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●《クーデター》《テロ》を追認する司法…《一内閣の一存で転換させた「解釈改憲」に追随…「憲法の番人」の本来の役目》を放棄した仙台高裁

2024年01月04日 00時00分59秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち 報道特集(2017年7月8日)↑]


(2023年12月10日[日])
いまや軍事費倍増武器輸出…。

   『●自民党・村上誠一郎衆院議員「特にわからないのは、(岸信介、安倍晋太郎、
       安倍晋三各氏の)親子3代で統一教会を擁護したのはなぜだったのか」
    【文化庁トップの都倉俊一長官まで旧統一教会とずぶずぶ…
     まさかの黒歴史「記憶が定かではない」で済むのか
     (日刊ゲンダイ)《都倉氏は教団の政治団体「国際勝共連合」が
     1984年に開いた集会に「芸能界の来賓」として参加。勝共連合の
     機関紙「思想新聞」の取材を受け、旧統一教会初代会長も務めた
     久保木総裁の講演について「非常に感銘を受けましたよ全く
     同感ですねなどと絶賛したほか、同紙に連載コラムを持っていた。
     さらに赤旗(18日付)は、勝共連合が「スパイ防止法
     (国家機密法)の制定運動の一環として87年に製作した
     映画「暗号名 黒猫を追え!」の音楽を都倉氏が担当していた
     と報道。スパイ防止法は岸信介元首相が固執していた法制度で、
     孫の安倍元首相が特定秘密保護法として2013年に成立した。
     教団の霊感商法は80年代には社会問題化していたし、勝共連合の
     実態を知らなかったとすれば、文化人の名折れだが──。》

 小椋由紀子記者による、東京新聞の記事【成立から10年「特定秘密保護法」 あれから今まで起きたこと、これから注意するべきこと】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/294231)。《安全保障などに関する政府の情報管理を強化し、国民の「知る権利」を侵す恐れも指摘される特定秘密保護法は6日、成立から10を迎えた。2012年末に発足した第2次安倍政権が戦後の外交・安全保障政策を次々と転換させ、憲法9条を軸とした平和国家の姿を変質させていくきっかけとなった。「戦える国」に向けた動きは、岸田政権下でより内容を伴ったものとなっている。(小椋由紀子)》。

 戦争法や軍事費倍増、軍事国家化…狂っていますニッポン。平和主義平和憲法はどこに行ったの?
 返す返すもあの《クーデター》《テロ》が悔やまれる…アノ戦争法の違憲立法のことである。「戦争のできる国」どころか、「軍事国家」へと堕ちていく。前川喜平さん《…その結果は日本の先進国からの脱落だ。内閣法制局長官の首をすげ替えて強行した集団的自衛権行使に関する憲法解釈の変更。匿名官僚は「総理によるテロだ」と語る》。




 琉球新報社説《安全保障政策は、安倍政権が武器輸出解禁、集団的自衛権行使容認に踏み切りその具体化、実質化を岸田文雄政権が次々に進めている安倍政権が戦争のできる国への大転換を行い、岸田政権は軍事国家へ大転換する役割を果たしている。2次世界大戦までの反省の上に築いてきた日本の平和主義風前のともしびである》。
 東京新聞の【<社説>安保法制訴訟 矛盾と詭弁の判決だ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/294303?rct=editorial)。《集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法違憲性を巡る国家賠償請求訴訟で、仙台高裁は「明白に違憲とはいえない」と断じた。政府が従来の憲法解釈を変更したことを認めつつ、あくまで限定的だからとの理由には到底、納得できない憲法9条は戦争放棄を定めるが、もし日本が武力攻撃を受けた場合はどうなるか。》

   『●壊憲:「国民を置き去りにした状態で法秩序の連続性を
         破壊する行為を、法学的には「クーデター」と呼ぶ」
   『●《歴代内閣が「憲法上許されない」としてきた「集団的自衛権の
            行使」を可能とする》違憲な戦争法の成立から4年
    「《法学的には「クーデター」と呼ぶ》…
     (2015年09月19日 00時00分08秒 | ブログ)
     「「憲法の制定権は主権者である国民に」、その「国民を置き去りに
     した状態で法秩序の連続性を破壊する行為を、法学的には
     「クーデター」と呼ぶ」。その第3幕を、参院特別委員会で
     目の当たりに。あれで「採決」? どこが「可決」??
     Mr.ワタミ渡辺美樹参院議員や(ツイッターでは、
     ヒゲの隊長ならぬ)ヒゲの組長佐藤正久参院議員が大活躍。
     サモシさを感じるね。国会の外が全く見えていない」」

   『●2014年7月1日「7・1クーデター」の第二幕
       …違憲な手法で壊憲するアベ様ら自公政権の暴走
   『●〝戦争法〟施行、5年も経ってしまった…《有事となれば真っ先に狙わ
      れるのは国境の島であり、米軍、自衛隊基地が集中する沖縄である》
   『●映画『妖怪の孫』…《安倍政治は決して過去のものではない。それは
     そのまま岸田政権に引き継がれ、戦争する国へと一直線に向かっている》
   『●《総理によるテロだ》《あれは安倍政権によるクーデターだった》
     《政治的なクーデターだ》《法学的には『法の破壊』がなされた》
   『●「平和憲法」を違憲に壊憲し、戦争できる国に…最早、《平和国家》などと
     諸外国のどこも思っていない。「専守防衛」の組織どころか軍隊となり…
   『●トランプ氏により《安倍政権が「戦争のできる国」への大転換を行い》、
      バイデン氏により《岸田政権は「軍事国家」へ大転換》(琉球新報)
   『●《「専守防衛」のタガは緩み、9条の形骸化…その起点が15年、当時の
     安倍晋三政権が国会内外での反対論を押し切って成立を強行した安保法…》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/294231

成立から10年「特定秘密保護法」 あれから今まで起きたこと、これから注意するべきこと
2023年12月6日 06時00分

 安全保障などに関する政府の情報管理を強化し、国民の「知る権利」を侵す恐れも指摘される特定秘密保護法は6日、成立から10を迎えた。2012年末に発足した第2次安倍政権が戦後の外交・安全保障政策を次々と転換させ、憲法9条を軸とした平和国家の姿を変質させていくきっかけとなった。「戦える国」に向けた動きは、岸田政権下でより内容を伴ったものとなっている。(小椋由紀子


 特定秘密保護法 防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野で、国の安全保障に関連した政策や自衛隊の活動などに必要で秘匿性が高いと判断された情報を特定秘密に指定し、流出しないようにするための法律。2014年12月施行。公務員らが外部に漏らした場合、最高で懲役10年が科される。指定の有効期間は原則最大30年で、内閣の承認があれば延長できる。


 第2次安倍政権は13年12月4日、首相や一部の閣僚だけで重要な外交・安保政策を決められる「国家安全保障会議(日本版NSC)」を発足させた。その2日後には、米国と共有する防衛機密などの漏えいを防ぐことを目的とした特定秘密保護法が成立。政権の中枢に権限と機密情報を集中させた。

 14年4月、武器輸出三原則を見直し、武器の輸出や他国との共同開発を事実上解禁する防衛装備移転三原則閣議決定した。

 同年7月には、歴代政権の憲法解釈を変更し、他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を閣議決定。集団的自衛権行使や米軍支援拡大などを可能とするための安全保障関連法は15年9月に成立した。

