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●大川原化工機でっち上げ事件…なぜ、警視庁公安部は事件をでっち上げたのか? 《逮捕の時期は、安倍政権が「経済安保」を推進していた時期だった》

2024年07月11日 00時00分28秒 | Weblog

[↑ 大川原化工機の訴訟 検察・警察の捜査「違法」東京地裁 都と国に賠償命令 (朝日新聞、2023年12月28日(木))]


(2024年06月14日[金])
恣意的な捜査がえん罪を引き起こした大川原化工機でっち上げ事件…《取調官は知ったこっちゃないですよ組織の方針に従うだけですよ」》。
 なぜ、警視庁公安部は事件をでっち上げたのか? 《逮捕の時期は、安倍政権が経済安保を推進していた時期だった》(長周新聞)。公安部という《組織》を暴走させた元凶を辿っていくと、またしても、アベ様。

 長周新聞の記事【大川原化工機事件について――経済安保法制が導く恐怖の未来予想図 和田倉門法律事務所・弁護士 高田剛】(https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/30810)。《公益社団法人・自由人権協会は1日、2024年総会記念講演「大川原化工機事件~経済安保法制が導く恐怖の未来予想図~」を開催した。大川原化工機事件とは、2020年3月、大川原化工機(横浜市)の大川原正明社長ら3名が、「生物兵器の製造に転用可能な機器を中国に不正輸出した」との外為法違反容疑で、警視庁公安部に逮捕・起訴された。起訴後も身柄拘束は長期に及び、その間に1名が死亡したが、その後冤罪であることが明らかになり、東京地検は初公判直前に異例の起訴取り消しをおこなった、という事件である。逮捕の時期は、安倍政権が経済安保を推進していた時期だった。現在、大川原化工機の社長らが、東京都と国に約5億6500万円の損害賠償を請求する国家賠償請求訴訟をおこなっている。同事件の弁護人であり国賠訴訟代理人でもある高田剛弁護士の報告を紹介する》。

   『●《警察と検察が事件を捏造して、無辜の人たちを犯罪者に仕立て上げる。
     …大川原化工機の例は、この国がすでに“新しい戦前化”している…》
   『●大川原化工機捏造事件国賠…《女性検事は淡々と、「起訴当時の判断を
     間違っているとは思っていない。謝罪する気持ちなどない」と答えた》
   『●大川原化工機でっち上げ事件の国賠…《13年前の「正義の検事」が“冤罪”
       事件で謝罪拒む》、実は郵便不正事件当時も《問題検事》だった模様
   『●大川原化工機でっち上げ事件国賠訴訟…当然の勝訴判決ではあるが、《勾留
      後に亡くなった1人》の命は戻らないし、あまりに《大きな不利益》…
   『●大川原化工機捏造事件国賠、謝罪や責任を問うこともなく《国と東京都
     が控訴》…大川原正明社長「あきれた」「やっぱりか」「まだやるのか」
   『●大川原化工機でっち上げ事件:青木理さん《見込み捜査と強い政治性を特徴
     とする警備公安警察のゆがみが如実にあらわれた例として、大きな批判…》
   『●大川原化工機捏造事件国賠、国と都が控訴…《今回の事件は、日本の警
     察、検察、裁判所がいかなるものかを浮き彫りにしている》(長周新聞)
   『●冤罪で死刑執行、飯塚事件…『正義の行方』木寺一孝監督《が描いたのは、
     死刑執行後だからこそ、より鮮明に浮かび上がる「人が人を裁く重み」》
    《◆デスクメモ …恣意的な捜査がえん罪を引き起こした最近の
     大川原化工機事件を頭に浮かべつつ、そう強く思う》。

   『●東京地裁・男沢聡子裁判長殿、一体どういうことですか? 大川原化工機冤
     罪事件「起訴取り消しによる名誉回復すら見届けられず亡くなった」のに…
   『●ニッポンの《刑事司法はおそろしいほどに後進的…代用監獄…人質司法》
      …《法曹三者が「冤罪を学び、冤罪から学ぶ」こと》が重要だが…
    《◆無罪主張するほど保釈されない「人質司法」問題
   『●人質司法…《保釈請求…東京地裁も却下。否認を貫く相嶋さんに妻が「うそを
     ついて自白して、拘置所から出よう」と頼んだが、首を縦に振らなかった》
   『●大川原化工機でっち上げ事件《勾留後に亡くなった1人》…《無罪主張
       するほど保釈されない「人質司法」》の問題点が最悪の形で顕在化
   『●《恣意的な捜査がえん罪を引き起こした》大川原化工機でっち上げ事件…
     《取調官は「知ったこっちゃないですよ。組織の方針に従うだけですよ」》
   『●大川原化工機でっち上げ事件の国家賠償訴訟・東京高裁控訴審…《原告側
      は事件そのものを「捏造」》《社長らは「真相を明らかにする」》と

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https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/30810

大川原化工機事件について――経済安保法制が導く恐怖の未来予想図 和田倉門法律事務所・弁護士 高田剛
2024年6月12日

 公益社団法人・自由人権協会は1日、2024年総会記念講演「大川原化工機事件~経済安保法制が導く恐怖の未来予想図~」を開催した。大川原化工機事件とは、2020年3月、大川原化工機(横浜市)の大川原正明社長ら3名が、「生物兵器の製造に転用可能な機器を中国に不正輸出した」との外為法違反容疑で、警視庁公安部に逮捕・起訴された。起訴後も身柄拘束は長期に及び、その間に1名が死亡したが、その後冤罪であることが明らかになり、東京地検は初公判直前に異例の起訴取り消しをおこなった、という事件である。逮捕の時期は、安倍政権が経済安保を推進していた時期だった。現在、大川原化工機の社長らが、東京都と国に約5億6500万円の損害賠償を請求する国家賠償請求訴訟をおこなっている。同事件の弁護人であり国賠訴訟代理人でもある高田剛弁護士の報告を紹介する(表や図は講師が示した資料から作成した)。


○         ○


     (高田剛弁護士)

 大川原化工機事件とは、一言でいえば、外為法の法令解釈に関する見解の違いで、手続き違反を疑われた中小企業の大川原化工機が、公安警察の標的にされて、役職員の自宅を含む一斉家宅捜索を受け、さらにその後1年半近くで291回の事情聴取を受けた挙げ句、社長を含む幹部3名が逮捕され、起訴後も保釈がされずに身柄拘束は330に及び、その間に1名は病死した。その後、冤罪であったことが判明して起訴が取り消された事案である。

 事件のポイントを挙げると、まず経産省による法令の解釈運用の不備があげられる。経済安保をめぐっても、法律の曖昧さがベースにあってそれが国家に悪用される懸念を持つ方がおられると思うが、共通する問題だ。

 次に、事件に飢えた公安警察が不備をついて暴走した。解釈が曖昧なことをいいことに、公安部が独自に解釈を打ち立てて経産省を説得にかかり、経産省は最終的に押し切られて立件を容認した。経産省は「解釈の明確化→業界への指導監督」を先行させるべきなのに、自分たちの頭を乗りこえて、しかも自分たちが指導していないところからまったく関係ない解釈を持ち出す公安警察の立件を許した問題は大きい。ただ、それを利用したのは公安警察だ。

 公安部は、事件の捜査を進めるなかで、消極的な証拠を黙殺し、有利な証拠を捏造してまで立件に進む。なぜ公安部はこえてはいけない一線をこえたのか。また、取り調べはなぜ1年3カ月・291回にも及んだのか。そこには自白調書を重視する刑事裁判のしくみがあったのではないか。

 さらに起訴するのは検事だが、なぜ検事は公安部の暴走を止められなかったか。公安事件における公安部と検事には密接な関係がある。検事の元には警察から立件に有利な資料しか送られてこないので、検事には消極証拠を見抜く力が求められる。今回は公安にいわれるまま起訴に進んだ。検事の役割を見直さなければならない事件だった。

 最後に、無実を訴えれば訴えるほど保釈を認めず、身柄拘束が続く裁判所のあり方人質司法)は是正されなければならない。自白した人とたたかう人では、身柄拘束の期間が有為に違う。身柄拘束をされている人は自白に誘導されてしまい、冤罪が生まれてしまう。今回は身柄拘束中に1名が進行癌(がん)であることが発覚したが、保釈が認められず、そのまま亡くなってしまった


外為法による輸出規制 リスト規制の仕組み

 外為法は安全保障貿易管理をおこなっており、今回問題になったのは輸出管理の部分だ。輸出管理とは、「先進国が保有する高度な貨物や技術が、大量破壊兵器開発や製造等に関与している懸念国やテロリスト等の懸念組織に渡ることを未然に防止するため、国際的な枠組みのもと、各国が協調して実施」している。わが国だけでなく、国際的にルールをつくっているものだ。先進国が中心になった「国際輸出管理レジーム」という集まりがあり、こういう規制をかけていこうという取り決めをし、各国が持ち帰って法律化している。

 「国際輸出管理レジーム」には主に四つの枠組みがあるが、今回問題になったのはAG(オーストラリア・グループ)といって、生物・化学兵器を対象とした輸出規制の枠組みだ。これには日本も加入している。

 規制の手法としては、大きくはリスト規制と、それを補完するキャッチオール規制の二つがある。リスト規制は法令や省令で貨物の品目や性能を定め、そのリストに該当する製品を輸出するさいには経産大臣の許可が必要というものだ。リスト規制のジャンルは15あり、今回問題になったのは3の2の「生物兵器」だ【表参照】。

 生物兵器のなかにはどういう規制対象貨物があるのかというと、1はウイルスや細菌そのもの、2は細菌を使った兵器の製造・保存・持ち運びに使える機械で、10種類がリストにあがっている。今回問題になったのは5-2の噴霧乾燥器だ。噴霧乾燥器は2013年に凍結乾燥器の項目に追加されており、これだけが新しい規制だ。

 そして、噴霧乾燥器ならなんでもかんでも輸出許可が必要かというと、そうではない。生物化学兵器の製造に用いられそうな、いわば性能のいい機械だけが規制の対象になっている。具体的にはイ~ハの三つの要件があり、それを全部満たすものは輸出するさいに許可が必要となっている。今回問題になったのは、ハの「定置した状態で内部の滅菌または殺菌をすることができるもの」という要件だ。

 一方、キャッチオール規制というのは、リスト規制の対象外であっても、「用途要件」といって、その貨物や技術が「大量破壊兵器」などの開発のために使われる場合は許可が必要というものだ。また「需要者要件」といって、経産省が15カ国・地域、706組織を指定するユーザーリストをつくっており、このリストに該当する要注意の相手に輸出する場合は許可が必要というものだ。

 次に、事業者が経産省に許可申請した場合はどうなるか。経産省は、事業者の許可申請提出書類を見て、「輸出許可基準」をもとにその用途や需要者を審査する。輸出許可基準の内容は、①貨物が実際に需要者に到達するのが確からしいか、②申請内容にある需要者が貨物を使用するのが確からしいか、③貨物が国際的な平和及び安全の維持を妨げる恐れのある用途に使用されないことが確からしいか、④貨物が需要者によって適正に管理されるのが確からしいか、の四つだ。

 今回の場合、噴霧乾燥器が問題になって2件が立件されているが、1件目の噴霧乾燥器RL-5は、リチウム電池材料をつくるのが目的で、需要者はドイツのBASF(世界最大手の化学メーカー)の中国子会社。2件目の噴霧乾燥器L-8iはアクリル樹脂をつくるのが目的で、需要者は韓国の液晶メーカーLGの子会社LG MMAだった。いずれも、「もし許可申請があれば許可していたと経産省が明言している。

 では、経産省の許可がないまま輸出した場合はどうなるか。その場合、経産省は事業者に資料を提出させて事後審査をやり、違反の事実が判明した場合は指導・処分をおこない、そうでない場合にも再発防止策を策定させる。もっとも重い処分としては行政罰(3年以内の輸出等禁止など)があり、それより軽い警告や、原則非公表の報告書の提出のみというのもある。さらに悪質な場合は、経産省が告発し刑事事件になる。

 ところが大川原化工機事件の場合、経産省による事後審査もなければ行政罰も警告もなく、そして告発もなかった。つまり経産省は何も動いていない。にもかかわらず警視庁公安部が勝手に事件化し、勝手に立件した


噴霧乾燥器とは何か? 新たに規制に加わる

 さて、今回問題になった噴霧乾燥器(スプレードライヤ)とはどういうものか。

 液体を熱風中にシューッと霧状に噴霧して、液体の部分を蒸発させ、液体に混じっていた固体の部分が粉末として落ちてくるというものだ。言葉でいうと簡単だが、技術的にはかなり難しい。たとえば、コーヒーの液体からインスタントコーヒーの粉末をつくる。インスタント食品についている粉末スープもそうだ。その他、健康食品などの食品分野やセラミックなどの化学の分野、製薬産業における乾燥粉体の調製などに幅広く用いられている。

 乾燥器には、噴霧乾燥器の他に凍結乾燥器がある。凍結乾燥器は古くから規制の対象になっていた。噴霧乾燥器はここ数十年で性能が向上し、凍結乾燥器より効率的に粉体を得ることができるようになったので、規制の対象に加えられた。

 構造を見てみたい【図参照】。真ん中にズドーンとあるのが乾燥室。その中に上のアトマイザから、原液が霧状に噴射される。同時に左側の電気ヒーターから熱風を送る。すると乾燥室の上で噴霧されたものと熱風がぶつかる。そこで液体部分が蒸発し、粉末が乾燥室の下に落ちてくる。そして右のサイクロンに集められ、粉体は製品ポットに落ちてくる。他方で風は、右上の排風機から外に出ていく。粉体は製品ポットから回収される。

 大川原化工機は、日本における噴霧乾燥技術のリーディングカンパニーで、シェアは約7割。国内の企業のみならず、中国をはじめとする東アジア、東南アジア、ヨーロッパ、アメリカに多くの噴霧乾燥器を古くから輸出している。

 噴霧乾燥器は先ほどものべたように、もともとは規制の対象ではなかった。しかし性能が向上し、2011年に噴霧乾燥器のパイオニアであるデンマークからAG参加各国に提案があり、2012年のAG会議で規制対象品目への合意が成立した。これを受けて経産省が政省令を改正し、日本におけるリスト規制の対象品目に噴霧乾燥器を追加したのが2013年10月だ。

 そして規制の要件だが、2012年のAG会議で三つの要件をすべて満たす噴霧乾燥器が規制の対象になると合意された。この三つの要件について、合意された翌年に経産省が明文化したのがイ、ロ、ハの三つの要件だ【上表参照】。

 今回問題になったのはハの要件で、「定置した状態で内部の滅菌又は殺菌をすることができるもの」と訳している。このなかで「滅菌」というのは微生物学で定義されている。だが「殺菌」というのは、微生物学上も法律上もなにが殺菌かという明確な定義がない。なぜ、概念がないものを法律で明文化したのか。もともとの英文を見ると「disinfected」となっており、これは学術的には「消毒」を意味する言葉だ。ところが10年前に訳したとき、経産省は「殺菌」という言葉をあてた。

 これについて経産省を支援する民間団体CISTEC発行の「ガイダンス」では、「装置を分解せず組み立てた状態で、乾燥粉体が漏れない状態にして、又は製造作業者が粉体を吸入したり、粉体に接触したりすることなく内部を滅菌・殺菌ができる構造」と定義している。つまり、作業者が安全に作業できるように、粉がモヤモヤと出てこない状態で菌を殺すことが必要ということだ。

 大川原化工機はこれを読んでいたので、規制対象になるのは曝露が防止できるような性能を有する噴霧乾燥器だと考えていた。

 具体的にはCIP機能といって、ボタン一つで薬液が出てきて内部が自動洗浄される機能の付いた高性能噴霧乾燥器が規制の対象だと考えていた。同社の噴霧乾燥器はそうではない(ハの要件を満たさない)ので、だから許可をとらずに輸出していた


いきなりのガサ入れ 逮捕に至る経緯

 ところが、2018年10月3日、噴霧乾燥器を規制する法律ができてから5年後に、警視庁公安部によるガサ入れ(捜索差押)がいきなりおこなわれた公安部外事第1課長を総括指揮官とし、129人体制で、大川原化工機の本社や開発棟、静岡の研究所、大阪営業所など7カ所と役職員7人の自宅、合計14カ所を一斉捜索し、2287件の押収をおこなった。役職員の自宅には朝7時頃にやってきて、2時間余り捜索し、携帯やタブレットなどを持っていった。

 このときまで公安警察は、大川原化工機には知らせずに捜査していたので、自分たちが標的になっていることすらわからない。ある日の朝、いきなり警察が自宅に来たという事態だ。

 そして2カ月後の同年12月11日から2020年2月まで、同社の50人に対して任意の取り調べが延々と続いた。3年ごしで、のべ291回にもなった。大川原化工機は「なにも悪いことはしていないのだから、全面協力」という方針を立てたが、しかしいつまでたっても終わらない

 取り調べで聞かれたのは主に次の2点だった。一つは「噴霧乾燥器になにも入れない状態で、付属のヒーターだけ回して空焚きしたら、内部の殺菌ができることを知っていた?」。普通はこんなことはしない。そして「殺菌」は明確な定義がない。たとえば「殺菌作用のある石鹸」といっても、それで手を洗ったとして、それで手にいる細菌がすべて死ぬわけではないが、でも「殺菌できる」という。「殺菌」の定義が示されないまま「空焚きすれば殺菌できる」といわれ、よくわからないまま誘導されて供述調書をとられている

 もう一つ、「許可を得ずに輸出することを決めたのは誰?」とみんなが聞かれた。同じようなことを毎回聞かれるという状態だった。

 その過程では不当な取り調べもあり、うつ病になる社員もいたので、警視庁公安部にクレームを入れた。

 また、1年間取り調べが続くなかで、「許可をとっていなかったけど、われわれの解釈は間違っていたのか」ということで、警察の捜査への協力と並行して、経産省に判定の基準について問い合わせをおこなった。警察の取り調べは過去のことだが、事業者はこれからも輸出し続けなければいけないので、許可申請の基準をつくらないといけないからだ。2019年の年明けから1年間対話を続けたが、経産省は回答を先延ばしし、判断基準を示してくれなかった。後で話すが、この段階ではすでに経産省は公安部と打ち合わせをして基準を持っていた。が、それを教えてくれなかった。

 そして2020年3月11日、大川原化工機社長・大川原正明氏、同社取締役・島田順司氏、同社顧問・相嶋静夫氏の3人が逮捕された。このとき第二次捜索差押もされた。

 このときのことを大川原社長は次のようにいっている。

 警察が朝7時頃に自宅に来て任意同行を求められ、警視庁に行くのかと思っていたら、自宅から会社に行って社長室に案内され、社長室で2時間ぐらい待たされる。それで警察に促されて社長室を出て、警察の車に乗り込んで警視庁に向かうのだが、会社の扉を開けたら、そこにはマスコミがズラッと並んでいたわざわざ社長を自宅から会社に連れてきて、マスコミが集まるのを待って、マスコミの前に出すということを公安部はやった


逮捕から起訴されるまで 従業員の証言が局面変える

     (警視庁本部庁舎(東京都千代田区霞が関))

 逮捕された日、3人から警察を通じて私のところに弁護人選任・接見希望の連絡が入った。私は順次接見した後、弁護団を結成した。

 翌3月12日、3人の身柄が検察庁に送られた。3人に接見し、話しあって完全黙秘の方針を決めた。

 3月13日から、検事が従業員10人に対して参考人聴取の出頭要請をおこなった。当初、自白調書がほぼできていたので、検事は簡単に調書がとれると思っていたが、3人が完全黙秘に転じたため、従業員を呼んで「殺菌できる」という調書をとろうとしたわけだ。結果的にはこれが、彼らにとって墓穴を掘ることになった。

 逮捕当日、マスコミは3人の顔写真入りで大きく報道した。取引先や金融機関から問い合わせが続き、取引停止にもなったので、一方的な報道をなんとかしようと、われわれは3月16日にマスコミ向けに自分たちの考えを送信した。いくつかのマスコミから取材も受けたが、結果、なにも報道されなかった

 取り調べで公安部は、黙秘権を行使する3人を切り崩そうと、「あの弁護士はだめだ。刑事弁護を知らない」と弁護士と切り離そうとしたり、「他の2人は雑談には応じている。雑談にも応じないのは人としてどうか」と他の被疑者から切り離そうとした

 一方、われわれは3月13日に大川原化工機の従業員と面談をおこなった。なにせなにが疑われているのかがよくわからず、どこが論点かを探っていった。「殺菌できる、できない」が問われる、よくわからない取り調べが一年間続いたので、ここがポイントではないかということになった。

 そのなかで従業員から、「噴霧乾燥器の内部は温度が均一に上がらない部分もあるため、菌は一部生き残る可能性があるし、器械が密封されていないため、菌が風とともに尻から出て、曝露もするだから完全に死滅させるという意味での滅菌・殺菌はできない」という意見が出された。われわれは、「では実験しよう」となった。

 一方、大川原社長ら3人は完全黙秘を続けた。そこから検事は、故意および共謀を立証するため、従業員の参考人聴取を幅広くおこなった。

 それまでに公安の取り調べによる「殺菌できる(殺菌の定義をいわないまま)」という調書がたくさん積み上がっていた。しかし、検事は「殺菌」というのを「菌が全部死ぬ」こととわかっているので、従業員に「全部死にますか?」と聞く。すると従業員は「全部は死なない」「測定口という管に入った菌は、そこは熱風が通らないから温度が上がらず、死なない」「(公安の取り調べのときには)全部殺すと聞かれなかった」と答えた。3人の従業員がこの取り調べを録音しており、それがその後の国賠訴訟一審で決定的な証拠となった。

 検事はそこでどうしたか。本来なら温度が上がらないことを調べるべきだ。しかし、塚部検事それを黙殺する形で3月31日、起訴した。


起訴後の弁護活動 胃癌発覚後も勾留

 起訴後の弁護活動としては、まず身柄の早期解放に向けて保釈請求を、2020年4月から翌年1月まで8度にわたっておこなった。しかし、まったく保釈されず、勾留は約11カ月続いたその間に相嶋氏は進行胃癌が発覚し、発覚しても保釈が認められず、勾留執行停止が認められて大急ぎで大学病院で診察を受けるところまでいったが、それでも自由ではないので後手後手になってしまって、保釈請求が通らないまま2021年2月に亡くなった身柄拘束がされていなければ、もっと生きられたはずだ

 第二に、無罪を勝ちとるための弁護活動をおこなった。一つの切り口は法令解釈で、そもそも公安部の理論、ヒーターの熱で菌を殺せるという乾熱殺菌理論が学術的にはありえず、国際基準にもない。国際基準は薬液を流してやるのが殺菌だという考え方だ。日本だけが「消毒」を「殺菌」と誤訳し、「熱風を送れば殺菌できる」という殺菌理論ができたわけだが、その理論自体が間違っているのではないか。

 もう一つの切り口が器械性能で、測定口は温度が上がらないのだから、公安部の殺菌理論を前提としても殺菌性能はないという主張だ。そこでヒーターによって滅菌・殺菌できるほどの温度に上がるかどうかを実験してみた。すると測定口の温度がまったく上がらないことが判明した。「微生物を微粒化した場合、測定口に粉体が入り込むこともあるか?」と同社の従業員に聞くと、「粉体は入り込む。風の流れない所なので温度が高くなり難い箇所になる」との返事をもらった。この段階でわれわれは無罪判決を意識した。公安部がやった実験の結果も出てきたが、測定口は測っていなかった

 2019年11月には、警察の内部告発文書が届いた。われわれの方向が間違っていないことを確信した。

 さらに法令解釈の部分で怪しい動きを見つけた。捜査の初期の段階で、経産省と警視庁が非常に長い期間、何回も密談していることがわかった。その内容が捜査資料として出ていない。裁判所を通じて開示請求すると、検事は「経産省メモはあったが、経産省が拒絶していて開示できない」という。裁判官が何度も促すことで、検事は「(2021年)7月30日までに黒塗りの場所を決めて開示する」と約束した。そして約束の日、検事は起訴を取り消した。経産省メモはそれほど出したくないものだった。今、公安部が作成した検事相談メモ(2021年7月21日)が明らかになっている。そこで検事は起訴を取り消す理由として、一つは「実験したけど殺菌できなかった」、もう一つは「経産省メモを読むと、うがった見方をすると意図的に立件方向にねじ曲げたという解釈を裁判官にされるリスクがある」とのべている。経産省メモには、公安部が立件方向にねじ曲げ、経産省を寄り切ったという内容が書かれていることが想像される。経産省メモは後日、入手した。


国家賠償請求訴訟 事件捏造の認定求め

     (国家賠償請求訴訟の第一審では大川原化工機側が勝訴
      (昨年12月27日、東京地裁前))

 検察官の起訴取り消しを受け、東京地裁は2021年8月3日に公訴棄却を決定。その翌月の9月8日、大川原化工機は国家賠償請求訴訟を提起した。

 一審ではわれわれが勝訴した(2023年12月)。しかし双方が控訴した。われわれがなぜ勝ったかというと、「(公安部や検事が)従業員から指摘を受けていたのに、測定口の温度に関する捜査をおこなわずに逮捕・起訴したことは違法」、つまり測定口を測っていないという「捜査ミス」「捜査不足」で勝っている。

 しかしこの事件は、証人尋問でH警部補が捏造と認めたように非常に悪質な事件だ。ところが一審では、公安部が殺菌解釈について経産省見解を立件方向にねじ曲げたこと事件そのものが捏造だったことについて認定を受けることはできなかった

 だからわれわれが控訴したのは、真相を裁判所に事実認定してもらわないと、警視庁公安部や検察庁は事件を真摯(し)に振り返らないと思ったからだ。


公安部はなぜ暴走した 経産省は検証もせず

 最後に、公安部はなぜ暴走したのか? この事件が報道されることでいろんな協力者が出てきて、だいたいの事実がわかってきた。それをわれわれの見立てで話す。

 端緒は2017年3月だ。ガサ入れの1年半前から、捜査は始まっていた。

 捜査をおこなったのは警視庁公安部外事第1課第5係で、不正輸出の捜査を担当するチームだ。不正輸出の案件をいつも捜している。しかし不正輸出の案件は少なく、検挙された数も少ない。ここ7~8年で数件しかない。大川原化工機事件の前に第5係は安井インターテックを書類送検したが、検事が起訴猶予にした。2017年3月24日だ。

 今回、なぜ捜査が始まったかというと、3月8日の税関の貿易講習会に若い巡査長が参加して、そこで「殺菌の概念が曖昧で、国際的にも規制できていない」という話を聞く。戻って報告すると、係長が「いいね」「噴霧乾燥器と凍結乾燥器について聞きに行こう」といって講師のところに行く。聞くと、「噴霧乾燥器は規制が始まって5年で、規制要件が曖昧だ」「業界ナンバーワンの大川原化工機という事業者があり、高性能の噴霧乾燥器をつくれる」「トップ企業で外資系でもないし、中小企業だ」とわかった。「いいねということで捜査が始まった

 第5係は東京税関の協力を得て、規制が始まってからの大川原化工機の輸出実績49件を調べた。すると、噴霧乾燥器の三つの規制要件のうち、ハの滅菌・殺菌の要件をいつも「非該当」にして輸出していることを把握した。それなら滅菌・殺菌できることを証明できれば非該当をひっくり返せると気づく。そして要件ハだけ非該当にしている9件の中から中国向けの汎用機にしぼったら、噴霧乾燥器RL-5が出てきた。つまりこの器械が危ない使い方をされたから狙われたのではまったくなく、あげるために、あげやすいものにしぼることで浮上したわけだ。

 第5係は次に、同業他社やユーザーにヒアリングしたが、ヒーターで乾熱して殺菌できるとして輸出許可をとっているメーカーは一社だけ。他社は大川原化工機と同様、薬液で流すのが殺菌だから、そうでないものは輸出許可申請をしていなかった。また、実際に乾熱殺菌しているユーザーはゼロだった。公安部の考え方は通らなかったが、宮園第5係長は「実務は関係ない。理論的に殺菌できるなら立件できる」と捜査を進めた。

 2017年9月から、第5係は「規制に該当する」という経産省の見解を得るための折衝を始める。経産省は当初、公安部の解釈を否定したしかし2018年2月、急転直下、ガサ入れまでなら協力するというきわめて政治的な対応をとった。それまでに公安部が経産省とのミーティングで、ガサ入れで黒い証拠が必ず出るからと働きかけていたことがわかっている。

 他方で第5係は実証実験をおこなった。細菌が死滅する温度条件を乾熱乾燥器で特定した(110度で2時間温めればよい)が、機器の下部の温度が上がらないことがわかり、その場所も温度条件をクリアするような実験をおこなってなんとか資料をそろえた。

 こうして警視総監の承認や検事の了解もとって、大々的にガサ入れを実行した。しかし、なにも出てこなかった。そうなると任意の取り調べを延々とやって、「殺菌できると自白をとるしかない

 ところが2018年12月、取り調べを始めた3日目に、従業員から「測定口は温度が上がらない」という話が出てくる。翌1月には、噴霧乾燥技術にもっともくわしい故・相嶋顧問からも同じ指摘がされた。

 これを聞いた捜査員の一人が測定口の温度を確かめるよう進言するが、しかし宮園係長は「従業員の言い訳だ。信じる必要はない」「結果が出なかったらどうするんだ。事件潰れて責任とれんのか」といい、測定口の温度を測らせなかったそれを握り潰したまま、塚部検事の了解を得て立件に進んだ。

 なぜ宮園係長は実験を握り潰したのか。証人尋問の中で明らかになったのは、係長は大川原化工機の前に別の事業者を書類送検したが、検事にハシゴを外された。彼の任期から考えて、この事件が最後のチャンスだった。そのうえ実験を10回以上もやり、警視総監の了解もとって、120人体制でガサをやったのだから、もう立ち止まれない。

 証人尋問では「捜査員の出世欲からそうなった」という発言が出た。彼にとっては万が一にも測定口を測って温度が上がらないことがわかったら、それを隠すことはできない。だから測定口の温度は、彼としては測れなかった。

 最後に、経産省は大丈夫か? そもそもできの悪い省令をつくったのは経産省で、その検証もせず、そのうえ公安部のガサを受け入れ、大川原化工機からの相談に対しては事後審査すらおこなわず、解釈も示さないままだった

 日本の産業を育てるべき経産省が、結果的に法令の不備を公安部に利用され、企業を売った形となった。こうしたことはけっしてあってはならない。
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●大川原化工機捏造事件国賠、国と都が控訴…《今回の事件は、日本の警察、検察、裁判所がいかなるものかを浮き彫りにしている》(長周新聞)

2024年02月12日 00時00分25秒 | Weblog

[↑ 大川原化工機の訴訟 検察・警察の捜査「違法」東京地裁 都と国に賠償命令 (朝日新聞、2023年12月28日(木))]


