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●死刑台からの生還、島田事件・赤堀政夫さん「僕は無罪である以前に無実」「青春を返してほしい」…そして飯塚事件・久間さんの〝命を返してほしい〟

2024年07月10日 00時00分57秒 | Weblog

[↑ 飯塚事件 冤罪で死刑執行「再審請求…08年死刑執行」(朝日新聞 2024年06月3日[月])]


(2024年06月12日[水])
死刑台からの生還、島田事件赤堀政夫さん。「僕は無罪である以前に無実」、「名誉を返せ」、「青春を返してほしい」…そして、冤罪で死刑執行されてしまった飯塚事件久間三千年さんの〝命を返してほしい〟。死刑存置派の皆さん、〝命を返してほしい〟です。
 《赤堀さんの『死刑廃止』や『再審法改正』の闘い》、改善の兆しが見えない。(東京新聞社説)《逮捕から釈放まで、免田さんは34年斎藤さんは29年谷口さんは34年を要しています。…一家4人殺しの事件で死刑が確定したものの、今秋の判決で、再審無罪が確実視される袴田巌さん(88)…。48年間も獄中にあり、再審開始決定で釈放されてから10年後の今も、なお「被告」の立場の袴田さん》。つまり、《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん。すぐさま、袴田巌さんに無罪を! マスコミももっと後押しすべきなのではないか。裁判所も自分たちの先輩の誤りを受け入れるべき…『●《読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた。…裁判官たちも例外では》ない…袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》』。

 東京新聞に【<社説>週のはじめに考える 元死刑囚が語った死刑】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/332452?rct=editorial)によると、《フェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女」の複製が掛かるリビングでくつろぐ、元死刑囚の赤堀(あかほり)政夫さん=写真。2010年、取材で名古屋の自宅マンションを訪ねた時の1枚です。今年2月に94歳で世を去りました。真珠の宝石言葉は「無垢(むく)」。「僕は無罪である以前に無実」と繰り返していた赤堀さんの思いが重なります》。

 何度でも斎藤貴男さんの衝撃的なルポを。斎藤貴男さんのコラムの一部をもう一度引用したい ―――――― 最「低」裁を頂点とする司法に失望してばかりだが、最近、衝撃を受けたことを再掲。(斎藤貴男さん)《当時、「週刊文春」の記者だった私は、彼を殺人犯に仕立てた連中に、「今のお気持ちは」と尋ねて回る取材を仰せつかったのだが、凄まじい成果を得てしまった。「犯人は梅田だと上が言うから逮捕したまで証拠なんかねえよ」と、元刑事は笑ったし、元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ真犯人なんか誰でもいい裁判所が死刑だと言えば吊るせばいい無期だと言ったらつなげばいいんだ」と、力説してくれたものである》…。
 大川原化工機でっち上げ事件にも、同じ匂いがする。飯塚事件の冤罪死刑にも。

 もう一つ、飯塚事件に関する警察の問題。怒りがおさまらないのだけれど…。

   『●目隠ししているヨーロッパの法律の女神、一方、ニッポンの法律の女神
     は《目隠ししておりません》…冤罪で死刑執行されてしまった飯塚事件
    「《山方泰輔元捜査一課長…「…弁護士は証拠をつくる、うん。
     と(いう弁護士)がまだ、おるとかなと思うてですね。ひっくり返す
     ためには、新しか証拠をつくらんと、裁判所が、「そげな証拠ある
     なら再審もう一ぺんせないかんな」いうようなのを
     つくってこないかんですから。…」》…酷い言い分だ。自分たち
     捜査側にこそ、でっち上げの恐れを感じている、冤罪者を殺して
     しまったのではないかと感じているのではないのか?
     《弁護士は証拠をつくる》、あまりに酷い主張ではないか。」

   『●飯塚事件再審請求を却下…「女の子を見たのは2月20日ではなく別の日。
     当時、捜査員に見ていないと伝えても『いや見たんだ』と押し切られた」
   『●飯塚事件…鈴嶋裁判長《「…覚えているのは不自然」…女性の証言…「捜査
     機関が無理に記憶と異なる調書を作成する動機、必要性は見いだせない」》

 (山方泰輔元捜査一課長)《弁護士は証拠をつくる》ではなく、警察や検察は証拠をつくる》ではないのか。事件をでっち上げた、犯人をでっち上げた、では無いのか? 裁判官は見て見ぬふりをした。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/332452?rct=editorial

<社説>週のはじめに考える 元死刑囚が語った死刑
2024年6月9日 07時27分

 フェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女」の複製が掛かるリビングでくつろぐ、元死刑囚の赤堀(あかほり)政夫さん=写真。2010年、取材で名古屋の自宅マンションを訪ねた時の1枚です。今年2月に94歳で世を去りました。真珠の宝石言葉は「無垢(むく)」。「僕は無罪である以前に無実」と繰り返していた赤堀さんの思いが重なります。

 赤堀さんは1954年、静岡県島田市で女児が殺された「島田事件」で死刑が確定したものの、89年に再審無罪で釈放されました。

 手にした写真で赤堀さんは、やはり再審無罪で死刑台から生還した「免田事件」の免田栄さん(右)、「松山事件」の斎藤幸夫さん(左)と肩を組んでいます。戦後、再審無罪になった元死刑囚は、「財田川(さいたがわ)事件」の谷口繁義さんを入れて4人。赤堀さんが亡くなり、4人とも不帰の客となりました。


◆無罪の前に「無実」だ

 インタビューでの赤堀さんの発言からは、以前から指摘されていた刑事司法や再審制度の問題点がいくつも浮かび上がりました。

 まずは、不条理な取り調べ署長らが想像で事件の順序を書いて読み上げその通りにしゃべれと命じたそうです。「事件のことなど何も知らない」と言っても聞いてもらえませんでした。

 そのくだりでは、普段は柔和な赤堀さんが興奮して猛烈な早口になり「○○が一番悪い。何十年たっても忘れない!」。後でICレコーダーをゆっくりした速度で再生して、やっと、刑事の実名が聞き取れました。

 マスコミへの批判も当時は、任意同行の時点で犯人捕まると写真付きで実名・呼び捨て報道され、逮捕後も取材合戦は過熱。「刑事と記者は仲間だと思っていた」と語気を荒らげていました。

 そういえば、福岡県の「飯塚事件」(92年)=先週、再審請求棄却=を追った今年公開の映画「正義の行方」で、同事件で特ダネを連発した新聞記者が、自嘲気味に語っていました。「自分はペンを持ったお巡りさんになっていた

 「当日告知」の問題もしかり、です。再審請求中、赤堀さんが仙台の拘置所にいたある朝、コツコツという靴音の後、独房の扉がガチャリと開きました。刑務官が隣の房と間違えたのだそうですが、死刑執行への“お迎え”と勘違いし、恐怖に打ち震えた赤堀さん。「僕の髪と眉は、1日で真っ白になってしまった」と唇を震わせていました。

 大阪地裁が、執行を当日に告知する国の運用は違憲だとする死刑囚2人の訴えを、運用には一定の合理性があるとして退けたのは、赤堀さんが身罷(みまか)って間もない今年4月。もし存命だったら、この判決に何を語ったでしょう。親族や支援者に会うこともできずに突然執行される仕組みに苦しめられ続けた本人まして冤罪(えんざい)の当事者なのです。怒りの言葉がほとばしったに違いありません。

 インタビュー取材の最後に「長い獄中生活で失ったもの」を尋ねました。「第一に、名誉、です」と赤堀さん。「無罪はもらえたけれど(裁判長らの)謝罪はなかったので」「報道などで、灰色無罪と言われて腹が立った時期もあった僕は真っ白な無実なのに

 そして、ややあって、少し照れくさそうにこう言いました。「第二に、青春かな


◆青春を返してほしい

 25歳で逮捕され、釈放されたのは35年近くたった59歳の時。再審無罪までの道のりが長過ぎるほど長いのは他の元死刑囚にも共通しています。逮捕から釈放まで、免田さんは34年斎藤さんは29年谷口さんは34年を要しています。

 今年5月、静岡市で「赤堀政夫さんを偲(しの)ぶ会」が催され、ゆかりのある50人ほどが故人への思いを語り合いました。島田事件対策協議会の長老、鈴木昂(こう)さん(85)は「客観証拠は全くなく、強制された自白だけが根拠の死刑判決でした。赤堀さんの『死刑廃止』や『再審法改正』の闘いを受け継ぎ、未完の宿題を背負いたい」と話します。

 鈴木さんは、一家4人殺しの事件で死刑が確定したものの、今秋の判決で、再審無罪が確実視される袴田巌さん(88)の支援団体にも属しています。48年間も獄中にあり、再審開始決定で釈放されてから10年後の今も、なお「被告」の立場の袴田さん。ようやく晴れて「無罪」になる日を待って、きっと泉下の赤堀さんらも首を長くしていることでしょう。
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●飯塚冤罪事件で死刑執行されてしまった久間三千年さん…福岡地検に、《裁判所が検察に対し、証拠品のリストを開示するよう勧告》した!

2023年03月27日 00時00分59秒 | Weblog

(2023年03月25日[土])
飯塚事件飯塚冤罪事件)で重要な動きがあった。《服役中に病死した阪原弘元受刑者》の日野町事件や、抗告断念し再審開始の決まった袴田冤罪事件に続く動き。

   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審:
                   司法の良心を示せるか?
   『●《死刑を忠実に実行している》のはニッポンだけ…
       飯塚事件でも、《十三人の死刑執行》でも揺るがず…
   『●日野町事件《遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を
     支持…決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の…》
   『●《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん、再審開始決定…せめて
    《一刻も早く「無罪」とすべく、検察は不服を唱えるべきではない》
   『●袴田巖さん、袴田秀子さん ――― 《捜査機関による証拠捏造》とまで
     言われているのだ、検察側が特別抗告を断念するのも、当然の結果だろう
   『●袴田冤罪事件: 《「…第三者がみそ漬けにした可能性がある」》《捜査
      機関による証拠捏造》《犯行着衣について捜査機関の捏造とまで…》

 飯塚事件久間三千年さん。布川事件氷見事件東電OL殺害事件志布志事件村木厚子氏冤罪事件足利事件…も確かにとんでもないのだけれど、飯塚事件は極めつきなのだ。冤罪者を死刑にしてしまったというとんでもない事件。国家による殺人。時の法相は、麻生太郎内閣の森英介氏。警察・検察・裁判所はどう責任をとるつもりだろうか? 「死刑執行命令を下したのは、麻生内閣の森英介法務大臣(当時)」、飯塚は麻生太郎氏の「地元」だ。冤罪死刑に係わった者たちは、何の贖罪の気持ちもわかないのだろうか?
 NHKの記事【飯塚事件の再審請求で福岡地裁が証拠品の開示を検察に勧告】(https://www3.nhk.or.jp/lnews/kitakyushu/20230324/5020013057.html)によると、《31年前、飯塚市で小学生の女の子2人が殺害された、いわゆる「飯塚事件」で死刑が執行された元死刑囚の家族が、裁判のやり直しを求める2度目の申し立てをめぐり、弁護団は、裁判所が検察に対し、証拠品のリストを開示するよう勧告したことを明らかにしました。平成4年、飯塚市で小学1年生の女の子2人が登校途中に連れ去られ、遺体で見つかったいわゆる「飯塚事件」では、殺人などの罪に問われ、一貫して無罪を主張していた久間三千年元死刑囚(70)の死刑が確定し、平成20年に執行されました。元死刑囚の家族は、再審=裁判のやり直しを求める2度目の申し立てをおととし7月に行っています。弁護団によりますと、24日、福岡地方裁判所で協議が開かれ、裁判所が検察に対して、事件に関わる証拠品のリストを開示するよう勧告したということです。また、裁判のやり直しを求めた今回の2度目の申し立ての際、証拠とした新たな証言について、目撃者の男性の証人尋問が実施される見通しが出てきたということです。弁護団は「証拠品のリストが開示された場合、これまで検察が『不存在』としてきた証拠が見つかる可能性もある大きな前進だと捉えたい」と話しています。》

 FBSニュース【『飯塚事件』三者協議 裁判所が証拠リストの開示を検察に勧告】(https://youtu.be/kChLxd8oN7k)によると、《福岡県飯塚市で31年前、女児2人が殺害された『飯塚事件』について、裁判のやり直しをめぐる協議で、福岡地方裁判所は24日、検察に証拠リストの開示を勧告しました。久間三千年元死刑囚は1992年2月、福岡県飯塚市で女児2人を殺害したなどの罪で死刑が執行されました。家族が無実を訴え、裁判のやり直しを求めていて、裁判所、検察、弁護団による三者協議が続いています。弁護団によりますと、24日午後開かれた協議で、福岡地方裁判所は、事件が警察から検察に送致された時の証拠リストを開示するよう、福岡地方検察庁に勧告しました。福岡地方検察庁は「時間を下さい」と応じたということです。弁護団は、「疑問点の具体的な裏付けにつながる可能性があり、一歩前進と捉えている」と話しています》。