 17年6月には、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を含んだ改正組織犯罪処罰法も成立した。運用によっては、政府に批判的な団体への圧力になるとの懸念もある。

 岸田政権も安倍政権の路線を引き継ぐ。22年12月に閣議決定した安保関連3文書には「敵基地攻撃能力反撃能力)」の保有を明記。憲法9条に基づく「専守防衛」を形骸化させるとの指摘は根強い。現在は自民、公明両党で武器輸出ルールの緩和に向けた協議が続いている。

 第2次安倍政権以降、日米の軍事的な一体化と情報管理の強化が進んだ。国民の権利侵害や憲法違反の懸念が拭えないまま、戦争ができる国づくりに向けて、政府の意思決定と政策遂行の密室性が高まっている。


   ◇


◆「チェック機能が実質的に、ない」

 成立してから10年となる特定秘密保護法に関し、NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は、法律の運用状況を監視して、透明性を欠いた政府の対応を改めるよう訴えてきた。特定秘密の存在によって政府の政策実行に至るプロセスが見えにくい状態が続き、国会のチェック機能も果たされていないと問題点を指摘する。(聞き手・中根政人

     (インタビューに答える情報公開クリアリングハウスの
      三木由希子理事長)

 —特定秘密保護法が成立してから、国民にとってどんな変化があったか。

 「特定秘密で社会にどのような影響が出ているかということ自体、外から測りにくい。秘密の保護が強化されることは、非公開の情報収集機能など政府の活動強化が進んでいるということだが、政策の判断も含めてチェックできる機能が実質的にない状態のままだ」


 —特定秘密をチェックするため、内閣府に「独立公文書管理監」が置かれ、衆参両院には情報監視審査会が設置されている。

 「いずれも秘密指定の手続きが適切に行われているかなどを形式的にチェックするに過ぎず、特定秘密に指定された政策の内容に関する審査や監査はできない。非公開の政策判断が正しかったか検証するサイクルが本当に回っているかどうかすら分からないことが根本的な問題だ」


 —特定秘密保護法は、安全保障関連法制定などとともに、安全保障政策を大きく転換させた。

 「国家安全保障会議(NSC)が設置され、安保関連法で自衛隊の活動範囲を従来よりも広げ、敵基地攻撃能力の保有も決めた。そうした政策の核になる部分が特定秘密に指定される。さらに周辺の情報を非公開とすることで保護している。(特定秘密保護法の成立から)全ての政策はつながっている」


 —政府は高い機密性を理由に情報公開に消極的だ。

 「本当に出せない情報以外はなるべくオープンにしていかないと駄目だ。政府が非公開の範囲をいたずらに広げていくと、信頼を損なうことになる。ここ数年でも、公文書を隠蔽(いんぺい)のために改ざんしたり、不自然に廃棄したりと、政治問題化する場面で不審なことをしてきている。それが政府への根深い不信感になっており、改善する必要がある」


 —制度をどう見直すべきか。

 「秘密指定の解除は現在、行政機関が一元的に管理しているが、国民が秘密指定の解除と、指定を解除された情報公開の審査を請求できるような仕組みを設けた方がよい。独立公文書管理監や情報監視審査会のチェック機能の強化も大事な要素だ」


 三木由希子(みき・ゆきこ) 1972年、東京都生まれ。横浜市立大理学部卒。学生時代から情報公開法制定を求める市民運動に携わり、卒業と同時に市民運動のスタッフに。2011年から現職。共著に「高校生からわかる政治のしくみと議員のしごと」など。専修大客員教授も務める。


【関連記事】安倍政権で成立の秘密保護法や安保法 任命拒否された学者6人が問題点指摘<日本学術会議問題>
【関連記事】旧統一教会系と歩んだ安倍氏「3代」…スパイ防止法を巡る歴史から闇を読み解く
【関連記事】戦争と平和は、政治家や官僚に任せるな<柳沢協二さんのウオッチ安全保障>
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/294303?rct=editorial

<社説>安保法制訴訟 矛盾と詭弁の判決だ
2023年12月6日 08時17分

 集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法違憲性を巡る国家賠償請求訴訟で、仙台高裁は「明白に違憲とはいえない」と断じた。政府が従来の憲法解釈を変更したことを認めつつ、あくまで限定的だからとの理由には到底、納得できない

 憲法9条は戦争放棄を定めるが、もし日本が武力攻撃を受けた場合はどうなるか。

 国民の生命も自由も根底から覆される危険がある。それゆえ、その場合に限り必要最小限度の武力を用いて対処する-。この個別的自衛権に基づくことが一貫した政府解釈で、集団的自衛権の行使は認めない立場だった

 だが、2014年に安倍晋三政権は百八十度転換し、集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。戦後の平和国家が想像しえなかった「解釈改憲」に対して、全国各地で反対のデモが起き、憲法学者の大半も違憲だと批判した

 それを押し切り、15年に成立したのが安保関連法である。

 仙台高裁は「従来の憲法解釈を明らかに変更したと素直に述べ、「9条の下で許される武力行使の限界を超えると解する余地もあると半ば認めている

 それなのに政府のいう集団的自衛権の行使は「我が国の存立が脅かされる明白な危険がある」などの要件を満たす場合に限られ、「その限りで容認される解釈」なのだとも述べる。矛盾であろう

 手筋の悪い曲芸のような判断でもある。つまり裁判官の頭の中には、まるで集団的自衛権の種類にも「全体」と「限定」があるかのようだ。「国際法上の集団的自衛権行使が全体として憲法上容認されたわけではない」と判決で述べたのは「全体」についてだ。

 その一方で、政府が容認した集団的自衛権は我が国を防衛するためやむを得ない「限定」的なものだから、「違憲ではない」という論理なのだろう。

 これは詭弁(きべん)ではないのか。「専守防衛が任務だったはずの自衛隊が、他国の紛争にまで介入しうることになる。その現実をどう見ているのだろう。つまりは合憲ありきの判決なのだ。

 確立された従来の政府解釈は、憲法と同じ重みを持つはずだ

 それを一内閣の一存で転換させた「解釈改憲に追随するとは、「憲法の番人」の本来の役目を果たしたとはいえまい。
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●「市民が自由に発言できるよう改憲をくい止め共謀罪法、秘密保護法を廃止することが戦争への道を止める」

2018年06月23日 00時00分02秒 | Weblog

青木理さん『情報隠蔽国家』…「客観的な事実すら隠蔽し…ねじ曲げて恥じない為政者たちの姿」を報じも… ↑】



1年以上前の記事を二つ。東京新聞の伊東浩一記者による記事【27年前の「横浜事件」映画が続々再上映 「共謀罪」審議の中「歴史の教訓に」】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017051590135422.html)と、
桐山桂一さんのコラム【【私説・論説室から】松川事件を記憶遺産に】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2017061902000139.html)。
今日の東京新聞』(http://a-tabikarasu.hatenadiary.com/)から、再びすいません、コピペ・マゴビキさせて頂きました。【言わねばならないこと/「戦える国」に変質 斎藤貴男さん】(http://a-tabikarasu.hatenadiary.com/entry/2018/06/15/125008)。