(20240131[])
大川原化工機でっち上げ事件。あまりに酷い冤罪事件というか、公安警察・検察によるでっち上げ事件・捏造事件。何度請求しても、保釈を認めなかった裁判所も、あまりに杜撰で冷酷。
 神保哲生さんのビデオニュースドットコムの記事【警察にはこの事件が意図的な捏造だったことを正直に認めてほしい 大川原化工機社長らが国賠訴訟判決を前に会見】(https://www.videonews.com/press-club/20231221-ookawara)によると、《しかし、大川原氏らは最後まで自白をしなかったため、有罪に持ち込むことが困難と判断した検察は逮捕から331日目となる2021年2月5日、大川原氏と島田氏を釈放し、7月には起訴を取り消した。相嶋元相談役は勾留中に胃がんが悪化し、8度にわたる保釈申請もことごとく却下されたため、嫌疑が晴れないまま死亡している》。大川原化工機捏造事件国賠訴訟では、謝罪や責任を問うこともなく、敗訴した《国と東京都が控訴》している…。大川原正明社長は「あきれた」「やっぱりか」「まだやるのか」と…。
 そして、もう一つの大事なポイントはアベ様政権と《“野党やマスコミの監視、謀略情報の仕掛け人”として暗躍してきた》《「官邸のアイヒマン」の異名もあった》北村滋…《3人が逮捕された当時、アメリカにこびへつらう安倍政権が中国を念頭に置いた経済安保の旗を振り、警察官僚・北村滋がトップの国家安全保障局にその司令塔である「経済班」が新設された。そのもとで警察や検察、裁判所が安倍政権を忖度して捏造をおこない、みずからの出世のために一般市民の生活を踏みにじってはばからなかった。他方で東京地検特捜部は、政治資金規正法違反が明白な安倍派幹部の立件を見送っている》(長周新聞)。




 長周新聞の記事【大川原化工機事件とは何か 警察・検察がでっち上げた度外れた冤罪事件 政治に忖度し出世欲で事実を捏造】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/28948)によると、《生物兵器の製造に転用できる機器を無許可で中国に輸出したとして逮捕、起訴され、その後一転して起訴がとり消された大川原化工機(横浜市)の社長らが、東京都と国に損害賠償を求めていた訴訟の一審判決が、昨年12月27日、東京地裁で出された。判決は、警視庁公安部の逮捕と、東京地検の勾留請求・起訴をいずれも違法と認め、都と国に計16000万円の賠償を命じた。一方、これを認めたくない都と国は110日、控訴した。今回の事件は、日本の警察、検察、裁判所がいかなるものかを浮き彫りにしている》。

   『●人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機の
     大川原社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという》青木理さん
   『●大川原化工機事件…でっち上げ事件、《勾留後に亡くなった1人を
     含め、会社側は起訴取り消しになっても大きな不利益を被りました》
   『●日刊ゲンダイ【辛口の経済評論家 佐高信氏が「いい会社」と就活生に
     薦めたい企業3社】《城南信用金庫…久遠チョコレート…大川原化工機》
   『●男性警部補「捏造ですね」…とんでもない冤罪事件・捏造事件・でっち
     上げ事件、国賠が認められても《勾留後に亡くなった1人》の命は戻らない
   『●大川原化工機事件は公安によるでっち上げ…《警視庁公安部が捜査し、
     公判直前に起訴が取り消された事件…現職警部補が「事件は捏造」と証言》
   『●《警察と検察が事件を捏造して、無辜の人たちを犯罪者に仕立て上げる。
     …大川原化工機の例は、この国がすでに“新しい戦前化”している…》
   『●大川原化工機捏造事件国賠…《女性検事は淡々と、「起訴当時の判断を
     間違っているとは思っていない。謝罪する気持ちなどない」と答えた》
   『●大川原化工機でっち上げ事件の国賠…《13年前の「正義の検事」が“冤罪”
       事件で謝罪拒む》、実は郵便不正事件当時も《問題検事》だった模様
   『●大川原化工機でっち上げ事件国賠訴訟…当然の勝訴判決ではあるが、《勾留
      後に亡くなった1人》の命は戻らないし、あまりに《大きな不利益》…
   『●大川原化工機捏造事件国賠、謝罪や責任を問うこともなく《国と東京都
     が控訴》…大川原正明社長「あきれた」「やっぱりか」「まだやるのか」
   『●大川原化工機でっち上げ事件:青木理さん《見込み捜査と強い政治性を特徴
     とする警備公安警察のゆがみが如実にあらわれた例として、大きな批判…》

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/28948

大川原化工機事件とは何か 警察・検察がでっち上げた度外れた冤罪事件 政治に忖度し出世欲で事実を捏造
2024年1月30日

     (国家賠償請求訴訟の判決後に「勝訴」と書かれた紙を
      掲げる大川原化工機の大川原正明社長
      (昨年12月27日、東京地裁前))

 生物兵器の製造に転用できる機器を無許可で中国に輸出したとして逮捕、起訴され、その後一転して起訴がとり消された大川原化工機(横浜市)の社長らが、東京都と国に損害賠償を求めていた訴訟の一審判決が、昨年12月27日、東京地裁で出された。判決は、警視庁公安部の逮捕と、東京地検の勾留請求・起訴をいずれも違法と認め、都と国に計1億6000万円の賠償を命じた。一方、これを認めたくない都と国は1月10日、控訴した。今回の事件は、日本の警察、検察、裁判所がいかなるものかを浮き彫りにしている

 今回の事件は、大川原化工機が自社製の噴霧乾燥機をドイツ大手化学メーカーの中国子会社に輸出したことが、外為法上の輸出管理規制に違反するとして、同社社長の大川原正明、取締役の島田順司、顧問の相嶋静夫の3氏が2020年3月に逮捕、起訴されたものだ。

     (大川原化工機の密閉型スプレードライヤ)

 噴霧乾燥機とは、液体などを熱風中に噴霧して溶媒を蒸発させて粉末を得る装置で、インスタントコーヒーやインスタント食品の粉末スープ、製薬産業の乾燥粉体の調整などに幅広く使われている。大川原化工機はこの技術の日本におけるリーディングカンパニーで、国内だけでなく中国や東南アジア、欧米などに輸出してきた。

 この噴霧乾燥機が、生物化学兵器の製造に転用される恐れのあるものとして規制対象になったのは、2012年のことだ。規制対象になる噴霧乾燥機の条件は、病原性微生物を生きたまま粉体化することが可能であることに加え、三つの条件をすべて満たすものと規定された。

 そのうちの一つの条件が、「定置した状態で内部の滅菌または殺菌をすることができるもの」だった。つまり、装置を分解せずにそのままの状態で、内部の病原性微生物を殺し尽くすことができなければ菌が外部に拡散してしまい、生物化学兵器の製造に使えないからだ。大川原化工機の噴霧乾燥機は、滅菌ができるほど高い温度になる構造ではなく、滅菌は不可能だった

 ところが、公安による見込み捜査は2017年頃から開始され、同社の役職員48人に対してのべ26四回に及ぶ任意の取り調べがおこなわれた。公安は、同社が中国の軍需企業とのつながりがあると想定して家宅捜索もおこなったが、もちろん証拠は出なかった

 2020年3月に逮捕された3人は、一貫して無罪を主張し続けたが、勾留は11カ月にも及んだ。勾留中に体調を崩し胃がんであることがわかった相嶋氏は、保釈請求を7回もおこなったが拒否され、2021年2月に死亡した保釈を拒否したのは裁判所だ

 しかし同年8月、東京地検が「同社の噴霧乾燥機が法規制の対象になるとの立証ができない」という理由で、一転して起訴を取り消し、「全面敗北」を宣言した。


偽調書作成し、嘘で恫喝した公安

 今回の東京地裁の判決は、第一に、公安の任意聴取で同社の複数の従業員が「うちの噴霧乾燥機は滅菌に必要な温度に達しない構造だ」と具体的に説明したのに、実験して確認することなく逮捕したこと、検察も公安の捜査をチェックせずに起訴したことは違法だとした。

 第二に、公安の取り調べも違法とした。担当する警部補は、被疑者をだますようにして供述調書を作成したり、弁解録取書(逮捕直後の取り調べ調書)では被疑者が発言していない内容を書いて署名・押印させた

 ただし判決は、逮捕・起訴の根拠となった経産省の輸出規制省令を公安がねじ曲げて解釈し、捜査機関が事件を捏造したとする同社側の主張は退けた

 一方、大川原化工機の代理人弁護士は、この裁判の経過を詳しく発信している。そこから次のことが明らかになっている。

 捜査の中心にいた警部補は、島田順司氏の任意取り調べを35回おこない、供述調書を書いている。その調書は、警部補が取り調べの前に作成していたもので、捜査機関に有利な虚偽の事実が散りばめられていた。そして、島田氏が誤りを1カ所指摘するたびに調書を取り上げるなど、内容を十分に吟味することを妨害した。

 取り調べでは、「菌が少しでも死ねば殺菌に該当するという独自の見解を断定的にのべたり、「大川原化工機の噴霧乾燥機が中国のあってはならない場所に納入されていたのが発覚した」などのウソで島田氏を恫喝した。

 逮捕後の弁解録取書では、「大川原氏らと共謀し、輸出規制に該当する不安を抱えながら無許可で輸出した」という事実と異なる文章を事前につくっておき、島田氏が削除するよう求めると、修正しないまま、修正したように装って署名・押印を求めた。気づいた島田氏は、「警察がまさかこんなことをするとは信じられない」と強く抗議した。

 これについては、昨年6月におこなわれた証人尋問でも明確になっている。原告側弁護士から「経産省が解釈を決めていなかったことに乗じて、公安部が事件をでっちあげた。違いますか?」と聞かれると、別の警部補は「まあ、捏造ですね」「逮捕・勾留の必要性はなかったと思います」「幹部が捏造しても、さらに上の立場の人が防げた可能性があるすでに捜査員からの内部告発が出ていたのだから」と答えた。

 続けて弁護士が「立件する方向になった経緯は?」と聞くと、「捜査員の個人的な欲だと思う」「立件しなければならない客観的な事実はないのに、大量に捜査をしたということは、捜査幹部にそういう欲があったとしか考えられません。定年を視野に、どこまで上に上がれるのか考えたということです」とのべた。

 3人が逮捕された当時、アメリカにこびへつらう安倍政権が中国を念頭に置いた経済安保の旗を振り、警察官僚・北村滋がトップの国家安全保障局にその司令塔である「経済班」が新設された。そのもとで警察や検察、裁判所が安倍政権を忖度して捏造をおこない、みずからの出世のために一般市民の生活を踏みにじってはばからなかった。他方で東京地検特捜部は、政治資金規正法違反が明白な安倍派幹部の立件を見送っている。今回の事件についても、徹底的な検証がされなければ国民は誰も納得しない。
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●《クーデター》《テロ》を追認する司法…《一内閣の一存で転換させた「解釈改憲」に追随…「憲法の番人」の本来の役目》を放棄した仙台高裁

2024年01月04日 00時00分59秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち 報道特集(2017年7月8日)↑]


(2023年12月10日[日])
いまや軍事費倍増武器輸出…。

   『●自民党・村上誠一郎衆院議員「特にわからないのは、(岸信介、安倍晋太郎、
       安倍晋三各氏の)親子3代で統一教会を擁護したのはなぜだったのか」
    【文化庁トップの都倉俊一長官まで旧統一教会とずぶずぶ…
     まさかの黒歴史「記憶が定かではない」で済むのか
     (日刊ゲンダイ)《都倉氏は教団の政治団体「国際勝共連合」が
     1984年に開いた集会に「芸能界の来賓」として参加。勝共連合の
     機関紙「思想新聞」の取材を受け、旧統一教会初代会長も務めた
     久保木総裁の講演について「非常に感銘を受けましたよ全く
     同感ですねなどと絶賛したほか、同紙に連載コラムを持っていた。
     さらに赤旗(18日付)は、勝共連合が「スパイ防止法
     (国家機密法)の制定運動の一環として87年に製作した
     映画「暗号名 黒猫を追え!」の音楽を都倉氏が担当していた
     と報道。スパイ防止法は岸信介元首相が固執していた法制度で、
     孫の安倍元首相が特定秘密保護法として2013年に成立した。
     教団の霊感商法は80年代には社会問題化していたし、勝共連合の
     実態を知らなかったとすれば、文化人の名折れだが──。》

 小椋由紀子記者による、東京新聞の記事【成立から10年「特定秘密保護法」 あれから今まで起きたこと、これから注意するべきこと】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/294231)。《安全保障などに関する政府の情報管理を強化し、国民の「知る権利」を侵す恐れも指摘される特定秘密保護法は6日、成立から10を迎えた。2012年末に発足した第2次安倍政権が戦後の外交・安全保障政策を次々と転換させ、憲法9条を軸とした平和国家の姿を変質させていくきっかけとなった。「戦える国」に向けた動きは、岸田政権下でより内容を伴ったものとなっている。(小椋由紀子)》。

 戦争法や軍事費倍増、軍事国家化…狂っていますニッポン。平和主義平和憲法はどこに行ったの?
 返す返すもあの《クーデター》《テロ》が悔やまれる…アノ戦争法の違憲立法のことである。「戦争のできる国」どころか、「軍事国家」へと堕ちていく。前川喜平さん《…その結果は日本の先進国からの脱落だ。内閣法制局長官の首をすげ替えて強行した集団的自衛権行使に関する憲法解釈の変更。匿名官僚は「総理によるテロだ」と語る》。




 琉球新報社説《安全保障政策は、安倍政権が武器輸出解禁、集団的自衛権行使容認に踏み切りその具体化、実質化を岸田文雄政権が次々に進めている安倍政権が戦争のできる国への大転換を行い、岸田政権は軍事国家へ大転換する役割を果たしている。2次世界大戦までの反省の上に築いてきた日本の平和主義風前のともしびである》。
 東京新聞の【<社説>安保法制訴訟 矛盾と詭弁の判決だ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/294303?rct=editorial)。《集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法違憲性を巡る国家賠償請求訴訟で、仙台高裁は「明白に違憲とはいえない」と断じた。政府が従来の憲法解釈を変更したことを認めつつ、あくまで限定的だからとの理由には到底、納得できない憲法9条は戦争放棄を定めるが、もし日本が武力攻撃を受けた場合はどうなるか。》

   『●壊憲:「国民を置き去りにした状態で法秩序の連続性を
         破壊する行為を、法学的には「クーデター」と呼ぶ」
   『●《歴代内閣が「憲法上許されない」としてきた「集団的自衛権の
            行使」を可能とする》違憲な戦争法の成立から4年
    「《法学的には「クーデター」と呼ぶ》…
     (2015年09月19日 00時00分08秒 | ブログ)
     「「憲法の制定権は主権者である国民に」、その「国民を置き去りに
     した状態で法秩序の連続性を破壊する行為を、法学的には
     「クーデター」と呼ぶ」。その第3幕を、参院特別委員会で
     目の当たりに。あれで「採決」? どこが「可決」??
     Mr.ワタミ渡辺美樹参院議員や(ツイッターでは、
     ヒゲの隊長ならぬ)ヒゲの組長佐藤正久参院議員が大活躍。
     サモシさを感じるね。国会の外が全く見えていない」」

   『●2014年7月1日「7・1クーデター」の第二幕
       …違憲な手法で壊憲するアベ様ら自公政権の暴走
   『●〝戦争法〟施行、5年も経ってしまった…《有事となれば真っ先に狙わ
      れるのは国境の島であり、米軍、自衛隊基地が集中する沖縄である》
   『●映画『妖怪の孫』…《安倍政治は決して過去のものではない。それは
     そのまま岸田政権に引き継がれ、戦争する国へと一直線に向かっている》
   『●《総理によるテロだ》《あれは安倍政権によるクーデターだった》
     《政治的なクーデターだ》《法学的には『法の破壊』がなされた》
   『●「平和憲法」を違憲に壊憲し、戦争できる国に…最早、《平和国家》などと
     諸外国のどこも思っていない。「専守防衛」の組織どころか軍隊となり…
   『●トランプ氏により《安倍政権が「戦争のできる国」への大転換を行い》、
      バイデン氏により《岸田政権は「軍事国家」へ大転換》(琉球新報)
   『●《「専守防衛」のタガは緩み、9条の形骸化…その起点が15年、当時の
     安倍晋三政権が国会内外での反対論を押し切って成立を強行した安保法…》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/294231

成立から10年「特定秘密保護法」 あれから今まで起きたこと、これから注意するべきこと
2023年12月6日 06時00分

 安全保障などに関する政府の情報管理を強化し、国民の「知る権利」を侵す恐れも指摘される特定秘密保護法は6日、成立から10を迎えた。2012年末に発足した第2次安倍政権が戦後の外交・安全保障政策を次々と転換させ、憲法9条を軸とした平和国家の姿を変質させていくきっかけとなった。「戦える国」に向けた動きは、岸田政権下でより内容を伴ったものとなっている。(小椋由紀子


 特定秘密保護法 防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野で、国の安全保障に関連した政策や自衛隊の活動などに必要で秘匿性が高いと判断された情報を特定秘密に指定し、流出しないようにするための法律。2014年12月施行。公務員らが外部に漏らした場合、最高で懲役10年が科される。指定の有効期間は原則最大30年で、内閣の承認があれば延長できる。


 第2次安倍政権は13年12月4日、首相や一部の閣僚だけで重要な外交・安保政策を決められる「国家安全保障会議(日本版NSC)」を発足させた。その2日後には、米国と共有する防衛機密などの漏えいを防ぐことを目的とした特定秘密保護法が成立。政権の中枢に権限と機密情報を集中させた。

 14年4月、武器輸出三原則を見直し、武器の輸出や他国との共同開発を事実上解禁する防衛装備移転三原則閣議決定した。

 同年7月には、歴代政権の憲法解釈を変更し、他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を閣議決定。集団的自衛権行使や米軍支援拡大などを可能とするための安全保障関連法は15年9月に成立した。

 17年6月には、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を含んだ改正組織犯罪処罰法も成立した。運用によっては、政府に批判的な団体への圧力になるとの懸念もある。

 岸田政権も安倍政権の路線を引き継ぐ。22年12月に閣議決定した安保関連3文書には「敵基地攻撃能力反撃能力)」の保有を明記。憲法9条に基づく「専守防衛」を形骸化させるとの指摘は根強い。現在は自民、公明両党で武器輸出ルールの緩和に向けた協議が続いている。

 第2次安倍政権以降、日米の軍事的な一体化と情報管理の強化が進んだ。国民の権利侵害や憲法違反の懸念が拭えないまま、戦争ができる国づくりに向けて、政府の意思決定と政策遂行の密室性が高まっている。


   ◇


◆「チェック機能が実質的に、ない」

 成立してから10年となる特定秘密保護法に関し、NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は、法律の運用状況を監視して、透明性を欠いた政府の対応を改めるよう訴えてきた。特定秘密の存在によって政府の政策実行に至るプロセスが見えにくい状態が続き、国会のチェック機能も果たされていないと問題点を指摘する。(聞き手・中根政人

     (インタビューに答える情報公開クリアリングハウスの
      三木由希子理事長)

 —特定秘密保護法が成立してから、国民にとってどんな変化があったか。

 「特定秘密で社会にどのような影響が出ているかということ自体、外から測りにくい。秘密の保護が強化されることは、非公開の情報収集機能など政府の活動強化が進んでいるということだが、政策の判断も含めてチェックできる機能が実質的にない状態のままだ」


 —特定秘密をチェックするため、内閣府に「独立公文書管理監」が置かれ、衆参両院には情報監視審査会が設置されている。

 「いずれも秘密指定の手続きが適切に行われているかなどを形式的にチェックするに過ぎず、特定秘密に指定された政策の内容に関する審査や監査はできない。非公開の政策判断が正しかったか検証するサイクルが本当に回っているかどうかすら分からないことが根本的な問題だ」


 —特定秘密保護法は、安全保障関連法制定などとともに、安全保障政策を大きく転換させた。

 「国家安全保障会議(NSC)が設置され、安保関連法で自衛隊の活動範囲を従来よりも広げ、敵基地攻撃能力の保有も決めた。そうした政策の核になる部分が特定秘密に指定される。さらに周辺の情報を非公開とすることで保護している。(特定秘密保護法の成立から)全ての政策はつながっている」


 —政府は高い機密性を理由に情報公開に消極的だ。

 「本当に出せない情報以外はなるべくオープンにしていかないと駄目だ。政府が非公開の範囲をいたずらに広げていくと、信頼を損なうことになる。ここ数年でも、公文書を隠蔽(いんぺい)のために改ざんしたり、不自然に廃棄したりと、政治問題化する場面で不審なことをしてきている。それが政府への根深い不信感になっており、改善する必要がある」


 —制度をどう見直すべきか。

 「秘密指定の解除は現在、行政機関が一元的に管理しているが、国民が秘密指定の解除と、指定を解除された情報公開の審査を請求できるような仕組みを設けた方がよい。独立公文書管理監や情報監視審査会のチェック機能の強化も大事な要素だ」


 三木由希子(みき・ゆきこ) 1972年、東京都生まれ。横浜市立大理学部卒。学生時代から情報公開法制定を求める市民運動に携わり、卒業と同時に市民運動のスタッフに。2011年から現職。共著に「高校生からわかる政治のしくみと議員のしごと」など。専修大客員教授も務める。


【関連記事】安倍政権で成立の秘密保護法や安保法 任命拒否された学者6人が問題点指摘<日本学術会議問題>
【関連記事】旧統一教会系と歩んだ安倍氏「3代」…スパイ防止法を巡る歴史から闇を読み解く
【関連記事】戦争と平和は、政治家や官僚に任せるな<柳沢協二さんのウオッチ安全保障>
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/294303?rct=editorial

<社説>安保法制訴訟 矛盾と詭弁の判決だ
2023年12月6日 08時17分

 集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法違憲性を巡る国家賠償請求訴訟で、仙台高裁は「明白に違憲とはいえない」と断じた。政府が従来の憲法解釈を変更したことを認めつつ、あくまで限定的だからとの理由には到底、納得できない

 憲法9条は戦争放棄を定めるが、もし日本が武力攻撃を受けた場合はどうなるか。

 国民の生命も自由も根底から覆される危険がある。それゆえ、その場合に限り必要最小限度の武力を用いて対処する-。この個別的自衛権に基づくことが一貫した政府解釈で、集団的自衛権の行使は認めない立場だった

 だが、2014年に安倍晋三政権は百八十度転換し、集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。戦後の平和国家が想像しえなかった「解釈改憲」に対して、全国各地で反対のデモが起き、憲法学者の大半も違憲だと批判した

 それを押し切り、15年に成立したのが安保関連法である。

 仙台高裁は「従来の憲法解釈を明らかに変更したと素直に述べ、「9条の下で許される武力行使の限界を超えると解する余地もあると半ば認めている

 それなのに政府のいう集団的自衛権の行使は「我が国の存立が脅かされる明白な危険がある」などの要件を満たす場合に限られ、「その限りで容認される解釈」なのだとも述べる。矛盾であろう

 手筋の悪い曲芸のような判断でもある。つまり裁判官の頭の中には、まるで集団的自衛権の種類にも「全体」と「限定」があるかのようだ。「国際法上の集団的自衛権行使が全体として憲法上容認されたわけではない」と判決で述べたのは「全体」についてだ。

 その一方で、政府が容認した集団的自衛権は我が国を防衛するためやむを得ない「限定」的なものだから、「違憲ではない」という論理なのだろう。

 これは詭弁(きべん)ではないのか。「専守防衛が任務だったはずの自衛隊が、他国の紛争にまで介入しうることになる。その現実をどう見ているのだろう。つまりは合憲ありきの判決なのだ。

 確立された従来の政府解釈は、憲法と同じ重みを持つはずだ

 それを一内閣の一存で転換させた「解釈改憲に追随するとは、「憲法の番人」の本来の役目を果たしたとはいえまい。
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●桜井昌司さん《冤罪被害の実態を世の中に広く訴える活動…冤罪をなくすための活動とその成果は東京弁護士会人権賞の受賞に相応しいもの》

2023年01月27日 00時00分01秒 | Weblog

[↑ 映画『オレの記念日』フライヤー(https://oreno-kinenbi.com/wp-content/uploads/2022/08/oreno-kinenbi_flyer.pdf)]


(20230113[])
(当ブログ主の勝手な想い)gooブログ〝仲間〟の桜井昌司さん。ブログ【桜井昌司『獄外記』/布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。】(https://blog.goo.ne.jp/syouji0124)の記事【人権賞】(https://blog.goo.ne.jp/syouji0124/e/8a1fb29a4c4b0cd011dc73e653cc2c63)で、受賞を知りました。《今日は東京弁護士会の人権賞受賞式だった。推薦文を書いてくださった周防正行監督、布川弁護団の谷萩先生、山本先生も来てくださったのだから有り難い限りだ。わざわざ来て頂くなんて申し訳ない思いだった》。受賞、御目出とうございます。

 東京弁護士会のWeb頁を見てみると、【東京弁護士会人権賞】(https://www.toben.or.jp/know/activity/jinkensyou/)という記事が出ています。《東京弁護士会では、1986年(昭和61年度)から、東京弁護士会人権賞を制定し、人権擁護活動に尽力されてきた方々を毎年表彰しています》《桜井昌司氏は、1967年に発生した布川事件で窃盗容疑により別件逮捕され、以後44年間、自らの無実を訴え続け、2011年に再審無罪が確定しました。…同氏による冤罪をなくすための活動とその成果は東京弁護士会人権賞の受賞に相応しいものです》。

 布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男冤罪被害者を支援し、濡れ衣を着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている桜井昌司さん。

   『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、
        検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》
   『●桜井昌司さん《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》
      …検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定
   『●布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、濡れ衣を
        着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さん
   『●《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、
        その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏は…》
   『●金聖雄監督《冤罪被害という絶望的なテーマの中で、私が映画を作り
     ながら希望を見出していくと言う不思議な感覚を、ぜひ映画を観る…》

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https://www.toben.or.jp/know/activity/jinkensyou/

「第37回 東京弁護士会人権賞」受賞者は以下の方々に決定しました(50音順)

東京弁護士会では、1986年(昭和61年度)から、東京弁護士会人権賞を制定し、人権擁護活動に尽力されてきた方々を毎年表彰しています。

候補者の方々はいずれも各分野において、人権擁護活動にご尽力されているところ、今年度も多数の推薦・応募があり、選考の結果、下記の方々が受賞者に決定しました。


     一般社団法人 性的指向および性自認等により困難を抱えている
     当事者等に対する法整備のための全国連合会(LGBT法連合会) 様

     桜井 昌司 様


一般社団法人 性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(LGBT法連合会) 様

LGBT法連合会の創立は2015年であり、性的指向および性自認に関わる当事者・支援者・専門家の団体97団体から成る日本最大の全国連合会として、困難を抱えている当事者等に対する法整備を目的とした事業を実施してきました。

その活動は、当事者が抱える困難の実態を可視化した「困難リスト」の作成、地域会議の開催による当事者・支援者・専門家とのネットワークの構築、経済団体・労働団体との連携による職場における差別禁止の提言や国際団体との協働による署名キャンペーンの展開、LGBT差別禁止法試案の発表・提案など、多岐に及んでいます。

たとえば、超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」と連携して活動しており、同連合会の作成した資料や法試案をもとに、与野党の主要政党が法案を策定あるいは国会に提出などします。また、予算・政策要望の各省庁への提出、性的指向および性自認にかかる差別禁止規定を置いた条例の成立やハラスメント等の事業者への防止措置を義務付ける法制度確立の働きかけとその実現、市民団体の活動へのアドボカシーのサポートや再助成を行い、性的指向や性自認に関する人権擁護のための法施策実現と立法等へ貢献しています。

さらには、同連合会が作成した「困難リスト」や「支援マニュアルガイドライン」が多くの自治体で「職員対応指針」の参考資料とされており、NHKや厚生労働省の調査へ協力して当事者視点の課題を踏まえた支援策の提供にも貢献しています。

以上の諸活動は、東京弁護士会人権賞の受賞に相応しいものです。


桜井 昌司 様

桜井昌司氏は、1967年に発生した布川事件で窃盗容疑により別件逮捕され、以後44年間、自らの無実を訴え続け、2011年に再審無罪が確定しました。

桜井氏は、無罪判決を勝ち取った後も積極的に活動を続けました。まず、2012年には、冤罪となった原因の究明と責任を問うべく検察(国)と警察(県)に国家賠償請求訴訟を提起し、東京地裁に続き2021年8月には東京高裁においても勝訴しました。この訴訟は、他の冤罪事件・国賠事件の道標となると言われています

また、他の冤罪被害者・支援者と積極的に交流し、冤罪をなくすための活動にも積極的に取り組んできました。たとえば、2019年3月には、桜井氏の呼びかけで「冤罪犠牲者の会」が設立され、冤罪事件同士が情報交換や相互支援を通じて連帯しながら冤罪をなくすための運動をしています。また、同年5月には「再審法改正をめざす市民の会」に参加し、共同代表を務めています。

さらには、衆参両議院の法務委員会における参考人や日弁連・各単位会における諸企画の報告者としての発言、書籍の出版や映画、コンサート活動など、冤罪被害者としての社会活動を行い、冤罪被害の実態を世の中に広く訴える活動をしています。

同氏による冤罪をなくすための活動とその成果は東京弁護士会人権賞の受賞に相応しいものです。
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●大崎事件、再審開始を認めず ――― 終始一貫して「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?

2022年07月07日 00時00分55秒 | Weblog

―――――― (里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》



(20220626[])
大崎事件は冤罪である。一貫して「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?

   『●桜井昌司さん《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》
      …検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定
   『●《裁判長は「取り調べや証拠開示などが一つでも適切に行われていれば、
       逮捕・起訴はなかったかもしれません」》と仰ってたのですがね?
   『●布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、濡れ衣を
        着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さん
   『●再審無罪が確定した西山さんの国家賠償請求訴訟で、冤罪を生んだ
     滋賀県警が《今になって西山さんを犯人視する書面を作成、裁判所に》…
   『●人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機の
     大川原社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという》青木理さん

 決定前の中原興平記者による、西日本新聞の記事【イチから学ぶ 大崎事件(上)実は「殺人事件」ではなかった?】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/942867/)によると、《✓ 実は「殺人事件」ではなかった?》《✓ 弁護側が主張する「事故死」の可能性》《✓ 一度は裁判所も認めたけれど…》。
 また、後編記事【イチから学ぶ 大崎事件(下)浮かぶ再審制度の「欠陥」】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/943840/)によると、《✓ 「家政婦は見た!」とは違う〝目撃〟》《✓ 「白い証拠」は隠されていた》《✓ 検察側が繰り返した「うそ」》。

 ………そして、なんでこんな決定になるのだろう? 鹿児島地裁・中田幹人裁判長、なぜ? 「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びは裁判官には届かない…。《これまでに地裁、高裁で3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた》、かつて、最「低」裁ちゃぶ台返ししている。
 山口新太郎記者による。西日本新聞の記事【【速報】大崎事件、再審開始を認めず 95歳、43年前の殺人 鹿児島地裁が第4次請求を棄却】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/944293/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人などの罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを求めている第4次再審請求に対し、鹿児島地裁(中田幹人裁判長)は22日、請求を棄却する決定を出した。弁護団は即時抗告する方針。》

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ……に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益には再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》
   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
       侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?
   『●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性
     ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/942867/

イチから学ぶ 大崎事件(上)実は「殺人事件」ではなかった?
2022/6/20 6:00 [有料会員限定記事]
中原興平

     (再審開始を認める決定を受けて旗を掲げる弁護団
      =2018年3月、宮崎市の福岡高裁宮崎支部(撮影・古瀬哲裕))
     (大崎事件関係者相関図)
     (3兄弟宅の事件当時の配置)
     (被害者の男性が転落したとされる側溝付近=鹿児島県大崎町)
     (原口アヤ子さん夫婦、義弟一家、被害者が住んでいた
      自宅跡地。雑草や雑木が茂る=鹿児島県大崎町)

 この記事のポイントは

―――――――――――――――――――――
実は「殺人事件」ではなかった?
弁護側が主張する「事故死」の可能性
✓ 一度は裁判所も認めたけれど…
―――――――――――――――――――――

 犯人が捕まり、刑務所にも入って解決したはずの殺人事件が「実は殺人事件ではなかった」-そんな可能性が指摘されている事件があります。1979年に鹿児島県大崎町で男性の変死体が見つかった「大崎事件」です。「犯人」とされた原口アヤ子さん(95)は当初から一貫して無実を訴え、繰り返し裁判のやり直しを求めてきました。鹿児島地裁は22日、アヤ子さんの裁判をやり直すかどうかの決定を出します。注目を集める大崎事件の「謎」について、できるだけ分かりやすく説明します。(中原興平)


◆ 既に亡くなっていた?

