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Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●(悪)夢よもう一度?: こっそり「高温ガス炉」と呼んでいるが、それは原発であり「高温ガス原子炉」

2014年10月01日 00時00分33秒 | Weblog


東京新聞の二つの記事【新型原子炉 見えぬ実用化 政府、再開申請へ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014091902000154.html)と、
【拡大再生エネ 生かせず 広がる受け入れ制限】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014092602000124.html)。

 他紙のタイトルにある「高温ガス炉」というのは誤解を呼ぶ。冷却剤として水を使わず、ガスを使うというだけで、「高温ガス炉」は原子炉である・・・・・・「東京電力福島第一原発事故を受けて運転を中止していた新型原子炉の一つである高温ガス炉「高温工学試験研究炉」(HTTR、茨城県大洗町)の再開に向けて動きだした。原子力への国民の不安が払拭(ふっしょく)されないまま実用化のめどが立たない研究に多額の税金を費やすのは一兆円以上をつぎ込んで頓挫している高速増殖原型炉「もんじゅ(福井県敦賀市)の二の舞いになりかねない」。

   『●原子力ムラ復権阻止を! 今なら引き返せる!!

 「拡大再生エネ 生かせず 広がる受け入れ制限・・・・・・人口の多い都心部に余った電気を送る施設を増強する必要もありそうだ」・・・・・・ということで、東京電力原発人災以降の電力会社の手抜きであり、再生エネルギーを普及させたく無いがための策である。再稼働は不要であることの裏付けでもあり、この再生エネ受け入れ制限を「原発再稼働」へ繋げさせてはいけない。金子勝さんが仰っていたが、「電力不足だから再稼働」と言っていたことと、甚だしく矛盾している。

   『●関西電力大飯原発再稼働差し止め、画期的勝訴:
               もし敗訴していたら大変なことに・・・・・・
   『●「上級審では国側が勝つこの国の裁判」・・・・・・
            今度こそ、福井地裁の名判決を活かしたい
   『●関西電力の「原発再稼働」への言い訳にさせてはいけない


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014091902000154.html

新型原子炉 見えぬ実用化 政府、再開申請へ
2014年9月19日 朝刊
 

 写真

 (↑ブログ主注: すいません、勝手にコピペ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/images/PK2014091902100048_size0.jpg])

 政府が十八日、東京電力福島第一原発事故を受けて運転を中止していた新型原子炉の一つである高温ガス炉「高温工学試験研究炉」(HTTR、茨城県大洗町)の再開に向けて動きだした。原子力への国民の不安が払拭(ふっしょく)されないまま実用化のめどが立たない研究に多額の税金を費やすのは一兆円以上をつぎ込んで頓挫している高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の二の舞いになりかねない。

 世耕弘成官房副長官は十八日の記者会見で、HTTRの運営主体の日本原子力研究開発機構(原子力機構)が十一月、原子力規制委員会に新規制基準に基づく運転再開のための審査を申請する見通しを表明。「安全性、経済性に優れているとされ、早期の運転再開が必要だと認識している」と述べた。文部科学省はHTTRの運転再開のため、二〇一五年度政府予算で十六億円を概算要求している。

 従来の原発(軽水炉)が核燃料の冷却に水を使うのに対し、高温ガス炉は気体のヘリウムなどを用いる。

 安倍政権は四月に閣議決定したエネルギー基本計画に、高温ガス炉の研究開発推進をもぐり込ませた。原子力機構はもんじゅの運営主体であり、自民党の河野太郎衆院議員は「もんじゅがだめだから高温ガス炉を突然入れてきた。予算確保が見え見えだ」と批判していた。

 九州大の吉岡斉(ひとし)教授(原子力政策)は「今やる理由が分からない。原子力機構は他に動かせそうなものがないから、研究機関としての稼働度を上げるために高温ガス炉に目を付けたのでは」と指摘した。

 政府は三〇年に高温ガス炉の実用化を目指しているが、成功しても「核のごみ」は発生する。最終処分場が見つかる見通しはなく行き場のない核のごみは増え続ける。安倍政権は一二年の衆院選公約に脱原発依存を掲げ、原発依存度を下げると繰り返し表明しているが、逆行する動きとなる。 (宮尾幹成)


 <高温ガス炉> 原子炉内に水を循環させて沸騰させる「軽水炉」に対し、ヘリウムなどの気体を加熱してタービンを回す。事故を起こしても核分裂反応が自動的に止まり、核燃料を空気で自然に冷却できるなど、軽水炉より安全性が高いとされる。一方、扱う温度が高く原子炉内の材料の耐久性など技術的に難しい点も多い。高温工学試験研究炉は1991年に着工し98年に核分裂が持続する「臨界」を達成。2011年の福島原発事故後は運転を停止した。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014092602000124.html

拡大再生エネ 生かせず 広がる受け入れ制限
2014年9月26日 朝刊

 九州電力が二十五日、太陽光などでつくった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づく契約の受け付けを、一般家庭用を除き九州のほぼ全域で中断した。東北電力の海輪誠(かいわまこと)社長もこの日、契約受け付けの中断を検討する方針を表明。東京電力も「送電線の受け入れ容量を超えた」として二月以降、群馬など多くの地域で順次買い取りを制限している。再生可能エネルギーの普及が期待される中、受け入れを制限する動きが相次いでいる。 (木村留美)

 九州電力は受け付け中断の理由について「太陽光発電が急増し需給のバランスが崩れる恐れが出てきた」と説明した。七月までに契約した太陽光と風力の出力の総量は千二百六十万キロワット。これは、管内で使用量が少なくなる春や秋のピーク時間帯の需要約八百万キロワットを上回る規模。夏のピーク時間帯の需要との比較でも約80%に迫る計算になる。

 だが、九電によると太陽光は昼と夜、天候によって発電量の変動が大きく、こうした不安定な電力を多く受け入れると「周波数が乱れて家電や機械が正常に動かなくなったり、停電を引き起こしたりする可能性がある」(担当者)。現状で全体の発電量に占める比率は限られるが、再生可能エネルギーだけを急激に上げるのは難しいという。

 一方、東電は太陽光発電施設が集中し、送電線の受け入れ容量が足りなくなる地域が出てきた群馬、栃木、茨城、千葉、山梨の各県で買い取りの制限を開始。群馬県では「送電網を増強する費用を負担する企業には優先的に送電線への接続を認める」という取り組みも始めた。

 ただ、九電などに比べて契約者は多く「太陽光発電などによる電気の供給が需要を上回る事態は考えにくい」(業界関係者)。今後は送電網を増強する費用を電力会社が負担するのか、電気を売って利益を得る発電事業者が出すのかを明確にすることが課題になる。

 このほか東北電の海輪社長は二十五日の記者会見で、九電と同様の理由で契約受け入れ中断を検討する考えを示した。送電網に蓄電池を備えて出力変動の影響を小さくし、受け入れ可能量を増やすことを検討する。

 北海道電力では地区によって事前の相談で「受け入れは難しい」と断る事例も出てきているという。

 国内では企業などが買い取り価格の高さを評価し、政府などの想定を上回るペースで再生可能エネルギーの普及が進む。ドイツなどでは価格を見直した例があるが、日本では太陽光発電などの施設は地方に多い人口の多い都心部に余った電気を送る施設を増強する必要もありそうだ
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●『朝日』潰しに夢中: 原発再稼働や輸出を進めるアベ様には「制御を失った原発の実相」が見えていない

2014年09月15日 00時00分55秒 | Weblog


東京新聞の二つの記事【原発事故調書19人分公開 情報入らず誤認の連鎖】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014091290070157.html)、
【事故教訓 安倍政権顧みず 再稼働推進 調書把握後も】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014091202000157.html)と、
コラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014091202000143.html)。

 吉田調書報道のうち、職員の「命令違反の撤退」について『朝日』が記事を撤回し、謝罪した。この件で『朝日』が悪いのは自明だが、『朝日』潰しに夢中のアベ様のほくそ笑みが腹立たしいし、それに便乗しての『産経』や『読売』などのハシャギぶりが大変に不快。今後も、『産経』や『読売』が報じない原発批判・アベ様批判のしっかりとした記事に期待するし、『朝日』が「ベ様の犬HK」化しないことを切に祈る。

   『●『朝日新聞』が「アベ様の犬HK」化しないことを望む:
          相対的に「大変にマシな報道機関」はどこか?

 アベ様はこの吉田調書全文を見ているはずで、それでも原発推進・原発輸出をしようというのだから呆れる。東京新聞の記事で、それら調書の断片を見ただけでも恐怖を感じるのに、アベ様は調書の内容を理解できているのだろうか?
 「「我々のイメージは東日本壊滅ですよ」・・・・・・「がれきが吹っ飛んでくる中で、一人も死んでいない。私は仏様のおかげとしか思えないんです」。一流の技術者をしてそう言わしめる。それが、制御を失った原発の実相」・・・・・・『朝日』潰しや原発再稼働・輸出にばかり夢中なアベ様には「制御を失った原発の実相」「死と破滅が本当に紙一重で存在していた現実」が見えていない。

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014091290070157.html

原発事故調書19人分公開 情報入らず誤認の連鎖
2014年9月12日 07時01分

 政府は十一日、東京電力福島第一原発事故をめぐり、政府事故調査・検証委員会が実施した故・吉田昌郎(まさお)元福島第一所長=二〇一三年七月死去=や菅直人元首相ら十九人への聴取記録(調書)を公開した。吉田氏は全電源喪失で原子炉の状況がほとんどつかめず、暴走する複数の炉への対応に翻弄(ほんろう)され、「絶望」と「焦り」に支配されていたと証言。官邸側でも、情報が入らず誤認の連鎖に陥っていた状況が浮かび上がった。

 原発は、弁の操作やポンプの駆動、情報の収集まで電気で制御されている。事故対応マニュアルも全てはスイッチ操作を前提にしている。調書は、電源を失えば何もできない原発のもろさを証明している。

 計器が次々と動かなくなり、吉田氏は原発の状況がつかめなくなった。一一年三月十一日のうちに重大事故に陥った1号機では、水位計を信じ、原子炉に水は十分あり、非常用冷却装置(IC)も動いていると誤認していた。

 炉心が溶融し、放射線量が上がってきても水位はあると考え、「おかしい」「何か変なことが起こっている」との認識しか持てなかった。

 複数の原子炉が並ぶ危うさも明確になった。

 翌日、1号機で水素爆発が起きると3号機用の注水ホースが吹き飛び、切迫する現場から貴重な時間を奪った。十四日には3号機が爆発。注水の必要が出た2号機の注水ホースが損傷し「TAFに行く(核燃料が露出する)前に水を入れたくてしょうがなかった」という吉田氏をさらに焦らせた。まさに負の連鎖だった。

 2号機への注水が遅れ、「本当に死んだと思った」というほどの危機に陥った。2号機はベント(排気)で格納容器内の圧力を下げようとしても、すぐに弁が閉まり、炉圧が高くて水も入らない。

 「このまま水が入らないでメルト(炉心溶融)して、完全に格納容器の圧力をぶち破って燃料が全部出ていってしまう」

 こうなると福島第一内は高い線量で作業はできなくなる。1、3号機の注水も止まり、各号機のプールにある使用済み核燃料も過熱していく。

 「放射能が2F(福島第二)まで行って、四プラント(基)も作業できなくなってしまう」

 菅首相(当時)の要請で原子力委員会の近藤駿介委員長(同)が試算した「最悪のシナリオ」そのものだった。十五日朝、2号機地下の圧力抑制室が損傷して圧力が抜け、注水を再開でき、最悪の状況は避けられた


官邸「全員撤退」信じ込む

 政府が公表した、政府事故調による菅直人首相(肩書はいずれも当時)らの聴取記録からは、東電からの情報不足も手伝った、官邸内の混乱ぶりが分かる。

 菅氏は福島第一原発1号機でベント(排気)が実施されないのにいらだち、事故発生翌日の三月十二日朝、福島第一原発をヘリで視察しようとした。枝野幸男官房長官は「政治的パフォーマンスとしてやるなら、むしろマイナス効果の方が大きい」と進言。細野豪志首相補佐官は反対のニュアンスは伝えたが「あの総理にスイッチが入った」として明確には反対しなかった。

 菅氏は「現地の責任者とちゃんと意思疎通したい。最終的な判断は私が背負う」と考え、飛び立った。

 後に細野氏は「ベントを遅らせたかもしれない」と自責の念にかられたというが、福島第一の吉田昌郎所長は「全く(影響が)ないですと聴取に答えた

 十四日夜に2号機が危機的な状況となり、東電が「全員撤退」との情報が官邸をかけめぐった。

 実際には残っていた吉田所長は聴取に「全員撤退して身を引くということは言っていない」と説明。「必要な人員を除きの部分を東電側が明言しなかったのが誤解の原因だった。

 枝野氏は東電の清水正孝社長との電話内容について「間違いなく全面撤退の趣旨だった。自信がある」と強調。海江田万里経済産業相も清水氏の言葉を「全員だと思った」という。

 細野氏は、吉田氏との電話で「これまで『大丈夫です。まだやれる』の返事だった人が、このときは弱気になっていたから、これは本当にだめかもしれない」と感じ、全員撤退だと信じ込んでいたという。


 <政府事故調の調書> 政府事故調は吉田元所長を含め計772人から聞き取りし、2012年7月に最終報告書をまとめた。聴取した記録(調書)は非公開とされてきたが、政府は今回公開に踏み切った。特に吉田氏の調書は全7編で構成され、A4判で約400ページに上る。聴取は11年7月から11月まで約30時間にわたり、吉田氏が指揮を執った原発内の免震重要棟内と、事故対応拠点「Jヴィレッジ」で実施した。

 <最悪のシナリオ> 福島第一で、使用済みも含め核燃料が次々と溶融した場合どうなるかを試算。横浜市の一部も含む250キロ圏まで避難地域が広がると予想している。このシナリオは今年5月に、福井地裁が関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを命じる判決を出したときの重要な根拠として挙げられている。

(東京新聞)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014091202000157.html

事故教訓 安倍政権顧みず 再稼働推進 調書把握後も
2014年9月12日 朝刊

 政府が十一日に公表した当時の民主党政権幹部らの聴取記録(調書)には、混乱しながら福島第一原発事故の対応に追われる姿や、原発事故の恐ろしさがつづられていた安倍政権は調書の内容を把握しながら、教訓を忘れたかのように再稼働を進めようとしている。 (城島建治

 「どんな安全対策をやっても原発はリスクが大きい。日本の場合、首都圏を含む三分の一は住めなくなる」。当時首相だった民主党の菅直人氏は聴取にこう答えていた。調書には菅氏に限らず、事故対応に当たった民主党政権幹部の率直な思いが記録されていた。

 記者は当時、首相官邸で官房長官だった枝野幸男氏の取材を担当していた。事故直後、秘書官の一人が「原発内部で何が起きているのか、全く分からない。東京から撤退する外国要人が続出している」と漏らしたのを覚えている。民主党政権が二〇三〇年代に原発稼働ゼロを目指す方針を打ち出したのも、事故の恐ろしさを体験したからだ

 原発が抱えるリスクが大きく変わったとは思えないが、安倍政権は再稼働に前のめりだ。四月に閣議決定した中長期のエネルギー基本計画では、原発を「重要なベースロード電源」と、再び電力の安定供給の柱に位置付けた。脱原発依存を掲げた一二年の衆院選公約にも反していた。安倍晋三首相は規制基準を満たした原発は安全との前提に立ち、原発を次々と再稼働させる方針。海外にも積極的に輸出して、日本の経済成長につなげようとしている。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は十一日の記者会見でも「事故を教訓に世界で最も厳しい安全基準ができた。基準に合致すれば原発を稼働していく」と明言した。しかし「世界最高水準」の根拠は明確でなく、菅氏が言及した安全基準は実際は「規制基準」でしかない

 エネルギー基本計画でも「事故が起きた場合には国は関係法令に基づき、責任をもって対処する」と事故の可能性も想定している。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014091202000143.html

【コラム】
筆洗
2014年9月12日

 「もうこの時は死ぬと思いましたから…」「ここで何回目かに死んだと、ここで本当に死んだと思ったんです」「一番死に近かったのはここだった…死んでいましたね」▼政府がきのう公開した福島第一原発事故をめぐる吉田昌郎元所長の調書。吉田さんの証言からにじみ出るのは「死」である。燃料棒は完全に露出しているのに、冷やす水は入らない、入れられない▼「死ぬかと思った」という表現ではなく、吉田さんは「死ぬと思った」「死んでいた」と言い、「我々のイメージは東日本壊滅ですよ」とまで語っていた。その言葉遣いからは、死と破滅が本当に紙一重で存在していた現実が、三年半の時を隔てて迫ってくる▼だが、それは過去の話ではない。原発事故による避難住民は、なお十二万人余。長引く避難生活などで命を落とした「原発関連死者」は、少なくとも千百人を超え、この半年で七十人も増えているという。原発事故による「死」は現在進行形の悲劇だ▼調書で吉田さんは3号機の水素爆発のことも振り返っている。直後に四十人余が行方不明と聞き、事実なら「腹を切ろう」と思ったそうだが、幸い落命した人はいなかった▼「がれきが吹っ飛んでくる中で、一人も死んでいない。私は仏様のおかげとしか思えないんです」。一流の技術者をしてそう言わしめる。それが、制御を失った原発の実相である。
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●「回らない核のサイクル」六ヶ所村: どちらも「地獄」という二択だったのか?

2014年08月24日 00時00分45秒 | Weblog


東京新聞の6回シリーズ社説【回らない核のサイクル(1) プルトニウムはどこに』(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014072802000152.html)、
【回らない核のサイクル(2) プルトニウムの焼却炉】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014072902000170.html)、
【回らない核のサイクル(3) 「青い森」に広がる不安】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014073002000132.html)、
【回らない核のサイクル(4) 大きすぎる万一の危険】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014073102000141.html)、
【回らない核のサイクル(5) 電気代が支える再処理】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080102000142.html)、
【回らない核のサイクル(6) 村に吹け、新生の風よ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080202000163.html)、
【回らない核のサイクル 読者から 私にできることがある】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014081602000147.html)。

 内橋克人さんは「原発は『プルトニウムをつくる装置』」だと喝破している。
 そして、原燃のやろうとしていることはドブ金だけでなく、とてつもなく危険 

   『●「もんじゅ」の知恵ではなく、
      「絵に描いた餅」に「一日当たり五千五百万円」!
   『●プルトニウム報告漏れ: 「疑念」ね~?、
     目的あっての「隠蔽」??・・・っていうのは穿ち過ぎ???
   『●原子力「ムラ寄生」員会ではなく、「風船爆弾」が
      語ることにこそ真実はある ~川内原発再稼働問題~
   『●「原子力は血液」・・・・・・ではなく、「原子力=核」は「麻薬」


 「そんな本州の最果てに一九六〇年代末、巨大開発計画が持ち上がる。高度経済成長の真っ最中、むつ小川原開発は国策・・・・・・推進と反対に二分され、前にも増して六ケ所村は傷ついた莫大(ばくだい)な核燃マネーが流れ込み、見た目には豊かになった。しかし「進むも地獄、戻るも地獄」と元村議は目を伏せる・・・・・・六ケ所村は政治次第で生まれ変わることもできる。ただし、原発に頼らない国ならば」・・・・・・選択すべきは、少なくとも「進むも地」ではなかったはずだ。かといって「戻るも地獄」との二択でもなかったはず。「核燃マネー」に汚染され、「麻薬」中毒にかかり、何が「豊か」を見失っていた。

   ●核のゴミと云う地獄:「王様は裸」
    「核燃サイクルという王様は裸で、遠に破綻している。
     自民党や電力会社は服を着ていると言ってきたし、
     いまだに多くがそう言っている。廃棄物の処理法・場所さへ
     決まっていないのに。核燃施設が誘致されなかったら
     六ヶ所村は限界集落だった、という発言・・・・・・。行くも地獄
     引くも地獄。でも行く(誘致)地獄の先は、FUKUSIMAの
     ような取り返しのつかない大地獄だった訳。限界集落と比べて
     どうか? 限界集落という地獄を避けるためには、核関連施設の
     誘致しかなかったのか?」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014072802000152.html

【社説】
回らない核のサイクル(1) プルトニウムはどこに
2014年7月28日

 ヤマセという冷たい霧が吹き寄せる青森県六ケ所村。

 太平洋につながる尾駮(おぶち)沼を馬蹄形(ばていけい)に取り巻いて、日本原燃が運営する核燃料サイクル施設は広がっている。

 原燃は、原発を持つ九つの電力会社が出資する民間の事業者だ。

 ウラン濃縮から廃棄物処分にいたる関連施設群のうち、人、モノ、カネの約七割を占めるのが、核燃料の再処理工場である。

 再処理とは、何だろう。

 原発で使用済みのウラン燃料から、再利用が可能な核分裂性のプルトニウムとウランを取り出す作業のことを言う。取り出した燃料で発電を繰り返すのが、核燃料サイクルだ。

 燃えかすの燃料棒はプールの中で冷やされたあと、指先ほどに切断し、硝酸に溶かす。次に有機溶媒(油の一種)を使ってプルトニウムとウランを分離する。プルトニウムは硝酸の方へ、ウランは油へと分離されていく。

