阿部ブログ

日々思うこと

海洋基本法/海洋基本計画見直し

2012年03月01日 | 日記

今年2012年は、海洋基本法施行後から5年が経過し総合海洋政策本部のあり方について規定により見直しが行われる。翌2013年には同じく海洋基本計画も立案から5年が経過する為、見直しが実施される。
この海洋基本法/海洋基本計画見直しを契機として、今後の海洋資源開発に弾みをつける動きが超党派の国会議員で構成される海洋基本法戦略委員会(座長:前原誠司・民主党政調会長)や東京大学・湯原特任教授らが中心となっている海洋技術フォーラムなどでその活動が活発化している。

特に尖閣諸島問題に端を発した中国の重希土類を中心とするレアアース輸出規制に垣間見える資源ナショナリズムの台頭、エネルギー・鉱物資源の権益確保をめぐる国際競争の激化など、我が国産業界に不可欠なエネルギー・鉱物資源の確実な供給確保が喫緊の問題であり、当然の如く排他的経済水域(以下、EEZ)での海洋資源開発を進めようとするのは時節柄、理にかなっている。

しかしながらこのような情勢を受けても日本企業による海洋資源開発は全く動きを見せていない。そのような中、バンクーバーに本社を置くNautilus Minerals 社が、パプア・ニュー・ギニアの領海内に鉱区を確保し、ロシア、アメリカ、カナダの鉱業会社から 100M/US$、トロント、ニューヨーク、ロンドンの各株式市場から 200M/US$を調達し、2014年の商用生産開始に向けて海中採鉱システム、陸上選鉱・港湾設備の整備を進めている。同社の狙いは世界初の商用ベースの海洋資源開発プロジェクトを成功させることにある。

日本のEEZ、大陸棚には、金属・レアアース類を含有する黒鉱型海底熱水鉱床やコバルト・リッチ・クラストなどの深海底鉱物資源の有望海域が多数発見されており、黒鉱型海底熱水鉱床では世界第1位、コバルト・リッチ・クラストでは世界第2位の潜在的資源量があると推定されている。但し潜在的可能性のある海域から、資源的に魅力のある場所を絞り込む方法は完全に確立されておらず、探査技術などの開発が必要であるなど課題も確かにある。しかしながらリスクを負いつつ果敢に海洋資源開発に挑戦するNautilus Minerals 社のような海洋ベンチャーなど民間企業の積極的関与がなくては海洋基本法/海洋基本計画の見直しも虚しいものとなるだろう。国益に資するがハイリスクなビジネスに挑戦するチャレンジャーを支援・優遇する政策が必要とされている。