………。
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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/943840/

イチから学ぶ 大崎事件(下)浮かぶ再審制度の「欠陥」
2022/6/22 6:00 (2022/6/22 10:21 更新) [有料会員限定記事]
中原興平

     (大崎事件の再審請求の結果)
     (大崎事件関係者相関図)
     (警察が現場で撮影していた「行動再現写真」のイメージ。
      2人のすぐそばに目撃者とされる義弟の妻ハナさんが
      写っていた)
     (早期の再審開始を求め、署名を呼び掛ける原口アヤ子さん
      (左)=2004年12月、鹿児島市)
     (95歳の誕生日を迎えた原口アヤ子さん(左)を祝う
      鴨志田祐美弁護士=2022年6月15日(大崎事件弁護団提供))

 この記事のポイントは

―――――――――――――――――――――
✓ 「家政婦は見た!」とは違う〝目撃〟
✓ 「白い証拠」は隠されていた
検察側が繰り返した「うそ」
―――――――――――――――――――――

 1979年に鹿児島県で起きた「大崎事件」で有罪判決を受け、服役までした原口アヤ子さん(95)の裁判をやり直すかどうかを、鹿児島地裁が22日に判断します。最終回のテーマは大崎事件から見える「制度の不備」。できるだけ、分かりやすく説明します。(中原興平)


こっそり見聞きしたはずでは…

 大崎事件の犯行に関わったとされるのは、原口アヤ子さん▽夫の一郎さん▽義弟の二郎さん▽おいの太郎さんの4人。被害者は義弟の四郎さんでした(アヤ子さん以外はいずれも仮名)。前回は一郎さんたちの自白と、二郎さんの妻ハナさん(仮名)が「アヤ子さんと夫の共謀の場面を見た」とする目撃供述の不自然さについて説明しました。

 唐突ですが、アヤ子さんが二郎さんに犯行を持ちかけている場面を、ハナさんはどんなふうに見ていたと思いますか。

 以前、「家政婦は見た!」という人気のテレビドラマが...………。
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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/944293/

【速報】大崎事件、再審開始を認めず 95歳、43年前の殺人 鹿児島地裁が第4次請求を棄却
2022/6/22 10:05 (2022/6/22 12:26 更新)
山口新太郎

     (鹿児島地裁)
     (大崎事件の第4次再審請求が棄却され、「不当決定」と
      書かれた旗を掲げる関係者=22日午前10時過ぎ、
      鹿児島市の鹿児島地裁前(撮影・佐藤雄太朗))
     (大崎事件の第4次再審請求が棄却され、悔しさをにじませる
      鴨志田祐美弁護士(右から2人目)=22日午前10時3分、
      鹿児島市の鹿児島地裁前(撮影・佐藤雄太朗))


 鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人などの罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを求めている第4次再審請求に対し、鹿児島地裁(中田幹人裁判長)は22日、請求を棄却する決定を出した。弁護団は即時抗告する方針。

【関連】イチから学ぶ 大崎事件(上)実は「殺人事件」ではなかった?

 一貫して無実を訴えてきた原口さんは、繰り返し再審を請求。これまでに地裁、高裁で3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた

 確定判決によると、被害者は原口さんの義弟。79年10月12日、酒に酔って道路の側溝に転落し、午後9時ごろ、隣人2人に車の荷台に乗せられて自宅に運ばれた。同10時半ごろ、泥酔して自宅の土間に座り込む義弟を見た原口さんが日頃の恨みを募らせ、同11時ごろに元夫らに持ちかけて絞殺。翌未明に遺体を牛小屋に埋めた-とされている。

 今回の再審請求で弁護側は「被害者は殺されたのでなく、事故死だった」と主張。埼玉医科大高度救命救急センター長の澤野誠医師の医学鑑定と、心理学者らによる隣人2人の供述鑑定を「無罪を言い渡すべき明白な新証拠」として提出した。

 澤野医師の医学鑑定は、遺体の解剖写真や弁護団による再現実験などを基に、被害者が隣人2人に搬送された際の状況を分析した内容。被害者は側溝転落事故で頸髄(けいずい=首の神経)を損傷しており、救急救命の知識のない2人の不適切な搬送で状態が悪化したため、自宅に到着した午後9時過ぎの時点で既に死亡していた可能性が高いと指摘した。

 供述鑑定は、被害者を運んだ2人の話について「隣人供述には体験に基づかない兆候があり、生きている被害者を自宅土間に置いて帰ったとする核心部分は信用できない」と分析。医学鑑定の結論を補強する証拠とした。

 これに対し検察側は、澤野医師の鑑定について「遺体の状況から乖離(かいり)した仮説に過ぎない」、供述鑑定も「結論ありきの分析」と反論。「確定判決の事実認定に何ら影響を及ぼさない」と主張していた。(山口新太郎)
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●大川原化工機事件…でっち上げ事件、《勾留後に亡くなった1人を含め、会社側は起訴取り消しになっても大きな不利益を被りました》

2022年05月03日 00時00分26秒 | Weblog

(20220424[])
鶴信吾記者による、アサヒコムのシリーズ記事【冤罪はこうしてつくられた 大川原化工機事件を追う】(https://www.asahi.com/rensai/list.html?id=1475&iref=comtop_ThemeRight_link)。

 《ある日突然、警察が身に覚えのない嫌疑で会社や自宅に踏み込んできたら逮捕され、1年近くも保釈されなかったら――現代の日本で実際に起きた話だ。当事者たちはどう向き合ったのか。5回の連載で報告する》。

   『●人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機の
     大川原社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという》青木理さん

 《専制国家での話ではなく、現代の日本で実際に起きた話だ》《「これが法治国家なのか」 戻らない命、不当逮捕された社長は問う》《身に覚えのない疑いで逮捕・起訴され、勾留は11カ月以上に及んだ。ところが初公判直前、起訴は突然取り消しに勾留中に1人は病で亡くなった》。
 どこまで暗黒の国の刑事司法? 《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的》…何にも変わらず。何の反省も無し。

 再度、昨年11月のアサヒコムの記事【ある技術者の死、追い込んだのは「ずさん」捜査 起訴取り消しの波紋】(https://www.asahi.com/articles/ASPC374G6PBDUTIL03Q.html?_requesturl=articles%2FASPC374G6PBDUTIL03Q.html&pn=14)によると、《一人の技術者が今年2月、病院で息を引き取った。機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の顧問だった相嶋静夫さん、72歳。胃がんだった》。
 さらに、2021年10月の東京新聞の【社説/週のはじめに考える ロバートはいないから】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/136003)によると、《最近でも初公判の四日前に「起訴取り消しという前代未聞の出来事がありました。横浜市の機械製造会社「大川原化工機」の社長らが逮捕・起訴された事件です。…社長の身柄拘束は実に約十一カ月間も…罪を認めない限り拘束が続く人質司法そのものです。まるで“拷問”と感じたことでしょう。逮捕された三人のうち一人は勾留中に体調を崩し、自宅療養の末に死亡しています》。

 人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》。
 【第1回 「令状出てますんで」突然の家宅捜索 できあがっていた調書】(https://www.asahi.com/articles/ASQ2K5QP5Q10UTIL02K.html?iref=pc_rensai_short_1475_article_1)、《始まりは2018年10月3日だった。午前7時過ぎ、大川原正明さん(72)は社長を務める会社に向かおうと、横浜市の自宅を出た。そこで、男たちに声をかけられた。「外為法違反です。令状、出てますんで」》。
 【第2回 291回もの任意聴取、協力した果ての逮捕 勾留よりつらかったこと】(https://www.asahi.com/articles/ASQ2K5QS0Q10UTIL02L.html?iref=pc_rensai_short_1475_article_2)、《強引な捜査、頭に浮かんだ「人質司法」》。

 《罪を認めない限り拘束が続く「人質司法」そのものです。まるで“拷問”と感じたことでしょう》。
 【第3回 「むちゃな逮捕、違法では」 捜査側のストーリー崩した72回の実験】(https://www.asahi.com/articles/ASQ2K5QWDQ10UTIL02M.html?iref=pc_rensai_short_1475_article_3)、《生物兵器に転用できる噴霧乾燥機を不正に輸出したとして、社長の大川原正明さん(72)ら3人が逮捕された噴霧乾燥機のトップメーカー「大川原化工機」。3人を取り戻すため、社員たちは無実を証明する実験に取り組むことにした》。
 【第4回 「これが法治国家なのか」 戻らない命、不当逮捕された社長は問う】(https://www.asahi.com/articles/ASQ4L321CQ47UPQJ005.html?iref=pc_rensai_short_1475_article_4)、《生物兵器に転用可能な機械を不正に輸出した――。横浜市に本社を置く化学機械メーカー、大川原化工機の大川原正明社長(72)ら幹部3人は、身に覚えのない疑いで逮捕・起訴され、勾留は11カ月以上に及んだ。ところが初公判直前、起訴は突然取り消しに。勾留中に1人は病で亡くなった。岸田政権は経済安全保障推進法の今国会成立をめざすが、こうした「ずさん」な捜査は防げるのか、問題点はどこにあるのか。大川原社長に聞いた》。
 【第5回 事実上の刑罰、取り返しつかない結果に 元裁判官が語る「人質司法」】(https://www.asahi.com/articles/ASQ3H7H4TQ3HUTIL020.html?iref=pc_rensai_short_1475_article_5)、《機械メーカー「大川原化工機」の社長らが不正輸出に関わったとして長期間勾留された末、起訴が取り消された事件。この連載では捜査に翻弄(ほんろう)される会社と、社員や弁護士らが実験を通じて無実を証明していった一部始終を追いました。…勾留後に亡くなった1を含め、会社側は起訴取り消しになっても大きな不利益を被りました》。

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https://www.asahi.com/articles/ASQ2K5QP5Q10UTIL02K.html?iref=pc_rensai_short_1475_article_1

第1回
「令状出てますんで」突然の家宅捜索 できあがっていた調書
鶴信吾 2022年4月18日 12時00分

 始まりは2018年10月3日だった。

 午前7時過ぎ、大川原正明さん(72)は社長を務める会社に向かおうと、横浜市の自宅を出た。そこで、男たちに声をかけられた。

 「外為法違反です。令状、出てますんで」

 男らは警視庁公安部の捜査員を名乗った。

 「何の件ですか」

 大川原さんは驚きながら尋ねたが、彼らは「捜査の秘密ですから言えません」と答えるだけ。自宅の家宅捜索が始まった。

 それからおよそ2時間後、大川原さんが社長を務める機械メーカー「大川原化工機」の横浜市都筑区にある本社には、50人を超える捜査員が集まっていた。こちらでも家宅捜索が始まった。

 大川原化工機は「知る人ぞ知る」会社だ。手がけるのは、液体を粉に加工する「噴霧乾燥機」。身近なものではカップラーメンのスープ用粉末や粉末コーヒーを作るのに、噴霧乾燥機が使われている。医薬品や電池の材料にもなる。大川原化工機はこの分野で国内シェアトップのメーカーだ。

 ――――――――――――――――――――
 ある日突然、警察が身に覚えのない嫌疑で会社や自宅に踏み込んできたら。逮捕された社長や役員が勾留され、1年近くも裁判官に保釈を許されなかったら――専制国家での話ではなく現代の日本で実際に起きた話だ。当事者たちはどう向き合ったのか。5回の連載で報告する。
 ――――――――――――――――――――

 「いま、警察がたくさん会社に来ています」

 東京・大手町に事務所を構える高田剛弁護士のもとに、大川原化工機の社員から電話がかかってきたのは、捜索のさなかだった。高田さんは大川原化工機の顧問弁護士。経験のない出来事に、動揺している様子が電話越しにも伝わってきた。

 「何か心あたりは?」…
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https://www.asahi.com/articles/ASQ2K5QS0Q10UTIL02L.html?iref=pc_rensai_short_1475_article_2

第2回
291回もの任意聴取、協力した果ての逮捕 勾留よりつらかったこと
鶴信吾 2022年4月19日 12時00分

     (事件について語る大川原正明さん=2021年12月、
      横浜市、鶴信吾撮影)

 家宅捜索から1年半が経った2020年3月11日、横浜市の機械メーカー「大川原化工機」社長の大川原正明さん(72)と役員の島田順司さん(68)、顧問の相嶋静夫さん(当時71)は外為法違反容疑で警視庁公安部に逮捕された。

 「逮捕です。家宅捜索するので立ち会ってください」。この日、大川原さんの自宅に現れた捜査員が言った。

 「やっぱりそうか」

 大川原さんがそう思ったのには理由があった。

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 【連載初回はこちら】「令状出てますんで」突然の家宅捜索 できあがっていた調書
 ある日突然、警察が身に覚えのない嫌疑で会社や自宅に踏み込んできたら。逮捕された社長や役員が勾留され、1年近くも裁判官に保釈を許されなかったら――。専制国家での話ではなく、現代の日本で実際に起きた話だ。当事者たちはどう向き合ったのか。5回連載の2回目です。
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 この半年ほど前、1冊の本を手に入れていた。タイトルは「実録『国策捜査』―無許可輸出事件の闇」(文芸社)。精密機器メーカー「セイシン企業」(東京)が外為法違反(無許可輸出)の疑いで摘発された事件を当事者の目線で描いている。

 セイシン企業と同社の幹部は、ミサイルの飛距離を伸ばすための研究開発に使われる機械をイランに不正に輸出したとして警視庁公安部に摘発され、04年に有罪判決を受けた。


強引な捜査、頭に浮かんだ「人質司法」

 「強引な捜査。似ている………
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https://www.asahi.com/articles/ASQ2K5QWDQ10UTIL02M.html?iref=pc_rensai_short_1475_article_3

第3回
「むちゃな逮捕、違法では」 捜査側のストーリー崩した72回の実験
鶴信吾 2022年4月20日 12時00分

     (国家賠償請求訴訟を提起した際の記者会見。
      高田剛弁護士(左)や大川原正明さん(中央)、
      島田順司さんらが出席した=2021年9月8日、
      東京都千代田区、鶴信吾撮影)

 生物兵器に転用できる噴霧乾燥機を不正に輸出したとして、社長の大川原正明さん(72)ら3人が逮捕された噴霧乾燥機のトップメーカー「大川原化工機」。3人を取り戻すため、社員たちは無実を証明する実験に取り組むことにした。

 警視庁の主張は「熱によって滅菌または殺菌できる」というものだった。これに対し、内部には温度が上がらない部分があり、菌は死滅しないということは、社員らが任意の聴取で警察に伝えていた。

 「経験的に温度が上がらないことは知っているが、それを実験で証明しなくてはならない」。社員たちはそう考えたという。

 実験の舞台となったのは、静岡県富士宮市にある研究所。社員が横浜市の本社から毎回のように出張した。

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 【連載初回はこちら】「令状出てますんで」突然の家宅捜索 できあがっていた調書
 ある日突然、警察が身に覚えのない嫌疑で会社や自宅に踏み込んできたら。逮捕された社長や役員が勾留され、1年近くも裁判官に保釈を許されなかったら――。専制国家での話ではなく、現代の日本で実際に起きた話だ。当事者たちはどう向き合ったのか。5回連載の3回目です。
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 2020年3月の逮捕後に実験を始めるとすぐ、予想していた結果が得られた。社員の考えた通り、温度が上がりにくい部分が複数箇所あった。

 大川原化工機の弁護人を務める高田剛さんは、初夏までには捜査当局の主張を覆すことができるという感触を得た。

 6月30日に検察が裁判所に…
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https://www.asahi.com/articles/ASQ4L321CQ47UPQJ005.html?iref=pc_rensai_short_1475_article_4

第4回
「これが法治国家なのか」 戻らない命、不当逮捕された社長は問う
聞き手・岸善樹 2022年4月21日 12時00分

     (大川原正明さん)

 生物兵器に転用可能な機械を不正に輸出した――。横浜市に本社を置く化学機械メーカー、大川原化工機の大川原正明社長(72)ら幹部3人は、身に覚えのない疑いで逮捕・起訴され、勾留は11カ月以上に及んだ。ところが初公判直前、起訴は突然取り消しに勾留中に1人は病で亡くなった。岸田政権は経済安全保障推進法の今国会成立をめざすが、こうした「ずさん」な捜査は防げるのか、問題点はどこにあるのか。大川原社長に聞いた。

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 【連載初回はこちら】「令状出てますんで」突然の家宅捜索 できあがっていた調書
 おおかわら・まさあき 1949年生まれ。大川原化工機は横浜市に本社を置き、従業員90人。噴霧乾燥機の国内シェアは約70%。
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 ――どういう経緯で、社長たち3人は逮捕・起訴までされたのですか。

 「2018年10月3日、警視庁公安部が大川原化工機本社へ家宅捜索に入りました。外国為替及び外国貿易法(外為法)違反の容疑です。生物兵器の製造に転用できる機械を無許可で中国などに輸出した疑いがあるというのです」

 「任意の事情聴取が続き、私は記録にあるだけで42回、当時は海外営業担当の取締役だった島田順司さんは35回、技術開発の中心で顧問をお願いしていた相嶋静夫さんは18回に達しました。50人の社員も計260回を超える事情聴取を受けました。大量破壊兵器の不拡散に関する国連安保理決議を踏まえた輸出規制の枠組みである『国際輸出管理レジーム』には、日本ももちろん参加していますが、そのハンドブックによると、問題にされた製品は該当品ではありません。日本の法令文書を読んでも該当するとは思えません。不正輸出などしていないのだから、きちんと協力し、データと根拠を挙げて説明しました。でも、向こうはまったく聞く耳を持ちません。20年3月、3人とも逮捕されました」

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 記事の後半では、捜査への疑問や、軍事転用を防ぐための輸出規制強化に協力してきた理由について言及しています。また、国会で審議されている経済安全保障推進法案(経済安保法案)をめぐる課題も指摘しています。
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 ――警察は何を問題視したのですか。

 「液体を粉に加工する噴霧乾…
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https://www.asahi.com/articles/ASQ3H7H4TQ3HUTIL020.html?iref=pc_rensai_short_1475_article_5

第5回
事実上の刑罰、取り返しつかない結果に 元裁判官が語る「人質司法」
2022年4月22日 14時00分

     (水野智幸・法政大法科大学院教授=2022年3月10日
      午後3時、東京都千代田区、鶴信吾撮影

 機械メーカー「大川原化工機」の社長らが不正輸出に関わったとして長期間勾留された末、起訴が取り消された事件。この連載では捜査に翻弄(ほんろう)される会社と、社員や弁護士らが実験を通じて無実を証明していった一部始終を追いました。

 勾留後に亡くなった1人を含め、会社側は起訴取り消しになっても大きな不利益を被りました。一連の捜査を専門家はどうみるのか。元裁判官で法政大法科大学院教授の水野智幸さんに話を聴きました。

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 みずの・ともゆき 法政大法科大学院教授(刑事法)、弁護士。1962年生まれ。88年に裁判官になり、静岡や大阪、東京、千葉の各地裁の判事などを経て、2012年から現職。フジテレビ系ドラマ「イチケイのカラス」では、裁判所監修を担当した。
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 ――今回の捜査には、どのような問題があったのでしょうか。

 「人質司法」の悪い側面が典型的に出た事案だと思います。この言葉は、身柄を拘束することで自白を引き出そうとする捜査手法を批判的に表したもの。捜査当局はそんな手法は存在しないと否定しますが、実際にはあると思います。

 警察、検察が事件を有罪にするにあたって一番メリットがあるやり方だからです。容疑者は身柄を拘束されたことでつらくなり、自白する。あるいは自白しなくても、証拠隠滅や逃亡の危険がなくなるので、捜査当局にとってはメリットしかないわけです。


鈍感な捜査当局は想像できない

 一方で、被告にとってマイナ…
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●人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機の大川原社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという》青木理さん

2022年01月30日 00時00分38秒 | Weblog

(2022年01月29日[土])
文化放送の記事【青木理「こんなにひどいことはない」日本の刑事司法における人質司法という問題〜1月28日「大竹まこと ゴールデンラジオ」】(https://www.joqr.co.jp/qr/article/40746/)。

 《1月28日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)にて、でジャーナリストの青木理がゲストに登場し、日本の刑事司法における人質司法という問題について、青木が具体例を挙げながら説明した。化学機械メーカー「大川原化工機」の大川原社長らは2020年3月、経済産業相に許可申請が必要な「スプレードライヤー」と呼ばれる噴霧乾燥機を無許可で中国などに輸出したとして警視庁公安部に逮捕された。生物兵器製造に転用可能な噴霧乾燥機を不正に輸出したとして外為法違反罪などで起訴され、その後起訴が取り消された》。

 《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的》…何にも変わらず。何の反省も無し。

   『●教員について密告させ、労組を監視する=
        自公支持者の皆さんの大好きな「超・監視管理社会」
   『●「検察・警察も冤罪防止のために“前向き”」?…
       刑事訴訟法の「改正案が成立すれば、新たな冤罪を生む」
   『●青木理さん「供述が立証の柱…もっと物証が欲しい。
         「通信傍受を縦横無尽に使いたい。司法取引も」と…」
    《…犯罪が起きる前だから、供述が立証の柱になる。それだけに頼っては
     冤罪(えんざい)だらけになる。もっと物証が欲しい。「通信傍受
     縦横無尽に使いたい。司法取引も」と考えるだろう》
    「さて、《真面目な警察官であれば何を考えるか》? デンデン王国
     「裸の王様」アベ様の御好きな超管理社会・監視社会・密告社会です。
     自公お維の議員の皆さん、支持者の皆さん、無関心派「眠り猫」の
     皆さん、本当にそんな社会を目指しているのですか? あまりに
     悍ましいと思うのですが…。《政治や社会の矛盾に声を上げる人が
     疑われる社会は健全か》? 「平成の治安維持法」があるような社会は
     健全ですか? 青木さんは《社会に異議申し立てする人が片端から
     捜査対象になる社会は、断じていい社会ではない》と」

   『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…
      代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚
    「《司法取引が導入されれば、冤罪のリスクが大きくなることは明白だ
     …実は日本人は多少の冤罪はやむなしと考えているのか》? 
     《なぜ検察不祥事端を発する検察改革論争の末
     検察の捜査権限を強化するような法律ができてしまうのか》??」

   『●検察による恣意的・意図的な証拠の不開示、証拠の隠蔽や
             喪失、逆に、証拠の捏造…デタラメな行政
   『●《良心に従い職権を行使する独立した存在》ではない
     大久保正道裁判長である限り、アベ様忖度な「行政判断」が続く
   『●《「自白の強要をされたという認識に変わりはない」と反論…
            いまだにこんな水掛け論になるのかと嘆かわしい》
    「《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的代用監獄人質司法
     …《日本の刑事司法制度は国際的水準に達していない》。
     「人質司法」は未だに《国際的にも悪評が高い》。
     《弁護士の立ち会い…多くの国・地域で認めている制度》である
     にもかかわらず、ニッポンでは認められていない。
     《録音・録画(可視化)》もほとんど進まず、
     《事後検証が不可能に近い》。《弁護士の立ち会いが任意段階から
     認められていれば、誤認逮捕という人権侵害もなかったはずだ》」

   『●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…
      無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》
   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

   『●《「証拠は再審請求の段階でも捜査側に偏在している」…検察は掌中の
         証拠をあまねくオープン》にするよう裁判所は訴訟指揮すべきだ

 で、こんなことが許されていいのか! ―――――《官邸の忠犬政権の爪牙山口敬之氏の逮捕を潰した最重要キーマン》中村格氏が警察庁長官に…。前川喜平さん《中村の警察庁長官就任は、安倍・菅政権の腐敗を象徴する人事だ》。金子勝さん《権力に近ければ、罪を犯しても逮捕されない…公安警察・検察が安倍政権を支配していることに事の本質がある》。青木理さんは《…本来は一定の距離を保つべき政権と警察・検察が近づき過ぎるのは非常に危うい民主主義国家として極めて不健全な状態と言わざるを得ません》。



【ゲスト:青木理】2022年1月28日(金)大竹まこと 室井佑月 青木理【大竹メインディッシュ】【大竹まことゴールデンラジオ】
https://www.youtube.com/watch?v=8beDFoHuhH0


 大川原化工機へのデタラメな冤罪逮捕、数カ月前に同ラジオで青木さんが仰っていた。過去の記事を調べてみると…。
 11月のアサヒコムの記事【ある技術者の死、追い込んだのは「ずさん」捜査 起訴取り消しの波紋】(https://www.asahi.com/articles/ASPC374G6PBDUTIL03Q.html?_requesturl=articles%2FASPC374G6PBDUTIL03Q.html&pn=14)によると、《一人の技術者が今年2月、病院で息を引き取った。機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の顧問だった相嶋静夫さん、72歳。胃がんだった》。
 さらに、10月の東京新聞の【社説/週のはじめに考える ロバートはいないから】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/136003)によると、《最近でも初公判の四日前に「起訴取り消しという前代未聞の出来事がありました。横浜市の機械製造会社「大川原化工機」の社長らが逮捕・起訴された事件です。…社長の身柄拘束は実に約十一カ月間も…罪を認めない限り拘束が続く人質司法そのものです。まるで“拷問”と感じたことでしょう。逮捕された三人のうち一人は勾留中に体調を崩し、自宅療養の末に死亡しています》。

 入管によるウィシュマさんの〝殺人〟にもつながるデタラメぶり。

   『●《「人間として扱って欲しい」…ウィシュマさんの遺品である番号が
       振られた青いシャツの写真を示し、人間は数字ではない、と》…
   『●《人道上の対応》? 《ウィシュマンさんの名誉や尊厳の観点》から
      同席拒否? ➙《遺族は弁護士の同席を強く希望して》るんだよ!
   『●武田砂鉄さん《忘却に加担するのか、しっかり掘り返して問うのか、
     メディアが問われている。またいつもの感じでやっているの…》
   『●古川禎久法相「捜査機関で死因含め、適正な捜査が行われる」はホント
       なのか? ウィシュマさん事件で入管幹部らを殺人容疑で刑事告訴

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https://www.joqr.co.jp/qr/article/40746/

青木理「こんなにひどいことはない」日本の刑事司法における人質司法という問題〜1月28日「大竹まこと ゴールデンラジオ」
番組レポ
1/28, 2022

 1月28日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)にて、でジャーナリストの青木理がゲストに登場し、日本の刑事司法における人質司法という問題について、青木が具体例を挙げながら説明した。

 化学機械メーカー「大川原化工機」の大川原社長らは2020年3月、経済産業相に許可申請が必要な「スプレードライヤー」と呼ばれる噴霧乾燥機を無許可で中国などに輸出したとして警視庁公安部に逮捕された。生物兵器製造に転用可能な噴霧乾燥機を不正に輸出したとして外為法違反罪などで起訴され、その後起訴が取り消された

「警察に一度逮捕されたら、軽い罪であっても、犯行を否認する限りは、釈放もされず、保釈もされない。逆に言えば保釈を受けたい一心で、罪を認めてしまう。警察も、保釈をちらつかせて容疑を認めさせようとする。今回の件では330日拘留された。社長と、営業担当の役員と技術の担当者の3人だったから、中小企業だったこの会社には大打撃。それまで30億くらいの年間売上高が20億くらいまで落ちた。今、国家賠償請求訴訟をやっている」

 人質司法について取材してきて、こんなにひどいことはないと感じたという青木。

「3人のうちの1人が癌だった。保釈もされずに癌で亡くなった。3月に逮捕されて、9月に貧血や黒い便など、明らかな体調不良があり輸血処置を受けた。当然、弁護団は適切な医療処置を受けるために保釈請求をする。ところが、証拠隠滅の恐れがあるといって却下された。その後に、拘置所の中で内視鏡の検査も受けた。そうしたら、胃に悪性の癌が見つかった。癌治療のために保釈請求したけど、これも却下された。結果的に10月7日に癌だとわかったが、その後に弁護団は拘留執行の一時停止を申し立ててこれをようやく認めてもらった。10月16日に近くの病院に連れていったら、やっぱり相当悪い癌だった。精密検査が必要だと病院でわかっても、また保釈請求は却下された。息子さんが必死に受け入れてくれる病院を探して、拘留執行の一時停止の再申請をして15日間認められて病院に行ったけど、病院の人にもなんでこんなになるまでほっといたんだと言われるくらいだった。その段階では手術もできない。抗がん剤治療も今すぐには受けられない。結局、翌2021年の2月にお亡くなりになった

 何とも痛ましい話であるが、青木が人質司法について一番ひどいと思ったのは、次の通りだという。

「息子さんが必死になって見つけた病院は首都圏の病院。首都圏の病院だから、前の日にホテルに泊まって次の日に病院に連れていこうとしたら、それはだめだという。拘留の一時停止執行中に滞在していいのは自宅か病院だけだと言われた。この方は、自宅が静岡県の富士宮。だから、東京拘置所から富士宮まで息子さんが連れて行って、富士宮で一泊して、翌日首都圏までもう一度連れてきて、それでようやく入院できた」

 100歩譲って検察が抵抗するのはわかるが、何故裁判所が認めないのか。裁判所には裁判所の論理があるという。

「裁判所の論理で言うとカルロス・ゴーンの事件があったでしょ? 保釈したら逃げちゃった。保釈して何かあったら、裁判官が責任を問われる。言ってしまえばメリットが無い

 では、人質司法が無くなるためにはどうすればよいのか。青木曰く、

「刑事司法では、本来は逮捕されてもすぐ身柄を釈放されるのが原則、裁判所がもう少ししっかり判断しないといけない。権力機構をチェックするシステムが本来ある。起訴をする権利は検察官にある。公安の操作を確認して、本来検察がはねないといけない。他にもたくさんチェック機構があるが、これが機能していないのが問題」


 「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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https://www.asahi.com/articles/ASPC374G6PBDUTIL03Q.html?_requesturl=articles%2FASPC374G6PBDUTIL03Q.html&pn=14

ある技術者の死、追い込んだのは「ずさん」捜査 起訴取り消しの波紋
鶴信吾 2021年11月4日 16時00分

     (大川原化工機の社屋=
      2021年8月24日午後2時39分、横浜市、鶴信吾撮影)

 一人の技術者が今年2月、病院で息を引き取った。機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の顧問だった相嶋静夫さん、72歳。胃がんだった。