 長崎の原爆は、プルトニウム型である。抽出技術は今も昔も変わらない。

 日本は、中曽根・レーガン関係で結んだ日米原子力協定で、核兵器を持たない国では唯一、再処理を認められてきた

 ただし、抽出、精製したプルトニウムの粉末は、一対一の割合でウランを混ぜて保管することになっている。濃度が高いほど、兵器に転用しやすいからだ。


 工場内には試験的に抽出された六・七トンのプルトニウム・ウラン酸化物粉末が保管されている。見ることはできないが、黄褐色の粉だという。

 国際原子力機関(IAEA)の査察官が数人常駐し、二十四時間体制で監視に当たっている。随所に監視カメラがある。

 「日本には核兵器級のプルトニウムはない。原爆数千発分とかいうのは誤りです」と原燃幹部

 保管場所を尋ねると「それは言わない方がいいでしょう…」。

 厚い秘密のベールに包まれたプルトニウム。猛毒の熱源その使い道は。 

(論説委員・飯尾歩)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014072902000170.html

【社説】
回らない核のサイクル(2) プルトニウムの焼却炉
2014年7月29日

 本州最北端まで四キロ。一本釣りのマグロで知られ、海峡越しに函館の夜景を望む青森県大間町に、大間原発の建設は進む。

 普通の原発とは少し違う。

 大間原発は、プルトニウムを混ぜたMOX燃料だけを燃やすように設計された、世界初のフルMOX原発である。年に約一トンのプルトニウムを処理できる。

 運営は、電力卸売会社の電源開発Jパワー)。水力や石炭火力で日本経済を支え、大間は初めての原発だ。だが、今なぜか。

 日本原子力研究開発機構が、福井県敦賀市で新型転換炉と呼ばれた「ふげん」の解体を進めている。世界で初めて本格的にプルトニウムを使った原子炉だ。一九七八年から二十五年間運転された。

 プルトニウム239の半減期は二万四千年。直接廃棄処分にすれば、数万年単位の管理が必要になる。そこで、それを燃やして半減期の短い、別の死の灰(核分裂生成物)に変えてしまうのが、転換炉の目的だった。MOX燃料の放射線量はウラン燃料より高い。

 いわばプルトニウムの焼却炉。燃やしてさらに新たな燃料を生み出す高速増殖原型炉の「もんじゅ」(福井県敦賀市)とは、根本的な違いがある。

 当初政府は、小型の原型炉「ふげん」の次の実証炉を大間に造るつもりでいた。

 ところが、建設費が巨額で引き受ける電力会社がない。「もんじゅ」は、トラブルが続いたまま。米国は日本に、プルトニウムの蓄積を許さない。国の原子力政策は既に崩壊していた

 Jパワーは二〇〇三年まで、政府出資の特殊法人だった。

 「国と電力会社の協力を得てやりなさい-。原子力委員会の決定でした」と、大間駐在の幹部は振り返る。

 大間原発は、プルトニウム減らしという新たな国策を背負う。しかしこのまま原発を動かして、再処理も続ければ、追いつける量ではないこれをサイクル(環(わ))と言うのだろうか

 (論説委員・飯尾歩)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014073002000132.html

【社説】
回らない核のサイクル(3) 「青い森」に広がる不安
2014年7月30日

 核燃料サイクルは本当に回らないのではないか…。六ケ所村のある青森県に不安が広がっている。

 日本原燃が六ケ所村で進める核燃料サイクルのうち、要の再処理工場、MOX燃料工場は完成の前に福島で原発事故が起きた。状況は一変した。

 「地元のためだけではない。エネルギー資源のない日本に使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルは必要だ。だから長い年月と先人の労苦で立地してきた」と県関係者は変わらぬ決意を語るが、不安は隠せない。

 そのひとつが高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題だ。

 六ケ所村では、フランスなどに使用済み核燃料の再処理を委託して出た核のごみ「高レベル放射性廃棄物」を三十~五十年保管する貯蔵施設がすでに稼働している。むつ市には再処理までの間、使用済み核燃料五千トンを備蓄する施設が建設中だ。

 いずれも核のごみを地層深く埋める最終処分場の建設地が決まるまでの中間貯蔵施設と位置付けられる

 現在、国内の原子力発電所などに保管され、再処理を待つ使用済み核燃料は一万七千トンにのぼる。最終処分の候補地は原子力発電環境整備機構NUMOが公募してきたが進んでいない。サイクルの中核、高速増殖原型炉「もんじゅ」もトラブルで停止している。サイクルが行き詰まれば、なし崩し的に青森県が最終処分を受け入れさせられるのではないか。

 豊かな自然を「青い森」として売り出し、観光にも力を入れる青森県は「最終処分は絶対に受け入れられない。これは県民との約束だ。もし核燃料サイクルが回らないなら、現在貯蔵している高レベル廃棄物も撤去を求める」と断言する。

 そうなれば六ケ所村に中間貯蔵されている核のごみさえ行き場を失って宙に浮く。リサイクルどころではない事態が今、直面している現実だ。 (論説委員・安田英昭)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014073102000141.html

【社説】
回らない核のサイクル(4) 大きすぎる万一の危険
2014年7月31日

 六ケ所再処理工場の約二十キロ南に、軍民共用の三沢空港がある。「北の槍(やり)」との異名を持つ米国空軍が駐留し、F16戦闘機が実戦配備され、大陸へのにらみをきかせている。航空自衛隊や民間航空を合わせた離着陸は、年間四万回以上という。

 二〇〇七年には、その三沢基地からF16がイラク戦争に出動し、その一部がアフガニスタン東部で反政府武装勢力タリバンの拠点を攻撃した。

 そうなると気がかりなのが、核燃料サイクル施設の航空事故対策、そしてテロ対策だ。

 再処理工場の上空は飛行禁止区域になってはいる。それでも、戦闘機の墜落事故対策は福島第一原発事故以前から、安全評価の対象にされてきた。

 米国の構造物研究機関で、本物のF16を滑走させてコンクリート壁に衝突させる実験を繰り返し、主要建屋の天井や壁の厚さは一・五メートルと、原発よりも厚くした。

 しかし、実験では爆弾を積んでいたわけではなく、墜落事故への効果も定かでない。

 テロへの備えは、どうか。

 日本原燃は特別に武装した警備員の配備について「いるともいないとも言えません」(広報部)。

 仏のラアーグの再処理工場は対空ミサイルを備えている。一九七五年、英国原子力公社の再処理施設は、軽機関銃などで武装していることが明らかになった。

 その後の公聴会で市民団体などから、「このままでは、核の管理機関に強力な権限が与えられ、市民生活にさまざまな制限が課される『プルトニウム社会の到来は避けられない」との声が強まった。

 保安対策の強化などにより、六ケ所再処理工場の建設費は二兆円超と、当初の三倍に膨らんだ。原子力規制委は稼働の条件に、航空機の墜落やテロ対策のさらなる強化を求めている。そこにプルトニウムがある以上、対策に限りはないようだし、核拡散の恐れはつきまとう。

 (論説委員・飯尾歩)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080102000142.html

【社説】
回らない核のサイクル(5) 電気代が支える再処理
2014年8月1日

 青森県六ケ所村で核燃料サイクル施設を運営する日本原燃には、展望タワーのある三階建てのPRセンターがある。

 地上二十メートルの展望ホールから広大な施設の全景を眺めたあと階下へ下りると、パネルや映像、大型模型でプルトニウムを取り出す再処理工程など、核燃料サイクルの流れを模擬見学できる。予約すればスタッフが案内してくれる。見学者は施設の安全性を見せつけられるが、日本原燃という企業の実態は見えない

 日本原燃株式会社は一九九二年の設立で、資本金四千億円、売上高二千九百億円。二千五百人の従業員がいる大きな会社だ。八十五社が出資し大株主は東京電力、関西電力、中部電力など電力九社。原発から出るプルトニウムなどの核廃棄物を再処理するため、電力会社が共同で立ち上げた。

 不思議なのは二兆円もかけて建設した本業の再処理工場が稼働していないのに、九十億円の経常利益が出ている点。実は再処理の稼働を前提に、電力会社が巨額の資金を毎年「基本料金」としてつぎ込み、経営を支えている。その資金は消費者が電気料金で負担している。政府系金融機関も融資しており、政府が推進してきた「国策民営」会社の姿がここにある。

 四月、政府がエネルギー基本計画を発表すると、多くの関係者は「核燃料サイクル」をめぐる政府方針に変化の兆しを感じ取った。

 最優先は福島の原発事故対応で、核燃料サイクルは後回しにならざるを得ない。プルトニウムを使う高速増殖炉は実用化にはほど遠い。経済性や核不拡散、安全性を重視すると、六ケ所村での「再処理」よりも、使用済み核燃料を容器に入れて安定した地層に埋める「直接処分」が有利-との見方が徐々に強まっているのだ。そうなれば再処理工場も日本原燃も無用の長物になる

 日本原燃は二〇一四年、七十五人の新入社員を採用した。しかし再処理か直接処分か、出口は見えない。

 (論説委員・安田英昭)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080202000163.html

【社説】
回らない核のサイクル(6) 村に吹け、新生の風よ
2014年8月2日

 あるのは原野だけだった。海からヤマセ(東風)が吹きすさぶ。農業には向いていない。戦後、中国東北部から再入植した開拓民の労苦はしのぶよしもない。

 そんな本州の最果てに一九六〇年代末、巨大開発計画が持ち上がる。高度経済成長の真っ最中、むつ小川原開発は国策だった。

 太平洋ベルト地帯に集中し過ぎた重化学工業を分散させるため、青森県六ケ所村を中心に、日本最大のコンビナートを造るという。開発か、農業・漁業か。地域は割れた

 政府と県の強い働き掛けを受けて、村は結局、計画を受け入れた。

 ところが、七一年のニクソンショック、続く石油ショックが高度成長の流れを止めた。企業は来ない。代わりに持ち上がったのが、核燃料サイクル施設の建設だった

 政府と県は、過疎地に再び国策を押しつけるようにして、頓挫した巨大開発計画のツケを回してきた。推進と反対に二分され、前にも増して六ケ所村は傷ついた

 莫大(ばくだい)な核燃マネーが流れ込み、見た目には豊かになった。しかし「進むも地獄、戻るも地獄」と元村議は目を伏せる。

 新たなその国策が、またも激しく揺れている。

 福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」は、使用済み核燃料から抽出したプルトニウムを燃やして増やす、核燃料サイクルの要である。それが長年トラブル続きで、実用化にはほど遠い。

 政府は半減期の短い、別の核物質に転換するための高速炉に改造するという。そうなれば、プルトニウムを取り出す再処理工場の役目は終わり、核のごみだけが残される。個々の施設はしばらく残る。だが核燃料サイクルの輪は既に寸断されている

 強いヤマセが吹く青森県は、風力による発電能力が日本一、原発〇・三基分になる。

 例えば、大間原発の電力を全国に送り出すために建設中の送電網(大間幹線)などを拡充し、再生可能エネルギーの一大拠点に再び生まれ変われないか。雇用の維持も可能だろう。

 六ケ所村は政治次第で生まれ変わることもできる。ただし、原発に頼らない国ならば

 (論説委員・飯尾歩)=おわり

 ◆ご意見、ご感想をお寄せください。〒460 8511(住所不要)中日新聞論説室、ファクス052(221)0582へ。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014081602000147.html

【社説】
回らない核のサイクル 読者から 私にできることがある
2014年8月16日

 今回もたくさんのご意見、ご感想、そしてご示唆をいただきました。ありがとうございました。

 青森県三沢市の「核燃料サイクル阻止一万人訴訟」原告団の山田清彦事務局長からは、さまざまなご指摘をいただきました。

 青森県六ケ所村の再処理工場では、核兵器に転用しにくくするために、プルトニウムにウランを混ぜて保管することになっている。それでも核爆弾への加工は約二週間で可能

 米軍三沢基地では、ミサイルの破壊に当たる電子攻撃機グラウラーが配備。沖縄の負担軽減のためにF18戦闘機による射爆撃訓練が常態化するなど、核燃料サイクル施設が大事故に巻き込まれる恐れは、高まっている。

 再処理施設を運営する日本原燃の経営資金は「消費者が電気料金で負担している」のではなく、「電気料金に上乗せされて取られていると言ってほしい」-。

 東京都町田市の浅生忠克さん(69)は、下北半島の六ケ所、大間、東通を三度ほど回ったことがあるそうです。「荒涼の大地。国策にひかれて核関連施設立地に傾いていった事情は、現地に立てばコトバもなくワカルしかないわけで…」というのが、その時の感想でした。

 「ふだん都会の便利な暮らしに浸りきっている者が、訳知り顔に『原発や核のマネーに頼るな』とはいえません。代替案がなければ安易にものいうべからず」と、これまでは、沈黙を守り続けていたそうです。しかし今回、「下北半島で風力発電に活用できそうな土地の総面積と、そこで可能な総発電量の試算を、専門家の方にしていただいた上で、東北電力に採用を提案したい、と考えます」と、声を上げることにしました。

 国策といえば、安倍政権がトップダウンで進める集団的自衛権の行使容認に、国策としての核燃料サイクルを重ね合わせて、歴史が巻き戻されつつあるのではないか、と不安視する声も目立ちます。

 川崎市多摩区の浜本さだ子さんは「青森県の核の歴史をはじめて知りました。(中略)同じ道を逆もどりしている政権のやり方を肌で感じる八十二歳です。今くい止めねば、間にあわない。(中略)私もできることをやります」

 むろん、そんなサイクル(繰り返し)は、許されません

 (論説委員・安田英昭、飯尾歩)
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●原発再稼働という恥ずべき選択 ~「新基準は世界一」「世界最高レベル」ではなく、「世界一の無責任」~

2014年08月04日 00時00分01秒 | Weblog


福井新聞の社説【原発再稼働へ 国策の責任、覚悟が見えず】(http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/52692.html)と、
記事【原発再稼働の審査迅速化を提言 自民党議員連盟が政府に】(http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/52814.html)。

 「■新基準は世界一か■・・・・・・■弱者は置き去りか■・・・・・・■当事者意識あるか■・・・・・・浮き彫りになるのは責任の所在の不明確さ、国民不安への無理解と意識の乖離」・・・・・・。
 「新基準は世界一」「世界最高レベル」ではなく、アベ様をはじめとした自公議員や田中俊一委員長をはじめとした原子力「ムラ寄生」委員会委員等々の「世界一の無責任」さである。たとえ再稼働しなくても、「100,0000年問題」「核燃サイクル破綻問題」「五輪詐欺事件」「汚染水ダダ漏れ問題」「無主物まき散らし事件」などなど問題山積なのに、ましてや「再稼働」や「原発輸出」といった恥ずかしい行いをやって、第2の東京電力原発人災が発生してしまえば、取り返しのつかないことになりかねないことをどうして分からないのでしょう??

 また、自民党議員連盟の「提言では、原発停止による火力発電の燃料コスト増が年間約3・6兆円に達し経済に悪影響を与えているとして、原発の早期再稼働は「国家的急務」と指摘。規制委の安全審査を「効率的かつ迅速に行う必要がある」と審査のスピードアップを求めた」・・・・・・そうです。
 「自民党の電力安定供給推進議員連盟(細田博之会長)」て正気? アホ? 福島の現実が見えているのか? 福井地裁判決を熟読しなさい!!

   『●火山の巨大噴火時の緊急核燃料輸送に
          何時間、何日間? 答えは「2年以上」!
   『●原発推進国同士が手を携えて原発輸出、さらに「死の商人」へ:
                         どうやら「恥」という概念は無いらしい
   『●関西電力大飯原発再稼働差し止め、画期的勝訴:
               もし敗訴していたら大変なことに・・・・・・
   『●「上級審では国側が勝つこの国の裁判」・・・・・・
             今度こそ、福井地裁の名判決を活かしたい
   『●原子力ムラ復権阻止を! 今なら引き返せる!!


 過去の行いに全く罪の意識のない自民党議員たち。

   『●原発人災、犯罪者を追求すべし:
       なぜ自民党議員は口を閉ざし、マスコミは黙り込むのか?


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http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/52692.html

福井のニュース  論説
原発再稼働へ 国策の責任、覚悟が見えず
(2014年7月27日午前7時30分)

 原子力規制委員会は、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の新規制基準適合を認める審査書案を示した。地震、津波リスクが小さく、国内12原発19基の先陣を切る形で事実上の審査合格である。10-11月にも再稼働の可能性がある。

 東京電力福島第1原発事故を教訓にした新基準の設定によりハード面は強化された。再稼働に弾みがつくとの期待もある。しかし、住民不安は解消されず国の責任も曖昧。再稼働の条件が満たされたとは言い難い。


 ■新基準は世界一か■

 安倍政権は「世界で一番厳しい基準」と強調するが、そうだろうか。目安となるのが国際原子力機関(IAEA)の安全対策「5層の防護」だ。「人と環境の防護」を基本安全目的に、1~3層が事故(拡大)防止、4層が過酷事故の悪化防止、5層が防災対策、住民を放射線被ばくから守る備えである。

 4、5層は1986年のチェルノブイリ原発事故で付加された。福島事故の教訓はこの「深層防護」思想をより強化するものでなければならないはずだ。

 だが4層目の放射性物質の拡散を防ぐフィルター付きベント(排気)や緊急時制御室などを備える特定安全施設は設置義務があるが、猶予され未整備状態。さらに5層目の緊急時対策でも、避難の詳細計画や安定ヨウ素剤配備など住民の安全対策に遅れが目立つ。放射性物質が大量拡散した福島事故は、避難段階で災害弱者の高齢者が多数犠牲になり、福島では今も13万人超が避難を強いられている。


 ■弱者は置き去りか■

 そもそも防災・避難計画の策定と実行は災害対策基本法で自治体に委ねられ、規制委の審査対象にも入らず再稼働の条件でもない。米国では避難計画を含めた緊急時計画が規制の対象。実効性に不備があれば米原子力規制委員会(NRC)が運転を許可しない仕組みである。

 政府は福島事故後、重点区域を8~10キロ圏から30キロ圏に拡大した。川内原発では周辺9市町が防災計画を策定したが、伊藤祐一郎鹿児島県知事は、要援護者対策は避難手段や受け入れ先の確保が困難で、10キロ圏内の計画策定で十分との認識。行政のご都合主義がまかり通る。

 また、周辺火山の巨大噴火による火砕流などの影響に関し、田中俊一委員長は「(稼働期間は)せいぜい30年とかそんなものでしょう。そういう間には噴火は起こらないだろう」と述べた。噴火の前兆監視で十分という考え方だが、予知を困難視する専門家もいる。こうした規制委の楽観は「13万~12万年前ルール」を重視する活断層の厳格審査と整合性が取れない。


 ■当事者意識あるか■

 安倍首相―「(規制委が)安全という結論が出れば立地自治体の理解をいただきながら再稼働を進めていきたい」

 田中委員長―「基準適合性を審査した。安全だとは申しません」「(再稼働は)私たちは関与しない。事業者と地域住民、政府の合意で行われる」

 茂木経産相―「原子炉等規制法に従ってやる」(安全、再稼働の責任は一義的に事業者に)

 全国知事会、薩摩川内市長-「国が責任を持つべき」

 成長戦略に不可欠のエネルギー確保へ再稼働を加速させたい政権。浮き彫りになるのは責任の所在の不明確さ、国民不安への無理解と意識の乖離(かいり)である。

 川内原発に続き関西電力高浜3、4号が視野に入ってくる。川内原発は意見公募、審査書決定、工事認可審査、設備検査、住民説明会、地元同意を経て再稼働の見通し。避難拡大に伴い「地元」の定義が揺らぐが、立地自治体が基本だろう。国は周辺自治体に理解を求め説明を尽くすことだ。課題は尽きない。拙速を避け、堅固な安全文化を再構築しなければ国民の合意形成など程遠い。(北島三男)
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http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/52814.html

原発再稼働の審査迅速化を提言 自民党議員連盟が政府に
(2014年7月31日午後5時19分)

    (茂木経産相(右)に原発再稼働審査の迅速化などを求める
     自民党電力安定供給推進議連のメンバー=31日、同省)

 自民党の電力安定供給推進議員連盟(細田博之会長)は31日、原子力規制委員会で原発の安全審査を迅速に進めることや、エネルギーのベストミックスを早期に策定することなどを求める提言書をまとめ、茂木敏充経済産業相に申し入れた。

 提言では、原発停止による火力発電の燃料コスト増が年間約3・6兆円に達し経済に悪影響を与えているとして、原発の早期再稼働は「国家的急務」と指摘。規制委の安全審査を「効率的かつ迅速に行う必要がある」と審査のスピードアップを求めた。エネルギーのベストミックスを早期に策定し、原発の新増設・リプレース(置き換え)の必要性を明確にすることや、高レベル放射性廃棄物の処分場を国が責任をもって具体化することも盛り込んだ。

 細田会長と高木毅事務局長らが経産省を訪れ、茂木大臣に提言書を手渡した。茂木大臣は「電力の安定供給、コスト低減などさまざまな要素をバランスよく組み合わせたエネルギーのベストミックスを、早急に策定する必要がある」との考えを示した。再稼働の迅速化については「安全性をきちんと早期に確認することがきわめて重要。審査の適正な進ちょくを図るよう、規制委や事業者に要請している」と述べた。

 同議連による政府への提言は3度目で、4月に国のエネルギー基本計画が策定されてからは初めて。高木事務局長は「原発は重要なベースロード電源と基本計画で位置付けられており、安全性が確認された原発は速やかに再稼働させることが重要だ。茂木大臣にも理解していただけたと思う」と述べた。

 この日は菅義偉官房長官にも提言書を提出した。近く原子力規制委員会にも申し入れる。
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●原子力ムラ復権阻止を! 今なら引き返せる!!

