[※【ウィシュマさん死亡問題の入管開示資料 1万5113枚全て黒塗り 遺族「ごまかさないで」】 (東京新聞 2021年08月17日[火]、https://www.tokyo-np.co.jp/article/125024)↑] (2025年01月25日[土])
中島京子さん…(日刊ゲンダイ)《なぜ日本は外国人に厳しいのか。「入管問題」をテーマに扱った小説「やさしい猫」で吉川英治文学賞と芸術選奨(文科大臣賞)を受賞…》。中島京子さん《要するに、収容そのものが被収容者に「もう耐えられない。帰ります」と言わせるための手段になり、そこで働く職員は、いかに「帰ります」と言わせるかが仕事になってしまっているように思います》。裁判所もそれを易々と追認する暗黒。
《ナヴィーンさんの難民認定や在留特別許可を国に求めた訴訟で、東京地裁(品田幸男裁判長)は17日、いずれの請求も棄却するとの判決を言い渡した…傍聴席で判決を見守っていた中島さんは「在留資格は認められると思っていたのでショックだ。長年、夫婦として一緒に暮らしてきた実態を見て判断してほしかった。入管の決めた通りに追認するなら、何のために裁判所があるのかと思ってしまう」と語った》。
『●中島京子さん《要するに、収容そのものが被収容者に「もう耐えられ
ない。帰ります」と言わせるための手段になり、そこで働く職員は…》』
《ロシア軍の侵攻に逃げ惑うウクライナ市民の映像を見ない日はない。
欧州各国に続き、日本政府も「避難民」の受け入れに手を挙げたが、
果たしてその資格があるのか。「ウィシュマさん死亡事件」によって
知れ渡った出入国在留管理庁による外国人収容を巡る問題は、
依然として改善されていない。なぜ日本は外国人に厳しいのか。
「入管問題」をテーマに扱った小説「やさしい猫」で
吉川英治文学賞と芸術選奨(文科大臣賞)を受賞した作家に聞いた》
『●『やさしい猫』…(優香氏)《まずは、さまざまな事情を抱えている人が
いるということを知っていただけたら…。家族3人が支え合って逆境…》』
再々々度引用。Webちくまのコラム【斎藤美奈子 世の中ラボ/【第138回】ウィシュマさん事件の背後にある入管の闇】(https://www.webchikuma.jp/articles/-/2580)によると、《その果てに、起きるべくして起きたウィシュマさんの事件。拷問禁止委員会、自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会といった国連機関から日本の入管収容制度は再三批判されてきた。しかし、日本政府は無視し続けている。終わったばかりの東京五輪のテーマは「多様性と調和」だった。が、その裏で日本政府が何をやっていたかを考えれば「ざけんじゃねーよ」というしかない》。
池尾伸一記者による、東京新聞の記事【小説と同じ結末にはならず…「やさしい猫」そっくり在留資格裁判は敗訴 作家・中島京子さん「何のための裁判か」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/374234)によると、《スリランカから日本に逃れてきているナヴィーンさん(43)と日本人の妻なおみさん(52)が、ナヴィーンさんの難民認定や在留特別許可を国に求めた訴訟で、東京地裁(品田幸男裁判長)は17日、いずれの請求も棄却するとの判決を言い渡した。2人は控訴する方針だ。(池尾伸一)》、《◆中島京子さん「認められると思っていた」 ナヴィーンさん、なおみさん夫妻がナヴィーンさんの難民認定や在留資格を求めた裁判は、直木賞作家・中島京子さんのテレビドラマにもなった、小説「やさしい猫」の主人公2人に境遇が似ていることでも注目されている。小説では原告のスリランカ人男性が勝訴し、在留資格が認められる。だがナヴィーンさんの裁判の一審判決では、小説と異なり、原告の願いは届かなかった。傍聴席で判決を見守っていた中島さんは「在留資格は認められると思っていたのでショックだ。長年、夫婦として一緒に暮らしてきた実態を見て判断してほしかった。入管の決めた通りに追認するなら、何のために裁判所があるのかと思ってしまう」と語った》。
Arc Timesの最終盤でこのニュースが取り上げられ、指宿昭一弁護士がコメント。
【【中居正広氏 「フジ声明」の不透明/立花問題という社会の試金石/女性起業家へのセクハラ/差別をどうなくすか】12/28(土) 18:40~ プレミア配信(尾形×望月×指宿弁護士)】
(https://www.youtube.com/watch?v=6I7_FF-o-yI)
ナヴィーンさんの「在留資格」を認めて、一体何の問題があるのだろうか? 入管の判断が酷いことは周知のとおりだが、「東京地裁」の裁判官も何とかならないかという指宿弁護士の指摘。子供をもうけたかどうか (この場合、なおみさんのお子さんであり、ナヴィーンさんとの「血縁」はない) で差別している恐れがある、という指摘も。控訴審での東京高裁の裁判官がマトモであることを切に願うということも。
『●《日本の司法は中世なみ》《日本の前時代的な刑事司法制度を
笑われて「シャラップ」と言い放つ始末》…その司法からの逃亡』
『●「殺す側の論理」、ついには人の「死」にまで「自己責任論」を持ち
出すようになったよ。あなたは「殺す側」に居るつもりらしいが…』
『●安田菜津紀さん《安倍政権とは何だったのか…「強きにすり寄り、弱き
をへし折る政権」…「引き継がれた『膿』を出し切るのはこれから」》』
『●亡くなられてこの世に居ないウィシュマさんも、斎藤健法相同様、《自分
がそういうことになれば、公開してほしくない》と思っただろうか?』
『●《坂本さんは…『声を上げる。上げ続ける。あきらめないで、がっかり
しないで、根気よく。…』。本当にそう。勇気を出して諦めないで…》』
『●映画『主戦場』〝主演〟で言いたいことを言いまくる「妖怪の孫」の
〝子供たち〟…「強きにすり寄り、弱きをへし折る政権」の継承が未だに…』
『●《…「常識」が削ぎ落とされた閉鎖空間に、司法の介在なく収容され、
何度訴えても適切な医療が受けられないこと自体が拷問ではないか》』
『●長周新聞《法改定によって、入管庁にさらなる権限を付与し、外国人に
対しよりいっそう強引に権力を振りかざす方向へと進もうとしている》』
『●入管法改悪…《非人道的》《生存権すら与えぬ》《難民見殺し》《人を殺
す法律》《国際社会に対し、反人道・反人権国家…と宣言するような…》』
『●入管法改悪、今後、早く廃止しないととんでもない事態に…《「人権
国家」返上の入管法改悪》《国際人権基準を逸脱》《「人を殺す法律」》』
『●青木理さん「#戦後最悪の国会」、年々酷くなるばかりの国会…#自民党
に投票するからこうなる #自公お維コミに投票するからこうなる』
『●ヒトデナシと呼ぶべき非道…《民事裁判の国の意見書では、苦しみを訴える
ウィシュマさんの声は「看守の注目を集めるため」のものとされた》』
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/374234】
小説と同じ結末にはならず…「やさしい猫」そっくり在留資格裁判は敗訴 作家・中島京子さん「何のための裁判か」
2024年12月18日 06時00分
スリランカから日本に逃れてきているナヴィーンさん(43)と日本人の妻なおみさん(52)が、ナヴィーンさんの難民認定や在留特別許可を国に求めた訴訟で、東京地裁(品田幸男裁判長)は17日、いずれの請求も棄却するとの判決を言い渡した。2人は控訴する方針だ。(池尾伸一)
(一審判決を受けて記者会見するナヴィーンさん㊧と
なおみさん=12月17日、東京・霞が関の司法記者クラブで
(中村千春撮影))
母国で、ある政党の運動員をしていたナヴィーンさんは、ライバル政党の関係者から暴行を受けたり、殺害予告を受けたりして、身の危険を感じて日本へ。超過滞在などで在留資格を取り消された後の2016年になおみさんと結婚した。
判決は難民申請について「暴力を受けていたにしても、(スリランカ)政府が容認していたとは認められない」として、不認定とした入管の決定を追認。日本人との結婚を理由とした在留特別許可についても「婚姻関係は不法残留という違法状態の上に築かれたものだった」と退けた。
ナヴィーンさんは、学んでいた日本語学校の経営破綻で「留学」の在留資格が更新できなくなる一方で、難民申請も不認定とされ、2013年に強制退去命令を出されていた。
◆中島京子さん「認められると思っていた」
(原告敗訴に「ショック」だったと語る作家の中島京子さん
=12月17日、東京都千代田区で(池尾伸一撮影))
ナヴィーンさん、なおみさん夫妻がナヴィーンさんの難民認定や在留資格を求めた裁判は、直木賞作家・中島京子さんのテレビドラマにもなった、小説「やさしい猫」の主人公2人に境遇が似ていることでも注目されている。
小説では原告のスリランカ人男性が勝訴し、在留資格が認められる。だがナヴィーンさんの裁判の一審判決では、小説と異なり、原告の願いは届かなかった。
傍聴席で判決を見守っていた中島さんは「在留資格は認められると思っていたのでショックだ。長年、夫婦として一緒に暮らしてきた実態を見て判断してほしかった。入管の決めた通りに追認するなら、何のために裁判所があるのかと思ってしまう」と語った。
「やさしい猫」 2020年5月~2021年4月に新聞連載され、2021年8月に単行本刊行。2023年にNHKで連続ドラマとして放送され、今年2月には劇団民芸の舞台にもなった。作者の中島京子さんは「特定の家族をモデルにしたのでなく、弁護士ら現場を知る関係者に取材を重ね、入管行政に苦しむ多くの外国人の状況を参考に執筆した」と語っている。
◆「なおみさんを助けられないのがつらい」
判決後の記………
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[※【ウィシュマさん死亡問題の入管開示資料 1万5113枚全て黒塗り 遺族「ごまかさないで」】 (東京新聞 2021年08月17日[火]、https://www.tokyo-np.co.jp/article/125024)↑]
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(2023年06月26日[月])
中島京子さん…(日刊ゲンダイ)《なぜ日本は外国人に厳しいのか。「入管問題」をテーマに扱った小説「やさしい猫」で吉川英治文学賞と芸術選奨(文科大臣賞)を受賞…》。
中島京子さん《要するに、収容そのものが被収容者に「もう耐えられない。帰ります」と言わせるための手段になり、そこで働く職員は、いかに「帰ります」と言わせるかが仕事になってしまっているように思います》。
『●中島京子さん《要するに、収容そのものが被収容者に「もう耐えられ
ない。帰ります」と言わせるための手段になり、そこで働く職員は…》』
《ロシア軍の侵攻に逃げ惑うウクライナ市民の映像を見ない日はない。
欧州各国に続き、日本政府も「避難民」の受け入れに手を挙げたが、
果たしてその資格があるのか。「ウィシュマさん死亡事件」によって
知れ渡った出入国在留管理庁による外国人収容を巡る問題は、
依然として改善されていない。なぜ日本は外国人に厳しいのか。
「入管問題」をテーマに扱った小説「やさしい猫」で
吉川英治文学賞と芸術選奨(文科大臣賞)を受賞した作家に聞いた》
再々度引用。Webちくまのコラム【斎藤美奈子 世の中ラボ/【第138回】ウィシュマさん事件の背後にある入管の闇】(https://www.webchikuma.jp/articles/-/2580)によると、《その果てに、起きるべくして起きたウィシュマさんの事件。拷問禁止委員会、自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会といった国連機関から日本の入管収容制度は再三批判されてきた。しかし、日本政府は無視し続けている。終わったばかりの東京五輪のテーマは「多様性と調和」だった。が、その裏で日本政府が何をやっていたかを考えれば「ざけんじゃねーよ」というしかない》。
NHKの番組宣伝【ただ3人で暮らしたい──ささやかな幸せを求めて奮闘する家族の愛と絆の物語/土曜ドラマ「やさしい猫」】(https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=38970)。《土曜ドラマ「やさしい猫」は、直木賞作家・中島京子の同名小説が原作。在留外国人を取り巻くさまざまな問題に光を当てながら、大きな事件に立ち向かう小さな家族を描く愛と絆の物語です。主人公のミユキは、夫と死別しシングルマザーとして娘のマヤを育てていましたが、スリランカ人の“クマさん”と恋に落ち結婚。3人で新たな家族を築こうとしていた矢先、クマさんがオーバーステイを理由に入管(出入国在留管理庁)の施設に収容されてしまいます。このままでは、クマさんがスリランカに強制送還されてしまう──。愛する人を救うため、家族が一緒に暮らすというささやかな幸せを取り戻すため、3人は入管法(出入国管理及び難民認定法)という大きな壁に立ち向かいます》。
キシダメ独裁政権と自公お維コミは、入管法改正という名の改悪を実行してしまいました。今後、早く廃止しないととんでもない事態に。《「人権国家」返上の入管法改悪》《“非人道的”と国連も勧告》《国際人権基準を逸脱》《生存権すら与えぬ処遇》(長周新聞)。《入管法改正案に「人を殺す法律」と批判の声》(AERA)とまで。
『●《日本の司法は中世なみ》《日本の前時代的な刑事司法制度を
笑われて「シャラップ」と言い放つ始末》…その司法からの逃亡』
『●「殺す側の論理」、ついには人の「死」にまで「自己責任論」を持ち
出すようになったよ。あなたは「殺す側」に居るつもりらしいが…』
『●安田菜津紀さん《安倍政権とは何だったのか…「強きにすり寄り、弱き
をへし折る政権」…「引き継がれた『膿』を出し切るのはこれから」》』
『●亡くなられてこの世に居ないウィシュマさんも、斎藤健法相同様、《自分
がそういうことになれば、公開してほしくない》と思っただろうか?』
『●《坂本さんは…『声を上げる。上げ続ける。あきらめないで、がっかり
しないで、根気よく。…』。本当にそう。勇気を出して諦めないで…》』
『●映画『主戦場』〝主演〟で言いたいことを言いまくる「妖怪の孫」の
〝子供たち〟…「強きにすり寄り、弱きをへし折る政権」の継承が未だに…』
『●《…「常識」が削ぎ落とされた閉鎖空間に、司法の介在なく収容され、
何度訴えても適切な医療が受けられないこと自体が拷問ではないか》』
『●長周新聞《法改定によって、入管庁にさらなる権限を付与し、外国人に
対しよりいっそう強引に権力を振りかざす方向へと進もうとしている》』
『●入管法改悪…《非人道的》《生存権すら与えぬ》《難民見殺し》《人を殺
す法律》《国際社会に対し、反人道・反人権国家…と宣言するような…》』
『●入管法改悪、今後、早く廃止しないととんでもない事態に…《「人権
国家」返上の入管法改悪》《国際人権基準を逸脱》《「人を殺す法律」》』
『●青木理さん「#戦後最悪の国会」、年々酷くなるばかりの国会…#自民党
に投票するからこうなる #自公お維コミに投票するからこうなる』
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【https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=38970】
ただ3人で暮らしたい──ささやかな幸せを求めて奮闘する家族の愛と絆の物語
土曜ドラマ「やさしい猫」
6月24日(土)スタート〈全5回〉
毎週[総合]午後10:00~10:49
土曜ドラマ「やさしい猫」は、直木賞作家・中島京子の同名小説が原作。在留外国人を取り巻くさまざまな問題に光を当てながら、大きな事件に立ち向かう小さな家族を描く愛と絆の物語です。
主人公のミユキは、夫と死別しシングルマザーとして娘のマヤを育てていましたが、スリランカ人の“クマさん”と恋に落ち結婚。3人で新たな家族を築こうとしていた矢先、クマさんがオーバーステイを理由に入管(出入国在留管理庁)の施設に収容されてしまいます。このままでは、クマさんがスリランカに強制送還されてしまう──。
愛する人を救うため、家族が一緒に暮らすというささやかな幸せを取り戻すため、3人は入管法(出入国管理及び難民認定法)という大きな壁に立ち向かいます。
放送を前に、ミユキを演じる優香さんにインタビューし、ドラマへの思いを語ってもらいました。
あらすじ
シングルマザーで保育士のミユキ(優香)は、震災ボランティアで訪れた東北で、スリランカ人のクマラ(オミラ・シャクティ)と出会い、翌年、運命的に再会。2人は次第に惹ひかれ合い、ミユキの娘・マヤ(伊東 蒼)と3人で暮らし始める。
やがて、ミユキとクマラは婚姻届を提出し晴れて正式に夫婦となるが、その直後、悲劇が襲う。
在留資格を延長するための相談に行こうとしていたクマラが、警察官に身柄を拘束されたのだ。
クマラは国内からの退去強制処分に。ミユキは入管に処分の再考を求めるも、偽装結婚を疑われてしまう。理不尽な対応への怒りと助けられない悔しさに打ちひしがれるミユキだったが、クマラの在留特別許可を求めて国に対して裁判を起こす決意をする。
主人公・ミユキ 役
優香 インタビュー
──中島京子さんの話題作が原作になっていますが、物語の印象はいかがでしたか?