【『飯塚事件』三者協議 裁判所が証拠リストの開示を検察に勧告】
 (https://youtu.be/kChLxd8oN7k


 以下の清水潔さんのつぶやきにも出てくるのですが、飯塚事件(飯塚冤罪事件)についてつぶやくと、必ずと言っていいほど、「飯塚事件の犯人は久間三千年です。○○を見て下さい」的なリプライが来ます…、ウンザリします。

 《飯塚事件が、免田事件袴田事件と違うのはすでに死刑が執行されてしまっている点だ》。《飯塚事件という司法の闇を隠蔽し続けることはもはや限界だ》。
 清水潔さんの最初のつぶやき(https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1639391809133744129)から、一連のものを以下にコピペ:

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https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1639391809133744129】(これ以降のつぶやき)

清水 潔@NOSUKE0607
死刑が執行されてから冤罪の可能性が浮上し、再審が請求されている「飯塚事件」に大きな動きがあった。地裁が検察に対して当時の捜査・証拠品の目録開示を勧告したのだ。これにより今後の再審請求に大きな影響が出ることは必須だろう(続)

――――――――――――――――――――――
nhk.or.jp
飯塚事件の再審請求で福岡地裁が証拠品の開示を検察に勧告|NHK 北九州のニュース
【NHK】31年前、飯塚市で小学生の女の子2人が殺害された、いわゆる「飯塚事件」で死刑が執行された元死刑囚の家族が、裁判のやり直しを求める2度目の申…
――――――――――――――――――――――
午前7:20  2023年3月25日


なぜこれが重要か?これまでの裁判で検察側から法廷に出されてきた証拠はすべてが「有罪立証」のものつまり無罪につながってしまう証拠は隠されてきたからだ。弁護側からすればどんな証拠は何があるかすらわからなかった。これが白日の下に晒されるのが「証拠目録」なのだ(続)

目録開示で冤罪が明らかになったケースは過去何件かあるのだが、特に飯塚事件では重要だ。判決文を読めばわかるが、有罪立証はすべてが状況証拠でありすべてを使い切っているからだ。つまり今後開示されるものは無罪につながる証拠の可能性が高いのだ。これは検察からすれば厳しい事態である(続)

飯塚事件が、免田事件袴田事件と違うのはすでに死刑が執行されてしまっている点だ。そんな事があり得るのか?と普通は思うが、有罪証拠の柱のひとつ「DNA型鑑定」が死刑執行後になって疑惑が生じ、事実上証拠から排除れてしまったのだ。足利事件で問題となったあのMCT118鑑定だったのである(続)

これにより他の証拠は関係車両の目撃者の証言などまったくの状況証拠だけになっている。現代ならばこんな捜査では起訴すらしないであろう証拠である。今回の開示勧告でそれすらも揺らぐ可能性が出来てきた事になる(続)

飯塚事件捜査の危うさ。それはこの事件だけを見てもわからない。足利事件の再審セットで流れを見ていかないと気づかないことが多いのだ。
しかしネットなど飯塚事件を検索するとこの事件は絶対に有罪的な不気味なサイトも多い。誰が何のために主張しているのか。そこにもこの事件の謎がある(続)

今回の地裁の証拠開示勧告に対し検察が従わなければそれこそが無実の疑惑を生む。
当たり前だが「死刑執行」は絶対に間違ってはならない1%の疑惑があっても許されないのだ。しかしこの事件はDNA鑑定排除などすでに疑惑だらけ。久間死刑囚は逮捕前から死刑執行まで無実を主張していたのだ(続)

袴田事件も同じだったが、死刑求刑に一点の揺るぎもないと検察が言うなら、それを再審法廷で立証すればいい。その再審開始に検察が反対することが社会の目からすればいかに疑惑を生じさせているを考えるべき時代となったのだ。(続)

飯塚事件という司法の闇を隠蔽し続けることはもはや限界だ。再審により真実を明らかにしてほしいと願う。なお飯塚事件の詳細については拙著の「殺人犯はそこにいる」(新潮社)で、足利事件からの流れの中で触れているので興味ある方はご覧頂きたい。
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   『●冤罪で死刑執行、あってはならない!!
   『●贖罪:足利事件再鑑定から12日後の2008年10月28日朝、
                飯塚事件久間三千年元死刑囚の死刑が執行

    「2008年10月16日 足利事件 再鑑定へ
     2008年10月28日 飯塚事件 死刑執行
     2009年 4月20日 足利事件 再鑑定で一致せず
     ……そう、足利事件で誤鑑定であることが分かった時には、既に、
     久間さんの死刑が執行されていた。2008年10月16日
     DNA型鑑定に疑問が生じた時点で、死刑執行は停止されておくべき
     だったのに…。なぜ、急いで死刑執行したのか?、
     大変に大きな疑問である」

   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●①飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 
         廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
   『●②飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 
         廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
   『●飯塚事件冤罪者を国家が死刑執行、「この重すぎる現実」:
                    無惨…「死刑執行で冤罪を隠蔽」
    「リテラの伊勢崎馨さんによる記事【飯塚事件、なぜ再審を行わない?
     DNA鑑定の捏造、警察による見込み捜査の疑いも浮上…やっぱり冤罪だ!】」
    《冤罪が強く疑われながら死刑が執行されてしまったのが、1992年に
     福岡県で起こった「飯塚事件」である。そして、この飯塚事件にスポットをあて、
     冤罪疑惑に切り込んだドキュメンタリー番組が放送され、ネット上で話題を
     呼んだ。3日深夜に日本テレビで放送された
     『死刑執行は正しかったのかⅡ 飯塚事件 冤罪を訴える妻』だ》

   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の再鑑定で
           死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
    「西日本新聞の二つの記事【死刑下した裁判官が関与 飯塚事件の
     再審請求審 識者「公正さ疑問」】…と、【飯塚事件再審認めず 
     福岡高裁 「目撃証言信用できる」】…」

   『●飯塚事件…《しかしもっと恐ろしいのは、そんな誤りを認めず、
     国家による殺人を無かった事にする国家の強引さだろう》(清水潔さん)
   『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、
        検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》
   『●桜井昌司さん《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》
      …検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定
   『●布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、濡れ衣を
        着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さん
   『●飯塚事件は《足利事件に続いて「DNA冤罪=DNA型鑑定を悪用した
     冤罪」が発覚するのを恐れた検察による口封じ殺人ではなかったか……》
   『●《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、
        その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏は…》
   『●(東京新聞社説)《死刑制度には普遍的な人権問題が潜み、その廃止・
       停止は、もはや世界の潮流となっている》…死刑存置でいいのか?
   『●(FBS)【シリーズ『飯塚事件』検証】…《死刑執行は正しかった
     のか》? 罪なき人・久間三千年さんに対しての《国家による殺人》!
   『●NNNドキュメント【死刑執行は正しかったのかⅢ ~飯塚事件・真犯人
      の影~】…《死刑冤罪の闇を12年間追跡し続けたドキュメンタリー》
   『●【<土曜訪問>表現の幅、狭めない 冤罪事件から着想 ドラマ
     「エルピス」で脚本 渡辺あやさん(脚本家)】(東京新聞・石原真樹記者)

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●飯塚事件は《足利事件に続いて「DNA冤罪=DNA型鑑定を悪用した冤罪」が発覚するのを恐れた検察による口封じ殺人ではなかったか……》

2021年12月06日 00時00分20秒 | Weblog

―――――― 《2次再審請求で問い直される「T供述」の信用性 岩田弁護士は「Kさんが目撃したのが犯人であれば急転直下、真犯人の存在とともに久間さんの無実もはっきりする」と述べ、再審請求でK証言の果たす役割を解説した》



 (2021年09月26日[日])
山口正紀さんによる、レイバーネットの記事【検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪〜「飯塚事件」を問う】(http://www.labornetjp.org/news/2021/0911yama)。

 《「飯塚事件」をご存知だろうか。1992年、福岡県飯塚市で起きた2女児殺害事件で逮捕され、無実を訴えていた久間三千年(くま・みちとし)さんが死刑判決を受け、2008年に死刑が執行された(当時70歳)。その第2次再審請求の支援を訴える「飯塚事件の再審を求める東京集会」が9月4日、オンラインで開かれた。この事件で有罪判決の根拠とされたのが科警研(警察庁科学警察研究所)によるDNA型鑑定だった。一方、同じ時期・同じ手法で科警研が行なった「足利事件」のDNA型鑑定が誤りだったことが明らかになり、再審無罪となった。実は、この足利事件で「DNA型再鑑定へ」と報道されたのが08年10月上旬その10日余り後、突然再審準備中の久間さんの死刑が執行された。それを知った時、私は恐ろしい疑惑に駆られた。この死刑執行は、足利事件に続いて「DNA冤罪=DNA型鑑定を悪用した冤罪が発覚するのを恐れた検察による口封じ殺人ではなかったか……。(山口正紀)》

 《検察による口封じ殺人》《国家による殺人》…。布川事件冤罪被害者桜井昌司さん《無惨に殺された人の無念を晴らす殺したのは誰か検察庁です》と。当時の首相は麻生太郎氏、飯塚を含む福岡8区の出身。その麻生太郎内閣の法務大臣は森英介氏。2008年10月16日、足利事件のDNA再鑑定で、直ぐに、久間さんの死刑執行は停止されるべきだった ――― しかし、わずか10日ほど後の10月28日、死刑は執行された…。首相や法相、検察・警察の関係者、あまりに冷酷だ…。関わった裁判官も。《各裁判所は、弁護側が指摘したさまざまな疑問・矛盾を無視。結局、科警研の「MCT118型鑑定」によるDNA型鑑定をほぼ唯一の根拠とした死刑判決が確定した》。

   『●贖罪:足利事件再鑑定から12日後の2008年10月28日朝、
                飯塚事件久間三千年元死刑囚の死刑が執行』 
 
    「2008年10月16日 足利事件 再鑑定へ
     2008年10月28日 飯塚事件 死刑執行
     2009年 4月20日 足利事件 再鑑定で一致せず
     ……そう、足利事件で誤鑑定であることが分かった時には、既に、
     久間さんの死刑が執行されていた。2008年10月16日
     DNA型鑑定に疑問が生じた時点で、死刑執行は停止されておくべき
     だったのに…。なぜ、急いで死刑執行したのか?、大変に大きな疑問である」

   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●①飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 
         廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
   『●②飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 
         廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
   『●飯塚事件冤罪者を国家が死刑執行、「この重すぎる現実」:
                    無惨…「死刑執行で冤罪を隠蔽」
    「リテラの伊勢崎馨さんによる記事【飯塚事件、なぜ再審を行わない?
     DNA鑑定の捏造、警察による見込み捜査の疑いも浮上…やっぱり冤罪だ!】」
    《冤罪が強く疑われながら死刑が執行されてしまったのが、1992年に
     福岡県で起こった「飯塚事件」である。そして、この飯塚事件にスポットをあて、
     冤罪疑惑に切り込んだドキュメンタリー番組が放送され、ネット上で話題を
     呼んだ。3日深夜に日本テレビで放送された
     『死刑執行は正しかったのかⅡ 飯塚事件 冤罪を訴える妻』だ》

   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の再鑑定で
           死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●飯塚事件…《しかしもっと恐ろしいのは、そんな誤りを認めず、
     国家による殺人を無かった事にする国家の強引さだろう》(清水潔さん)

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http://www.labornetjp.org/news/2021/0911yama

検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪―「飯塚事件の再審を求める東京集会」(オンライン)から(上)

●山口正紀の「言いたいことは山ほどある」第14回(2021/9/11 不定期コラム)
検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪――「飯塚事件の再審を求める東京集会」(オンライン)から(上)

     (*2017年NNNドキュメントより)

 「飯塚事件」をご存知だろうか。1992年、福岡県飯塚市で起きた2女児殺害事件で逮捕され、無実を訴えていた久間三千年(くま・みちとし)さんが死刑判決を受け、2008年に死刑が執行された(当時70歳)。その第2次再審請求の支援を訴える「飯塚事件の再審を求める東京集会」が9月4日、オンラインで開かれた。この事件で有罪判決の根拠とされたのが科警研(警察庁科学警察研究所)によるDNA型鑑定だった。一方、同じ時期・同じ手法で科警研が行なった「足利事件のDNA型鑑定が誤りだったことが明らかになり、再審無罪となった。実は、この足利事件で「DNA型再鑑定へ」と報道されたのが08年10月上旬その10日余り後、突然再審準備中の久間さんの死刑が執行された。それを知った時、私は恐ろしい疑惑に駆られた。この死刑執行は、足利事件に続いて「DNA冤罪=DNA型鑑定を悪用した冤罪が発覚するのを恐れた検察による口封じ殺人ではなかったか……。(以下、事件・裁判の経過とオンライン集会の模様を3回にわたって報告する)


●疑惑の死刑執行1年後、妻が再審請求

 死刑執行からちょうど1年後の09年10月28日、久間さんの妻が新たなDNA型鑑定などを新証拠(再審を開始すべき理由)として、福岡地裁に再審請求を申し立てた。

 しかし、福岡地裁は14年、科警研が行なったDNA型鑑定を「(久間さんの)犯人性を基礎づける事実とすることはできない」と認めたものの、「DNA型鑑定以外の状況証拠による確定判決は揺るがない」として、再審請求を棄却した。