2014年07月24日 00時00分29秒 | Weblog


東京新聞の記事【原子力ムラ 復権狙う 自民など議連 動き活発化】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014071702000178.html)。
asahi.comの記事【原発差し止め判決、海外で脚光 3カ国語に翻訳】(http://www.asahi.com/articles/ASG783TKBG78PTIL00C.html?iref=comtop_list_nat_f01)。

 「こうした動きと歩調を合わせるように、自民党を中心に「原子力ムラ」の復権をうかがう動きが活発に」・・・・・・全く恥知らずな連中である!! 最初の記事の自民党議員らの考えていることの醜さを見てみて下さい。そんな自公議員や翼賛野党議員に投票する人々の「考えないことの罪」。

   『●「騙されることの責任」とハンナ・アーレント氏「考えないことの罪」

 「福井地裁判決が、英語、中国語、韓国語に翻訳され、海外で注目を集めている。《原発の稼働は憲法上は人格権の中核部分より劣位》《豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富》」・・・・・・今度こそ、福井地裁の名判決を活かしたい。原子力ムラ復権に突き進むこの国、今なら引き返せる。

   『●原発推進国同士が手を携えて原発輸出、さらに「死の商人」へ:
                         どうやら「恥」という概念は無いらしい
   『●関西電力大飯原発再稼働差し止め、画期的勝訴:
               もし敗訴していたら大変なことに・・・・・・
   『●「上級審では国側が勝つこの国の裁判」・・・・・・
             今度こそ、福井地裁の名判決を活かしたい


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014071702000178.html

原子力ムラ 復権狙う 自民など議連 動き活発化
2014年7月17日 朝刊

 九州電力川内原発が原発の新規制基準に適合したと判断されたことで、昨年九月から続く「国内稼働ゼロ」が、今秋にも途切れる可能性が高まった。こうした動きと歩調を合わせるように、自民党を中心に「原子力ムラ」の復権をうかがう動きが活発になっている。

 集団的自衛権の行使容認に向けた与党協議の真っただ中だった六月中旬、自民党本部で「高温ガス炉推進議員連盟」の初会合が開かれ、約四十人が出席した。

 高温ガス炉とは、核燃料から熱を取り出す物質として、水ではなくヘリウムなどのガスを使う新型の原子炉。通常の原発(軽水炉)より安全性が高いとされるが、長年の研究にもかかわらず実用化のめどは立っていない

 現行のエネルギー基本計画には、四月の閣議決定の直前に、「高温ガス炉の研究開発の推進」の記述が追加され、党内からも「(稼働の見通しがない)高速増殖原型炉もんじゅに代わる予算確保というのが見え見えだ」(河野太郎副幹事長)と批判が出た。

 議連の野田毅会長は「砂漠の中でもできる。海外に売り込めば成長戦略にもなる」と、研究開発支援を政府に働きかける考えを示した。

 地下への原発立地の可能性を検討する超党派の「地下式原発政策推進議員連盟」も、活動を活発化させた。五十人近いメンバーの多くは自民党議員。民主党や次世代の党からの参加者もいる。二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故後に発足した。発足後は会合をあまり開いていなかったが、今年五月以降は回数を増やしている。

 原発から三十キロ圏内の自治体には、避難計画の策定が義務付けられているが、議連は地下原発なら放射能が漏れても安全で、避難計画は不要と主張する。議連の五月中旬の会合で、原子力規制委員会事務局の担当者も「原理的に放射性物質が外部に一切出ないなら、避難は極小化される可能性は十分ある」と答えた。

 自民党には、原発再稼働を求める「電力安定供給推進議員連盟」もあり、公表していないが百人以上のメンバーがいる。 (宮尾幹成)
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http://www.asahi.com/articles/ASG783TKBG78PTIL00C.html?iref=comtop_list_nat_f01

原発差し止め判決、海外で脚光 3カ国語に翻訳
室矢英樹 2014年7月17日11時45分

   (英語、中国語、韓国語に翻訳された
     大飯原発3、4号機運転差し止めを命じた判決)

 関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の運転差し止めを命じた福井地裁判決が、英語、中国語、韓国語に翻訳され、海外で注目を集めている。

 《原発の稼働は憲法上は人格権の中核部分より劣位》《豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富

 福井地裁は5月、東京電力福島第一原発の事故を踏まえて原発がはらむ危険性を指摘し、人々の命と暮らしに重きを置いた判決を言い渡した。

 「判決は世界中の原発に向けた警告だ」。京都市の脱原発団体「グリーン・アクション」代表のアイリーン・美緒子・スミスさん(64)はそう受け止めた。

 「原子力規制委員会の審査に影響するのか」「再稼働を止める実効性はあるのか」。スミスさんのもとには判決直後から、脱原発を訴える米国のNGOだけでなく、欧州の在日本大使館などからも問い合わせが相次いだ。

・・・・・・・・・。
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●川内原発を再稼働させてはいけない!: 九州の「草の根」の勁き底力を見せるとき

2014年07月23日 00時00分34秒 | Weblog


asahi.comの社説【原発再稼働を問う―無謀な回帰に反対する】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p)。
東京新聞の社説【川内原発・審査「適合」 ゼロの目標はどこへ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014071702000179.html)。
東京新聞の記事【川内原発への意見募集開始 規制委、来月15日まで】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014071701001381.html)。
nikkan-gendaiの記事【川内原発再稼働「NO!」 周辺自治体で反対の動きが急加速』(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/151959)。

   ●原子力「ムラ寄生」員会ではなく、「風船爆弾」が語ることにこそ
                真実はある ~川内原発再稼働問題~

 「いまだに収束できない事故から何も学ぼうとしない無責任な態度というほかない」・・・・・・我が国に、再稼働する資格無し。国際的な「恥じ」だ。
 「もともと規制委は、原発ゼロ目標を前提につくられた・・前民主党政権は福島第一原発事故の反省に立ち、一昨年九月の「革新的エネルギー・環境戦略」で、二〇三〇年代に原発をゼロにする方針を打ち出した。福島事故以前は原発推進の旗振り役だった経済産業省から、原発の規制機関を独立させた」・・・・・・それなのに、規制どころか「寄生」とは呆れるしかない。
 そして、首長が容認派という哀しさ。ヤラセなど数知れず、それにパブコメなどどうせ無視するにきまっているのだが、それでも多くの再稼働絶対反対の意見を「地元民」として日本中から集中すべき。九州の「草の根」の勁き底力を見せる時だ!

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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p

原発再稼働を問う―無謀な回帰に反対する
2014年7月17日(木)付

 原発事故が日本の政治と社会全体に投げかけた広範な問いはまだ何も答えられていない。

 ところが再稼働をめぐる議論はいつの間にか、原発の性能をめぐる技術論に狭められた。

 事故が起きた時の政府や自治体、電力会社の対応や、避難計画のあり方など、総合的な備えはほとんど整っていない。

 このままで原発を再び動かそうというのは暴挙である。いまだに収束できない事故から何も学ぼうとしない無責任な態度というほかない。

 原子力規制委員会が九州電力の川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)について、新規制基準を満たすとの審査書案を出した。

 1年前に新基準ができて初めてのことだ。意見公募など手続きはまだあるが、規制委による審査は実質的にヤマを越えた。

 安倍政権は「規制委の専門的な判断にゆだね、安全と認められた原発は再稼働する」と繰り返している。あたかも規制委の審査が原発の安全確保のすべてであるかのように。

 現実は違う。あまりに多くの問題点が置き去りにされている。規制委の権限が及ぶ範囲にも、その外側にも、である。

 このままでは、原子力規制のあり方を多少改めた以外、ほとんど何も変わらず、日本は原発依存に逆戻りしかねない。


■世界一と誇張するな

 安倍政権はエネルギー基本計画で、新基準を「世界で最も厳しい水準」と明記した。

 閣僚や自民党幹部もたびたび「世界一厳しい新基準で安全確認できたら、再稼働する」と口にしてきた。

 誇張が過ぎ、原発の安全神話を復活させかねない言動だ。

 確かに新基準は、地震や津波への設備対策を以前より厳しく求めている。だが、それは有数の地震国である日本の特徴を反映したに過ぎない。

 事故が起きるおそれを数字で表す手法は、欧米では広く採り入れられているが、新基準はそこまで徹底していない。

 川内原発で注目された火山噴火対策については、火山学者が疑問を投げかけるなか、手探りの火山監視で対応できるという九電の主張を追認した。

 本質的に重要なのは、新基準への適合は決して「安全宣言」ではないということだ。

 規制委の田中俊一委員長は「新基準では事故は起きうるという前提だ」と強調してきた。

 すなわち、事故対策は規制委だけでなく、電力会社や政府、自治体や住民も本気で考えるべきだと訴えてきたのだが、その多くが手つかずのままだ。


■重要課題が手つかず

 何より、事故の際の避難で、現実的な計画が描けていない。

 規制委が示した原子力災害対策指針を基に、地元自治体がつくることになっている。いきなり難題を突きつけられた形の自治体側は戸惑っている。

 原子力政策を国策だとしておきながら、政府はなぜ、避難を自治体に丸投げするのか。

 再稼働の条件に、避難計画は含まれていない。このまま計画の見通しなしに自治体が安直に再稼働に同意しては、政府も自治体も住民の安全を守る責任を果たしたとはいえまい。

 置き去りのままの重要課題はほかにもたくさんある。

 3年前の事故が浮き彫りにした課題を何度でも思い返そう。

 過酷事故、とくに原発密集地での事故は、おびただしい数の住民を被曝(ひばく)の危険にさらし、膨大な土地を放射性物質で汚しかねない。なのに複数原発が集中立地している問題は、規制委でもまともに議論されていない。

 防災の重点区域が「おおむね30キロ圏内」に広げられたのに、再稼働への発言権は立地自治体だけでいいのか。

 福島第一原発の吉田昌郎所長(故人)の証言「吉田調書」では、幹部職員の一時離脱が明らかになった。破局の瀬戸際の対応は電力会社任せでいいのか。


■もっと深い議論を

 根本的な問題は、日本社会が福島第一原発事故を十分に消化していないことだ。

 関係者や組織の責任を具体的に厳しく追及することもなく、かといって免責して事故の教訓を徹底的に絞り出すこともしていない。未公開の吉田調書に象徴されるように、事故の実相は国民に共有されていない。

 3年前、私たちの社説は「原発ゼロ社会」を将来目標とするよう提言した。幸いなことに、原発がすべて止まっても大停電など混乱は起きていない。

 関西電力大飯原発の運転差し止めを命じた福井地裁判決は、「原発停止は貿易赤字を増やし、国富流出につながる」という指摘に対し、「豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国富だ」と断じた。

 原発を含むエネルギー政策は経済の観点だけでは語れない。人間と自然の安全を長い未来にわたってどう確保するのか。

 放射性廃棄物の処分問題も含め、広く深い論議を抜きに原発再稼働を進めてはならない。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014071702000179.html

【社説】
川内原発・審査「適合」 ゼロの目標はどこへ
2014年7月17日

 原子力規制委員会の審査で「適合」が示され、川内原発が再稼働へ向かう。だが、もともと規制委は、原発ゼロ目標を前提につくられたのではなかったか。

 前民主党政権は福島第一原発事故の反省に立ち、一昨年九月の「革新的エネルギー・環境戦略」で、二〇三〇年代に原発をゼロにする方針を打ち出した

 福島事故以前は原発推進の旗振り役だった経済産業省から、原発の規制機関を独立させた。その規制委の基準を満たす原発は、当面の稼働を認めるが、四十年で廃炉にするという原発の“寿命”を厳格に適用し、新増設はしない。そうすれば最も新しい原発の寿命が尽きる二〇三〇年代に、原発は自然にゼロになる、という道筋だったはずである。


◆40年寿命が大前提

 規制委の審査には、四十年寿命、新増設はなし、という大前提があることを忘れてはならない。

 従って、新基準への適合とは、せいぜい、当面の稼働を認める仮免許といったところだろう。

 「二〇三〇年代原発ゼロ」は政権の独断というよりも、一定の民意を集めて成り立った

 当時の政府は革新的エネルギー・環境戦略を策定する前に「討論型世論調査」という新しい手法を使って、民意を確かめた

 無作為に選ばれた市民に、将来原発をどうするかという討論会に参加してもらう。原発やエネルギーに関する十分な情報と専門家の助言が保証された二日間の討論を経て、参加者の意見がどう変わるかを調べるという手順である。

 その結果、「二〇三〇年時点で原発ゼロ」のシナリオを支持した人が、約三割から約五割に増えたのだ。原発は一定程度必要だとした人は、討論の前後とも約三割と変わらなかった。万全ではないが、よりよい方法だった。

 ところがその後、自民党政権は「二〇三〇年代原発ゼロ」を「具体的根拠が伴わない」とあっさり覆し、今年四月に閣議決定した国のエネルギー基本計画の中に将来的にも「重要なベースロード電源」とあらためて位置付けた。新増設も否定していない。規制委が昨年夏に定めた規制基準を「世界で最も厳しい水準」として、それを満たした原発を速やかに再稼働させる姿勢を明らかにした。

 歯止めを外し、原発をゼロに導くはずだった規制基準を、原発を動かし続けるための基準にすり替えた。広く民意を問うこともなしに、である。


◆安全との保証はない

 新規制基準は、津波や地震対策、そして過酷事故への備えを強く求めてはいる。

 しかし、欧州のように、メルトダウン(炉心溶融)に備えるより根本的な改善を要求するものではない。当面の対症療法を求めていると言ってよい。

 だからこそ、原発を持つ電力会社が比較的短期間で申請書類を整えることが可能になっている。

 政府が繰り返し言う「世界一厳しい基準」にこそ、根拠はない。

 九州電力川内原発では、大噴火の恐れもある近くの火山対策や周辺住民の避難計画の不備が指摘されている。規制委の判断は避難計画には関知しない。

 規制委は、原発の敷地内を走る活断層や、基本設計の基準になる地震の揺れの大きさなどを厳しく評価してきている。電力会社と規制機関のなれ合いに、くさびを打ち込もうとした。そのため、推進側からは非難も批判も浴びた。

 ところが安倍政権は、その独立性を盾に取り、規制委の審査に通ったものは安全という、新たな原発神話の構築に向かい始めたようにすら見える。

 それを裏付けるのが、野党がこぞって反対した委員の交代人事である。活断層に厳しいと言われた委員を辞めさせて、原発関連企業から寄付や報酬を得ていたような人物に入れ替えた。規制委の生命線である信頼性が保てなくなる。

 小手先の話法と数の力でわが意を通すかのような安倍政権の政治手法に、疑問を抱く国民は少なくないだろう。

 隣県に原発のある滋賀県民は先日の知事選で、隣県の原発事故に影響される「被害地元」の住人として、「卒原発」の民意を突きつけた


◆しっかりと民意を問え

 原発再稼働は、全国民の問題である。国民の将来を考えて原発を動かしたいと言うのなら、しっかりと民意を問うてみるべきだ。

 福井地裁はこの五月、大飯原発の差し止めを命じる判決を出している。地裁の判断とはいえ、憲法の保障する人格権の見地から考察を加えている。規制委の審査とは違う視点もある。

 なし崩しの再稼働は、かえって国民の不信を深めるのではないだろうか。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014071701001381.html

川内原発への意見募集開始 規制委、来月15日まで
2014年7月17日 17時36分

 原子力規制委員会は17日、再稼働の前提となる審査に事実上合格の判断をした九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)について、これまでの審査内容をとりまとめた審査書案に対する国民の科学的、技術的な意見の募集を始めた。

 規制委は「新規制基準に基づく審査での初判断であり、広く意見を寄せてほしい」としている。ただ意見は審査書案への科学的、技術的なものに限定し、再稼働への賛否など審査書案の内容に無関係と判断したものは意見として取り扱わない。

 期間は8月15日までの約1カ月間(期間内必着)で、インターネットや郵送、ファクスで受け付ける。

(共同)
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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/151959

川内原発再稼働「NO!」 周辺自治体で反対の動きが急加速
2014年7月17日


   (16日も反対派が大規模デモ/(C)日刊ゲンダイ)

 16日、原子力規制委員会が九州電力川内原発1、2号機について、「新規制基準に適合している」と“合格”を出した。推進派は「10月にも再稼働」と色めき立っているが、事はそんな簡単に運ばない。

 規制委はパブリックコメント募集を経て、1カ月後に正式に「合格」を決める。しかし、再稼働には、地元説明会の実施、立地自治体の同意、機器の使用前検査など、いくつもハードルを越えなくてはならない。

 立地自治体の鹿児島県知事と薩摩川内市長は再稼働容認派だが、地元説明会が紛糾するのは確実だ。

 川内原発の取材を続けているジャーナリストの志葉玲氏がこう言う。

   「川内原発は“日本一危険な原発”といわれています。桜島のある
    姶良カルデラから100キロ圏内に位置しているため、噴火が起きたら
    火砕流が到達し破壊される危険性が指摘されているのです。
    九州電力は噴火の可能性を認めているのに、綿密な火山対策と
    避難計画を打ち出していません。楽観的な想定で津波にのまれた
    福島第1原発とまったく同じ状況なのです。薩摩川内市内を
    取材していても、<実は再稼働が怖い>という隠れ反対派が少なからず
    います。周辺自治体から<NO>の声が噴出するのは間違いないでしょう」

 実際、反対の動きは加速している。全域が原発30キロ圏内の鹿児島県いちき串木野市では、実効性のある避難計画がない状況下での再稼働反対を訴える緊急署名が市民の過半数を得た。国の公害に苦しんだ熊本県水俣市は40キロ圏内だが、「再稼働反対」を訴える水俣病患者が急増しているという。

 前出の志葉玲氏が言う。

   「ちょっとした問題でも反対運動は一気に広がります。例えば桜島の
    噴火です。4年前から活動が活発化しており、火山灰が降る鹿児島県
    熊本県宮崎県で不安を訴える人が増えています。あるいは
    伊藤祐一郎鹿児島県知事の失言が引き金になるかもしれません。
    知事は病人や老人など要援護者の避難計画について
    <10キロ圏内で十分><空想的なものは作れるがなかなか
    ワークしない>と言い放ち、県議会で糾弾されました」

 原発ゼロで十分やっていけるのに、コストもリスクも高い原発を再稼働させる意味はない。推進派のもくろみはこっぱみじんに粉砕しなければならない。
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●「もんじゅ」の知恵ではなく、「絵に描いた餅」に「一日当たり五千五百万円」!

2014年04月29日 00時00分07秒 | Weblog


東京新聞の二つの記事【東京新聞の記事【臨界から20年で運転3カ月 もんじゅ延命 政権固執】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014040702000139.html)と、
【自公「脱原発」公約破棄 政府エネ計画 正式了承』(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014040902000130.html)。

 『もんじゅ‐の‐ちえ〔‐チヱ〕【文殊の知恵】』: 
   文殊菩薩のような、すぐれてよい知恵。「三人寄れば―」 
      (http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/220750/m0u/%E6%96%87%E6%AE%8A%E3%81%AE%E7%9F%A5%E6%81%B5/

 「「初臨界」から20年を迎えた。この間、事故や不祥事を繰り返し、実際に運転したのはわずか3カ月間。「税金の無駄遣い」との批判に加え、東京電力福島第一原発事故で安全性への疑問も一段と膨らむ。原発を推進する安倍晋三政権は「核のごみ焼却」という新たな看板を掲げ、延命を目指すが、問題は放置されたままだ・・・・・・運転していない現在でも年間二百億円一日当たり五千五百万円の巨費が投じられ、その大半は国民の税金」・・・・・・。

 「絵に描いた餅」に「一日当たり五千五百万円」!、果たしてこれは「「もんじゅの知恵」といえるのか? こういうのは「ドブガネ」というのではないだろうか!?

 「衆院選や参院選で、脱原発依存とともに「三〇年に再生可能エネルギーの割合30%を目指す」「もんじゅを廃止する」と公約していた」・・・・・・もう騙されたとは言わせない。いい加減に自公議員に投票されたツケを一体誰が払わされるのか?