主人公のミユキと同じように、私自身も入管の問題などについてほとんど知識がなく、今回この本を読んで初めて知ることばかりでした。
複雑で重いテーマではありますが、私としては、ミユキ、クマさん、娘のマヤがどのように目の前の問題を乗り越え、お互いを支え合って前へ進んでいくのかという「家族の物語」にとても心惹かれたんですよね。読み終えたあとはすごく温かい気持ちになりました。
──クマさんを演じるオミラ・シャクティさんは演技初挑戦だそうですね。共演された感想を教えてください。
最初に出演のオファーをいただいたとき、まだ子どもが小さいので、撮影が長期にわたるドラマのお仕事と子育てを両立できるか迷っている時期だったんです。でも、こんなすてきな家族のお話ですし、お芝居の経験がないスリランカ出身の方と共演するのは私自身も初めての挑戦なので、これはぜひ参加させていただきたいと思って撮影に挑みました。
(クマラ役は、約300人の中からオーディションで選ばれた
スリランカ出身のオミラ・シャクティさん。演技経験はなく、
ドラマ出演は今作が初めて。)
オミラさんとのお芝居は、毎回とっても新鮮。今にも、その純粋な瞳に吸い込まれてしまうんじゃないかと思うほど、まっすぐですてきな表情をされるので、お芝居をしていることを忘れる瞬間がたくさんありました。
例えば、第1話でミユキにプロポーズするシーンがあるのですが、まるで本当に私にプロポーズするみたいに、ずっと手に汗を握るような感じで緊張されていて。演じることへの緊張ではなくプロポーズすることに対して緊張している感じがリアルに伝わってきたんです。そんなオミラさんを目の前にすると、私も本当にドキドキしたり感動したり、自然に感情が揺さぶられるので、特別意識して演じようとはせずに、ただ目の前にいるオミラさんと目を合わせてその時々で生まれた感情を大切にしました。
第2話以降は、クマさんが入管の施設に収容され離れてしまうので、触れ合えない悲しみに胸が締め付けられるシーンが多くて苦しかったですし、裁判のシーンでは彼の後ろ姿を見つめながら切ない気持ちになって、撮影期間はお芝居をしているんだけどお芝居をしていないような日々を過ごしていました。
これは今までに経験したことのない不思議な感覚でしたね。オミラさんご自身が、クマさんのキャラクターと同じように謙虚で誠実な方なので、その魅力が役にそのまま投影されているのだと思います。
──最後に、これからドラマをご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。
このドラマを見て初めて在留外国人や入管について知る方も、原作を読んでドラマを楽しみにされている方もいらっしゃるかと思いますが、まずは、さまざまな事情を抱えている人がいるということを知っていただけたらと思います。家族3人が支え合って逆境に立ち向かっていく姿を一緒に見守りながらご覧いただけたら幸いです。
土曜ドラマ「やさしい猫」
【放送予定】
6月24日(土)スタート〈全5回〉
毎週[総合]午後10:00~10:49
【原作】中島京子
【脚本】矢島弘一
【音楽】林 正樹
【出演】優香、伊東 蒼、オミラ・シャクティ、山田真歩、石川 恋、南出凌嘉、池津祥子、麻生祐未、余貴美子、滝藤賢一、吉岡秀隆 ほか
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[※【ウィシュマさん死亡問題の入管開示資料 1万5113枚全て黒塗り 遺族「ごまかさないで」】 (東京新聞 2021年08月17日[火]、https://www.tokyo-np.co.jp/article/125024)↑] (2023年05月14日[日])
入管法改正という名の改悪。《「人権国家」返上の入管法改悪》《“非人道的”と国連も勧告》《国際人権基準を逸脱》《生存権すら与えぬ処遇》(長周新聞)。《入管法改正案に「人を殺す法律」と批判の声》(AERA)とまで。
長周新聞の記事【「人権国家」返上の入管法改悪 無期限拘束や問答無用の強制送還を可能に 外国人労働者受け入れ拡大しながら “非人道的”と国連も勧告】(https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/26550)によると、《入管法(出入国管理及び難民認定法)改定法案が4月28日、衆院法務委員会で、自民、公明、維新、国民民主の与野党4党の賛成で可決された。今回の法改定の大きな柱は、難民認定の申請について、3回目以降からはたとえ申請中であっても「難民認定すべき相当の理由」を示さなければ強制送還が可能になるというものだ。これは、2021年にも国会に提出され「戦後最悪の入管法改悪」といわれ廃案に追い込まれた入管法改定案とほぼ同様の内容だが、それでも政府は再び法改悪を強行しようとしている。日本の入管法とその下にある入管施設でおこなわれていることは、以前から国内外で非人道的であり、国際人権基準を逸脱しているとして大きな問題となってきたが、今回の法改定はそれをさらに深刻化させるものとして批判を集めている》。
『●《日本の司法は中世なみ》《日本の前時代的な刑事司法制度を
笑われて「シャラップ」と言い放つ始末》…その司法からの逃亡』
安田菜津紀さんは《…という「常識」が削(そ)ぎ落とされた閉鎖空間に、司法の介在なく収容され、何度訴えても適切な医療が受けられないこと自体が拷問ではないか。》、とも。また、以前、《政治姿勢が大きく見直されていないことを考えると、いまだに私たちは安倍政権下に生きているようなものかもしれません。安倍政権下で生まれ、続く菅政権と岸田政権に引き継がれた「膿(うみ)」を出し切るのはこれから。そのためには、できる形で声を上げることが大切です。昨年、難民申請者の送還などを盛り込んだ入管法改正案が、反対の声に押されるように廃案となりました》とも仰っていたのだが、今回は、ほぼ同内容、あるいは、さらなる酷い法案であるにもかかわらず、入管法改悪が行われてしまおうとしている。
(政界地獄耳)《国連人権理事会は改正案を国際人権基準に満たないと勧告》されることなど、相当な国際的な恥ではないのか? これが、G7議長国? 《勧告では出入国在留管理庁の医療体制の改善や、LGBTQなどの性的マイノリティーへの差別の解消、同性婚の合法化など、欧米で常識ながら自民党が拒否しているテーマが並ぶ》。
『●「殺す側の論理」、ついには人の「死」にまで「自己責任論」を持ち
出すようになったよ。あなたは「殺す側」に居るつもりらしいが…』
『●安田菜津紀さん《安倍政権とは何だったのか…「強きにすり寄り、弱き
をへし折る政権」…「引き継がれた『膿』を出し切るのはこれから」》』
『●亡くなられてこの世に居ないウィシュマさんも、斎藤健法相同様、《自分
がそういうことになれば、公開してほしくない》と思っただろうか?』
『●《坂本さんは…『声を上げる。上げ続ける。あきらめないで、がっかり
しないで、根気よく。…』。本当にそう。勇気を出して諦めないで…》』
『●映画『主戦場』〝主演〟で言いたいことを言いまくる「妖怪の孫」の
〝子供たち〟…「強きにすり寄り、弱きをへし折る政権」の継承が未だに…』
『●《…「常識」が削ぎ落とされた閉鎖空間に、司法の介在なく収容され、
何度訴えても適切な医療が受けられないこと自体が拷問ではないか》』
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【https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/26550】
「人権国家」返上の入管法改悪 無期限拘束や問答無用の強制送還を可能に 外国人労働者受け入れ拡大しながら “非人道的”と国連も勧告
政治経済 2023年5月8日
(多くの外国人を収容している
東京出入国在留管理局(東京都港区))
入管法(出入国管理及び難民認定法)改定法案が4月28日、衆院法務委員会で、自民、公明、維新、国民民主の与野党4党の賛成で可決された。今回の法改定の大きな柱は、難民認定の申請について、3回目以降からはたとえ申請中であっても「難民認定すべき相当の理由」を示さなければ強制送還が可能になるというものだ。これは、2021年にも国会に提出され「戦後最悪の入管法改悪」といわれ廃案に追い込まれた入管法改定案とほぼ同様の内容だが、それでも政府は再び法改悪を強行しようとしている。日本の入管法とその下にある入管施設でおこなわれていることは、以前から国内外で非人道的であり、国際人権基準を逸脱しているとして大きな問題となってきたが、今回の法改定はそれをさらに深刻化させるものとして批判を集めている。
ブラックボックスの入管庁
入管法とは、日本に出入りする人すべてが対象とされ、出入国時の管理規制や難民の認定手続きの整備を目的とした法律だ。日本人にとっては、出入国の管理が主な内容になる。一方、外国人の場合は問題のある人が日本に入国しないように、同法に基づきパスポートやビザで確認する。また、不法滞在の取り締まりや難民についても、同法によって認定の可否が定められている。難民認定を受けると、日本の一定の生活水準が保証される。
今国会に提出されている入管法改定案は、今年3月7日に閣議決定され、4月13日に衆議院で審議入りし、同月28日に法務委員会で可決した。与党は大型連休明けにも衆院を通過させようとしている。
法案の内容には、
①3回以上難民申請している人の強制送還を可能にする。
②退去命令に応じない人に刑事罰「送還忌避罪」を科す。
③被仮放免者(一時的に収容を解かれた者)を「監理人」が監督監視する「監理措置」制度を創設する。
などが盛り込まれている。
今回の改定法案の最大の問題点を要約すると、「難民申請者の送還に道を開く」ことにある。現行法では、いわゆる「不法滞在者」は原則として入管施設に収容され、国外退去処分が決まれば、みずから帰国するか、強制的に送還される。しかし、難民申請中であれば、何回目の申請であっても国に送還されることはない。
だが政府は、この仕組みが不法滞在を続ける手段になっていると問題視している。入管庁(出入国在留管理庁)によると、21年12月時点で約3200人が帰国を拒み、これが長期収容の要因となっているとしている。また、このうち約1600人は難民認定を申請中であり、送還を回避するために申請をくり返しているケースもあるというのが入管庁側の主張だ。そのため、改定法案では、難民申請中であっても3回目以降の申請からは新たな資料を提出するなどしない限り、強制送還になりうるとした。
入管庁は、こうした在留資格のないいわゆるオーバーステイなどを理由に退去を命じられた外国人を速やかに送還することなどを名目に、法改定に動き、2021年2月にも同法改定案が国会に提出された。内容は「不法滞在者の帰国を徹底」「強制送還を拒む人に対しては、刑事罰を加えることも可能」など、今国会に提出されている改定法案と同様のものだった。
しかし、その翌月、名古屋市の入管施設で収容中だったスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリ氏が医療体制の不備などの劣悪な環境下で死亡したことを機に、日本の入管の実態に対し全国的に、また国際社会からも批判が強まった。ウィシュマ氏の死亡事件を機にこうした実態が少しずつメディアでもとりあげられるようになっていった。
(収容中に苦しさを訴えるも医療を受けられず
亡くなったウシュマ氏の最期の様子を映していた
名古屋入管のカメラ映像(2021年3月6日)
そして国会での法案採決が見送られ、同年10月に法案は廃案となった。
こうした経緯を経て、今年になり再び改正案が提出され、衆議院の法務委員会可決まで手続きが進んでいる。改定法案の内容は、以前廃案になったものと大きく変わっておらず、この間批判を集めてきた問題点は解消されていない。
国連も日本の入管法の下でおこなわれている実態や制度に対し、再三にわたって懸念を示し、改善を求めてきた。そして今回の改定法案提出をうけ、4月18日にも日本の入管法には国際人権基準を下回る点が多いことなどの指摘をおこない、改定案を徹底的に見直すよう求めている。
生存権すら与えぬ処遇 密室隔離で死亡も
入管施設とはどのような施設なのか、そして今、どのようなことが問題になっているのか。
入管施設は入管庁の施設で、在留資格がなく国外退去を命じられるなどした外国人を収容している。日本に住む外国籍の人は、日本にいる資格(在留資格)を取得して暮らしている。この資格を審査し、可否を判断しているのも入管庁だ。
収容は人身の自由を奪う行為であるため、刑事手続きであれば裁判所の令状が必要となる。しかし入管の手続きにおいては不要とされており、入管という一つの行政機関に、いわば警察官、検察官、裁判官、刑務官の役割・権限が集中していることになる。このため、外部からのチェック機能が働かないうえに、入管側からは情報も公開されず、「ブラックボックス」と化した内部実態がここ数年で問題視されてきた。
日本の入管法では、強制退去が決まった外国人を速やかに送還しなければならないとしている。だが、ただちに送還できない場合は送還可能なときまで入管施設に収容することができると規定しており、収容期限の上限を設定していない。これが、日本の入管施設における「無期限拘束」の根拠にもなっている。