 再審弁護団は即時抗告したが、福岡高裁は18年、即時抗告を棄却。弁護団は特別抗告したが、最高裁第1小法廷は今年4月21日、特別抗告も棄却した。

 このため、久間さんの妻と再審弁護団は7月9日、確定判決の根拠とされた目撃証言を否定する新たな目撃証言などを理由に、2度目の再審請求を福岡地裁に申し立てた。

 オンライン集会は、この第2次再審請求の意義・内容を報告し、支援の輪を広げていこうと企画され、飯塚事件再審の実現に向けて尽力してきた九州大学の大出良知・名誉教授、再審法改正をめざす市民の会の木谷明代表(元裁判官)、布川事件の冤罪被害者・桜井昌司さんら幅広い支援者たちの呼びかけで開催された。

 集会では、弁護団から第1次再審請求を棄却した最高裁決定と第1次請求の総括、第2次再審請求の経過と内容が詳しく報告され、再審請求人である久間さんの妻のメッセージが読み上げられた。また、8月に国家賠償請求訴訟(国賠)の控訴審で勝訴したばかりの桜井さんが再審実現に向けて連帯のアピールを行い、「死刑執行は口封じ何というひどい国だろう。久間さんの無念は必ず晴らせると確信しています」と訴えた。

 集会について報告する前に、第1次請求に対する最高裁決定、第2次再審請求書、弁護団が編集したブックレット『死刑執行された冤罪・飯塚事件』(2017年・現代人文社)などをもとに、まず事件と裁判、再審請求審の経過を紹介しておこう。


●福岡県警は事件直後から久間さんを犯人視し、「見込み捜査」

 92年2月20日、飯塚市内で登校途中の小学校1年生女児2人が行方不明になり、翌日、約20キロ離れた福岡県甘木市(現・朝倉市)の山中で遺体が発見された。死因は扼殺、2人の膣内などから微量の血液が検出された。

 福岡県警は、かつて近くで起きた同種の事件で捜査対象にしたことのある久間さんを事件直後からマークし、その動静を監視(見込み捜査)。3月には遺留品発見現場付近で「ダブルタイヤのワンボックスカーを目撃した」とのT証人の調書を作成した。久間さんは、この「目撃証言」に合致する車を持っていた。

 続いて県警は久間さんに毛髪を任意提出させ、遺体周辺から採取された血液とともに科警研に鑑定を依頼。科警研は6月、〈血液型は、犯人のものとみられる血液、久間ともにB型。DNA型は「MCT118型鑑定」の結果、犯人のものとみられる型と久間が提出した毛髪から採取した型が一致した〉との鑑定書を出した。

 県警は7月、その「追試」として帝京大学の石山昱夫(いくお)教授にDNA型鑑定を依頼した。石山教授は「ミトコンドリア法」という当時、最も鋭敏な検査とされた方法で検査。約1年半後の94年1月に出された石山教授の鑑定書は、「久間さんのDNA型は検出されず被害者以外の第三者(犯人と思われる)の型が検出された」と結論した。

 それでも県警は94年9月23日、久間さんを死体遺棄容疑で逮捕した。
 翌日の『朝日新聞』夕刊(東京本社版)は、社会面トップ見開きで《56歳無職男性を逮捕/小1女児2人殺害事件/遺体運び捨てた容疑/DNAと繊維鑑定が決め手》と大々的に報道、久間さんの経歴や一問一答を掲載した。『読売新聞』も、社会面4段で《無職の56歳男性逮捕/遺棄容疑/殺人容疑でも追及》と大きく報じた。

 『朝日』はその後も、続報で《ワゴン車入念に清掃/容疑者、売却直前に》《容疑者に似た男目撃/遺留品の現場、車で去る》などと犯人視の報道を続けた。

 久間さんは66日間に及んだ取調べに一貫して否認した。県警は10月14日、久間さんを死体遺棄罪で起訴し、殺人容疑で再逮捕した。だが、その後も「自白」は一切なかった

 95年2月20日、福岡地裁で初公判が開かれ、久間さんは起訴内容を全面否認。その後も一貫して無実を訴え続けた。しかし99年9月29日、福岡地裁は久間さんに死刑判決を言い渡した。判決は「被告人の犯行との結びつきを証明する直接証拠がなく、個々の状況事実の単独では被告人を犯人と断定することが出来ない」としながら、概略次のような「状況事実」を列挙し、有罪と認定した。

 ①被告人の車のシートから検出された血痕と被害者の1人の血液型が一致する ②遺体から検出された血液型、DNA型が被告人と一致する ③現場付近で目撃された車と被告人の車種が一致する ④被害者の着衣に付着した繊維と車のシートの繊維が同一 ⑤被告人には土地鑑があり、アリバイも不明。

 私が参加する「人権と報道・連絡会」では2010年1月の定例会で、弁護団の徳田靖之弁護士から事件と裁判の経過について詳細な報告を受けた。その中で徳田弁護士は、一審判決が有罪の根拠とした「状況事実」について、次のように問題点を指摘した。

 「①車のシートの血液型が被害者と一致したというが、血液型だけでそれを被害者の血痕と断定することはできない。③④は車種が同じというだけの話。⑤は全くの間接証拠に過ぎない。③の目撃者が目撃した人物は『年齢30~40歳。髪は長めで七・三分け』ということだったが、久間さんは当時55歳、髪はオールバックだった」

 結局、一審判決は「②科警研によるDNA型鑑定に依拠して有罪と認定したことになる。だが、そのDNA型鑑定をめぐっても重大な矛盾があった。実は、科警研は「MCT118型鑑定」のほかに、独自に「HLADQα型」検査も行っていたが、この検査では被害者の血液から久間さんの型は検出されなかった。そして、石山教授の「ミトコンドリア法」による鑑定も不一致だった。つまり、県警は複数のDNA型鑑定を行ったものの、「MCT118型鑑定」以外はすべて「久間=犯人説を否定していたことになる。

 久間さんはこの一審判決に対して直ちに控訴したが、2001年10月10日、福岡高裁は控訴を棄却。さらに06年9月8日、最高裁は上告を棄却した。各裁判所は、弁護側が指摘したさまざまな疑問・矛盾を無視。結局、科警研の「MCT118型鑑定」によるDNA型鑑定をほぼ唯一の根拠とした死刑判決が確定した。


●「足利事件のDNA型再鑑定へ」報道の直後に死刑執行

 その2年後、状況が大きく動いた。同じ科警研鑑定(「MCT118型鑑定」)を証拠に有罪とされた足利事件について、08年10月、東京高裁が再鑑定する方針を決めた

 足利事件とは、1990年5月、栃木県足利市のパチンコ店で4歳女児が行方不明になり、渡良瀬川河川敷で遺体が発見された事件だ。栃木県警は91年12月、科警研のDNA型鑑定を証拠として保育園の送迎バス運転手だった菅家利和さんを逮捕。菅家さんは起訴され、裁判途中から無実を訴えたが、無期懲役の有罪判決が確定、服役させられていた。

 この東京高裁の再鑑定方針について、新聞各紙は、《高裁、DNA再鑑定へ》(10月17日付『朝日』)、《DNAを再鑑定へ》(18日付『毎日新聞』)と、全国版で大きく報じた。

 これは当時、再審請求を準備していた久間さんに大きな希望の光となったはずだ。ところが、この報道から10日後の10月28日、法務省は突然、久間さんの死刑を執行した。

 死刑執行を命じた法務省が、足利事件の再鑑定報道を知らなかったはずはない。森英介法相は「慎重かつ適正な検討を加えた」と述べた。いったいどんな「検討」をしたのか

 それから約半年後の09年5月、足利事件のDNA型鑑定結果が出た。弁護側・検察側が推薦した鑑定人2人が、いずれも「STR法」による鑑定で「犯人と菅家さんのDNA型は一致しない」と結論した。

 弁護側推薦の本田克也・筑波大教授は、「MCT118型」による追試鑑定も行った。結果は、菅家さんが「18―29型」、犯人は「18―24型」。どちらも「16―26型」としていた科警研の鑑定結果は、精度の低い「MCT118法」においても完全な誤りだった

 飯塚事件弁護団は、この本田教授に飯塚事件の再鑑定を依頼した。ところが、飯塚事件では捜査段階で採取された鑑定試料を科警研が全量消費していた」という。このため、本田教授は科警研鑑定のデータ・写真を解析し、再鑑定した。

 その結果は、「科警研鑑定はDNA型も血液型も誤りという衝撃的な内容だった。血液型は、犯人がAB型、久間さんはB型。「MCT118型」によるDNA型は、犯人が「16―25型」、久間さんは「18―30型」だった。科警研鑑定は、犯人・久間さんとも「16―26型」としていたが、それはすべて間違っていた、と本田鑑定は指摘した。

 遺族と弁護団は死刑執行1年後の10月28日、本田鑑定を新証拠に再審を請求した。だがメディアの反応は鈍く、全国紙各紙が社会面3~4段で伝えただけだった。その背景には、逮捕時にメディアが繰り広げた犯人視報道がある。徳田弁護士は「人権と報道・連絡会」で、「九州では東京以上にひどい犯人視報道が行われ、みんな久間さんを殺人鬼と信じ込まされました」と話した。メディアも〈無実の死刑〉に加担していた。(続く)

Last modified on 2021-09-11 22:51:36
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http://www.labornetjp.org/news/2021/0913yama

●山口正紀の「言いたいことは山ほどある」(2021/9/13不定期コラム)
検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪――「飯塚事件の再審を求める東京集会」(オンライン)から(中)

 久間三千年(くま・みちとし)さんの死刑執行は、「DNA冤罪」が露顕するのを恐れた検察の「口封じ殺人」ではなかったか――こんな恐るべき疑惑をはらんだ「飯塚事件」。その再審を目指して開かれたオンライン集会(9月4日)では、最高裁「特別抗告棄却」決定(4月21日)の問題点、久間さんの妻と再審弁護団が福岡地裁に申し立てた第2次再審請求(7月9日)の内容が詳しく報告された。一連の報告は、①科警研DNA型鑑定のデータ改ざん有罪判決の根拠とされたT目撃証言の不自然さ――など、死刑判決の「証拠」が福岡県警によって改ざん・捏造されたものであることを明らかにした。

     (*写真=徳田靖之弁護士(NNNドキュメントより))


●「もっと早く再審請求していれば」……

 集会ではまず、刑事裁判から弁護活動に取り組んできた徳田靖之弁護士が、第1次再審請求の経過と請求棄却決定の問題点を報告、最初に飯塚事件の3つの特徴を挙げた。

 第1は、死刑が執行されてしまった事件であること。執行は08年10月28日だったが、徳田弁護士は少し前に久間さんに面会し、再審請求について話し合っていた。「あの時もう少し早く再審請求していれば、執行はなかったのではないか。弁護士の怠慢で執行を許してしまった。その過ちを背負いながら再審に取り組んできました」と徳田弁護士は悔やむ。

 一方、死刑執行された事件であることは、裁判官にはハードルの高さになり、慎重な審理を求められる。もし再審無罪になれば、国家による過った殺人を認めることになる。「それが、裁判所が再審開始を拒み続ける理由にもなります」と徳田弁護士。

 第2は、真犯人を特定できる証拠の血痕がありながら、捜査段階で全量消費されてしまったこと。被害者の膣内などから採取された血痕・体液は「100回鑑定ができるぐらい十分な量があった」(石山昱夫・帝京大学教授)のに、科警研の技官たちは3回の鑑定で全部使い切ってしまった」という。しかも、「使い切った」理由も明らかにされていない。徳田弁護士は「これが、無実を証明するうえで大きなハンデになっています」と述べた。

 だが、試料の血痕はほんとうに「全量消費」されたのか、そんな疑問もある。

 第3は、任意取調べを受けた段階から死刑執行の日まで、久間さんが終始一貫無実を訴え、完全否認を貫いた事件であること。わが国ではこれまで、免田事件など再審で死刑囚が無罪になった事件はあるが、その多くは何らかの形で「自白」が取られており、その任意性、信用性が否定されて再審開始の道が開かれてきた。

 本件では、こうした自白が全く存在せず、直接的証拠もない。確定判決も、「間接事実の総合評価によって犯人性を判断するしかない」とした。それだけに、裁判では有罪認定の中核となった「状況証拠」の証拠能力、信用性が徹底的に吟味されなければならない。弁護団は再審請求で、確定判決の証拠構造の中核が、①科警研のDNA型鑑定②遺留品発見現場でのT目撃証言であるとし、この2つに証拠価値がないことを立証した。


●DNA型鑑定、目撃証言のでたらめさを立証した新証拠

 福岡地裁に申し立てた第1次再審請求(09年10月)で、弁護団は2つの新証拠を提出した。1つは、本田克也・筑波大教授によるDNA型鑑定・血液型鑑定に関する法医学鑑定書。2つ目は、厳島行雄・日本大学教授によるT目撃証言に関する心理学鑑定書だ。本田鑑定は、科警研による「MCT118型」鑑定の証拠能力を全面的に否定した。鑑定書によると、「MCT118型」によるDNA型について、科警研鑑定は犯人・久間さんとも「16―26型」としていたが、久間さんのDNA型は「18-30型」であり、明らかに誤っていた。血液型についても「被害者はO型とA型であり、犯人はAB型。B型の久間さんは犯人ではありえない」と結論した。久間さんの無実を物語る衝撃的な鑑定だ