   『●自公議員に投票したことの意味:
        原発は「重要なベース電源」、さらに「もんじゅ」「核燃サイクル」継続

   『●無関心の責任: 自公は「原子力に依存しなくてもよい
                       経済・社会構造の確立」、「原発ゼロ」を公約


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014040702000139.html

臨界から20年で運転3カ月 もんじゅ延命 政権固執
2014年4月7日 朝刊

 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が5日、原子炉内で核分裂反応が連鎖的に起きる「初臨界」から20年を迎えた。この間、事故や不祥事を繰り返し、実際に運転したのはわずか3カ月間。「税金の無駄遣い」との批判に加え、東京電力福島第一原発事故で安全性への疑問も一段と膨らむ。原発を推進する安倍晋三政権は「核のごみ焼却」という新たな看板を掲げ、延命を目指すが、問題は放置されたままだ。 (西尾述志)

 「一日も早く県民、国民の信頼に足る組織としなければ、もんじゅの将来はない」。地元、福井県の西川一誠知事は県議会二月定例会で、もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構(原子力機構)を批判した。

 福井県はもんじゅを含め全国最多の原子炉十四基が立地する。原発を推進する立場の知事が根強い不信感を口にしたのは、もんじゅをめぐる不祥事の数々があるからだ。原発の安全性が揺らいだ福島第一原発事故から一年半後の二〇一二年九月にも、約一万点にも上る機器点検漏れが内部調査で発覚、原子力機構のずさんな運営体質があらためて問題になった。

 機構側は組織改革に乗り出すとしたが、四月一日の組織再編は先送りに。自浄能力の無さを自ら示す結果となった。

   ◇   ◇

 もんじゅは総事業費一兆円を超える国家プロジェクト。保守や管理が難しく、運転していない現在でも年間二百億円一日当たり五千五百万円の巨費が投じられ、その大半は国民の税金だ。膨大なコストから米国やフランスなどは高速増殖炉開発から相次いで撤退、今や先進国では日本のみが開発にしがみつく

 安倍政権は今週にも閣議決定するエネルギー基本計画にもんじゅ存続を明記する。核燃料を増やす増殖炉研究の余地を残しつつ、むしろ使用済み核燃料を減らす「核のごみ専用の焼却炉」の役割を前面に押し出した。膨大な核のごみを解消する施設へ生まれ変わることで国民の理解を得ようとしている。

 しかし、フランスと日本に高速増殖炉で核廃棄物を燃やす基礎データがあるとはいえ「まだ試験管レベルの話」(関係者)で、現時点では絵に描いた餅。核燃料サイクルでは、もんじゅだけでなく、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理施設でもトラブルが相次ぎ、いまだ運転していない。プルトニウムを軽水炉で燃やすプルサーマル計画も福島第一原発事故で見通しは立たない


■もんじゅをめぐる主な経過

1983年5月 国が原子炉の設置を許可
  85年10月 着工
  92年12月 試運転を開始
  94年4月 初臨界
  95年8月 初発電
     12月 ナトリウム漏れ事故が発生、運転停止
    同 事故の様子を写したビデオ隠しが発覚
2003年1月 名古屋高裁金沢支部が設置許可無効の判決
  05年5月 最高裁が高裁支部判決を破棄
  10年5月 14年5カ月ぶりに試運転再開、臨界到達
      8月 炉内中継装置の落下事故
  12年8月 復旧工事終了
      9月 約1万点の機器点検漏れが内部調査で発覚
  13年5月 原子力規制委が事実上の運転禁止命令
      9月 原子力機構が改革計画をまとめる
  14年1月 点検計画見直しの虚偽報告が明らかに
      3月 4月1日に予定の組織改編を断念し、先送り
      4月 与党がエネルギー基本計画案を了承 

 <もんじゅ> 日本の核燃料サイクル政策の中核施設。使 った以上の燃料を生み出す「高速増殖炉」の実用化を目 指す研究段階の「原型炉」。電気出力28万キロワット。人工的に製造された猛毒のプルトニウムとウランを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料を使う。主流の軽水炉と違い、核分裂で生じる熱を液体ナトリウムで取り出す。ナトリウムは空気に触れると燃え、水に接触すると爆発するため、取り扱いが難しい。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014040902000130.html

自公「脱原発」公約破棄 政府エネ計画 正式了承
2014年4月9日 朝刊

 自民、公明両党は八日の与党政策責任者会議で、中長期のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の政府最終案を正式に了承した。与党協議は一カ月間にわたったが、「原発は重要なベースロード電源」と位置付けた政府の原発推進路線への逆戻りを追認しただけだった。政権復帰した二〇一二年の衆院選で両党が掲げた「脱原発依存」の公約破棄は明白になった。 (城島建治、横山大輔)

 政府原案の是非を議論する自民、公明両党のワーキングチームは三月七日から議論を開始し、六回の会合を重ねた。だが、原発の再稼働に歯止めをかけるべきだとの意見はほとんど出なかった。

 一二年衆院選で「一年でも早く原発ゼロを目指す」と公約した公明党も、再稼働には異論を挟まなかった。修正を求めたのは原発の代替エネルギーとして、再生可能エネルギーの数値目標を盛り込むことや、使用済み核燃料の再利用の見直し、高速増殖原型炉もんじゅの廃止だった。

 いずれも衆院選や参院選で、脱原発依存とともに「三〇年に再生可能エネルギーの割合30%を目指す」「もんじゅを廃止する」と公約していたからだ。しかし、使用済み核燃料の再利用は見直されないまま政府案を了承。再生エネについても、本文でなく脚注に三〇年に「20%」の数値を明記し、本文でそれを「さらに上回る水準を目指す」とした政府の譲歩案を受け入れるにとどまった。

 自民党は衆院選公約で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す」と、将来的には「脱原発依存」を目指す考えを示していた。党内の脱原発を目指す議員からは、公約違反の政府原案に修正を求める意見も相次いだが、こうした批判は党内の大勢とはならなかった。


◆混乱・不満積み残し

 自民、公明両党が八日に正式了承した「エネルギー基本計画」の政府最終案では、いったんは原案の冒頭から削除された東京電力福島第一原発事故に対する「深い反省」を含む一文が復活した。だが、公明党の石井啓一政調会長が記者会見の場で、この修正に関し「聞いていない」と不満を漏らす一幕があった。

 原発事故への「深い反省」は、両党の協議で「(政府案に)同じ表現が出てくる」と削除され、いったんは後のページに回された。

 前文に事故の反省が復活したのは、自民党内の原発容認派からも事故の教訓を軽んじている印象を与えるとの批判が出たためだ。公明党もこの記述変更に異論はなかったが、石井氏はこの日の正式了承後、自民党の高市早苗政調会長と一緒に記者会見するまで知らなかった。記述の変更を高市氏が石井氏に伝えていなかったことが原因とみられ、与党内の連携不足が露呈した。

 これに先立つ自民党の総務会では最終案が全会一致で了承された。ただ、村上誠一郎元行政改革担当相は同案を批判して途中退席。総務会ではメンバーでない河野太郎副幹事長も出席し「党内手続きに欠点がある」などと批判するなど、了承手続きは自民党内でも不満を残したまま終わった。

<エネルギー基本計画> 国のエネルギー政策の中長期的な指針と位置付けられる。エネルギー政策基本法で政府に策定が義務付けられている。経済産業相が有識者で構成する総合資源エネルギー調査会の意見を聞いて政府案をつくり、閣議決定する。3年をめどに見直す。現在の計画は2010年に民主党の菅内閣が閣議決定した。11年3月の東京電力福島第一原発事故を教訓に、民主党政権は30年代に原発稼働ゼロを目指す方針を決めた。安倍政権は民主党のゼロ戦略を撤回し、近く閣議決定するエネ計画で原発推進路線を鮮明にする。
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●原子力ムラ復権を易々と許していていいのか?

2014年04月22日 00時00分54秒 | Weblog


東京新聞の3つの記事【原発推進 エネ計画閣議決定  原子力ムラ復権』(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014041290070316.html)、
【電源比率、決定には曲折も 原発再稼働なお不透明』(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014041101002200.html)、
【原発停止が主因じゃない 貿易赤字』(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014041202000109.html)と、
社説【原発回帰の危険な道 新エネルギー基本計画】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014041202000121.html)、
コラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014041202000115.html)。

 「「重要なベースロード電源」と位置付け、原子力規制委員会の基準に適合した原発を再稼働させ、民主党政権が打ち出した二〇三〇年代の「原発稼働ゼロ」方針を撤回することを正式に決めた」・・・・・・3.11東電原発人災を引き起こした我が国がこの有様、本当に本当に恥ずかしい。当時の原発ゼロというあの民意は一体どこに行ったのだろう?

   『●2030「年代」原発ゼロと原発建設再開

 「原発の停止により、輸出でお金を稼ぐ日本の経済成長モデルが崩れてしまった、という理屈だ。だが、民間シンクタンクは貿易収支の悪化の原因が原発停止ではなく、企業が海外生産を増やした産業構造の変化の影響だと分析する。政府の説明からは、原発停止の影響を強調し再稼働に結びつけたい思惑がにじむ」・・・・・・そんな思惑に易々とだまされ、なんでも信じてしまうオメデタイ人達=自公投票者。それとも、単なる無知・無関心か?

   『●オメデタイ発想=「輸出企業は下請けなどから部品を
             仕入れる際に消費税を支払っている」・・・訳がない?


 『筆洗』氏は云う、「<書き出しとは、脈どころであり、ツボである。丁寧に触診すれば作品の心臓部の働きを感じとることができるであろう>▼・・・・・・閣議で最終決定された「計画」で第一段落はこう変えられていた。<我が国は、エネルギー源の中心となっている化石燃料に乏しく、その大宗(たいそう)を海外からの輸入に頼るという根本的な脆弱(ぜいじゃく)性を抱えており…国内外の状況の変化に大きな影響を受けやすい構造を有している>▼これら二つの書き出しのどちらに、未来に向けたエネルギー政策の脈動を感じるか。事故への反省と再生への覚悟がにじむか」。そういった覚悟が全くにじまない、そんな作文に易々とだまされていて大丈夫なのか? 「事故への反省と再生への覚悟」がにじむことはなく、「原発停止の影響を強調し再稼働に結びつけたい思惑」ばかりがにじむ。

   『●アベ首相が「プルトニウムを再利用する「核燃料サイクル」の推進を表明」
                  ・・・もしかして「〇〇〇〇」?


 双葉町に掲げられた「原子力明るい未来のエネルギー」・・・・・・東京電力原発人災を忘却したくてしょうがないようだ。

   『●福島県双葉町「原子力明るい未来のエネルギー」
                     ・・・・・・いま、その〝少年〟は?


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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014041290070316.html

原発推進 エネ計画閣議決定  原子力ムラ復権
2014年4月12日 07時03分

 政府は十一日、国のエネルギー政策の指針となる新たな「エネルギー基本計画」を閣議決定した。原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、原子力規制委員会の基準に適合した原発を再稼働させ、民主党政権が打ち出した二〇三〇年代の「原発稼働ゼロ」方針を撤回することを正式に決めた。

 計画では、原発新増設も必要な原発の数などを「見極める」と含みを残した。原発輸出は、東京電力福島第一原発事故の教訓を国際社会と共有し、原子力の安全性向上に貢献するとして積極的に進める考えを示した。将来の原発や再生可能エネルギーの電源比率をどうするかの具体的な数値目標は盛り込まなかった。

 原発事故後、初の計画。政府は一月の決定を目指したが、与党から原案は原発推進の色が濃すぎるとの異論が出て決定が遅れた。


◆エネ計画ポイント

▼原発は重要なベースロード電源

▼規制基準に適合した原発は再稼働を進める

▼原発依存度は可能な限り低減。安定供給などの観点から確保していく規模を見極める

▼再生可能エネルギーは二〇一三年から三年程度、導入を最大限加速し、その後も積極的に推進する

▼もんじゅは高レベル放射性廃棄物の減容化の国際研究拠点にする


◆経産省主導の舞台裏

 安倍政権は「エネルギー基本計画」で原発推進路線を鮮明にした。東日本大震災から三年で、東京電力福島第一原発事故を忘れたかのような姿勢。電力会社や経済産業省という「原子力ムラ」が復活した。 (吉田通夫、城島建治)

 計画案の了承に向けた与党協議が大詰めを迎えた三月下旬。経産省資源エネルギー庁の担当課長は、再生可能エネルギー導入の数値目標の明記を求められ「できません」と拒否した。

 「その態度はなんだ」。要求した自民党の長谷川岳(がく)参院議員によると、課長は椅子に反り返り、足を組んだまま受け答えしたという。長谷川氏の激怒で協議は中断した。

 与党は原発を「重要」と位置づける部分は容認し、推進の立場は政府と同じだが、脱原発を求める世論を気にして一部議員は再生エネの数値化にこだわった。

 だが、原発依存度の低下につながるのを懸念した経産省は本文に書き込むのを拒否。目標を拘束力の弱い脚注に入れ、本文にそれを「上回る水準の導入を目指す」との対案を与党に提示し「大幅に上回る」との表現で合意した与党の指示をも拒み「さらに上回る」との再提案で押し切った。

 電力各社も介入した。

 電力各社でつくる電気事業連合会は、自民党が所属議員に計画案への考えを聞いたアンケートに便乗。若手らに原発の維持・拡大につながる核燃料サイクル事業を「着実に推進する」と書くよう説いた

 原子力ムラの動きの背後には、経産省が影響力を強める首相官邸がある。

 安倍晋三首相の黒子役を務める首席秘書官は、経産省出身でエネルギー庁次長も務めた今井尚哉(たかや)。首相の経済政策の実権は、今井氏と経産省が握っている。

 昨年七月。今年四月から消費税率を8%に引き上げるか迷っていた首相は、税率を変えた場合に経済が受ける影響を試算することを決めた。指示した先は財務省でなく経産省だ。

 歴代政権の大半は「省の中の省」と呼ばれる財務省を頼ったが、安倍政権は経産省に傾斜。その姿勢が原子力ムラを勢いづかせた

(東京新聞)
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014041101002200.html

電源比率、決定には曲折も 原発再稼働なお不透明
2014年4月11日 22時01分

 政府は11日、新たなエネルギー基本計画が閣議決定されたのを受け、将来の電源比率について、具体的な検討に入った。だが、原発再稼働には周辺自治体の同意など課題が多く、比率決定は曲折も予想される。

 安倍晋三首相は同日の衆院本会議で、化石燃料への依存度が高まっていることを理由に「そう簡単に原発はもうやめたと言うわけにはいかない」と述べ、再稼働状況などを踏まえて早期に電源比率を示すと説明した。

 だが、実際の再稼働の時期は見通せないのが実情だ。原子力規制委員会に審査申請しているのは10原発17基あるが、立地地域の中には再稼働に反対意見が多いところもある。

(共同)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014041202000109.html

原発停止が主因じゃない 貿易赤字
2014年4月12日 朝刊

 エネルギー基本計画は、東京電力福島第一原発の事故後、全国の原子力発電所が停止し、火力発電のために必要になった原油やガスなど「化石燃料の輸入が増加」したことが、貿易収支を悪化させたと強調した。原発の停止により、輸出でお金を稼ぐ日本の経済成長モデルが崩れてしまった、という理屈だ。だが、民間シンクタンクは貿易収支の悪化の原因が原発停止ではなく、企業が海外生産を増やした産業構造の変化の影響だと分析する。政府の説明からは、原発停止の影響を強調し再稼働に結びつけたい思惑がにじむ。 (吉田通夫)

 日本の貿易収支は二〇一一年に輸入額が輸出額を上回り三十一年ぶりに赤字に転落し、一三年の赤字幅は過去最大の一一・五兆円となった。

 赤字の理由について、エネルギー基本計画は化石燃料の輸入増加以外の大きな理由を記載していない。原発停止による電気料金の値上がりの影響も強調し、企業の負担増が業績悪化につながり、「海外への生産移転などの悪影響が生じ始めている」と書いた。

 だが、大和総研はリーマン・ショック後の急激な円高をきっかけに進んだ産業空洞化が主因だと指摘する。材料費や人件費などの費用を少なくしようと国内のモノづくり拠点が海外に移ったため輸出が減る一方、海外からさまざまな製品の輸入が増え、試算では原発が稼働していても収支を七兆円も押し下げている。

 一二年から一三年にかけた円安の進行は、輸入額の増加という影響を大きくし、貿易収支は三兆円悪化。燃料の輸入増加で四兆円の影響も加わるが、斎藤勉エコノミストは「原発が再稼働しても、大幅な貿易赤字は解消しない」という。

 京都大学経済学部の植田和弘(うえたかずひろ)教授は「新エネルギー産業の振興など、新しい経済モデルを模索するべき時期に来ている」と分析。「エネルギー戦略も新しいモデルに合わせて練るべきで、貿易赤字だから原発を再稼働しようというのは本末転倒だ」と再稼働ありきの政府の姿勢を批判した。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014041202000121.html

【社説】
原発回帰の危険な道 新エネルギー基本計画
2014年4月12日

 新しい国のエネルギー基本計画は、福島の事故はもう忘れ、原発を使い続けようという宣言なのか。国の指針として、危険な道を示すべきではない

 やっぱり原発回帰である

 国のエネルギー基本計画は、原案通り、原発を、基本的な電力供給源の役割を担う「ベースロード電源」と位置付け、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルを維持する方針を打ち出した。

 安倍政権は、原子力規制委員会が審査を終えた原発の再稼働を急ぐ方針だ。“神話”も、3・11もなかったかのように、である。


万に一つも許されない

 万一の原発事故に備えた各地の避難計画づくりが遅れているという。二度目はない万に一つもあってはならない-。それが福島第一原発事故の手痛い教訓だったはずである。だとすれば、なぜ避難計画が必要なのか。

 福島の事故処理にかかる費用は、すでに十四兆円に膨れ上がったという試算もある。

 トラブル続出の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)さえ、実験施設として残す。すべてが原発回帰のための計画なのだ。

 原発は、決して安定的な電力供給源ではないし、安くもない

 省エネ、そして風力や太陽光など再生可能エネルギーを増やすことにより、原発依存度を可能な限り低減させるという。

 だが、電源の構成比は結局明記せず、「二〇三〇年に約二割」とするその導入目標は、本文ではなく脚注に追いやった。実行する必要のない、ただの参考数値ということだ。

 世界には、再生可能エネルギーの風が、文字どおり吹いている。

 ドイツでは、二〇五〇年に80%を目指す。スペインや米国、中国も、再生可能エネルギー大国だ。

 風力や太陽光はまさに風任せ、お日さま任せで、出力が安定しないとされる。そうでもない。どこかで必ず風は吹き、太陽は照っている。欧州では、お互いの需要に合わせ、電力を補い合う関係をすでに築いている。

 日本では、3・11からちょうど三年のその日、地産地消の発電を目指す市民グループや消費者団体などが集まって、「全国ご当地エネルギー協会」を六月までに発足させると申し合わせた。

 もちろん規模は比ぶべくもない。それでも「もう一つの電事連(電力会社の集まり、電気事業連合会)」を目指すという。


◆雇用の維持と創造は

 私たちは長い間、電気は、大手電力会社にしかつくれない、供給できないという思い込みにとらわれてきたようだ。そのせいで、地方に巨大な原子炉を設置して、大量の電気を都会へ送り込むというシステムを、培ってきたのではなかったか。

 日本は再生可能エネルギーの宝庫である。北は風、南は地熱や太陽光に向いている。水力も豊富にある。長い海岸線を持つ島国の特性として、海に浮かべる洋上風力発電の潜在力も極めて高い。

 再生可能エネルギーは、地域の可能性である。原発維持は、その可能性を潰(つぶ)しかねない。

 「もう一つの電事連」の「もう一つの目標」は、電力の地産地消を進めて地域でお金を回し、雇用を生み出すことだという。

 立地地域の人々は長い間、原発事故の恐怖と隣り合わせに暮らしてきた。脱原発だからといって、その人たちの暮らしを奪ってはならない。これからの産業、そして雇用が必要なのだ。

 新たな基本計画は、「ポスト原発の時代を語っていない。今現在の責任を散々強調しておきながら、未来に無責任なのである。

 原発の寿命は法律上は四十年。老朽化とともに資産価値は目減りする。地方税収も、次第にダウンする。

 当面は、蓄積した技術を生かし、廃炉ビジネスで雇用を拓(ひら)く道がある。だが、本当に必要なのはその次なのだ。既存の送電網を生かした自然エネルギーによる発電も、地方に雇用を生み出す有力な産業の一つに違いない。


◆新しいネットワークへ

 福井では、原発の跡地を液化天然ガス(LNG)の供給基地にする構想が浮かんでいる。北海道と本州を結ぶ送電網の拡充も必要になるだろう。十電力会社の寡占から、融通のネットワークに踏み出すことが、再生可能エネルギー普及のかぎになる。

 大手電力会社も含め、いつまでに、どこに、どんな発電所を配置して、どのようなネットワークを築くのか-。原発立地地域の雇用の維持と創出を常に視野に入れながら、もう一つの基本計画を、政府は提示すべきである。

 それはそのまま、脱原発依存社会の未来図にもなるはずだ。後戻りしてはいけない。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014041202000115.html

【コラム】
筆洗
2014年4月12日

 書き出しは、難しい。「国境の長いトンネルを抜けると…」のように光景描写で始めるか、心情吐露で始めるか。「吾輩は猫である」と一人称でいくか、「メロスは激怒した」のように三人称にするか。そこには、書き手の覚悟が潜んでいる▼作家の中村邦生さんは古今の名作の第一段落を吟味した『書き出しは誘惑する』(岩波書店)で記している。<書き出しとは、脈どころであり、ツボである。丁寧に触診すれば作品の心臓部の働きを感じとることができるであろう>▼では、この一文はどうだろうか。<震災前に描いてきたエネルギー戦略は白紙から見直す。原発依存を可能な限り低減する。(原発事故で)被災された方々の心の痛みにしっかりと向き合い、寄り添い、福島の復興・再生を全力で成し遂げる>。これは、政府の「エネルギー基本計画(案)」の書き出しだ▼だが、きのう閣議で最終決定された「計画」で第一段落はこう変えられていた。<我が国は、エネルギー源の中心となっている化石燃料に乏しく、その大宗(たいそう)を海外からの輸入に頼るという根本的な脆弱(ぜいじゃく)性を抱えており…国内外の状況の変化に大きな影響を受けやすい構造を有している>▼これら二つの書き出しのどちらに、未来に向けたエネルギー政策の脈動を感じるか事故への反省と再生への覚悟がにじむか▼これは単なる文章術の問題ではない。
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●アベ首相が「プルトニウムを再利用する「核燃料サイクル」の推進を表明」・・・もしかして「〇〇〇〇」?