 この11カ月前、相嶋さんは社長の大川原正明さん(72)や元役員の島田順司さん(68)とともに警視庁に逮捕され、起訴されていた。

 かけられた嫌疑は、兵器の製造に転用できる機械を無許可で輸出した、という外国為替及び外国貿易法(外為法)違反だった。ところが相嶋さんが亡くなってから5カ月たった今年7月、東京地検は大川原さんと島田さんの起訴を取り消した機械が規制の対象外だった可能性が浮上したためだ。

 相嶋さんは拘置所に勾留されている間にがんの診断を受け、生前に名誉回復を果たすことはかなわなかった。会社側の弁護士は捜査を「当局の暴走」と批判し、遺族は「責任を明確にしてほしい」と訴えている。

     ◇

 大川原化工機は、1980年代から開発・販売する「噴霧乾燥機」で国内シェアトップのメーカーだ。液体を粉に加工する機械で、カップラーメンのスープの粉や粉末コーヒーの製造工程で活用されている。

 この機械が捜査対象になった。

 外為法では、一定の要件(性能など)を満たす機械は生物兵器の製造に転用できるとして、輸出には国の許可が必要だとしている。

 輸出規制の要件の一つに「装置の内部の滅菌または殺菌ができること」があった。噴霧乾燥機に備え付けられているヒーターを使えば装置内部を温めることができ、温度が90度以上に上昇するため滅菌や殺菌ができる、というのが警視庁の見立てだった。

 2018年10月、警視庁は大川原化工機を家宅捜索した。

 だが会社側は「装置は滅菌や殺菌をできる性能は備えていない。だから経産省にも許可申請をする必要もない」と考えていた。後に会社の代理人弁護士が実験したところ、内部が50度程度にしかならない部分が見つかったという。

 「何を疑われているのかさえ分からなかった」。大川原さんは振り返る。

 幹部や社員ら約50人が任意の事情聴取に計264回応じた。それにもかかわらず、3人は家宅捜索から1年5カ月後に逮捕された。

 3人は一貫して無実を訴え
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/136003

社説 週のはじめに考える ロバートはいないから
2021年10月10日 07時34分

 黒人の天才ピアニストが白人の運転手とともに米国南部まで演奏旅行に行く−そんな映画「グリーンブック」をご覧になった方も多いでしょう。

 一九六二年が舞台なので、南部では人種差別が色濃く残っています。こんなシーンがありました。


◆「禁止の貼り紙」あるが

 警官が二人の車を止めます。白人の運転手はイタリア系ゆえ、警官に「半分黒人」と罵(ののし)られ、思わず殴ってしまいます。もちろん二人は警察の留置場に入れられ…。

 でも、黒人のピアニストは暴力を振るっていません。「なぜ私が?」と抗議しますが、鼻で笑われます。「弁護士と話したいその権利を侵害するのか」−。

 日本国憲法には三一条から四〇条まで、ずらりと刑事手続きの条文が並んでいます。

 裁判を受ける権利、弁護人に依頼する権利、自白のみの処罰禁止、もちろん拷問による自白は証拠とできないことも…

 「憲法とは過去の国家権力の失敗を列挙したもの」と明快な説明をする学者がいます。それに従えば憲法に列挙された数々の「禁止の貼り紙」は過去の暗黒時代を映し出しています弁護士も呼べず、自白の強要が横行し、拷問が加えられた戦前の光景が…

 「蟹(かに)工船」を書いた作家・小林多喜二拷問死したことは知られています。雑誌編集者や新聞記者約六十人が逮捕された「横浜事件」でも、竹刀などで殴打を繰り返され、四人が獄死しています。


◆「疑わしきは」の原則に

 でも戦後は新憲法に「禁止の貼り紙」をしたのに、冤罪(えんざい)がなくならないのはなぜでしょう。

 最近でも初公判の四日前に起訴取り消し」という前代未聞の出来事がありました。横浜市の機械製造会社「大川原化工機」の社長らが逮捕・起訴された事件です。

 警視庁公安部が事件化したのですが、容疑は「生物兵器の製造に転用可能な装置を不正輸出した」という外為法違反でした。

 「生物兵器」とはおどろおどろしい感じですが、装置とは噴霧乾燥器です。液体混合物を熱風で乾燥させ、粉にする装置で、インスタントコーヒーの製造などで広く普及しているものでした。

 もちろん「装置が規制対象でないことは明白だった」と社長側は怒り、違法捜査で損害を受けたと訴訟を起こしています。

 社長の身柄拘束は実に約十一カ月間も…罪を認めない限り拘束が続く人質司法そのものです。まるで“拷問”と感じたことでしょう。逮捕された三人のうち一人は勾留中に体調を崩し、自宅療養の末に死亡しています

 検察は「再捜査で判断を見直した。反省すべき点もあった」と述べています。このケースは「起訴取り消し」になりましたが、近年でも冤罪が絶えません

 布川事件東京電力女性社員殺害事件湖東病院事件など「再審無罪」が相次ぎます。捜査も裁判も誤りだったのです

 再審の扉すら開かないケースも多々あります。鹿児島の大崎事件では再審無罪となるべき新証拠を弁護団が出しても、最高裁がその価値を一蹴し、高裁が認めた再審を取り消してしまいました

 そもそも本当に「殺人」なのかも怪しい事件です。被害者が自転車で側溝に転落した際の「出血性ショック死の可能性が高い」と新鑑定は述べているのですから。確定判決時の旧鑑定でも「他殺を想像させる」程度の記述でした。

 問題点は明白です。「疑わしきは被告人の利益にの鉄則反しているのです。この原則は再審請求にも当てはまるのですから…。知的障害のある人を強引に責めて「自白」に導き、主犯とされた女性の関与を認めさせる−そんな捜査手法にも問題があります

 無罪に導きうる証拠を検察が握っていても、開示は裁判官の「さじ加減」次第−といった問題も浮かびました。刑事訴訟法の再審関連の条文が七十年以上も放置されていることも問題でしょう。

 証拠保全証拠開示のルール化などは必須です。検察官が誠実とは限らないのですから。


◆自由への扉閉ざすな

 冒頭の黒人ピアニストは警察の留置場から出ることができました。「弁護士」への電話によって…。もっとも、その相手は当時のロバート・ケネディ司法長官。ピアニストの友人だったわけです。警官を殴った運転手まで留置場を出られたのはご愛嬌(あいきょう)でしょう。

 しかし、日本で無実を訴える人々にはそもそも電話できる「ロバート」などいません。ならば再審制度の作り直しが急務です

 冤罪はあまりに残酷です罪なき者の自由への扉を閉ざす司法とは、「貼り紙」前の暗黒時代と本質は同じです。
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●《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏は…》

2021年12月30日 00時00分59秒 | Weblog

(20211205[])
神保哲生さんのビデオニュースドットコムの記事【布川”冤罪”事件の悲劇を繰り返さないために/マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1078回) ゲスト 桜井昌司(さくらい しょうじ)布川事件元被告人・冤罪被害者】(https://www.videonews.com/marugeki-talk/1078)。

 《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない桜井昌司氏はまさに画に描いたような冤罪事件の被害者だ》。

 ましてや、死刑執行されていては、冤罪死刑囚を生き返らせることは不可能だ。あまりに残酷だ、久間三千年(くま・みちとし)さんの死刑執行を思うと。
 《検察による口封じ殺人》《国家による殺人》…。布川事件冤罪被害者桜井昌司さん《無惨に殺された人の無念を晴らす殺したのは誰か検察庁です》と。当時の首相は麻生太郎氏、飯塚を含む福岡8区の出身。その麻生太郎内閣の法務大臣は森英介氏。2008年10月16日、足利事件のDNA再鑑定で、直ぐに、久間さんの死刑執行は停止されるべきだった ――― しかし、わずか10日ほど後の10月28日、死刑は執行された…。首相や法相、検察・警察の関係者、あまりに冷酷だ…。関わった裁判官も。《各裁判所は、弁護側が指摘したさまざまな疑問・矛盾を無視。結局、科警研の「MCT118型鑑定」によるDNA型鑑定をほぼ唯一の根拠とした死刑判決が確定した》。
 《無実の罪で29年間の服役を強要された桜井、杉山両氏は刑事補償法に基づき1億3千万円(1日あたり1万2500円×365日×29年)と1審から上告審までにかかった裁判費用の約1500万円が支払われることになった》…刑事補償法では冤罪死刑囚にどう《補償》するのだろうか?

   『●飯塚事件は《足利事件に続いて「DNA冤罪=DNA型鑑定を悪用した
     冤罪」が発覚するのを恐れた検察による口封じ殺人ではなかったか……》

 布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、濡れ衣を着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている桜井昌司さん。
 《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない》《桜井氏が失った29年間の自由と、桜井氏やその家族が44年間背負い続けた「殺人犯」というレッテルの重荷は、いかなる形でも取り戻すことはできない》。布川事件桜井昌司さんは《冤罪で服役29》《事件発生から54年の長い時間》…検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定しました。54年の苦難にとても報いることはできませんが、その一部に少しでも報いられたとしたら、この判決を歓迎すべきかと思いました。検察や警察は《判決の結果を真摯に受け止め》、二度とこのような冤罪被害者が出ないよう、改善を約束すべきです。そのために何をすべきかを明らかにすべき。

   『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、
         検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》
   『●桜井昌司さん《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》
      …検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定
   『●布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、
     濡れ衣を着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さん

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https://www.videonews.com/marugeki-talk/1078



【桜井昌司×宮台真司×神保哲生:布川”冤罪”事件の悲劇を繰り返さないために【ダイジェスト】】
https://youtu.be/hNw7LAIUcpA


布川”冤罪”事件の悲劇を繰り返さないために
マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1078回)


ゲスト

桜井昌司(さくらい しょうじ)
布川事件元被告人・冤罪被害者
1947年栃木県生まれ。1962年茨城県立竜ヶ崎第一高等学校中退。67年8月に起きた強盗殺人事件の犯人として逮捕・起訴され、78年に無期懲役が確定。29年間服役後、96年に仮釈放され土木建築会社に勤務。2011年水戸地裁の再審公判で無罪判決が確定。21年国と県への損害賠償訴訟に勝訴し7400万円の賠償命令を勝ち取る。著書に『俺の上には空がある広い空が』、『CDブック 獄中詩集 壁のうた』など。


概要

 冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない

 桜井昌司氏はまさに画に描いたような冤罪事件の被害者だ。

 齢74歳になる桜井氏は1967年、彼が20歳の時に突如逮捕され、捜査当局による嘘や改ざん、隠蔽などによって茨城県の布川で起きた殺人の自白に追い込まれた結果、20歳から49歳までの29年間、刑務所に入れられ自由を奪われることとなった。 いわゆる布川事件だ。

 桜井氏は当初窃盗の容疑で逮捕された。本人の弁を借りれば、実際に窃盗には身に覚えがあったので、警察に逮捕された時は罪を認める覚悟をしていたが、殺人については桜井氏にはアリバイがあった。被害者が殺害されたとされる時刻、彼は東京の兄の家にいたのだ。しかし、警察は桜井氏の兄が、「その日は弟は来ていないと言っているぞ」という嘘の供述を桜井氏に示した上で、警察署内の代用監獄における長時間の厳しい取り調べと、「罪を認めれば助かるが、認めなければ死刑になるぞ」など、ありとあらゆる嘘や強要、誤導の限りを尽くし、共犯者と見做された杉山卓男氏とともに、桜井氏をやってもいない罪の自白に追い込んでしまう

 これも冤罪事件ではお決まりのパターンだが、警察は被疑者が実際にはやっていようがやっていなかろうが、とりあえず罪を認めれば、今この瞬間の辛く苦しい長時間の取り調べから解放されるという甘言と、実際には存在しない目撃者が大勢いるかのような嘘などで被疑者の抵抗する気力を奪い、被疑者を追い込んでいく。そして最後は「自分はやっていないのだから、いくら取り調べ段階で自白しても、裁判の場で無実が証明されるはず」という桜井氏の法律的な無知につけ込んで、自白に追い込んでいった。当時の桜井氏は、自身の供述が裁判で証拠になることすら知らなかったという。無論、桜井氏は公判で否認に転じたが、裁判では捜査段階での自白の任意性や具体性、信頼性などが認められ、桜井氏は杉山氏とともに無期懲役の判決を受けてしまう。

 警察、検察は自分たちが描いたストーリーに沿って桜井、杉山両氏を自白させた上で、そのストーリーに沿った目撃証言などを用意したが、最終的にはこの事件では両氏の犯行を裏付ける物証は何もなく、事実上捜査段階での自白だけが有罪の決め手となった。いや、実際には数々の物証は存在したが、いずれの物証も両氏の犯行を裏付けていなかった画に描いたような冤罪事件だった

 結局、桜井氏は杉山氏とともに最初の逮捕から29年間、服役した後、模範囚ということで1996年に仮釈放された。しかし、氏は自身の潔白を訴え服役中も支援者に手紙を書き続けた結果、徐々に支援者の輪が拡がり、氏の釈放から5年後の2001年、遂に2度目の再審請求でこの事件の再審が認められる。

 再審の決め手となったのは、桜井氏を支援する弁護団が検察にこれまで開示されていない証拠の開示を求め続けた結果、いくつかの決定的な証拠が新たに開示されたことだった。新たに開示された桜井氏の自白を録音したテープを鑑定した結果、テープには13箇所の編集・改ざんの痕跡があることがわかったほか、自白内容と検死報告書では殺害方法が異なっているなど、実に初歩的なレベルで両氏の犯行を否定する証拠が次々と見つかった。警察と検察は桜井、杉山両氏が犯人ではないことを裏付ける証拠を保有していながら、それを何十年もの間、隠していたのだ

 そもそも唯一の証拠となった自白の任意性が揺らぎ、その他の間接的な証拠も嘘や偽計に基づいて得られたものであることが明らかになったのだから、両氏が無罪になるのは当たり前だった。そもそも桜井・杉山両氏の犯行を裏付ける証拠など最初から存在しなかったのだ

 桜井氏は2011年5月24日、再審公判で水戸地裁から無罪判決を受け、検察は最高裁まで争ったが、同年6月7日、最高裁が検察の特別抗告を棄却し、桜井、杉山氏の無罪が確定した。1967年の寝耳に水の逮捕から44年の月日が流れ、当時20歳だった桜井氏は64歳になっていた

 無実の罪で29年間の服役を強要された桜井、杉山両氏は刑事補償法に基づき1億3千万円(1日あたり1万2500円×365日×29年)と1審から上告審までにかかった裁判費用の約1500万円が支払われることになった。また、桜井氏が2012年に、冤罪の責任を追及するために国と茨城県を相手に起こした約1億9千万円の国家賠償請求訴訟では、裁判所が茨城県警と水戸地方検察庁の取調べの違法性を認め、2021年8月、東京高裁から国と茨城県に計約7400万円の賠償を命じる判決が下されている。

 このように桜井氏が受けた不当な逮捕と強要された自白や捏造された証拠に基づく有罪判決、そしてその後の29年に及ぶ懲役に対しては、金銭的には補償が行われることになった。しかし、桜井氏が失った29年間の自由と、桜井氏やその家族が44年間背負い続けた「殺人犯」というレッテルの重荷は、いかなる形でも取り戻すことはできない。服役中だった桜井氏は両親を看取ることもできなかった。

 現在74歳となった桜井氏は、冤罪を防止するための社会活動を積極的に行っている。しかし、裁判所から捜査の違法性が断罪され、多額の賠償責任まで負わされた警察と検察は、まったく反省などしてないと桜井氏は言う。無罪を示唆する証拠が次々と露呈しても、検察は桜井氏の弁護団の再審請求に対し、最高裁に特別抗告をしてまで徹底抗戦した。また、冤罪が確定した後で桜井氏が求めた損害賠償請求に対しても、検察は最後まで争う姿勢を崩さなかった。しかも、冤罪が確定した後も、警察と検察から謝罪の申し入れなどは一切ないと桜井氏は言う。

 布川事件の再審無罪決定と相前後して、足利事件氷見事件志布志事件、そして村木厚子さんの郵便不正事件などで次々と衝撃的な冤罪が明らかになったことを受けて、公訴権を独占する上に、密室の取り調べが許される検察の暴走が冤罪を生んでいるとの批判が巻き起こり、2009年に民主党政権下で刑事訴訟制度の改正論議が始まった。しかしその後、政権が自民党に戻る中、一連の制度改正論議の結果として行われた2016年の刑事訴訟法の改正では、むしろ検察の権限が大幅に拡大されるという信じられないような展開を見せている

 冤罪事件の直後にはメディア上でも刑事訴訟制度への批判的な論説が多少は散見されるが、捜査機関から日々リーク情報をもらわなければ仕事が成り立たない記者クラブメディアは、基本的には警察、検察とは共犯関係にある。メディアが冤罪と隣り合わせにある自白偏重の人質司法制度にぶら下がっている限り、この問題が良い方向へ向かう可能性はほとんど期待できない。法律や制度の改正は政治の仕事だが、世論の後押しがないところで政治が司法制度に手を突っ込むのは不可能に近い。政治家にとっても警察や検察は怖い存在だからだ。そしてメディアが現在の刑事司法の実態を正しく報じ始めない限り、世論は人質司法という名の密室の中で何が起きているのかを永久に知ることができない日本の刑事司法制度の後進性や非人道性国連の拷問禁止委員会から度々改善勧告を受けるなど国際的にも断罪されているのだ。

 末期ガンに侵されながらも冤罪防止活動で発信を続ける桜井氏は、現行の刑訴法の下では、むしろ冤罪が増え、桜井氏のような被害者が増えることが懸念されると、怒りを隠さない

 今週は戦後の冤罪事件史の中でも最悪の部類に数えられる布川”冤罪”事件の当事者である桜井昌司氏に、なぜやってもいない犯行を自白してしまったのか、その自白の結果、自身のその後の人生がどのようなものになってしまったのか、44年もの間、諦めることなく自身の潔白を訴え続ける力はどこから湧いてきたのかなどについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。
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●《今回の「認諾」は法的にも、また政治的にも、非常に多くの問題を孕んでいる…日本の民主主義の根幹に…》(ビデオニュースドットコム)

2021年12月22日 00時00分20秒 | Weblog

[※ 2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日というトリガー(『報道特集』、2021年06月26日、ブログ主が改変)↑]


赤木雅子さんのど正論 ――― 「私の夫は財務省に改ざんをさせられて亡くなったんですよ!

――― 「あんたらがトロトロしとるからこうなるんじゃ!」「裁判が遅いのは国のせいじゃないですか私たちの責任じゃないですそれで裁判を終わらせようなんて、とんでもありません

――― 「きちんと謝罪してくれる議員もいるんや麻生大臣も財務省の人たちも謝ってくれないのに

――― 「夫に起きたことは皆さんの周りで起きてもおかしくありません真相を知るためには世論の力が大事なんです皆さん、関心を持ってください

――― 「安倍首相は、2017217日の国会の発言で改ざんが始まる原因をつくりました麻生大臣は墓参に来てほしいと伝えたのに国会で私の言葉をねじ曲げましたこの2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではないと思います


[※ 【赤木俊夫さんの妻の自筆メモ】(東京新聞 2020年3月24日)↑]



(20211220[])
今日もまだ怒りがおさまらない。赤木雅子さんの言葉の通り、本当に「ふざけんな!」だ。
 《今回の国の「認諾」によって、逆にこの問題の次元が日本の民主主義の根幹に関わる重大な問題に引き上げられたと言っても過言ではないだろう》(ビデオニュースドットコム)。

   『●損害賠償費用、佐川さんが払うの? アベ様? 昭恵様? 麻生
     元財務相? いえ、税金です。こんなふざけた話があるでしょうか?
   『●「認諾」という卑劣な手…《岸田政権は、真相を明らかにしたくない
     ために国民の税金である札束で赤木さんの頬を張ったのだ》(リテラ)
   『●卑怯・卑劣な「認諾」―――《「報道機関が声を上げてほしい」》し、
     野党も《批判》してほしい。そして《人々の「許せない」という声》も
   『●《森友学園問題…五年かかろうと十年かかろうと真実は明るみに出さ
     なければならない。僕は最後まで雅子さんに味方する》(前川喜平さん)
   『●【大嘘つきの後始末/狙撃兵】《彼らがかばっているのは、他ならぬ
     お友だちの森友学園に国有地をタダ同然で払い下げようとした…安倍晋三》

 神保哲生さんのビデオニュースドットコムの記事【ニュース・コメンタリー/1億円を払ってでも政府が隠したかったことと、それでも「認諾」が許されない理由】(https://www.videonews.com/news-commentary/211218)によると、《夫が自殺に至った経緯の真相究明を求め続けてきた赤木さんの心情は察するに余りあるが、今回の「認諾」は法的にも、また政治的にも、非常に多くの問題を孕んでいる。今回の国の「認諾」によって、逆にこの問題の次元が日本の民主主義の根幹に関わる重大な問題に引き上げられたと言っても過言ではないだろう》。
 異例中の異例であり、《今回の「認諾」は法的にも、また政治的にも、非常に多くの問題を孕んでいる》という指摘。《日本の民主主義の根幹に関わる重大な問題》だ。論点を、是非、ご覧ください。

 日米合同委員会に関連して、かつて国に(4例目)《認諾》された三木由希子さんのお話は、以下の映像。川村晃司さんは、村木厚子さんの冤罪においての(3例目)《認諾》の問題点についても。野党合同ヒアリングに消極的な立憲民主党…。


【「森友」赤木さん訴訟 卑劣幕引きの国は統計もごまかし WeN20211218】
 (https://youtu.be/fb2-nokUGzo
 《デモクラシータイムス》《【今週のテーマ】・赤木さん訴訟突如「認諾」…》
 《【出演】 川村晃司さん (ジャーナリスト、新潟国際情報大客員教授)
       三木由希子さん (情報公開クリアリングハウス理事長)
       池田香代子さん (ドイツ文学者、翻訳家)
       北丸雄二さん (ジャーナリスト)
       司会は 高瀬毅
       2021年12月18日ライブ配信》

 《すべての発端は首相だった安倍晋三及びその妻である昭恵であり、まるで自分の土地を友だちにあげるかのように国有地を私物化し、そのような品位のかけらもない取引に官僚機構が付き合わされたことから起きた事件である。この責任は誰にあるのか? などと問うのも野暮な話で、誰がどう見ても安倍晋三夫妻なのである》(狙撃兵)。
 《改ざんの元凶・安倍元首相夫妻を守り雅子さんの頰を金ではたく卑劣》。この裁判は「おカネじゃないんだよ」!! 明らかにすべき真相……原因の一つ安倍昭恵氏、トリガー=アベ様、責任者の一人麻生太郎前財務相…彼らを庇うために、真相を隠すために、この国・ニッポンは何をやってしまったのか…。それから、知らない顔を決め込んでいるが、お維も当然のごとく関与している。
 《そもそもこの裁判の主目的とされていた真相解明は何ら実現しないまま幕引き》…訴状の冒頭の訴訟の目的は《真相解明》であり、それ無しに〝認諾〟を詐称し、「おカネさえ払えばいいんでしょ」…というのは、一体どういう了見なのか。おカネではなく、雅子さんが第一に求めていた《真相解明》なしに、なぜに国の〝認諾〟が許されるのか。デタラメである。

 《何も説明せずに幕引きを図る卑劣さと不条理》…《「報道機関が声を上げてほしい」》し、野党も《批判》してほしい。そして、《人々の「許せない」という声》が必要。
 前川喜平さん《森友学園問題を「いつまでやっているのか」とか「批判や追及ばかりではだめだ」とか、したり顔で語る輩は畢竟悪事の隠蔽の共犯者にほかならない五年かかろうと十年かかろうと真実は明るみに出さなければならない僕は最後まで雅子さんに味方する》、そう、《人々の「許せない」という声》が必要だ。
 《赤木雅子氏の裁判の勝敗は、私たち国民が「諦めないこと」「忘れないこと」にかかっている人の心を持つ善良な官僚と裁判官を後押しするために、私たちは、雅子さんとともに声を上げ、闘い続けなければならない》(古賀茂明氏)。

   『●再び《論功行賞》…《そもそも太田氏は、森友公文書改ざん問題から
     安倍首相を守ってきただけではなく、深く関与している…“当事者”だ》
   『●《「改ざんした日からコロッと様子が変わって、口数も減って
     しゃべらなくなった」(赤木雅子さん)》…〝壊した〟犯人らはのうのうと…

   『●《菅義偉官房長官…「報告書に事実が書かれ、検察の捜査も行われ
     結論が出ている」と訴えを一蹴…雅子さんや遺族、そして世論は納得》?
   『●デモクラシータイムス《「僕の雇い主は国民です」と胸をはり…生きて
     いた夫が壊れたのはなぜか、「私は真実を知りたい」から》…に応えよ
   『●アベ様や財務相は、赤木さんが《残したファイルとか、いま黒塗りに
     なっている夫がうつ病になった経緯であるとか、出すのは簡単なことだ》
   『●【赤木俊夫さんの死を無駄にしないために】《どうすれば俊夫さんを
       死なさずに済んだのかなどを考えた》(ビデオニュースドットコム)
   『●麻生太郎財務相・副首相の口にチャックをしてほしい。野中広務氏の
       ように《麻生は何も答えず、顔を真っ赤にしてうつむいたまま》の様に
   『●赤木俊夫さんに「法を犯」させた側、「官僚にあるまじき行為を」
     させた側、「決して穢してはならないものを穢」させた側の責任は?
   『●東京新聞原田晋也記者の記事【森友改ざん、財務省の行政文書も
     開示を 赤木さん妻が請求...初めて入った省内、撮影禁止巡り抗議も】
   『●《「…これからの政権に前の政権の評価を聞いて読者の関心があるのか
      ねえ?」と笑い交じりに述べた》…泥棒達に縄を綯わせてはいけない
   『●ド正論 ―――「裁判が遅いのは国のせいじゃないですか。私たちの責任 
       じゃないです。それで裁判を終わらせようなんて、とんでもありません」
   『●このまま自公政権のままでは、赤木雅子さんの望む「再調査を実施して
        ほしい」は叶えられない… #政権交代で命を守る新しい政権を!
   『●「財務省の調査は行われましたが、夫が改ざんを苦に亡くなった
     ことは(調査報告書に)書かれていません。なぜ書いてないのですか?」
   『●《赤木俊夫さんの公務災害に関する文書が一転開示された。だが、
     そこに「改ざん」の記載はなく、改ざんの理由などはわからないままだ》

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https://www.videonews.com/news-commentary/211218


【1億円を払ってでも政府が隠したかったことと、それでも「認諾」が許されない理由】
https://youtu.be/Bo-2EEGm3_0


1億円を払ってでも政府が隠したかったことと、それでも「認諾」が許されない理由
ニュース・コメンタリー
2021年12月18日

概要
――――――――――――――――――――――――――――――――――
 国から、森友学園への国有地の払い下げ交渉をめぐる公文書の改ざんを強いられたことによって自殺に追い込まれた元近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻、赤木雅子さんは、なぜ夫が死ななければならなかったのか、その真相を知りたいという一念から、2020年に国と佐川宣寿元財務省理財局長を訴えていた。

 後に財務省公文書の改ざん事件と呼ばれることになるこの問題をめぐっては、刑事事件としては既に関係者が全員不起訴処分となっていたため、真相の究明を求めたい赤木さんに残された道は民事裁判、すなわち国家賠償請求訴訟という形しかなかった。国と佐川氏を訴えたその訴状の冒頭には、この裁判の目的が「なぜ亡俊夫が本件自殺に追い込まれなければならなかったのか、その原因と経緯を明らかにする点にあることがはっきりと記されていた

 しかし、今週(12月15日)国は大阪地裁において、唐突に原告の訴えをすべて認める「認諾」に転じ、この裁判を強制的に終わらせる手続きをとった。これにより裁判は終結し、請求通り1億1000万円余の賠償は満額が支払われることになるが、雅子さんが求めていた関係者らの証人尋問は行わないことになりそもそもこの裁判の主目的とされていた真相解明は何ら実現しないまま幕引きが行われることになった。国会賠償請求訴訟で被告である国が原告の主張を「認諾」した場合、原告はこれを拒絶することはできず、裁判はいわば強制的に終了することになるからだ。

 この決定を受けて赤木雅子さんは「国が認諾したことについて、私は強く抗議します。ふざけるなと言いたいです。こんな形で終わってしまったことが悔しくて仕方ありません。(中略)私も夫も国の認諾は絶対に許しません。国は夫が亡くなったことと認諾したことについて私に謝罪すべきですし、認諾するようになった経緯や理由を説明すべきです」と語り、同様の言葉を綴った抗議文を12月17日に財務相に提出している。

 夫が自殺に至った経緯の真相究明を求め続けてきた赤木さんの心情は察するに余りあるが、今回の「認諾」は法的にも、また政治的にも、非常に多くの問題を孕んでいる。今回の国の「認諾」によって、逆にこの問題の次元が日本の民主主義の根幹に関わる重大な問題に引き上げられたと言っても過言ではないだろう。

 まず、最初におさえておかなければならないことは、国賠訴訟で国が「認諾」、つまり当初は裁判で賠償責任はないことを主張していながら途中で責任を受け入れるのは、兎にも角にもほとんど前例のない、異例中の異例ということだ。17日の参議院予算委員会で共産党の小池晃書記局長が過去に国が認諾した前例はあるのかと質したのに対し、法務省の武笠圭志訟務局長は「過去に少なくとも4回認諾の前例があったことが確認されている」と答えている。逆に言うと、法務省でも過去に4回しか前例が確認できないほど、国賠訴訟における「認諾」というのは異例のことなのだ。

 番組内では過去4回の「認諾」事案が具体的にどのような内容だったのかも紹介しているが、最近では情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長が、日米合同委員会の議事録の開示請求をめぐり起こした国賠訴訟(裁判に負けてでも外務省がどうしても隠したかったこと2018年03月03日))[← ※ブログ主 注: リンクを貼っておきます] で、何が何でも日米合同委員会の議事録(この時請求されていたのは日米の担当者間の単なるメールのやりとりで、しかも一般に公開するのではなく裁判官にのみ開示することを求めていただけだった)を開示したくない国側(この時は外務省)が、請求を「認諾」することでメールの開示を回避するという選択をしている。それが歴史上4回目の認諾事例だったことになるようだが、今回、政府は日米合同委員会の議事録を出したくない度合いに匹敵するほどの強い思いで、どうしてもここでこの裁判を終わらせておきたかったということを、われわれはまず認識しておきたい。ちなみに歴史上3回目の認諾は検察官が証拠を捏造したことによって不当に逮捕、起訴された厚生労働省の村木厚子さんの国賠訴訟だった。

 しかも、今回の赤木さんの裁判では、認諾によって真相究明が妨害されるのを防ぐ目的もあって、あえて1億1262万円あまりの高額な賠償額を設定していた。お金が目当てではないと言いながら非常に高額の賠償額が設定されていたのは、そのためだった。しかし、国は1億円を超える賠償金を払ってでも「認諾」を選ぶことで、この裁判が続かないことを望んだ1億円を払ってでも国が隠したかったこととは一体何だったのだろうか

 なお、番組では他にも以下の点を議論した。

 日本国憲法83条は「国の財政を処理する権限は国会の議決に基づいてこれを行使しなければならない」と定めている。「認諾」によって賠償金の歳出が確定する以上、もっぱら国の裁量でこれだけ高額な賠償金の「認諾」が許されるのか。地方自治体は地方自治法96条13で、損賠賠償裁判の和解や認諾には議会の議決が必要になることが定められている。ところが国の場合、この手の賠償金は各省予算の「賠償償還及払戻金」という細目で毎年の予算の中に予め計上されているため、既に国会の議決を経ていると解されることから、個別の事件における認諾の是非は国の裁量の範囲内だとの解釈がなされているそうだ。しかし、そのような裁量が今回のような国の不祥事に関わる事件においても認められるのか

 今回の認諾について岸田首相や鈴木財務相は、国の責任が明らかだと判断したので認諾に転じたと説明している。しかし、この事件では2020年3月18日の提訴後に新たな証拠が出てきたという事実はない。何も状況は変わっていないのに当初争っていた国側が突如として認諾に転じたのだ

 提訴の後で変わったことがあるとすれば、赤木さんの代理人が地道に開示請求を続けた結果、司法手続きを経て、国が頑なに公開に抵抗し続けてきた赤木ファイルなどの情報が財務省側から開示されたことだ。それが開示されたことにより、確かに赤木さんの自殺に関する経緯が以前よりは明らかになった。しかし、赤木雅子さんや市民社会がその中身を知ったのはそれが開示された今年に入ってからのことだったが、その情報は元々国側が持っていた情報だつまり被告の国にとっては、裁判を通じて何か新たな事実が出てきたわけではない。それを突如として認諾に転じる以上、そして認諾によって多額の公金が使われることになる以上、なぜ認諾に転じたのかについて単に国の責任が明らかになったよりはまともな理由を説明する責任が首相にはあるはずだ

 また、首相や財務相が、国の責任は明らかで、赤木さんの求めに対して真摯な対応を取りたいと考え、認諾に転じたとしているが、先述の通り原告にとってこの裁判の主目的は真相の解明であり賠償金の支払いではない。赤木さんの抗議文にもあるように、その裁判で「認諾」に転ずることは真摯とは正反対のあからさまに原告の思いを踏みにじる行為であることは、首相も財務相も重々承知しているはずである。訴状の最初の1ページだけでも目を通せば、裁判を継続することによって真相を明らかにすることこそが真に真摯な対応であることは、誰の目にも明らかなはずだ、など。

 上記の論点を含め、なぜ今回の「認諾」による幕引きが容認されるかどうかが日本の民主主義の根幹を問う重大な問題なのかについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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●「認諾」という卑劣な手…《岸田政権は、真相を明らかにしたくないために国民の税金である札束で赤木さんの頬を張ったのだ》(リテラ)

2021年12月18日 00時00分52秒 | Weblog

[※ 2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日というトリガー(『報道特集』、2021年06月26日、ブログ主が改変)↑]


(2021年12月17日[金])
2021年の「今年の漢字」は「金(カネ)」だ、カネ。カネで頬をはたく。《改ざんの元凶・安倍元首相夫妻を守り雅子さんの頰を金ではたく卑劣》。

   『●損害賠償費用、佐川さんが払うの? アベ様? 昭恵様? 麻生
     元財務相? いえ、税金です。こんなふざけた話があるでしょうか?