 再審請求審では、科警研がDNA型鑑定の際に撮影したネガフィルムが証拠開示され、本田教授が解析した結果、科警研鑑定書に添付された写真が改ざんされていたことも明るみに出た。ネガフィルムには確定判決で証拠採用された写真より広い範囲が写っていた。そのネガの写真に焼き付けられていない部分に、「久間さんでも被害者のものでもないDNA型」が確認された。これは真犯人のもの以外に考えられない。

 科警研はそれを隠すため、意図的に写真を切断して焼き付けたと考えるほかない。徳田弁護士は「ネガフィルムは科警研による証拠改ざんの痕跡を示す証拠」と指摘した。

 厳島鑑定は、T目撃証言が警察官に誘導されたものであると断定した。T目撃証言とは、女児2人が行方不明になって数時間後、〈遺留品発見現場の近くの山道で久間さんの車と特徴が同じ紺色のワンボックスカーを見た〉という内容だ。厳島教授は現場で再現実験を行い、このT証言の不自然さを指摘した。

 事件発生(92年2月20日)から2週間余、3月9日に作られた供述調書は、T証人が「目撃した」という不審車と不審人物について、極めて詳細に供述している。

 T供述は不審車の特徴として、①ナンバーは不明②標準タイプのワゴン車③メーカーはトヨタやニッサンではない④やや古い型⑤車体は紺色⑥車体にはラインがなかった⑦後部タイヤはダブルタイヤ⑧後輪のホイルキャップの中に黒いラインがあった⑨窓ガラスは黒く車内は見えなかった――という9項目を挙げた。

 不審人物の特徴としては、①頭の前の方が禿げていた②髪は長めで分けていた③上衣は毛糸で④胸はボタン式⑤薄茶色の⑥チョッキで⑦チョッキの下は白いカッターの長そでシャツを着ていた⑧年齢は30~40歳だった――という8項目を挙げた。

 しかし、T証人がこの不審車を目撃したという現場の「八丁峠」はカーブが続く山道。T証人は坂道の下りカーブを時速20~30キロで運転中、左カーブで対向車線に停まっていた「不審なワゴン車」を見た、としている。

 はたして、山道の下りカーブを運転中に、前記のような詳細な「目撃」が可能なのか。車がすれ違うのに要するのはほんの数秒。しかも、「後輪がダブルタイヤだった」というのは、下りカーブで後ろを振り返って見る危険を冒さなければ知り得ない情報だ。

 厳島教授は、現場での走行再現実験の結果に基づき、「目撃はごく短時間であり、対象物の詳しい形状まで記憶することは不可能T目撃証言は作られた供述」と断言した。

 さらに、再審請求審で証拠開示された捜査報告書により、T証言が捜査員の誘導によるものであることを示す事実が明らかになった。実は供述調書が取られる2日前の3月7日、捜査員が久間さん宅を下見して車を調べ、「車体にはボディラインなし」などと報告していた。この捜査員が2日後、T証人の聴取を担当し、調書を作成していたのだ。

 当時、久間さんが乗っていたのは、マツダの「ウエストコースト」というワゴン車。この車種には本来、車体に特徴的なラインが付けられていたが、久間さんはラインを消して乗っていた。そのことを知らなければ、わざわざ「トヨタやニッサンではない」「ラインがなかったなどと供述するわけがない。詳細なT証言は、捜査員による完全な誘導だった


●再審申し立てに判断を回避した最高裁

 確定死刑判決が有罪認定の根拠とした2つの柱=DNA型鑑定とT目撃証言は、弁護団が提出した2つの新証拠と再審請求審で開示された証拠により、完全に破綻した。

 ところが、2014年3月31日付で福岡地裁が出した決定は「請求棄却」だった。

 地裁決定は、科警研のDNA型鑑定については「証明力の評価に変化が生じた」として事実上、証明力を否定した。しかし、T目撃証言については、「厳島鑑定は供述の信用性を揺るがすものではない」「新証拠によって旧証拠の証明力や信用性が減殺されることはない」などとして、証拠能力を認めた。

 山道の下り坂カーブを走行中、わずか数秒間すれ違っただけで、運転者の髪形や詳しい服装から、「車体にはラインがなく、後輪はダブルタイヤだった」などという車の特徴までつかみ記憶していた、などという荒唐無稽な「証言」を、裁判官たちは「信用できる」と言うのだ。そんな裁判官たちの判断を私たちは「信用できる」だろうか。

 そのうえで地裁決定は、「DNA型鑑定以外の状況証拠を総合すれば、事件本人(注;久間さん)が犯人であることについて、合理的な疑いを超えた高度の立証がされていることに変わりはなく、新証拠はいずれも確定判決の認定に合理的な疑いを生じさせるものではない」と結論付け、再審請求を棄却した。

 さらに福岡高裁は18年2月6日、弁護団の即時抗告を棄却、最高裁も今年4月21日、「記録を精査しても、原決定(再審請求棄却決定)を取り消すべき事由は見当たらない」として、特別抗告を棄却する決定を行なった。

 弁護団は特別抗告で、2つの新証拠をめぐる論点だけでなく、高裁決定の憲法違反も指摘していた。福岡高裁の再審請求審では、裁判官3人のうち1人が、刑事裁判で死刑判決を出した一審・福岡地裁の審理に主任裁判官として参加していた。

 かつて自分が加わり死刑判決を出した裁判の再審請求に対して、ニュートラルな状態で審理に臨むことができるのか。裁判官は、もし再審請求を認めれば、自分が「無実の人に対する死刑」を命じた事実に直面することになる

 弁護団は特別抗告で、「これは憲法37条が定める〈公平な裁判を受ける権利〉に反する」と指摘し、憲法違反を主張したが、最高裁決定はこれについて判断を示さなかった

 この決定について、徳田弁護士は「決定文はわずか6ページ。ほとんど何も書いていないに等しく、これでは分析のしようもない。特別抗告から3年も経っており、最高裁は特別抗告を正面から受けとめて真摯に検討していると思っていたのに、弁護団の申立てに対してほとんど判断を回避した」と憤りをこめて批判した。

 それでも徳田弁護士は、第1次再審請求の到達点として、次の2点を挙げた。

 第1に、DNA型鑑定で久間さんの型が全く検出されなかったことが明らかになり、有罪判決の証拠の主たる柱の1つが破綻したこと。第2に、T目撃証言が捜査員に誘導されたものであることが明らかになり、その信用性が徹底的に揺らいだこと。

 それに、第2次再審請求では、警察が握りつぶしてきた真犯人につながる新たな目撃証言が加わる。この強力な新証拠を前に、裁判所は、司法が犯した「冤罪死刑」という取り返しのつかない過ちに目を逸らし続けることができるだろうか。(続く)

Last modified on 2021-09-15 11:03:30
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http://www.labornetjp.org/news/2021/0915yama

●山口正紀の「言いたいことは山ほどある」(2021/9/15不定期コラム)
検察による口封じ殺人? 死刑執行された冤罪――「飯塚事件の再審を求める東京集会」(オンライン)から(下)

 久間三千年(くま・みちとし)さんの死刑執行は、「口封じのための国家殺人」ではなかったか――「飯塚事件」の再審実現を目指して開かれたオンライン集会(9月4日)で、この事件の捜査をめぐり、「真犯人の目撃証言無視という新たな疑惑が指摘された。弁護団は7月に申し立てた第2次再審請求で「事件当日、被害少女2人と真犯人と思われる人物を目撃した」というKさんの証言を新証拠として提出した。驚くべきことにKさんは事件直後、犯人に直結するこの目撃を警察に通報したのに、福岡県警はこの決定的証言を調書も取らずに握りつぶしていた。事件発生から29年ぶりに浮上した真犯人の影。久間さんに対する見込み捜査に突っ走っていた警察は、「冤罪による死刑」だけでなく、みすみす「真犯人を逃がす」というもう一つの重大な罪も犯していた疑いが濃厚になった。


●「今にも泣きだしそうだった少女の顔」――鮮烈な29年前の記憶

 集会では、徳田靖之弁護士に続き、再審弁護団主任弁護人の岩田務弁護士が第2次再審請求の新証拠と第2次再審請求の課題について報告した。

 新証拠は、福岡県内に住む男性Kさん(72歳)が、「事件当日の1992年2月20日午前11時ごろ、飯塚市内の八木山バイパスを走行中、後部座席に小学生の女児2人を載せたワンボックスタイプの軽自動車を目撃した」という証言だ。

 その現場は、女児2人が行方不明になった場所に近接した場所。Kさんが弁護士に行なった陳述によると、問題の軽自動車は制限を下回る時速40キロ以下でノロノロ運転していた。その後ろについてイライラしていたKさんは、登坂車線で軽自動車を追い越す際、「こんな迷惑な運転をするのはどんな奴か」と思って運転席を見た。すると、「自分より少し若いくらい(30~40歳)の色白で坊主頭、細身の男性」が運転しており、後部座席には「オカッパ頭でランドセルを背負った女の子」が乗っていた。また、後部座席には「もう1人、女の子が横になっていて、その横にもランドセルがあった」――。

 しかし、Kさんはなぜ、そのような30年近くも前の古い記憶をはっきり覚えていたのか。そしてなぜ、今ごろになって「証言」することにしたのか。当然、検察側は突っ込んでくる。これについて岩田弁護士は、①記銘②保持③想起――の3点から説明した。

①〈記銘〉=なぜ記憶に残ったか。理由は、非常に強い印象を受けた出来事であったこと。後部座席に乗っていた女の子は「うらめしそうな」「うらさびしそうな」「今にも泣きだしそうな」表情をしていた。その異常な表情とともに、平日昼前の時間帯にランドセルを背負った子どもが車に乗っているのを不審に感じ、「誘拐ではないか」という思いを抱いた。さらにその夜、「飯塚市内で少女2人が行方不明」というニュースが流れ、「自分が見たのは行方不明の少女たちではないか」と思い、翌朝110番通報して目撃内容を伝えた

②〈保持〉=なぜ記憶を保ち続けたか。110番通報の1週間後、刑事が来て事情聴取を受け、目撃内容を詳細に説明した。ところが、刑事はメモをしただけで供述調書は取らず、その後何の連絡もしてこなかった。しかし、自分が目撃したのは被害少女と真犯人だと確信し、3年後の第1回公判を傍聴して直接確認した。すると、被告人は自分が目撃したのと全くの別人で驚いた。ただ、「DNA型鑑定が一致した」という検察官の冒頭陳述を聞き、自分が目撃した車は事件に関係がなかったのか、と思い直した。

③〈想起〉=なぜ今回、その目撃を思い出したのか。その後も事件について関心を持ち続けていた。2019年、『西日本新聞』が飯塚事件に関する特集記事を連載した。その中に、「DNA型鑑定が崩れた」という記事があり、「それなら、やはり自分が見たのは犯人だったに違いない」と思い、『西日本新聞』に連絡した。それが記事になり、徳田弁護から連絡があって、新証拠となる詳細な陳述書が作成された。その中で、弁護士にこう訴えた――「あの女の子の恨めしそうな表情が28年間、私を離してくれなかった」。


●第2次再審請求で問い直される「T供述」の信用性

 岩田弁護士は「Kさんが目撃したのが犯人であれば急転直下、真犯人の存在とともに久間さんの無実もはっきりする」と述べ、再審請求でK証言の果たす役割を解説した。

 K証言は、第1次再審請求の地裁決定がほぼ唯一の「証拠」とした「T供述」と真っ向から対立する。事件の2週間余り後、「不審なワゴン車を見た」と供述したT証言と、事件翌朝、「少女2人が乗った軽自動車を見た」と通報したK証言。2つの証言の信用性は表裏一体であり、K証言の信用性が強まれば、T供述の信用性は弱まる。

 しかも、T供述は犯行(被害少女)を直接目撃したものではなく、間接証拠に過ぎない。しかし、K証言は「被害少女2人を目撃した」というもので、直接証拠となる。

 この重要な手掛かりとなる目撃通報を受けた福岡県警は、直ちに捜査員を出して供述調書を取るべきなのに、1週間後に刑事が来てメモしただけで放置した。

 その一方、警察は久間さんに対する見込み捜査に走り、「久間=犯人」に合致する証拠集めに躍起になった。そうして作られたのが、「ワゴン車の詳しすぎる特徴」をはじめ、捜査員に誘導された痕跡が顕著なT供述だった。

 岩田弁護士は「第2次再審請求では、T供述の信用性が攻防の中心になる。全部目撃するのは不可能なほど膨大な情報を『目撃した』とするT供述を、裁判官は『誘導はなく、信用できる」と評価した。これをKさんの目撃証言を中心に、いろんな方向から崩していく。それが第2次再審請求の課題です」と報告を締めくくった。