2014年04月07日 00時00分10秒 | Weblog


東京新聞の二つの記事【首相 了承なく「推進」 核燃サイクル 与党協議の中】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014032190070907.html)、
【「軽視」自公の批判必至】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014032102000126.html)。

   『●教育破壊: 「「ボンクラ」「嘘つき」」につける薬なし、
                 そして、「戦争絶滅受合法案」の制定を!


 「原発の再稼働を前提に、使用済み核燃料から取り出した核物質プルトニウムを再利用する「核燃料サイクル」の推進を表明・・・・・・核燃料サイクルを「推進する」と明記した政府のエネルギー基本計画案に対しては、与党内で反対論が根強く、まだ閣議決定がされていない。政府・与党の意思決定前に、世界に向けて日本が将来も原発を維持する方針を発信」・・・・・・また勝手なことを言っている。「」ずかしくないのかな? もう書き飽きたけれど、どこまで本気なのか、無知なのか、無関心なのか知らないが、核燃サイクルにまだ希望を抱いているとは、呆れる。「「ボンクラ」「嘘つき」につける薬なし」。それに、「原子力=核」が透けて見えて、あさましい。

   『●烏賀陽弘道さん『ヒロシマからフクシマへ原発をめぐる不思議な旅』読了

 ここで、またしても、「平和を愛する」らしい学会さんには危機感は無いのかいな? 第3自民党=公明も口ばかりである。元祖自民党との猿芝居デキレースに忙しいらしい・・・・・「安倍首相が核安全保障サミットで核燃料サイクルの推進を表明する方針を決めたのに対し、自民、公明両党の原発再稼働慎重派議員を中心に「与党軽視だ」との批判が出るのは間違いない」

   『●「『平成の治安維持法』をつくった総理」の非常に危険な思い入れ、
                                    それに手を貸す責任

   『●「(積極)平和主義」「不戦の誓い」が聞いて呆れる、
                           「死の商人主義」「外交破壊主義」

   『●「与党公明党」: 平和を願っているらしい
                 「学会さん」も「テロリスト」と呼ばれる日がいつか

   『●ブレーキは無く、二つの「アクセル」な自公政権

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014032190070907.html

首相 了承なく「推進」 核燃サイクル 与党協議の中
2014年3月21日 07時09分

 安倍晋三首相が二十四、二十五両日にオランダ・ハーグで開かれる第三回核安全保障サミットで、原発の再稼働を前提に、使用済み核燃料から取り出した核物質プルトニウムを再利用する「核燃料サイクル」の推進を表明することが分かった。核燃料サイクルを「推進する」と明記した政府のエネルギー基本計画案に対しては、与党内で反対論が根強く、まだ閣議決定がされていない。政府・与党の意思決定前に、世界に向けて日本が将来も原発を維持する方針を発信することになる。

 プルトニウムは核兵器の材料となるため、利用目的がはっきりしないまま大量に保有していれば、テロや核拡散を招くとして国際社会から疑念を持たれる。日本は長崎に落とされた原爆の五千発以上に相当する四十四トンものプルトニウムを保有している。

 首相は核サミットで「利用目的のないプルトニウムはつくらず、保持しない」との方針を表明。安全が確認された原発は再稼働させて、核燃料サイクルによりプルトニウムを使っていく考えを示す。

 ただ、大量のプルトニウムを消費するのに何年かかるかの見通しは立っていない。再利用を名目に長年にわたって原発を動かし続けることになりかねない。

 核燃料サイクルに関しては、取り出したプルトニウムを利用するはずだった高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)はトラブル続きでほとんど動いていない。通常の原発で使用済み核燃料のプルトニウムを使うプルサーマル発電も、通常の核燃料に比べて二倍の高レベル放射性廃棄物が発生するなど問題が多い

(東京新聞)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014032102000126.html

「軽視」自公の批判必至
2014年3月21日 朝刊

 安倍首相が核安全保障サミットで核燃料サイクルの推進を表明する方針を決めたのに対し、自民、公明両党の原発再稼働慎重派議員を中心に「与党軽視だ」との批判が出るのは間違いない。

 自公両党は政府のエネルギー基本計画案について協議を続けている。政府は早期の閣議決定を目指しているが、核燃料サイクルの「推進」の表現に異論は強い。

 自民党の会合では、河野太郎副幹事長が「サイクルが破綻しているのは明白」と指摘。「推進」の表現に対し、柴山昌彦衆院議員が「見直しをするという表現に改めるべきだ」と要求。秋本真利衆院議員も「『推進』は原発を残すことの裏返しだ」と批判した。

 昨年の参院選で、使用済み核燃料の再処理の見直し検討やもんじゅの廃止を公約した公明党からも、政府のエネルギー基本計画案との整合性を問題視する声が出ている。自公両党のワーキングチームは核サミット中の二十四日に核燃料サイクルを議題にする予定。原発維持を既成事実化する首相の方針表明に慎重派が硬化し、エネルギー基本計画案の見直しを迫る意見が強まる可能性がある。

 (後藤孝好宮尾幹成
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●原子力「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、「寄生」委員会(1/2)

2014年03月30日 00時00分38秒 | Weblog


magazine9.jpの記事【いま、東電で起きていること、原子力規制委員会の危うい動き】(http://www.magazine9.jp/article/osanpo/11010/)。
asahi.comの記事【原発事故と規制委―教訓いかす改革続けよ】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p、3月9日)。
東京新聞の記事【3・11から3年 まだ知らないフクシマ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014030902000146.html)。
asahi.comの記事【原発政策―問題先送りを続けるな】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p)。
最後に、peacephilosophy.blogspot.jpの記事【原子力規制委「帰還に向けた考え方」にある4つの重大な問題点: 反核医師会より抗議声明】(http://peacephilosophy.blogspot.jp/2014/03/blog-post_7.html)。

 「政府は原発再稼働へはっきりと舵を切った。それに呼応するように、原子力規制委員会の動きもかなり以前とは変わってきている。各原発の安全審査を、「再稼働」の方向へ導こうとしているように見えるのだ」・・・・・・露骨な原子力「推進」委員会っぷり。

 アベ自公政権と協力しての原発再稼働への動き、それを後押しする原子力「推進」委員会。「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、むしろ「寄生」委。「原発再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査が、最初のヤマ場を迎えつつある。新しい規制基準に比較的早く適合しそうな原発の絞り込みが進み、最初の再稼働の候補原発が「優先審査」の対象として近く公表される見込みだ。再稼働に前のめりな政治家らからは「世界一厳しい規制」といった言葉も聞かれる。基準を満たしさえすれば問題ない、と言いたげだ。だが、それは違う」。

   『●覆水盆に返らず、3.11から3年も経って今頃言っている愚かさ

 「地元」民や「地元」首長にも大いに問題あり。自公政権や「寄生」委等々に「騙されること」そして「無関心」の責任。「過去に目を閉ざすものは、現在にも盲目になる--。原発事故にも通ずるかもしれない。あれから三年。私たちは、福島原発事故を実はまだ知らない・・・・・・政府のエネルギー基本計画案は原発をあらためて「重要なベースロード電源」と位置付けた。昼夜を問わず、一定量の電力供給を担う主要な発電設備のことをいう。一昨年の衆院選で掲げた脱原発依存の約束に目をつむり、3・11以前に戻したいという意味だ・・それでもなお、映画を見た多くの人が「知らなかった」という感想を寄せてくる・・・・・・福島原発事故がどれほど大きな事故だったのか。もし偶然の救いがなければ、どれほど巨大な事故になったか。国民として、もっと正しく知る必要があるだろう」。

   ●無関心の責任: 自公は「原子力に依存しなくてもよい経済・
                 社会構造の確立」、「原発ゼロ」を公約

 最後に、暴走する原子力「推進」「奇声」「寄生」委員会への抗議・・・・・・「1,100ミリシーベルト以下の被ばくでも健康被害の可能性を認めるのが、現在の国際的動向である・・・・・・2,ICRPの勧告でも、積極的な住民参加による意思決定や健康管理の充実を強調している・・・・・・・3,個人線量計による計測結果を重視することで、被ばくに対する個人責任や新たな社会的問題を生み出す危険がある・・・・・・4,健康相談員による相談だけでは、住民に安全・安心の健康管理は不可能である」。

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http://www.magazine9.jp/article/osanpo/11010/

時々お散歩日記
鈴木耕
170


いま、東電で起きていること、
原子力規制委員会の危うい動き

 安倍政権のあまりに極右的な突っ走りぶりに目を奪われている間に、原発再稼働への動きが露骨になってきた。舛添要一氏の東京都知事当選で、まるで「再稼働承認」の錦の御旗を得たとでも言わんばかりに、政府は原発再稼働へはっきりと舵を切った。

 それに呼応するように、原子力規制委員会の動きもかなり以前とは変わってきている。各原発の安全審査を、「再稼働」の方向へ導こうとしているように見えるのだ。

 東電は、相変わらず超高濃度汚染水の垂れ流しを単純な機器の不具合でごまかそうとする。

 さらに、米倉経団連会長からも「原発新規建設」を求める声が公然と上がり始めたし、事故後しばらくは顔を見せなかった原子力ムラ(小出裕章さんは「原子力ムラではない、あれはもっとたちの悪い原子力マフィアです」と常々言っておられる)の面々も、最近では恥ずかしげもなくマスメディアに顔を出すようになってきた。出すほうも出すほうである。

 政府の原発関連の審議会や懇談会のメンバーには、原発マフィアの連中がいつの間にか復帰。それを土台にして、政府の「エネルギー基本計画」なるものは、言葉遊びで国民をたぶらかそうとする。

 NHKへの安倍支配は制作現場にまで及び、原発関連のラジオ放送を事前チェックでやめさせたりもする。NHK側は「都知事選の最中なので、政治的議論のあるものは避けてほしいと要請しただけ」と弁解したが、それならば、TPPも集団的自衛権も憲法も秘密保護法も社会保障もアレもコレも…すべて避けなければならない理屈になる。

 賛否の議論がある社会問題を取り上げられないのなら、それはもはや“報道機関”ではない。あまりにトンチンカンで呆れるほど面白い籾井会長や某作家もいることだし、NHK丸ごと吉本へでも払い下げるがいい…吉本も迷惑だろうが。と、皮肉のひとつも言いたくなるのだ。

 最近の原発をめぐる危うい状況を見てみよう。

 昨年末以来、原子力規制委員会は、泊原発3号機(北海道、北海道電力)、大飯原発3,4号機(福井、関西電力)、高浜原発3,4号機(福井、関電)、伊方原発3号機(愛媛、四国電力)、川内原発1,2号機(鹿児島、九州電力)、玄海原発3,4号機(佐賀、九電)など4電力6原発10基の安全審査に入っている。

 そして1月26日には、女川原発2号機(宮城、東北電力)の安全審査も規制委が開始した。

 これらの審査について、規制委の更田豊志委員は早々と(1月9日)、「安全審査の新基準に不適合とされる原発が出てくるとは、考えていない」と語り、大飯原発については「夏になってまだ安全審査をやっているとは思わない」。さらに、高浜原発についても「夏までの再稼働は不可能ではない」と、ほぼ審査合格のお墨付きを与えてしまった。

 審査途中で「不適合の原発は出てこない」と語る。これはそうとうな問題発言だ。きちんとした審査報告書が作られる前に、規制委員がこんな発言をしてしまう。結論ありきの上での審査だと言われても仕方ないではないか。ところが、この更田発言に対する批判がほとんど聞かれない。逆に、政府筋からは更田発言を評価する声が上がっている始末。

 なお、更田委員は、原子力ムラのど真ん中に位置する日本原子力研究開発機構の副部門長という要職にあった人。委員就任当初から「中立であるべき原子力規制委員としては、偏った人事ではないか」との批判を受けていたが、その批判が当たっていたというべきだろうか。

 アベノミクスの重要な柱である原発再稼働に、規制委そのものも飲み込まれ始めたのかもしれない。

 そのことは、政府の「エネルギー基本計画」にあからさまだ。「原発を重要なベース電源とする」という当初の内容が、都知事選前には原発という争点隠しのためにウヤムヤにされていたが、舛添氏が当選したと見るや「原発は重要なベースロード電源」というわけの分からない言葉に置き換えられてゾンビ復活。官僚たちの言葉遊びも度が過ぎる。

 「ベース電源」を「ベースロード電源」に書き直して、いったい何が変わるというのか。舛添当選で、官僚も政治家も「国民の程度はこんなもの」と高を括ったとしか思えない。

 規制委は1月20日、敦賀原発2号機(福井、日本原電)の断層の再調査に入った。しかし、この再調査はどうも不可解だ。なぜなら、規制委はこの断層が「活断層である」とすでに判断していたからだ。

 それに対し日本原電が「独自調査した結果、活断層ではない」と言い出した。原子炉建屋の下に活断層があれば原発稼働は許されない。確かに日本原電にとっては死活問題だろう。だが、一度、活断層だと判断したものを電力会社が独自調査で否定したら、それを受けて規制委が再調査するというのであれば、いつまで経っても調査は終わらない。再稼働への道はいつでも開かれている、ということになる。

 同じことが東通原発(青森、東北電力)の安全審査でも起きている。実はこの原発も、2013年2月に「敷地内にある断層群の多くが活断層である可能性が高い」と、規制委の調査団が認定する報告書をまとめていたのだ。

 ところが、東北電力側が反論、「これは地層が水を吸って膨張するいわゆる『膨潤現象』で形成されたもの」という、かなり無理な主張の追加調査書を提出。それをもとに調査団が再議論。

 一度、規制委として結論を出したものを、電力会社側が反論すれば再調査する。これでは、いつまで経っても終わらない。

 なぜこんなことが起るのか。原子力関連ではよくあることだが、審議会や調査団のメンバーがいつの間にか入れ替わっていて、最初の結論とは違う方向へ議論が誘導される。電力会社側が、それを画策している。そして、規制委はまんまとその電力側の意図に乗った…?

 最近、どうも規制委に微妙な危うさを感じているのは、そんな動きが垣間見られるからだ。現在の規制基準では、原発の重要施設の下に活断層が認められれば、その原発は廃炉としなければならないことになっている。だから、電力会社としてはどんな手段を使おうと、とにかく「活断層」を認めるわけにはいかない。すでにある原発を廃炉とせざるを得なくなれば、確かにそれだけで莫大な赤字となるからだ。

 しかし、ほんとうにそうなのか。むしろ、危険な原発を延命させることのほうが膨大な損失を生むのではないか。

 考えてみれば、今のうちに廃炉への道筋を作っておけば、再びの大事故は何とか回避できる可能性が高い。凄まじい事故賠償金と除染費用、事故収束への気の遠くなるような時間とカネ…。もう一度、過酷事故が起きた場合を想定すれば、廃炉のほうがずっと安くつくと思うのだが、甦りつつある原子力ムラの村民たちは、崩壊したはずの「安全神話」に今でもすがりついている。東電福島原発事故からいったい何を学んだのか。

 かつて『塀の中の懲りない面々』(安部譲二)という面白い小説があったけれど、まったく「原子力ムラの懲りない面々」には、手の施しようがない。

 東京電力福島事故原発の高濃度汚染水漏れは、もはや絶望的な域に達している。もう「高濃度汚染水漏れ」と聞いても、こちらも不感症気味になってしまったが、実は大変なことなのだ。

 東電が2月20日に公表したところによれば、福島事故原発のタンクから、なんと100トン以上もの高濃度汚染水が漏れていた。それも並みの「高濃度」ではない。放射性ストロンチウムなどベータ線を放出する放射性物質が、2億4千万ベクレル/リットル検出されたという。むろん、これまでで最高値。国が定めた放出限度の数百万倍にも相当するという。

 昨年夏にも高濃度汚染水の漏洩事故があったが、このときは規制委が「原子力事故の国際基準で5番目に深刻なレベル3に相当する」との厳しい評価を下している。それに準拠すれば、今回の事故は、もっと深刻といわなければならないはずだ。だが、それにしてはマスメディアがおとなしい。

 いつものことだが、東電の事故発表は必ず大きな話題の陰に隠れるように行われる。今回も見事に「オリンピックのバカ騒ぎ」に乗じた。「感動」や「美談」の大報道の中で、この恐ろしい値の汚染水漏れ事故は、なんとなくかき消されてしまった。いつもながらの手法。

 もうひとつ、この汚染水漏れで見逃してはならないことがある。

 東電は当初、この事故は「警報は出たが、水位計の不具合と判断し、水位を確かめなかった」と言っている。つまり、機器の故障によるものだったとの判断である。しかしその後、「汚染水の移送先のタンクに続く配管の弁以外はすべて閉じられているはずなのだが、3つの弁のうち、ミスで2つの弁が開いたままだった。そこから汚染水が漏れた可能性がある」と訂正した。だがこれでは収まらず、訂正は続く。24日、「2つの弁が開いたままだったのは、作業を簡単にするために東電の指示で開けておいた」ということを発表せざるを得なくなった。つまり、東電は2度にわたってウソの発表をしたのだ。東電の虚偽・隠蔽体質はまったく改善されていない。

 さて、ではなぜ、これが大きな問題なのか。

 東電は「機器の不具合なのだから、直せば問題はない」と言いたかったのだ。もし人為的ミスだとすれば、人員の増強や作業手順の教育などを根本からやり直す必要が出てくる。東電は、それを避けたい。

 ただでさえ福島原発での作業員の数は減少傾向。特に熟練作業員は被曝許容量を超えたために現場から離れつつあるという。さらに、安倍が「アンダー・コントロール」と世界に向けて大ウソをついた揚句の果ての東京オリンピックで、土木関連の作業員は東京へ流れ始めているという。福島原発で人員不足に陥るのは当然だ。

 これではもっと人為ミスが起きかねない。人為ミスであることがはっきりすれば、ベテラン作業員の補充が急務となる。そこで、柏崎刈羽からベテランを福島へ応援に行かせるべきだ、との声が上がり始めた。

 東電は、こんな汚染水漏れの末期症状の中で「柏崎刈羽原発再稼働へ向けた安全審査」を規制委に申請している。もし、福島事故原発での汚染水対策が進まなければ、柏崎刈羽原発からベテランを福島へ回さざるを得ない。そうなれば、肝腎の柏崎刈羽原発の再稼働に支障が出てくる。

 だから何としてでも、東電は「人為ミス」ではなく「機器の不具合・故障」ということにしておきたかったのではないか。多分、この推測は当たっているだろう。

 そんな中で東電は25日、今度は福島第一の4号機の使用済み核燃料プールでの冷却が停止したと発表。電源ケーブルを作業員が誤って切断したのが原因ではないかという。これもまた人為ミスなのは明らか。

 このプールには1500体以上の核燃料があるが、プールは地震で脆弱化。もし再度の地震や台風などでプールが崩壊したら東日本は全滅、とまで言われる危険な部分だ。早急にこの核燃料を運び出さなければならないが、現在のところ運び出し完了したのは、まだ396体。そこでまたもや人為ミス。柏崎刈羽原発再稼働などと言っているのは正気の沙汰ではない。東電は、ありとあらゆる力を福島へつぎ込むのが当然だろう。

 柏崎刈羽原発再稼働を言うのなら、最低限、福島原発事故を収束させてから言え! である。

 もうひとつ指摘しておきたい。

 これは前にも書いたことだが、どんなに精密な機械を造ろうと、「神ならぬ人間」がそれを操作する限り、事故は“絶対に”防げない。何度も何度も繰り返す東電の事故を見ていると、なぜそんなにしてまで原発にこだわるのか、僕にはとうてい理解できない。

 繰り返すが、どんなに素晴らしい技術と理解力を持った人間だって、絶対にミスを犯す。人間はミスを重ねながら進歩する。だからミスは歓迎すべきだ、という人もいる。それは正しいだろう。けれど、それを原発へ適用することだけは“絶対に”してはならない。

 原発での事故は、自分の世代だけではなく、数百年数千年…いや数万年の彼方まで影響を及ぼす。なぜ、原子力ムラの村民たちはそれを想像できないのか。それとも、自らが神の座にある、とでも思い上がっているのだろうか。
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p、3月9日】

原発事故と規制委―教訓いかす改革続けよ
2014年3月9日(日)付

 原発再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査が、最初のヤマ場を迎えつつある。

 新しい規制基準に比較的早く適合しそうな原発の絞り込みが進み、最初の再稼働の候補原発が「優先審査」の対象として近く公表される見込みだ。

 再稼働に前のめりな政治家らからは「世界一厳しい規制」といった言葉も聞かれる。基準を満たしさえすれば問題ない、と言いたげだ。

 だが、それは違う。

 周辺住民の避難計画や使用済み核燃料の行き先など、規制基準には含まれない大きな問題が横たわっている。それだけではない。規制委による審査そのものも改革途上であるからだ。