しかし、国際人権法では、すべての人の身体の自由が保障されている。送還を目的とした収容は、本来ならば移送のための飛行機や船を待つ時間といった、送還手続きをすぐに実行するために必要な時間に限られるべきものだ。にもかかわらず、いつになるかもわからない「送還までの間」であれば、無期限の収容を可能とする異常な日本の入管収容施設の実態がある。これに対し、国連人種差別撤廃委員会など複数の国際人権条約機関は何年も前から問題だと指摘してきた。
在留資格がない外国人に対しては、入管施設への収容が原則とされているが、その間の難民審査が長期化した場面や、子どもだった場合などは「仮放免」となり、施設外生活も認められる。この仮放免の可否もまた入管の審査に委ねられている。
仮放免といっても、収容施設の外に出られるだけで、生活にはさまざまな制約がある。就労は禁止され、入管の許可なく居住都道府県からは出られない。健康保険にも加入できず、生活保護も受けられない。義務教育は受けられるが、高校授業料の無償化は受けられない。そして、仮放免中は月に1回程度入管当局に出頭して仮放免の延長を受けなければならない。そのさい、延長されれば良いが、不許可になれば再び入管施設に収容される。しかもその場合、入管からはほとんど判断の理由については示されない。
就労が許されなくても、収入源がなければ生きていけない人たちは、結局生活のために働くしかない。入管当局もこれまでは、こうした「不法就労」を黙認し、特別厳しい対応はとってこなかった。
しかし仮放免の運用は年々厳しくなっており、その契機は2013年の東京オリンピック開催決定時期だったといわれている。各地方の入管局(当時)には取り締まりの強化が指示され、生活のために働いていることが見つかれば、条件違反としてまた入管施設に収容されるようになった。
たとえ仮放免となっても、生きていくことさえ困難な状況に変わりはない。それでも入管施設収容者にとっては仮放免が一つの目標になっているのだという。裏を返せば、それほど入管施設の処遇が絶望的に劣悪なのだ。
施設内の実態について、入管当局は積極的に広報しないため、ほとんどの国民は知ることはできず、関心も持ちにくい。だがその内情は、暴行、隔離、監禁、医療放置等々によって肉体的・精神的に収容者が追い込まれ、絶望のあまり自殺や自殺未遂、ハンガーストライキによる餓死などがくり返されている。
資格判断も基準不透明 ボランティアに聞く
こうした状況に置かれた収容者をサポートするために、全国に市民ボランティアチームがあり、入管収容施設で面会をおこなったり、施設内の処遇など情報を集めて公にし、改善を求めたり、ときには裁判をおこなったりして人道的な支援を求める活動を無償で続けている人々がいる。あるボランティアメンバーに話を聞いた。
入管施設収容者をはじめ、在日外国人の支援をおこなう市民ボランティアは、全国に存在している。そして各地の入管施設収容者や仮放免となった人々と繋がり、メンバーたちの間で情報を共有しながら、さまざまなサポートをおこなっているという。
このボランティアの一人である男性は、入管施設に通いながら、収容者と面会して話を聞いたり、仮放免となった人のサポートや、日本での在留資格である在留特別許可取得のための働きかけなどをおこなっているという。
さまざまな外国人と出会い、支援をおこなうなかで入管施設の実態も目の当たりにしてきた。個人的なエピソードはここで示すことは難しいが、肉体・精神的な苦痛から自殺未遂を図ったり、ハンストをおこない衰弱したり、仮放免になっても一度逮捕歴があり日本国内では生きるすべがなくなり、日本で生まれたにもかかわらず家族と別れて海外への逃亡を余儀なくされたり……。なかには10年以上入管の収容施設に押し込められたまま、精神を病んで誰とも話さなくなってその後どうなったのかもわからない人もいるという。
こうした劣悪な環境に押し込められた人々にとって、ボランティアによる面会が外の世界と繋がることができる唯一の手段でもあるのだという。また、世間から閉ざされ「ブラックボックス」と化した入管施設の実態を外の人間が聞き、公にしていくことで、入管側に対しても人道に反したおこないを牽制する意味合いもあるのだという。
だが、男性は「入管の状況をよくしたいと思ってかかわり続けているが、国の姿勢は今回の法改定のようにどんどん悪い方向に進んでいて状況は悪化している。その影響が、入管庁と外国人が直接対峙する入管施設においてひずみとなって表面化している」と話す。また、「仮放免のあと、特別在留許可が下りることもあるが、なぜ許可されたのか、入管からは明確な理由が示されないため、収容者は何をすれば在留資格が得られるのかわからない。何年間も星空さえ見えない施設のなかに押し込められ、出口が見えない。あまりにも不条理だ。自国に帰れない根拠を示すために“自国の政府から狙われている証拠を出せ”といわれても、いつ襲われるかもわからず、逃げ出すしかない状況でどうやってそんなものを用意できるのか。彼らは日本が国連の難民条約に批准している国だから、難民としてやってきている。それなのに、いざ来てみると難民認定は1%未満というのが日本の実情だ」と話していた。
外国人労働者は増大も 法制度未整備のまま
国外退去処分、強制送還を命じられている外国人のうち、統計で圧倒的に多いのは、日本での在留期間が切れてしまったまま滞在し続ける「オーバーステイ」で、全体の7割以上を占めるといわれている。
難民申請する人には、パスポートを持っていなかったり、自身の命を守るために身分を隠して偽造パスポートを作って日本へ来ている人が非常に多いといわれる。そのことが「不法上陸」や「不法入国」と見なされ強制送還の理由にもなる。そのため難民申請中の人が退去強制令書を発付されるケースも少なくない。
日本で普通に暮らしているだけでは、迫害や紛争などという生命が危険に晒される状況に実感が湧かない。だが世界中の難民は年々増え続けており、昨年6月、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、紛争や内戦、迫害などで住む場所を追われた難民や国内避難民らの総数が初めて世界で一億人をこえたと発表した。
昨年は、ウクライナ戦争により、新たに1000万人が住む場所を追われ難民となっている。さらに今月1日にUNHCRは、戦闘が続くアフリカ北東部スーダンからの近隣諸国への避難民が約81万5000人に達する可能性があるという推計を示している。
難民条約を締結している国には、こうした人々を迫害の危険に直面する国へ送還してはいけないということが求められ、難民条約の33条(ノン・ルフールマン原則)にも明示されている。そして、日本も1981年に国連の難民条約を批准している。「国が守ってくれない人を、国際社会で助ける」という認識を世界で共有し、日本も批准国として世界に向けてそのポーズをとっていながら、実際にはほとんど難民として受け入れておらず、難民認定率はわずか0・7%(2021年)と世界各国に比べて著しく低い【図1】。
また、2018年の入管法改定により、日本政府は「特定技能」を創設し、農漁業や介護、外食や製造業等14種の業種において、外国人労働者の受け入れ拡大に道を開いた。入管法改定によって、人手不足といわれる業種において海外の安い労働力を大量に確保するという経団連をはじめとする財界の要求が強く働いてきたからだ。
だがそれ以前から、技能実習生として日本国内で働いていた外国人労働者が、低賃金や劣悪な労働条件に耐えかねて失踪するケースが急増していた。労働現場の受け入れ体制整備もままならないなか、さらに大量に海外からの労働力確保を進める国の政策こそが、日本で非正規滞在者が増える原因にもなっている。そのような状況を作り出していながら、今国会で審議されている新たな入管法改定によって、非正規滞在者をより強権的に都合良く日本国内から排除する方向を強めている。
日本政府による人権無視の非人道的・差別的政策や、難民受入を巡る二重基準こそが、入管という最前線で極限の環境を生み出し、外国人を苦しめ続けている。
他国を笑えぬ人権感覚 名ばかりの難民条約
この実情は、国際的にも問題視されており、日本で入管の問題が浮き彫りとなった名古屋市入管施設でのウィシュマ氏の死亡事件以前から、国連関係諸機関から何度も改善を求める勧告がおこなわれてきた【図2】。
EU(欧州連合)は2008年の指令で、収容期間が原則6カ月をこえないよう加盟国に求めている。そして送還先の国や地域の協力が得られないなどで送還できない場合であっても、収容期限は最長1年半と定めている。
国連の国際法委員会は、2014年に外国人の追放に関する法案で、収容のあり方を示した。そのなかでは、恣意的で刑罰的でないことや特別な事情がある場合のみ収容すること、合理性と必要性がある期間に限定すること、収容期間の延長は司法審査により判断されることをあげている。
だが、日本は依然として収容に上限をもうけず、10年以上も入管施設に収容され続けている人もいる。これまでに、国連の拷問禁止委員会や自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会などの諸機関が日本の入管収容制度に懸念を示し、無期限の収容や収容の適否を判断する司法審査がないことなどを問題視し、再三にわたって代替措置の検討を求めてきた。
4月18日にも、入管法改定法案の提出に合わせて国連人権理事会の特別報告者らが、日本政府に向けて同法改定案に関する懸念表明と対話を求める共同書簡を発した。
このなかでは、日本の入管法には国際人権基準を下回る点が多いことを指摘している。そして法案についても「常に収容が優先される点」について懸念を示し、「国際人権基準によれば、出入国管理を目的とした収容は最後の手段であるべきで、成人に対してのみ、もっとも短い期間、より制限の少ない手段が利用できない場合にのみ許容される」「合理性、必要性、正当性、比例性の観点から正当化されない場合、入管収容は世界人権宣言第九条および日本が1979年から締結国となっている自由権規約第9条で禁止されている恣意的監禁となりかねない」と厳しく指摘している。
その他にも、前回の法改定案に引き続き今回も依然として収容の期間の上限も、収容の継続においての定期的な司法審査も定めていない点を問題視し、「国際基準では、出入国手続きにおける収容を含むあらゆる形態の拘禁は、裁判官その他の司法当局によって命じられ、承認されなければならない」こともあげている。
入管への収容を巡り、司法による承認と審査を導入すること、出入国手続きにおける収容期間の上限を明確に規定することなどを日本政府に求め、「ノン・ルフールマン原則を尊重し、拷問、虐待、宗教的な迫害、その他人権上の義務の深刻な逸脱による回復不能な侵害を受ける危険性のある国に、いかなる個人も移送しないという国際人権法の下での義務を喚起する」と訴えている。
このように、日本の入管体制は国際常識、また人道的見地から見ても世界の水準から大きく逸脱している。こうした国際的な勧告を無視し続けながら、今も日本政府は国際社会に向けて恥ずかしげもなく「難民条約批准国」をアピールしている。
入管の非人道的・差別的体制は、戦前から戦後にかけての日本社会のあり方とも関係があるともいわれている。戦前の入管業務は内務省の管轄下にあり、実務の担い手は特高警察の外事係だった。当時朝鮮や中国を植民地支配していた天皇制政府にとって、外国人は共に生きる隣人ではなく、「治安を乱す恐れのある敵」だった。
敗戦後、警察業務は日本を単独占領し、アジアへの侵略を意図するアメリカに移った。そして1947年にGHQが日本政府に「外国人登録令」を交付させて以降は、日本政府に移管された。
その後長らく、法務省の内部部局だった入国管理局を、2019年4月に「出入国在留管理庁」(入管庁)へと格上げし、現体制に至っている。あらゆる権限が一局集中し、世間や組織的な監視の目から隔絶された状況にあるなか、今回進めようとしている法改定によって、入管庁にさらなる権限を付与し、外国人に対しよりいっそう強引に権力を振りかざす方向へと進もうとしている。
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[※【ウィシュマさん死亡問題の入管開示資料 1万5113枚全て黒塗り 遺族「ごまかさないで」】 (東京新聞 2021年08月17日[火]、https://www.tokyo-np.co.jp/article/125024)↑] (2022年04月17日[日])
琉球新報のコラム【<金口木舌>高いのり弁はごめんだ】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1501449.html)。
《▼入管施設に収容されたスリランカ人女性が死亡した問題では、看守の勤務日誌など約1万5千ページのほとんどが黒塗りで開示された。沖縄でも米軍関連や県の新型コロナ対策などの文書で、個人情報が含まれない部分まで塗りつぶされることがあった》。
「入管がウィシュマさんを見殺しに」《人命軽視》、1万5113枚すべて黒塗り《隠蔽体質》…もう、滅茶苦茶だ。〝犯罪者〟は殺されても「自己責任」なのかね? 一体どんな「オモテナシ」なのか!