●「久間三千年は無実です」――妻の悲痛なメッセージ

 岩田弁護士の報告に続き、再審請求人である久間さんの妻が集会に寄せた次のようなメッセージが紹介された。

 「久間三千年は無実です。私たち家族の幸せは、平凡な生活の中にあり、夫の優しさ思いやりは、日々の生活の中に満ちあふれていました。夫は一方的に犯人扱いされ逮捕、起訴され裁判にかけられました夫は終始一貫して無実を訴え続けてきました
 私たち家族は、夫を疑ったこともなく、理不尽な仕打ちを受けながらも夫が生かされていることだけを、心のよりどころとして、耐え続けてきました。突然の死刑執行に目の前が真っ暗になり何も考えられなく、途方に暮れました。
 無実を訴え続ける夫に殺人の汚名を着せて、命まで奪う国の法律があるとは、思ってもみませんでした。
 無実を訴え続け命まで奪われた夫の無念を晴らし名誉を回復するために再審請求をしましたが、最高裁での特別抗告も棄却されました。
 令和3年7月9日に、第2次再審請求をしました。
 どうしてなのでしょうか。終始一貫して無実を訴えている者の再審の審理は、無理なのでしょうか。すぐにでも裁判を受ける権利は平等にあるべきです。
 無茶なことを言っているのではなく、裁判が間違っているからやり直して欲しいと願っているだけです。公平な権利さえも与えられないのでしょうか。
 裁判所において、刑事裁判の目的は、「無罪の発見である」、被告人の人権保障にある。
 「百人の真犯人を逃がしても一人の無辜(むこ)を罰してはならない」とする考え方。
 刑事裁判は、憲法に保障されている人権を守るためにあると、ある書籍に書いてありました。このことを原点として裁判に臨んでいる裁判官もいらっしゃいます。
 検察官の職務についても「公益の代表者」と義務づけ、真相究明と同時に被告人の後見的役割を担う、とあり、法的用語や条文など解りにくいところは多いのですが、再審を願っているだけなのです。
 どうか、皆様方のお力添えを宜しくお願い致します。いつ、どんな時でも一人の人間が公平公正な裁きを受けられることを心から望んでいます。
 令和3年9月4日」


●「久間さんの無念を晴らす」――桜井昌司さんの連帯アピール

 続いて、布川事件冤罪被害者桜井昌司さんが連帯のアピールを行なった 「話を聞くたび、ひどい事件だと思います。東の足利、西の飯塚と言われ、DNA型鑑定で有罪にされた。しかし、久間さんは死刑が執行された何という国家だろうと思う。警察はなぜK証人にきちんと聴取しなかったのか。別の事件で警察は久間さんを疑っていたそうで、警察はひたすら有罪証拠をかき集めた。布川でも同じことがありました。

 T供述を検証した八丁峠の映像を見て思いました。現場は九十九折の山道で、道路の左側には溝があり、脱輪するかもしれない。そんな場所で、対向車がダブルタイヤだったなんてわかりっこない。こんなことを優秀な裁判官がなぜわからないのか

 日本の警察はこれまでも証拠を捏造してきました。そうして、どれだけの人が刑務所に入れられ、殺されてきたか。すべてが無責任です。冤罪事件で国家賠償しても、だれも懐が痛まない。そのお金も税金です。足利事件、布川事件、ゴビンダさんの事件東電事件)、東住吉事件だれもその責任を追及しない

 再審法を改正しないといけない。税金で集めた証拠を法廷に出すのは当たり前じゃないですか。久間さんの無念は必ず果たせると確信しています。必ず勝ちます。一緒にがんばりましょう。無惨に殺された人の無念を晴らす殺したのは誰か検察庁です

 桜井さんは1967年に起きた布川事件で杉山卓男さん(故人)とともに無期懲役刑が確定したが、2011年に再審無罪をかちとった。8月27日、この冤罪の責任を問う国家賠償訴訟の控訴審で勝利し、国・県は上告できず9月10日、勝訴が確定した。桜井さんは13日に会見し、「54年間ずっと背負っていた冤罪の重荷を下ろすことができた」と話した。

 だが、桜井さんの闘いは終わらない。国賠訴訟の一審勝訴後、直腸がんが見つかり、食事療法でがんと闘っている。そうして、冤罪と闘う全国の「獄友」の雪冤のために東奔西走する久間さんの無念を晴らす。それも、桜井さんの大きな目標の1つだ。(了)

Last modified on 2021-09-15 11:00:47
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●映画『BOX 袴田事件 命とは』で熊本典道さん役…《「法廷では裁判官自身も裁かれている」。自分で自分を裁こうとした日々…》

2021年01月14日 00時00分43秒 | Weblog

(2020年12月13日[日])
西日本新聞のコラム【春秋/袴田事件の元裁判官・熊本典道さん死去】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/670907/)。

 《▼2010年公開の映画「BOX 袴田事件 命とは」で熊本さん役は言う。「法廷では裁判官自身も裁かれている」。自分で自分を裁こうとした日々を想像する》。

   『●『美談の男』読了
   『●袴田事件: いい加減に誤まりを認めるべき
   『●作られた袴田冤罪事件、理不尽極まる漸くの初の証拠開示
   『●袴田事件、48年間のそれぞれの苦難……
      袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん
   『●袴田事件: 静岡地裁は「疑わしきは被告人の利益に」を
   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審:
                   司法の良心を示せるか?
   『●袴田事件・釈放!: 「捜査機関が重要な証拠を捏造した疑い」
               「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」

   『●映画「ザ・ハリケーン」と袴田事件:「冤罪事件を「絶対に忘れるな」」
    《ルビン・カーターさんが二十日亡くなった。七十六歳…
     デンゼル・ワシントン主演の映画「ザ・ハリケーン」のモデル
     といえば、思い出すだろうか▼一九六六年六月、
     米ニュージャージー州のバーで三人が殺された。現場近くを車で
     走っていたカーターさんが逮捕された。無実を訴えたが、
     有罪の評決が下り、八五年に釈放されるまで十九年間服役した。
     冤罪事件の背景には人種差別もあった袴田事件も同じ年同じ六月
     だった。同じ元ボクサー。獄中にあった袴田巌さん(78)は
     境遇の似たカーターさんが釈放された時、手紙を書いたという。
     「万歳万歳と叫びたい」。カーターさんの返事は
     「決してあきらめてはならない」だった》

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけには
     いかないのだ」▼袴田さんの無実を信じる人にとってはどうあっても狼に
     許されぬイソップ寓話(ぐうわ)の羊を思い出すかもしれない…
     検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか
     ▼事件から五十二年長すぎる旅である

   『●《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ…
       政権や検察に忖度した東京高裁、そして、絶望的な最「低」裁
    「NTVの【NNNドキュメント’18我、生還す -神となった死刑囚・
     袴田巖の52年-】…《今年6月、東京高裁が再審開始を取り消した
     「袴田事件」。前代未聞の釈放から4年半、袴田巖さんは死刑囚のまま
     姉と二人故郷浜松で暮らす》」
    「三権分立からほど遠く、法治国家として公正に法に照らした
     「司法判断」ができず、アベ様ら政権に忖度した「政治判断」乱発な、
     ニッポン国の最「低」裁に何を期待できようか…。
     《巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ」

   『●冤罪は晴れず…「自白を偏重する捜査の危うさ…
       証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題」
   『●袴田秀子さん《ボクシングに対する偏見…
      チンピラだっていうイメージ…その印象以外に何の証拠もなかった》
   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
           耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    「週刊朝日の記事【袴田事件で「捜査機関が証拠を”捏造”」 
     弁護団が新証拠の補充書を最高裁に提出 】」
    《静岡地裁の再審開始決定を取り消した東京高裁決定から、
     1年余りが経過した。死刑が確定した元プロボクサーの
     袴田巌さん(83)は最高裁に特別抗告中だが、弁護団はこのほど
     “新証拠”を提出した》

   『●《死刑を忠実に実行している》のはニッポンだけ…
       飯塚事件でも、《十三人の死刑執行》でも揺るがず…
   『●(ジョー・オダネルさん)「焼き場に立つ少年」は
     《鼻には詰め物…出血しやすい状態…なんらかの形で被爆した可能性》
    「関連して…青木理さん。ローマ法王来日に関して、もう一つの
     注目点は「死刑制度」。明日のミサに袴田巌さんを呼ばれている
     らしい。事実上の廃止も含めて国連加盟国の7割…死刑廃止が
     世界の潮流。存置派は、先進国でアメリカの一部の州とニッポンのみ。
     昨年も13人のオウム幹部を死刑…。死刑制度を考えるきっかけに」

   『● CD『Free Hakamada』の《ジャケットには、元プロボクサーの
          袴田さんが…名誉チャンピオンベルトを持った写真》
   『●《「袴田事件」で死刑判決を書きながら、後に「無罪の心証だった」
        と明かした元裁判官熊本典道さん》がお亡くなりになりました
    「袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん」

 《いまも、死刑囚のまま》な袴田巌さんと《「袴田事件」で死刑判決を書きながら、後に「無罪の心証だった」と明かした元裁判官熊本典道さん》、そして、袴田秀子さんと。

 免田栄さんについて、清水潔さんの4つのつぶやき:

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https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1335954617075519489

清水 潔@NOSUKE0607

確定死刑囚から一転し無罪となった免田栄さん。83年の釈放直後から何度か取材をさせてもらった。免田さんは逮捕時に木の伐採の仕事をしていた。その現場に2人で行ってみたことがある。すると彼が伐採した後に植林された杉が天に向かって延びていた。それは獄中にいた34年の間に育った大木だ。(続)

午後11:29 2020年12月7日
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https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1335954909091360769

清水 潔@NOSUKE0607

その木を見上げた免田さんは深いため息をついた。自身の失われた人生を見るような表情で。私は何回もカメラのシャッターを切った。34年の獄中生活で、その間いつ死刑が執行されるかわからないという恐怖。結果から見れば、それは国家の手による殺人行為になるところだったのだ。(続)

午後11:30 2020年12月7日
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https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1335955382737354752

清水 潔@NOSUKE0607

一方、死刑が確定したのになぜ34年もの長い間それを執行しなかったのか? それは検事が死刑執行起案書を書かなかったからだろう。無実を訴え、何度も再審請求を続ける人、証拠は脆弱。それを知っていた検事たちは執行が恐ろしかったのではないか。そんな免田さんを当局はそのまま放置したのだ。(続)

午後11:32 2020年12月7日
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https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1335956580056006656

清水 潔@NOSUKE0607

免田さんは、釈放されてから亡くなるまで37年間生きた。34年の拘置所生活より少しだけ長く娑婆で生きることができた。それは氏にとってせめてもの救いになっただろうか。国家による殺人を自力でひっくり返し、天寿を全うした免田さんの冥福を祈りたいと思う。

午後11:37 2020年12月7日
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 西日本新聞の記事【免田栄さん死去、95歳 死刑囚で初の再審無罪】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/670852/)によると、《1948年に熊本県人吉市で一家4人が殺傷された「免田事件」で死刑が確定し、死刑囚として初めて再審無罪となった免田栄(めんだ・さかえ)さんが5日午前、老衰のため福岡県大牟田市の高齢者施設で死去した。95歳。熊本県免田町(現あさぎり町)出身》…免田さんは、2020年12月5日にお亡くなりになったそうだ。
 《それを知っていた検事たちは執行が恐ろしかったのではないか。そんな免田さんを当局はそのまま放置したのだ》《免田さんは、釈放されてから亡くなるまで37年間生きた。34年の拘置所生活より少しだけ長く娑婆で生きることができた》《国家による殺人を自力でひっくり返し、天寿を全うした免田さん》。
 一方、急ぐ様に死刑にされた飯塚事件久間三千年(くまみちとし)さん。袴田巌さんは《いまも、死刑囚のまま》だ…。

   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ……に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
       侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?
   『●《首相の演説にやじを飛ばしただけで、警官に排除される時代…
              こんな「表現の不自由」な社会を誰が望んだ》?

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/670907/

春秋
袴田事件の元裁判官・熊本典道さん死去
2020/12/6 10:40

 元裁判官の熊本典道さんが先月病気で死去した。83歳だった。2007年にメディアに大きく取り上げられた

▼1968年に主任裁判官として書いた「袴田事件」(静岡県、一家4人殺害)の一審死刑判決について「無罪の心証を持ち判決文を準備したが、合議により」と告白した時のことだ。最高裁は評議の秘密をと批判した。世論は「裁判官の良心」と拍手した

▼佐賀県出身、九州大卒。<司法試験トップ合格。判決の翌年に自責の念から退官し、民事の弁護士になって年収1億円の年もあった>が、過去の重さからか<酒におぼれ、家族を失い…>(尾形誠規著「袴田事件を裁いた男」朝日文庫)。自殺も考えた時期を経て告白に至る

▼2010年公開の映画「BOX 袴田事件 命とは」で熊本さん役は言う。「法廷では裁判官自身も裁かれている」。自分で自分を裁こうとした日々を想像する

▼告白後は袴田巌さん(1980年に死刑判決確定)の再審請求を支援してきた。14年に再審開始決定が出され、釈放された袴田さんと18年に面会を果たした。福岡市内で病床にあった元裁判官は、じっと見つめ、「巌…」と声を絞り出した

▼その数カ月後に再審開始決定は高裁で取り消され、今は最高裁に特別抗告中。熊本さんは亡くなる1週間前に袴田さんの姉秀子さんの見舞いを受けている。「しっかりしなきゃ」と言われた。最期まで一緒に闘った
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●善良な市民には関係ない?? 死刑制度存置派驚異の8割の我国では全く揺るがず!?