 規制委の審査はまだ、福島第一原発事故の反省を十分に反映しているとはいえない。狭い範囲に多くの原発がある集中立地の問題など、重要課題がいくつも残されている。


■集中立地は未検討

 思い起こそう。3年前、福島第一では1、2、3号機が次々に炉心溶融を起こし、大量の放射性物質をまき散らした。

 「どこまでひどいことになるのか」。日本中が底知れない恐怖に襲われた。

 4号機の燃料プールが過熱して使用済み核燃料が大規模に破損すれば、放射能汚染で近づけなくなる恐れがあった。

 そうなれば、停止中の5、6号機や12キロほどしか離れていない福島第二の4基まで、最大10基の原発から次々に放射能が放出されることもありえたのだ。

 運転員の懸命な努力や4号機燃料プールに大量の水が流れ込んだ幸運などで、「最悪のシナリオ」はかろうじて免れた。

 それでも、世界の原子力規制当局には衝撃を与えた。主流になっている軽水炉で放射能を大量放出する過酷事故が起き、さらに燃料プールや集中立地のリスクまで浮上したためだ。

 日本を含む各国とも、自然災害対策などを見直し、複数基の同時事故に対応できる態勢を事業者に求めるようになった。

 ただ、7基を抱える柏崎刈羽原発(新潟県)があり、福井県内には14基の原発・高速増殖炉が集まるなど、日本は集中立地では世界的にも突出している。それを考えると、規制委の取り組みは甘い。

 規制委の田中俊一委員長は「いずれ議論しなければいけないが、まだしていない」という。1カ所でいくつもの原発が同時に動く状況はまだ先と考えているからのようだ。

 しかし、燃料が入った原発は止まっていても危険がある。運転は1基でも、近くに原発があれば事故拡大の危険がつきまとう。特に複数の事業者が絡むと事業者任せではすまない。

 日本こそ率先して検討すべき問題だ。集中立地のリスクに正面から向き合わずに、審査結果をどう説明するつもりなのか。


■訓練も抜き打ちで

 新規制基準は、地震や津波などの自然災害に備えた設備面では格段に厳しくなった。

 過酷事故も想定させ、各原子炉で炉心損傷事故の確率を1万年に1回程度以下に抑えるなどとする「安全目標」も定めた。目標を満たすように構造や設備を強化させる。

 欧米では広く採用されている手法で、日本でも10年以上前から議論されながら安全神話に阻まれて導入されずにきた。

 安全目標で比べれば、各国とほぼ同水準であり「世界一」ではない。設備の追加要求に事業者は不満顔だが、自然災害の多い日本では最低限の水準と考えるべきだ。

 一方、運転時の事故対応などソフト面の規制はまだ弱い。航空機の衝突しか考慮していないテロ対策も含め、抜本的な見直しが必要だ。訓練の立ち会いで済まさず、事故やテロ時の対応を事前の打ち合わせなしで実地で審査するなど、海外の実践例にも学んで強化すべきである。


■周回遅れ取り戻せ

 福島での事故は事業者に都合のいい規制のもとで起きた。規制強化は欧米から周回遅れであり、早く追いつく必要がある。

 国民への説明にはもっと意をつくすべきだ。委員長会見や審査会合をインターネットで中継したりしているが、審査や規制について社会にどこまで伝わっているだろうか。避難計画への関与も強めてもらいたい。

 実務にあたる職員の能力と意欲を高めることも不可欠だ。

 原子力規制庁は原子力安全基盤機構を統合し、職員が約千人に倍増した。機構は事故前も審査実務を担い、「事業者寄り」との批判を浴びた。新生規制庁は意識を改め、事業者と健全な緊張関係を持ち、規制の質を高めなければならない。

 それには規制委が原発推進派から独立を保ち、規制の意義を職員に浸透させる必要がある。

 安倍政権や事業者は再稼働を急ごうとしている。しかし、規制委はあくまで厳格な審査を貫き、常に改善策を追究していく姿勢が求められる。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014030902000146.html

【社説】
3・11から3年 まだ知らないフクシマ
2014年3月9日

 過去に目を閉ざすものは、現在にも盲目になる-。原発事故にも通ずるかもしれない。あれから三年。私たちは、福島原発事故を実はまだ知らない。

 忘却が神話を復活させるのか。

 政府のエネルギー基本計画案は原発をあらためて「重要なベースロード電源」と位置付けた。昼夜を問わず、一定量の電力供給を担う主要な発電設備のことをいう。

 一昨年の衆院選で掲げた脱原発依存の約束に目をつむり、3・11以前に戻したいという意味だ。


◆忘却とは少し違う

 「忘却というのは、ちょっと違うかな…」

 写真家の島田恵さんは、少しの間考え込んだ。核燃料サイクル施設が集中する青森県六ケ所村で十二年間生活し、変わっていく村の様子、変われない村の暮らしをつぶさに記録し続けたことがある。

 3・11の後、六ケ所と福島を結ぶ記録映画「福島 六ヶ所 未来への伝言」を製作し、自主上映会を経て先月、東京・渋谷の映画館で初公開した。

 核燃料サイクルとは、原発で使用済みの核燃料を再利用する計画だ。エネルギー政策の根幹ともされてきた。

 核のごみが全国から集まる六ケ所村も、福島同様、国策に翻弄(ほんろう)されながら、都市の繁栄を支えてきた。いわば入り口と出口の関係だと、島田さんは考える。

 巨額の交付金と引き換えに推進派と反対派に分断された寒村は、列島の縮図にも映る。

 この三年、おびただしい活字と映像が、フクシマを伝えてきた。周囲から「公開のタイミングを外したのでは」と指摘されたこともある。

 それでもなお、映画を見た多くの人が「知らなかった」という感想を寄せてくる。


◆事故報告書は未完成

 私たちは福島をまだ知らない。

 福島原発事故がどれほど大きな事故だったのか。もし偶然の救いがなければ、どれほど巨大な事故になったか。国民として、もっと正しく知る必要があるだろう。

 国会事故調の調査期間は、実質約三カ月だったという。

 報告書は「破損した原子炉の現状は詳しくは判明しておらず、今後の地震、台風などの自然災害に果たして耐えられるのか分からない」などと、冒頭で未完成であることを吐露している。

 例えば、こんな事実もある。

 震災発生当日、福島第一原発4号機は定期点検中で、核燃料はすべて使用済み燃料の貯蔵プールに移されていた。

 プールの中では約千五百体の核燃料が高い崩壊熱を発しており、最も危険な状態だったとされている。放射線量が高く建屋の中に入ることは不可能だったと、作業員は語っている。

 燃料を冷やす手だてがなかったということだ。

 ところが、貯蔵プールの横にある「原子炉ウェル」と呼ばれる縦穴に、大量の水がたまっていた。

 津波か地震の衝撃で仕切り板がずれ、そこから貯蔵プールに水が流れて冷やしてくれた。

 そして皮肉にも爆発で建屋の屋根が飛び、外部からの注水が可能になった。

 点検作業の不手際があり、四日前に抜き取られていたはずの水がそこに残されていた。もし“不手際”がなかったら-。私たちは幸運だったのだ。

 チェルノブイリ原発事故の原因について、当時のソ連当局は、規則違反の動作試験が行われたため、運転出力が急上昇したことによると発表した。

 しかし、事故から五年後、「主因は人為的なものではなく、原子炉の構造的な欠陥である」という内容の報告書をまとめている。

 米スリーマイル原発事故が起きたのは、作業員が誤って非常用冷却装置を止めてしまったからだと、調査の結果判明した。

 事故原因が解析され、判明し、防止策を講じた上で、原発は再び動き始めた。しかし、福島の場合はどうか。世界史にも例がない多重事故は極めて複雑だ。

 原因解明が不十分なまま再稼働だけを急いで、本当に大丈夫なのだろうか。根源的な疑問は、やっぱり残る。


◆無事故の保証ではない

 3・11以前への回帰を目指すエネルギー基本計画が、間もなく正式に決定される。

 政府は、積極的に再稼働を認める姿勢を隠さない。

 だが、原子力規制庁自身が明確に認めているように、世界一の規制基準とは、たとえそうであれ、無事故を保証するものではない。 地震国日本に、安全な場所はない。なし崩しの再稼働を受け入れるか、受け入れないか。フクシマを知り、フクシマの今を踏まえて、決めるのは私たち自身である。
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原子力「推進」委員会であり、「規制」委でもなく、「寄生」委員会』(2/2)へつづく)

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●自公議員や原子力「推進」「寄生」委員会委員らは「闘うみんな」ではないようだ

2014年03月18日 00時00分20秒 | Weblog


東京新聞の記事【原発事故被害追い記録映画 報道写真家2人が撮影 8日から東中野で上映】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014030602000240.html)、
asahi.comの記事【原発関連死―福島の痛みを直視せよ】(http://www.asahi.com/paper/editorial2.html)。
東京新聞の二つの記事【原発関連死1000人超す 避難長期化、続く被害】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014031002000144.html)と、
【3・11から3年 みんなが闘っている】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014031002000157.html)。
琉球新報の記事【原発事故3年 脱原発後退許されず 福島復興に思い馳せよう】(http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-221002-storytopic-11.html)。
最後に再び東京新聞の記事【「原発ゼロ 国民の総意」 事故調トップ3人、再稼働の動き批判】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014031102000134.html)。

 3・11から3年が経ち、何の解決も見ていない。「福島県飯舘村の村民を追ったドキュメンタリー映画「遺言 原発さえなければ」が、八日から東京都内で上映される」そうだ。「震災さえなければ」ではなく「原発さえなければ」。

   『●終わらない原発人災の影響:「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ・・・」
     「「震災さえ」ではなく、 「原発さえなければ・・・」である。
      「原子力郷土の発展豊かな未来」「原子力明るい未来のエネルギー
      「原子力正しい理解で豊かなくらし」を信じ込ませた自民党議員や
      電力会社幹部といった東京電力原発人災の責任者・「罪人・犯罪者」は、
      誰一人として罰せられることもなく、まだのうのうと生活している」

   『●ドキュメンタリー映画『わすれない ふくしま』:
                 「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ・・・」


 以前、「「事故によって死亡者が出ている状況ではない」。福島での原発の事故について、自民党の高市早苗・政調会長が昨年、こんな発言をした。だが、命にかかわるのは放射線だけではない。避難生活で体調を崩して亡くなったり、自殺に追い込まれたりする「震災関連死」が増え続けている」・・・・・・。政調会長が寝言を言っていた訳ですが、原発再稼働・新規建設・原発輸出を目指す自公の議員や翼賛野党の議員は寝ていてこの現実が目に入っていない模様だ。「本紙が独自に「原発関連死」と定義し、福島県内の市町村に該当者数を取材したところ、少なくとも千四十八人に上ることが分かった。昨年三月の調査では七百八十九人で、この一年間で二百五十九人増えた。事故から三年がたっても被害は拡大し続けている」。

   『反省なき自民党を体現:
         「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」


 「◆フクシマを忘れない・・・・・・政府は低線量被ばくの問題から目を背けてきた。年間の被ばく線量について、一ミリシーベルトから二〇ミリシーベルトまで許容できると基準を緩め、原発周辺自治体への早期帰還を促そうとしている。東電も避難指示区域の見直しのたびに賠償を打ち切っている。見せ掛けの事故収束と復興を急いでいるようにしか思えない」・・・・・・東京新聞社説のタイトルはの『3・11から3年 みんなが闘っている』。でも、自公議員や原子力「推進」「寄生」委員会委員長・委員らは「闘うみんなではないようだ。

   『年20ミリシーベルトでOK!?:
      20倍にアップ、そして「自己責任」に逃げた原子力「推進」委員会


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014030602000240.html

原発事故被害追い記録映画 報道写真家2人が撮影 8日から東中野で上映
2014年3月6日 夕刊

 東京電力福島第一原発の事故から間もなく三年。福島県飯舘村の村民を追ったドキュメンタリー映画「遺言 原発さえなければ」が、八日から東京都内で上映される。一般向けの公開は初めて。ともに報道写真家の豊田直巳さんと野田雅也さんが撮影、監督し、高濃度の放射能汚染で故郷を奪われた人々の絶望や苦悩、そして再起への歩みを記録した。村民の姿は「事故はまだ終わっていない」と訴えかけてくる。 (加藤裕治)

 「原発さえなければ」「残った酪農家は負けないで頑張ってください」-。映画のタイトルは、自殺した酪農家が小屋の壁に書き残した遺書だ。地元での酪農をあきらめることになり声を詰まらせる女性。仲間との焼き肉パーティーの席上、あいさつで感情が高ぶり泣き崩れる初老の男性。三時間四十五分の映像で、ナレーションを交えず次々と現れる光景が事故から三年近く過ぎた村の現状を物語

 二人はアジア、中東の紛争、災害取材を手掛け、インドネシア・スマトラ島の津波被害の取材で知り合った。東日本大震災の発生翌日の二〇一一年三月十二日、二人は福島県へ向かい、途中で福島第一の1号機が爆発した。放射線量の測定器を片手に田村市、双葉町などを回った後、飯舘村に入った。

 雨が降り始めると測定器のメーターがぐんぐん上がり、毎時一〇〇マイクロシーベルトを超えた。年間の被ばく許容限度の一ミリシーベルトを十時間で超える値。地震の後片付けをしている村民に「危険です」と声を掛けて回った。そこから飯舘通いが始まった。

 二人は一三年四月までの間に二百日以上、放射能汚染で「計画的避難区域」となった村や、村民の避難先を訪ねた。「村民の言葉を記録したい。スチルカメラだけでは現状が伝わらない」とビデオを回した映像は約二百五十時間分に及んだ。撮影を続けるうち、その言葉を大勢に伝えようと映画化を意識するようになった。

 「映画は昨年の四月で撮影を終えたが、飯舘村の問題は何も終わっていない」と豊田さん。野田さんは「事故から三年たっても、原発の再稼働をやめてほしいと願う人が多い。その心を一つにするため、事故の原点を見つめてほしい」と語る。

 上映は十四日まで、午後零時二十分からの一回のみ。東京都中野区東中野の「ポレポレ東中野」=電03(3371)0088=で。
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http://www.asahi.com/paper/editorial2.html

原発関連死―福島の痛みを直視せよ
2014年3月8日(土)付

 「事故によって死亡者が出ている状況ではない」。福島での原発の事故について、自民党の高市早苗・政調会長が昨年、こんな発言をした。

 だが、命にかかわるのは放射線だけではない。避難生活で体調を崩して亡くなったり、自殺に追い込まれたりする「震災関連死」が増え続けている。

 長期避難が続く福島では今年1月末までの関連死が1660人で、地震や津波による「直接死」の1607人を上回った。東日本大震災の被災3県全体の関連死のうち、6割近くを福島が占める。

 福島では今なお、毎月30人ほどが新たに関連死と認定されている。「原発事故関連死」とも呼ばれ、避難生活が長期化する原発事故の深刻さを浮き彫りにしている。

 復興庁は関連死をめぐる課題と対策を12年夏にまとめたが、減る傾向のみえない福島については昨春に改めて実情や問題点などを調査した。

 被災から1年以上たってから関連死した35人を対象にしたその調査によると、ほとんどの人が、移動や避難生活による疲労やストレス、医療事情の悪化で徐々に衰弱した。避難区域の相次ぐ変更などで平均して7回も移動を強いられていた。

 岩手や宮城の被災地と大きく異なるのは、放射能で住み慣れた地域を追われ、「生きているうちに今の避難先から出られないかもしれない」という不安だ。復興庁の報告で専門家はそう指摘している。

 調査した福祉施設での12年2月までの3カ月の死亡率は、前年同期の1・2倍に増えた。報告では、全体に健康へのリスクが高まったと考えるべきで、認定された関連死は「氷山の一角」としている。

 福島の避難者は13万人を超える。関連死を防ぐには生活の立て直しが最大の課題だが、帰還の前提となる除染は長引き、生活再建への道のりは長い。

 被災自治体では保健師や生活支援相談員らに仮設住宅などを巡回させている。心身両面の健康を保っていくため、今できることを尽くしてほしい。

 安倍政権は原発の再稼働に積極的だ。だが、再稼働の前に、万一に備えて避難計画を整える必要がある。放射能被害から逃れるために、いち早く避難する計画も大切だが、ただ避難するだけでなく、どのように関連死を防ぐかも重要課題である。

 原発事故で痛めつけられ、関連死のリスクとも向き合わなければならない。その不条理を、政治は直視すべきだ。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014031002000144.html

原発関連死1000人超す 避難長期化、続く被害
2014年3月10日 朝刊

 東京電力福島第一原発事故に伴う避難で体調が悪化し死亡した事例などを、本紙が独自に「原発関連死」と定義し、福島県内の市町村に該当者数を取材したところ、少なくとも千四十八人に上ることが分かった。昨年三月の調査では七百八十九人で、この一年間で二百五十九人増えた。事故から三年がたっても被害は拡大し続けている。 (飯田孝幸

 市町村は、災害の直接の犠牲者だけでなく、その後の避難中の死亡などについても「震災関連死」と認定した場合、災害弔慰金(最高五百万円)を支給している。福島県内では二十四市町村が支給。本紙で震災関連死者のうち、原発事故で避難中だった人数などを聞き取り、集計した。

 南相馬市といわき市は震災関連死者のうち原発事故を理由とした避難者数を把握していない。ただ担当者は「大半が原発避難者」と話しておりこれを加えると原発関連死者は千五百人に迫る。福島県内の震災関連死者数は千六百七十一人(七日現在)で原発関連死者は少なくとも六割を占める。昨年四月一日から今年一月末までの震災関連死の認定数は岩手四十五人、宮城十七人に対して福島は二百七十七人と大幅に上回り、原発事故の特殊性を物語る。

 原発避難者の多い双葉郡八町村の担当者によると、震災直後に亡くなっていても、生活が落ち着いてから申請する人や、自治体の広報や報道で制度を知って申請に来る人がいるという。二百三十二人の原発関連死者を出した富岡町の担当者は「今でも月十件程度の申請がある」と話す。南相馬市では事故から二年半後に死亡しても震災関連死と認められたケースがあった。

 福島県の避難者数は約十三万五千人。このうち、二万八千人が仮設住宅で暮らしている。医療・福祉関係者の多くは、関連死防止に住環境の整備を指摘する。県は原発避難者向けに復興公営住宅四千八百九十戸の整備を進めているが、入居が始まるのは今秋から。一次計画分の三千七百戸への入居が完了するのは二〇一六年春になる見通しだ。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014031002000157.html

【社説】
3・11から3年 みんなが闘っている
2014年3月10日

 原発事故を抱えた町の再起がどれほど困難であるか。震災からの三年はそれを思い知らせる時間だった。闘う人々にずっと寄り添わなくてはならない
 それは静かな時限爆弾のように胸底に沈み込み、あの戦争から七十年を経ても消えていなかった。
 福島県相馬市の診療所「メンタルクリニックなごみ」の精神科医、蟻塚(ありつか)亮二さん(66)は沖縄協同病院心療内科部長を務めていた二〇一〇年暮れ、長い診療経験にはない「奇妙な不眠」を訴える男性に立て続けに会った。


◆戦争の心の傷は70年も

 海外の論文を読みあさってみると、その不眠はアウシュビッツ収容所の生存者に見られた心的外傷後ストレス障害(PTSD)とそっくりだった。男性に聞くと、太平洋戦争末期の沖縄戦を生き延びた人だった。

 住民を巻き込んだ米国との激しい地上戦で、県民の四人に一人が犠牲になった沖縄の戦闘。その記憶は生き延びた者にとって深い心の傷となったのだ。

 二十年前からこの問題に取り組んできた元沖縄県立看護大教授、當山(とうやま)冨士子さん(66)と一緒に一昨年、沖縄戦を体験した高齢者四百人に調査をしたところ、PTSDを引き起こしかねない重度な心の傷を抱える人が四割もいた。

 蟻塚さんは不眠の高齢者を診ると、戦争の影響を疑うようになった。

 砲弾の雨の中を逃げた人、家族を失った人、住民が日本兵に殺されるのを目撃した人…。つらい記憶が長い年月の後に仕事を辞めたり、家族の死に遭うなどふとしたきっかけでよみがえる。

 夜中に何度も目覚め、パニックを起こしたりする。遺体の臭いを思い出すという人もいた。


◆沖縄の苦難に重なる

 戦後二十年たって行われた精神疾患に関する調査で、沖縄は本土に比べて統合失調症などを発症する割合が高かったというデータがある。

 それは戦争で負った心の傷が影響している。本土から切り離された米軍の統治下で、人権を踏みにじられながら貧困に苦しんだことや、今も続く基地と隣り合わせの生活など、つらい経験を重ねてきたことが発症のその引き金になった-。そう蟻塚さんはみている。