ドキュメンタリー映画『牛久 Ushiku』(https://www.ushikufilm.com/)――― 「これがオモテナシかよ」!、と吐き捨てる…。《職員たちは「暴力」とは認識していない…入管側の認識が、一般常識とあまりにもかけ離れている》。中島京子さん《要するに、収容そのものが被収容者に「もう耐えられない。帰ります」と言わせるための手段になり、そこで働く職員は、いかに「帰ります」と言わせるかが仕事になってしまっているように思います》。
『●《「人間として扱って欲しい」…ウィシュマさんの遺品である番号が
振られた青いシャツの写真を示し、人間は数字ではない、と》…』
「周香織氏による、レイバーネットの記事【安田菜津紀さん渾身の
黒板解説〜TBS「サンデーモーニング」でウィシュマ事件】…。
望月衣塑子記者による、東京新聞の記事【ウィシュマさん死亡問題の
入管開示資料 1万5113枚全て黒塗り 遺族「ごまかさないで」】」
『●《人道上の対応》? 《ウィシュマンさんの名誉や尊厳の観点》から
同席拒否? ➙《遺族は弁護士の同席を強く希望して》るんだよ!』
『●武田砂鉄さん《忘却に加担するのか、しっかり掘り返して問うのか、
メディアが問われている。またいつもの感じでやっているの…》』
「「入管がウィシュマさんを見殺しに」《人命軽視》、1万5113枚
すべて黒塗り《隠蔽体質》…もう、滅茶苦茶だ」
【「入管がウィシュマさんを見殺しに」代理人弁護士が語る人命軽視、
隠蔽体質】…《スリランカ国籍のウィシュマ・サンダマリさん
(当時33)が、名古屋出入国在留管理局の施設で亡くなった問題は、
わが国の入管体制のずさんさを浮き彫りにした。過去にも同種の事案が
起きていながら、なぜ悲劇は繰り返されるのか。遺族側の代理人である
指宿昭一弁護士に聞いた》
『●古川禎久法相「捜査機関で死因含め、適正な捜査が行われる」はホント
なのか? ウィシュマさん事件で入管幹部らを殺人容疑で刑事告訴』
『●ドキュメンタリー映画『牛久 Ushiku』…《華やかな東京オリンピック
開催の影で、露わになる日本の“おもてなしの現実”と“偽りの共生”》』
『●ドキュメンタリー映画『牛久 Ushiku』…《職員たちは「暴力」とは認識
していない…入管側の認識が、一般常識とあまりにもかけ離れている》』
『●「殺す側の論理」、ついには人の「死」にまで「自己責任論」を持ち
出すようになったよ。あなたは「殺す側」に居るつもりらしいが…』
『●中島京子さん《要するに、収容そのものが被収容者に「もう耐えられ
ない。帰ります」と言わせるための手段になり、そこで働く職員は…》』
再々度引用。Webちくまのコラム【斎藤美奈子 世の中ラボ/【第138回】ウィシュマさん事件の背後にある入管の闇】(https://www.webchikuma.jp/articles/-/2580)によると、《その果てに、起きるべくして起きたウィシュマさんの事件。拷問禁止委員会、自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会といった国連機関から日本の入管収容制度は再三批判されてきた。しかし、日本政府は無視し続けている。終わったばかりの東京五輪のテーマは「多様性と調和」だった。が、その裏で日本政府が何をやっていたかを考えれば「ざけんじゃねーよ」というしかない》。
<金口木舌>《▼安易に黒塗り開示を続けていたら、いつの間にか民主主義が健全に機能しなくなる。そんな高い代償を支払うのり弁は、ごめん被りたい》…いやぁ、もう手遅れなニッポン。もはや《民主主義が健全に機能しなく》なって久しい。アベ様政権以降、特に著しい。《火事場ドロボー》1号がもたらした民主主義の破壊は、ニッポンにとって致命的。
『●アベ様や財務相は、赤木さんが《残したファイルとか、いま黒塗りに
なっている夫がうつ病になった経緯であるとか、出すのは簡単なことだ》』
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【https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1501449.html】
<金口木舌>高いのり弁はごめんだ
2022年4月14日 05:00
金口木舌 情報公開請求 のり弁
独身時代、月末が近づくとなぜか預金残高が4桁前半まで落ち込むことが多々あった。そんな時、よく作っていたのがのり弁だ。ご飯にのり、しょうゆにかつお節という安価な材料で空腹を満たせる心強い味方だった
▼しかし昨今では不名誉な表現として耳にする機会が増えた。行政への情報公開請求に対し大部分を黒塗りにされた文書が、黒一色に近い見た目からのり弁と呼ばれる
▼入管施設に収容されたスリランカ人女性が死亡した問題では、看守の勤務日誌など約1万5千ページのほとんどが黒塗りで開示された。沖縄でも米軍関連や県の新型コロナ対策などの文書で、個人情報が含まれない部分まで塗りつぶされることがあった
▼総務省のホームページでは、情報公開制度関連の法律を「国民に開かれた行政の実現を図るために重要」と紹介している。残念ながら、真っ黒な文書からその気概は読み取れない
▼安易に黒塗り開示を続けていたら、いつの間にか民主主義が健全に機能しなくなる。そんな高い代償を支払うのり弁は、ごめん被りたい。
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[※【ウィシュマさん死亡問題の入管開示資料 1万5113枚全て黒塗り 遺族「ごまかさないで」】 (東京新聞 2021年08月17日[火]、https://www.tokyo-np.co.jp/article/125024)↑] (2022年03月31日[木])
日刊ゲンダイのインタビュー記事【注目の人 直撃インタビュー/直木賞作家・中島京子さんが、ウクライナ避難民受け入れで日本政府に危惧すること】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302974)。
《ロシア軍の侵攻に逃げ惑うウクライナ市民の映像を見ない日はない。欧州各国に続き、日本政府も「避難民」の受け入れに手を挙げたが、果たしてその資格があるのか。「ウィシュマさん死亡事件」によって知れ渡った出入国在留管理庁による外国人収容を巡る問題は、依然として改善されていない。なぜ日本は外国人に厳しいのか。「入管問題」をテーマに扱った小説「やさしい猫」で吉川英治文学賞と芸術選奨(文科大臣賞)を受賞した作家に聞いた》。
『●「敗戦70年 日本人は、戦争で何をしたのか」
『週刊金曜日』(2015年1月9日、1022号)』
『●森達也さん「人は誘惑に負けることもあるが反省もする。
…それをも許さない」「平成の治安維持法」』
『●アベ様案件…(武田砂鉄さん)《近場から放たれる「病人なんだから」
という、勝手に設けられた除外規定を素直に受け止め過ぎでは》?』
「【安倍政権が残したもの/弱者は切り捨て、戦中の隠蔽体質 「泥船」
7年8カ月 作家・中島京子さん】…《特定秘密保護法や
安全保障関連法、森友文書改ざん……。戦前・戦中の庶民の暮らしを
描いた「小さいおうち」で知られる直木賞作家、中島京子さん
(56)は、第2次安倍政権下で多くの問題が指摘されながらも
強行採決された法案や数々の不祥事に対し、国会前のデモに参加して
抗議の声を上げてきた。中島さんが「泥船」と表現した長期政権が
醸し出した時代の空気とは――。》」
【ドキュメンタリー映画『牛久』予告編】
(https://youtu.be/sNGGRt_-_YE)
ドキュメンタリー映画『牛久 Ushiku』(https://www.ushikufilm.com/)――― 「これがオモテナシかよ」!、と吐き捨てる…。《職員たちは「暴力」とは認識していない…入管側の認識が、一般常識とあまりにもかけ離れている》。中島京子さん《要するに、収容そのものが被収容者に「もう耐えられない。帰ります」と言わせるための手段になり、そこで働く職員は、いかに「帰ります」と言わせるかが仕事になってしまっているように思います》。
『●《「人間として扱って欲しい」…ウィシュマさんの遺品である番号が
振られた青いシャツの写真を示し、人間は数字ではない、と》…』
「周香織氏による、レイバーネットの記事【安田菜津紀さん渾身の
黒板解説〜TBS「サンデーモーニング」でウィシュマ事件】…。
望月衣塑子記者による、東京新聞の記事【ウィシュマさん死亡問題の
入管開示資料 1万5113枚全て黒塗り 遺族「ごまかさないで」】」
『●《人道上の対応》? 《ウィシュマンさんの名誉や尊厳の観点》から
同席拒否? ➙《遺族は弁護士の同席を強く希望して》るんだよ!』
『●武田砂鉄さん《忘却に加担するのか、しっかり掘り返して問うのか、
メディアが問われている。またいつもの感じでやっているの…》』
「「入管がウィシュマさんを見殺しに」《人命軽視》、1万5113枚
すべて黒塗り《隠蔽体質》…もう、滅茶苦茶だ」
【「入管がウィシュマさんを見殺しに」代理人弁護士が語る人命軽視、
隠蔽体質】…《スリランカ国籍のウィシュマ・サンダマリさん
(当時33)が、名古屋出入国在留管理局の施設で亡くなった問題は、
わが国の入管体制のずさんさを浮き彫りにした。過去にも同種の事案が
起きていながら、なぜ悲劇は繰り返されるのか。遺族側の代理人である
指宿昭一弁護士に聞いた》
『●古川禎久法相「捜査機関で死因含め、適正な捜査が行われる」はホント
なのか? ウィシュマさん事件で入管幹部らを殺人容疑で刑事告訴』
『●ドキュメンタリー映画『牛久 Ushiku』…《華やかな東京オリンピック
開催の影で、露わになる日本の“おもてなしの現実”と“偽りの共生”》』
『●ドキュメンタリー映画『牛久 Ushiku』…《職員たちは「暴力」とは認識
していない…入管側の認識が、一般常識とあまりにもかけ離れている》』
『●「殺す側の論理」、ついには人の「死」にまで「自己責任論」を持ち
出すようになったよ。あなたは「殺す側」に居るつもりらしいが…』
ドキュメンタリー映画『牛久 Ushiku』…「これがオモテナシかよ」!、と吐き捨てる…。
再度引用。Webちくまのコラム【斎藤美奈子 世の中ラボ/【第138回】ウィシュマさん事件の背後にある入管の闇】(https://www.webchikuma.jp/articles/-/2580)によると、《その果てに、起きるべくして起きたウィシュマさんの事件。拷問禁止委員会、自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会といった国連機関から日本の入管収容制度は再三批判されてきた。しかし、日本政府は無視し続けている。終わったばかりの東京五輪のテーマは「多様性と調和」だった。が、その裏で日本政府が何をやっていたかを考えれば「ざけんじゃねーよ」というしかない》。
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【https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302974】
注目の人 直撃インタビュー
直木賞作家・中島京子さんが、ウクライナ避難民受け入れで日本政府に危惧すること
公開日:2022/03/28 06:00 更新日:2022/03/28 06:00
(中島京子さん(C)日刊ゲンダイ)
ロシア軍の侵攻に逃げ惑うウクライナ市民の映像を見ない日はない。欧州各国に続き、日本政府も「避難民」の受け入れに手を挙げたが、果たしてその資格があるのか。「ウィシュマさん死亡事件」によって知れ渡った出入国在留管理庁による外国人収容を巡る問題は、依然として改善されていない。なぜ日本は外国人に厳しいのか。「入管問題」をテーマに扱った小説「やさしい猫」で吉川英治文学賞と芸術選奨(文科大臣賞)を受賞した作家に聞いた。
◇ ◇ ◇
ーー2021年4月まで1年間にわたり読売新聞夕刊に連載された「やさしい猫」は、高校生のマヤを語り手に、母でシングルマザーのミユキさんと恋に落ちたスリランカ出身の青年クマさんが入管制度に翻弄されていく様子を描いています。なぜ、このテーマを選んだのでしょうか。
17年3月、茨城県牛久市の東日本入国管理センターに収容されていたベトナム人男性が適切な医療を受けられずに亡くなる事件がありました。その問題について、弁護士の友人がSNSで発信していたのを通じ、初めて入管収容というのを知りました。衝撃を受け、その友人がシェアするものをよく読むようになったのがキッカケです。
ーー折しも連載中の21年3月、スリランカ出身のウィシュマ・サンダマリさんが名古屋市の入管施設で収容中に亡くなりました。この死亡事件も、入管側が適切な医療を受けさせなかったことで引き起こされました。
ウィシュマさんが亡くなるまで、多くの人が入管問題にあまり関心を寄せていなかったと思います。施設内で何が行われているか、ブラックボックスのように見えなくなっていたし、私自身もあまり関心を持っていませんでした。「外国人の問題」として、出入国を管理する入管や法務省に「お任せする」みたいな。ウィシュマさんの事件によって、そうした無関心がいかに問題だったか、ブラックボックスをつくってはいけないと気付かされました。たとえ自分には縁遠いと感じても、日本国内の問題であるし、突き詰めれば、私たちの税金がどう使われるかという問題でもあるから、まったく関係ないことはあり得ません。
■「帰ります」と言わせるのが入管の仕事になっている
ーー入管施設では死亡事件以外に、「制圧」と称した被収容者への暴力も常態化しています。なぜ改善されないのでしょう。
入管収容は原則として滞在資格のない人が自国に帰るまでの間、居るところがないからとどめるものですが、被収容者が「帰る」と言うまで痛めつける場になってしまったと思います。ウィシュマさん問題について、入管が内部調査を行った中間報告には、彼女の仮放免申請を却下した理由に〈自分の立場を分からせるため〉と書かれていた。被収容者がひどい病気を患ったり、ケガをしたりした時は、条件付きで仮放免を認めて治療を受けさせることが原則であるにもかかわらず、です。要するに、収容そのものが被収容者に「もう耐えられない。帰ります」と言わせるための手段になり、そこで働く職員は、いかに「帰ります」と言わせるかが仕事になってしまっているように思います。外で治療を受けさせ、元気になってしまったら帰らないじゃないか、とまで考えているのではないか。
(「避難民受け入れがパフォーマンスにならないか心配です」
ウィシュマさん事件は終わっていない(C)日刊ゲンダイ)
ーー不法滞在に至る過程もさまざまなのに、「法を犯している以上は収容されても当然」という独特の意識がうかがえます。
この人は滞在してもいい、この人はダメ、と決めているのは入管ですよね。いわば入管が「不法である」という状態に置いている。裁量が大き過ぎるのです。入管法違反にはビザが切れているとか、入国の方法に問題があるなどの事例が該当しますが、例えば、難民の中にはパスポートを持って入国できない事情もある。入管が自分たちの裁量で決めていると、似たような立場に置かれた2人のうち一方は在留資格を取得できて、もう一方は取れないといった事態も起こり得ます。こっちの人は「不法」で、こっちの人は「合法」だと。帰国したくてもできない事情が個々にあるし、本来は帰ってもらうべきだとしても、それを理由に被収容者を死に追いやってしまうのは、いくらなんでもおかしい。送還するかどうかよりも、人権の方がよほど大事であるという当たり前の原則に立ち返って欲しいです。
ーーどうすれば、事態は改善されるのでしょう。
昨年の春、国会で入管法改正の動きがありました。「難民申請を3回以上した人は送還してしまってもよい」とする改悪案でした。日本はただでさえ難民認定率が1%以下なのに、追い返すとはひど過ぎると、改正に反対する声がツイッターを中心に広がりました。それにウィシュマさんの事件も重なり、廃案になりました。画期的なことだったと思います。一般市民が普通の感覚に照らして「これはおかしい」と関心を持っていれば、またフシギな法案が出てきても止めることができる。例えば、ウクライナ情勢について話しているのと同じように、みんなが関心を持っていると、入管側もブラックボックスであり続けるのは難しいと思います。
ーー入管の制度面の改革も必要ですね。