 《戦時下の治安維持法による言論弾圧を題材に、27年前に富山県朝日町などで撮影された映画「横浜事件を生きて」が今、各地で上映されている。生き証人として事件を語り続けた元雑誌編集者、木村亨さん(1998年に82歳で死去)を追ったドキュメンタリー。戦争に批判的な言論人らを取り締まるため警察が拷問で事件をつくり上げていく過程が当事者の証言で生々しく再現され、反響を呼んでいる》。
 《奪われた自由 戦前想像して…思想信条の自由が奪われた戦前を思い起こしてほしい。無理にでも想像する力を働かせないと、歴史は必ず繰り返される》。

 アノ無茶苦茶から、もう1年。
 「平成の治安維持法」が、与党自公・癒党お維のオカゲで衆院、そして、参院を突破して1年。森達也さんの《4年間でこの国がどう変わるのか、とてもとても楽しみだ》が思い出される…《ならばこの4年で憲法を変えることが充分に可能に…つまり法案はさくさくとすべて通る》…その通りの酷き状況。




   『●「平成の治安維持法」=「テロ対策には 
     全く役に立たない共謀罪を、誰が何のために作ろうとしている」?
   『●「官憲が内心に踏み込んで処罰して、
     人権を著しく侵害した戦前、戦中の治安維持法」が亡霊のように…
   『●「戦前の治安維持法」の亡霊…「共産党幹部の
     夫のために家事をしただけで処罰の対象に」という悍ましさ
   『●ソレは既に彼らの手中…「大量監視の始まり。
      日本にこれまで存在していなかった監視文化が日常のものに」
   『●「国連とは別の個人の資格」な訳のない
     国連特別報告者のアピールを無視?…沖縄でのプレ「治安維持法」

   『●『キネマ旬報』…「戦前・戦中の言論弾圧につながる
        治安維持法が成立した大正末期と…現在が似ている」
   『●Leaderでなく、狂気なDictator…
      しかも、壊憲に向け、使う話法はドアホウワホウ
   『●森達也さん、「僕はもうあきらめた」
      「これから4年間でこの国がどう変わるのか、とてもとても楽しみだ」
   『●「本当の権力の恣意的運用というルビコン川を渡った」自公お維
                         …「平成の治安維持法」参議院突破


 主犯「A」の好き嫌いで、「こんな人たち」と指差される社会…それでいいの?
 東京新聞の記事【「共謀罪」成立1年 「監視社会強化招く」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018061602000139.html)によると、《自由人権協会代表理事の芹沢斉(ひとし)・青山学院大名誉教授は、一年前に与党が参院法務委員会で採決を省略する異例の手続きで議論を打ち切り、参院本会議で採決を強行したことを振り返り「こんな暴挙をしたのは、近代刑法の原則に違反する悪法だからだ」と指摘。「『犯罪』をかぎつけ、立証するには通信の秘密やプライバシーを侵害する捜査手法が伴う。人権からも大いに問題がある」とも述べ、「皆さんと一緒に廃止に向かっていきたい」と呼び掛けた。…弁護士有志らでつくる「共謀罪対策弁護団」の海渡雄一弁護士は、市民のプライバシー情報が集まるIT企業の警察への情報提供について複数の市民団体でアンケートをとったところ、国内大手八社から回答がなかったことを報告し、情報収集に対する監督機関の必要性を指摘。「市民が自由に発言できるよう改憲をくい止め、共謀罪法秘密保護法廃止することが戦争への道を止める」と訴えた》。

   『●「平成の治安維持法」…「いつの間にか「こんな人たち」に
                くくられる危険性が、この法には色濃く潜む」
    「沖縄タイムスの磯野直記者のコラム【[大弦小弦]具体的な犯罪行為が
     なくても…】…《合意という「心の中」を処罰できる「共謀罪」法が11日、
     施行された…軍国主義が拡大し、同法は一般人の権力批判と
     少数意見も徹底的に弾圧した。何かが劇的に変化したわけではない。
     昨日より今日と、なし崩し的に社会の空気を変え、言論の自由を
     消滅させた》。…よっぽど後ろめたいのだろう、こんな短期間で
     「平成の治安維持法」を施行。じわじわとボディーブロ-のように…
     今は何も感じなくても。気づいた時には茹でガエル。いま踏んばらねば」


 《毛利正道弁護士…治安維持法の制定時にも、政府や警察は『乱用はしない』と再三説明していた。実際には拡大解釈され、戦争に反対した人たちが摘発された。歴史的教訓としなければならない》。
 《戦後最大の冤罪…一審で死刑判決を受けた男性(93)は十年近く拘置所に入れられ男盛りの時代を奪われた。本紙に「『共謀罪』に反対だ実行行為すらいらず、何にでも適用できる。権力の横暴に歯止めがかからなくなる」と答えていた。冤罪。人間の愚かしさも記憶として後世に伝えねばならない》。

 平成の治安維持法と監視・密告社会。冤罪・謀略と国鉄三大謀略「事件が、一九四九年の七月から八月にかけて立て続けに起きた」…。

   『●『日本の公安警察』読了(1/2)
    「GHQの策略・謀略。《一九四九年は、いわゆる公安事件が続発した
     年だった。下山事件(七月五日)、三鷹事件(七月一五日)、松川事件
     (八月一七日)…。いずれをとっても謀略の色が濃く、…
     「キャノン機関」が実行に関わったと指摘されるなど、今も多くが
     謎に包まれている事件ばかりだ》」

   『●国鉄三大謀略「事件が、
       一九四九年の七月から八月にかけて立て続けに起きた」

 斎藤貴男さん曰く、《奪われた自由 戦前想像して》と。さらに、《権力が市民を監視し、民主主義の絶対条件である「思想信条の自由」を奪う内容に危機を感じ、廃止を訴え続けてきた。その自由を安倍政権に奪われてしまったことに、改めて怒りと屈辱を感じている…思想信条の自由が奪われた戦前を思い起こしてほしい。無理にでも想像する力を働かせないと、歴史は必ず繰り返される》とも。
 是非、斎藤さんの警鐘に耳を傾けてほしい。

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017051590135422.html

27年前の「横浜事件」映画が続々再上映 「共謀罪」審議の中「歴史の教訓に」
2017年5月15日 13時54分

 戦時下の治安維持法による言論弾圧を題材に、27年前に富山県朝日町などで撮影された映画「横浜事件を生きて」が今、各地で上映されている。生き証人として事件を語り続けた元雑誌編集者、木村亨さん(1998年に82歳で死去)を追ったドキュメンタリー。戦争に批判的な言論人らを取り締まるため警察が拷問で事件をつくり上げていく過程が当事者の証言で生々しく再現され、反響を呼んでいる。 (伊東浩一)

 三月下旬、長野県岡谷市で開かれた上映会。スクリーンの中で、生前の木村さんが問い掛ける。「『おまえたち、ここで殺していいんだぞ。天皇陛下の命令だ』と(警察官が)堂々と言う。まさに殺されそうだった。こんなむちゃくちゃな時代を想像できますか

 雑誌「中央公論」の編集者だった木村さんは四二年、朝日町出身の国際政治学者、細川嘉六らと新潟県境の親不知(おやしらず)海岸を観光し、同町の旅館「紋左(もんざ)」に宿泊。だが、警察はこの集まりを共産党再建を準備する目的だったと決め付けた。治安維持法違反容疑で木村さんら編集者、研究者ら六十人以上を芋づる式に逮捕し、拷問で四人が獄死。木村さんは丸太の上で正座させられ、さらに警察官が膝の上に乗るといった拷問を受け、うその自白をした