 この裁判は「おカネじゃないんだよ」!!
 明らかにすべき真相……原因の一つ安倍昭恵氏、トリガー=アベ様、責任者の一人麻生太郎前財務相…彼らを庇うために、真相を隠すために、この国・ニッポンは何をやってしまったのか…。

 いやぁ、本当にこの記事のタイトルの通り。あまりに醜悪な幕引き。
 リテラの記事【赤木さんへの国賠で森友改ざんを強引幕引き!元凶・安倍夫妻の責任が闇に赤木さんへの1億円国賠で森友改ざんを強引幕引き! 改ざんの元凶・安倍元首相夫妻を守り雅子さんの頰を金ではたく卑劣】(https://lite-ra.com/2021/12/post-6099.html)によると、《これほど下劣な話があるだろうか森友公文書改ざん問題で自殺に追い込まれた赤木俊夫さんをめぐる国家賠償請求訴訟で、昨日16日、国側がいきなり認諾し、1億700万円の賠償金を支払うことで裁判での真相究明を強引に幕引きし、都合の悪い事実に蓋をした件だ》。
 AERAの記事【遺影に向かって「ごめんね」 森友公文書改ざん訴訟で国の”終結宣言”に赤木雅子さんが怒り】(https://dot.asahi.com/aera/2021121600022.html)によると、《■あえて高額にしたのは認諾させないため この日は本来、双方の主張を整理する場だった。それが、提訴から約1年9カ月で、事前のすり合わせもなく突然の「終結宣言」だった。異例のことで、雅子さんの代理人弁護士は、「認諾するわけにはいかない」と、その場で抗議。雅子さんも、「また夫を殺すんですか」と訴えたが、国側の申し出は認められた》。

 「認諾」⇨「国民の理解を得る努力をするもの」に非ず。放棄、白旗に税金投入。
 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/森友裁判幕引きに「国民の理解」は?】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202112170000040.html)によると、《この助成金も違法なものでないと言いながら「国民の理解を得られない」という。実は政治家にとって、この言葉はポピュリズムを利用する禁断の言葉ではないか政治は国民の理解を得られないことだらけだ。国民の理解を得られないまま、政府が押し通したこと、うやむやになっているもの、放置されてきた事柄はたくさんある。それぞれの事案で国民は我慢を強いられるか、泣き寝入りとなる。 ★森友事件で元首相・安倍晋三夫妻の名前を削除するなど関与を隠蔽(いんぺい)するために近畿財務局勤務の赤木俊夫さんが決済文書改ざんをさせられ自殺した事件。国に真相解明を求めた民事訴訟は、国の認諾、つまりあっさり認めてしまうことで裁判が成立しなくなった。これで裁判に関係者を引っ張り出すこともできない。幕引きになる。政権が変わり「聞く耳」を持つ首相・岸田文雄の判断が官房副長官・磯崎仁彦の「赤木さんが公務に起因する心理的、肉体的負荷が原因で亡くなられたことについて、国の責任は明らかとの結論に至り、損害賠償請求を認めた」という言い方になった。このまま裁判を続ければ「国民の理解が得られない」事態が広がるからだろう。政治はこの「国民の理解を得られない」を使い分けてはいけない。すべての政治は「国民の理解を得る努力をするもの」ではないのか。》
 赤木雅子さんによる森友訴訟、何もかも放り投げ、国が逃げ出す。白旗。国は何の説明もせず…誰も責任取らず。何の再調査もせずに〝蓋〟。裁判での証拠調べも無しで〝幕〟。
 損害賠償費用1億700万円、佐川さんが払うの? アベ様? 昭恵様? 麻生元財務相? いえ、税金です。我々がニッポン国にお預けしている血税です。こんなふざけた話があるでしょうか? 雅子さんをも激しく傷つけるデタラメな行為。《改ざんの元凶・安倍元首相夫妻を守り雅子さんの頰を金ではたく卑劣》(リテラ)。
 この1億円強の国の支出に対して国を訴える術がないようだ。では、国会は何をやっているのか。今後、どうするのか。「批判ばかり」というデマにビビり、「提案型」野党に愚かにも〝脱皮〟しようとしている立憲民主党は? もともとこの問題に大きく関与している癒着党・お維には何の期待も出来ない。(批判されるようなことばかりをしている国や与党自公、ゆ党お維を批判することが大きな役割のはずの)真の野党は徹底的にこの支出に関して堂々と国会で「批判」すべきだ。国は、財務省は、与党自公・ゆ党お維は、一人の心ある公務員の死を何だと思っているのか。雅子さんを、そして、我々主権者をあまりにバカにしている。この裁判はおカネじゃないんだよ」!!

 《改ざんの元凶・安倍元首相夫妻を守り雅子さんの頰を金ではたく卑劣》…自公お維を支持した結果、あとの祭りだ。いつまで支持し続けるつもりか?
 日刊ゲンダイの記事【赤木雅子さんと辻元清美氏 怒りの緊急対談「(岸田首相は)誠実そうに見えたけど裏切られた」】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/298860)によると、《森友学園問題に関する公文書改ざんを強要され、自死した財務省近畿財務局の元職員・赤木俊夫さんの妻・雅子さんが国を相手に起こした訴訟が15日、突然、強制終了となった一件。政府は「認諾」により、1億円の賠償金を払うひきょうな手口で真相解明から逃げた。雅子さんは岸田首相に再調査を求める直筆の手紙を出し、それを10月の臨時国会の代表質問で読み上げたのが前衆院議員の辻元清美氏だった。2人が16日大阪で、怒りの緊急対談──。》


【辻元清美が訊く 赤木雅子さんが今、伝えたいこと】
 (https://youtu.be/Oy-Ca2qCRQI
《赤木雅子さん(財務省公文書改ざん問題で自死に追い込まれた赤木俊夫さんの妻)に昨夜お会いしました。岸田政権は裁判を「認諾」して税金を使って強制終了。「悔しくて体調が悪い」と私が言うと「私も」と雅子さん。怒りや悲しみの只中にある雅子さんの生の声を聞いて下さい。》

   『●スゲエなぁアベ様、露骨…忖度な太田充理財局長に《論功行賞で、
                 財務省きっての花形ポストがプレゼント》
   『●頭から腐った自民党のその総裁・アベ様という《総理のために
                  嘘をつくことが奨励される国──》ニッポン
   『●《改ざんを命じられたときも相当抵抗…。やっているのは犯罪。
               自分の信念や理に反して悔しかっただろう》
   『●《近畿財務局元職員の妻が…佐川宣寿氏と国を相手に…大阪地裁に提訴》
        …《前代未聞の改ざんなのに、最高責任者の麻生太郎財務相》は?
   『●近畿財務局元職員のご遺族が提訴…《刑事罰どころか出世していた
     財務省の“改ざん指示”幹部官僚たち》や行政府の長、財務相の冷酷非道
   『●パワハラにより森友公文書改ざんという犯罪を強要…真の犯罪者
     《なんとも無責任な態度》な行政府の長や財務相、財務省幹部官僚達
   『●森友公文書改ざんという犯罪を強要…泥棒(アベ様や財務相)が縄を
      綯う(まともな再調査する)訳がない…第三者性のある新たな調査を
   『●アベ様や財務相はトップに居座り続け、財務省幹部官僚達は栄転
     …《内輪のあやふやな再調査ではなく、第三者性のある新たな調査》が必要
   『●私人の「桜を見る会」、《政府の自粛呼びかけの最中であること》
     だけ《が原因ではない》…森友問題、アベ昭恵様が〝タマ〟を込めた結果…
   『●《昭恵夫人が発案し立ち上げた事業の資金提供者》であるが故に
     《「桜を見る会」に招待されていたマルチ企業》48ホールディングス社長
   『●(西日本新聞)《桜下に羽目を外さず》…《首相は、公園の桜ではなく
      飲食店の敷地内なので「花見ではない」》…桜は見たが花見じゃない
   『●《新型コロナウイルス禍の対応に尽力している政府は絶対の正義で、
     社会防衛の前には人一人の命ごとき取るに足らないとでも言いたげ…》
   『●再び《論功行賞》…《そもそも太田氏は、森友公文書改ざん問題から
     安倍首相を守ってきただけではなく、深く関与している…“当事者”だ》
   『●《「改ざんした日からコロッと様子が変わって、口数も減って
     しゃべらなくなった」(赤木雅子さん)》…〝壊した〟犯人らはのうのうと…

   『●《菅義偉官房長官…「報告書に事実が書かれ、検察の捜査も行われ
     結論が出ている」と訴えを一蹴…雅子さんや遺族、そして世論は納得》?
   『●デモクラシータイムス《「僕の雇い主は国民です」と胸をはり…生きて
     いた夫が壊れたのはなぜか、「私は真実を知りたい」から》…に応えよ
   『●アベ様や財務相は、赤木さんが《残したファイルとか、いま黒塗りに
     なっている夫がうつ病になった経緯であるとか、出すのは簡単なことだ》

 最後に、どうでもいいことですが…。
 「認諾」…どこかで聞いた言葉と思っていたら…《あの武富士の代理人として、同社の犯罪行為を隠蔽するためのスラップ訴訟にかかわっていたという過去だ》 … リテラ《吉村知事を賞賛する声…そのイメージは巧みな自己演出によってつくり上げられた部分が多く…》(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/fd52caf14028c9ad603f7627ebd2d633)。

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https://lite-ra.com/2021/12/post-6099.html

赤木さんへの1億円国賠で森友改ざんを強引幕引き! 改ざんの元凶・安倍元首相夫妻を守り雅子さんの頰を金ではたく卑劣
2021.12.16 07:20

     (自民党HPより)

 これほど下劣な話があるだろうか森友公文書改ざん問題で自殺に追い込まれた赤木俊夫さんをめぐる国家賠償請求訴訟で、昨日16日、国側がいきなり認諾し、1億700万円の賠償金を支払うことで裁判での真相究明を強引に幕引きし、都合の悪い事実に蓋をした件だ。

 赤木さんの死に国の責任があることは明白で賠償じたいは当然だが、言うまでもなく、裁判を起こした俊夫さんの妻・赤木雅子さんは賠償金を目的に訴訟を起こしたわけではない。雅子さんが求めていたのは、俊夫さんを死まで追い詰めた公文書改ざんに至る具体的な経緯の真相解明だ。実際、昨年7月15日に大阪地裁でおこなわれた第1回口頭弁論で雅子さんが自ら読み上げた陳述書は、俊夫さんの無念を晴らしたい、真相を解明したいという覚悟がひしひしと伝わってくる迫真に満ちたものだった

「夫が自ら命を絶った原因と経緯を明らかにし、夫と同じように国家公務員が死に追い詰められることがないようにするため、そして、事実を公的な場所で説明したかったという夫の遺志を継ぐため、国と佐川さんを訴えるところまで進みました」

 無論、この国賠訴訟で1億円以上という高額請求にしたのも、国に認諾させないための作戦だった。にもかかわらず、裁判での真相解明から逃げるために金で終幕を図ろうとは──。しかも、その金は国民の税金であり、ようするに岸田政権は、真相を明らかにしたくないために国民の税金である札束で赤木さんの頬を張ったのだ

 雅子さんは昨日おこなった会見で、その悔しさをこのように語った。

「ふざけるなと思いました。夫は国に殺されて、また何度となく殺されてきましたけど、きょうもまた打ちのめされてしまいました」
「お金を払えば済む問題じゃないです。私は夫がなぜ死んだのか、何で死ななければならないのか知りたい。そのための裁判でしたので、ふざけんなって思います」
「国とずっと闘ってきましたけど、惨敗したような、負けに負けたような気持ちでいます。いちばん、夫の苦しんだ改ざん作業、それをした財務局、財務省に、きょう、卑怯なやり方で裁判を終えられてしまって、夫はなんて言うだろうって考えています。こんなかたちで終わってしまったことが、悔しくてしようがないです」

 しかも、問題なのは、この金の支出目的は赤木さんに対する賠償などではなく、あきらかに安倍晋三・元首相を守るために支出されるものだということだ。


■改ざんの元凶は安倍首相夫妻!その事実を隠蔽し安倍夫妻を守るために1億円で赤木さんを黙らせる卑劣

 前述した裁判の第1回口頭弁論で雅子さんは、「安倍首相は、自分の発言が改ざんの発端になっていることから逃げているのではないでしょうか。安倍首相は自分の発言と改ざんには関係があることを認め、真相解明に協力して欲しいと思います。安倍昭恵さんも森友学園への国有地売却の関係を明らかにしてほしいと思います」と述べたが、あらためて指摘するまでもなく、公文書の改ざんがはじまったきっかけは安倍元首相が2017年2月17日に国会で言い放った「私や妻がかかわっていたら総理も国会議員も辞める」という発言であり、その点は財務省の調査報告書でも事実上認定している。

 さらに言えば、財務省が近畿財務局にいちばん最初に改ざんさせたのは、国有地売却にいたる経緯を時系列でまとめたもののなかに安倍昭恵氏が森友学園と関係していることが記された記述であり、このとき近畿財務局が作成したはずの森友側との面談にかんする交渉記録を、政府は「見つかっていない」として公開しておらず、いまだに隠蔽されたままだ

 つまり、公文書改ざんの真相を解明することは、必然的に安倍官邸の関与の有無に行き着く問題であり、さらには昭恵氏の存在が不当な国有地売却にどのように作用したかにも波及する恐れがあるものだった。ようするに、岸田政権は裁判を幕引きすることで、ほかならぬ安倍夫妻を守ったのだ

 国民の税金を使って、安倍夫妻を守る──。こんな下劣な話を黙って見過ごすわけにはいかないが、非道なのはそれだけではない。というのも、当の問題の元凶である安倍元首相は、これまでも、そしていまも、雅子さんを冒涜するような言動を繰り返しているからだ

 そもそも、昨年3月に赤木俊夫さんの遺書と手記が公開された際には、安倍首相は「胸が痛む」などと言いながら、「麻生大臣のもとで徹底的に調査し明らかにした」として再調査を拒否。その上、同年3月19日の参院総務委員会では、改ざんのきっかけが安倍首相の「私や妻がかかわっていたら総理も国会議員も辞める」発言だったと指摘されると、「改ざんのターニングポイントとなったのは2月17日の発言だったとは手記のなかには書かれてない」と言い出したのだ。


改ざんの責任についてシラを切り、赤木俊夫さん・雅子さんを冒涜し続けた安倍元首相の鬼畜ぶり

 繰り返すが、この安倍首相の答弁が改ざんのきっかけとなったことは財務省の調査報告書でも事実上認定しているものだ。にもかかわらず、自殺に追い込まれた俊夫さんの手記を持ち出して「ターニングポイントになったとは書いていない」などと言い出す……。もはや鬼畜としか言いようがないが、この安倍首相の卑劣な態度に対し、雅子さんは直筆の文書を公表。そこにはこう書かれていた。

〈安倍首相は、2017年2月17日の国会の発言で改ざんが始まる原因をつくりました。麻生大臣は墓参に来てほしいと伝えたのに国会で私の言葉をねじ曲げました。この2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではないと思います。〉

 改ざんの原因をつくったのは安倍首相の発言であり、調査される立場だという指摘はまさにそのとおりだが、しかし、信じがたいことに、安倍首相は「安倍首相の国会発言が改ざんが始まる原因をつくった」とする雅子さんの反論がおこなわれたあとも、国会で「手記には書かれていない。(手記を)読まれたんですか?」などと連発。こうして赤木さん夫妻を冒涜しつづけたのだ

 いや、そればかりか、今回の訴訟で雅子さんが求めていた「赤木ファイル」の開示についても、安倍氏は首相在任中、その要求を完全無視。結果として、安倍氏が首相を辞めたあとの今年6月に開示されるにいたったが、その際、安倍元首相のTwitterアカウントは、安倍元首相と昵懇の産経のネトウヨ記者・阿比留瑠比氏が“野党の追及がしつこいから改ざんがおこなわれた”などと主張するコラム記事を貼った上で、〈赤木氏は明確に記している。「現場として(森友学園を)厚遇した事実はない」この証言が所謂「報道しない自由」によって握り潰されています。《秘書アップ》〉と投稿した。

 本サイトでは当時、この主張がいかにフェイクと責任転嫁を目的とした投稿であるかを詳しく指摘したが(詳しくは既報参照 → https://lite-ra.com/2021/06/post-5931.html)、安倍元首相はいまだに再調査される側だという自身の立場を無視し、改ざんの責任をまったく認めようとはせず、「報道しない自由」だの「野党の追及がしつこいから改ざんがおこなわれた」などというネトウヨを煽るようなフェイクの主張を繰り返しているのである。

 本日おこなわれた参院予算委員会で岸田文雄首相は、「赤木ファイル」の開示をはじめとして、これまで政府は可能な限りの対応をした」などと強調したが、第三者による再調査を拒否しておいて何を言うか、という話だ。明日、赤木雅子さんは、鈴木俊一財務相宛ての抗議文を財務省に直接持参して提出する予定だというが、メディアは税金の無駄遣いを問題として俎上に載せるならば、この一方的に税金を使って裁判の幕引きを図るという許しがたい暴挙こそ批判すべきだ。そして、安倍元首相の責任追及がおこなわれないかぎりは、森友問題を終わらせることはできないのである。

(編集部)
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https://dot.asahi.com/aera/2021121600022.html

遺影に向かって「ごめんね」 森友公文書改ざん訴訟で国の”終結宣言”に赤木雅子さんが怒り
AERAオンライン限定 2021/12/16 13:04
野村昌二

     (非公開の進行協議の後に記者会見した赤木雅子さん。
      「悔しい」と声を詰まらせた)

 赤木雅子さん(50)は振り返る。夫の元近畿財務局職員の俊夫さん(当時54歳)が2018年3月、学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざんを命じられたことを苦に、自ら命を絶った。


【写真】改ざんを命じられたことを苦に自ら命を絶った赤木俊夫さん


 昨年3月、雅子さんは、夫の死の真相を知りたいと、国と改ざんを指示したとされる当時の理財局長・佐川宣寿(のぶひさ)氏に対し、あわせて1億1000万円余の賠償を求め提訴。国と佐川氏は、これまで争う姿勢を示してきた。

 それが、一転したのだ。

 15日、午後2時から大阪地裁で開かれた訴訟の非公開の進行協議。開始直後、国側の代理人は立ち上がり、雅子さんと雅子さんの代理人弁護士、裁判官に対し、国への請求を「認諾します」と伝えた。認諾とは、被告が原告の請求を全面的に受け入れることで、裁判所の調書に記載されると確定判決と同じ効力を持つ。つまり国は、雅子さん側の請求を全面的に受け入れると申し出たのだ。


■あえて高額にしたのは認諾させないため

 この日は本来、双方の主張を整理する場だった。それが、提訴から約1年9カ月で、事前のすり合わせもなく突然の「終結宣言」だった。

 異例のことで、雅子さんの代理人弁護士は、「認諾するわけにはいかない」

 と、その場で抗議。雅子さんも、

また夫を殺すんですか

 と訴えたが、国側の申し出は認められた。

 国側は同日付の準備書面で、「(赤木さんが)精神疾患を発症し、自死するに至ったことについて、国家賠償法上の責任を認めることが相当」と、自死との因果関係を初めて認めた。

 裁判が終結したことで、国は赤木さんに1億円余の賠償金を支払うことになる。雅子さん側が賠償請求額をあえて1億円以上と高額にしたのは、認諾させないためだった。だが、それでも国は裁判を終わらせることを選んだ。

 雅子さんは言う。

お金を払ってでもしゃべりたくなかった、本当のことを追求されたくなかったんじゃないかと思います」

     (財務省近畿財務局職員だった赤木俊夫さん。妻の雅子さん提供)

 協議後の記者会見で、雅子さんの代理人弁護士もこう述べた。

「これ以上解明されると、不都合な事実があったのではないかと思わざるを得ない」

 その日、自宅に帰った雅子さんは俊夫さんの遺影に向かい、

「ごめんね」

 と伝えたという。


■終わらせるわけにはいかない

 今後どうなるのか。

 一夜明け、雅子さんは、気持ちを切り替えまた頑張っていこうと決めた。提訴した別の訴訟を通じ、真相を明らかにしていこうと思いを新たにしたという。

 まず、佐川氏を相手とした訴訟は今後も続く。佐川氏を証人として法廷に呼ぶことができれば、新たな事実が明らかになる可能性がある。

 さらに今年10月、雅子さんは、改ざんに関連する行政文書が開示されないのは不当だとして、国に不開示決定の取り消しを求める訴えを大阪地裁に起こしている。この訴訟で文書が一部でも開示されることになれば、新たな事実が明らかになる可能性がある。

 雅子さんは力を込める。

「まだ裁判は残っています。これからも戦いつづけます。終わらせるわけにはいきません」

(編集部・野村昌二

※AERAオンライン限定記事
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コメント
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●損害賠償費用、佐川さんが払うの? アベ様? 昭恵様? 麻生元財務相? いえ、税金です。こんなふざけた話があるでしょうか?

2021年12月17日 00時00分16秒 | Weblog

[※ 2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日というトリガー(『報道特集』、2021年06月26日、ブログ主が改変)↑]



赤木雅子さんのど正論 ――― 「私の夫は財務省に改ざんをさせられて亡くなったんですよ!

――― 「あんたらがトロトロしとるからこうなるんじゃ!」「裁判が遅いのは国のせいじゃないですか私たちの責任じゃないですそれで裁判を終わらせようなんて、とんでもありません

――― 「きちんと謝罪してくれる議員もいるんや麻生大臣も財務省の人たちも謝ってくれないのに

――― 「夫に起きたことは皆さんの周りで起きてもおかしくありません真相を知るためには世論の力が大事なんです皆さん、関心を持ってください

――― 「安倍首相は、2017年2月17日の国会の発言で改ざんが始まる原因をつくりました麻生大臣は墓参に来てほしいと伝えたのに国会で私の言葉をねじ曲げましたこの2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではないと思います


[※ 【赤木俊夫さんの妻の自筆メモ】(東京新聞 2020年3月24日)↑]


(2021年12月16日[木])
《代理人弁護士は「非公開の協議の場で訴訟を終わらせてしまった国は隠したい事実があるのではないか」と批判》。
 東京新聞によると【森友改ざん、国が損害賠償を受け入れ 赤木さん妻「負けたような気持ち」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/149008)によると、《森友学園問題に関する財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さん=当時(54)=の妻雅子さん(50)が、国と同省理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官に損害賠償を求めた訴訟の進行協議(非公開)が15日、大阪地裁であり、国が請求を受け入れる書面を提出した。訴訟は今後、佐川氏のみを被告として続く見通し。雅子さん側が明らかにした。雅子さん側によると、国からの事前の通告はなかった真相解明を求めていた雅子さんは大阪市内で開いた記者会見で「負けたような気持ちだ」と話した。代理人弁護士は「非公開の協議の場で訴訟を終わらせてしまった国は隠したい事実があるのではないか」と批判した。国側は地裁に提出した書面で、赤木さんの自殺原因を「決裁文書改ざんを含め、森友学園案件への対応に忙殺された」と説明した。請求を受け入れた理由は「いたずらに訴訟を長引かせるのは適切ではない」とした》。

 雅子さん「ふざけんな国は誰のためにあるのか」。
 東京新聞の記事【「夫はまた国に殺された」 赤木雅子さん、涙浮かべ怒り】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/149066)によると、《夫が命を絶った理由は何だったのか―。財務省の決裁文書改ざんを巡り、自殺した赤木俊夫さん=当時(54)=の妻雅子さん(50)が真実を知りたいと起こした訴訟は15日、国から明確な説明がないまま打ち切られた。「夫は国にまた殺された」。提訴から約1年9カ月での突然の幕切れに、雅子さんは目に涙を浮かべ、国の対応を強い口調で非難した。「ふざけんな国は誰のためにあるのか」。雅子さんは大阪市内で開いた記者会見で声を張り上げた。財務省が赤木さんに苦しい改ざん作業を強いたと語り「ひきょうなやり方で裁判を終わらされた。夫はなんと言うんだろう」と口にすると、うつむいた》。

 雅子さん「ひきょうなやり方で裁判を終わらされた」。
 【【全文】森友改ざん 鈴木財務相、赤木雅子さんの訴訟お金目的でないこと「聞いている」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/149077)によると、《Q であれば、上司がどのように赤木さんに影響を与えたのか、とかそういうことをおそらく知りたがっていると思うんですけど、お金を払って結局幕引きになるっていうことに対して、大臣ご自身は個人としてどうお考えですか。》

 リテラの記事【赤木さんへの国賠で森友改ざんを強引幕引き!元凶・安倍夫妻の責任が闇に赤木さんへの1億円国賠で森友改ざんを強引幕引き! 改ざんの元凶・安倍元首相夫妻を守り雅子さんの頰を金ではたく卑劣】(https://lite-ra.com/2021/12/post-6099.html)によると、《これほど下劣な話があるだろうか。森友公文書改ざん問題で自殺に追い込まれた赤木俊夫さんをめぐる国家賠償請求訴訟で、昨日16日、国側がいきなり認諾し、1億700万円の賠償金を支払うことで裁判での真相究明を強引に幕引きし、都合の悪い事実に蓋をした件だ》。
 いやぁ、本当にこのタイトルの通り。あまりに醜悪な幕引き。原因の一つ安倍昭恵氏、トリガー=アベ様、責任者の一人麻生太郎前財務相…彼らを庇うためにこの国・ニッポンは何をやってしまったのか…。

 東京新聞の記事【赤木さん妻「不意打ち、ひきょうだ」 政府、森友改ざん真相究明させず】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/149108)によると、《公文書改ざんを強いられ自殺した財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さんを巡る訴訟で、財務省は改ざんの詳細な経緯を明らかにしないまま突然の終結に持ち込んだ。国が訴訟の仕組みを逆手に取り真相究明への道をふさいだ格好。「不意打ちだ」。俊夫さんの妻雅子さんは本紙の取材に、説明責任を果たそうとしない財務省に憤りをあらわにした。…◆賠償急きょ受け入れ 裁判官騒然  雅子さんによると、15日に行われた訴訟の進行協議で、損害賠償請求を受け入れる書面を国が示すと、当日までそれを知らされていなかった裁判官を含めて騒然となった。「あっけにとられた裁判官が別室に持ち帰り、手続きに違反はないことを確かめてから(国の書面が)認められた」と振り返る。雅子さんがこの訴訟を起こした狙いは、俊夫さんの自殺の原因となった公文書改ざんの詳細な経緯を国から説明させることだった。国はそれを拒んだ形で「国は国民に対しても夫の死の原因についての説明責任がある非公開の場で臭い物にふたをするようなやり方は、ひきょうだ」と語った》。


 赤木雅子さんによる森友訴訟、何もかも放り投げ、国が逃げ出す。白旗。国は何の説明もせず…誰も責任取らず。何の再調査もせずに〝蓋〟。裁判での証拠調べも無しで〝幕〟。
 損害賠償費用1億700万円、佐川さんが払うの? アベ様? 昭恵様? 麻生元財務相? いえ、税金です。我々がニッポン国にお預けしている血税です。こんなふざけた話があるでしょうか? 雅子さんをも激しく傷つけるデタラメな行為。《改ざんの元凶・安倍元首相夫妻を守り雅子さんの頰を金ではたく卑劣》(リテラ)。
 この1億円強の国の支出に対して国を訴える術がないようだ。では、国会は何をやっているのか。今後、どうするのか。「批判ばかり」というデマにビビり、「提案型」野党に愚かにも〝脱皮〟しようとしている立憲民主党は? もともとこの問題に大きく関与している癒着党・お維には何の期待も出来ない。(批判されるようなことばかりをしている国や与党自公、ゆ党お維を批判することが大きな役割のはずの)真の野党は徹底的にこの支出に関して堂々と「批判」すべきだ。国は、財務省は、与党自公・ゆ党お維は、一人の素晴らしい公務員の死を何だと思っているのか。雅子さんを、そして、我々主権者をあまりにバカにしている。この裁判はおカネじゃないんだよ」!!