 沖縄の心の傷は原発事故で傷ついた福島の痛みに重なる。

 災害後の心のケアの重要性は阪神大震災や新潟県中越地震などの教訓として残された。

 東日本大震災後に有志の手で開かれた診療所に昨春、蟻塚さんが所長として招かれたのも、沖縄での経験を頼られてのことだ。

 毎月五十人の新患を受け入れ、五百~六百人の患者を診る。一割に震災や原発事故による遅発性のPTSDがみられるという。

 震災の日、運転していた車ごと津波に流された男性は転がった消防車と、泥に埋まった人の姿がよみがえるようになった。眠れずイライラし、妻に怒ってばかりいた。

 放射能を浴びてしまったと恐れ、息子と一緒に県外避難している母親は、突然不安に襲われるパニック症状に苦しんでいた。

 PTSDだけでない。仮設住宅の生活が長引いてうつ状態やアルコール依存になる人も急増している。

 知らない人間関係の中で刹那的になり「死んでもいい」とふと思う人が目立っているそうだ。

 東日本大震災によって今も二十七万人が避難生活を送る。そのうちの十四万人を占める福島がとりわけ厳しいのは、放射能汚染からの回復や、将来の生活の見通しが立たないことだ。

 福島はまた、震災関連死が千六百七十一人を数える。地震や津波で亡くなった直接死の千六百三人よりも多く、被災三県の半数を超えている。

 長い避難生活で体調を悪化させたり、各地を転々とするうちに治療が遅れたりしたせいである。

 自殺の多発も際立っている。

 福島から聞こえるのは悲鳴のようなシグナルだ


◆フクシマを忘れない

 政府は低線量被ばくの問題から目を背けてきた。

 年間の被ばく線量について、一ミリシーベルトから二〇ミリシーベルトまで許容できると基準を緩め、原発周辺自治体への早期帰還を促そうとしている。東電も避難指示区域の見直しのたびに賠償を打ち切っている。見せ掛けの事故収束と復興を急いでいるようにしか思えない。

 政府や東電の不条理に遭っても、町の再建がどんなに困難であっても、人々は生き抜こうとしている。

 本土は戦後、基地の負担を押しつけられる沖縄の苦難を忘れてしまっていた。わたしたちは福島からの悲鳴に耳を傾ける。寄り添うことを忘れてはならない。
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http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-221002-storytopic-11.html

社説
原発事故3年 脱原発後退許されず 福島復興に思い馳せよう
2014年3月10日

 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故の発生から3年がたつ。大津波への備えを欠き、全電源を喪失して炉心溶融に陥り、おびただしい放射能が放出された未曽有の原発事故の爪痕が福島県民を苦しめ続けている。

 福島県の避難者数は13万5906人を数え、7町村で全住民が避難したままである。

 一刻も早い原発ゼロを切望する福島県民の心情に冷や水を浴びせるように、安倍晋三首相は原発再稼働と輸出に走っている

 原子力発電の安全神話に浸り切った中で起きた事故はまさに人災だったが、その教訓は生かされていない。


 公約違反

 安倍政権が決めた新エネルギー基本計画の原案は、原発を活用し続ける方針を打ち出している。

 2012年末の衆院選で自民党が掲げた「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」という公約に反するのは明白だ。

 将来の原発の規模に関して、「確保していく規模を見極める」としており、将来的な原発ゼロは想定していないとしか読めない。

 さらに、安倍首相は、原発輸出に前のめりになっている。

 最新の世論調査では、原子力規制委員会が安全性を確認した原発を再稼働する方針に対し、反対が54%で賛成の40%を上回った。

 原発の今後については、「即時ゼロ」「段階的に減らし、将来はゼロ」の脱原発派が69%と、容認・推進の29%を圧倒している

 安倍政権の原発政策は明らかに民意と乖離(かいり)している。原発再稼働はあってはならず、脱原発の大きな後退は到底許されない。

 福島第1原発で2月に起きた高濃度汚染水漏れは、タンク内の水位異常の警報が約10時間放置されていた。誤って弁を開けた者がミスを隠すため、戻した可能性がある。事故を過小評価した後、重大な事実を明かす東電の隠蔽(いんぺい)体質は全く改められていない。

 危機管理体制に構造的な欠陥があり、国はその共同責任を負うことをどれだけ自覚しているのか。

 安倍首相は昨年9月、2020年の東京五輪の招致演説で、福島第1原発を「状況はコントロールされている」と強調していたが、相次ぐ汚染水漏れは、首相の的外れな認識と欺瞞(ぎまん)性を証明していよう。世界に恥をさらしているようなものだ。

 東電の経営破綻処理の先送りと同社の無責任体質は明らかに連動している。まず、破綻処理を急ぐことが不可欠だ。


悲痛な訴え

 福島の現状は深刻さの度合いを増している。高い放射線量が残る地域があり、帰還を諦める住民が増えている。除染作業も計画通りに進まず、避難者向けの災害公営住宅の建設も大幅に遅れている。

 福島県が当時18歳以下だった子どもを対象に実施している甲状腺検査で、33人が甲状腺がんと確定している。同県は放射線の影響は「考えにくい」としているが、発症率の高さを指摘する声があり、保護者の不安を高めている。

 国が主導して福島県民の健康調査を実施し、原発事故との因果関係を徹底的に究明すべきだ。

 福島を犠牲にして電力消費の恩恵を受けてきた東京など首都圏のみならず、国民全体が原発事故被災者に思いを馳(は)せねばならない。

 福島第1原発に約40年間携わる企業代表の名嘉幸照さん=伊是名村出身=はフォーラム「被災地と共に」で、被災者と加害者の立場が交錯する苦衷を吐露した。米軍基地にあらがう沖縄と脱原発を願う福島の強固な民意を挙げ、「民主主義のルールに当てはめよ」と、民意尊重を国に求めた。

 エネルギー政策と安全保障を支える負担を限られた地域が負わされ、苦しむ点で福島と沖縄は重なり合う。名嘉さんは「沖縄のちむぐくるを被災地にください」と涙ながらに語った。その悲痛な訴えを胸に刻み、沖縄から福島の復興を後押しする術を模索したい。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014031102000134.html

原発ゼロ 国民の総意」 事故調トップ3人、再稼働の動き批判
2014年3月11日 朝刊

 東京電力福島第一原発事故から三年を迎えるのを前に十日、事故の原因や対応を検証した政府、国会、民間の各事故調査委員会の元委員長らを集めた討論会が東京都内で開かれた。国会事故調の黒川清元委員長は「あれだけの事故が起きても日本の社会が変わる気配がない。誰も責任を取らない」と指摘した。

 民間事故調の北沢宏一元委員長は稼働中の原発がゼロであることに触れ、「国民の総意としか言いようがない」と強調。再稼働後に事故が起きれば「(日本は)世界の笑い者」と述べ、慎重に判断する必要があるとの考えを示した。

 政府事故調の畑村洋太郎元委員長は「一番、学ばないといけないのは、どんなに考えても気が付かない領域があること」と指摘。それを踏まえた上で、国民全体で原発再稼働の是非を判断すべきだと訴えた。

 討論会には米原子力規制委員会のグレゴリー・ヤツコ元委員長も参加し、「原子力は100%安全はあり得ない。社会としてメリットをどう考えるか、リスクがあっても受け入れられるかがポイント」と述べた。
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●原発再稼働・もんじゅ推進を無批判に放送できる公正中立な公共放送「アベ様のNHK」

2014年03月12日 00時00分51秒 | Weblog


アベ様のNHK」のニュース【経産相 原発再稼働重要の認識示す】(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140302/k10015645251000.html)。

   『●ジャーナリズムの矜持無きこんな「公共」放送なんて要らない!

 「茂木経済産業大臣は・・・、国民の負担が増えているとして、原発の再稼働が重要だという認識を改めて示しました・・・原発が稼働しないことで、化石燃料を使って代替しなければならない。その費用は3兆6000億円に上り、国民1人当たり3万円に・・・高速増殖炉「もんじゅ」の相次ぐトラブルなどを真摯に受け止めて、課題を一つ一つ解決する必要があるが、放射性廃棄物を相当量減らすことができることなどから、政府として引き続き推進していくという考えを示しました」・・・・・・こういうことを無批判に放送できるアベ様のNHK」。
 「国民1人当たり3万円に」・・・・・・原発を再稼働したら「国民1人当たりゼロ円」と誤解させていないか? これって、詐欺的報道じゃないの?

   『●電気代比較の脅しと詐欺: 比べるべきは「2倍か、1.7倍か?」、だった・・・
   『●電気料金値上げ論: 「1倍か、2倍か」じゃなく、「2倍以上か、1倍以下か」
   『●「原発安価神話」崩壊

 さらに、「高速増殖炉「もんじゅ」・・・・・・放射性廃棄物を相当量減らすことができる」・・・・・・本気で報道しているとすると、「相当量」にオメデタイ。相当量っていくらだ?? また、その抽出プロセスの危険性や結果として生まれ出てくる「死の灰」を一体どうするつもりなのだろうか?

   『●核燃サイクル: 核燃料再生率に根拠無し、15%どころか1%?

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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140302/k10015645251000.html

経産相 原発再稼働重要の認識示す
3月2日 13時03分

茂木経済産業大臣は、NHKの日曜討論で、新たな「エネルギー基本計画」の政府案に関連して、原子力発電所が稼働しないことで化石燃料への依存が高まり、国民の負担が増えているとして、原発の再稼働が重要だという認識を改めて示しました。

この中で茂木経済産業大臣は、先月25日に取りまとめた新しい「エネルギー基本計画」の政府案で、原子力発電を「重要なベースロード電源」と位置づけたことについて、「比較的コストが安く、昼夜問わず安定的に使える電源ということだ」と述べたうえで、原発のほかにも石炭火力や水力発電なども含まれると説明しました。

そのうえで茂木大臣は、「これだけ大きな原発事故を3年前に起こしたので、国民がすぐに原発推進ということにならないのは当然だと思うが、原発が稼働しないことで、化石燃料を使って代替しなければならない。その費用は3兆6000億円に上り、国民1人当たり3万円になっている。こういう状況もバランスよく考えないといけない」と述べ、原発の再稼働が重要だという認識を改めて示しました。

また、原子力発電所の使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルについて、茂木大臣は、高速増殖炉「もんじゅ」の相次ぐトラブルなどを真摯(しんし)に受け止めて、課題を一つ一つ解決する必要があるが、放射性廃棄物を相当量減らすことができることなどから、政府として引き続き推進していくという考えを示しました。
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●無関心の責任: 自公は「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」、「原発ゼロ」を公約

2014年03月05日 00時00分09秒 | Weblog


東京新聞の二つの記事【公約無視の再稼働推進 エネ計画政府案】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014022690071137.html)と、
【エネ計画政府案 未来を誤る“原発頼み”】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014022602000174.html)。
asahi.comの記事【安倍政権の驚くべき「東電救済計画」】(http://www.asahi.com/and_M/interest/TKY201402250037.html?iref=comtop_fbox_d2_01)。
東京新聞の記事【東電の作業管理不十分が原因 柏崎刈羽の燃料棒接触】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014022601001606.html)。
京都新聞の社説【エネルギー計画  原発事故の反省見えぬ】(http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20140228_3.html)。

   「自民、公明両党が政権に復帰した二〇一二年の衆院選で掲げた
    「脱原発依存の公約を無視逆に公約にない重要なベースロード電源」と
    原発を位置付け、原発の維持・推進方針を明確にした」

また、

   「原発を成長戦略に位置付ける安倍晋三政権の意向が、色濃く反映された
    内容だ・・そもそも自民党は2012年衆院選で「原子力に依存しなくてもよい
    経済・社会構造の確立」、公明党に至っては昨年の参院選で「原発ゼロ
    公約にした・・政府案は、核燃料サイクルも推進するとしているが、中核となる
    高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)は、約1兆円の巨費を投じながらトラブル続きで
    頓挫している。使用済み核燃料は増え続け、多くの原発でプールが満杯に近づく
    「核のごみ」の行き場がないまま原発を稼働させ、将来世代に負担を強いる
    ことは許されない」

 これでは、公約の意味が全くない。それを知ったうえで、自公議員に投票する有権者・・・・・・。「騙されることの責任」から「無関心の責任」へ、である。

 一方、【東電の作業管理不十分が原因 柏崎刈羽の燃料棒接】・・・・・・こういう記事を見ても、原子力「推進」委員会は、再稼働を審査するなど以ての外、であることに気づかないし、審査を受け付けることを拒否する、などという考えは浮かばないらしい。受け取るから、審査を始めないとけないんでしょ? 受け取りを拒否するぐらいの気骨が無いものかね。・・・・・・それどころか、経産省などと一緒に【安倍政権の驚くべき「東電救済計画」】を「推進」しているようだ。「田中俊一委員長は「東電だけがこういうことをしており、安全に対する企業文化にかなり問題がある」と厳しく批判」したそうだが、そっくりその言葉を田中俊一原子力「推進」委員会委員長殿にお返しすべきである。

   ●無責任の極み: 「政府、東電の再建計画を認定 柏崎刈羽「7月再稼働」」

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014022690071137.html

公約無視の再稼働推進 エネ計画政府案
2014年2月26日 07時11分

 政府は二十五日、中長期のエネルギー政策の指針となるエネルギー基本計画案を決めた。自民、公明両党が政権に復帰した二〇一二年の衆院選で掲げた「脱原発依存」の公約を無視逆に、公約にない「重要なベースロード電源」と原発を位置付け、原発の維持・推進方針を明確にした。 (金杉貴雄

 自民党は衆院選で再稼働には積極的な一方、公約の「政策BANK」のエネルギー項目で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す」とし将来的には「脱原発依存」を目指す姿勢を示した。安倍晋三総裁も「原発に依存しない社会をつくる」と訴えていた。

 公明党は期限こそ明示しなかったが、「一年でも五年でも十年でも早く、可能な限り速やかに原発ゼロを目指す」と公約した。

 ところが、基本計画案は原発について「依存度を可能な限り低減」とするにとどまった。どの程度、依存度を減らすのか明らかでなく、自民、公明両党の公約から大きく後退した。

 一方、公約には出てこない専門用語の「ベースロード電源」を国民に説明がないまま持ち出して、原発を「重要電源」として活用する考えが盛り込まれた。

 政府は昨年十二月、基本計画の原案をまとめた。しかし、与党から「党内で積み重ねてきた議論が全く無視され、国民に約束した公約も反映されていない」などと批判が上がったため、一月の予定だった閣議決定を先送りし、年度内の決定を目指している。ただ、今回の案も基本路線は維持されているため、再び批判が出る可能性がある。


原発に固執「ベースロード電源」

 政府が二十五日に決めた「エネルギー基本計画」案で、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けた。どういう意味なのか。 (西尾玄司)

 Q ベースロード電源とは。
 A 昼夜を問わず、一日を通して一定量の電力を供給し続ける発電設備のことだ。政府は原発のほか、石炭火力、地熱発電などを挙げている。電気の使用量は夜よりも昼の方が多いなど、時間帯や季節によって変わる。電力会社は変化する需要に確実に対応するため、複数の発電設備を組み合わせて使っている。

 ベースロード電源で足りない分は、発電量の増減が簡単で、需要が最も大きくなる時間帯に使う石油火力発電といった「ピーク電源」などで賄う。

 Q なぜ、原発はベースロード電源なのか。
 A 一度稼働すれば、少なくとも一年間は連続して運転でき、ほかの発電設備に比べて発電コストが安いというのが、政府や電力会社の理屈だ。

 Q 本当に安定していて安いのか
 A 東京電力福島第一原発事故のような大規模な事故がいったん起きれば、ベースロードとしての役割を果たせなくなることは明らか。現実的な事故対策費や廃炉費用などを加えればコストも安くない廃棄物の最終処分の立地場所も全く決まっておらず、費用も見通せていない。政府は原発をベースロードと位置付けて再稼働のお墨付きにする狙いがありそうだ。

 Q 原発を使い続けるとする一方で、「原発依存度を可能な限り低減させる」とも書いてある。
 A どう依存度を下げていくのか、具体的な方法や時期などを示していない。将来的に残す原発の数についても非常にあいまいだ。原発の新増設にも含みを残しており、本当に依存度を下げるつもりなのか疑問が残る。


◇基本計画案ポイント

▼原発は重要なベースロード電源。

▼原子力規制委員会が規制基準に適合すると認めた場合、その判断を尊重し原発の再稼働を進める。

▼原発依存度は可能な限り低減。安定供給やコスト低減の観点から、確保の規模を見極める。

▼核燃料サイクルは、再処理やプルサーマルを推進。

▼もんじゅは徹底的な改革を行い、研究計画に示された成果の取りまとめを目指す。

▼再生可能エネルギーは2013年から3年程度導入を最大限加速し、その後も積極推進。

▼福島を再生可能エネルギー産業拠点化。

(東京新聞)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014022602000174.html

エネ計画政府案 未来を誤る“原発頼み”
2014年2月26日

 原発を「重要なベースロード電源」とした政府のエネルギー基本計画案は、将来の原発頼みを明確にうたっている。このまま閣議決定に至れば、目先に惑わされ大計を誤ることにもなりかねない。

 ベースロード電源とは、昼夜を問わず供給し続ける電源。それなしでは、経済も暮らしも立ちゆかない。

 問題は大きく二つある。

 一つは、原発をベースロード電源とすることの危うさだ。

 単純に、また物理的に考えてもたとえば、増え続ける核のごみの処理策もないままに原発を重要な電源として動かし続けてもいいのだろうか。

 また、もし事故があった場合の住民の大規模な避難計画は机上では策定しているが、実際に過酷事故で十万人単位の規模の住民を速やかに避難させることなどできるのだろうか。

 政府案では、原子力規制委員会が規制基準に適合すると認めた場合、原発を再稼働させるとなっている。法律に従えばその通りである。慎重を期すのは当然であり、科学的に十分実証できるとするのなら、いいのかもしれない。

 だが、実証は難しく、国民の不安はなおぬぐいきれていないというのが実情ではあるまいか。

 再び、経済産業省の官僚たちが机上で考えたプランが動きだすのか、と想像を巡らす国民は少なくないだろう。

 問題のもう一つは、原発の重視によって失われかねない新技術への意欲、投資の低減である。

 外国ではドイツをはじめ、イタリア、スイスなどが脱原発を表明している。ベース電源としては、太陽と違ってそれこそ昼夜を問わない風力(ドイツ)また水力(スイス)発電が重視されている。

 将来、蓄電技術が進めば、ベース電源のありようは、より自然エネルギーに向けられるだろうし、それこそ国家百年の大計にふさわしい。化石燃料はいずれ底をつき、核燃料サイクルは行き詰まっている。

 きのうの政府案は再生可能エネルギーの積極的推進を述べてはいる。

 しかし、おおもとのところで原発に頼れば、新たなエネルギーへ踏み出す勢いは大きくそがれる。かつて石油危機の時、日本が世界を牽引(けんいん)するような省エネ技術や環境対策を実現させたことを、今こそ思い出したい。

 原発に頼らぬことは、夢物語ではないのである
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http://www.asahi.com/and_M/interest/TKY201402250037.html?iref=comtop_fbox_d2_01

安倍政権の驚くべき「東電救済計画」
文 関口一喜
2014年2月26日

 税金で東電の莫大(ばくだい)な借金を肩代わりし、原発を再稼働させ、焼け太らせて資金回収を狙うという驚くべき救済計画がひそかに動き出していた――『週刊朝日』(2月28日号)が<安倍政権の東電救済 税金が“人質”>とかみついている。

 経済産業省や電力業界などで福島原発事故などなかったような動きが加速するなか、こうした警鐘を鳴らす記事は貴重だ。2014年度予算案では、賠償や除染の原資として東京電力に無利子で貸し付けている公的資金の上限枠を5兆円から9兆円に引き上げ、汚染土などを長期保管する「中間貯蔵施設」の土地購入のための1012億円が計上された。このほかにも、昨年1月に導入された復興特別所得税の「復興特別会計」から、被災者の避難先の道路や学校などの整備、個人線量計の配布、室内運動施設の整備などに6523億円が予定されている。

 『週刊朝日』は「無論、これらは福島の復興に必要なものばかりだ。だが、結果的に東電支援に“流用”されることになり、同社の責任があいまいになってしまっているのだ」と指摘する。どういうことか。財務官僚はこんな事情を明かす。「東電は被災者のへの賠償金は払うが、本音では除染と中間施設の費用は政府に出してもらい、大半を踏み倒したいと考えているようだ

 これらの予算は東電が福島原発で事故を起こさなければ必要のなかった費用だ。もちろんすべて国民の税金である。東電が踏み倒そうとしているのなら、国は厳しく取り立てるべきだが、安倍政権にその気が見られないという。原発の「再稼働によって東電を黒字にし、原賠機構(原子力損害賠償支援機構)が保有する東電株の値を上げ、その売却益で投入された税金を取り戻すというスキーム」を描いているからだ。しかし、この東電株は1兆円の税金投入の“保険”として取得したものだ。売却益は国庫に戻すべきカネで、東電の踏み倒しを補てんするカネではない

 元経産省官僚の古賀茂明氏が原発再稼働を前提とした東電救済を厳しく批判している。「東電の借金を国が肩代わりし、つぶさないというスキームは公共事業と同じような構図です。東電、経産省が事故の責任を取らないどころか、これまで以上に焼け太る図式なのです」

 東電や金融機関、株主の責任を明確にするためにも、もう一度「東電破綻(はたん)処理」まで戻って議論する必要があるのではないか。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014022601001606.html