制度については勉強した限りですが、はっきりした道筋があるんじゃないかと思っています。まず収容や仮放免などを入管だけに決めさせない。入管に大きな権限を与えるのをやめて、司法が介在できるようにする。難民に関しては、入管が難民認定をするのではなく、難民認定を行う別組織をつくることが必要ではないかと思います。
■生まれた時から「仮放免」の人もいる
ーー日本政府はウクライナから「避難民」を受け入れています。今月15日までに57人。90日間の「短期滞在」から就労可能な1年間の「特定活動」への変更も認めました。
積極的に受け入れて欲しいし、良いことだと思う半面、何年も難民認定されずに仮放免の身で大変な生活をしている人はどうなるんだろうな、とも考えてしまいます。日本で生まれ育ったのに、生まれた時から仮放免の身で就職もできず、健康保険に入れない人もいる。ウクライナからの避難民と同じように、ちゃんと救済して欲しい。
ーー避難民の通訳に学生ボランティアを募集するとの話もありました。
行政側の真剣さが足りないというか。通訳は大変な仕事ですし、ちゃんとリスペクトを払って欲しい。それこそ、避難民の受け入れ自体がパフォーマンスになりはしないか心配です。世界中でウクライナ避難民を受け入れているから「うちもやりますか」みたいな感じで始めて、避難してきた方々の日本での生活をしっかり支援できるのでしょうか。避難民の子供たちの教育機会についても、ちゃんと考えているのかなって。
ーーそもそも政府は外国人を労働不足を補う労働力や、地方にカネを落としてくれる観光客程度にしか見ていないのでは。
「役に立つ外人か、役に立たない外人か」をいつも見られている気がすると、ある外国の方が言っていました。特定の民族や人種と犯罪傾向を結び付けて捜査する「レイシャル・プロファイリング」も問題ですね。東京弁護士会の調査によると「外国人である」こと以外に職質を受けた理由はなかったと認識している人が、過去5年で職質を受けた人の7割超だったといいます。日本はそんなことしてるのか、と悲しくなります。
ーー差別意識も入管問題も根深いです。
入管問題に取り組んでいると、若い人に会うことが多いんです。ある時、入管問題に関するデモの取材に来ていた新聞記者のおじさんが「デモは大体70代が平均年齢なんだけど、これは違うよね」と言っていて、確かに、と。高校生とか大学生とか若い人の方が、身近に外国にルーツを持つ人は多いのではないかなと思います。私の姪が今年卒業した専門学校にもミャンマーからの留学生がいました。在学途中で祖国が大変なことになってしまったから、その子は日本での就職が決まった時「よかった」と話していたそうです。私の時代に比べると、外国にルーツを持つ人が身近になっているから、若い人の方が割と自然に入管問題に対して「ええ⁉ おかしいでしょ!」ってなったんじゃないかと思う。若い人を中心に「入管はおかしい」と感じているのは、問題解決に向けた希望ですね。
(聞き手=高月太樹/日刊ゲンダイ)
▽中島京子(なかじま・きょうこ)1964年、東京都生まれ。東京女子大文理学部卒。出版社勤務を経て渡米。帰国後の2003年、「FUTON」でデビュー。10年に「小さいおうち」で直木賞受賞。今年、「ムーンライト・イン」「やさしい猫」で芸術選奨(文科大臣賞)を受賞。「やさしい猫」は吉川英治文学賞も受賞した。
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[※【ウィシュマさん死亡問題の入管開示資料 1万5113枚全て黒塗り 遺族「ごまかさないで」】 (東京新聞 2021年08月17日[火]、https://www.tokyo-np.co.jp/article/125024)↑] (2022年03月29日[火])
日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/入管の闇に消えていった罪なき人たち】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202203100000052.html)。
《★それでなくとも1年前には名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性・ウィシュマ・サンダマリが死亡した。しかしそれが氷山の一角だったことはさまざまな告発で表面化している。しかも彼女の体調不良に入管は詐病を疑う。偽装難民を見つけ出すことを目的とし、認定されるべき避難民をはじいてきた失策を改めない限り、政府が入管政策を「人道的」などという美談にされたら、多くの入管の闇に消えていった罪なき人たちが浮かばれない。首相はこの際そこまで踏み込んでもらいたい》。
ブログ主のつぶやきに…「ウィシュマのは、こうして処方薬を拒絶した時点で自己責任。入管の責任では断じてない。」――― という〝つぶやき〟が返ってきた (https://twitter.com/ActSludge/status/1508597761402617856)。「殺す側の論理」、ついには人の「死」にまで「自己責任論」を持ち出すようになったよ。「殺す側」に居るつもりらしいが、「殺される側」のことには思いは馳せないし、「殺される側」になることはないと思っているらしい。哀れだ。
《偽装難民を見つけ出すことを目的とし、認定されるべき避難民をはじいてきた失策を改めない限り、政府が入管政策を「人道的」などという美談にされたら、多くの入管の闇に消えていった罪なき人たちが浮かばれない》…自公政権や自公お維コミ議員にはそんな人権意識があるとは思えない。
『●《「人権意識」が徹底して欠如し、差別を差別とも思わず…沖縄の
市民を「侮辱」…》お維への批判を、条例を根拠に封じる狙いはないの?』
決して《失策を改め》ることはないし、反省することなど無し、批判は許されない ――― 《大阪ヘイト条例》も、お維への批判を、条例を根拠に封じる狙いはないの?
リテラの記事【「侮辱罪の刑罰強化」の目的は政権批判封じ=ロシア化だ! 自民党PT座長の三原じゅん子は「政治家にも口汚い言葉は許されない」】(https://lite-ra.com/2022/03/post-6172.html)によると、《ネット上の誹謗中傷に対して被害者救済などの何らかの対策は必要であることは事実だろう。とりわけSNS上では、性被害を告発したりジェンダー平等を訴える女性や在日コリアンが標的にされるケースも頻発している。だが、問題なのは、侮辱罪の厳罰化を進めてきた自民党の真の目的が、ネット上の悪質な侮辱行為にかこつけた「権力批判の封じ込め」にあることだ》。
【ドキュメンタリー映画『牛久』予告編】
(https://youtu.be/sNGGRt_-_YE)
『●《「人間として扱って欲しい」…ウィシュマさんの遺品である番号が
振られた青いシャツの写真を示し、人間は数字ではない、と》…』
「周香織氏による、レイバーネットの記事【安田菜津紀さん渾身の
黒板解説〜TBS「サンデーモーニング」でウィシュマ事件】…。
望月衣塑子記者による、東京新聞の記事【ウィシュマさん死亡問題の
入管開示資料 1万5113枚全て黒塗り 遺族「ごまかさないで」】」
『●《人道上の対応》? 《ウィシュマンさんの名誉や尊厳の観点》から
同席拒否? ➙《遺族は弁護士の同席を強く希望して》るんだよ!』
『●武田砂鉄さん《忘却に加担するのか、しっかり掘り返して問うのか、
メディアが問われている。またいつもの感じでやっているの…》』
「「入管がウィシュマさんを見殺しに」《人命軽視》、1万5113枚
すべて黒塗り《隠蔽体質》…もう、滅茶苦茶だ」
【「入管がウィシュマさんを見殺しに」代理人弁護士が語る人命軽視、
隠蔽体質】…《スリランカ国籍のウィシュマ・サンダマリさん
(当時33)が、名古屋出入国在留管理局の施設で亡くなった問題は、
わが国の入管体制のずさんさを浮き彫りにした。過去にも同種の事案が
起きていながら、なぜ悲劇は繰り返されるのか。遺族側の代理人である
指宿昭一弁護士に聞いた》
『●古川禎久法相「捜査機関で死因含め、適正な捜査が行われる」はホント
なのか? ウィシュマさん事件で入管幹部らを殺人容疑で刑事告訴』
『●ドキュメンタリー映画『牛久 Ushiku』…《華やかな東京オリンピック
開催の影で、露わになる日本の“おもてなしの現実”と“偽りの共生”》』
『●ドキュメンタリー映画『牛久 Ushiku』…《職員たちは「暴力」とは認識
していない…入管側の認識が、一般常識とあまりにもかけ離れている》』
ドキュメンタリー映画『牛久 Ushiku』…「これがオモテナシかよ」!、と吐き捨てる…
Webちくまのコラム【斎藤美奈子 世の中ラボ/【第138回】ウィシュマさん事件の背後にある入管の闇】(https://www.webchikuma.jp/articles/-/2580)によると、《その果てに、起きるべくして起きたウィシュマさんの事件。拷問禁止委員会、自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会といった国連機関から日本の入管収容制度は再三批判されてきた。しかし、日本政府は無視し続けている。終わったばかりの東京五輪のテーマは「多様性と調和」だった。が、その裏で日本政府が何をやっていたかを考えれば「ざけんじゃねーよ」というしかない》。
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【https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202203100000052.html】
コラム
政界地獄耳
2022年3月10日8時3分
入管の闇に消えていった罪なき人たち
★ロシア軍のウクライナ侵攻を受け、2日のポーランドとの首脳電話会談で「親族や知人が日本にいる方々」だけでなく、その他の人々の希望にも「人道的な観点から対応していく」と積極姿勢を見せた首相・岸田文雄。ウクライナ避難民の日本国内受け入れが8日スタートした。日本政府は外国人観光客などの短期入国者には極めて寛容だが、避難民や政治亡命のビザ(査証)発給には「本国の治安に対する不安」を理由に、世界有数の後ろ向きな鎖国政策をとっている。つまりカネを落とす外国人は歓迎するが、低所得者や不法入国などには事情があろうと厳しく冷たい。
★紛争や人権侵害、貧困、飢餓などから自分の命を守るためにやむを得ず母国を追われ、逃げざるを得ない人たちに入国管理センター(入管)は保護するというよりも、偽装難民ではないかという疑いから管理することに立脚し、偏見に満ち差別的な拘留をする。人権や国際法令を無視した非人道的で犯罪者のように追い込んでいく姿勢は日本人には知らされてこなかった。法務省も出入国在留管理庁も異文化などの多様性にそもそも対応する気がない。その改善がないまま、今までの閉鎖的入管政策が突然、ウクライナ問題で人道論に転じたところで満足のいく避難民政策として評価されるのだろうか。
★それでなくとも1年前には名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性・ウィシュマ・サンダマリが死亡した。しかしそれが氷山の一角だったことはさまざまな告発で表面化している。しかも彼女の体調不良に入管は詐病を疑う。偽装難民を見つけ出すことを目的とし、認定されるべき避難民をはじいてきた失策を改めない限り、政府が入管政策を「人道的」などという美談にされたら、多くの入管の闇に消えていった罪なき人たちが浮かばれない。首相はこの際そこまで踏み込んでもらいたい。(K)※敬称略
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【https://www.webchikuma.jp/articles/-/2580】
世の中ラボ
斎藤美奈子
【第138回】ウィシュマさん事件の背後にある入管の闇
2021年3月6日、スリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が名古屋出入国在留管理局(名古屋入管)の収容施設で死亡した。ウィシュマさんは17年6月に来日。日本語学校に通っていたが、在留資格を失い、難民申請するも不認定。20年8月、不法残留の疑いで逮捕され、名古屋入管に収容された。21年1月に体調を崩し、亡くなる直前には歩けないほど衰弱していたが、点滴などの措置は最後まで受けられなかったという。
この事件はかねて批判されてきた入管の長期収容や処遇の問題を改めて世に知らしめると同時に、国会で審議中だった入管法改正案(難民認定手続き中の外国人でも、申請回数が三回以上になったら強制送還できるようにする)への批判を強めることにもなった。与野党の激しい攻防の末、この法案の採決は見送られたものの、日本の入管はどうもひどいことになっているらしい。
というようなことをピンポイントで聞きかじってはいても、日本に住む外国人がどんな境遇に置かれているか、多くの人は知らないのではないか。コンビニや飲食店で働く外国人はすでに身近な存在なのに……。こんなことではいけない。関係書籍を読んでみた。
強制送還か長期収容の二者択一
まず、基本的な確認事項から。
一般に、「移民」とは〈ある場所から別の場所へ、生活のために(多くは仕事のために)、一時的または永久的に移動する人〉のこと。また「難民」とは、「移民」の中でも〈戦争、紛争、飢饉、人種差別、宗教弾圧、政治弾圧、極度の貧困など、さまざまな事情で母国を離れなければならなくなった人〉を指す。
では日本で移民や難民をどう処遇しているのだろう。
〈日本に住む外国籍の人は、日本にいる資格(在留資格)を取得して、暮らしています。この資格を審査し、可否を判断しているのが、出入国在留管理庁(入管庁)です。入管庁はまた、オーバーステイ(在留許可期限を越えて滞在)などの理由で、在留資格がない非正規滞在の人たちを、行政権限で全国9カ所以上の施設で収容しています〉(以上アムネスティ日本支部のHPより)。
外国人が日本に来る理由は、仕事をしたい、勉強したいなどさまざまだが、中には母国から逃れてきた人もいる。出身国はネパール、スリランカ、カンボジア、フィリピン、パキスタン、ミャンマー、インドネシア、トルコ、バングラデシュ、ベトナムなどである。
難民申請者の九六%は観光ビザなどの正規のビザで入国し、ビザの有効期間中に入管に難民申請をする。難民に認定されると「定住者」として五年間の在留資格が与えられ、その後、日本国籍者との婚姻など、法律上の要件を満たせば永住許可も得られる。とはいえそれは額面上の話。申請が通るまでには数年を要す上、難民申請をした外国人のうち、申請が通るケースは1%にも満たない。
織田朝日『となりの難民』は、三人のケースを紹介している。コロンビアで何者かに襲撃され、日本にいるおばを頼って一九九五年に来日したミルトンさん。北朝鮮にいる知人と接触したことからスパイ容疑をかけられて韓国から亡命してきたイジュンさん。トルコから来たアリさんは国内で迫害されているクルド人で、二五年以上前に来日、日本国籍の女性と一〇年前に結婚したが、配偶者ビザは下りていない。三人ともいまは仮放免(後述)によって市井の生活を営んではいるものの、難民には認定されていない。〈3人の友人たちは日本じゃなければ、とっくに難民認定されていたかもしれません〉と織田はいう。〈難民認定の判断が非常に厳しい日本へ来たばかりに、長い人生を休まることなく苦しみ続けています〉。
仮放免とは〈入管の収容所に拘束される対象であるけれども、一時的に社会で暮らすことを認められているという状態〉。だが〈健康保険や住民票を登録することなど生活するうえで必要な権利がありません。仕事をすることも禁止されています。移動には制限があり、となりの県に移動する自由がありません〉。
彼らは二週間〜二か月に一度の呼び出しに応じて延長手続きしなればならず、応じなければ逮捕され、①母国に強制送還されるか、②入管に収容されるかの二者択一を迫られる。どんなに煩わしくても、多くの人が仮放免申請をするのは、強制送還や収容よりはマシだからである。だが、その仮放免申請ですら通るのは難しい。
入管の収容施設がどれほど非人道的な場所かは、平野雄吾『ルポ入管――絶望の外国人収容施設』に詳しい。
絶望を生む入管の、第一の問題は収容期間の長さである。
特に東京五輪の招致が決まった後、非正規滞在者の取り調べは強化され、拘束期間も長期化。〈全収容者数の半数超に当たる六八〇人超が半年を超える長期収容となった(2019年6月時点)。三年、四年と収容されている外国人も多く、中には、拘束期間が約八年間に及ぶイラン人もいる〉。期限のない収容は精神の失調を誘発し、自殺や自殺未遂や自傷事件も相次いでいる。