【デモクラシータイムス/<森友訴訟、国が「認諾」!>【山田厚史の週ナカ生ニュース】】
https://youtu.be/7UWgzAFoEFQ
 《・赤木森友訴訟、1億払って隠蔽か、請求「認諾」》


 つぶやきから:

―――――――――――――――――――――――
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1471018148925444097

清水潔@NOSUKE0607

すげえな今度は税金使って裁判まで口封じなのか?

赤木雅子さんと国の裁判突然終わる 原告の訴えをすべて認める「認諾」と呼ばれる手続きをとり、裁判を終わらせた。賠償は請求通り1億1000万円余りが満額支払われるが、求めていた上司らの証人尋問は行われない

news.yahoo.co.jp
赤木雅子さんと国の裁判突然終わる 国が訴えを認める認諾の手続き 真相解明にはほど遠く(相澤冬樹) - 個人 - Yahoo!ニュース
財務省の公文書改ざん事件で命を絶った赤木俊夫さんの妻、雅子さんが国などを訴えた裁判で、国は15日、原告の訴えをすべて認める「認諾」と呼ばれる手続きで裁判を終わらせた。真相解明に程遠い幕引きとなった

午後4:23 2021年12月15日
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https://twitter.com/kotarotatsumi/status/1471057619830046720

たつみコータロー 前参議院議員@kotarotatsumi

認諾して真相解明にフタをしたって事。それだけ払っても表に出来ないことがあるって事だよね。岸田首相は総裁選で「森友の更なる説明が必要とか言ってたのにね。菅政権より酷いわ。

asahi.com
森友公文書改ざん巡る国賠訴訟 国側が赤木さん側の請求を認めて終結:朝日新聞デジタル
 学校法人森友学園(大阪市)の国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強いられ自死した同省近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)の妻・雅子さん(50)が、国に損害賠償を求めた訴訟は15…

午後7:00 2021年12月15日
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https://twitter.com/pioneertaku84/status/1471048955136188421

山添拓@pioneertaku84

森友公文書改ざん国賠訴訟、国が請求「認諾」で終結。
認諾は原告の言い分を認めるものだが、裁判所が判決で事実認定することはなく、したがって証人尋問も行わない
事実を明らかにしたいというご遺族に対し、岸田政権は説明も再調査もせず金で終わらせる。「聞く力」とは。

asahi.com
森友公文書改ざん巡る国賠訴訟 国側が赤木さん側の請求を認めて終結:朝日新聞デジタル
 学校法人森友学園(大阪市)の国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強いられ自死した同省近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)の妻・雅子さん(50)が、国に損害賠償を求めた訴訟は15…

午後6:26 2021年12月15日
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https://twitter.com/brahmslover/status/1471138719839428610

前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民)@brahmslover

赤木さんの裁判で国側がやった禁じ手隠蔽のための認諾。岸田首相は誰を庇っているのか? 裁判で真実を明らかにできないなら、やっぱり国会で明らかにするしかない公文書改竄の首謀者は誰だ!

午前0:22 2021年12月16日
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https://twitter.com/tjimbo/status/1471091386812407815

神保哲生@tjimbo

国が1億円払ってでも隠したかったことが何だったのかを追求する責任が司法から国会と市民社会の側に移ったっつうことよ。賠償金は税金なんだぜ人の金を払うとか勝手に決めてんじゃねえぞ。/「卑劣な打ち切り」 森友文書改竄訴訟 国対応に怒り

sankei.com
「卑劣な打ち切り」 森友文書改竄訴訟 国対応に怒り
 学校法人「森友学園」をめぐる財務省の決裁文書改竄(かいざん)問題で、自殺した近畿財務局の元職員、赤木俊夫さん=当時(54)=の妻、雅子さん(50)が国に損害賠償…

午後9:14 2021年12月15日
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/149077

【全文】森友改ざん、鈴木財務相「国の責任明らか」赤木雅子さんの訴訟お金目的でないこと「聞いている」
2021年12月15日 20時12

 森友学園問題に関する財務省の決裁文書改ざんを巡る訴訟で、鈴木俊一財務相は15日、近畿財務局の元職員赤木俊夫さん=当時(54)=の自殺について、「国の責任は明らか」と認めた。財務省内で記者団の取材に応じた。

【関連記事】森友改ざん、国が損害賠償を受け入れ 赤木さん妻「負けたような気持ち」

 鈴木財務相の発言と記者団との主な質疑応答は次の通り。


鈴木財務相 森友学園案件に関し亡くなられました赤木俊夫さんのご遺族から提起されている国家賠償訴訟について、先刻の進行協議期日において、国として、認諾する旨を表明させていただきました。
 本件訴訟では、赤木俊夫さんが、いかなる心理的、肉体的負荷を原因として亡くなられたかについて、裁判所の訴訟指揮のもと審理が行われて参りました。国としても、裁判所の訴訟指揮に従いつつ、公務災害認定に関連する資料や、いわゆる赤木ファイルなど、訴訟審理に必要な資料を裁判所に提出するなど真摯対応してまいりました。
 その上で本年10月、これまで国が提出した資料を踏まえた原告側の主張の全体像が示され、その内容も踏まえて方針を検討した結果、赤木俊夫さんが当時、森友学園案件にかかる情報公開請求など様々な業務に忙殺され、ご自身も強く反発された本省からの決裁文書改ざん指示への対応も含め、厳しい業務状況に置かれる中、精神面、肉体面において、過剰な負荷が継続したことにより病気休職、さらには自死に至ったことについて国の責任は明らかとの結論に至りました。
 そうである以上、いたずらに訴訟を長引かせるのは適切ではなく、また決裁文書の改ざんという重大な行為が介在している事案の性質などに鑑み、認諾するとの判断に至ったものであります。
 この度、国の責任を認めるにあたり、財務省を代表して、高い志と倫理観を持ち、真面目に職務に精励していた赤木俊夫さんに、改めて哀悼の誠を捧げるとともに、ご遺族に対しては公務に起因して自死という結果に至ったことにつき、心よりおわびを申し上げますとともに謹んでお悔やみを申し上げます。
 今後、二度とこうしたことを起こさないよう、文書管理の徹底はもちろん、組織風土の改革などを、引き続き、全力で推進し、信頼回復に努めていくとともに、説明については引き続き、しっかりと行わせていただく所存であります。
 冒頭私からは以上です。


◆裁判がお金目的でないこと「聞いている」

Q
 赤木雅子さんは、賠償金が欲しくてこの裁判を始めたわけではないというのは大臣も認識はありますでしょうか。
A そういう話は聞いております。

Q であれば、上司がどのように赤木さんに影響を与えたのか、とかそういうことをおそらく知りたがっていると思うんですけど、お金を払って結局幕引きになるっていうことに対して、大臣ご自身は個人としてどうお考えですか。
A 原告の方が内容に不満を持っていることに対する私の受け止めでございますが、本件訴訟は、赤木氏が公務による心理的・肉体的負荷を原因として亡くなったことに関する損害賠償請求にかかる訴訟であり、あくまでこうした観点から、裁判所の訴訟指揮のもと、審理が行われてきたと承知している。
 その上で申し上げますと、国としては、これまでも裁判所の訴訟指揮に従いつつ、公務災害認定に関連する資料や、いわゆる赤木ファイルなどの訴訟審理に必要な資料を裁判所に提出して、今般の認諾に関しても、赤木氏の自死の経緯について、国側の認識をできる限り詳細にお示しした準備書面を提出するとともに、原告の資料等の求めにも、新たな資料の提出を含め、可能な限り対応するなど、できる限り丁寧な対応に努めてきた。
 国としては、誠意をもって対応してきたところですが、現在、ご遺族が国に対して提起している別の訴訟が継続中ですが、その訴訟につきましても引き続き、真摯な対応をして参りたいと思います。


◆改ざん指示との因果関係認める

Q
 こういう形で裁判を幕引きされるということは、ご遺族にとってもかなり心外だと思うが、大臣ご自身はどう思われますか、この終わりかたっていうのは。
A 先ほども申しあげましたけれども、今回の訴訟は、これは、損害賠償についての訴訟でありました。
 そこに、自死にいたった経過、原告側の主張を認め、国の非を認めて、認諾したということになりました。一つの訴訟についての判断をさせていただいたということでございます。

Q 今回財務省本省から、上司を通じて改ざんの指示があったことと赤木さんの死亡の因果関係を、国が認めたという理解でよろしいでしょうか。
A 赤木さんが公務による心理的・肉体的な、原因として亡くなられたことに対する損害賠償請求についての訴訟であります。認諾ということは、そうしたことも含めて国の責任を認めたということであります。

Q 麻生前財務相は、係争中であることを理由に、お墓参りに行かない、消極的であると仰っておりました。先ほど、奥様とお話ししましたが、鈴木さんにはぜひ来てほしいと。大臣の見解は。
A お墓参り等について、ご遺族が別途提起をされている訴訟においても原告と被告という立場。それを踏まえて慎重な検討が必要だと思ってございます。その今、行われております訴訟につきましても、真摯に対応をさせてしたい。誠意をもって対応させていただきたいと思っております。

Q 具体的にどれを指しているのか。
A 公文書の情報開示のもの。


◆国の態度急変、「原告の全体像がでたから」

Q
 これまでの訴訟について、争う姿勢を示したことについて。何が変わったのか。
A 先ほど来申しあげておりますけれども、本件訴訟において、国としては裁判所の訴訟指揮に従いつつ、公務災害認定に関連する資料や、いわゆる赤木ファイルなど、訴訟審理に必要な資料を裁判所に提出するなど真摯に対応してまいりました。
 その上で、これまで国が提出した資料を踏まえた原告側の主張の全体像が、本年10月に示されました。前回の口頭弁論期日であったわけですが、国として原告側の主張の全体像が出たこと、その内容も踏まえて方針を検討した結果、国の責任は明らかであると。今回の期日で認諾するとの判断に至った。

Q 訴訟資料で提出したものは、全て国が持っていたものだったわけで、そうした判断はできたと思う。あらためて、なぜこんなに時間がかかってしまったのか。
A 最後まで、原告側の主張の全体像を踏まえなければいけないわけで。その原告側の主張の全体像が示されたのが、今年の10月だった。そうした全体像が示されたので、その内容を踏まえて検討いたしまして、その国の責任は明らかであるという判断をしたということであります。


◆岸田首相に事前報告「丁寧に対応を」

Q
 10月に全体像が示されたとおっしゃいましたけれども。首相の交代があった。岸田首相は赤木雅子さんの手紙を読まれたと思うが、総理の判断は影響しているのか。
A 事実関係で言いますと、まず私がこの件について相談を受けましたのは12月10日でございます。12月13日月曜日に財務省組織としての意思決定を致しました。
 そして総理には、12月14日に事務方を通じて事前にご報告しました。総理からは、事務方を通じて、ご遺族とは別件の訴訟が継続中であり、引き続き丁寧に対応するように。それから、森友問題については今後もさまざまな場にて、真摯に説明を尽くしていくようにと指示があった。

Q 原告側の請求額は、国としては妥当だと認識したということか。
A 結論からいうと、そういうことでございます。あの10月にですね。原告の主張の全体像が示されました。国としての方針を検討をしたわけでありますが、赤木さんが公務による心理的・肉体的負荷を原因として自死されたことについて、国の責任は明らかであるという結論に至ったわけでございます。
 損害賠償額については、決裁文書改ざんという重大な行為が介在しております本件の事案の特殊性に鑑み見れば妥当なものであるという判断をしたところであります。


◆打ち切り?「さまざまな事柄、真摯に答えた」

Q
 裁判の過程を考えれば、これから赤木さんの上司にあたる方々が、裁判所に出てきてどういうことがあったのか説明する段階だったんじゃないかと思うんですけど、やはりその前に認諾をされたということなんでしょうか?
A 別に、そのことを念頭に置いて、そのためにこのタイミングで認諾をしたということではありません。

Q ここで打ち切るのは卑劣じゃないか、という強い反発もあります。この裁判の終わらせ方、あるいは国民も、赤木さんがどのように亡くなられたのか経緯を知りたかったと思うが、説明を閉ざしてしまうことになるんじゃないかと思うんですけど、どう考えるか。
A 冒頭に申しあげたように、今回の訴訟を通じてですね、新たな資料の提出を含めまして可能な限り対応して、訴訟を通じて、できる限り丁寧な対応に努めてきたと思っております。
 そういう中において、かなり資料の提出とかそういうこと訴訟を通じて、原告のさまざまな事柄に真摯に答えた、という風に思っております。
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●飯塚事件は《足利事件に続いて「DNA冤罪=DNA型鑑定を悪用した冤罪」が発覚するのを恐れた検察による口封じ殺人ではなかったか……》

2021年12月06日 00時00分20秒 | Weblog

―――――― 《2次再審請求で問い直される「T供述」の信用性 岩田弁護士は「Kさんが目撃したのが犯人であれば急転直下、真犯人の存在とともに久間さんの無実もはっきりする」と述べ、再審請求でK証言の果たす役割を解説した》



 (2021年09月26日[日])
山口正紀さんによる、レイバーネットの記事【検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪〜「飯塚事件」を問う】(http://www.labornetjp.org/news/2021/0911yama)。

 《「飯塚事件」をご存知だろうか。1992年、福岡県飯塚市で起きた2女児殺害事件で逮捕され、無実を訴えていた久間三千年(くま・みちとし)さんが死刑判決を受け、2008年に死刑が執行された(当時70歳)。その第2次再審請求の支援を訴える「飯塚事件の再審を求める東京集会」が9月4日、オンラインで開かれた。この事件で有罪判決の根拠とされたのが科警研(警察庁科学警察研究所)によるDNA型鑑定だった。一方、同じ時期・同じ手法で科警研が行なった「足利事件」のDNA型鑑定が誤りだったことが明らかになり、再審無罪となった。実は、この足利事件で「DNA型再鑑定へ」と報道されたのが08年10月上旬その10日余り後、突然再審準備中の久間さんの死刑が執行された。それを知った時、私は恐ろしい疑惑に駆られた。この死刑執行は、足利事件に続いて「DNA冤罪=DNA型鑑定を悪用した冤罪が発覚するのを恐れた検察による口封じ殺人ではなかったか……。(山口正紀)》

 《検察による口封じ殺人》《国家による殺人》…。布川事件冤罪被害者桜井昌司さん《無惨に殺された人の無念を晴らす殺したのは誰か検察庁です》と。当時の首相は麻生太郎氏、飯塚を含む福岡8区の出身。その麻生太郎内閣の法務大臣は森英介氏。2008年10月16日、足利事件のDNA再鑑定で、直ぐに、久間さんの死刑執行は停止されるべきだった ――― しかし、わずか10日ほど後の10月28日、死刑は執行された…。首相や法相、検察・警察の関係者、あまりに冷酷だ…。関わった裁判官も。《各裁判所は、弁護側が指摘したさまざまな疑問・矛盾を無視。結局、科警研の「MCT118型鑑定」によるDNA型鑑定をほぼ唯一の根拠とした死刑判決が確定した》。

   『●贖罪:足利事件再鑑定から12日後の2008年10月28日朝、
                飯塚事件久間三千年元死刑囚の死刑が執行』 
 
    「2008年10月16日 足利事件 再鑑定へ
     2008年10月28日 飯塚事件 死刑執行
     2009年 4月20日 足利事件 再鑑定で一致せず
     ……そう、足利事件で誤鑑定であることが分かった時には、既に、
     久間さんの死刑が執行されていた。2008年10月16日
     DNA型鑑定に疑問が生じた時点で、死刑執行は停止されておくべき
     だったのに…。なぜ、急いで死刑執行したのか?、大変に大きな疑問である」

   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●①飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 
         廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
   『●②飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 
         廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
   『●飯塚事件冤罪者を国家が死刑執行、「この重すぎる現実」:
                    無惨…「死刑執行で冤罪を隠蔽」
    「リテラの伊勢崎馨さんによる記事【飯塚事件、なぜ再審を行わない?
     DNA鑑定の捏造、警察による見込み捜査の疑いも浮上…やっぱり冤罪だ!】」
    《冤罪が強く疑われながら死刑が執行されてしまったのが、1992年に
     福岡県で起こった「飯塚事件」である。そして、この飯塚事件にスポットをあて、
     冤罪疑惑に切り込んだドキュメンタリー番組が放送され、ネット上で話題を
     呼んだ。3日深夜に日本テレビで放送された
     『死刑執行は正しかったのかⅡ 飯塚事件 冤罪を訴える妻』だ》

   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の再鑑定で
           死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●飯塚事件…《しかしもっと恐ろしいのは、そんな誤りを認めず、
     国家による殺人を無かった事にする国家の強引さだろう》(清水潔さん)

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http://www.labornetjp.org/news/2021/0911yama

検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪―「飯塚事件の再審を求める東京集会」(オンライン)から(上)

●山口正紀の「言いたいことは山ほどある」第14回(2021/9/11 不定期コラム)
検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪――「飯塚事件の再審を求める東京集会」(オンライン)から(上)

     (*2017年NNNドキュメントより)

 「飯塚事件」をご存知だろうか。1992年、福岡県飯塚市で起きた2女児殺害事件で逮捕され、無実を訴えていた久間三千年(くま・みちとし)さんが死刑判決を受け、2008年に死刑が執行された(当時70歳)。その第2次再審請求の支援を訴える「飯塚事件の再審を求める東京集会」が9月4日、オンラインで開かれた。この事件で有罪判決の根拠とされたのが科警研(警察庁科学警察研究所)によるDNA型鑑定だった。一方、同じ時期・同じ手法で科警研が行なった「足利事件のDNA型鑑定が誤りだったことが明らかになり、再審無罪となった。実は、この足利事件で「DNA型再鑑定へ」と報道されたのが08年10月上旬その10日余り後、突然再審準備中の久間さんの死刑が執行された。それを知った時、私は恐ろしい疑惑に駆られた。この死刑執行は、足利事件に続いて「DNA冤罪=DNA型鑑定を悪用した冤罪が発覚するのを恐れた検察による口封じ殺人ではなかったか……。(以下、事件・裁判の経過とオンライン集会の模様を3回にわたって報告する)


●疑惑の死刑執行1年後、妻が再審請求

 死刑執行からちょうど1年後の09年10月28日、久間さんの妻が新たなDNA型鑑定などを新証拠(再審を開始すべき理由)として、福岡地裁に再審請求を申し立てた。

 しかし、福岡地裁は14年、科警研が行なったDNA型鑑定を「(久間さんの)犯人性を基礎づける事実とすることはできない」と認めたものの、「DNA型鑑定以外の状況証拠による確定判決は揺るがない」として、再審請求を棄却した。

 再審弁護団は即時抗告したが、福岡高裁は18年、即時抗告を棄却。弁護団は特別抗告したが、最高裁第1小法廷は今年4月21日、特別抗告も棄却した。

 このため、久間さんの妻と再審弁護団は7月9日、確定判決の根拠とされた目撃証言を否定する新たな目撃証言などを理由に、2度目の再審請求を福岡地裁に申し立てた。

 オンライン集会は、この第2次再審請求の意義・内容を報告し、支援の輪を広げていこうと企画され、飯塚事件再審の実現に向けて尽力してきた九州大学の大出良知・名誉教授、再審法改正をめざす市民の会の木谷明代表(元裁判官)、布川事件の冤罪被害者・桜井昌司さんら幅広い支援者たちの呼びかけで開催された。

 集会では、弁護団から第1次再審請求を棄却した最高裁決定と第1次請求の総括、第2次再審請求の経過と内容が詳しく報告され、再審請求人である久間さんの妻のメッセージが読み上げられた。また、8月に国家賠償請求訴訟(国賠)の控訴審で勝訴したばかりの桜井さんが再審実現に向けて連帯のアピールを行い、「死刑執行は口封じ何というひどい国だろう。久間さんの無念は必ず晴らせると確信しています」と訴えた。

 集会について報告する前に、第1次請求に対する最高裁決定、第2次再審請求書、弁護団が編集したブックレット『死刑執行された冤罪・飯塚事件』(2017年・現代人文社)などをもとに、まず事件と裁判、再審請求審の経過を紹介しておこう。


●福岡県警は事件直後から久間さんを犯人視し、「見込み捜査」

 92年2月20日、飯塚市内で登校途中の小学校1年生女児2人が行方不明になり、翌日、約20キロ離れた福岡県甘木市(現・朝倉市)の山中で遺体が発見された。死因は扼殺、2人の膣内などから微量の血液が検出された。

 福岡県警は、かつて近くで起きた同種の事件で捜査対象にしたことのある久間さんを事件直後からマークし、その動静を監視(見込み捜査)。3月には遺留品発見現場付近で「ダブルタイヤのワンボックスカーを目撃した」とのT証人の調書を作成した。久間さんは、この「目撃証言」に合致する車を持っていた。

 続いて県警は久間さんに毛髪を任意提出させ、遺体周辺から採取された血液とともに科警研に鑑定を依頼。科警研は6月、〈血液型は、犯人のものとみられる血液、久間ともにB型。DNA型は「MCT118型鑑定」の結果、犯人のものとみられる型と久間が提出した毛髪から採取した型が一致した〉との鑑定書を出した。

 県警は7月、その「追試」として帝京大学の石山昱夫(いくお)教授にDNA型鑑定を依頼した。石山教授は「ミトコンドリア法」という当時、最も鋭敏な検査とされた方法で検査。約1年半後の94年1月に出された石山教授の鑑定書は、「久間さんのDNA型は検出されず被害者以外の第三者(犯人と思われる)の型が検出された」と結論した。

 それでも県警は94年9月23日、久間さんを死体遺棄容疑で逮捕した。
 翌日の『朝日新聞』夕刊(東京本社版)は、社会面トップ見開きで《56歳無職男性を逮捕/小1女児2人殺害事件/遺体運び捨てた容疑/DNAと繊維鑑定が決め手》と大々的に報道、久間さんの経歴や一問一答を掲載した。『読売新聞』も、社会面4段で《無職の56歳男性逮捕/遺棄容疑/殺人容疑でも追及》と大きく報じた。

 『朝日』はその後も、続報で《ワゴン車入念に清掃/容疑者、売却直前に》《容疑者に似た男目撃/遺留品の現場、車で去る》などと犯人視の報道を続けた。

 久間さんは66日間に及んだ取調べに一貫して否認した。県警は10月14日、久間さんを死体遺棄罪で起訴し、殺人容疑で再逮捕した。だが、その後も「自白」は一切なかった

 95年2月20日、福岡地裁で初公判が開かれ、久間さんは起訴内容を全面否認。その後も一貫して無実を訴え続けた。しかし99年9月29日、福岡地裁は久間さんに死刑判決を言い渡した。判決は「被告人の犯行との結びつきを証明する直接証拠がなく、個々の状況事実の単独では被告人を犯人と断定することが出来ない」としながら、概略次のような「状況事実」を列挙し、有罪と認定した。

 ①被告人の車のシートから検出された血痕と被害者の1人の血液型が一致する ②遺体から検出された血液型、DNA型が被告人と一致する ③現場付近で目撃された車と被告人の車種が一致する ④被害者の着衣に付着した繊維と車のシートの繊維が同一 ⑤被告人には土地鑑があり、アリバイも不明。

 私が参加する「人権と報道・連絡会」では2010年1月の定例会で、弁護団の徳田靖之弁護士から事件と裁判の経過について詳細な報告を受けた。その中で徳田弁護士は、一審判決が有罪の根拠とした「状況事実」について、次のように問題点を指摘した。

 「①車のシートの血液型が被害者と一致したというが、血液型だけでそれを被害者の血痕と断定することはできない。③④は車種が同じというだけの話。⑤は全くの間接証拠に過ぎない。③の目撃者が目撃した人物は『年齢30~40歳。髪は長めで七・三分け』ということだったが、久間さんは当時55歳、髪はオールバックだった」

 結局、一審判決は「②科警研によるDNA型鑑定に依拠して有罪と認定したことになる。だが、そのDNA型鑑定をめぐっても重大な矛盾があった。実は、科警研は「MCT118型鑑定」のほかに、独自に「HLADQα型」検査も行っていたが、この検査では被害者の血液から久間さんの型は検出されなかった。そして、石山教授の「ミトコンドリア法」による鑑定も不一致だった。つまり、県警は複数のDNA型鑑定を行ったものの、「MCT118型鑑定」以外はすべて「久間=犯人説を否定していたことになる。

 久間さんはこの一審判決に対して直ちに控訴したが、2001年10月10日、福岡高裁は控訴を棄却。さらに06年9月8日、最高裁は上告を棄却した。各裁判所は、弁護側が指摘したさまざまな疑問・矛盾を無視。結局、科警研の「MCT118型鑑定」によるDNA型鑑定をほぼ唯一の根拠とした死刑判決が確定した。


●「足利事件のDNA型再鑑定へ」報道の直後に死刑執行

 その2年後、状況が大きく動いた。同じ科警研鑑定(「MCT118型鑑定」)を証拠に有罪とされた足利事件について、08年10月、東京高裁が再鑑定する方針を決めた

 足利事件とは、1990年5月、栃木県足利市のパチンコ店で4歳女児が行方不明になり、渡良瀬川河川敷で遺体が発見された事件だ。栃木県警は91年12月、科警研のDNA型鑑定を証拠として保育園の送迎バス運転手だった菅家利和さんを逮捕。菅家さんは起訴され、裁判途中から無実を訴えたが、無期懲役の有罪判決が確定、服役させられていた。

 この東京高裁の再鑑定方針について、新聞各紙は、《高裁、DNA再鑑定へ》(10月17日付『朝日』)、《DNAを再鑑定へ》(18日付『毎日新聞』)と、全国版で大きく報じた。

 これは当時、再審請求を準備していた久間さんに大きな希望の光となったはずだ。ところが、この報道から10日後の10月28日、法務省は突然、久間さんの死刑を執行した。

 死刑執行を命じた法務省が、足利事件の再鑑定報道を知らなかったはずはない。森英介法相は「慎重かつ適正な検討を加えた」と述べた。いったいどんな「検討」をしたのか

 それから約半年後の09年5月、足利事件のDNA型鑑定結果が出た。弁護側・検察側が推薦した鑑定人2人が、いずれも「STR法」による鑑定で「犯人と菅家さんのDNA型は一致しない」と結論した。

 弁護側推薦の本田克也・筑波大教授は、「MCT118型」による追試鑑定も行った。結果は、菅家さんが「18―29型」、犯人は「18―24型」。どちらも「16―26型」としていた科警研の鑑定結果は、精度の低い「MCT118法」においても完全な誤りだった

 飯塚事件弁護団は、この本田教授に飯塚事件の再鑑定を依頼した。ところが、飯塚事件では捜査段階で採取された鑑定試料を科警研が全量消費していた」という。このため、本田教授は科警研鑑定のデータ・写真を解析し、再鑑定した。

 その結果は、「科警研鑑定はDNA型も血液型も誤りという衝撃的な内容だった。血液型は、犯人がAB型、久間さんはB型。「MCT118型」によるDNA型は、犯人が「16―25型」、久間さんは「18―30型」だった。科警研鑑定は、犯人・久間さんとも「16―26型」としていたが、それはすべて間違っていた、と本田鑑定は指摘した。

 遺族と弁護団は死刑執行1年後の10月28日、本田鑑定を新証拠に再審を請求した。だがメディアの反応は鈍く、全国紙各紙が社会面3~4段で伝えただけだった。その背景には、逮捕時にメディアが繰り広げた犯人視報道がある。徳田弁護士は「人権と報道・連絡会」で、「九州では東京以上にひどい犯人視報道が行われ、みんな久間さんを殺人鬼と信じ込まされました」と話した。メディアも〈無実の死刑〉に加担していた。(続く)

Last modified on 2021-09-11 22:51:36
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http://www.labornetjp.org/news/2021/0913yama

●山口正紀の「言いたいことは山ほどある」(2021/9/13不定期コラム)
検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪――「飯塚事件の再審を求める東京集会」(オンライン)から(中)

 久間三千年(くま・みちとし)さんの死刑執行は、「DNA冤罪」が露顕するのを恐れた検察の「口封じ殺人」ではなかったか――こんな恐るべき疑惑をはらんだ「飯塚事件」。その再審を目指して開かれたオンライン集会(9月4日)では、最高裁「特別抗告棄却」決定(4月21日)の問題点、久間さんの妻と再審弁護団が福岡地裁に申し立てた第2次再審請求(7月9日)の内容が詳しく報告された。一連の報告は、①科警研DNA型鑑定のデータ改ざん有罪判決の根拠とされたT目撃証言の不自然さ――など、死刑判決の「証拠」が福岡県警によって改ざん・捏造されたものであることを明らかにした。

     (*写真=徳田靖之弁護士(NNNドキュメントより))


●「もっと早く再審請求していれば」……

 集会ではまず、刑事裁判から弁護活動に取り組んできた徳田靖之弁護士が、第1次再審請求の経過と請求棄却決定の問題点を報告、最初に飯塚事件の3つの特徴を挙げた。

 第1は、死刑が執行されてしまった事件であること。執行は08年10月28日だったが、徳田弁護士は少し前に久間さんに面会し、再審請求について話し合っていた。「あの時もう少し早く再審請求していれば、執行はなかったのではないか。弁護士の怠慢で執行を許してしまった。その過ちを背負いながら再審に取り組んできました」と徳田弁護士は悔やむ。

 一方、死刑執行された事件であることは、裁判官にはハードルの高さになり、慎重な審理を求められる。もし再審無罪になれば、国家による過った殺人を認めることになる。「それが、裁判所が再審開始を拒み続ける理由にもなります」と徳田弁護士。

 第2は、真犯人を特定できる証拠の血痕がありながら、捜査段階で全量消費されてしまったこと。被害者の膣内などから採取された血痕・体液は「100回鑑定ができるぐらい十分な量があった」(石山昱夫・帝京大学教授)のに、科警研の技官たちは3回の鑑定で全部使い切ってしまった」という。しかも、「使い切った」理由も明らかにされていない。徳田弁護士は「これが、無実を証明するうえで大きなハンデになっています」と述べた。

 だが、試料の血痕はほんとうに「全量消費」されたのか、そんな疑問もある。

 第3は、任意取調べを受けた段階から死刑執行の日まで、久間さんが終始一貫無実を訴え、完全否認を貫いた事件であること。わが国ではこれまで、免田事件など再審で死刑囚が無罪になった事件はあるが、その多くは何らかの形で「自白」が取られており、その任意性、信用性が否定されて再審開始の道が開かれてきた。

 本件では、こうした自白が全く存在せず、直接的証拠もない。確定判決も、「間接事実の総合評価によって犯人性を判断するしかない」とした。それだけに、裁判では有罪認定の中核となった「状況証拠」の証拠能力、信用性が徹底的に吟味されなければならない。弁護団は再審請求で、確定判決の証拠構造の中核が、①科警研のDNA型鑑定②遺留品発見現場でのT目撃証言であるとし、この2つに証拠価値がないことを立証した。


●DNA型鑑定、目撃証言のでたらめさを立証した新証拠

 福岡地裁に申し立てた第1次再審請求(09年10月)で、弁護団は2つの新証拠を提出した。1つは、本田克也・筑波大教授によるDNA型鑑定・血液型鑑定に関する法医学鑑定書。2つ目は、厳島行雄・日本大学教授によるT目撃証言に関する心理学鑑定書だ。本田鑑定は、科警研による「MCT118型」鑑定の証拠能力を全面的に否定した。鑑定書によると、「MCT118型」によるDNA型について、科警研鑑定は犯人・久間さんとも「16―26型」としていたが、久間さんのDNA型は「18-30型」であり、明らかに誤っていた。血液型についても「被害者はO型とA型であり、犯人はAB型。B型の久間さんは犯人ではありえない」と結論した。久間さんの無実を物語る衝撃的な鑑定だ