2014年09月10日 00時00分43秒 | Weblog


asahi.comの特集【冤罪で死刑制度は揺らいでいるか』(http://webronza.asahi.com/national/2014072800004.html?iref=comtop_fbox_d2_02)。

 「絶えない冤罪で死刑制度は揺らいでいるのか」?・・・・・・死刑制度存置派が驚異の8割を占める我国では、死刑制度は全く揺るがず!? 善良な市民には関係ないとでも?? 裁判員制度で「死刑のスイッチ」を押すハードルが確実に下げられているのでは? ワタシャ、そんなもの押すのは嫌だね。

   『●袴田冤罪事件を機に死刑制度の再考ができない我国
   『●試料が無い!! DNA鑑定も杜撰なら、
           証拠保全も杜撰 ~冤罪死刑の飯塚事件~


 「法」に則り「粛々」と死刑執行を行っていった谷垣禎一法相は、内閣改造で幹事長へと交代した。さて、松島みどり新法相は?

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http://webronza.asahi.com/national/2014072800004.html?iref=comtop_fbox_d2_02

冤罪で死刑制度は揺らいでいるか

    (現役のボクシング世界チャンピオンとファイティングポーズを
     見せる元プロボクサーの袴田巌さん
     =2014年5月19日、東京都文京区)

2014年7月30日


 1966年に静岡県の一家4人が殺害された袴田事件」で死刑が確定した袴田巌さんに3月、静岡地裁が再審開始を認める決定を下し、袴田さんは釈放された。80年代に死刑囚の再審開始が、48年の免田事件、50年の財田川事件、54年の島田事件、55年の松山事件と相次ぎ、社会的に注目を集めた。自白を強要した警察・検察は反省を強く迫られ、物証を重視する捜査を徹底したはずだったが、97年の東電OL殺人事件では無期懲役が確定したネパール人男性がDNA鑑定で無罪になった。郵便不正事件では物証が改ざんされ、遠隔操作ウイルス事件ではIPアドレスのみを証拠にして4人が誤認逮捕された。絶えない冤罪で死刑制度は揺らいでいるのか。



死刑囚1割無実なら執行一旦停止は7割――治安の世論調査(2014/07/30)』(河合幹雄)http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/2014072300002.html?iref=webronza

 2009年末の内閣府調査によると、死刑を「やむをえない」と容認する者が85.6%と過去最高になったとの報道が2010年2月にマスコミ各紙から流された。これに対しては、質問調査の仕方、報道の仕方の両方に問題があって、さすがに反論も取り上げられた。おそらく日本人は、死刑制度について単純に尋ねれば「どちらかといえば」賛成も含めた賛成が7割台で、明確に賛成する者は4割台と、こちらは過半数を切っている。内閣府の調査でも、「将来も死刑を廃止しない」は6割かつかつであった。

 これだけでは状況の判断が正確にできない。2012年の「治安に関する特別世論調査」において、「最近の治安は悪くなったと思う」と、間違って認識しているものが84.3%もいることを重視して、正しい情報が与えられるほどに、死刑の賛成者は減少するという仮説のもと、文科省科学研究費を獲得し6人で共同調査しているところである。「刑罰と犯罪防止――厳罰化と死刑の効果を信じる人々はどうすれば意見を変えるのか」が正式な課題名である。

 犯罪者と刑罰について知識と経験が増すほどに、死刑と厳罰化を否定するようになることは経験則的には知られており、既に佐藤舞などの先行研究もある。しかし、犯罪状況、刑罰の抑止効果の測定、犯罪者の境遇などの知識を与えても、死刑制度賛成者の比率は、確かに減少するが半分は切らない。諸外国でも、ほとんどの国で死刑廃止になっているのだが、どの国でも世論調査すれば、存置論がやや優勢である。

 討議型の調査も検討する中で、仮説として浮上したのは、人々が死刑制度について考えるとき、極端な凶悪犯の処遇をどうするかということのみを考えており、冤罪の可能性についてはあまり考えていないのではということである。

 そこで、今春の全国意識調査で、「仮に、現在の日本の死刑囚の10%(13人)が無実だとわかった場合の死刑執行の存続」について尋ねたところ、7割が「いったんやめる」と回答・・・・・・・・・



パソコン遠隔操作事件で考えた冤罪と可視化(2014/06/24)』(小俣一平)http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/2014062300002.html?iref=webronza

 パソコン遠隔操作事件で、威力業務妨害などの罪に問われた片山祐輔被告(32)の第11回公判が6月20日、東京地方裁判所(大野勝則裁判長)で行われ、片山被告になりすまされ、遠隔操作をしたとして誤認逮捕された三重県津市の29歳の男性が証人として出廷した。

 この中で、被害者の男性は逮捕された際、「認めたほうが早く家に帰れると考えたが、家族の説得で否認を貫いた」と証言した。例え無実の罪で拘束されていても、「罪を認めてしまうかもしれない」人間の弱さをリアルに証言していて、これまでにも多くの罪なき人々が同様にやってもいないにも関わらず、逮捕、起訴されたであろうことを想像させた。

 この事件は、インターネットを駆使した21世紀型の特異な犯罪の一つである。「なりすまし」という行為が、パソコン1台あれば簡単にできてしまうことが驚愕をもって受け取られると同時に、「今日は人の身、明日は我が身」であり、「対岸の火事」と眺めていられない戦慄を多くの人たちに与えたことは難くない。だからこそ、片山被告が主張する「私も被害者」はどことなく説得力があったし、冤罪事件で実績のある弁護士もベテランのジャーナリストも彼の言葉に耳を傾けた。その顛末を振り返ってみた。

 5月20日、片山被告が、「自分が真犯人だと自供した」と伝えられた直後、編集者から感想を訊ねられた。

 「驚きもせず、呆れもせず、笑いもせずっていうところですかね」というのが、口をついた第一声だった。

 「驚きもせず」と思ったのは、これまでの新聞・テレビの報道、毎週届く雑誌の特集記事などを読んできて、江ノ島、雲取山と奇妙に一致する偶然や片山被告が勾留されている間は「真犯人」の動きがピタリと止まり、保釈されると動きが出てくる状況に、「被告の抗弁には無理がある」と、人より幾分長く事件記者として過ごしてきた体験から強く感じていた。

 それ以上に、4人もの無関係な男性を誤認逮捕し、警察庁長官が謝罪までした、その後の逮捕が同様に誤認であれば、長官はもちろん関係幹部は軒並み辞表モノで、組織第一の警察が絶対的な自信無くして、「5人目の逮捕」という危険な賭けに出るはずもなく、またそんな逮捕を検察が容認するはずもないという発想があった。

 もう一つは、東京地検特捜部の検事が投入されことを知り、かつて日本共産党国際部長宅盗聴事件の告発を受けた特捜部が、神奈川県警による組織ぐるみの犯行だと突き止めた実績を思い出したことによる。特捜検事投入は、「乾坤一擲」の勝負だと見定めるのも、かつての “検察担当記者”的発想に他ならないのではあるが。

 「呆れもせず」は、表現に気をつければ、「パソコン偏愛者」もひとつ道を踏み外せば、「魔法の箱」を悪用するのだろうという認識が織り込み済みだったからだ。

 「笑いもせず」は、片山被告を弁護し続けたジャーナリストたちの存在である。弁護士は、弁護活動の途中で、依頼人が真実を語っていないと思っても、依頼人の不利になる弁護活動をすることは禁じられている。職業上ある種の運命共同体として、擬似当事者となるケースもあるので、それほど驚くべきことではない。

 一方、片山被告の”冤罪“を主張してきたジャーナリストたち、あるいはその論調に相乗りしたメディアはどうか。彼らは、結果として、・・・・・・・・・



少年死刑確定:誰が反省不十分なのか(2012/02/23)』(河合幹雄) http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/2012022200004.html?iref=webronza

光市事件少年の死刑が確定した。残念なことに最高裁は是正する勇気がなくマスコミの反省は不十分である。少年事件や刑事裁判のイロハを勉強していれば、この事件が死刑でないことは常識の部類と考える。この私の意見を聞いて驚いた方が多いのではないかと推察する。それもそのはず、報道された事件と、実際に記録などにあたってみた事件とは、まるで別事件。BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会は、2008年4月15日決定第04号「光市母子殺害事件の差戻控訴審に関する放送についての意見」において報道内容と経緯を詳細に検討したうえで言葉を極めて報道機関を批判した(HPからダウンロードできる)。遺族と加害者の背景を丁寧に記述した門田隆将の『なぜ君は絶望と闘えたのか』も参照して欲しい。いずれにせよ報道ベースで事件を知っているつもりであれこれ考えるのはやめたほうがよい。長々と事件をなぞるわけにもいかないので二点だけポイントを挙げておく。

 少年にとって最も重要な体験は、自殺した母親の死体の脇に自分がひとりぼっちで取り残されたことであったろう。殺してしまった母親の脇にとりのこされた赤ん坊によって、同じような状況を、再現してしまった。少年にとって、その赤ん坊は「自分」だったはずである。裁判の事実認定で、発覚を防ぐために赤ん坊を殺したというのは、死刑という結論に無理にもっていくための後付けの理屈のように思える。少年は、何をしているのか自分でわからない状態だったであろう。

 第二点。少年の手紙などが公開されているが、非行少年を扱った経験者の共通認識は、次のようなものである。強がる少年は、・・・・・・・・・



死刑制度を残しつつ執行しないのが理想だ(2011/12/29)』(河合幹雄)http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/2011122800005.html?iref=webronza

●死刑制度について論じる前に情報の共有を

 2011年は死刑執行がゼロとなるようである。国民の合意形成が不十分ななかでの執行停止は正しい判断であろう。なにしろ、日本人が治安の良さを誇っていた1970年代に比較して、現在の殺人事件の死者数は約半分に減少している。それなのに死刑判決が何倍にも増えているのは、国民が治安が悪化したと勘違いさせられているからであろう。議論を開始するに当たって、犯罪状況と死刑執行自体についての正確な情報提供が必要であると考える。

 以下、年内執行ゼロの意味から、死刑について一言したい。年内に死刑執行がなく、年末押し迫って執行されることがこれまであった。本年もそう予測していたが、そもそも、これはなぜだろう。年ごとの統計にゼロと出さないというより、昨年は死刑がゼロだったというニュースを出させないためであろう。

 だとすれば、これはいわゆる見せしめのための刑罰であろうか。殺人事件を網羅的に検討すれば、殺人犯たちが死刑を恐れて犯罪を思いとどまるなどということは、およそ期待できないことは間違いない凶悪犯罪の防止という最も大切なはずの目的に役立たないのに、なぜ死刑執行があるのであろうか。

 意識調査を検討してみると、犯罪抑止効果がないことは日本国民も理解しているようである。それにもかかわらず、死刑制度は存置しておきたいという結果が出ている。そもそも、日本においては、凶悪事件に遭う心配はしなくてよい。テレビ新聞の報道に惑わされないで考えて見ればわかる。

 私は、犯罪状況について講演で話すとき、聴衆にこう聞いてみることがある。

 「皆さんの知り合いのなかで、最近何人殺されましたか? 増えていますか?」

 会場には笑いがもれる。日本人の多くは、一生のうちに知人が殺人事件で亡くなる話を聞くことはない。凶悪事件も死刑も現実的な事柄ではないのだ。命が大切なら事故や病気に気をつければよいのだ。

 では現実の話でなければ何なのか。儀式のような象徴的なものと考えざるを得ない。人々が、死刑に参加したり、執行のされ方を詳しく知ろうとしてこなかったことからみると、刑罰を加えることよりも、それで安心したい欲求が勝っているように思われる。客観的な安全のためには様々な殺人事件について知りたいところだが、実際には、極めて少数で特異な事件について大量の報道がなされる。これは、人々がわかったつもりになりたい欲望に、報道機関が正直に答えているのであろう。

 社会学は、刑罰は秩序感を守るためにあると考えてきた。つまり、人々にとって、死刑は、悪事を働けば厳しい刑罰が待っているという象徴なのだ。日本では、これに安心感の回復と付け加えてよいと思う。換言すれば、死刑が廃止されると、なにか怖いの


 以上のような状況を前提に、それにマッチングした制度を考えれば、・・・・・・・・・
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●「曽野綾子とは何か」 『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号)についてのつぶやき

2014年01月27日 00時00分40秒 | Weblog


週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号)について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge。

 今週のブログ主のお薦めは、石坂啓さん【初めて老いった!?/第74回 簡単じゃなかった審査員】、【さらん日記 by さらん】「「九電前テント様」・・1000日記念の集い」。