絶望を生む第二の問題点は、施設内の処遇である。
入管による身柄拘束は〈刑法に触れた犯罪者としての拘束ではなく、交通違反と同様の行政処分で、送還を確実に実施するための身柄確保である〉。だが、それは刑務所と同じか、考えようによっては刑務所より悪い。〈入管施設では通常、集団の居室に入れられ、施設ごとに異なるが、一日5~6時間程度の自由時間を除き、居室内での生活を強いられる。外部との連絡はテレホンカードを利用した電話(30分二〇〇〇円ほど)とアクリル板で分断された部屋での一回30分の面会のみだ。刑務所と違い、作業はない〉。これがいつ終わるともわからぬ期間、延々と続くのだ。
送還に同意し出国すれば拘束は解かれるが、そもそも彼らは母国に「帰らない」のではなく「帰れない」から難民申請をしているのだし、家族が日本にいる人も多い。渡航費用も自己負担だ。それで同意を拒むと、収容が長期化する。
さらにはここに、およそ近代国家とは思えぬ対応が加わる。手錠をかける、複数の職員で身体を押さえつけるなど暴力によって収容者に服従を強いる「制圧」。職員に反抗的な態度を取ったり自傷行為をした者を狭い懲罰房に隔離する「懲罰」。体調の異変を訴えた収容者を医師にも診せず、医療行為もほどこさない「医療放置」。過剰な制圧による負傷事は後を絶たず、六人部屋に一七人を閉じ込めて二四時間以上施錠した監禁事件(18年、大阪入管)も報告されている。まるで明治の監獄、いや江戸時代の牢獄だ。
07年〜19年に、病死、自殺、ハンストによる餓死など、入管施設で死亡した外国人は一五人という。ウィシュマさんのようなケースはけっして例外ではなく、入管の日常だったのだ。
日本の都合で変わる移民政策
それにしても日本の入管は、なぜここまで非正規滞在者を虐待し、難民認定を渋り、収容や強制送還にこだわるのか。
古い制度に固執しているという体質の問題のほかに、そこはどうも日本の移民政策の変化がからんでいるようだ。
鳥井一平『国家と移民――外国人労働者と日本の未来』は、80年代以降の外国人(ニューカマー)の急増に言及する。
〈彼ら彼女らは、なぜ日本にやって来たのでしょう? それは、仕事があり、日本社会も労働力を必要としていたからです〉。〈彼ら彼女らは観光ビザで入国し、多くは観光ビザの期限も切れたオーバーステイの状態でした。しかし、彼ら彼女らを雇わなければこなしきれないほどの仕事が、当時はあったのです〉。
バブル期には、日本政府も「オーバーステイ容認」政策をとり、ピーク時の93年には三〇万人超のオーバーステイ労働者がいた。ところが、ひとたび不景気になると、政府は手のひらを返し、彼らを「不法滞在者」と呼んで逮捕し、入管の収容所に入れたり、強制送還にした。要はご都合主義である。
外国人労働者問題で無視できないのは、93年からスタートした「技能実習制度」である。タテマエこそ「開発途上国における人材育成のための研修」でも、それはただの単純労働者、それも低賃金で劣悪な環境を強いる「奴隷労働」に近かった。
『ルポ 入管』によれば、この技能実習制度の導入が非正規滞在者の排除につながったという。〈外国人労働力を確保できる算段がついたため〉である。こうして「必要悪」として黙認されてきた非正規滞在者は見捨てられるが、2010年以降、今度は難民申請者が急増する。技能実習生や留学生が、難民申請をしはじめたのだ。入管は「難民認定制度の誤用、濫用だ」というが、当時は申請すれば強制送還を免れ、半年たてば就労も可能だった。奴隷状態にある彼らがこの救済制度に逃げ込むのは必然だったと平野はいう。
読めば読むほど、フツフツと怒りが湧く入管制度。
〈外国人労働者が「取り締まりの対象」として見られたり、「日本人の雇用を奪う者」として色メガネで見られる大きな原因の一つは、政府のトップが「移民政策を取らない」と繰り返し発言していることです〉と『国家と移民』はいう。〈移民はすでに日本に大勢いるのに「本来はいない人、いるべきでない人」として扱われるので、そうした人たちに対して、警官や入管職員も「摘発しなくてはいけない」という使命感を持ってしまうのです〉。
その果てに、起きるべくして起きたウィシュマさんの事件。
拷問禁止委員会、自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会といった国連機関から日本の入管収容制度は再三批判されてきた。しかし、日本政府は無視し続けている。終わったばかりの東京五輪のテーマは「多様性と調和」だった。が、その裏で日本政府が何をやっていたかを考えれば「ざけんじゃねーよ」というしかない。
【この記事で紹介された本】
『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』
織田朝日、旬報社、2019年、1650円(税込)
〈どうしよう、私、きっと捕まる〉〈日本育ちなのに大人になったら収容される子どもたち〉(帯より)。著者は外国人支援団体「編む夢企画」を主宰し、東京入管を中心に面会活動、裁判、当事者アクションなどをサポートする。入管に収容された難民や、日本で生まれ育った難民の子どもたちの実態を、自身が出会った人々の話をまじえつつ紹介。小中学生にも理解できる易しい入門書。
『ルポ 入管――絶望の外国人収容施設』
平野雄吾、ちくま新書、2020年、1034円(税込)
〈密室で繰り広げられる暴行、監禁、医療放置〉〈巨大化する国家組織の知られざる実態〉(帯より)。著者は共同通信記者。医師の診察を受けられずに死亡したカメルーン人男性、自殺したインド人男性、ハンストで餓死したナイジェリア人男性……。数々の事件を核に入管の恐るべき実態を告発する。収容を経験した外国人たちの「あそこは無法地帯だった」という証言がすべてを物語る。
『国家と移民――外国人労働者と日本の未来』
鳥井一平、集英社新書、2020年、946円(税込)
〈横行する奴隷労働をどうする?〉〈もう移民社会は始まっている〉(帯より)。著者は外国人労働者をサポートするNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」代表理事。少子高齢化時代に入り、外国人労働者なしに成立しない日本社会の実態を踏まえ、移民と共生する道を探った好著。「使い捨て労働者」としてひどい扱いを受けた実例も多数紹介。未来に向けた提言も示唆に富む。
PR誌ちくま2021年10月号
2021年10月22日更新
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(2021年12月05日[日])
神保哲生さんのビデオニュースドットコムの記事【布川”冤罪”事件の悲劇を繰り返さないために/マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1078回) ゲスト 桜井昌司(さくらい しょうじ)氏 布川事件元被告人・冤罪被害者】(https://www.videonews.com/marugeki-talk/1078)。
《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏はまさに画に描いたような冤罪事件の被害者だ》。
ましてや、死刑執行されていては、冤罪死刑囚を生き返らせることは不可能だ。あまりに残酷だ、久間三千年(くま・みちとし)さんの死刑執行を思うと。
《検察による口封じ殺人》《国家による殺人》…。布川事件冤罪被害者・桜井昌司さん《無惨に殺された人の無念を晴らす。殺したのは誰か、検察庁です》と。当時の首相は麻生太郎氏、飯塚を含む福岡8区の出身。その麻生太郎内閣の法務大臣は森英介氏。2008年10月16日、足利事件のDNA再鑑定で、直ぐに、久間さんの死刑執行は停止されるべきだった ――― しかし、わずか10日ほど後の10月28日、死刑は執行された…。首相や法相、検察・警察の関係者、あまりに冷酷だ…。関わった裁判官も。《各裁判所は、弁護側が指摘したさまざまな疑問・矛盾を無視。結局、科警研の「MCT118型鑑定」によるDNA型鑑定をほぼ唯一の根拠とした死刑判決が確定した》。
《無実の罪で29年間の服役を強要された桜井、杉山両氏は刑事補償法に基づき1億3千万円(1日あたり1万2500円×365日×29年)と1審から上告審までにかかった裁判費用の約1500万円が支払われることになった》…刑事補償法では冤罪死刑囚にどう《補償》するのだろうか?
『●飯塚事件は《足利事件に続いて「DNA冤罪=DNA型鑑定を悪用した
冤罪」が発覚するのを恐れた検察による口封じ殺人ではなかったか……》』
布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、濡れ衣を着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さん。
《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない》《桜井氏が失った29年間の自由と、桜井氏やその家族が44年間背負い続けた「殺人犯」というレッテルの重荷は、いかなる形でも取り戻すことはできない》。布川事件…桜井昌司さんは《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》…検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定しました。54年の苦難にとても報いることはできませんが、その一部に少しでも報いられたとしたら、この判決を歓迎すべきかと思いました。検察や警察は《判決の結果を真摯に受け止め》、二度とこのような冤罪被害者が出ないよう、改善を約束すべきです。そのために何をすべきかを明らかにすべき。
『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、
検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》』
『●桜井昌司さん《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》
…検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定』
『●布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、
濡れ衣を着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さん』
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【https://www.videonews.com/marugeki-talk/1078】
【桜井昌司×宮台真司×神保哲生:布川”冤罪”事件の悲劇を繰り返さないために【ダイジェスト】】
(https://youtu.be/hNw7LAIUcpA)
布川”冤罪”事件の悲劇を繰り返さないために
マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1078回)
ゲスト
桜井昌司(さくらい しょうじ)氏
布川事件元被告人・冤罪被害者
1947年栃木県生まれ。1962年茨城県立竜ヶ崎第一高等学校中退。67年8月に起きた強盗殺人事件の犯人として逮捕・起訴され、78年に無期懲役が確定。29年間服役後、96年に仮釈放され土木建築会社に勤務。2011年水戸地裁の再審公判で無罪判決が確定。21年国と県への損害賠償訴訟に勝訴し7400万円の賠償命令を勝ち取る。著書に『俺の上には空がある広い空が』、『CDブック 獄中詩集 壁のうた』など。
概要
冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない。
桜井昌司氏はまさに画に描いたような冤罪事件の被害者だ。
齢74歳になる桜井氏は1967年、彼が20歳の時に突如逮捕され、捜査当局による嘘や改ざん、隠蔽などによって茨城県の布川で起きた殺人の自白に追い込まれた結果、20歳から49歳までの29年間、刑務所に入れられ自由を奪われることとなった。 いわゆる布川事件だ。
桜井氏は当初窃盗の容疑で逮捕された。本人の弁を借りれば、実際に窃盗には身に覚えがあったので、警察に逮捕された時は罪を認める覚悟をしていたが、殺人については桜井氏にはアリバイがあった。被害者が殺害されたとされる時刻、彼は東京の兄の家にいたのだ。しかし、警察は桜井氏の兄が、「その日は弟は来ていないと言っているぞ」という嘘の供述を桜井氏に示した上で、警察署内の代用監獄における長時間の厳しい取り調べと、「罪を認めれば助かるが、認めなければ死刑になるぞ」など、ありとあらゆる嘘や強要、誤導の限りを尽くし、共犯者と見做された杉山卓男氏とともに、桜井氏をやってもいない罪の自白に追い込んでしまう。
これも冤罪事件ではお決まりのパターンだが、警察は被疑者が実際にはやっていようがやっていなかろうが、とりあえず罪を認めれば、今この瞬間の辛く苦しい長時間の取り調べから解放されるという甘言と、実際には存在しない目撃者が大勢いるかのような嘘などで被疑者の抵抗する気力を奪い、被疑者を追い込んでいく。そして最後は「自分はやっていないのだから、いくら取り調べ段階で自白しても、裁判の場で無実が証明されるはず」という桜井氏の法律的な無知につけ込んで、自白に追い込んでいった。当時の桜井氏は、自身の供述が裁判で証拠になることすら知らなかったという。無論、桜井氏は公判で否認に転じたが、裁判では捜査段階での自白の任意性や具体性、信頼性などが認められ、桜井氏は杉山氏とともに無期懲役の判決を受けてしまう。
警察、検察は自分たちが描いたストーリーに沿って桜井、杉山両氏を自白させた上で、そのストーリーに沿った目撃証言などを用意したが、最終的にはこの事件では両氏の犯行を裏付ける物証は何もなく、事実上捜査段階での自白だけが有罪の決め手となった。いや、実際には数々の物証は存在したが、いずれの物証も両氏の犯行を裏付けていなかった。画に描いたような冤罪事件だった。
結局、桜井氏は杉山氏とともに最初の逮捕から29年間、服役した後、模範囚ということで1996年に仮釈放された。しかし、氏は自身の潔白を訴え服役中も支援者に手紙を書き続けた結果、徐々に支援者の輪が拡がり、氏の釈放から5年後の2001年、遂に2度目の再審請求でこの事件の再審が認められる。
再審の決め手となったのは、桜井氏を支援する弁護団が検察にこれまで開示されていない証拠の開示を求め続けた結果、いくつかの決定的な証拠が新たに開示されたことだった。新たに開示された桜井氏の自白を録音したテープを鑑定した結果、テープには13箇所の編集・改ざんの痕跡があることがわかったほか、自白内容と検死報告書では殺害方法が異なっているなど、実に初歩的なレベルで両氏の犯行を否定する証拠が次々と見つかった。警察と検察は桜井、杉山両氏が犯人ではないことを裏付ける証拠を保有していながら、それを何十年もの間、隠していたのだ。
そもそも唯一の証拠となった自白の任意性が揺らぎ、その他の間接的な証拠も嘘や偽計に基づいて得られたものであることが明らかになったのだから、両氏が無罪になるのは当たり前だった。そもそも桜井・杉山両氏の犯行を裏付ける証拠など最初から存在しなかったのだ。
桜井氏は2011年5月24日、再審公判で水戸地裁から無罪判決を受け、検察は最高裁まで争ったが、同年6月7日、最高裁が検察の特別抗告を棄却し、桜井、杉山氏の無罪が確定した。1967年の寝耳に水の逮捕から44年の月日が流れ、当時20歳だった桜井氏は64歳になっていた。
無実の罪で29年間の服役を強要された桜井、杉山両氏は刑事補償法に基づき1億3千万円(1日あたり1万2500円×365日×29年)と1審から上告審までにかかった裁判費用の約1500万円が支払われることになった。また、桜井氏が2012年に、冤罪の責任を追及するために国と茨城県を相手に起こした約1億9千万円の国家賠償請求訴訟では、裁判所が茨城県警と水戸地方検察庁の取調べの違法性を認め、2021年8月、東京高裁から国と茨城県に計約7400万円の賠償を命じる判決が下されている。