 映画製作では、朝日町で木村さんらを接待した芸者、横浜拘置所の看守らにも取材。証拠がない中、事件がつくり上げられた実態を浮き彫りにする。「情けないことに、あの侵略戦争に屈し、拷問に屈したが、もうこれ以上は許せない」。木村さんが再審請求で冤罪(えんざい)を勝ち取ることを誓い、涙ぐむ場面で映画は終わる。

 上映会を企画した毛利正道弁護士は「大きな衝撃を受けた。今、政府は共謀罪(組織犯罪処罰法改正案)の成立を目指しているが、治安維持法の制定時にも、政府や警察は『乱用はしない』と再三説明していた。実際には拡大解釈され、戦争に反対した人たちが摘発された歴史的教訓としなければならない」と語る。

 <横浜事件> 1942年、細川嘉六(1888~1962)が雑誌「改造」の掲載論文を「共産党の宣伝」と批判され、警視庁に治安維持法違反容疑で逮捕された。その後、神奈川県警特別高等課(特高)が押収した紋左の写真をもとに、細川らが共産党再建準備会を開いたとして、同容疑などで言論、出版関係者ら60人以上を投獄。拷問で4人獄死、30人余りが起訴される戦時下最大の言論弾圧事件となった。2010年2月、元被告5人の刑事補償を巡る横浜地裁決定は「共産党再建準備会の事実を認定する証拠はない」とし、「実質無罪」と認められた。

(東京新聞)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2017061902000139.html

【私説・論説室から】
松川事件を記憶遺産に
2017年6月19日

 戦後最大の冤罪(えんざい)は松川事件であろう。一九四九年に福島県内で起きた列車転覆事故である。線路継ぎ目のボルトが緩められレール一本も外され、転覆するように仕組まれていた。機関士ら三人が死亡した。

 警察は当時の国鉄の大量人員整理に反対していた労働組合員による犯行だと決め付けていた芋づる式に組合員らが逮捕された。

 一審では被告二十人が全員有罪、うち死刑が五人、五人が無期懲役だった。二審も有罪だったが、最高裁が二審を破棄。差し戻し審で全員が無罪となり、これが確定した。

 冤罪であったことが明白となったが、その背景には弁護団の活躍ばかりでなく、作家の広津和郎が「中央公論」で無罪論を書くなど、作家らの支援運動があったことがある。

 福島大学には松川事件の資料がある。八八年に開設した松川資料室には十万点にのぼる関係資料を収集・公開している。同大ではこれをユネスコの「世界記憶遺産」への登録を目指している。既に国内委員会に対して登録申請の手続きを済ませた。

 一審で死刑判決を受けた男性(93)は十年近く拘置所に入れられ男盛りの時代を奪われた。本紙に「『共謀罪』に反対だ。実行行為すらいらず、何にでも適用できる。権力の横暴に歯止めがかからなくなる」と答えていた。

 冤罪。人間の愚かしさも記憶として後世に伝えねばならない。 (桐山桂一
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http://a-tabikarasu.hatenadiary.com/entry/2018/06/15/125008

今日の東京新聞
購読している東京新聞の記事を紹介します。読者の応援ブログです。

                       2018-06-15
       言わねばならないこと110 斎藤貴男さん

言わねばならないこと/「戦える国」に変質 斎藤貴男さん/2面


奪われた自由 戦前想像して

 「共課罪」法(改正組織犯罪処罰法)の成立から1年。権力が市民を監視し、民主主義の絶対条件である「思想信条の自由」を奪う内容に危機を感じ、廃止を訴え続けてきた。その自由を安倍政権に奪われてしまったことに、改めて怒りと屈辱を感じている。

 共謀罪は、テロの未然防止の名目で一般市民がテロリストか否かを見分けるところから捜査を始める。性悪説に立ち、市民を見張るべき対象に位置づけている。本来、見張るべき対象は権力側ではないのか

 この1年間に財務省の文書改ざんや自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)などの問題が次々と明らかになった。権力こそ暴走したら恐ろしい。「権力は判断を誤らない」という考えはもはや信用できない

 こういう話をすると「被害者意識ばかり膨らませている」と批判を受ける。確かに共謀罪の疑いで逮捕された人はまだいない。でもそれは、単に権力が逮捕しなかったということにすぎない恣意(しい)的な判断で逮捕できるという現状は変わらず、むしろ社会は監視の度合いを強める方向に向かっている

 共謀罪法が成立した前年には通信傍受法が改正され、警察が会話を盗聴できる対象犯罪が広がった。今月から他人の罪を密告すれば自分の罪を軽くできる司法取引制度も始まっている。

 全ての動きは連動している。この国の「自由度」は極端に狭まっている

 気掛かりなのは、社会が現状に無関心であるように感じられること。戦争がない状態が当たり前の時代に育った人が大半を占めているから仕方ないかもしれない。だが、思想信条の自由が奪われた戦前を思い起こしてほしい。無理にでも想像する力を働かせないと、歴史は必ず繰り返される


 さいとう・たかお/フリージャーナリスト 1958年、東京生まれ。早稲田大卒。日本工業新聞、週刊文春などの記者を経てフリーに。2013年から放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会委員。主な著書に「戦争経済大国」など
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●要《戦争絶滅受合法案》!: 憲法9条第2項抹殺…戦争したくてしょうがないアベ様ら自公与党議員達

2018年03月29日 00時00分36秒 | Weblog


東京新聞の辻渕智之原昌志・松村裕子記者による記事【「9条が壊れる」 自衛隊明記、自民決定「議論尽くしたのか」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018032302000129.html)と、
社説【9条「自衛隊」明記論 軍事力の統制なくす】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018032302000145.html)。

 《戦争放棄や不戦の誓いをうたう日本国憲法に、自衛隊を明記する改憲案を自民党が決めた。安全保障関連法で、海外での武力行使に道が開かれている自衛隊》。
 《自民党が模索する九条に自衛隊を明記する改憲案。実現すれば、軍事力の統制が利かなくなる懸念を持つ。歯止めなき軍拡路線への道かもしれない》。

 《戦力不保持と交戦権の否認を定めた条文》憲法9条第2項を抹殺…アベ様の「我が軍」を持ち、国外に進軍したいらしい。「軍拡」は必然だ。そんなに「人殺し」に、戦場に、子や孫を行かせたいのならば、まずは、アベ様ら自公議員が行けばいい。《戦争絶滅受合法案》をまずは、制定して下さい。平和子さん曰く、《隊員一人でも、何かあってからでは遅い。行かせたいなら、憲法をねじ曲げ、海外の紛争地域に自衛隊を駆り出すことを決めた人が行けばいい》。全く同感だ。

   ●「我が軍」的自衛隊の「違憲」状態を「合憲」へと改めず、
                憲法を「壊憲」して「違憲」を解消する!?
   『●自衛隊員の「息子に迷惑をかけぬよう、
      「縁を切った」上で」、戦争法案に反対する平和子さん
   『●「米国の戦争に巻き込まれ息子が殺したり
      殺されたりするのは嫌だと思い、いても立ってもいられ」なかった
   ●戦場に行かせたいなら「憲法をねじ曲げ、海外の紛争地域に
               自衛隊を駆り出すことを決めた人が行けばいい」

 自公議員達は、立憲主義を誰一人理解していない。
 東京新聞の他の記事【「戦える国」改憲で追認 「9条に自衛隊」自民決定】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018032390070442.html)によると、《自民党憲法改正推進本部は二十二日の全体会合で、九条改憲に関し、戦力不保持を定めた二項を維持して自衛隊を明記する方針…細田博之本部長に委ねることを諮り、一任取り付けを宣言》…したそうです。
 誰一人、文句言わない訳ね?