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■①『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号) / 大胆?な表紙とタイトル「曽野綾子とは何か/ウソと説教をばらまくベストセラー作家」。佐高信さん【それでもベストセラー「作家」 曽野綾子というチッポケ】。(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/347b9c668026050744aeca668118f26a

■②『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号) / 横田一さん【2月9日の投票へ向け、東京都知事選がスタート 「脱原発知事」誕生なるか】、「・・両陣営との差異を鮮明にして、前回票(約97万票)の上乗せをめざす宇都宮陣営の闘いも注目」。脱原発派が敗れた時の宇都宮健児さんへの批難が怖い(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/eb6f5b48605f2d6df539290d1e636ef5

■③『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号) / 野間易通氏【4年ぶりに埼玉県蕨市で行われた排外主義デモに抗議 ヘイトスピーチを許すな!】、「今回大きく違っているのは、排外主義デモに大声でNOを言う人が大量に現場にいたこと」。恥ずべき行為(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/e4fff2e56d3ac71449d6db42a0892483

■④『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号) / 小石勝朗氏【静岡で冤罪支援集会に350人結集】、「集会では・・免田事件免田栄さんと島田事件赤堀政夫さんらが激励のあいさつ」。袴田事件。DNAや履けなかったズボンの「タグの「B」」など、冤罪の証拠の数々(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/f78eeef9b0e5b30d7331e6bdf73ee333

■⑤『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号) / 藍原寛子氏【南相馬市長に桜井氏が再選 脱原発と生活再建を】、「NO NUKES・・のバッジをつけた無所属の現職・桜井勝延氏・・が次点に約6000票差をつけ・・再選・・「これほど差がつくとは・・」」。名護市長選へと良い結果がつながった

■⑥『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号) / 【さらん日記 by さらん】(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/3d607b9bafe8852d526d01f5aecd27a1)、「「九電前テント様」で郵便物が届くように・・テントは小さくても へたに再稼働できない世の中を作り続けている・・1000日記念の集い・・国が人を変えるんじゃない 人が国を変えるんだ」

■⑦『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号) / 野田大樹氏【沖縄の民意は新基地にNO! 名護市長選現職・稲嶺進氏が制す】。ホントに目出度いニュース。徳俵に足が・・自公政権の暴走を止めないと(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/fdc6a10535a8a00886c61fd0d4f9afd3

■⑧『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号) / 取材班【情報保全諮問会議の座長に渡邉恒雄氏(87歳)を据えた官邸の思惑】、「よりによって彼が座長とは・・露骨な政府・与党よりの人事」。首相の行為はいまに始まったことではないけれども、受ける方にも大問題(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/1831b486746ec8d5ac063821253c3810

■⑨『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号) / 【西川伸一の政治時評/舛添氏が当選しその得票より細川・宇都宮両氏の得票が上回る――これが最大の悪夢】。きっとその時批難されるのは宇都宮氏側だ・・小泉氏の「分断工作」に迂闊にも乗った人たちによって(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/eb6f5b48605f2d6df539290d1e636ef5

■⑩『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号) / 【竹信三恵子の経済私考/非正規増やせば「ベア」負担 「賃上げショー」で景気は上向くか】、「「賃上げショー」に喝采を送っている場合ではない」。「ベア」と「アベ」 。法人税減税と消費増税、アホらしい(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/d435ba4950c1d381994c047fc001d0d9

■⑪『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号) / 高須基仁http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/6787daeafd7aa520847d00b8a010f9c7)氏【高須芸能2/エセ右翼文化人の裸の王様だった やしきたかじん】、「改憲を声高に語り、・・〝ヘイト・スピーチを助長する一大勢力の愛国番組へと進化し続けていた」

■⑫『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号) / 高嶋伸欣氏【鮮明な安倍寄り姿勢 『読売』『産経』の紙面を教室での審判に晒す】、「NHK・・まるで安倍晋三首相の「御用放送」のようだ」。「アベ様のNHK」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/c9a759a82abbe73d74832c3e55fe888d。そして座長様(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/1831b486746ec8d5ac063821253c3810

■⑬『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号) / 石坂啓さん【初めて老いった!?/第74回 簡単じゃなかった審査員】、「審査員は誰がいるのかを尋ねた・・「サイトウタカオ先生も・・」・・斎藤貴男さんか、いいじゃん!と即決。硬派なジャーナリストでいらっしゃるけど、・・」

■⑭『週刊金曜日』(2014年1月24日号、976号) / 石坂啓さん、「・・『梶原一騎伝』なども書かれていて実はマンガにも造詣が深い。・・そうです・・貴男君じゃなかったのです。あの、度級に有名な大先生の、・・「さいとう・たかを先生」のことだったのです・・」。斎藤「貴男君じゃなかった」!!(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/485e5c3d313d2e5a70e11a39ccb66dbd
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●飯塚事件の久間三千年さんと福岡事件の西武雄さん

2013年10月25日 00時00分14秒 | Weblog


西日本新聞の記事【「えん罪の実例知って」 玉名市で再審無罪の米国人講演 [熊本県]】(http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kumamoto/article/47235)。

   『●冤罪死刑囚の死を待ち、責任を逃れようとする冷酷な人々
   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず

 名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さん・・・・・・冷たい国の冷たい司法は・・・・・・。

 飯塚事件久間三千年さんと同様、冤罪で死刑にされてしまった福岡事件西武雄さん。取り返し様のないことを司法はしてしまったのではないか?

   ●『冤罪File(2010年3月号)』読了
   
     「2008年10月28日、無実を訴えながら死刑執行された
      久間三千年(くまみちとし)さんに対する「殺人問題」、
      取り返しのつかない、その手遅れな再審にも重大な影響」
     「池添徳明氏「コラム/「福岡事件」題材に裁判員裁判劇/
      関東学院大生ら無罪評決」(pp。68-69)。博多駅近く。
      一審段階で戦後初めて死刑判決が言い渡された事件。
      射殺を認めた石井氏は1975年に恩赦で無期懲役に減刑、その後、
      仮釈放。西武雄さんは「一貫して容疑を否認し無罪を主張したが、
      石井さんに恩赦減刑の決定が伝えられた同じ日に、
      死刑が執行された」。熊本県玉名市の生命山シュバイツァー寺、
      古川龍樹代表」

   『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない
    
     「免田事件財田川事件狭山事件片岡晴彦さん高知白バイ事件
      布川事件氷見事件袴田事件名張毒ぶどう酒事件足利事件
      三井環さんの事件、毒カレー事件など職業裁判官の怠慢の例は
      数え上げたらきりがありません。ましてや、福岡事件西武雄さん
      飯塚事件久間三千年さんといった無罪な人を死刑・私刑にして
      しまった可能性(控え目に表現しています)さえあります。村木厚子さん
      志布志事件の裁判結果などは極々稀な例です」

   『●東電OL殺人事件元被告マイナリさん、冤罪15年間への償いはできるのか?
  
     「▼〈叫びたし寒満月(かんまんげつ)の割れるほど〉の一句を思い出す。
      無実を訴えながら死刑を執行された西武雄さんが獄中で詠んだ」

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http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kumamoto/article/47235

「えん罪の実例知って」 玉名市で再審無罪の米国人講演 [熊本県]
2013年10月20日(最終更新 2013年10月20日 00時07分)

 福岡市で1947年に2人が殺害された「福岡事件」の再審を目指す活動を進めている玉名市立願寺の生命山シュバイツァー寺(古川龍樹住職)で19日、誤った刑事裁判や再審制度の問題点について考える講演会があった。米国で殺人罪に問われ再審で無罪になったフェルナンド・バミューデズさんとカーティス・マッカーティさんが、それぞれ体験を語った。

 バミューデズさんは、虚偽の目撃証言を基に銃殺事件の被告として有罪判決を受け、2009年に無罪になるまで18年間服役した。講演では「警察や検察は誤りを防げたはずなのに、正しい捜査をしなかった。人間は誤る。無実の人が苦しまないよう、実例を伝えていきたい」と話した。

 マッカーティさんは検察官の証拠隠しや虚偽鑑定が証明されて死刑判決が覆り、07年に釈放された。「(誤った判決のため)真犯人が処罰されなければ、被害者がさらに被害を受けたことになる」と訴えた。

=2013/10/20付 西日本新聞朝刊=
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●「疑わしきは罰する」名張毒ぶどう酒事件、あ~っため息が・・・

2012年05月31日 03時37分55秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012052502000260.html)と社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012052602000131.html)。裁判員制度への過剰な期待らしきものがうかがえる点は残念ですが、優れた社説だと思いました。

 名張毒ぶどう酒冤罪事件の第7次再審請求差戻審で、またしても、名古屋高裁は開きかけた扉をあっさりと閉じてしまった。本当にまじめに新証拠の審査を行っているのか? 奥西勝死刑囚は無実の罪で囚われ、すでに86歳だそうだ。警察や裁判所の罪を糊塗したままで、冤罪は続いていく。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012052502000260.html

名張毒ぶどう酒事件 奥西死刑囚の再審認めず
2012年5月25日 夕刊

 三重県名張市で一九六一年、農薬入り白ぶどう酒を飲んだ五人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」の第七次再審請求差し戻し審で、名古屋高裁刑事二部(下山保男裁判長)は二十五日午前、弁護側が提出した新証拠は「毒物がニッカリンTではないことを示すほどの証明力はなく、確定判決に合理的な疑いは生じない」として、検察側の異議を認め、奥西勝死刑囚(86)の再審を開始しないと決定した。いったんは再審を開始すると判断した名古屋高裁刑事一部の決定(二〇〇五年)を取り消した。 

 今回の決定により、死刑執行の停止は取り消された。弁護団は決定を不服として五日以内に最高裁に特別抗告する。棄却されれば第八次再審請求も検討するが、奥西死刑囚の年齢から今回が事実上「最後の再審請求」と位置付けている。事件発生から五十一年、再審の扉が開かれるのは相当難しくなった。

 差し戻し審の争点は、毒物が当初の自白通りニッカリンTか否かだった。高裁はニッカリンTを再製造し、最新機器で鑑定した。

 決定は、ニッカリンTなら含まれるはずの副生成物が「エーテル抽出」という工程の後には検出されなかった点を重視した。

 弁護側は、エーテル抽出の前段階では、副生成物が検出されたことから「毒物はニッカリンTではなく別の農薬だ。自白が根底から崩れた」と主張していた。しかし、下山裁判長は、飲み残しのぶどう酒から副生成物が出なかったのは、「(水と化学反応する)加水分解の結果、検出されなかった余地がある」とし、検察側の主張通り「毒物がニッカリンTでなかったとまでは言えない」と認めた。

 ただ「加水分解した」との理由は、検察側も主張していない。それでも下山裁判長は、当時の鑑定は事件から二日が過ぎ、出るはずの副生成物が加水分解してほとんど残らなかった、と推論した。

 奥西死刑囚は逮捕後、全面的に自白を翻したが、下山裁判長は「請求人以外に毒物を混入した者はいないとの判断はいささかも動かず、自白は十分信用できる」と判断した。

 刑事裁判の原則「疑わしきは被告人の利益に」が再審にも適用されるべきだとした最高裁「白鳥決定」(一九七五年)以降、死刑囚の再審が開始されたのは財田川、免田、松山、島田事件の四件。開始決定がいったん取り消された免田事件も含め、いずれも再審で無罪となっている。

 第七次再審請求は、〇五年に名古屋高裁刑事一部が「ニッカリンTを入れたとの自白の信用性に疑問が残る」として再審開始を決定したが、〇六年に高裁二部が取り消し。最高裁は一〇年に「毒物の審理が尽くされていない」として、高裁に審理を差し戻した。

<名張毒ぶどう酒事件> 三重県名張市葛尾の公民館で1961年3月28日夜、地元の生活改善グループの懇親会で、白ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡、12人が中毒症状を訴えた。死亡の5人は奥西チエ子(34)、北浦ヤス子(36)、奥西フミ子(30)、新矢好(25)、中島登代子(36)=敬称略、年齢は当時。奥西勝死刑囚は「妻(チエ子)、愛人(北浦)との三角関係を清算しようと、農薬を入れた」と自白し、翌月3日、殺人容疑で逮捕された。その後、否認、自白を繰り返し、公判では完全否認した。
 64年の津地裁は無罪、69年の名古屋高裁は死刑。一審無罪から二審の逆転死刑は前例がなかった。72年、最高裁が上告を棄却し、死刑が確定した
 確定判決では、奥西死刑囚は公民館で1人になった10分間にぶどう酒のふた(王冠)を歯で開け、茶畑で使うために買ってあった農薬「ニッカリンT」を混入したとされた。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012052602000131.html

【社説】
名張毒ぶどう酒事件 再審認めず 疑わしきは罰するなのか
2012年5月26日

 名張毒ぶどう酒事件の再審を認めなかった決定には、深い疑問が残る。証拠を並べてなお分からないのなら、推定無罪の原則に従うべきではないか。
 奥西勝死刑囚を最初に裁いたのは津地裁だった。
 裁判員になって法廷にのぞんだつもりで証拠を見てみると、こんなふうになる。