 再審請求審では、科警研がDNA型鑑定の際に撮影したネガフィルムが証拠開示され、本田教授が解析した結果、科警研鑑定書に添付された写真が改ざんされていたことも明るみに出た。ネガフィルムには確定判決で証拠採用された写真より広い範囲が写っていた。そのネガの写真に焼き付けられていない部分に、「久間さんでも被害者のものでもないDNA型」が確認された。これは真犯人のもの以外に考えられない。

 科警研はそれを隠すため、意図的に写真を切断して焼き付けたと考えるほかない。徳田弁護士は「ネガフィルムは科警研による証拠改ざんの痕跡を示す証拠」と指摘した。

 厳島鑑定は、T目撃証言が警察官に誘導されたものであると断定した。T目撃証言とは、女児2人が行方不明になって数時間後、〈遺留品発見現場の近くの山道で久間さんの車と特徴が同じ紺色のワンボックスカーを見た〉という内容だ。厳島教授は現場で再現実験を行い、このT証言の不自然さを指摘した。

 事件発生(92年2月20日)から2週間余、3月9日に作られた供述調書は、T証人が「目撃した」という不審車と不審人物について、極めて詳細に供述している。

 T供述は不審車の特徴として、①ナンバーは不明②標準タイプのワゴン車③メーカーはトヨタやニッサンではない④やや古い型⑤車体は紺色⑥車体にはラインがなかった⑦後部タイヤはダブルタイヤ⑧後輪のホイルキャップの中に黒いラインがあった⑨窓ガラスは黒く車内は見えなかった――という9項目を挙げた。

 不審人物の特徴としては、①頭の前の方が禿げていた②髪は長めで分けていた③上衣は毛糸で④胸はボタン式⑤薄茶色の⑥チョッキで⑦チョッキの下は白いカッターの長そでシャツを着ていた⑧年齢は30~40歳だった――という8項目を挙げた。

 しかし、T証人がこの不審車を目撃したという現場の「八丁峠」はカーブが続く山道。T証人は坂道の下りカーブを時速20~30キロで運転中、左カーブで対向車線に停まっていた「不審なワゴン車」を見た、としている。

 はたして、山道の下りカーブを運転中に、前記のような詳細な「目撃」が可能なのか。車がすれ違うのに要するのはほんの数秒。しかも、「後輪がダブルタイヤだった」というのは、下りカーブで後ろを振り返って見る危険を冒さなければ知り得ない情報だ。

 厳島教授は、現場での走行再現実験の結果に基づき、「目撃はごく短時間であり、対象物の詳しい形状まで記憶することは不可能T目撃証言は作られた供述」と断言した。

 さらに、再審請求審で証拠開示された捜査報告書により、T証言が捜査員の誘導によるものであることを示す事実が明らかになった。実は供述調書が取られる2日前の3月7日、捜査員が久間さん宅を下見して車を調べ、「車体にはボディラインなし」などと報告していた。この捜査員が2日後、T証人の聴取を担当し、調書を作成していたのだ。

 当時、久間さんが乗っていたのは、マツダの「ウエストコースト」というワゴン車。この車種には本来、車体に特徴的なラインが付けられていたが、久間さんはラインを消して乗っていた。そのことを知らなければ、わざわざ「トヨタやニッサンではない」「ラインがなかったなどと供述するわけがない。詳細なT証言は、捜査員による完全な誘導だった


●再審申し立てに判断を回避した最高裁

 確定死刑判決が有罪認定の根拠とした2つの柱=DNA型鑑定とT目撃証言は、弁護団が提出した2つの新証拠と再審請求審で開示された証拠により、完全に破綻した。

 ところが、2014年3月31日付で福岡地裁が出した決定は「請求棄却」だった。

 地裁決定は、科警研のDNA型鑑定については「証明力の評価に変化が生じた」として事実上、証明力を否定した。しかし、T目撃証言については、「厳島鑑定は供述の信用性を揺るがすものではない」「新証拠によって旧証拠の証明力や信用性が減殺されることはない」などとして、証拠能力を認めた。

 山道の下り坂カーブを走行中、わずか数秒間すれ違っただけで、運転者の髪形や詳しい服装から、「車体にはラインがなく、後輪はダブルタイヤだった」などという車の特徴までつかみ記憶していた、などという荒唐無稽な「証言」を、裁判官たちは「信用できる」と言うのだ。そんな裁判官たちの判断を私たちは「信用できる」だろうか。

 そのうえで地裁決定は、「DNA型鑑定以外の状況証拠を総合すれば、事件本人(注;久間さん)が犯人であることについて、合理的な疑いを超えた高度の立証がされていることに変わりはなく、新証拠はいずれも確定判決の認定に合理的な疑いを生じさせるものではない」と結論付け、再審請求を棄却した。

 さらに福岡高裁は18年2月6日、弁護団の即時抗告を棄却、最高裁も今年4月21日、「記録を精査しても、原決定(再審請求棄却決定)を取り消すべき事由は見当たらない」として、特別抗告を棄却する決定を行なった。

 弁護団は特別抗告で、2つの新証拠をめぐる論点だけでなく、高裁決定の憲法違反も指摘していた。福岡高裁の再審請求審では、裁判官3人のうち1人が、刑事裁判で死刑判決を出した一審・福岡地裁の審理に主任裁判官として参加していた。

 かつて自分が加わり死刑判決を出した裁判の再審請求に対して、ニュートラルな状態で審理に臨むことができるのか。裁判官は、もし再審請求を認めれば、自分が「無実の人に対する死刑」を命じた事実に直面することになる

 弁護団は特別抗告で、「これは憲法37条が定める〈公平な裁判を受ける権利〉に反する」と指摘し、憲法違反を主張したが、最高裁決定はこれについて判断を示さなかった

 この決定について、徳田弁護士は「決定文はわずか6ページ。ほとんど何も書いていないに等しく、これでは分析のしようもない。特別抗告から3年も経っており、最高裁は特別抗告を正面から受けとめて真摯に検討していると思っていたのに、弁護団の申立てに対してほとんど判断を回避した」と憤りをこめて批判した。

 それでも徳田弁護士は、第1次再審請求の到達点として、次の2点を挙げた。

 第1に、DNA型鑑定で久間さんの型が全く検出されなかったことが明らかになり、有罪判決の証拠の主たる柱の1つが破綻したこと。第2に、T目撃証言が捜査員に誘導されたものであることが明らかになり、その信用性が徹底的に揺らいだこと。

 それに、第2次再審請求では、警察が握りつぶしてきた真犯人につながる新たな目撃証言が加わる。この強力な新証拠を前に、裁判所は、司法が犯した「冤罪死刑」という取り返しのつかない過ちに目を逸らし続けることができるだろうか。(続く)

Last modified on 2021-09-15 11:03:30
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http://www.labornetjp.org/news/2021/0915yama

●山口正紀の「言いたいことは山ほどある」(2021/9/15不定期コラム)
検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪――「飯塚事件の再審を求める東京集会」(オンライン)から(下)

 久間三千年(くま・みちとし)さんの死刑執行は、「口封じのための国家殺人」ではなかったか――「飯塚事件」の再審実現を目指して開かれたオンライン集会(9月4日)で、この事件の捜査をめぐり、「真犯人の目撃証言無視という新たな疑惑が指摘された。弁護団は7月に申し立てた第2次再審請求で「事件当日、被害少女2人と真犯人と思われる人物を目撃した」というKさんの証言を新証拠として提出した。驚くべきことにKさんは事件直後、犯人に直結するこの目撃を警察に通報したのに、福岡県警はこの決定的証言を調書も取らずに握りつぶしていた。事件発生から29年ぶりに浮上した真犯人の影。久間さんに対する見込み捜査に突っ走っていた警察は、「冤罪による死刑」だけでなく、みすみす「真犯人を逃がす」というもう一つの重大な罪も犯していた疑いが濃厚になった。


●「今にも泣きだしそうだった少女の顔」――鮮烈な29年前の記憶

 集会では、徳田靖之弁護士に続き、再審弁護団主任弁護人の岩田務弁護士が第2次再審請求の新証拠と第2次再審請求の課題について報告した。

 新証拠は、福岡県内に住む男性Kさん(72歳)が、「事件当日の1992年2月20日午前11時ごろ、飯塚市内の八木山バイパスを走行中、後部座席に小学生の女児2人を載せたワンボックスタイプの軽自動車を目撃した」という証言だ。

 その現場は、女児2人が行方不明になった場所に近接した場所。Kさんが弁護士に行なった陳述によると、問題の軽自動車は制限を下回る時速40キロ以下でノロノロ運転していた。その後ろについてイライラしていたKさんは、登坂車線で軽自動車を追い越す際、「こんな迷惑な運転をするのはどんな奴か」と思って運転席を見た。すると、「自分より少し若いくらい(30~40歳)の色白で坊主頭、細身の男性」が運転しており、後部座席には「オカッパ頭でランドセルを背負った女の子」が乗っていた。また、後部座席には「もう1人、女の子が横になっていて、その横にもランドセルがあった」――。

 しかし、Kさんはなぜ、そのような30年近くも前の古い記憶をはっきり覚えていたのか。そしてなぜ、今ごろになって「証言」することにしたのか。当然、検察側は突っ込んでくる。これについて岩田弁護士は、①記銘②保持③想起――の3点から説明した。

①〈記銘〉=なぜ記憶に残ったか。理由は、非常に強い印象を受けた出来事であったこと。後部座席に乗っていた女の子は「うらめしそうな」「うらさびしそうな」「今にも泣きだしそうな」表情をしていた。その異常な表情とともに、平日昼前の時間帯にランドセルを背負った子どもが車に乗っているのを不審に感じ、「誘拐ではないか」という思いを抱いた。さらにその夜、「飯塚市内で少女2人が行方不明」というニュースが流れ、「自分が見たのは行方不明の少女たちではないか」と思い、翌朝110番通報して目撃内容を伝えた

②〈保持〉=なぜ記憶を保ち続けたか。110番通報の1週間後、刑事が来て事情聴取を受け、目撃内容を詳細に説明した。ところが、刑事はメモをしただけで供述調書は取らず、その後何の連絡もしてこなかった。しかし、自分が目撃したのは被害少女と真犯人だと確信し、3年後の第1回公判を傍聴して直接確認した。すると、被告人は自分が目撃したのと全くの別人で驚いた。ただ、「DNA型鑑定が一致した」という検察官の冒頭陳述を聞き、自分が目撃した車は事件に関係がなかったのか、と思い直した。

③〈想起〉=なぜ今回、その目撃を思い出したのか。その後も事件について関心を持ち続けていた。2019年、『西日本新聞』が飯塚事件に関する特集記事を連載した。その中に、「DNA型鑑定が崩れた」という記事があり、「それなら、やはり自分が見たのは犯人だったに違いない」と思い、『西日本新聞』に連絡した。それが記事になり、徳田弁護から連絡があって、新証拠となる詳細な陳述書が作成された。その中で、弁護士にこう訴えた――「あの女の子の恨めしそうな表情が28年間、私を離してくれなかった」。


●第2次再審請求で問い直される「T供述」の信用性

 岩田弁護士は「Kさんが目撃したのが犯人であれば急転直下、真犯人の存在とともに久間さんの無実もはっきりする」と述べ、再審請求でK証言の果たす役割を解説した。

 K証言は、第1次再審請求の地裁決定がほぼ唯一の「証拠」とした「T供述」と真っ向から対立する。事件の2週間余り後、「不審なワゴン車を見た」と供述したT証言と、事件翌朝、「少女2人が乗った軽自動車を見た」と通報したK証言。2つの証言の信用性は表裏一体であり、K証言の信用性が強まれば、T供述の信用性は弱まる。

 しかも、T供述は犯行(被害少女)を直接目撃したものではなく、間接証拠に過ぎない。しかし、K証言は「被害少女2人を目撃した」というもので、直接証拠となる。

 この重要な手掛かりとなる目撃通報を受けた福岡県警は、直ちに捜査員を出して供述調書を取るべきなのに、1週間後に刑事が来てメモしただけで放置した。

 その一方、警察は久間さんに対する見込み捜査に走り、「久間=犯人」に合致する証拠集めに躍起になった。そうして作られたのが、「ワゴン車の詳しすぎる特徴」をはじめ、捜査員に誘導された痕跡が顕著なT供述だった。

 岩田弁護士は「第2次再審請求では、T供述の信用性が攻防の中心になる。全部目撃するのは不可能なほど膨大な情報を『目撃した』とするT供述を、裁判官は『誘導はなく、信用できる」と評価した。これをKさんの目撃証言を中心に、いろんな方向から崩していく。それが第2次再審請求の課題です」と報告を締めくくった。


●「久間三千年は無実です」――妻の悲痛なメッセージ

 岩田弁護士の報告に続き、再審請求人である久間さんの妻が集会に寄せた次のようなメッセージが紹介された。

 「久間三千年は無実です。私たち家族の幸せは、平凡な生活の中にあり、夫の優しさ思いやりは、日々の生活の中に満ちあふれていました。夫は一方的に犯人扱いされ逮捕、起訴され裁判にかけられました夫は終始一貫して無実を訴え続けてきました
 私たち家族は、夫を疑ったこともなく、理不尽な仕打ちを受けながらも夫が生かされていることだけを、心のよりどころとして、耐え続けてきました。突然の死刑執行に目の前が真っ暗になり何も考えられなく、途方に暮れました。
 無実を訴え続ける夫に殺人の汚名を着せて、命まで奪う国の法律があるとは、思ってもみませんでした。
 無実を訴え続け命まで奪われた夫の無念を晴らし名誉を回復するために再審請求をしましたが、最高裁での特別抗告も棄却されました。
 令和3年7月9日に、第2次再審請求をしました。
 どうしてなのでしょうか。終始一貫して無実を訴えている者の再審の審理は、無理なのでしょうか。すぐにでも裁判を受ける権利は平等にあるべきです。
 無茶なことを言っているのではなく、裁判が間違っているからやり直して欲しいと願っているだけです。公平な権利さえも与えられないのでしょうか。
 裁判所において、刑事裁判の目的は、「無罪の発見である」、被告人の人権保障にある。
 「百人の真犯人を逃がしても一人の無辜(むこ)を罰してはならない」とする考え方。
 刑事裁判は、憲法に保障されている人権を守るためにあると、ある書籍に書いてありました。このことを原点として裁判に臨んでいる裁判官もいらっしゃいます。
 検察官の職務についても「公益の代表者」と義務づけ、真相究明と同時に被告人の後見的役割を担う、とあり、法的用語や条文など解りにくいところは多いのですが、再審を願っているだけなのです。
 どうか、皆様方のお力添えを宜しくお願い致します。いつ、どんな時でも一人の人間が公平公正な裁きを受けられることを心から望んでいます。
 令和3年9月4日」


●「久間さんの無念を晴らす」――桜井昌司さんの連帯アピール

 続いて、布川事件冤罪被害者桜井昌司さんが連帯のアピールを行なった 「話を聞くたび、ひどい事件だと思います。東の足利、西の飯塚と言われ、DNA型鑑定で有罪にされた。しかし、久間さんは死刑が執行された何という国家だろうと思う。警察はなぜK証人にきちんと聴取しなかったのか。別の事件で警察は久間さんを疑っていたそうで、警察はひたすら有罪証拠をかき集めた。布川でも同じことがありました。

 T供述を検証した八丁峠の映像を見て思いました。現場は九十九折の山道で、道路の左側には溝があり、脱輪するかもしれない。そんな場所で、対向車がダブルタイヤだったなんてわかりっこない。こんなことを優秀な裁判官がなぜわからないのか

 日本の警察はこれまでも証拠を捏造してきました。そうして、どれだけの人が刑務所に入れられ、殺されてきたか。すべてが無責任です。冤罪事件で国家賠償しても、だれも懐が痛まない。そのお金も税金です。足利事件、布川事件、ゴビンダさんの事件東電事件)、東住吉事件だれもその責任を追及しない

 再審法を改正しないといけない。税金で集めた証拠を法廷に出すのは当たり前じゃないですか。久間さんの無念は必ず果たせると確信しています。必ず勝ちます。一緒にがんばりましょう。無惨に殺された人の無念を晴らす殺したのは誰か検察庁です

 桜井さんは1967年に起きた布川事件で杉山卓男さん(故人)とともに無期懲役刑が確定したが、2011年に再審無罪をかちとった。8月27日、この冤罪の責任を問う国家賠償訴訟の控訴審で勝利し、国・県は上告できず9月10日、勝訴が確定した。桜井さんは13日に会見し、「54年間ずっと背負っていた冤罪の重荷を下ろすことができた」と話した。

 だが、桜井さんの闘いは終わらない。国賠訴訟の一審勝訴後、直腸がんが見つかり、食事療法でがんと闘っている。そうして、冤罪と闘う全国の「獄友」の雪冤のために東奔西走する久間さんの無念を晴らす。それも、桜井さんの大きな目標の1つだ。(了)

Last modified on 2021-09-15 11:00:47
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●再審無罪が確定した西山さんの国家賠償請求訴訟で、冤罪を生んだ滋賀県警が《今になって西山さんを犯人視する書面を作成、裁判所に》…

2021年12月01日 00時00分37秒 | Weblog

(2021年09月26日[日])
東京新聞の社説【<社説>再審無罪を否定 西山さんを苦しめるな】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/132379?rct=editorial

 《再審無罪判決を否定するという荒唐無稽な書面だ。滋賀県の病院で、患者の死亡を巡り殺人罪などで服役後、再審無罪が確定した元看護助手西山美香さんによる国家賠償請求訴訟で、被告の県は、西山さんを犯人視する表現をした準備書面を大津地裁に提出した。県警が作成したもので、県側は承知していなかったとして、三日月大造知事は謝罪し、書面修正の意思を表明した。なぜこんなことが起きたのか、県と県警に徹底調査を求めたい》。

   『●《裁判長は「取り調べや証拠開示などが一つでも適切に行われていれば、
       逮捕・起訴はなかったかもしれません」》と仰ってたのですがね?
    《だが、県は、15日に地裁へ提出した準備書面で「取り調べ担当官に
     好意と信頼を寄せて虚偽の殺害を自白することなど、
     根本的にあり得ない」とし、捜査の違法性を否定。「被害者を
     心肺停止状態にさせたのは、原告である」と主張した。
     再審の無罪判決で、裁判長は「取り調べや証拠開示などが一つでも
     適切に行われていれば、逮捕・起訴はなかったかもしれません
     と説諭したが、「滋賀県警としては、承服し難い」とも反論した》

 再審無罪が確定した元看護助手西山美香さんによる国家賠償請求訴訟で、冤罪を生んだ滋賀県警が《今になって西山さんを犯人視する書面を作成、裁判所に》提出? 醜悪過ぎる滋賀県警、いっさい反省なし、冤罪に何の痛痒も感じていない…《警察官のうそと検察官の証拠独占が冤罪を生む》。

   『●湖東記念病院人工呼吸器事件…冤罪服役13年、
     【元看護助手、再審で無罪が確定的に 滋賀の病院患者死亡】
   『●湖東記念病院人工呼吸器事件で冤罪服役…《刑事司法の
      よどみや曇り》の解明を、《冤罪が生まれる構造に光》を!
   『●警察・検察・裁判所は何も責任をとらないつもり? それなくして、
       《西山さんが待ち続けた「名誉回復」》が叶ったといえるのか?
   『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性
      を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》
    《無実でも有罪判決が確定すると、それを晴らす道は極めて狭い
     再審関係の条文は古いままで、手続きも事実上、裁判官のさじ加減
     次第である。無辜(むこ)を救う究極の人権救済の法整備は急ぐべきだ

 西山美香さんは冤罪で服役し、《青春時代の十数年間を監獄で過ごさねばならなかった》。《再審開始決定までの七つの裁判所判断は、この矛盾に言及しなかった》。《無理な捜査、虚偽自白、証拠開示の遅れ》…弁護士も立ち会わず、長期拘留して密室で自白を迫る。警察や検察により、被疑者に有利な証拠は隠蔽される。同じことの繰り返しだ。
 大西直樹《裁判長は「取り調べや証拠開示などが一つでも適切に行われていれば、逮捕・起訴はなかったかもしれません」》《「西山さんの15年を無駄にしてはならない」》と仰ってたのですがね? 醜悪過ぎる滋賀県警。

   『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…代用監獄…
          人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚
   『●検察による恣意的・意図的な証拠の不開示、証拠の隠蔽や
             喪失、逆に、証拠の捏造…デタラメな行政
   『●《良心に従い職権を行使する独立した存在》ではない
     大久保正道裁判長である限り、アベ様忖度な「行政判断」が続く
   『●《「自白の強要をされたという認識に変わりはない」と反論…
            いまだにこんな水掛け論になるのかと嘆かわしい》
    「《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的代用監獄人質司法
     …《日本の刑事司法制度は国際的水準に達していない》。
     「人質司法」は未だに《国際的にも悪評が高い》。
     《弁護士の立ち会い…多くの国・地域で認めている制度》である
     にもかかわらず、ニッポンでは認められていない。
     《録音・録画(可視化)》もほとんど進まず、
     《事後検証が不可能に近い》。《弁護士の立ち会いが任意段階から
     認められていれば、誤認逮捕という人権侵害もなかったはずだ》」

   『●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…
      無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》
   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

   『●《「証拠は再審請求の段階でも捜査側に偏在している」…検察は掌中の
         証拠をあまねくオープン》にするよう裁判所は訴訟指揮すべきだ

 布川事件桜井昌司さんは《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》…検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定しました。54年の苦難にとても報いることはできませんが、その一部に少しでも報いられたとしたら、この判決を歓迎すべきかと思いました。検察や警察は《判決の結果を真摯に受け止め》、二度とこのような冤罪被害者が出ないよう、改善を約束すべきです。そのために何をすべきかを明らかにすべき。
 湖東記念病院人工呼吸器事件も同様だと思うのですが…。

   『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、
         検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》
   『●桜井昌司さん《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》
      …検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定
   『●布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、
     濡れ衣を着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さん

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/132379?rct=editorial

<社説>再審無罪を否定 西山さんを苦しめるな
2021年9月22日 07時50分

 再審無罪判決を否定するという荒唐無稽な書面だ。

 滋賀県の病院で、患者の死亡を巡り殺人罪などで服役後、再審無罪が確定した元看護助手西山美香さんによる国家賠償請求訴訟で、被告の県は、西山さんを犯人視する表現をした準備書面を大津地裁に提出した。県警が作成したもので、県側は承知していなかったとして、三日月大造知事は謝罪し、書面修正の意思を表明した。なぜこんなことが起きたのか、県と県警に徹底調査を求めたい。

 訴訟は、西山さんが捜査の違法性を解明することなどを目的に、昨年提訴した。県側は、違法性はなかったと主張する今月十五日付書面の中で「患者を心肺停止状態に陥らせたのは、原告(西山さん)であると、西山さんを殺害の実行者と決め付けた

 西山さん側からの強い抗議で、知事は臨時の記者会見を開き「西山さんの心情を傷つけた深くおわびする」と述べ、修正の意向も示した。事前に書面の内容や提出の事実を知らなかったという。

 書面は県警が作成。県警は「慣例に従った」と釈明しているが、県の規定では、県警本部長の決裁後、県総務課長が決裁することになっている。しかし今回、書面は県側に回付されていなかった

 再審無罪が確定した昨年三月の大津地裁判決は「『呼吸器を外した』との捜査段階の自白には、信用性と任意性に疑いがある」と認定。さらに「取調官は西山さんの自分への恋愛感情に乗じて供述をコントロールしようとした」と、自白調書を証拠から削除し、患者は「他の原因で死亡した可能性がある」と結論づけた

 これに対し、問題の準備書面は「取調官に好意を寄せて虚偽の自白をするなどあり得ない」と反論。無罪判決も否定した。

 だが、ちょっと待ってほしい。再審公判で、検察側は「新たな有罪立証は行わない。裁判所に適切な判断を求める」と論告し、求刑もしなかった。有罪立証を放棄したに等しいのに、捜査をした県警が今になって西山さんを犯人視する書面を作成、裁判所に出すのは不可解と言うほかない

 県警には、なぜ「犯人視」の書面が提出され、どんな意図があったのかきちんと調査、説明する責任がある。文書修正だけで済む話ではない西山さん本人にも直接謝罪すべきだろう
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●《赤木俊夫さんの公務災害に関する文書が一転開示された。だが、そこに「改ざん」の記載はなく、改ざんの理由などはわからないままだ》

2021年11月28日 00時00分10秒 | Weblog

[※ 2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日というトリガー(『報道特集』、2021年06月26日、ブログ主が改変)↑]


赤木雅子さんのど正論 ――― 「私の夫は財務省に改ざんをさせられて亡くなったんですよ!

――― 「あんたらがトロトロしとるからこうなるんじゃ!」「裁判が遅いのは国のせいじゃないですか私たちの責任じゃないですそれで裁判を終わらせようなんて、とんでもありません

――― 「きちんと謝罪してくれる議員もいるんや麻生大臣も財務省の人たちも謝ってくれないのに

――― 「夫に起きたことは皆さんの周りで起きてもおかしくありません真相を知るためには世論の力が大事なんです皆さん、関心を持ってください

――― 「安倍首相は、2017217日の国会の発言で改ざんが始まる原因をつくりました麻生大臣は墓参に来てほしいと伝えたのに国会で私の言葉をねじ曲げましたこの2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではないと思います


[※ 【赤木俊夫さんの妻の自筆メモ】(東京新聞 2020年3月24日)↑]



(20211121[])
森下裕介記者による、アサヒコムの記事【赤木さん公務災害文書 人事院が一転、大半開示 過重業務が明らかに】(https://www.asahi.com/articles/ASPCK3V5QPCKPTIL007.html)と、
野村昌二記者による、AERAの記事【「苦しみは解放されない」森友問題で自死した赤木俊夫さんの妻・雅子さん 開示文書に「改ざん」の記載なし/野村昌二】(https://dot.asahi.com/aera/2021111800082.html)。

 《学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざんに関与させられ、自死した近畿財務局職員、赤木俊夫さん(当時54)について、人事院は、公務災害認定に関して不開示としていた文書の大半を妻・雅子さん(50)に開示した。8日付。雅子さんの代理人弁護士が17日、明らかにした》。
 《「森友問題」で自死した赤木俊夫さんの公務災害に関する文書が一転開示された。だが、そこに「改ざん」の記載はなく改ざんの理由などはわからないままだ》。


 《公文書改ざんに関与させられたことが最大の問題点なはずで、《赤木俊夫さんの公務災害に関する文書が一転開示された。だが、そこに「改ざん」の記載はなく改ざんの理由などはわからないまま》では、赤木雅子さんも納得いかないでしょう。「夫が苦しんだ理由は、一番は改ざんをさせられたことですそこが抜けています」。どこまでも無責任な対応に終始している財務省、前財務相元行政府の長ら。誰一人として責任をとっていない。

   『●【赤木俊夫さんの死を無駄にしないために】《どうすれば俊夫さんを
       死なさずに済んだのかなどを考えた》(ビデオニュースドットコム)
   『●麻生太郎財務相・副首相の口にチャックをしてほしい。野中広務氏の
       ように《麻生は何も答えず、顔を真っ赤にしてうつむいたまま》の様に
   『●赤木俊夫さんに「法を犯」させた側、「官僚にあるまじき行為を」
     させた側、「決して穢してはならないものを穢」させた側の責任は?
   『●東京新聞原田晋也記者の記事【森友改ざん、財務省の行政文書も
     開示を 赤木さん妻が請求...初めて入った省内、撮影禁止巡り抗議も】
   『●《「…これからの政権に前の政権の評価を聞いて読者の関心があるのか
      ねえ?」と笑い交じりに述べた》…泥棒達に縄を綯わせてはいけない
   『●ド正論 ―――「裁判が遅いのは国のせいじゃないですか。私たちの責任 
       じゃないです。それで裁判を終わらせようなんて、とんでもありません」
   『●このまま自公政権のままでは、赤木雅子さんの望む「再調査を実施して
        ほしい」は叶えられない… #政権交代で命を守る新しい政権を!
   『●「財務省の調査は行われましたが、夫が改ざんを苦に亡くなった
     ことは(調査報告書に)書かれていません。なぜ書いてないのですか?」

 「私の夫は財務省に改ざんをさせられて…」。「改ざんはなぜ起きたのか、誰の指示で起きたのか、知りたい」。「私が知りたいのは、改ざんは何で起きたのか、誰の指示で起きたのかです。そのことがわからないと、私の苦しみは解放されません」。
 手紙を読んでも、赤木雅子さんの声は届かず。岸田首相は、アベ様や麻生副総裁の「話をしっかり聞く」ことはできても、赤木さんの「話をしっかり聞く」つもりなどさらさら無し。
 「財務省の調査は行われましたが、夫が改ざんを苦に亡くなったことは(調査報告書に)書かれていません。なぜ書いてないのですか?」《要するに、安倍政権、菅政権と同じ。「調査は尽くした。問題はない」を繰り返し、最後は「裁判中なので」と逃げる。再調査を行う気がかけらもないことはよくわかった》《裁判の資料とするため、財務省が改ざんの調査報告書をまとめる際に使ったすべての文書と、事件の捜査で検察庁に提出したすべての文書を開示するよう求めていた。…しかし回答は、すべて「不開示」まさにゼロ回答岸田総理の答弁と同じだ》…このまま自公政権のままでは、赤木雅子さんの望む「再調査を実施してほしい」は叶えられない… #政権交代で命を守る新しい政権を!――――― そのはずだったのに、この国は一体どうなっているのだろう。
 金子勝さん《総選挙の結果にはガックリきた。この国はモリカケ桜をはじめとした安倍元首相をめぐる数々の疑惑を見逃す選択をした。腐った資本主義がはびこり続けることになるだろう》。数多のアベ様案件を《見逃す選択をした》ニッポン。《メディアコントール》を脱却できない、脱却する意志のないメディアの罪もあまりに深い。

   『●脱メディアコントロールを! 《そもそも、野党に対して<批判ばかり>
        などと報道しているメディアは一体、何のために存在している》?
   『●《右も左も関係ない。シンプルに考えればいい。政治を私物化し、国の
      かたちを歪めてきた異常極まりない勢力は退場させなければならない》
   『●御用マスコミまでもが喧伝する「立憲民主党敗北は野党共闘のせい」
        「野党は批判ばかり」…自公お維はよほど野党共闘が怖いのね?
   『●カマトト産経系広報紙《岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」の
     意味がよく分からない》➙新自由主義、小さな政府、市場原理主義経済
    《振り返ってみれば、メディアが加担した詐欺商法のような
     与党の印象操作が横行する選挙戦だった》

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https://www.asahi.com/articles/ASPCK3V5QPCKPTIL007.html

赤木さん公務災害文書 人事院が一転、大半開示 過重業務が明らかに
森下裕介 2021年11月17日 12時14分

     (財務省近畿財務局職員だった赤木俊夫さん。
      写真は展覧会を見に東京国立博物館を訪れた時のもの
      =2016年、東京都台東区、妻の雅子さん提供)