 また、同記事には、《安倍晋三首相(党総裁)は二十五日の党大会で、改憲発議に向けた考え方を表明する見通しだ…◆戦力不保持骨抜きの恐れ…党執行部は、現行憲法に基づく武力行使の制約は維持されると強調するが、海外での武力行使が拡大し「平和憲法」を土台から揺るがしかねない危うさをはらむ》。

   ●「首相は自衛隊を憲法に書き込んでも『何も変わらない』…
              それなら憲法改正する必要もない…矛盾だらけ」
   ●「子や孫、未来を生きる世代のため」に壊憲?…
       「憲法9条…軍隊は禁止…子どもたちに、うそはいけない」

 同じく東京新聞の記事【首相提案ありきで集約 「森友」で信頼低下 公明、維新は距離】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201803/CK2018032302000127.html)によると、《森友学園問題で安倍内閣の支持率が急落し、信頼が低下している中でも、党執行部は二十五日の党大会前の決着を優先した。だが、国民感覚からかけ離れた姿勢に、改憲に反対する野党だけでなく改憲勢力の他党も態度を硬化させている》。
 公明・お維が今さら「距離」だってさ。

   ●争点は「壊憲」:創価学会婦人部「ごめんよ 憲法ぐらい
           変わっても生活はたいして変わらないと思ってね」』 

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018032302000129.html

「9条が壊れる」 自衛隊明記、自民決定「議論尽くしたのか」
2018年3月23日 朝刊

 戦争放棄不戦の誓いをうたう日本国憲法に、自衛隊を明記する改憲案を自民党が決めた。安全保障関連法で、海外での武力行使に道が開かれている自衛隊。母親や元自衛官、戦争体験者からは不安や懸念が相次いだ。 (辻渕智之原昌志、松村裕子)


◆母親は

     (6歳の息子を抱きしめる木下安子さん=東京都調布市内で)

    「この子が大きくなっても、この手に銃は握らせたくない
     軍隊に頼る平和は本当の平和じゃない
     自民党内でも議論は尽くされたのでしょうか」

 この春小学生になる六歳の息子をもつ東京都調布市の非常勤講師木下安子さん(45)はそう反発する。「集団的自衛権の行使を認めた今では他国の戦争に加担できる自衛隊だから、九条の精神が否定されちゃう」

 自身の妊娠中に東日本大震災が起き、「放射能の情報など命にかかわる問題で、政府の発表や説明は本当なの?」と不安を覚えた。無関心だった政治に目が向き、「安保関連法に反対するママの会@調布」を二年半前に立ち上げた。

 「交戦権を認めない九条二項がなしくずしにされ、明記された自衛隊は海外でいったい何をさせられるのでしょう。もっとじっくり議論するべきだと思う」


◆元自衛官は

     (末延隆成さん)

 北海道の戦車大隊などで勤務し、二〇一五年に退官した元二等陸曹の末延隆成(すえのぶたかなり)さん(56)は「三十年前は『税金泥棒』と言われても、僕らがいるから日本は守られているという誇りがあった。九条明記で誇りを持てとか、権力者に押しつけられたくない」と話す。

 東西冷戦時代、北海道は国防の要とされた。「日本が攻められて、やめてくれと言っても聞かないなら実力行使で敵を殺さなくてはならない。必要悪の存在としてやらなければならない覚悟はあった」という。

 安保法制が成立する前に入隊した現役の陸上自衛官が、集団的自衛権行使の要件となる「存立危機事態」での防衛出動命令には従う義務がない、とする訴訟を起こしている。

 末延さんは「改憲で安保法制が正当化されてしまう。日本を守るためなら『死にがい』もあるが、よその国で訳の分からないことで死んだら犬死にですよ」と嘆く。


◆戦争体験者は

     (前田みつ子さん)

 太平洋戦争末期の一九四五年五月二十五日の山手空襲で焼け出された新宿区の舞踊家前田みつ子さん(87)は「自衛隊を憲法に明記した後、どうなるかが心配。とにかく戦争につながらないようにしてもらいたい」と語る。

 焼夷(しょうい)弾が落ちる中、火の粉をくぐって淀橋浄水場に逃げ込み命拾いした。家族こそ無事だったが、自宅は丸焼け。七十余年を経ても忘れることができない。

 「自衛隊の存在があやふやだと、災害時に働いてくれている隊員もやりがいがないのではないか」と自衛隊明記に反対するつもりはないが、憲法を変えるなら、過去の歴史に向き合う良識ある人が首相でなければ心配という。

   「戦争を経験していない安倍晋三首相は、戦争の悲惨さに真摯(しんし)
    向き合っているとは思えない
    戦争するために憲法を変えるなら、やめてほしい」
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018032302000145.html

【社説】
9条「自衛隊」明記論 軍事力の統制なくす
2018年3月23日

 自民党が模索する九条に自衛隊を明記する改憲案。実現すれば、軍事力の統制が利かなくなる懸念を持つ。歯止めなき軍拡路線への道かもしれない。

 もともと自民党が改憲草案を持っていたとはいえ、その理由が正しく国民に説明されねばならない。党是であるではあまりに説得力が乏しい。とくに戦争放棄を定めた九条に狙いがあるのはよく知られたことである。

 この点について、国会で質疑があったのは二〇一六年二月三日の衆院予算委員会である。質問者は稲田朋美政調会長(当時)。次のように訊(き)いた。


◆学者のための改憲か?

   <九条第二項を文理解釈すれば自衛隊は九条二項に違反する-、
     憲法学者の約七割が自衛隊は違反ないし違反する可能性がある
     と解釈しております。このままにしておくことこそが立憲主義を
     空洞化するものであります>

 九条二項とは、戦力不保持と交戦権の否認を定めた条文である。安倍晋三首相は答えた。

   <七割の憲法学者が、自衛隊に憲法違反の疑いを持っている状況を
     なくすべきではないかという考え方もある>

 この論法はおかしい。憲法があって学者は研究の結果として九条の条文解釈をし、自衛隊との関係を考えている。それが「違憲」と言っているだけだ。政府は自衛隊を「合憲だ」と一貫して認める立場を取ってきた。安倍首相の論法だと、「違憲」という研究結果を持つ学者のために憲法改正をすることになる。学者のために改憲?