このように桜井氏が受けた不当な逮捕と強要された自白や捏造された証拠に基づく有罪判決、そしてその後の29年に及ぶ懲役に対しては、金銭的には補償が行われることになった。しかし、桜井氏が失った29年間の自由と、桜井氏やその家族が44年間背負い続けた「殺人犯」というレッテルの重荷は、いかなる形でも取り戻すことはできない。服役中だった桜井氏は両親を看取ることもできなかった。
現在74歳となった桜井氏は、冤罪を防止するための社会活動を積極的に行っている。しかし、裁判所から捜査の違法性が断罪され、多額の賠償責任まで負わされた警察と検察は、まったく反省などしてないと桜井氏は言う。無罪を示唆する証拠が次々と露呈しても、検察は桜井氏の弁護団の再審請求に対し、最高裁に特別抗告をしてまで徹底抗戦した。また、冤罪が確定した後で桜井氏が求めた損害賠償請求に対しても、検察は最後まで争う姿勢を崩さなかった。しかも、冤罪が確定した後も、警察と検察から謝罪の申し入れなどは一切ないと桜井氏は言う。
布川事件の再審無罪決定と相前後して、足利事件、氷見事件、志布志事件、そして村木厚子さんの郵便不正事件などで次々と衝撃的な冤罪が明らかになったことを受けて、公訴権を独占する上に、密室の取り調べが許される検察の暴走が冤罪を生んでいるとの批判が巻き起こり、2009年に民主党政権下で刑事訴訟制度の改正論議が始まった。しかしその後、政権が自民党に戻る中、一連の制度改正論議の結果として行われた2016年の刑事訴訟法の改正では、むしろ検察の権限が大幅に拡大されるという信じられないような展開を見せている。
冤罪事件の直後にはメディア上でも刑事訴訟制度への批判的な論説が多少は散見されるが、捜査機関から日々リーク情報をもらわなければ仕事が成り立たない記者クラブメディアは、基本的には警察、検察とは共犯関係にある。メディアが冤罪と隣り合わせにある自白偏重の人質司法制度にぶら下がっている限り、この問題が良い方向へ向かう可能性はほとんど期待できない。法律や制度の改正は政治の仕事だが、世論の後押しがないところで政治が司法制度に手を突っ込むのは不可能に近い。政治家にとっても警察や検察は怖い存在だからだ。そしてメディアが現在の刑事司法の実態を正しく報じ始めない限り、世論は人質司法という名の密室の中で何が起きているのかを永久に知ることができない。日本の刑事司法制度の後進性や非人道性は国連の拷問禁止委員会から度々改善勧告を受けるなど国際的にも断罪されているのだ。
末期ガンに侵されながらも冤罪防止活動で発信を続ける桜井氏は、現行の刑訴法の下では、むしろ冤罪が増え、桜井氏のような被害者が増えることが懸念されると、怒りを隠さない。
今週は戦後の冤罪事件史の中でも最悪の部類に数えられる布川”冤罪”事件の当事者である桜井昌司氏に、なぜやってもいない犯行を自白してしまったのか、その自白の結果、自身のその後の人生がどのようなものになってしまったのか、44年もの間、諦めることなく自身の潔白を訴え続ける力はどこから湧いてきたのかなどについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。
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阿部岳さんの、沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]「中世」司法からの逃亡】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/518471)。
《▼かつて、国連の会議で他国から司法制度を「中世的」と批判された日本の大使が「シャラップ(黙れ)」と逆ギレしたことも。恥の上塗りをいつまで続けるのか》。
「日本の司法は中世なみ」事件…国連の拷問禁止委員会での上田秀明人権人道大使が「shut up!(黙れ!)日本は人権先進国の一つだ」と発言。《日本の前時代的な刑事司法制度を笑われて「シャラップ」と言い放つ始末》…。ニッポンが《人権先進国》!
『●それでも自公政権が支持されるのはいったいなぜ?
信じ難い現実…』
《「左翼のクソ」に「シャラップ」 日本で要人の失言が相次ぐわけ
…ジュネーブで開かれた国連の拷問禁止委員会でのこと。
日本が行っている死刑や被疑者の長期勾留などにアフリカ・
モーリシャスの委員から、「日本は中世か」と問われたことに
対し、外務省から派遣されている上田秀明人権人道大使が
「shut up!(黙れ!)日本は人権先進国の一つだ。」と発言していた
ことが明らかになった。失言にもいろいろあろうが、今週はTPPに
反対したり、被曝対策に取り組む市民を「左翼のクソ」呼ばわり
したかと思うと、日本の前時代的な刑事司法制度を笑われて
「シャラップ」と言い放つ始末である》
『●「緊急対談 辺見庸×佐高信」 『週刊金曜日』
(2014年4月11日、987号)についてのつぶやき』
「青木理さん【司法を正す第8回 日弁連えん罪原因究明
第三者機関ワーキンググループ副座長 小池振一郎弁護士
盗聴法の強化拡大など焼け太り狙う法務官僚】、
《刑事司法改革…端緒は郵便不正事件…法務省に都合よく集約…
日本の司法は中世なみ…。…上田秀明…大使は色をなし、
こう言い放った…「笑うな。なぜ笑うんだ。シャラップ、
シャラップ!」 小池弁護士が振り返って言う。
「本当にみっともない。国際的に恥ずかしい状況でした。
…日本の刑事司法はドマ委員の指摘通りなんですから…」》。
「日本の司法は中世なみ」事件」
こんな方が《人権人道大使》ねぇ? 《日本の司法は中世なみ》《日本の前時代的な刑事司法制度》《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的》……そのニッポンの《「中世」司法からの逃亡》。
『●教員について密告させ、労組を監視する=
自公支持者の皆さんの大好きな「超・監視管理社会」』
『●「検察・警察も冤罪防止のために“前向き”」?…
刑事訴訟法の「改正案が成立すれば、新たな冤罪を生む」』
『●青木理さん「供述が立証の柱…もっと物証が欲しい。
「通信傍受を縦横無尽に使いたい。司法取引も」と…」』
『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…代用監獄…
人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚』
『●検察による恣意的・意図的な証拠の不開示、証拠の隠蔽や
喪失、逆に、証拠の捏造…デタラメな行政』
『●《「自白の強要をされたという認識に変わりはない」と反論
…いまだにこんな水掛け論になるのかと嘆かわしい》』
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【https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/518471】
[大弦小弦]「中世」司法からの逃亡
2020年1月6日 07:30
刑事弁護のレジェンドと呼ばれる高野隆弁護士が、自らの活動の場である日本の司法に対して「殺意に近いものを感じた」とブログに記している。前日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告の弁護人を務めてきた
▼保釈を勝ち取ったものの、妻との面会さえ許されない。やっと許可を得たのが自身が立ち会うパソコン画面越しの対話、という人権侵害を目の当たりにした
▼ゴーン被告の海外の弁護士は国連に救済を申し立てた。容疑者が罪を自白するまで捜査当局が拘束を続ける日本の「人質司法」を巡り、国連は何度も改善を勧告している
▼かつて、国連の会議で他国から司法制度を「中世的」と批判された日本の大使が「シャラップ(黙れ)」と逆ギレしたことも。恥の上塗りをいつまで続けるのか
▼億万長者であるゴーン被告の逃亡に共感はしない。今後裁判所が保釈に慎重になれば、持たざる者が一層人質にとらわれることになる。ただ、逃亡、後進性の暴露と、今回の事件が日本の司法にとって二重の敗北であることは動かせない
▼せめて国際人権基準が認める制度に変える一歩にしよう。その道は、米軍の容疑者を日本側に引き渡す日米地位協定の改定や、2カ国にとどまる犯罪人引渡条約の締結拡大にもつながる。人権侵害も特別扱いもない制度は、全ての人の利益になる。(阿部岳)
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桐山桂一さんによる、東京新聞のコラム【【私説・論説室から】弁護士立ち会い権は?】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019101402000160.html)。
《「日本の刑事司法制度は国際的水準に達していない」…女子大生は「自白の強要をされたという認識に変わりはない」と反論している。いまだにこんな水掛け論になるのかと嘆かわしい》。
『●教員について密告させ、労組を監視する=
自公支持者の皆さんの大好きな「超・監視管理社会」』
『●「検察・警察も冤罪防止のために“前向き”」?…
刑事訴訟法の「改正案が成立すれば、新たな冤罪を生む」』
『●青木理さん「供述が立証の柱…もっと物証が欲しい。
「通信傍受を縦横無尽に使いたい。司法取引も」と…」』
『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…代用監獄…
人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚』
『●検察による恣意的・意図的な証拠の不開示、証拠の隠蔽や
喪失、逆に、証拠の捏造…デタラメな行政』
《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…代用監獄…人質司法》…《日本の刑事司法制度は国際的水準に達していない》。「人質司法」は未だに《国際的にも悪評が高い》。《弁護士の立ち会い…多くの国・地域で認めている制度》であるにもかかわらず、ニッポンでは認められていない。《録音・録画(可視化)》もほとんど進まず、《事後検証が不可能に近い》。
《弁護士の立ち会いが任意段階から認められていれば、誤認逮捕という人権侵害もなかったはずだ》。
青木理さんが仰っているように、刑事司法改革の原点は「大阪地検特捜部の証拠改竄事件」、村木厚子さんの冤罪事件。《今回の新制度導入の原点をさかのぼると、大阪地検特捜部の証拠改竄事件に行き当たる......と書けば、勘のいい読者はハテ?と首をかしげるだろう。前代未聞というべき検察の大不祥事がいったいなぜ、捜査機関の権限拡大につながってしまったのか、と。…だが、諮問会議の事務局を担う法務省などは議論を巧みに骨抜きにした。…こうした"屁理屈"が主流の議論となり、取り調べの可視化などは極めて例外的な事件に限定する一方、盗聴法(通信傍受法)の大幅強化や司法取引の導入などが決まってしまったのである》。
本当にこの国はどうしようもない。《テレビの報道のあり方は酷かった。中島岳志さんが言うように《死刑のショー化・見世物化》。このリテラの記事でも、《それはまるで「中世の見世物」か何かかと思えるほど“ショー化”》と指摘》。《日本の司法は中世なみ》…司法改革を経ても、ブログ主には、何も変わっていないように見える。
『●それでも自公政権が支持されるのはいったいなぜ?
信じ難い現実…』
《「左翼のクソ」に「シャラップ」 日本で要人の失言が相次ぐわけ
…ジュネーブで開かれた国連の拷問禁止委員会でのこと。
日本が行っている死刑や被疑者の長期勾留などにアフリカ・
モーリシャスの委員から、「日本は中世か」と問われたことに
対し、外務省から派遣されている上田秀明人権人道大使が
「shut up!(黙れ!)日本は人権先進国の一つだ。」と発言していた
ことが明らかになった。失言にもいろいろあろうが、今週はTPPに
反対したり、被曝対策に取り組む市民を「左翼のクソ」呼ばわり
したかと思うと、日本の前時代的な刑事司法制度を笑われて
「シャラップ」と言い放つ始末である》
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019101402000160.html】
【私説・論説室から】
弁護士立ち会い権は?
2019年10月14日
日弁連は徳島で開催した人権擁護大会で、取り調べの際、弁護人の援助を受ける権利の確立を求める宣言を採択した。その前提には「日本の刑事司法制度は国際的水準に達していない」という認識がある。
例えば密室での取り調べは「冤罪(えんざい)の温床」とかねて批判されてきた。捜査機関は長時間の取り調べを行って、捜査官の見立てに沿った供述をするよう強要したり、誘導したりするケースがある。「人質司法」と呼ばれ、国際的にも悪評が高い。
確かに取り調べの録音・録画(可視化)は六月から義務化されたが、全事件のわずか3%にすぎない。依然として問題は残る。これを是正するのが、弁護士の立ち会いで、多くの国・地域で認めている制度である。
七月には愛媛県警が窃盗事件で女子大生を誤認逮捕した。今月三日に「裏付け捜査を怠ったことが原因」との調査結果を明らかにした。ただ、尊厳を侵害するような取り調べはあったものの、「任意性を欠く違法な取り調べはなかった」と自白の強要は否定した。
女子大生は「自白の強要をされたという認識に変わりはない」と反論している。いまだにこんな水掛け論になるのかと嘆かわしい。「密室」でのやりとりゆえに、事後検証が不可能に近いからだ。弁護士の立ち会いが任意段階から認められていれば、誤認逮捕という人権侵害もなかったはずだ。 (桐山桂一)
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東京新聞の記事【自民 国会デモ規制検討 ヘイトスピーチ 街宣対策に併せ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014082802000256.html)。
まず、結論。国会デモとヘイトスピーチとをミソクソにする国会議員の感性に呆れはて、そして、「テロリスト」「状況はコントロールされている」「完全にブロック」「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」という発言も相当に「恥ずかしい」。
『●「数十万人単位のテロリスト」のいる
「そんな国の与党の首脳」が隠蔽法の本音をポロリ』
「国会周辺での大音量の街宣やデモに対する規制も併せて議論する方針を確認した。高市早苗政調会長は・・・・・・」・・・・・・さ~すが、抗議している市民に向かって「テロリスト」呼ばわりする自民党である。ヘイトスピーチとミソクソ(もちろんクソはヘイトスピーチ)にするとは、呆れます。そりゃ、ヘイトスピーチしている人たちは泣いて喜ぶでしょうよ。デモをやっている人達はたまったものではありません。高市氏や自公議員の頭の中身を覗いてみたい。
「高市氏は二〇二〇年の東京五輪開催を見据え「特定の国家や民族を口汚くののしるのは日本人として恥ずかしい」と強調」・・・・・・そりゃ~、相当に恥ずかしいです。その件は、国連にまで恥を曝したのですから。以前別件で、国連の拷問禁止委員会でも・・・・・・:
「日本が行っている死刑や被疑者の長期勾留などにアフリカ・
モーリシャスの委員から、「日本は中世か」と問われたことに対し、
外務省から派遣されている上田秀明人権人道大使が
「shut up!(黙れ!)日本は人権先進国の一つだ。」と発言」
(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/b10639d941800e71bd52f8fb2bf4ce9a)
・・・・・・しておられ、世界中に恥を曝しています。日本の司法制度等は「中世か」とまで呆れられたわけで、さらに上田氏の発言で恥の上塗り。
一方で、国際社会に向かって五輪招致したいがために「状況はコントロールされている」「完全にブロック」とウソ吐きすることや、また、原発を再稼働して原発輸出したいがために福島で苦しむ人々に向かって「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」という寝言をいうことも、これまた相当に「恥ずかしい」。アベ様や高市早苗氏にはその自覚さえも欠けており、「戦時性奴隷」という歴然とした事実が無くなる訳でもない「朝日新聞の記事撤回」を鬼の首でも取ったかのごとく責め立てる前に、自身の発言についての自省の方が重要ではないのか?
