼んだ。
     大阪で府知事・市長までやった人間が、在日に対して
     この程度の認識しか持っていないとは!>

 若者に対しての率直に感心する精神もしなやかである。

 たとえば、「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基が国会に参考人として出た時、「どうか政治家の先生たちも、個人でいてください。政治家である前に、派閥に属する前に、グループに属する前に、たったひとりの『個』であってください」と呼びかけた。さらに、「みなさんには一人一人考える力があります」とも言ったが、こう言われて居並ぶ国会議員たちはどう思ったのか、と前川は書く。そして「自分の頭で考えるという当たり前のことができない大人は多い、と続けるのである。

 “面従腹背”しつつ、前川は2015年9月18日、安保法制の参議院可決の夜、文科省を退庁後に、そぼ降る雨の中をシールズの若者たちに交じって憲法守れ」「アベは辞めろ」「集団的自衛権は要らないと抗議の声を上げたという。

 「私の中の『主権者』が、どうしてもその夜にだけはやっておかなければ死んでしまうと呻いていた」からである。

 今年の4月10日に愛媛県知事の中村時広が認めた「備忘録」や5月21日に同県が参議院に提出した記録文書によれば、安倍や加計学園理事長の加計孝太郎ウソを言っていることは明らかである。そこをもっと詳述してほしかったとして少し減点する。

★★半(選者・佐高信
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