 翻って、もしこの安倍論法が正しいとするならば、国民投票で自衛隊を明記する案が否決された場合、自衛隊に国民も学者同様「違憲」という意思表示をした人も多く含まれる。論理的にそう考えることもできる。


◆世論は半数が「反対」

 それでいて、安倍首相は二月五日の国会で「自衛隊が合憲であることは明確な一貫した政府の立場だ。国民投票でたとえ否定されても変わらない」と述べた。

 つまり国民投票にかけても、かけなくても、自衛隊は「合憲」-。それなら違憲という憲法学者を引き合いに出す余地などないではないか。安倍首相のロジックは、まるで破綻している

 いずれにせよ、「何のための九条改憲か」の理由には、もっと背後に強い動機があろう。

 まず推測されるのは、条文に書かれなくとも、既に成立している集団的自衛権の行使容認への国民の承認である。現在は「限定的」とされているが、将来はどうなるかはわからない。

 この自衛隊の任務拡大をあいまいにしたまま国民の同意を暗に求めているのではあるまいか。国民投票で「自衛隊の明記」に対し、安易にゴーサインを出してしまうと、自衛隊の活動範囲は将来、驚くほど広がってしまう事態を招く恐れもあると思う。

 さらに今回は「自衛隊の明記」にとどまっていたとしても、将来、「軍隊」に変えることも予想される。国軍化は自民党の改憲草案でも示されていた。その場合は当然のことであるが、九条二項は削除されるのである。

 要するに自民党の九条改憲案は、段階を踏んで、より軍隊と同質となってくるのではないか。これは日本国憲法の平和主義とは、相いれないと考える。

 共同通信は三月上旬に世論調査を行った。「安倍晋三首相は、九条に自衛隊の存在を明記する憲法改正を行う考えです」としたうえ、この改正に賛成か反対かを問うた。賛成が39・2%、反対が48・5%だった。

 ほぼ半数が「反対」という考えを持っているのは重視すべきである。それだけ改憲を望んでいないのだから。改憲を強く望むのは、自民党なのであり、安倍首相の宿願なのではないだろうか。

 一九四五年の敗戦から、長く平和を保ってきた。この事実は重い。九条が果たしてきた役割は、もっとかみしめるべきなのだ。

 実際に多くの憲法学者が「違憲」と指摘してきたために、自衛隊は正統性に疑いを掛けられてきたともいえる。そのために、かえって慎みのある実力組織となっている。軍人が闊歩(かっぽ)した戦前と比べれば、よほど明るい世の中である。これは軍事の権力統制という言葉で捉え直すこともできよう。


◆歯止めなき軍拡路線に

 だが、憲法に明記されれば、自衛隊が正統性を持つがゆえに、かえって統制が困難になる懸念もある。財政面からの統制も難しい。

 安倍首相の政権復帰後、防衛費は増え続ける米国から高額な兵器を購入し、専守防衛では不可能とされた空母まで持とうとしている歯止めが利かない軍拡路線の再来を恐れる。
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●「竹やりで…」「特攻艇・震洋」「人間機雷・伏龍」…「最も戦争に接近した八月」に「愚かな戦争に学ぶ」

2017年11月08日 00時00分08秒 | Weblog


琉球新報のコラム【<金口木舌>「愚かな戦争」伝える】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-558953.html)。
東京新聞の社説【週のはじめに考える 七十二年六日九日十五日】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017082702000161.html)。

 《「1944年、日本軍が開発した特攻艇「震洋」。…沖縄では実戦に投入された。ベニヤ板で作られ、船首に約250キロの爆薬が積めるようになっている…▼戦争では兵士だけではなく、住民もまた大きな犠牲を強いられる。グアム周辺へのミサイル発射計画を巡り、北朝鮮と米国の緊張が高まっていることが連日報道されている。まず指導者たちこそ過去の愚かな戦争に学ぶ必要がある》。
 《改めて戦争の話をさせていただくことにします。あの戦争以後に巡ってきた八月の中で、もしかすると朝鮮戦争時以外では最も戦争に接近した八月かもしれないと思うからです》。

   『●島袋文子さん「基地を置くから戦争が起こる。
      戦争をしたいなら、血の泥水を飲んでからにしてほしい」

   『●アベ様による血税4億円のトンチンカン・トンデモ 
        「ミサイル避難CM広告」によるメディア買収!?
    《「屋内や地下へ避難」「物陰に隠れる」などトンチンカン。
     ミサイルがどの方向から飛んでくるのか分からないのに「物陰」を
     どう判断するのか。相変わらず「竹やりでB―29を撃墜」の発想》

   『●「「危機が迫っている」とあおり、時の政権の求心力を高める手法」
                       …メディア買収と国内に向けての圧力
   『●米中戦争の「防波堤」: 与那国駐屯地による「活性化」?  
                        「島民との融和」か分断か?
   『●米朝に「本来は「揃って頭を冷やせ」
       と諭すべき立場にいるのが日本なのに」…火に油を注ぐニッポン
   『●グアムと沖縄: 「脅威にさらされ」続け、
       「標的にされ」続け、「尊い犠牲」論を強いられ続ける人々

 北朝鮮によるミサイル問題で、米朝が子供の口げんかレベルの罵り合いをしている昨今、《最も戦争に接近した八月》だった。酷い夏、酷い秋でした。

 《竹やりでB―29を撃墜》、《特攻艇「震洋」…ベニヤ板で作られ、船首に約250キロの爆薬が積めるようになっている》、《本土決戦を水際で食い止める「人間機雷」…竹ざおの先の機雷を突き上げて自爆…「伏龍」と名付けられた水際特攻隊》…《「こんなもので戦争をしたのか」と、その粗末な造りに》誰しもが驚かされる。現実には、《爆発事故や輸送中の機雷攻撃などで約2500人の隊員が犠牲》、そして、《潜水具には構造的な欠陥があり、多くの若者が訓練中の事故で命を失った》そうだ。《戦争指導者の愚劣さが凝縮》…それを学ばないニッポンの《指導者》の皆さん。いま、米朝に「頭を冷やせ」と諌めるどころか、戦争法や壊憲を背景に、火に油を注ぐ始末。そんなに「戦争」したいものかね?
 青木理さんの言葉(【サンデーモーニング】、2017年9月3日)に全く同感…「日本がどう向き合うか。先の大戦で、ドイツは敗戦して分断された。ところが、アジアでは解放された朝鮮が分断された。プラス、日本は戦後、朝鮮戦争を梃子にして経済発展の土台を築いた。基地は沖縄に押し付けたんですよ。つまり、今のこの米朝の対立も分断も、日本は歴史的な責任からは逃れられない。歴史を考えた時に、北朝鮮と単に対峙しているだけではなくて、どう向き合うかというのは、自ずから明らかになってくる。むしろ、朝鮮半島が平和になるために日本は努力をしなくてはいけない、ということは忘れてはいけない」

   『●「人道なんてなかった」頃の「戦争できる国」の現実
    「靖国神社にある遊就館の片隅に奇妙な像がある。
     潜水服姿で頭には大きなかぶと。両手で長い棒を持ち、
     身構えている。先端に付けられているのは機雷である
     ▼…本土決戦を水際で食い止める「人間機雷の存在は
     ほとんど知られていないのだから
▼…竹ざおの先の機雷を
     突き上げて自爆する
。「伏龍」と名付けられた
     水際特攻隊である▼…潜水具には構造的な欠陥があり、
     多くの若者が訓練中の事故で命を失った
▼当時の
     戦争指導者の愚劣さが凝縮されている人間機雷を
     考えたのは、参謀として真珠湾攻撃の作戦を
     立案した人物
だ。・・・▼戦争が長引けば伏龍の要員に
     なるはずだった人物に城山三郎さんがいる。
     特攻を命じた側に常に厳しい視線を向けた作家の原点
     だろう。「日本が戦争で得たのは憲法だけだ」。
     城山さんの言葉が重く響く。」