東電の作業管理不十分が原因 柏崎刈羽の燃料棒接触
2014年2月26日 13時35分

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で燃料集合体が変形して一部の燃料棒同士が接触した問題で、原子力規制委員会は26日、現場で燃料集合体を専用の容器に装着する際の東電の作業管理が不十分だったことなどが原因と認定した。

 ほかの電力会社では同様のトラブルは確認されておらず、田中俊一委員長は「東電だけがこういうことをしており、安全に対する企業文化にかなり問題がある」と厳しく批判した。

 国際的な事故評価尺度(INES)については、安全上大きな問題は確認されなかったとして、一番下のレベル0とする最終評価を決めた。暫定評価ではレベル1としていた。

(共同)
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http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20140228_3.html

エネルギー計画  原発事故の反省見えぬ

 原発を成長戦略に位置付ける安倍晋三政権の意向が、色濃く反映された内容だ。

 政府の新たなエネルギー基本計画案は、原発の活用を維持する方針を鮮明にし、昨年末に経済産業省の分科会がまとめた当初案の一部修正にとどめた。

 原発を「重要なベースロード電源」と、常時一定量を発電し続ける電源を意味する専門用語を用いて位置付け、原子力規制委員会の審査で規制基準に適合した原発は再稼働を進めると明記した。福島第1原発事故をきっかけに当時の民主党政権が打ち出した原発ゼロ路線を、明確に否定した形だ。

 原発への依存度は可能な限り低減させるとしたが、具体的な数値目標を示しておらず、新増設にも道を残している。これでは原発事故への「反省」が疑われても仕方がない。

 世論調査では、国民の多くが再稼働に不安を感じ、「脱原発」を求めている。当初案に対するパブリックコメント(意見公募)でも原発活用に否定的な意見が目立った。その民意を政府案はくみとっているだろうか。

 そもそも自民党は2012年衆院選で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」、公明党に至っては昨年の参院選で「原発ゼロ」を公約にした。それらとの整合性をどう説明するのか。計画は与党協議を経て3月中に閣議決定されるが、脱原発の方向を明確にするよう修正すべきだ。

 当初案は原発を「基盤となる重要なベース電源」としていた。だが、東京都知事選で原発政策が争点化し、与党の脱原発派議員らからも批判が噴出したことから政府が決定を先送りしていた。

 微修正ですませたのは、「原発即時ゼロ」を掲げた細川護熙元首相らが敗れたことから、見直しのハードルが下がったとの判断があったのだろう。だが、当選した舛添要一氏も「脱原発依存」を掲げた都知事選の結果は、原発推進の容認ではない

 政府案は、核燃料サイクルも推進するとしているが、中核となる高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)は、約1兆円の巨費を投じながらトラブル続きで頓挫している。使用済み核燃料は増え続け、多くの原発でプールが満杯に近づく。「核のごみ」の行き場がないまま原発を稼働させ、将来世代に負担を強いることは許されない

 再生可能エネルギーの推進は政府案もうたっているが、脱原発を鮮明にしなければ、原発に頼らない新技術の開発や投資も強い動きとならないだろう。将来世代に責任を持つ与党協議を求めたい。

[京都新聞 2014年02月28日掲載]
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●「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたい」: 大間原発のあさこハウスと上関原発の祝島

2014年03月02日 00時00分38秒 | Weblog


asahi.comの社説【大間原発―うやむやで進めるのか】(http://www.asahi.com/paper/editorial2.html、2月17日)と、
記事【原発推進派が過半数 震災後初、山口・上関町議選】(http://www.asahi.com/articles/ASG2J4RLWG2JTZNB00B.html?iref=comtop_list_pol_n01)。
河北新報の記事【大間原発提訴へ/函館の危機感はまっとうだ】(http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2014/02/20140218s01.htm)と、
東京新聞の記事【再稼働審査で公聴会 規制委方針 公平性に危うさも】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014022002000120.html)。

 「フルMOXは使い道のないプルトニウムの大量消費という側面もあり、核燃料サイクル政策とも密接に絡む。さらに使用済みMOXの後始末も何ら具体化していない」・・・・・・メチャクチャ危険なフルMOXを「地元」の了解も得ずに、さらに、3.11の何の教訓も得ることなく、大間原発の建設を強行し続けるアホな者達。熊谷あさこさん祝島の人達は、ただただ「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたい」というだけなのに。

   『●あさましくないか!? 原発推進
  
    「「原発が出来ればこの海がよごれる。海の恩恵を受けて漁師の
     暮らしがダメになる」「お金はいらない、この海の恵みを受けて暮らしたいただ」と。
     結局電源開発は原子炉予定地の計画変更し建設を強引に進めている

 それにしても、常軌を逸した自公政権・・・・・・「「原発に依存しない社会」と言いながら、安倍政権はいっこうに具体策を示そうとしない。むしろ、東京都知事選では原発の争点外しに躍起となり、与党が推薦する舛添要一氏が当選すると、翌日から再稼働に意欲を見せるありさまだ今後の原発の新増設についても、言を左右にしている」。3.11で、「原発の建設や運転の是非に意見を出せる「地元」の範囲を一体どこで線引きするのかも問題」となり、日本中が、いや世界が「地元」であることが分かったはずなのに、この国の自公関係者や原子力ムラの住人は異常だ。

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http://www.asahi.com/paper/editorial2.html、2月17日

大間原発―うやむやで進めるのか
2014年2月17日(月)付

 青森県下北半島の北端に建設中の大間原発をめぐって、対岸の北海道函館市が事業者のJパワー(電源開発)と国を相手取り、建設差し止めを求める訴訟を起こす。

 これまでも住民による原発差し止め訴訟はあったが、自治体が原告となるのは初めてだ。

 過酷事故が起きれば、近隣の自治体も壊滅的な被害を免れない。それが福島での原発事故が突きつけた現実だ。

 このため、原発から30キロ圏内は防災対策の重点区域に指定され、避難計画の策定が義務づけられた。

 にもかかわらず、原発そのものの建設や稼働の是非には立地市町村と当該県以外、関与できないのはおかしい。函館市の提訴は、周辺自治体に共通するいらだちと危機感の表れだ。

 国も事業者も、重く受け止めなければならない。

 「原発に依存しない社会」と言いながら、安倍政権はいっこうに具体策を示そうとしない。むしろ、東京都知事選では原発の争点外しに躍起となり、与党が推薦する舛添要一氏が当選すると、翌日から再稼働に意欲を見せるありさまだ今後の原発の新増設についても、言を左右にしている

 東日本大震災の時点で着工済みだった原発は大間を含め、全国に3基あった。私たちは社説で建設中止を求めたが、自民党への政権交代の直前、東電が手がける原発以外は工事が再開され、なし崩し的に進んでいる

 大間原発をいったん運転してしまえば、最終処分のあてがない放射性廃棄物をまた増やすことにもなる。こうした根源的な問題を「脱原発依存」の観点からどう考えるのか。

 月内にも閣議決定するエネルギー基本計画では、原発推進に対する国民の反発を懸念し、当初案で予定していた原発の位置づけを少し弱める方向が検討されている。

 だが、政権が示さなければならないのは、そうした小手先の批判かわしではない。どのような条件や基準に基づいて廃炉を進めていくのか、放射性廃棄物の増加をどう抑制するのか、といった具体的な道筋だ。

 大間原発は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料だけを使う「フルMOX原発」として計画されている点も見逃せない。世界で初めてであり、その運転には一段と慎重な検討が必要なことは、原子力規制委員会も指摘している。

 うやむやにしたまま進めていいわけがない。
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http://www.asahi.com/articles/ASG2J4RLWG2JTZNB00B.html?iref=comtop_list_pol_n01

原発推進派が過半数 震災後初、山口・上関町議選
2014年2月16日22時58分

 中国電力が上関原発の建設を目指す山口県上関町の町議選(定数10)が16日、投開票された。原発推進派の8人が当選し、過半数を占めた。反対派の当選は2人だった。投票率は86・03%(前回90・24%)。

 1982年の原発計画浮上以来、町議選は今回が8回目で、2011年3月の福島での原発事故後は初の実施。過去7回もすべて推進派が過半数を占め、前回(定数12)は推進派9人、反対派3人だった。今回は定数が2削減され、13人が立候補。選挙戦では、推進派候補9人の大半が原発問題の争点化を避け、「高齢者福祉の充実」などを訴えの中心に据えた。一方、4人の候補は原発反対を前面に出した。

 09年に始まった上関原発の準備工事は、震災直後に中断し、再開のめどが立っていない。また、中国電力の公有水面埋め立て免許の延長申請に対し、山口県は昨年3月、当時の山本繁太郎知事が判断を1年程度先送りする考えを示している。
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http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2014/02/20140218s01.htm

大間原発提訴へ/函館の危機感はまっとう

 3年前、東京電力福島第1原発でメルトダウン(炉心溶融)が起きた時、放射性物質はどこまで飛来したのか。
 風で北西方向に流されて原発の30キロ圏をはるかに越え福島県飯舘村や川俣町、福島市、伊達市なども高濃度に汚染された。さらに県境を越えて宮城県の丸森町などにも広がった
 いったん環境に放出されてしまえば、風向きや降雨によって50キロ以上離れても深刻な汚染に見舞われてしまう予想を超えて放射能汚染が広がることは、福島原発事故によって初めて示された事実だ
 青森県大間町に建設中の大間原発(出力138万キロワット)について、北海道函館市が事業主体の電源開発と国を相手に建設差し止めを求めて提訴する方針を固めた。
 地方自治体が訴訟で原発建設に異議を唱えるのは前例がないが、函館市の置かれた状況を考えれば不思議はない。
 大間原発からの距離は津軽海峡を挟んで最短23キロ。しかも大間原発は世界で初めて、全燃料棒がプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料というタイプになる。
 法廷では広範に原発をめぐって主張を闘わせるべきだ。事故の際の避難や被ばく防護策はもちろんだし、原発の建設や運転の是非に意見を出せる「地元」の範囲を一体どこで線引きするのかも問題になる。
 さらにウランとプルトニウムとの核特性の違いや制御への影響といった技術的なポイントに関しても、できるだけ双方で主張を展開すべきだ。
 函館市は以前から大間原発の建設に批判的な考えを示していた。30キロ圏の「緊急防護措置区域」(UPZ)に含まれるのに、建設同意手続きなどで蚊帳の外に置かれていることへの不満があった。
 住民の被災が現実的に想定されてヨウ素剤配布の準備などが求められるにもかかわらず、電源開発や国に意見を出せないのは納得できないだろう
 原発建設ではこれまで、立地する市町村と県などが発言権を持っていたが、福島原発事故で状況は変わったはずだ。
 放射能の拡散を考えたら、例えば50キロ圏の市町村を全て同等に扱うのが筋ではないか。事故で被る影響を尺度にすれば、同じUPZ内の市町村を区別することに合理的な理由は見いだせない。
 大間原発の危険性についても函館市は不安を抱いている。プルトニウムはウランより中性子を吸収しやすく、その分制御棒の効き方が低下することが知られている。審査権限を持つ国は安全面について十分に説明しなければならない。
 フルMOXは使い道のないプルトニウムの大量消費という側面もあり、核燃料サイクル政策とも密接に絡む。さらに使用済みMOXの後始末も何ら具体化していない
 国内の原子力開発が抱える多くの問題点は、大間原発によっても浮き彫りになるはずだ。

2014年02月18日火曜日
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014022002000120.html

再稼働審査で公聴会 規制委方針 公平性に危うさも
2014年2月20日 朝刊

 原子力規制委員会は十九日の定例会合で、原発の新規制基準への適合審査について、審査が進む原発を絞って審査書案をつくり、地元自治体と公聴会を開く方針を決めた。ただ、意見を聴くのは技術的な内容に限られ、地元の要望がなければ公聴会は開かれない

 規制委は、来月上旬にも審査が進む原発を選び、新基準を満たしているかどうか結果を記した審査書を優先的に作成する。審査書を公開し、郵便やメールなどで意見を募るパブリックコメントを実施。地元自治体から求めがあれば、公聴会を開いて直接意見を聴くという。

 ただし、新基準そのものや再稼働の是非、住民の避難計画が十分かどうかなどは聞き取りの対象外とする方針。「審査についての科学技術的な意見」に限ることで、実質的に意見を言えるのは電力会社などの関係者に偏る恐れがある。

 公聴会は一回に限られる見込み。原発立地自治体は再稼働を推進、周辺自治体は反対というケースもみられ、「地元」の定によっては公聴会そのものが開かれないこともあり得る

 原発をめぐる意見聴取をめぐっては、九州電力が二〇一一年六月、国の説明会で、玄海原発(佐賀県)の再稼働に賛成するメールを送るよう子会社に指示するなどの問題も起きている。
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●そりゃ、「老残」でしょ ~石原慎太郎・森喜朗・米倉弘昌・渡辺恒雄の各氏のことです~

2014年02月27日 00時00分25秒 | Weblog


gendai.netの記事【「レジェンド」か「老残」か超高齢者支配のこの国のこれから】(http://gendai.net/articles/view/news/148129)と、
asahi.comの記事【原発新設の必要性に言及 経団連・米倉会長】(http://www.asahi.com/articles/ASG2N5R8RG2NULFA03F.html?iref=comtop_list_biz_n05)。

 「日本の政財界に居座る老人たち・・「老残」が、数え切れないぐらいに存在・・石原慎太郎共同代表は81歳だし、安倍首相の後見人を気取って東京五輪の大会組織委員会の会長に就任した森喜朗元首相は76歳。財界総理なんて呼ばれる経団連会長の米倉弘昌氏も76歳だ。マスコミのドン、読売新聞グループ本社会長の渡辺恒雄氏は87歳である。知力も気力も体力も衰えたであろう超高齢者が、いまだに第一線に居座り、日本社会を支配している格好」・・・・・・。エイジズムではなく、何れ誰もが老人になるとはいえ、あまりに醜く、「レジェンド」なんて冗談じゃない。「老残」、「老醜」でしょう。

 「原発について、「一定割合の発電を担うなら、新規の発電所も認めざるを得ない時期が来る」と述べ、新設が必要だとの考えを示した。安倍政権は、「発の新増設」については新たなエネルギー基本計画には盛り込まない方針だが、米倉会長は新設の必要性に踏み込んだ」・・・・・・って、頭の中身を覗いてみたいよ、まったく。

 最後に、あえて引用しないが、まさに「サメ脳氏」たる由縁・・・ 『“失言レジェンド”の森元首相がまた・・・・・・「大事なときには必ず転ぶ」』・・・・・・「「見事にひっくり返った。あの子、大事なときには必ず転ぶ」と評した失言が、波紋を広げている・・「負けると分かっていた。・・出して恥をかかせることはなかった」とも述べた」。酷いね

   『●『石原慎太郎よ、退場せよ!』読了(1/3)
   『●『石原慎太郎よ、退場せよ!』読了(2/3)
   『●『石原慎太郎よ、退場せよ!』読了(3/3)
   『●オリンピック招致費用、「都税75億円」+「都税25億円」!
   『●八つ当たり
   『●〝腰ぬけ〟で結構、害悪老人よりは!!
   『●感覚麻痺
   『●恥ずかしくないんでしょうか?
   『●都知事曰く「東京に原発を」
   『●選挙に際しての祈り: 「空疎な小皇帝」を支持することの意味
   『●言葉を失います・・・
   『●恥ずかしいから、引っ込んでてくれ
   『●パンダの方が働いているとは!
   『●「東京に原発を」の〝ト〟知事は、住民投票を受けて立ってはどうか?
   『●石原慎太郎〝ト〟知事のお金は石原氏のモノ、そして都民の血税も氏のモノ
   『●東京〝ト〟知事の息子を〝ト〟知事に
   『●元〝ト〟知事のトンデモ党
   『●3.5期の空白都政と都知事選候補達
   『●「我欲」だけの人の高嗤い
   『●「暴走老人」「憲法改正と自衛隊を国防軍に改称する」政治家たちが当選
   『●トンデモな両元〝ト〟知事がリーダーの「維新」を支持する価値はあるのか?
   『●思い込みの激しい老人: 大阪元〝ト〟知事に「歴史に関しての無知」だってさ!

   『●元「ト」知事と「サメ脳」氏は背中を押しているんだか、
                      足を引っ張っているんだか?
   『●「吸「血税」」・・・
          舛添新東京都知事の都政、その崩壊は案外早目かも?

   『●FUKUSIMAでも変わらないNIPPON
   『●新聞社間の争いの背後
   『●議論などする気もなく、原発推進に邁進
   『●今に始まったことではないが、財界も腐ってる
   『●TPP、呆れた一側面
   『●ユルユルの原発ゼロ目標さへ、しかも、閣議決定さへも出来ないムダ内閣
   『●視察パフォーマンスと経団連詣で
   『●企業の貯金250兆と「働くとは何か?」
   『●「原発推進」という結論ありきのパフォーマンス
   『●内部留保と消費税増税: 雇用「数」増加で誤魔化す雇用形態の「質」の劣化
   『●消費税増税ありきのヒアリングに何の意味があろうか?
   『●トリクルダウンエフェクト:
     如何に市民のことなど考えず、大企業・お金持ちにしか目が行っていないか!
   『●「解雇特区」、事実上見送りだそうだが・・・・・・

   『●『渡邉恒雄 権力とメディア』読了(1/2)
   『●『渡邉恒雄 権力とメディア』読了(2/2)
   『●『官僚とメディア』読了(1/3)
   『●『「押し紙」という新聞のタブー』読了(2/2)
   『●魚住昭さん: 読売経営者陣と本田靖春さん
   『●『渡辺恒雄 脳内解析 ナベツネだもの』読了
   『●相変わらずの下品さ
   『●『運命の人』余話 ~あるフィクサー的政〝界〟記者の反論~
   『●我が身を省みらずに遠吠えする元新聞記者らしき人と
          校長の検閲に喝采を送る元弁護士らしき人のイサカイ
   『●確信犯? ノー天気? 猛毒法に、
          座長・渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長は断言「・・・賛成だ」
   『●内閣法制局、NHK、秘密保護法、消費税増税・・・、
                         「肝いり人事」という安倍首相の暴走人事

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http://gendai.net/articles/view/news/148129

「レジェンド」か「老残」か 超高齢者支配のこの国のこれから

この国の進歩発展を妨げているものは老人パワーであるかないか

 スキージャンプの葛西紀明(41)が「レジェンド」と称賛されるのは、掛け値なしの実力が問われる世界で、いまだにトップを争っているからだ。

 葛西がメンバーを外された長野の団体金メダリストの船木和喜(38)と岡部孝信(43)も現役を続けている。だが、ソチ出場はかなわなかった。第一線で活躍し続けるのは、それほど難しいのだ。

 ところが、日本の政財界を見渡すと、「レジェンド」ならぬ「老残」が、数え切れないぐらいに存在する。日中関係が冷え込むきっかけを作った維新の石原慎太郎共同代表は81歳だし、安倍首相の後見人を気取って東京五輪の大会組織委員会の会長に就任した森喜朗元首相は76歳。財界総理なんて呼ばれる経団連会長の米倉弘昌氏も76歳だ。マスコミのドン、読売新聞グループ本社会長の渡辺恒雄氏は87歳である。知力も気力も体力も衰えたであろう超高齢者が、いまだに第一線に居座り、日本社会を支配している格好だ。

 世界を見渡せば、古代ローマ帝国から続く歴史あるイタリアでさえ、39歳の首相が誕生した。世界はフル回転で変化している。過去の経験則は通用しない。グローバルな時代の流れは、杖をつきながらでも乗り越えられるほど、緩やかではないのだ。

 それなのに日本では、還暦をとうに過ぎた連中が、いまだに頂点に君臨している。こんな国は、かなり異質だし異常だ。

 評論家の佐高信氏が言う。

   「住友の総理事を務めた伊庭貞剛は、『進歩発展を邪魔するのは
    青年の過失より老人の跋扈(ばっこ)だ』と言って、すっと身を引いた。
    老人が居座れば、下からの活力が封じ込められる。それを知ってやめたのです。
    残念ながら、こんなタイプはめったにいない。日本は、先輩であることが
    偉いという文化。おかげで、ゴマスリばかりが上に上がっていく。その結果、
    反逆のエネルギーが失われてしまう。これでは進歩や発展はありません。
    日本は老人支配というよりも“老朽支配”。政治家や財界人にも定年を
    設けるべきでしょう。トシを取った人はスパッと役職を離れ、知恵を
    提供すればいいのです」

 腐臭を放つ老人を持ち上げるのは取り巻きだけだ。「レジェンド葛西」の活躍に刺激され、「オレもまだまだやれる」なんて勘違いされては困る。
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http://www.asahi.com/articles/ASG2N5R8RG2NULFA03F.html?iref=comtop_list_biz_n05

原発新設の必要性に言及 経団連・米倉会長
2014年2月20日22時56分

 経団連の米倉弘昌会長は20日、山口県宇部市での会見で、原発について、「一定割合の発電を担うなら、新規の発電所も認めざるを得ない時期が来る」と述べ、新設が必要だとの考えを示した。安倍政権は、「原発の新増設」については新たなエネルギー基本計画には盛り込まない方針だが、米倉会長は新設の必要性に踏み込んだ
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