 学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざんに関与させられ、自死した近畿財務局職員、赤木俊夫さん(当時54)について、人事院は、公務災害認定に関して不開示としていた文書の大半を妻・雅子さん(50)に開示した。8日付。雅子さんの代理人弁護士が17日、明らかにした。

 新たな開示内容などによると、俊夫さんは、2017年2月に国有地払い下げの問題が報道されたことをきっかけに、国会からの資料要求や行政文書の開示請求、苦情への対応などの業務に追われ、17年7月にうつ病と診断された。発症までの6カ月間の残業時間は1カ月あたり約100時間と認め「業務による強い負荷を受けており、発症と公務との間に因果関係が認められる」と判断していた。

 公務災害に関する文書をめぐり、人事院は19年12月に、うつ病を発症するまでの経緯や、俊夫さんが亡くなる直前の業務内容などについて記された部分を、具体的な理由を説明せずに不開示としていた。雅子さんの審査請求に基づき、総務省の情報公開・個人情報保護審査会はこの決定を違法と答申し、人事院も今年10月に取り消していた。(森下裕介)
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https://dot.asahi.com/aera/2021111800082.html

「苦しみは解放されない」森友問題で自死した赤木俊夫さんの妻・雅子さん 開示文書に「改ざん」の記載なし
2021/11/19 08:00
野村昌二

     (開示された、赤木俊夫さんの公務災害認定に関する文書。
      全70ページ。公文書の「改ざん」や「書き換え」といった
      記載はなかった(撮影/写真部・高野楓菜))

 「森友問題」で自死した赤木俊夫さんの公務災害に関する文書が一転開示された。

 だが、そこに「改ざん」の記載はなく改ざんの理由などはわからないままだ

     【記者会見で、文書を見ながら語った赤木雅子さん】

*  *  *

 ようやく開示された文書には、自死した財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)が、「公務災害」に認定された理由が記されていた。公務災害とは公務員の労災に当たるものだ。

「最初に見たとき、クリアになっているなというのが第一印象でした」

 妻の雅子さん(50)は語る。

 2018年3月7日。俊夫さんは、学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却を巡る財務省の公文書改ざんに関与させられたことを苦に、自宅で自ら命を絶った。同年4月、雅子さんは公務上災害の認定請求を行い、19年2月に俊夫さんは公務災害だと認定された。


■何を隠したかったのか

 公務災害なら、具体的にどのような理由でそうなったのか。

 理由を知りたい雅子さんは同年9月、人事院に情報開示請求を行った。だが同年12月、人事院が出した文書はほとんど全てが黒塗りされた「のり弁」状態具体的な理由を説明せずに大半を不開示とした。不服とした雅子さんが審査請求すると、総務省の情報公開・個人情報保護審査会は今年9月、不開示決定を「違法で取り消すべきだと答申。答申に法的拘束力はないが人事院は一転して、10月29日付で不開示決定を取り消した

 開示は11月8日付。雅子さんは、書留で受け取った。

 開示文書は全70ページ。1ページ目には「機密性2情報(関係者限り)」とある。数カ所を除き、黒塗りはなかった。

 開示内容によれば、俊夫さんは17年2月に国有地払い下げ問題が報道されたことを機に、「上級官庁との連絡調整」「国会からの資料要求対応業務」などの業務に追われ、同年7月にうつ病と診断された。発症前の半年間は、1カ月当たり平均約100時間の時間外勤務をしていたことなどを挙げ、業務による強い負荷で「精神疾患の発症と公務に相当因果関係が認められる」と判断し、公務災害と認定していた。

 しかし、と雅子さんは言う。

     (赤木雅子さんは17日の記者会見で、文書を見ながら語った。
      「改ざんはなぜ起きたのか、誰の指示で起きたのか、知りたい」)

「開示請求してから丸2年経つのに、出てきたのがこの内容です。何を隠したかったのかなと思いました」

 しかも、今回の文書は雅子さんが提訴した国家賠償請求訴訟で、昨年12月にすでに国側が提出している財務省の報告書とほぼ同じだった。


■真実を知りたいの一念

 何より雅子さんが失望したのは、文書に「改ざん」と一言も書かれていなかった点だ。財務省理財局長だった佐川宣寿・元国税庁長官による、公文書の改ざんの指示と、自死を結びつける具体的な記載はなかった

夫が苦しんだ理由は、一番は改ざんをさせられたことです。そこが抜けています

 公文書の改ざんがなければ、夫は精神を病むことも、自死することもなかったはず──一番の根本の理由が書かれていないのは納得できない、ここまで苦しんでいた夫の自死の理由を書かないのはひどい、と雅子さんは憤る。

『改ざん』と書いてしまうと、その指示系統まで全て出さないといけないので、隠したかったのだと思います

 国は何を守りたいのか改ざんの事実を隠した上で、公務災害を認定しようとしているのか。雅子さんはこう話す。

「私が知りたいのは、改ざんは何で起きたのか、誰の指示で起きたのかです。そのことがわからないと、私の苦しみは解放されません

 真実を知りたい──。その一念で、雅子さんは国を相手に裁判を続けている。10月下旬には、改ざんに関連する行政文書が開示されないのは不当だとして、国に不開示決定の取り消しを求める訴えを大阪地裁に起こした。雅子さんは言った。

「一歩ずつ頑張れば、きっと真実を知ることができます」

(編集部・野村昌二)

※AERA 2021年11月29日号より抜粋
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●「第三者による再調査を」…《またも涙ぐんだ》赤木雅子さん、《その時、傍聴席から拍手が起きた。一人、また一人と数人が呼応した》

2021年06月28日 02時00分44秒 | Weblog

[※ 2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日というトリガー(『報道特集』、2021年06月26日)↑]


(2021年06月26日[土])
リテラの記事【赤木ファイル公開で明白になった佐川元理財局長の直接指示! 改ざん指示は安倍首相から菅官房長官、菅から佐川のルートが濃厚に】(https://lite-ra.com/2021/06/post-5928.html)。
今西憲之さんによる、dot.の記事【518ページの「赤木ファイル」公開 近畿財務局は実名公開で本省キャリアは黒塗りの理不尽】(https://dot.asahi.com/dot/2021062200068.html)。
日刊ゲンダイのコラム【相澤冬樹 森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記/赤木雅子さんに傍聴席から拍手「疑惑や不信を招く行為をこれ以上続けないで」】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/291022)。

 《ついに森友学園への国有地売却をめぐる公文書改ざんの経緯を記した「赤木ファイル」が公開された。…そして、本日明らかになった518ページにもおよぶ「赤木ファイル」は、そうやって必死に政府が隠してきた理由がわかる内容となっていた》。
 《財務省からの改ざん指示について、森友学園に配慮したこともなく、公務員として誠実、公正に対応してきたと、強い抵抗の意思を示していた》。
 《この言葉で締めくくり、またも涙ぐんだ雅子さん。その時、傍聴席から拍手が起きた。一人、また一人と数人が呼応した。数秒して拍手が収まると裁判長が静かに告げた。「静粛に願います」 そこで雅子さんの胸に去来したのは……。「超うれしいです。夫への拍手でもあるし、心から応援してくれているんだと、温かい気持ちになりました」 実は前の晩から歯が痛くなって体調は万全ではなかったのだ。それを補って余りある、すてきな拍手だった》。

 「第三者による再調査を」…《またも涙ぐんだ》赤木雅子さん、《その時、傍聴席から拍手が起きた。一人、また一人と数人が呼応した》。一方、財務相は、早くも、再調査しない旨を喧伝している。正気か?
 お得意のドロナワ泥縄は許されない。アベ様や元最低の官房長官、麻生財務相ら〝泥棒〟に再調査で真実を明らかにするという〝縄を綯う〟ことができる訳がない。調査される側である〝泥棒〟ではなく、速やかに、真の第三者による再調査を求む。

 《財務省…「二重殺人」とさえ言える》(古賀茂明氏)。
 《決定的に重要な証拠》《改ざんの詳細が記されたという“赤木ファイル”》…その存否さえ明らかにしなかった卑劣な国。漸くその存在を認め、漸く公開された。ただし、黒塗りで…。#赤木ファイル の #黒塗りは許されない、という多くの声があったにもかかわらず。
 《赤木雅子氏の裁判の勝敗は、私たち国民が「諦めないこと」「忘れないこと」にかかっている人の心を持つ善良な官僚と裁判官を後押しするために、私たちは、雅子さんとともに声を上げ、闘い続けなければならない》(古賀茂明氏)。

 《新事実が次々に読み取れた》《■随所に「重大な新事実」 戻ってきた「夫」によって数々の新事実がわかった。それでも麻生財務大臣は「再調査はしない」と言う》。
 調査される側の論理のフテブテしさ…戦犯・財務相はなぜあんなに醜悪な態度なのか? 黒塗りされた赤木ファイルを返却し、恥ずかしくないのか?。
 《遺書に〈最後は下部がしっぽを切られる〉と綴って自殺を遂げた赤木俊夫さんの口癖は「ぼくの契約相手は国民です」というもので、改ざん行為にも涙を流してまで抵抗したという。…ひとりの人間の良心と正義を、この国の政治はどのように踏みつけにしたのか──》。

 《2017年2月26日に送られたメールの文面…などという生々しい指示が。さらには、このメールには、安倍昭恵氏をはじめ、安倍晋三首相(当時)や麻生太郎財務相といった政治家の名前を削除するための修正内容を具体的に指示する資料も付けられていたのだ》。
 2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日…アベ様のタンカ「私や妻が関係していたということになれば、総理大臣も国会議員も辞める」が改ざんの引き金だ。

 それから、《「森友学園」が、大阪府豊中市の国有地を8億円余りの値引きで購入していたことが2017年2月に発覚》…これまた、お維も絡んでるんですよね? 異常な教育方針にも、お維はずいぶんとご執心だったようだ。なぜ、認可したのか? 解明すべきことが数多有り。

   『●《決定的に重要な証拠》《改ざんの詳細が記されたという“赤木ファイル”》
            …その存否さえ明らかにしない卑劣な国に「文書提出命令」を
   『●《赤木ファイル…国会では裁判に影響があると言い、裁判では影響がない
         と言う財務省の二枚舌》、そして、麻生太郎財務相の卑劣・冷酷
    《3月7日、3年前に財務省近畿財務局の職員赤木俊夫氏が命を絶った
     日だ。赤木氏は、森友学園への国有地売却決裁文書を改ざん
     させられた。不当な安値売却に安倍晋三総理(当時)の夫人昭恵氏の
     関与が疑われたが、安倍氏は「私や妻が関係していたということに
     なれば、総理大臣も国会議員も辞める」と答弁した。ところが、
     決裁文書には昭恵夫人らの名前があったので、これを消すために
     改ざんが行われたのだ》

   『●赤木俊夫さんが残してくれた証拠・記録「赤木ファイル」を《すべて
     黒塗りにされた「のり弁」状態》にするなど、絶対に絶対に許されない
   『●「赤木ファイル」を《探しもせず、目も通さずに調査を終えたのならば、
       調査の信頼性そのものを疑わざるを得ない》…黒塗りなど許されない
   『●《つまり、赤木雅子氏の裁判の勝敗は、私たち国民が「諦めないこと」
      「忘れないこと」にかかっている…私たちは、雅子さんとともに…》
   『●赤木ファイルと沖縄…《無視された小さな声を拾い集めることでしか、
         この国の正義は取り戻せない。今の政府にできるだろうか。》
   『●《国を動かすのはメディアにもできなかったこと》な赤木ファイルの
      黒塗りは許されない…アベ様ら=「カラスはやっぱり「黒い」です」
   『●赤木雅子さん「麻生大臣、安倍昭恵さん、安倍元首相の名前も出てくる。
        …再調査される側の立場。再調査しないという立場ではないと…」

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https://lite-ra.com/2021/06/post-5928.html

赤木ファイル公開で明白になった佐川元理財局長の直接指示! 改ざん指示は安倍首相から菅官房長官、菅から佐川のルートが濃厚に
2021.06.22 11:21

     (自民党HPより)

 本日22日、ついに森友学園への国有地売却をめぐる公文書改ざんの経緯を記した「赤木ファイル」が公開された。

 「赤木ファイル」は近畿財務局職員として改ざん作業を強いられ、自死にまで追い込まれた赤木俊夫さんが記したもので、妻の赤木雅子さんが国を相手取った訴訟で提出を要求してきた。ところが、政府は国会では「訴訟に影響を及ぼす」としてファイルの存否すら明らかにせず、一方で裁判所に対しては「ファイルは裁判に関係せず、存否について答える必要がない」などと回答矛盾も甚だしい姑息な二枚舌を使って「赤木ファイル」を隠し通してきた。

 そして、本日明らかになった518ページにもおよぶ「赤木ファイル」は、そうやって必死に政府が隠してきた理由がわかる内容となっていた。

 そのひとつが、改ざん当時、財務省理財局長だった佐川宣寿氏の直接指示を示す記述だ。たとえば、2018年6月に公表された財務省による調査報告書では、2017年3月20日に〈理財局長からは、同年2~3月に積み重ねてきた国会答弁を踏まえた内容とするよう念押しがあった。遅くともこの時点までには、理財局長も、決裁文書の書き換えを行っていることを認識していたものと認められる〉と記述。佐川氏の関与は要領を得ない表現によってぼかされていた。

 ところが「赤木ファイル」では、2017年3月20日におこなわれた財務省本省からの指示について、はっきりとこう記していた。

〈売払決議書(売払調書)は佐川局長から国会答弁を踏まえた修正を行うよう指示(調書の開示により新しい情報を与えることがないよう)があったとのこと〉

 ようするに、佐川氏は「決裁文書の書き換えを行っていることを認識していた」などというようなレベルではなく、直接、具体的に改ざん指示をおこなっていたのだ。財務省の調査報告書では佐川氏の関与について、〈応接録の廃棄や決裁文書の改ざんの方向性を決定付けたものと認められる〉〈一連の問題行為の全貌までを承知していたわけではない〉などとしていたが、やはり改ざんを直接指示していたのである。

 それだけではない。今回公開された「赤木ファイル」では、財務省がはじめて近畿財務局に対して改ざん指示をおこなった2017年2月26日に送られたメールの文面も添付。そこには、〈今後開示請求があった際のことを踏まえると、現時点で削除した方が良いと思われる箇所があります〉〈近畿局の決裁文書につづられている調書等を修正・差し替えするとともに、当該修正後の文書を本省にメール送付いただけますでしょうか〉などという生々しい指示が。

 さらには、このメールには、安倍昭恵氏をはじめ、安倍晋三首相(当時)や麻生太郎財務相といった政治家の名前を削除するための修正内容を具体的に指示する資料も付けられていたのだ。


■菅に調査を命じていた安倍 菅は首相秘書官となっている寺岡光博を使って……

 このように、佐川氏による直接指示といった新事実が判明したのだから、佐川氏はもちろんのこと、近畿財務局に対して改ざんを指示した財務省の人物に対する再調査が必要だ。ところが、政府はこの期に及んでも「赤木ファイル」にマスキングを施しており、近畿財務局に改ざんを要求した財務相本省の人物の名前などを黒塗りにして提出したのだ。

 その上、麻生太郎財務相は黒塗りにしたことについて「個人のプライバシーや情報セキュリティなどに限定した」と言い張り、「財務省としてできる限りの調査を尽くしており、再調査は考えていない」などと再調査を拒否したのである。

 すでに調査報告書との矛盾は明らかになっているというのに、何が「調査を尽くした」だ。しかも、調査報告書では〈今後、新たな事実関係が明らかになるような場合には、更に必要な対応を行っていくこととなる〉と記していたのだ。「赤木ファイル」とこれまでの政府の説明の矛盾点については、明日おこなわれる大阪地裁での口頭弁論などによって今後どんどん明らかになっていくはずだが、再調査の拒否当然、許されるものではない。「赤木ファイル」に基づいた第三者による再調査によって、改ざんの経緯をいまこそ明らかにすべきだ

 そして、その再調査によって解明が必要なのは、財務省だけではなく「安倍官邸」の指揮系統、つまり最初に改ざんを指示した人物のあぶり出しだ

 安倍官邸および財務省は「佐川が自分の答弁に合わせて文書書き換えを命じた」というシナリオで事を進めてきたが、一介の理財局長がこのような大規模な国家的犯罪を独断で実行できるわけがないのは当たり前の話。そもそも、佐川氏の当初の国会答弁は「適正に処理した」という当たり障りのないもので、佐川氏の答弁が強気なものに変わるのは、安倍首相私や妻がかかわっていたら総理も国会議員も辞めるという2017年2月17日の答弁以後のことだ。大きな政治の力、つまり官邸が佐川氏に改ざんを命じなければ、こんなことはできない

 しかも、安倍首相は「総理を辞める」宣言のあと、当時の菅義偉官房長官に「私の家内の名前も出ましたから、しっかりと徹底的に調べるように」と指示を出していたことを国会でも認めている。そして、菅官房長官はこれを受けて、同月22日に財務省の佐川理財局長と中村稔・総務課長、太田充・大臣官房総括審議官(いずれも当時)を呼び出しているのである。改ざんがはじまったのは、その2日後、2017年2月24日のことだ。つまり、ここで菅官房長官が佐川氏や太田氏らに改ざんを命じた可能性が濃厚なのだ。

 さらに、日本共産党が独自入手した2017年9月7日におこなわれた太田理財局長(当時)と国交省の蝦名邦晴航空局長(当時)らの話し合いを記録した文書では、太田氏は会計検査院の報告書への介入を口にすると同時に、こうも述べている。

「両局長が官邸をまわっている姿をマスコミに見られるのはよくない。まずは寺岡を通じて、官房長官への対応をするのが基本だ」

 この「寺岡」というのは、当時、菅官房長官の秘書官を務め、今年1月からは内閣総理大臣政務担当秘書官、つまり菅首相の首席格の秘書官となっている寺岡光博氏のことを指していると思われる。ようするに、当時、菅首相は右腕の寺岡氏を使い、会計検査院の報告や国会対応をどうごまかすかなどの相談をおこなっていたのだ。


■改ざんの発端にも関わらず、何一つ責任取らず、政治的復権を狙う安倍前首相

 もちろん、ここまでして菅氏が事実の隠蔽工作に走ったのは、森友学園に8億円も値引きして国有地が売却された背景に安倍首相の妻・昭恵氏の存在があり、その不自然な土地取引の内実や、昭恵氏の秘書による財務省本省への口利きの事実などが公になれば政権が吹き飛ぶと危機感を持ったからにほかならない。つまり、当時の安倍首相を守るために、官房長官だった菅首相が佐川氏らに公文書の改ざんを命じた疑いが強いのだ。

 ところがどうだ。「私や妻がかかわっていたら総理も国会議員も辞める」などと宣言し、改ざんにいたる原因をつくった安倍氏は、森友はもちろん、加計学園や「桜を見る会」といった政治の私物化問題について何ひとつ責任をとることもなく、新型コロナ対応で後手後手だと批判を浴びると「持病」を理由に首相をやめ、よりにもよって菅氏に首相の座を禅譲。公文書改ざん問題だけでも、2017~18年のあいだに安倍政権がおこなった虚偽答弁の数は少なくとも計139回にものぼると衆院調査局も認めているというのに、である。

 その上、ここにきて安倍氏は、自民党の憲法改正推進本部最高顧問のほか、数々の議員連盟の顧問に就任。党内での発言力を高めると同時に極右発言を連発することで支持者からの求心力を再び強め、最近では「再々登板」の声まであがっている。まるで何事もなかったかのように、完全に調子づいているのだ

 遺書に〈最後は下部がしっぽを切られる〉と綴って自殺を遂げた赤木俊夫さんの口癖は「ぼくの契約相手は国民です」というもので、改ざん行為にも涙を流してまで抵抗したという。「赤木ファイル」でも、冒頭に赤木さんは以下のようなことをつづっていた。

「現場の問題意識として決裁済の文書の修正は行うべきでないと財務省本省に強く抗議した。本省が全責任を負うとの説明があったが納得できず、過程を記録する」

 ひとりの人間の良心と正義を、この国の政治はどのように踏みつけにしたのか──。あくまで「赤木ファイル」は財務省本省から改ざん指示を受けた近畿財務局職員の赤木さんが作成したものであり、財務省本省に対しておこなわれた指示、つまり佐川氏の「上」にいた誰の指示によって改ざんがおこなわれたのかを解明することは難しいだろう。だからこそ、第三者による徹底した再調査によって、いまこそ本当の“犯人”を明らかにしなくてはならない。それは赤木さんのためだけではなく、当たり前の政治を取り戻すために、国民にとって必ず必要なものなのである。

(編集部)
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https://dot.asahi.com/dot/2021062200068.html

518ページの「赤木ファイル」公開 近畿財務局は実名公開で本省キャリアは黒塗りの理不尽
今西憲之
 2021.6.22 20:00 dot.

     (ファイルを残して亡くなった赤木俊夫さん(C)朝日新聞社)
     (「赤木ファイル」開示で会見した弁護団(撮影・今西憲之))

 学校法人森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、自殺した同省近畿財務局職員赤木俊夫さん(当時54)が改ざんの経緯などを記した文書「赤木ファイル」が22日、妻・雅子さん(50)による大阪地裁での国家賠償請求訴訟で公開された。代理人弁護士事務所に届いた文書は500ページ以上にのぼり、赤木さん自身の手書きメモなど、生々しい内容もある。

     (【写真】公開された518ページの赤木ファイル)

 例えば、<本省の対応(調書等の修正指示)>という文書の冒頭に赤木さんはこう記していた。

<本省において、議員説明(提出)用に、決済文書をチェックし、調書の内容について修正するとの連絡受。本省の問題意識は、調書から相手方(森友)に厚遇したと受け取られるおそれのある部分は削除するとの考え。現場として厚遇した事実もないし、検査院等にも原調書のままで説明するのが適切と繰り返し意見(相当程度の意思表示し修正に抵抗)した>

 財務省からの改ざん指示について、森友学園に配慮したこともなく、公務員として誠実、公正に対応してきたと、強い抵抗の意思を示していた。
 さらにこう続く。

<本省の修正指示を受け、3月7日午前、速やかに部長に報告。本件事業は本省と協議し当初の定期借地権契約を締結している過程等が調書から削除されることは今後の検査院への説明等に支障が生じるため、現場の問題意識として既に決裁済の調書を修正することは問題があり行うべきではないと、本省審理室担当補佐に強く抗議した>

 赤木さんは文書にアンダーラインを引いて、強く抗議を示していた。

 財務省からの回答に対してもこう不満を記載していた。

<3月9日、A部長から局長に報告。今回の対応(修正等)は、本省理財局が全責任を負う。B局長の責任で対応すると発言(部長と本省幹部間で話をしたと思われる)。当局は一切修正作業を行わず、本省が修正作業を行うとの説明受(納得できず)>

 そして当時の担当者、佐川宣寿理財局長については以下の記述がある。

<本省で議員からの資料要求に対する、佐川理財局長への説明過程や、同局長からの指示等の詳細が当局に還元(説明なし)されず、詳細が不明確のまま、本省審理室(担当補佐)からその都度メールで投げ込まれてくるのが実態。本件の備忘として、修正等の作業過程を下記の通り記録しておく>

 財務省が高圧的に修正を求め、やむにやまれず応じるしかなかった様子が書かれていた。それゆえ公文書改ざんの過程を記録した「赤木ファイル」を残すことを決めたとも書かれていた。

 赤木さんは財務省の改ざん指示を一覧表にまとめて、添付していた。

<佐川理財局長に説明後、再修正>
<売払決議書(売払調書)は佐川局長から国会答弁を踏まえた修正を行うように指示(調書の開示により新しい情報を与えないよう)があったとのこと>

 佐川氏から具体的な指示があったとしか思えない、改ざん要求も残されていた。

 3月25日土曜日深夜1:24に財務省理財局の担当者(氏名は黒塗り)がこんなメールを送信している。

<今後(会計検査、開示請求、国会、議員等)、外部提示する可能性のある文書セット(案)を送ります>

 財務省が国会議員、政治への忖度、配慮をしていたことがうかがえる内容だ。赤木さんが改ざんを余儀なくされた公文書には、政治家の名前が書かれているものがいくつもあった。担当者が後日、さらに<マーキングしておきました>と改ざんする部分を示したメールを送信していた。

 <学校法人 森友学園の概要等>という文書だ。

<理事長 籠池康博氏は「日本会議・運営委員」を始めとする諸団体に関与>

<国会においては、日本会議と連携する組織として、超党派による「日本会議国会議員懇談会」が平成9年5月に設立され、現在、役員に特別顧問として麻生太郎財務大臣、会長に平沼赳夫議員、副会長に安倍晋三総理らが就任

<(参考)森友学園への議員等の来訪状況
 平成20年11月 中山成彬議員(衆・・比例九州)講演会
 平成25年9月  平沼赳夫議員(衆・・岡山3区)講演会
 平成25年11月 日本維新の会女性局(三木圭恵議員、杉田水脈議員、
          上田小百合(原文ママ、上西の間違いと思われる)
         (いずれも衆・・比例近畿)等)視察
 平成26年4月 安倍昭恵総理夫人 講演視察

 安倍前首相、昭恵夫人、麻生財務相など政治家の名前が登場する部分は軒並み、削除をしたと記されていた。また、森友学園への国有地売却を時系列で詳細に記した<調書>の5枚目についている<別紙>には以下の記述があった。

<なお打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からいい土地ですから、前に進めてくださいとのお言葉をいただいた。」との発言あり。(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)。>

 この4行や鴻池祥肇参院議員(故人)や北川イッセイ衆院議員、前出の平沼氏の名前も削除されていた。別紙はA4サイズで3枚に及ぶが、10行ほどを残すだけで、ほとんどが削除された。とんでもない改ざんだった

 また、メディアの動きも気にしていた模様で2月26日、財務省理財局の担当者が赤木さんに<【取扱注意】本日(26日(日))18時、森友学園がNHKの取材に応じる>というタイトルで<本日の近畿地区のNHKニュースについても、注意を払っていただき、放送されましたら、その内容を当方に送付方お願いします>と報告を求めていた。

 また、<変更後><差し替え前>など、赤木さんが手書きしている文字もある。だが、赤木ファイルの財務省の担当者の名前はほとんどが黒塗りで誰なのかわからない。一方、近畿財務局の関係者は赤木さんの上司だった人物はじめ、黒塗りになっていない人が複数いた。

 改ざんの指示をした側は隠し、赤木さんらやらざるを得なかった側はオープンになっていたのだ。

 「赤木ファイル」開示を受けて21日午後に会見した赤木さんの弁護団は、「ファイルの公開は第一歩」と評価した。

「財務省からのメールを見ると財務省、佐川氏の関与は明らか。2月に赤木さんが休日なのに呼び出されたメールでは、すでに政治家の文書が添付されている。また森友学園が有利にとれる内容がすべて訂正されているように思える。赤木さんは抵抗したが、改ざんせざるを得ない状況に追い込まれたのがよくわかります。この裁判だけではなく、国会でも真相を明らかにしてほしい」(弁護団)

 そして妻の雅子さんは弁護団に「これは主人の字と手書きの文字だ」「指示している財務省側のメールを送信した指示者の名前が黒塗りで隠されている」などと感想を語ったという。

「今後は赤木ファイル原本の開示や発見された経緯などを財務省に裁判で説明を求めたい」(弁護団)

 森友学園問題を国会で追及してきた福島伸享元衆院議員はこう語る。

「財務省は責任を赤木さんら近畿財務局に押し付けるようなやり方をしていたのではないのか」

 福島氏は財務省が赤木さんらに宛てたメールで名前が登場。福島氏からの資料要求にについて財務省が<近畿(財務局)に探させているけどなかなか…>とごまかし、引き延ばすような文言もあった。福島氏はこう話す。

「私は官僚だったので、絶対に決裁文書があると要求を続けた。引き延ばして、公文書を改ざんする時間稼ぎだったのでしょうかね。公開されたファイルは赤木さんら近畿財務局の名前は出ていて、財務省側の名前が黒塗りになっている。“キャリア隠し”ですね。本当にひどい。財務省は赤木ファイルだけではなく、まだ森友学園問題の真相にかかわる文書を隠しているはず。赤木ファイルをきっかけに、新たな文書が出てくるように期待したい」

 真相の解明が待たれる。

(AERAdot.編集部 今西憲之
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/291022

相澤冬樹 大阪日々新聞・元NHK記者
大阪日日新聞(新日本海新聞社)論説委員・記者。1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを経て現職。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。

森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記
赤木雅子さんに傍聴席から拍手「疑惑や不信を招く行為をこれ以上続けないで」
公開日:2021/06/25 06:00 更新日:2021/06/25 06:00

     (口頭弁論の後、取材に応じる赤木雅子さん(C)共同通信社)

 傍聴席で拍手が沸いた。それを耳にした赤木雅子さん(50)は涙ぐんだ。

「とっちゃん、みんな味方だよ。見ててくれるかな?」

 雅子さんの夫、赤木俊夫さん(とっちゃん)は森友学園への国有地値引きを巡り公文書を改ざんさせられ命を絶った。雅子さんは国などに裁判を起こし、夫が改ざんの詳細を記録した文書「赤木ファイル」の開示を求めた。裁判前日の22日、518ページに及ぶ赤木ファイルが開示されると、新事実が次々に読み取れた

「佐川氏の名挙げ指示」「改ざん指示に抵抗の痕跡」

 報道各社が大きく伝えた。待望の赤木ファイルを見て雅子さんは法廷で何と発言するのか? それがこの日の注目点で、33席の傍聴席に214人もの希望者が詰めかけた。証言台で雅子さんが訴えたことは……。

「赤木ファイルを見て、手書きの文字が夫の字だとすぐに分かりました。夫が苦しい立場に追い込まれながら、赤木ファイルを作ってメモを残してくれたのだと思うと、涙が出そうになりました

 実際、涙で声が詰まりそうだった。

赤木ファイルには、私の知らない事実がたくさん記載されていました夫が反対をしても一方的に改ざんを指示されて苦しんでいたことが分かりました佐川さんから国会答弁を踏まえた修正を行うように指示があったという記載もありました

 新事実が明らかになっても麻生財務大臣は「再調査はしない」と言う


■「第三者による再調査を」

国が夫の代わりに、国民の皆さんに何があったのかすべてを明らかにするべきだと思いますそのためにも、赤木ファイルで明らかになった新事実をもとに、第三者による再調査を実施するべきだと思います

財務省の皆さんが改ざんの具体的経緯を明らかにしないことは、国民の疑惑や不信を招くような行為です疑惑や不信を招くような行為をこれ以上続けないことを、私は心から願っていますし、夫も同じように願っていると思います

 この言葉で締めくくり、またも涙ぐんだ雅子さん。その時、傍聴席から拍手が起きた一人、また一人と数人が呼応した。数秒して拍手が収まると裁判長が静かに告げた。

「静粛に願います」

 そこで雅子さんの胸に去来したのは……。

超うれしいです夫への拍手でもあるし、心から応援してくれているんだと、温かい気持ちになりました

 実は前の晩から歯が痛くなって体調は万全ではなかったのだ。それを補って余りある、すてきな拍手だった
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