 《まず指導者たちこそ過去の愚かな戦争に学ぶ必要がある》のに、最も危険で、最も愚かな自公政権は何も学ぼうとはしない。彼・彼女やその支持者には、《戦争絶滅受合法案》を自らに課す勇気もない。

   『●戦争、環境破壊の最たるもの
     「二十世紀の初めごろ、デンマークの陸軍大将が、こんな法律があれば、
      戦争をなくせると考えて起草した法案がある。題して
      「戦争絶滅受合(うけあい)法案」▼戦争の開始から十時間以内に、
      敵の砲火が飛ぶ最前線に一兵卒を送り込む。順序はまず国家元首、
      次にその親族の男性、三番目は総理、国務大臣、各省の次官、
      そして国会議員(戦争に反対した議員を除く)、戦争に反対しなかった
      宗教界の指導者…▼妻や娘は従軍看護師として招集し、最前線
      野戦病院で働く。権力を持つ者から犠牲になるなら、自らは
      安全地帯にいてナショナリズムをあおる政治家は姿を消すだろう


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https://ryukyushimpo.jp/column/entry-558953.html

<金口木舌>「愚かな戦争」伝える
2017年8月21日 06:00

 1944年、日本軍が開発した特攻艇「震洋」。国内各地やフィリピン、台湾などにも部隊が置かれ、沖縄では実戦に投入された。ベニヤ板で作られ、船首に約250キロの爆薬が積めるようになっている

▼原寸大のレプリカが現在、金武町立中央公民館に展示されている。復元したのは沖縄鍾乳洞協会理事長の山内平三郎さん(70)=八重瀬町=だ。昨年、作った時に感じたのは「戦争の愚かさ」だった

▼爆薬を積むと重さで前が沈み、速度が出なかったといわれる。体当たり攻撃で損害を受けた米軍艦船は4隻。一方、爆発事故や輸送中の機雷攻撃などで約2500人の隊員が犠牲になった

▼不利な戦局を一挙に転換することを狙い投入された特攻兵器。山内さんは「こんなもので戦争をしたのか」と、その粗末な造りに驚いた。まさに、人の命を粗末に扱う作戦だった

▼金武町には戦時中、金武と屋嘉に「震洋」の部隊が駐屯した。町教育委員会によると、特攻艇を格納する壕の構築のため、地元の女性や子どもたちも動員され、土を運び出す作業などに従事させられた

戦争では兵士だけではなく住民もまた大きな犠牲を強いられるグアム周辺へのミサイル発射計画を巡り、北朝鮮と米国の緊張が高まっていることが連日報道されている。まず指導者たちこそ過去の愚かな戦争に学ぶ必要がある
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017082702000161.html

【社説】
週のはじめに考える 七十二年六日九日十五日
2017年8月27日

 広島、長崎の原爆忌、そして終戦の日。戦争にからむ特別な日を三つながらに抱え込んだ八月が、なお喧(かまびす)しい蝉(せみ)時雨の中で暮れていきます。

 またか、と思われるかもしれません。この月に戦争関連の報道が集中することを皮肉った八月のジャーナリズムなる言葉もあるぐらいですから。でも、ここは一つ、少し開き直って、改めて戦争の話をさせていただくことにします。あの戦争以後に巡ってきた八月の中で、もしかすると朝鮮戦争時以外では最も戦争に接近した八月かもしれないと思うからです。


◆北朝鮮と米国

 言うまでもなく、ミサイルで威嚇する北朝鮮の問題です。実際、マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は十三日、米テレビでこう語っています。「一週間前と比べ、われわれが戦争に近づいたとは思わないが、十年前と比べたら近づいている」

 北朝鮮をめぐる情勢が緊迫したことはこれまでにもありましたが、今度はいくつかの点でかなり事情が異なります。彼(か)の国の指導者の思考が読めないのは相変わらずだとしても、米国では、理性的とも冷静とも言い難い人物が大統領のいすに座っています

 まったく、最近の米朝による言葉の応酬を聞いているとハラハラしてなりません

 「北朝鮮は炎と怒りに直面する」(トランプ大統領)とか「無慈悲な報復と懲罰を免れない」(朝鮮人民軍の幹部)とか、表現は次第にエスカレート頼りない外交チャンネルしかない以上、首脳らが発言に込めるメッセージが持つ意味は大変重いはずですが、含意は少しも感じられません

 さらに、言葉の魔力とでも言うのでしょうか。オバマ政権で統合参謀本部議長を務めたマイケル・マレン氏の指摘には、いささかの恐怖さえ覚えます。

   「(トランプ氏の言葉は)彼自身の行動を縛ることになる
    制御できない事態に陥る恐れがある


◆戦争に近づく

 気になることはもう一つ。Wartime President(戦時の大統領)の効用です。就任後、決して評価の高くなかったブッシュ大統領(子)は「9・11」後、アフガニスタン戦争で急速に支持を高めました。さらにイラク攻撃に向かうか、という時、ある米国の政治学者は語ったものです。「経済と取り組むより戦争の方が楽だと思っているのでは

 支持率低迷が続くトランプ大統領です。政権浮揚に必死になるあまり、「戦時の大統領」の“誘惑”に近寄っていく…。考えたくありませんが、ロシアゲート、相次ぐ政権高官の辞任など現状の体たらくをみれば、そんなことまで心配になってきます

 そして、三つ目は、まさに、わが国の事情に、これまでの北朝鮮危機の際とは大きな違いがあります。つい一年半前、米国の軍事行動に加わることに道を開く安保関連法が施行されてしまっている点です。この国を「戦える国」に変質させたとも評されますが、事実、北朝鮮が米領グアム島周辺へのミサイル発射計画を明かした時、小野寺防衛相は、もし発射されれば、安保関連法に基づき集団的自衛権を行使して迎撃することは可能、との見解を示しています。

 ですから、仮に、安保関連法が「戦争法」でなかったとしても、自ら戦争に近寄っていく振る舞いであることは間違いないでしょう。この上はもう一歩、いや一ミリたりとも戦争に近づかない。それが肝要です

 有名な渡辺白泉の<戦争が廊下の奥に立つてゐた>の句が詠まれたのは、戦前の一九三九年。時代下って、現代歌人の一人はこう詠んでいます。<奥行きのある廊下など今は無く立てずに浮遊している、なにか>松木秀。日常に忍び込んでくる戦争は今、より一層、見えにくくなっている、と考えた方がよいかもしれません。

 確かに、戦争は、はっきり姿を現すまでの間は戦争の顔をしていないでしょう。よく持ち出されるラテン語の警句、<平和を欲するなら、戦争の準備をせよ>のように、時には平和の顔を装うことさえあるはずです。

 ですから、私たちは、戦争がはっきり戦争の顔をするずっと前からそのにおいや気配(あるいは「浮遊している、なにか」)に敏感に、拒絶の声を上げていくほかないきっと過敏なぐらい、心配性なぐらい、くどいぐらいでちょうどいいのです。


◆平和を思う月

 <七十年 六日九日十五日>高塚鎭昭。これは二年前、戦後七十年を記念して出版社の六曜社が公募した川柳作品の優秀作です。この国では、ただそう言うだけで、それだと分かる「平和を思う月」を送りながら、不戦への思いをさらに強くします
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●「戦争法案」: 「戦争できる国」、番犬様の国のために「戦争したい国」・・・主権者は誰か?