『●世界に向けて
「汚染水漏えい問題はない」と言い切ってしまったょ・・・・・・』
『●放射能汚染で「太平洋は終わり」との声が出るほどの
重大事故だというのに、この国は・・・・・・』
『●「開催権返上の決断」:
「完全にブロック」「情況はコントロール」されてはいない我国こそ』
『●東京五輪と東電原発人災の現実:
「現実には放射性セシウムはブロックされず、海を汚し続けている」』
『●東京五輪と東電原発人災の現実: 「ダダ漏れは数字で歴然」・・・・・・』
『●反省なき自民党を体現:
「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」』
『●彼・彼女らに投票した人達は何も感じないのだろうか?』
『●「原発さえなければ」を福島地裁が認定:
原発「事故によって死亡者が出ている状況ではない」という寝言』
『●アベ様の頭は氷やドライアイスでは冷えず:
凍土壁で「完全にブロック」・・・できそうにもない』
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014082802000256.html】
自民 国会デモ規制検討 ヘイトスピーチ 街宣対策に併せ
2014年8月28日 夕刊
自民党は二十八日、「ヘイトスピーチ」と呼ばれる人種差別的な街宣活動への対策を検討するプロジェクトチームの初会合を党本部で開き、国会周辺での大音量の街宣やデモに対する規制も併せて議論する方針を確認した。高市早苗政調会長は「仕事にならない状況がある。仕事ができる環境を確保しなければいけない。批判を恐れず、議論を進める」と述べた。警察庁の担当者は国会周辺での拡声機の使用を規制する静穏保持法に基づく摘発が年間一件程度との現状を説明した。
一方、ヘイトスピーチの規制に関しては新規立法が必要かどうか検討を進める。高市氏は二〇二〇年の東京五輪開催を見据え「特定の国家や民族を口汚くののしるのは日本人として恥ずかしい」と強調した。
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gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/142948)、asahi.comの社説(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2、6月18日)、東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013061902000107.html)、そして神保哲生さんのvideonews.comの記事(http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002818.php)。
「元外務審議官の田中均氏のインタビュー記事(12日付毎日新聞)に激高し、フェイスブックに「彼に外交を語る資格はありません」と書き込んだ」そうだ。また、以前にもブログで取り上げましたが、「渋谷で都議選の応援演説を行った安倍首相は9日、自身のフェイスブックとツイッターに「聴衆の中に左翼の人達が入って来ていて、マイクと太鼓で憎しみ込めて(笑)がなって一生懸命演説妨害してましたが、かえってみんなファイトが湧いて盛り上がりました」などと投稿」しています。
『●原発推進派がやっていることこそ「恥」』
「エネルギー「白書は政府が毎年度出す「公式の記録」だが、
東日本大震災後の脱原発の動きをほぼ消し去っている」そうだ。
まったく「恥」とか、「恥ずかしい」とかいう概念は無いのかな?
「TPPや原発に反対していた人たち」と、
一体どっちが「恥ずかしい大人の代表たち」だ?」
なんか、安倍首相や自公政権の言っていることは支離滅裂だと思うんですが・・・・・・でも、都議選の結果などを眺めていると、それが支持されているようなのですから、ますます意味が分かりません。
昔、NHKに圧力をかけるという事件があって、そのことを思い出しました。
『●『創(2009年12月号)』読了(1/2)』
「綿井健陽さん・・・「報道やジャーナリズムに携わる者が、
「言論・報道の自由」という言葉を抵抗手段として公に訴える場合は、
それは対国家、対公権力に向けて使うべきだと私は考えている。
たとえばNHKの「ETV番組改編問題」のときの
安倍晋三や故・中川昭一ら国会議員(当時)の対応、古くは毎日新聞
西山太吉記者(当時)の沖縄返還密約記事での逮捕・有罪、
最近では映画『靖国』上映中止問題のときに国会議員らが試写要求と
文化庁に口出しや取材対象者に接触する行為など、これらは
「言論・報道の自由」の問題として、それこそ良い意味での
〝メディア・スクラム〟でもって対応すべき出来事だった」
『●『官僚とメディア』読了(3/3)』
「朝日新聞の誤報などでは決してない「番組改変が政治的圧力によって
行われた」間違いのない事実(p.150、『国家とメディア』)。
「NHK・・・らが中川昭一・経産相(当時)、
安倍晋三・自民党幹事長代理(当時)内閣総理大臣に呼ばれ、
・・・などと放送中止を求める発言もした」。
「中川はNHKに事前に圧力をかけたことをはっきり認めている。
これだけはっきりしゃべったことを後でひっくり返すのは、
無責任極まりない態度だと言うほかない」(p.167)。
辰濃哲郎記者の〝無断〟録音〝事件〟。「・・・辰濃の名誉は
どうなるのだろう。ことの真相を伏せられ、必要以上の汚名を
着せられたまま退社処分になった彼の人権はどうなるのか」(p.170)」
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【http://gendai.net/articles/view/syakai/142948】
安倍首相 異常で異様な言論弾圧
野党はなぜ黙っているのか!?
<元外交官の論評に逆ギレ>
コイツ、大丈夫なのか。誰もが唖然としたのが安倍首相のフェイスブックだ。元外務審議官の田中均氏のインタビュー記事(12日付毎日新聞)に激高し、フェイスブックに「彼に外交を語る資格はありません」と書き込んだ一件である。
田中均氏といえば、2002年の小泉訪朝の際に、北とのパイプ役になった人物だ。北との融和路線を模索し、日朝共同宣言を後押しした。強硬路線だった安倍とは当時から対立しているのだが、それにしたって、安倍の過剰反応にはビックリしてしまう。田中氏が語ったのはごくごく当たり前の論評だからだ。
「安倍晋三首相の侵略の定義や河野談話、村山談話を
そのまま継承するわけではないという発言や、麻生副総理らの
靖国参拝、日本維新の会の橋下徹共同代表の従軍慰安婦についての
発言などで、(日本は)いわゆる右傾化が進んでいると思われだしている」
「飯島さんの訪朝がスタンドプレーだとは言わないが、そう見られてはいけない」
「日本が自己中心的な、偏狭なナショナリズムによって動く国だ
というレッテルを貼られかねない」
別に田中氏の肩を持つわけじゃないが、主張はいちいち、もっともだし、的外れであったとしても、言論の自由だ。なのに、安倍は「外交を語る資格がない」と田中の言論活動そのものを否定した。「外交官として決定的判断ミス(をした)」とも書き込み、ヒステリックに騒いだ。これはどう考えたって異常だ。
「安倍さんは興奮すると、抑えられなくなってしまう。とくに中国、
北朝鮮にはナーバスで、“脅しに屈しない”などと騒いだりする。
今度も、そんな危うさが見えてしまった」
与党関係者ですら、こう言っているのだ。当の田中氏にコメントを求めると、「この件では取材に対応しないことにしている」とスタッフが答えた。元外交官の天木直人氏はこう言った。
「言論を否定するような書き込みは論外ですが、安倍首相に
してみれば、痛いところを突かれたのも間違いない。本当は飯島訪朝で
拉致問題を進展させたかったのに米国に釘を刺されて、動けなくなった。
そこをよりによって拉致問題で対立してきた田中氏に突かれたものだから、
余計に冷静さを失ったのでしょう」
いずれにしたって、安倍の書き込みは致命傷だ。世界はますます、奇異の目で見るだろうし、野党は国会で徹底追及し、平気で言論弾圧する最高権力者を追放しなければウソである。================================================================================
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【http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2、6月18日】
2013年6月18日(火)付
首相の反論―異論受けとめる度量を
「彼に外交を語る資格はありません」
安倍首相がフェイスブック(FB)に書き込んだ一言が波紋を広げている。
「彼」とは、日本人拉致問題で北朝鮮との交渉経験をもつ田中均元外務審議官のことだ。
元外交官とはいえ、いまは民間人である。一国の首相がネットで個人攻撃を繰り広げる光景は、尋常ではない。
発端は毎日新聞に掲載された田中氏のインタビューだ。
田中氏は、河野談話や村山談話をめぐる首相の発言や、閣僚の靖国参拝、橋下徹・大阪市長の慰安婦発言などを挙げ、「(日本は海外から)右傾化が進んでいると思われ出している」と懸念を示した。
首相のFBは、これへの反論として書かれたものだ。ただし、右傾化問題には触れず、02年にあった田中氏との意見対立を紹介している。
北朝鮮から一時帰国した拉致被害者5人を送り返すかどうかをめぐり、当時、外務省で交渉当事者だった田中氏は「返すべきだ」と主張した。一方、官房副長官だった安倍氏は「日本に残すべきだ」と判断。結局、小泉首相の決断で日本にとどまることになった――。
安倍氏は「外交官として決定的判断ミス」と指摘し、田中氏に外交を語る資格はない、と決めつけた。
だが、この批判は筋違いだ。
田中氏は外交官として、政治家が決断するための選択肢を示したのであり、小泉首相が下した最終的な結論にはもちろん従っている。
そもそも、この問題と田中氏が指摘した右傾化問題とどういう関係があるのか。
安倍政権になってから日本を見る海外の目が厳しくなったという指摘は、首相にとって愉快ではなかろう。
だが、首相がこんな態度をとれば、耳に痛い意見は届きにくくなる。それで正しい判断ができるだろうか。
外交に限らず、政策論議は自由闊達(かったつ)に行う。民間の意見にも耳を傾ける。その上で最終決断は首相が下す。それこそ、民主主義国の強さだろう。
首相は5月の国会答弁で、特定の集団をおとしめたり暴力や差別をあおったりするヘイトスピーチ(憎悪表現)が増えていることについて「どんなときも礼儀正しく、寛容で謙虚でなければならないと考えるのが日本人だ」と語った。
異論も取り込んで政策の厚みを増していく。首相にはそんな度量がほしい。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013061902000107.html】
首相、元外務官僚をFBで非難 党内外から批判相次ぐ
2013年6月19日 朝刊
安倍晋三首相が交流サイト「フェイスブック」で元官僚を名指しで非難する異例の書き込みを行い、民主党の細野豪志幹事長との批判合戦に波及している。与党内からは首相に自制を求める声が出ている。
首相は十二日、フェイスブックへの書き込みで、二〇〇二年に拉致被害者五人が「一時帰国」した際、北朝鮮に帰すべきだと主張した田中均・元外務審議官を「外交官として決定的判断ミスと言える。それ以前の問題かもしれない。彼に外交を語る資格はない」と厳しく非難した。
細野氏は十五日、フェイスブックで、首相の田中氏批判を取り上げ、「最高権力者が持つ強大な権力を考えた時に、あのような発信は自制すべきだ」と求めた。「自民党には首相の発信をいさめる人すらいない」とも書き込んだ。
すると、首相は細野氏への批判をまたもフェイスブックで展開。細野氏について「的外れな批判。私の厳しく的確な反論を封じようとの意図だ」と書き込むと、今度は細野氏が「首相自身が的外れな回答をしている。私が懸念するのは表現の自由だ」と反発した。
首相は以前にもフェイスブックの書き込みで、記者や街頭活動中の市民団体を非難したことがある。田中氏をめぐる応酬も収まる気配はない。
自民党の小泉進次郎青年局長は十八日、首相の田中氏に関する書き込みについて「個人の名前を挙げて反論、批判はすべきでない」と記者団に強調。「首相が何をやっても批判されるのは宿命。(首相としての)結果を出すことに専念した方がいい」と求めた。
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【http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002818.php】
ニュース・コメンタリー (2013年06月15日)
「左翼のクソ」に「シャラップ」
日本で要人の失言が相次ぐわけ
数週間前に橋下徹大阪市長の従軍慰安婦発言が波紋を広げたことは記憶に新しいが、今週もまた政府要人の失言が相次いだ。しかも、今回のその内容は、少々次元が違う。次元が低いのだ。
まずは安倍首相。渋谷で都議選の応援演説を行った安倍首相は9日、自身のフェイスブックとツイッターに「聴衆の中に左翼の人達が入って来ていて、マイクと太鼓で憎しみ込めて(笑)がなって一生懸命演説妨害してましたが、かえってみんなファイトが湧いて盛り上がりました」などと投稿した。首相の隣で演説をしていた団体は左翼団体ではなく、TPP交渉参加に反対する市民団体だったと言われている。
首相はその書き込みを一旦は削除したが、既にそれがリツイートなどで広がっていることを知ったためか、再びそれをあげなおしたという。
続いて、復興庁の水野靖久参事官が、福島県の被曝対策に取り組む市民団体の集会に出席後、「左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせられる集会に出席。感じるのは、相手の知性の欠如に対する哀れみのみ」と匿名のアカウントでツイッターに投稿していることが明らかになり、13日、復興庁は水野氏を被災者支援担当から外す処分を行った。
そして極めつけは、先月22日にジュネーブで開かれた国連の拷問禁止委員会でのこと。日本が行っている死刑や被疑者の長期勾留などにアフリカ・モーリシャスの委員から、「日本は中世か」と問われたことに対し、外務省から派遣されている上田秀明人権人道大使が「shut up!(黙れ!)日本は人権先進国の一つだ。」と発言していたことが明らかになった。
失言にもいろいろあろうが、今週はTPPに反対したり、被曝対策に取り組む市民を「左翼のクソ」呼ばわりしたかと思うと、日本の前時代的な刑事司法制度を笑われて「シャラップ」と言い放つ始末である。
なぜ要人の失言が後を絶たないのか。そしてまた、なぜ失言の中身がこうも低次元なのか。ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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