裁判員の目で見れば
 ▽ぶどう酒の王冠に付いた歯形は、鑑定では誰のものかはっきり分からない。
 ▽その王冠自体、事件当時のものとは違うらしい。
 ▽農薬を混入する機会は、奥西死刑囚以外の人にもあった。
 ▽「自白」はある。動機は妻と愛人の三角関係を清算するためという(その後、全面否認)。
 ▽自白にあった、農薬を入れてきた竹筒は見つかっていない。

 証拠をこうしてずらりと並べてみると、裁判員はその中身の乏しさ、あいまいさに、もちろん気づくだろう。
 いくら、捜査段階の詳細な「自白」があろうとも、有罪にはできまい。
 合理性をもって、彼以外に真犯人はありえないとは言えない。ましてや、死刑事件でもある。一審の津地裁は、当然ながら無罪判決を下した
 捜査が甘かったのである。当時は、まだ自白が「証拠の女王」などと呼ばれていた。自白は極めて重視されていた。
 だが、二審の名古屋高裁は一転、有罪とした。王冠について新たな鑑定をしたが決定的な知見はなく、一審とほぼ同じ証拠を見て、有罪とした
 迷走の始まりである。
 死刑囚は判決の前の日、前祝いの赤飯を食べた。家庭で最後に口にした母親の手料理となった。
 死刑囚はひとりぼっちで再審の請求を繰り返した。途中からは弁護団もでき、七度目に名古屋高裁は再審の開始を認めた
 毒物について、自供したニッカリンTではなかった疑いがあるとした。何と、凶器が違っていたかもしれない、ということだ。
 裁判を見直す大きなチャンスだった。しかし、扉はまた閉じられた。同じ高裁の別の部が、同じ証拠を見て検察の異議を認めた

冤罪生む自白の偏重
 事件から四十六年もたって、裁判は最高裁にもちこまれた。だが自ら判断せず、農薬について「科学的な検討をしたとはいえない」と言って、高裁にさし戻した。
 そして、再審を開始しないという昨日の決定となる。「毒物はニッカリンTでなかったとまでは言えない」とし、検察の主張を支持した。
 死刑判決以降の裁判を振り返ると、検察側の物証を弁護側が何度崩そうとしても、裁判所は結局、有罪としてきた。頼りにしたのは、いつも「自白」である。
 だが、自白の偏重が数々の冤罪(えんざい)を生んできたのは、苦い歴史の教えるところだ
 刑事裁判では、検察が有罪を証明できないかぎり、無罪となる。裁く立場からみれば、「疑わしきは被告人の利益にという刑事裁判の鉄則である。
 昨日の高裁の決定は、弁護側が出した証拠では検察の主張を崩せないという論法である。検察が主張していないことまで裁判官が推論し、有罪とする根拠を補強している。
 これでは、まるで「疑わしきは罰する」になってはいないか
 最高裁は再審でも「疑わしきは被告人の利益に」の原則があてはまると言っている(白鳥決定)。それなのに、反対の考え方で再審の扉を閉ざしたように映る。
 裁判員裁判の時代である。取り調べの可視化や、全面的な証拠の開示の必要性が叫ばれている。それは、これまでの誤った裁判の反省から出ているものである。
 今回の決定は、そうした時代の要請に逆行している。毒ぶどう酒事件から半世紀余。「自白」の偏重は一体いつまで続くのか。今の基準で考え直せないか。
 弁護団は特別抗告する。最高裁は今度こそ自判すべきである
 死刑囚は八十六歳。冤罪が強く疑われた帝銀事件の平沢貞通画伯のように、獄中死させることがあってはならない。

司法も裁かれている
 私たちメディアも反省すべきことがある。自白偏重の捜査取材に寄りかかった当時の犯罪報道だ。犯人視しない報道への努力は、不断に続けているが、奥西死刑囚を犯人視して報じたという事実は消せない。
 奥西死刑囚の獄中生活は、確定囚で二番目に長い。もしも死刑判決が冤罪であったのなら、それは国家の犯罪というほかはない。奥西死刑囚だけでなく、司法もまた裁かれていると考える。
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●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない

2010年12月11日 00時18分25秒 | Weblog

asahi.comからの記事をコピペ。

 『死刑のスイッチ』を押さなかったという安堵の半面、「遺族の方には申し訳ない」といった贖罪的な意識を持ってしまう、その裏返しとして、「証拠が不十分だった」といった被告人への猜疑的な心理の醸成・・・やはり裁判員制度には問題が多すぎるでしょう。〝素人〟裁判員にはあまりに過酷過ぎます。何度もいいますが、訓練を積んだ〝プロ〟としての職業裁判官がやるべきことです。たとえ〝プロ〟であっても、『死刑のスイッチ』を押すことに戸惑いのない〝プロ〟の職業裁判官はいないはずで、私は死刑存置には反対です。〝素人〟裁判員などまっぴら御免で、裁判員制度など即刻廃止すべきだと主張します。〝プロ〟としての職業裁判官だった熊本典道さんの苦しみを我々も理解すべきだと思います。熊本さんには、「死刑判決に4回関わり、そのすべての死刑囚と東京拘置所で面会したエピソード」があるそうですが、冤罪死刑囚の袴田巌さんと比較することは不適切でしょうが、袴田事件の死刑判決であれほど苦しんだのです。
 公判前整理手続き取調べの不透明さ、証拠開示上の不利など、公平で正確な裁判を受ける被告の権利を考えても問題が多すぎる制度です。
 今回無罪判決が出たことは、裁判員制度の導入に何らかの「意義があったと誤解されかねません。上記の通りで、何の意義もないです。さらに、本来、これまでの〝プロ〟としての職業裁判官がこういった裁判において公正な裁判をせずに、「無罪判決」を出してこなかったことに問題点があったわけで、ようは怠慢だったわけです。刑事裁判の原則を無視し、今回もその疑いがあるのですが証拠の捏造を見抜けず、あるいは、意識的に見逃すなどの怠慢があったわけです。熊本典道さんは「検察から届く拘留請求の、なんと3割を却下した」そうですが、そのような裁判官は極々稀な例です(「裁判長ってどんな人?」)。免田事件財田川事件狭山事件片岡晴彦さん高知白バイ事件布川事件氷見事件袴田事件名張毒ぶどう酒事件足利事件三井環さんの事件、毒カレー事件など職業裁判官の怠慢の例は数え上げたらきりがありません。ましてや、福岡事件西武雄さん飯塚事件久間三千年さんといった無罪な人を死刑・私刑にしてしまった可能性(控え目に表現しています)さえあります。村木厚子さん志布志事件の裁判結果などは極々稀な例です。今回の無罪判決、「裁判員制度の導入に意義」があったわけではないです。誤解されては困ります。

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http://www.asahi.com/national/update/1210/TKY201012100271.html

裁判員「中立の立場からこうなった」 鹿児島・無罪判決
                               
2010年12月10日13時35分

  「遺族の方には申し訳ないと思うが、証拠が不十分だったことが一番の原因」「中立の立場から、こうなった」
 鹿児島市の老夫婦殺害事件の評決に参加した6人の裁判員全員と補充裁判員2人の計8人は判決言い渡し後、記者会見に臨んだ。40日間の長期の裁判を振り返り、無罪判決に至るまでの思いを語った。
 一礼して着席した8人の表情はみな硬く、マイクを通しても、声が聞き取りにくい。
 冒頭、死刑の求刑で無罪が言い渡されたことをどう受け止めるかを尋ねられると、「判決通り。それだけだ」「同じく」「判決文の中に全部出ていると思います」。8人は言葉少なだった。
 法廷で行われた10日間の審理では、裁判員が被告人や証人に直接質問する場面がなかった。このことを問われると、裁判員の一人は「素人ですので。言葉がすごく大切。質問の仕方によっては検察に有利になったり、弁護側に有利になったりする。難しいので裁判官に任せた」。別の裁判員は「質問はけっこうあったが、内容の言葉は難しくて言い方一つで、どうとでもとれる。やっぱり慣れている方にお任せしようと判断した」と答えた。
 遺族の極刑への思いはどう受け止めたか――。その質問への裁判員の答えは様々だった。
 
 「遺族の方には申し訳ないと思いますが、証拠が不十分だったことが一番の原因」、「証拠に基づいて考えなければいけない。中立な立場で話をした」、「公正な立場で判断した。疑わしきは被告人の利益に、ということがありますので」。
 40日間の長期の裁判については、「家族にも迷惑をかけた。仕事上でも大変だった」との声があった一方で、「あっという間だった」「不安があったが、家族にも支えられた」などの感想も聞かれた。
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●『冤罪File(No.10)』読了

2010年11月20日 00時28分16秒 | Weblog

冤罪File』(冤罪ファイル)(No.10)、11月に読了。2010年6月号。

 「冤罪で苦しむ人たちを支えたい」(pp.2-5)。足利事件の菅家さん。三人の裁判官が謝罪。集う冤罪事件の関係者の皆さん。「布川事件」の桜井昌司・杉山卓男さん、「東電OL殺人事件」、「富山・氷見事件」の柳原浩さん、「仙台・北稜クリニック事件」の守大助さんのご家族、「狭山事件」の石川一雄さん、「免田事件」の免田栄さん、「袴田事件」の袴田巌さんの姉・秀子さん、「名張毒ぶどう酒事件」の奥西勝さんの支援者の皆さん。

 映画『BOX 袴田事件 命とは』の高橋伴明監督インタビュー(pp.8-19)。裁判員制度熊本典道さんの苦しみ。「マスコミが作り上げた冤罪事件も少なくないと思います」。

 裁判員制度は冤罪を見抜けるか? 「・・・絶対に無実の者を罰しないこと。刑事裁判の目的は「無罪の発見」にあるといわれる。/・・・さまざまな原則が定められている。裁判官の「予断排除の原則」、被疑者・被告人の「黙秘権」、有罪の立証があるまで無罪と推定される「無罪推定」、起訴された犯罪事実の存否が不明な場合の「疑わしきは罰せず」・・・」(p.31)。

 三宅勝久さん、「知的障害者は陥れられたのか?/「東金女児殺害事件」に浮かぶでっち上げ疑惑」(pp.33-45)。指紋の不一致や、濡れた手でレジ袋に指紋が残るのかなど、数々の疑問。また、取り調べメモの破棄などの「出したいものだけ出す」検察。

 柳原三佳氏、「「被害者」が「犯罪者」に!? 白バイ冤罪① 最新インタビュー」(pp.46-59)。でっち上げで禁錮1年4カ月の実刑判決を終えた片岡晴彦さん。最初から最後までずっと独居房というイジメ。

 池添徳明氏、「「横浜事件」刑事補償決定で実質無罪/「やっと勝ち取った」遺族の思い交錯」(pp.80-81)。

 三井環[元大阪高検公安部長]さん、「〝悪徳検事〟が検察の実態を完全告発!/情報リークと冤罪のメカニズム」(pp.88-100)。

 粟野仁雄氏、「一体、どういう捜査をしたらこんなことになるのか?/厚生省 村木元局長冤罪事件」(pp.101-109)。

 池添徳明氏、「中川博之裁判長ってどんな人?」(pp.112-119)。多くがヒラメ裁判長の中、「中川さんが無罪判決を書くと目立つというそのことが、実は問題なんです」。「大阪地裁の裁判長は全体的に常識的」。一方、「大阪高裁はひどい裁判官がほとんどで壊滅的」。また、大阪の「検察官の立証活動に最近は荒っぽさが目立つ」。
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●『冤罪File(2009年12月号)』読了(1/2)

2010年03月14日 10時17分12秒 | Weblog

冤罪File(2009年12月号、No.8)』、2月に読了。

 徳島ラジオ商殺人事件(p.24、今井恭平さん)。免田事件財田川事件松山事件島田事件、4大死刑冤罪事件(p.35)。

 「憲法違反裁判官たち」として、高橋祥子氏(p.39)は御殿場事件で一審担当、陶山博生氏(p.43)は飯塚事件で一審担当。久間三千年さんの「死刑執行命令を下したのは、麻生内閣の森英介法務大臣(当時)である。大臣任命後1か月後に、死刑判決からたった2年足らずの死刑囚に執行命令を下すのは極めて異例である。・・・再申請求の準備・・・なぜ久間氏の死刑が先に執行されたのか、全く理解に苦しむ」。

 野間林太郎氏「北海道庁爆破事件 「思想を裁いた」判決 死刑確定15年を経て、新証拠に揺らぐ警察鑑定」(pp.44-55)。東アジア反日武装戦線大道寺将司さん。

 柳原三佳さん「「鈴村事件」 ずさんな警察捜査、でたらめな検察の対応・・・ このまま真実は闇に葬られてしまうのか」(pp.56-63)。

 「〝えせ測定器〟に狙われたら助からない!?」。寺澤有さんも、結局、有罪に。「オービスのストロボを浴びたが最後、もう助からない」(p.69)。

 今井恭平さん、「本当に「誤認」逮捕だったのか? 国賠訴訟が初めて暴く、富山強姦冤罪事件の真相」(pp.89-99)。富山(氷見)強姦冤罪事件。柳原浩さんの冤罪逮捕、服役後に真犯人が現れる。鎌田慧さん足利事件菅家利和さん、志布志事件の中山信一さん。
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