2015年05月17日 00時00分15秒 | Weblog


東京新聞の二つの記事【「戦える国」 是非は国会に 安保法案 閣議決定】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015051502000133.html)、
【問われる国民主権 政治部長・金井辰樹】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015051502000132.html)。

 「政府は十四日午後、臨時閣議を開き、他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案を決定・・・・・・安保法案全体を「平和安全法制」と呼び、「戦争法案」との批判に「無責任なレッテル貼りは全くの誤りだ」と反論」。
 「平和」や「安全」なんてラベルが貼れる訳がない。火に油を注ぐようなことをするのに、抑止力とはね・・・・・・マッチポンプとなることは明確。

   『●日本国憲法第九条「国権の発動たる戦争と、
      武力による威嚇又は武力の行使は、永久にこれを放棄する」

   『●「「ああ、安倍談話さえなかったら!」を心配する」:
           「ケンカを売り」「火に油を注ぎ」そうな雰囲気


 そんな「内」部でこそこそ話し合わず、また、ダラシナイ「マスコミ」とヤラセのような質疑などやらずに、アベ様は「外」に出てきて市民に説明してみては如何か? 国会の周辺で何が起きているのか見えていないでしょ?

   『●戦争に油を注ぎ、番犬様の片棒を担げば、
           「非戦闘地域」「後方支援」は何の保証にもならない

   『●福島瑞穂氏への「絶対権力」者の横暴と狭量:
       「自らと異なる立場に対する敬意や尊重などかけらもない」

 言うに事欠いて「平和安全法制」って、「デマ」そのもの。「息吐く様に嘘つく」「ネット右翼の書き込みと大差なし」。「戦争できる国法案」「戦争したい法案」である。しかも、番犬様の飼い主である米国のために「戦争したい」とシッポを振る情けなさ。真の「右翼」の方々は何も思わないんですかね? 「平和憲法」「平和主義」の「へ」の字もない。

   『●続・「首相はくず」とは言っていないけれど、
      「息吐く様に嘘つく」「ネット右翼の書き込みと大差なし」


 「憲法九条は、戦争を永久に放棄し、戦力の不保持をうたう。「戦わない」国になると宣言した」にもかかわらずのアベ様のあまりに酷い暴走ぶり。最も気に食わないこと、それはアベ様の暴走を支える自公支持者・投票者、そして、「眠り猫」の皆さん。

   『●衆院選の酷い結果: 
       本当に、「「眠り猫」は眠っているように見えて実は起きている」のか?
   『●あざとい「“味見”」・お試し壊憲=「憲法の自殺」:
           「小さく産んで」、九条壊憲へと「大きく育てる」

   『●壊憲: 「憲法を「変えない」という重み」と
       「「政治家が「戦争のできる国」を志向し、その言葉の軽さ」

   『●日本国憲法第九条「国権の発動たる戦争と、
      武力による威嚇又は武力の行使は、永久にこれを放棄する」


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015051502000133.html

「戦える国」 是非は国会に 安保法案 閣議決定
2015年5月15日 朝刊

     (安保関連法案の閣議決定に反対してデモ行進する女性たち
      =14日、東京・銀座で(木口慎子撮影))

 政府は十四日午後、臨時閣議を開き、他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案を決定した。歴代政権が憲法で禁じられていると解釈してきた集団的自衛権の行使を可能にする法案の閣議決定により、「専守防衛」の安保政策は戦後七十年で転換点を迎えた。政府は十五日に安保法案を衆院に提出する。安倍晋三首相は閣議決定後に記者会見し、今夏までの成立を目指す考えを重ねて表明した。

 首相は会見で、北朝鮮の弾道ミサイル開発を例に安全保障環境が厳しさを増しているとし、「あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う」と強調。安保法案全体を「平和安全法制」と呼び、「戦争法案」との批判に「無責任なレッテル貼りは全くの誤りだ」と反論した。

 安保法案は十本の現行法を一括して改正する「平和安全法制整備法案」と、他国軍の戦闘を支援するために自衛隊を随時派遣できるようにする新法「国際平和支援法案」の二本。平時から有事まで、自衛隊の活動を大幅に拡大させる。

 一括法案のうち武力攻撃事態法改正案は、他国への攻撃で日本の存立が脅かされる「存立危機事態」と政府が判断すれば、日本が攻撃を受けなくても、海外で集団的自衛権に基づく武力行使ができると定めた。

 日本周辺の有事に対応する米軍への支援を定めた周辺事態法から地理的制約を撤廃する「重要影響事態安全確保法案」では、米国以外の他国軍支援や弾薬提供を新たに認める。国際平和支援法案は、日本の安全に直接の影響がない場合に対応し、国連決議に沿って軍事行動する他国軍を支援できるようにする。

 与党は六月二十四日までの今国会の会期を大幅に延長し、法案の成立を図る方針。法案を連日審議できる特別委員会を今月十九日に衆院に設置し、二十一日の本会議で審議入りする日程を十四日に野党に提案した。野党側は準備時間の確保を理由に早期の審議入りに難色を示した。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015051502000132.html

問われる国民主権 政治部長・金井辰樹
2015年5月15日 朝刊

 安倍内閣が、他国を武力で守る集団的自衛権を使えるようにする安全保障関連法案を閣議決定した。憲法の解釈を変えて集団的自衛権を行使できるように内閣が初めて決めたのは昨年七月。以来、十カ月半の間に、政府・与党は一直線に法案をつくりあげた。この間、世論の反対は根強く、法案を今国会に急いで提出する必要はないとの意見は多数を占め続けたが、主権者である国民の声が反映されることはなかった

 憲法九条は、戦争を永久に放棄し、戦力の不保持をうたう「戦わない」国になると宣言した。

 条文を素直に読めば自衛隊の存在を認めることさえ難しい。二十三万人弱の自衛隊員を抱え五兆円近い防衛予算を毎年使う日本の現状は九条の枠を超えてしまったようにもみえる。そして自衛隊は、最近二十年あまりの間、なし崩し的に海外に派遣されてきた。

 それでも自衛隊は、一度も人に向けて発砲せず、一人も殺さず、一人の戦死者も出していない。日本は、戦後七十年間、戦争に加わらなかった。九条の縛りがあったからこそ「戦わない」一線がぎりぎりで守られてきた。

 閣議決定された法案に目を向けてみる。「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」があれば、他国のために武力行使できるようになる。「根底から」とか「明白な」という抽象的な言葉が並ぶ条文を読み、政権のさじ加減で海外での武力行使が決まってしまい、地球のどこでも「戦える国」になりはしないかと心配になる。

 法案は十五日、国会提出され、その是非は国会議員に委ねられる。「戦える国」に踏み出すか。九条の縛りの中で踏みとどまるか。国会の論戦は、変質する平和主義の行方を決める。これまで安保法制の議論から外されてきた国会の存在意義が問われる

 そして国会の議論では、国民主権そのものが問われる。主権とは、国のあり方を決める権力のこと。国会が主権者の考えと離れたことを決め、その結果、政権が「国のあり方」を思うままに変えられるようになれば、国民主権は形骸化してしまう。そのことを主権者である国民に選ばれた国会議員は忘れてはならない。私たち一人一人も、自分が主権者であることをしっかりと胸にとどめたい
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